説明

走行玩具およびその発射装置

【課題】走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にすること。
【解決手段】走行玩具10の走行体14にはピニオンギヤ20が形成されており、この走行体14を発射装置本体44から発射台42上に発射させたときに、走行体14が発射台42の走行ガイド46、48と衝突すると、走行ガイド46、48の形態によって走行体14の走行スタイルに多くのバリエーションを持たせることができる。例えば、走行ガイド46、48の一方にラッキギヤ62または63を設けることで、走行体14が走行ガイド46、48に衝突した際に、走行ガイド46または48のラッキギヤ62または63と走行体14のピニオンギヤ20との噛み合いによって、走行体14が右回転または左回転しながら走行ガイド46、48に沿って移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫などの生物や車両などの創造物を模した立体模型体を走行させるための走行玩具およびその走行玩具を移動させるための発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の走行玩具として、乗り物を模した走行体と、その走行体を走行させる発射装置がある。
【0003】
この走行体は、自ら動力を持たず、発射装置から弾性体などの反発力に押されて所定距離を走行するものである。
【0004】
この発射装置は、走行体を載置する台と、この台に設けられた弾性体と、弾性体を圧縮した状態にし、これを保持するストッパーが設けられており、このストッパーを解除することで、弾性体の圧縮がとかれて走行体を押し出し走行させるものである。
【0005】
特許文献1の走行玩具は、走行体を走行させるための車輪が、走行体に固定的に取り付けられており、発射装置から受けた力により、ほぼ同じ走行を行うのみであった。
【0006】
また、発射装置も一定の強さで圧縮された弾性体の反発力によって走行体を走行させるのみであり、走行スタイルのバリエーションに乏しかった。
【0007】
一方で、特許文献2の走行玩具の発射装置は、弾発スプリングの係止位置が変更可能な係止機構を用いて発射の強さを調節するものであるが、あくまでも走行体の走行する強さを調節するための発射装置であり、走行体の移動スタイルの変化が乏しかった。
【特許文献1】実用新案登録第2512612号公報
【特許文献2】実用新案登録第3039537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決すべく創案されたもので、走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にすることが可能な走行玩具およびその発射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、生物または創造物を模した立体模型体と、前記立体模型体を支持する支持体と、前記支持体を着脱自在に支持するとともに、発射装置から付勢力を受けて移動する走行体とを有し、前記走行体は、円環状に形成されて、外周側には、ギヤが形成されてなることを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記走行体は、円環状に形成されたベースと、前記ベースの外周側に円周方向に沿って形成されたギヤと、前記ベースに固定されて前記ベースから突出した複数の筒体と、前記各筒体内に挿入されて前記立体模型体に締結される締結部材とを有してなることを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記支持体は、前記走行体のベースに支持された円柱体と、前記円柱体内にその一部が露出した状態で着脱自在に収納された錘を有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、操作ボタンを摺動自在に保持する操作部と、前記操作部の先端側に進退自在に配置された押し出し部と、前記操作ボタンの非操作時に前記押し出し部の進退移動を規制し、前記操作ボタンの操作に応答して前記押し出し部に対する規制を解除する操作制御部と、前記操作部内に収納されて前記押し出し部の後退移動により付勢力を蓄積し、前記操作ボタンの操作により前記押し出し部に対する規制が解除されたときに前記押し出し部に付勢力を付与して前記押し出し部を前進移動させる弾性部材と、前記押し出し部の先端側に走行路を形成するとともに、前記走行路の両側に配置された一対の走行ガイドを有する発射台とを備えてなることを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記発射台の一対の走行ガイドのうち一方の走行ガイドには、走行玩具のギヤと噛み合い可能なギヤであって、前記走行玩具を右回転または左回転させるためのギヤが形成されてなることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、走行体にはギヤが形成されているので、この走行体を発射装置から発射台上に発射させたときに、走行体が発射台の走行ガイドと衝突すると、走行ガイドの形態によって走行体の走行スタイルに多くのバリエーションを持たせることができる。