説明

走行玩具システム

【課題】 市販の模造玩具に改造を施すことなく、トラック部材上をアタッチメントに支持した状態で走行させることができる走行玩具システムを提供する。
【解決手段】 自走台車5をトラック部材3上で走行させる。走行台車5の台座6Aにアタッチメント7を設ける。アタッチメント7は、改造が施されていない市販の模造玩具ITと部分的に係合する複数の係合部41A乃至41Dを有して市販の模造玩具を支持する。アタッチメント7は、市販の模造玩具の寸法に応じて複数の係合部41A乃至41Dの位置関係を変更し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック部材の上を自走する自走台車を利用して、トラック部材の表面上で模造玩具を走行させる走行玩具システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6648723号公報(特許文献1)には、トラック部材上を走行する自走台車の上に四輪車を模した模造玩具を乗せて走行する走行玩具システムが開示されている。
【0003】
また米国特許第6626116号公報(特許文献2)にも、トラック部材上を走行する自走台車の上に四輪車を模した模造玩具を乗せて走行する走行玩具システムが開示されている。
【特許文献1】米国特許第6648723号公報
【特許文献2】米国特許第6626116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来提案されている走行玩具システムでは、自走台車上に実装できる模造玩具は専用品に限られている。そのため従来の走行玩具システムでは、専用品を購入しなければ、異なった種類の模造玩具を走行させることができない。しかしながら、自分で所有している、自動車等の模造玩具を自走台車上に支持させて走行させることができれば、走行玩具システムの活用度が上がるだけでなく、自動車等の模造玩具の収集の楽しみが増すという相乗効果が得られる。しかしながら従来の走行玩具システムでは、模造玩具に改造を加えなければ、自走台車に模造玩具を支持させることは実際上不可能であるという問題がある。市販の模造玩具に改造を加えることは、多くの玩具コレクタにとっては、到底受け入れることができないことである。
【0005】
本発明の目的は、市販の模造玩具に改造を施すことなく、自走台車に支持した状態で走行させることができる走行玩具システムを提供することにある。
【0006】
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、車輪を持った模造玩具が自走台車から脱落するのを防止することができる走行玩具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の走行玩具システムは、トラック部材と、駆動源を備えてトラック部材上を自走する自走台車とを備えている。トラック部材は、単体の部品として構成されていてもよいが、複数の部品が組み合わされて構成されていてもよい。自走台車の駆動源は、一般的には電気モータである。電気モータは、電池を電源として動作するようにその駆動装置を構成してもよい。しかしトラック部材に通電路が設けられる場合には、この通電路から供給される電力により電気モータを駆動するように駆動装置を構成してもよいのは勿論である。なお自走台車は、いわゆるスロットカーと同様に、コントローラによって、運転制御可能なものであってもよいが、スイッチのオン・オフだけで駆動・非駆動を決定し、運転制御をしないものでもよい。運転制御可能な自走台車の制御方法は、公知のスロットカー玩具で使用されているものと同じものを用いればよい。
【0008】
本発明では、自走台車が、改造が施されていない市販の模造玩具と部分的に係合する複数の係合部を有して前記市販の模造玩具を支持するアタッチメントを台座上に備えている。そしてアタッチメントは、市販の模造玩具の寸法に応じて複数の係合部の位置関係を変更し得るように構成されている。複数の係合部は、改造が施されていない市販の模造玩具と部分的に係合して(嵌め合いを含む)、模造玩具を支持できるものであれば、どのような形状または構造であってもよい。理想的には、アタッチメント上に模造玩具を置く動作をするだけで(またはアタッチメント上に模造玩具を乗せるだけで)、模造玩具の一部と複数の係合部の係合が完了するのが好ましい。