具体的には、一対の走行ガイドの一方にギヤを設けることで、走行体が走行ガイドに衝突した際に、走行ガイドのギヤと走行体のギヤとの噛み合いによって、走行体が右回転または左回転しながら走行ガイドに沿って移動することになる。また、走行体の錘の重量を変更することで、走行体の移動速度を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係わる走行玩具の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明に係わる走行玩具の分解斜視図である。
【0018】
走行玩具10は、昆虫(甲虫)などの生物を模した立体模型体12と、立体模型体12を支持する支持体14と、支持体14を着脱自在に支持する走行体16を備えて構成されている。
【0019】
走行体16は、円環状(円板状)に形成されたベース18と、ベース18の外周側に円周方向に沿って形成されたピニオンギヤ20と、ベース18に固定されてベース18から上方に突出した複数の筒体22、24と、ベース18上に固定されて、筒体22と筒体24との間に配置された円弧状の突起26、28、筒体22、24内に挿入されて立体模型体12に締結される締結部材としてのねじ30、32とから構成され、ベース18の中央部には穴34が形成されている。
【0020】
支持体14は、走行体16のベース18に支持された円柱体36と、円柱体36内に形成された球状凹部38内に着脱自在に収納された錘40とから構成されており、錘40は、その一部が、ベース18の穴34から露出するようになっている。走行体40は、錘としての機能を有し、重量が異なるものが複数個用意されており、操作者によって、任意の重量のものを用いることができるようになっている。すなわち、錘40の重量を変更することで、走行玩具10の移動速度を調整できるようになっている。
【0021】
上記構成による走行玩具10は、図2に示す発射台42に配置され、図3に示す発射装置本体44から付勢力(ばねの反発力)を受けたときに、この付勢力により、発射台42上の走行ガイド46、48間を走行ガイド46、48に沿って移動するようになっている。
【0022】
発射台42は、図2(a)に示すように、ほぼ長方形形状に形成された走行路50と、矩形状に形成されて走行路50に一体になって連結された矩形部52を備えており、矩形部52には、円柱状の突起54、56と円柱状の突起58、60が相対向して配置されている。走行路50の両側には直線状に形成された走行ガイド46、48が配置されている。この発射台42としては、図2(b)に示すように、走行ガイド46に、走行体16のベース18に形成されたピニオンギヤ20と噛み合い可能なラッキギヤ62が形成されているものを用いたり、或いは、図2(c)に示すように、走行ガイド48に、走行体16のベース18に形成されたピニオンギヤ20と噛み合い可能なラッキギヤ63が形成されているものを用いたりすることもできる。図2(a)に示す発射台42を用いた場合には、発射装置本体44から押し出された走行玩具10を走行ガイド46、48に沿って略直線上に移動させることができる。一方、図2(b)に示す発射台42を用いた場合には、発射装置本体44から押し出された走行玩具10を、走行体16のピニオンギヤ20と走行ガイド46のラッキギヤ62との噛み合いに伴って左回転させながら、走行ガイド46、48に沿って移動させることができる。また、図2(c)に示す発射台42を用いた場合には、発射装置本体44から押し出された走行玩具10を、走行体16のピニオンギヤ20と走行ガイド48のラッキギヤ63との噛み合いに伴って右回転させながら、走行ガイド46、48に沿って移動させることができる。なお、発射台42としては、走行路50の長さが異なるものを揃えることで、走行玩具10の走行スタイルのバリエーションをより豊富にすることができる。
【0023】
発射装置本体44は、図3(a)に示すように、矩形形状に形成された操作部64を備えており、操作部64の先端側には押し出し部66が進退自在(往復動自在)に配置され、中央部には三角形状の操作ボタン68が上下動自在(鉛直方向に沿って摺動自在)に配置され、後端側には押し出し部66に付勢力(反発力)を付与するためのばね70が配置されている。押し出し部66の上部側には、操作部64の切り欠き部72に係合可能なストッパー74が形成されているとともに、走行玩具10に接触する円弧状ガイド76が形成されている。押し出し部66の先端側には、図3(b)に示すように、走行体16のピニオンギヤ20と噛み合い可能なギヤ78、80が鉛直軸を回転中心として、回転自在に配置されている。