【0009】
本発明によれば、自走台車がトラック部材上を走行し、自走台車の上にアタッチメントを介して模造玩具が支持されているので、台車の台座に載った模造玩具が自走しているような錯覚を見る者に与えることができる。特に、本発明によれば、アタッチメントの複数の係合部の位置関係を変更することにより、種々の大きさの模造玩具に改造を加えることなく台座上に支持させることができる。したがって、本発明によれば、ユーザが所有する模造玩具を傷つけることなく(改造することなく)、模造玩具をトラック部材で走行させることが可能になる。また本発明では、既存のスロットカー玩具のトラック部材及び走行車の制御装置をそのまま利用することが可能であるため、既存のスロットカー玩具のオプション玩具とすることも可能である。
【0010】
なお自走台車の外装ケースは、トラック部材の表面の色と同一または近似した色を有しているのが好ましい。このようにすると自走台車がトラック部材上を走行しているときに、自走台車がトラック部材と同化して、見る者に自走台車が存在していないかのごとくの錯覚を与えることができる。そのため、あたかも自分が所有する模造玩具だけがトラック部材上を走行しているような錯覚を見る者に与えることができる。
【0011】
例えば、市販の模造玩具が、複数本の車軸にそれぞれ1以上の車輪が装着されている車両(二輪車、三輪車、四輪車等)の模造玩具であるとする。この場合には、アタッチメントの複数の係合部は、複数の車軸とそれぞれ係合するように構成されているのが好ましい。このような係合部を用いると、係合部は、車軸に固定された車輪の内側に位置して車軸と係合することになる。そのため、車輪を有する模造玩具を自走台車の台座上に動かない状態で確実に装着することができる。また車軸と係合する係合部は、車輪によって覆われることになるため、走行中に自走台車の存在を意識する率が少なくなる利点が得られる。
【0012】
車軸と係合する複数の係合部は、それぞれ上方向と横方向両側に向かって開口し、上方向に向かって開口する開口部から車軸が挿入される溝部を備えている構造とするのが好ましい。複数の係合部をこのようにすると、車両の模造玩具を自走台車の台座上に置く動作をするだけで、車軸を複数の係合部に簡単に係合させることができる。その結果、自走台車をトラック部材の上に置いた状態で、車両の模造玩具の交換を簡単に行える。
【0013】
なお市販の模造玩具が、前方車軸と後方車軸にそれぞれ2つの車輪が装着されている四輪車の模造玩具の場合には、アタッチメントを次のように構成するのが好ましい。すなわちアタッチメントを、1本の車軸の両端に固定される2つの車輪間のトレッド寸法及び2本の車軸間のホイルベース寸法の相違に応じて、複数の係合部の位置関係を変更できるように構成するのが好ましい。このようにするとトレッド寸法及びホイルベース寸法が相違する複数種類の車両の模造玩具を、アタッチメントに簡単且つ確実に支持させることが可能になる。この場合の具体的なアタッチメントの構造は次のようにするのが好ましい。すなわちアタッチメントは、第1の構造部材と、第2の構造部材と調整可能連結機構とを備えた構造とすることができる。第1の構造部材は、前方車軸の2つの車輪と隣接する両端部分と係合する2つの係合部と、第1の支持体と、2つの係合部間の寸法を調整可能な機能を持って2つの係合部を第1の支持体に支持させる2つの係合部支持機構とを備えている。また第2の構造部材は、後方車軸の2つの車輪と隣接する両端部分と係合する2つの係合部と、第2の支持体と、2つの係合部間の寸法を調整可能に2つの係合部を第2の支持体に支持させる2つの係合部支持機構とを備えている。そして調整可能連結機構は、第1の構造部材と第2の構造部材とを、両者間の距離を調整可能な機能を持って連結するように構成されている。このアタッチメントでは、係合部支持機構の調整機能により、2つの係合部間の寸法(トレッド寸法)を調整することができ、調整可能連結機構により第1の構造部材及び第2の構造部材間の寸法(ホイルベース寸法)を調整することができる。係合部支持機構の構造は任意である。例えば、係合部支持機構として、四節平行リンク機構を用いると、係合部を上側トラック部材の表面に沿ってスライドさせる動作を行うことにより、係合部の位置調整を簡単に行うことができる。また係合部を2本のリンクで支持するため、係合部支持機構の機械的強度を高めることができる。