【0024】
一方、押し出し部66の後端側上部には、複数のギヤ82が水平方向に沿って形成されており、押し出し部66の後端面には、ケース84に収納されたばね70の先端側が当接されている。ギヤ82の近傍には、いずれかのギヤ82と噛み合い可能なロッド86が回動自在に配置されている。このロッド86は、操作ボタン68の非操作時に、いずれかのギヤ82と噛み合って、押し出し部66の進退移動を規制し、操作ボタン68の操作(押し下げ操作)により、その先端側が下方に移動してギヤ82との噛み合いが解除され、押し出し部66に対する規制を解除する操作制御部として構成されている。
【0025】
押し出し部66は、操作者により操作ボタン68が操作された状態で、ストッパー74が切り欠き部72近傍の位置まで戻されたときに、その後退移動によってばね70に付勢力を蓄積させるようになっている。このとき、操作者により、操作ボタン68に対する操作が解除されると、押し出し部66の進退移動がロッド86とギヤ82との噛み合いによって阻止され、ばね70は付勢力が蓄積された状態になる。この後、操作者により、操作ボタン68が押し下げられたときに、ロッド86とギヤ82との噛み合いが解除され、ばね70に蓄積された付勢力(反発力)が押し出し部66に付与され、押し出し部66が前進移動する。押し出し部66が前進移動すると、円弧状ガイド76が走行玩具10に接触して、走行玩具10を反射台42に向けて押し出すことになる。また、操作部64には、発射台42上の突起54・56間と、突起58・60間にそれぞれ挿入可能な位置決め部材88、90が形成されている。
【0026】
発射台42は、例えば、図4に示すように、ゲーム装置92の一要素として、走行台94、96の根元側に配置され、走行台94、96の発射台42上には発射装置本体44がそれぞれ配置されるようになっている。
【0027】
走行台94、96の先端側は六角形形状のバトルステージ98の一辺にそれぞれ着脱自在に連結されており、各走行台94、96は、バトルステージ98を間にして相対向して配置されている。バトルステージ98の残りの4辺にはフェンス100、102、104、106が各辺の縁を回動中心として回動自在に配置されている。
【0028】
ゲーム装置92を用いて2人の操作者によってゲームを行うに際しては、バトルステージ98を両者の間に配置し、バトルステージ98の二辺にそれぞれ走行台94、96を連結するとともに、各フェンス100〜106を鉛直方向に沿って立てる。次に、各走行台94、96の根元側に発射台42を取り付け、各発射台42上に発射装置本体44を配置する。このとき、各操作者は、発射台42上の突起54・56間と、突起58・60間にそれぞれ操作部64の位置決め部材88、90を挿入して、操作部64の位置決めを行う。この後、押し出し部66を切り欠き部72側に後退させて、ばね70に付勢力を蓄積させる。次に、各操作者は各自の好みの走行玩具10を発射台42上に配置し、その後、操作ボタン68を押し下げる操作を行うと、ゲームが開始される。
【0029】
各操作者が操作ボタン68を押し下げると、ばね70の付勢力が押し出し部66から走行玩具10に付与され、走行玩具10が、発射台42上に押し出される。このとき、各操作者が、図2(a)に示す発射台42を用いた場合には、発射装置本体44から押し出された走行玩具10は、それぞれ走行ガイド46、48に沿って略直線上に移動し、図2(b)に示す発射台42を用いた場合には、走行体16のピニオンギヤ20と走行ガイド46のラッキギヤ62との噛み合いに伴って左回転しながら、走行ガイド46、48に沿って移動し、また、図2(c)に示す発射台42を用いた場合には、走行体16のピニオンギヤ20と走行ガイド48のラッキギヤ63との噛み合いに伴って右回転しながら、走行ガイド46、48に沿って移動する。すなわち、各走行玩具10は、操作者がどの発射台42を選択するかによって、直線状に、あるいは右回転または左回転しながら、走行台94または走行台96を移動し、バトルステージ98上で互いに衝突する。このとき、例えば、衝突力の勝る走行玩具10がバトルステージ98上に残り、衝突力の劣る走行玩具10が、フェンス100〜106のいずれかに激突した後、バトルステージ98から落下したときには、前者の勝ちとなる。また、バトルステージ98の中央部には表面が曲面となっている丘陵部107が設けられており、この丘陵部107上で走行玩具10同士が衝突することで、バトルステージ98の周辺部に弾かれて落下しやすくなるので、ゲームとしての趣向性を高めることが出来る。
【0030】
本実施例によれば、走行体14にはピニオンギヤ20が形成されているので、この走行体14を発射装置本体44から発射台42上に発射させたときに、走行体14が発射台42の走行ガイド46、48と衝突すると、走行ガイド46、48の形態によって走行体14の走行スタイルに多くのバリエーションを持たせることができる。
【0031】
すなわち、走行ガイド46、48の一方にラッキギヤ62または63を設けることで、走行体14が走行ガイド46、48に衝突した際に、走行ガイド46または48のラッキギヤ62または63と走行体14のピニオンギヤ20との噛み合いによって、走行体14が右回転または左回転しながら走行ガイド46、48に沿って移動することになる。尚、発射装置44の押し出し部66の先端に配置されているギヤ78、80は、走行玩具10を押し出す際にピニオンギヤ20と噛みあう。これによって、走行玩具10が押し出されながら、発射台42の走行路50に配置されたガイド46またはガイド48に形成されたラックギヤ62またはラックギヤ63とピニオンギヤ20が噛みあって走行玩具10が回転する際に、走行玩具10が押し出し部66の円弧状ガイド76と擦れて摩擦により走行玩具10の回転力が失われないよう、ギヤ78、80とピニオンギヤ20が円弧状ガイド76が走行玩具10に接触する前に噛みあうように構成されている。これにより、走行玩具10の回転力がギヤ78、80に伝わり、摩擦を少なくすることが出来るようになる。また、走行体14の錘40の重量を変更したり、走行路50の長さを変更したりすることで、走行体14の移動速度を調整することができる。
【0032】
また、立体模型体12としては、昆虫などの生物の他に、車両などの創造物を模した立体模型体を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わる走行玩具の分解斜視図である。
【図2】(a)は、発射台の一実施例を示す平面図、(b)は、発射台にギヤを設けた実施例を示す平面図、(c)は、発射台にギヤを設けた他の実施例を示す平面図である。
【図3】(a)は、本発明に係わる発射装置本体の斜視図、(b)は、押し出し部の正面図である。
【図4】本発明に係わるゲーム装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10 走行玩具
12 立体模型体
14 支持体
16 走行体
18 ベース
20 ギヤ
22、24 筒体
40 錘
42 発射台
44 発射装置本体
46 48 走行ガイド
62 ギヤ
64 操作部
66 押し出し部
68 操作ボタン
70 ばね
92 ゲーム装置
94、96 走行台
98 バトルステージ
100、102、104、106 フェンス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物または創造物を模した立体模型体と、前記立体模型体を支持する支持体と、前記支持体を着脱自在に支持するとともに、発射装置から付勢力を受けて移動する走行体とを有し、前記走行体は、円環状に形成されて、外周側には、ギヤが形成されてなる走行玩具。
【請求項2】
前記走行体は、円環状に形成されたベースと、前記ベースの外周側に円周方向に沿って形成されたギヤと、前記ベースに固定されて前記ベースから突出した複数の筒体と、前記各筒体内に挿入されて前記立体模型体に締結される締結部材とを有してなることを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記支持体は、前記走行体のベースに支持された円柱体と、前記円柱体内にその一部が露出した状態で着脱自在に収納された錘を有することを特徴とする請求項2に記載の走行玩具。
【請求項4】
操作ボタンを摺動自在に保持する操作部と、前記操作部の先端側に進退自在に配置された押し出し部と、前記操作ボタンの非操作時に前記押し出し部の進退移動を規制し、前記操作ボタンの操作に応答して前記押し出し部に対する規制を解除する操作制御部と、前記操作部内に収納されて前記押し出し部の後退移動により付勢力を蓄積し、前記操作ボタンの操作により前記押し出し部に対する規制が解除されたときに前記押し出し部に付勢力を付与して前記押し出し部を前進移動させる弾性部材と、前記押し出し部の先端側に走行路を形成するとともに、前記走行路の両側に配置された一対の走行ガイドを有する発射台とを備えてなる発射装置。
【請求項5】
前記発射台の一対の走行ガイドのうち一方の走行ガイドには、走行玩具のギヤと噛み合い可能なギヤであって、前記走行玩具を右回転または左回転させるためのギヤが形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の発射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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