【0014】
調整可能連結機構の構成は任意である。例えば、両端が台座に固定され且つ主要部が台座の表面との間に間隔をあけて配置された細長いフレームを設ける。そしてこのフレームに第1の支持体及び第2の支持体の一方を固定し、第1の支持体及び第2の支持体の他方をフレームにスライド可能に装着する構造を採用することができる。このような構成を採用すると、フレームに沿った支持体のスライド動作により、第1の構造部材と第2の構造部材との間の寸法(ホイールベース寸法)を簡単に調整することができる。またフレームが存在するため、機械的強度も確保することができる。なおフレームに第1の支持体及び第2の支持体の両方をスライド可能に装着した構造にしてもよいのは勿論である。
【0015】
車両の模造玩具の車軸と係合する係合部の構造は、例えば、車軸が嵌る前述の溝部を備えた板状部と、この板状部の下側端部と一体に形成されて板状部と直交する方向に延びるベースとを備えたものとすることができる。この場合には、前述の四節平行リンク機構の第1及び第2の節をベースに設け、四節平行リンク機構の第3及び第4の節を支持体に設ける。そして台座の表面と対向するベースの裏面及び支持体の裏面には、それぞれ表面上をスライドする1以上の凸部を形成する。このようにすると模造玩具がアタッチメントに支持された状態で、四節平行リンク機構が固定状態となる。そして4つの係合部のベースの裏面に設けた凸部と第1及び第2の支持体の裏面に設けた凸部とが、広く分散した状態で、台座の表面と接触する。複数の凸部による実質的な点接触でアタッチメントを支えるため、摩擦抵抗が著しく大きくなることもない。
【0016】
なおアタッチメントは、走行台車の前記台座に着脱可能に固定してもよい。このようにすると、模造玩具の種類に応じてアタッチメントを交換することができるので、走行台車を共通に使用することができて、汎用性が高くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アタッチメントの複数の係合部の位置関係を変更することにより、種々の大きさの模造玩具に改造を加えることなく走行台車の台座上に支持させることができる。したがって、本発明によれば、ユーザが所有する模造玩具を傷つけることなく(改造することなく)、模造玩具をトラック部材で走行させることが可能になる。また本発明では、車輪を持った模造玩具が自走台車から脱落するのを防止することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の走行玩具システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、走行玩具システム1の実施の形態の一例の構成を示す図である。走行玩具システム1は、トラック部材3と、自走台車5と、アタッチメント7とを備えている。図1に示すように、トラック部材3は、公知のスロットカー玩具のトラックと同じ構造を有しており、絶縁樹脂製のプレート部材8に、環状の2本の案内用溝部9が形成されている。そしてプレート部材8には、案内用溝部9に沿って2本の給電用レール部材11及び13が配置されている。2本の給電用レール部材11及び13の一方がプラス電極となり、他方がマイナス電極となる。これらの給電用レール部材11及び13には、図1に示した駆動装置15から直流電圧が印加されている。なお図1及び図2には、電気的な配線は図示を省略してある。図1に示すように、二人のプレイヤがそれぞれ使用するスロットル17、17´(以降、単にスロットル17と記載する)のボタン19、19´(以降、単にボタン19と記載する)を操作することにより、2台の自走台車5、5´(以降、単に自走台車5と記載する)の運転がそれぞれ別個に制御される。自走台車5の運転制御は、公知のスロットカー玩具で使用されている運転制御方法と同じである。例えばボタン19を押すと、対応する自走台車5が動き、ボタン19の操作量に応じてこの自走台車5の速度が速くなり、ボタン19を離すと自走台車5が停止する。
【0019】
次に図2を中心にして、図1を参照しながら、本実施の形態で使用する自走台車5について説明する。図2(A)は、アタッチメント7を備えた走行台車5を正面側から見た斜視図であり、図2(B)はアタッチメント7を備えた走行台車5を背面側から見た斜視図であり、図2(C)はアタッチメント7を備えた走行台車5の平面図であり、図2(D)は走行台車5の底面図である。そして図2(E)は、アタッチメント7に四輪車の模造玩具IT(破線で示す)を乗せた状態の走行台車5の側面図であり、図2(F)はアタッチメント7を備えた走行台車5の背面図である。
【0020】
自走台車5は、台車本体6内に駆動源を備えてトラック部材3上を自走する。なお自走台車5の駆動源は、図示しない電気モータである。本実施の形態では、電気モータを駆動する駆動装置は、トラック部材3に設けられた通電路としての給電用レール部材11及び13から供給される電力により電気モータを駆動するように構成されている。図2(D)に示すように、自走台車5は、さらに台車本体6の後方側に設けられて駆動源によって駆動される駆動車軸23と、駆動車軸23の両端に取り付けられてトラック部材3上を回動する一対の駆動車輪25とを備えている。また、台車本体6の底面部には、駆動車軸23よりも前方側の位置に図示しない車軸の両端に取り付けられてトラック部材3上を回動する一対の前輪26が設けられている。また台車本体6の底面部には、一対の前輪26の間に、図1に示した案内用溝部9に嵌合されるピン部材27が固定されている。また台車本体6の底面部には、駆動源への給電のために、一対のレール部材11及び13と接触する一対のブラシ部材29が設けられている。台車本体6内の駆動装置には、これらのブラシ部材29から直流電力が供給される。なお本実施例においては、自走台車5の外装ケースは、トラック部材3の表面の色と同一または近似した色を有している。このようにすると自走台車がトラック部材上を走行しているときに、自走台車がトラック部材と同化して、見る者に自走台車が存在していないかのごとくの錯覚を与えることができる。そのため、あたかも自分が所有する模造玩具だけがトラック部材上を走行しているような錯覚を見る者に与えることができる。しかしながら、自走台車5の外装ケースの色を、トラック部材3の表面の色と同一または近似した色以外の色としてもよいのは勿論である。
【0021】
次にトラック部材3の上を自走台車5の台座6A上に交換可能により設けられたアタッチメント7について、図2乃至図4を用いて詳しく説明する。図3(A)乃至(E)は、本実施の形態で用いる、アタッチメント7を単独で上から見た平面図であり、それぞれ変形したアタッチメントの形状を示している。アタッチメント7は、改造が施されていない市販の模造玩具[本実施の形態では、図2(E)の四輪車の模造玩具IT]と部分的に係合する4つの係合部41A乃至41Dを有している。このアタッチメント7は、市販の模造玩具ITの寸法に応じて4つの係合部41の位置関係を変更し得るように構成されている。4つの係合部41A乃至41Dは、改造が施されていない市販の模造玩具ITと部分的に係合して(嵌め合いを含む)、模造玩具を支持できるものであれば、どのような形状または構造であってもよい。この例では、アタッチメント7上に模造玩具を置く動作をするだけで(またはアタッチメント7上に模造玩具を乗せるだけで)、模造玩具の一部と4つの係合部41A乃至41Dの係合が完了するように、各係合部の構造が定められている。
【0022】
このアタッチメント7が対象とする市販の模造玩具ITは、図2(E)に破線で示すように、2本の車軸S1及びS2にそれぞれ2つの車輪Hが装着されている四輪車の模造玩具である。そのためアタッチメント7の4つの係合部41A乃至41Dは、2本の車軸S1及びS2とそれぞれ係合するように構成されている。これらの係合部41A乃至41Dを用いると、係合部41A乃至41Dは、車軸S1及びS2に固定された車輪H[図2(E)参照]の内側に位置して車軸S1及びS2と係合することになる。そのため、車輪を有する模造玩具ITをアタッチメント7を介して台座6A上に動かない状態で確実に装着することができる。また車軸S1及びS2と係合する係合部41A乃至41Dは、車輪Hによって大部分が覆われることになるため、走行中のアタッチメント7を見る者が、アタッチメント7の存在を意識する率が少なくなる。
【0023】
アタッチメント7では、車軸S1及びS2と係合する4つの係合部41A乃至41Dは、それぞれ、車軸が嵌る溝部47を備えた板状部42と、この板状部42の下側端部と一体に形成されて板状部42と直交する方向に延びるベース44とを備えている。溝部47は、上方向と横方向両側に向かって開口し、上方向に向かって開口する開口部45から車軸が挿入される構造を有している。4つの係合部41A乃至41Dをこのようにすると、車両の模造玩具ITをアタッチメント7上に置く動作をするだけで、2本の車軸S1及びS2をそれぞれ2つの係合部41A及び41B並びに41C及び41Dに簡単に係合させることができる。その結果、アタッチメント7を台座6A上に置いた状態で、車両の模造玩具ITの交換を簡単に行える。
【0024】
本実施の形態で用いるアタッチメント7は、市販の模造玩具ITが、前方車軸S1と後方車軸S2にそれぞれ2つの車輪Hが装着されている四輪車の模造玩具ITを支持するための専用のアタッチメントである。しかもこのアタッチメント7は、1本の車軸の両端に固定される2つの車輪間のトレッド寸法及び2本の車軸間のホイルベース寸法の相違に応じて、4つの係合部41A乃至41Dの位置関係を変更できるように構成されている。 具体的には、アッタチメント7は、第1の構造部材49と、第2の構造部材51と調整可能連結機構53とを備えている。第1の構造部材49は、前方車軸S1[図2(E])の、2つの車輪Hと隣接する両端部分と係合する2つの係合部41A及び41Bと、第1の支持体55と、2つの係合部41A及び41B間の寸法を調整可能な機能を持って2つの係合部41A及び41Bを第1の支持体55に支持させる2つの係合部支持機構57A及び57B[図2(C)及び図3(A)]とを備えている。
【0025】
また第2の構造部材51は、後方車軸S2[図2(E)]の、2つの車輪と隣接する両端部分と係合する2つの係合部41C及び41Dと、第2の支持体59と、2つの係合部41C及び41D間の寸法を調整可能に2つの係合部41C及び41Dを第2の支持体59に支持させる2つの係合部支持機構57C及び57D[図2(C)及び図3(A)]とを備えている。そして調整可能連結機構53は、第1の構造部材49と第2の構造部材51とを、両者間の距離を調整可能な機能を持って連結するように構成されている。このアタッチメント7では、係合部支持機構57A乃至57Dの調整機能により、2つの係合部41A及び41B間と2つの係合部41C及び41D間の寸法(トレッド寸法)を調整することができる。また調整可能連結機構53により第1の構造部材49及び第2の構造部材51間の寸法(ホイルベース寸法)を調整することができる。係合部支持機構57A乃至57Dの構造は任意である。
【0026】
図3に示すように、本実施の形態では、係合部支持機構57A乃至57Dとして4つのリンクが4つの節J1乃至J4により連結された四節平行リンク機構を用いている。その結果、2つの係合部41A及び41Bまたは2つの係合部41C及び41Dをトラック部材3の表面に沿ってスライドさせる動作を行うことにより、2つの係合部間の位置調整(トレッド寸法調整)を簡単に行うことができる。また本実施の形態で用いる四節平行リンク機構では、図3(A)に代表して符号を付すように、四節平行リンク機構の第1及び第2の節J1及びJ2をベース44に設け、四節平行リンク機構の第3及び第4の節J3及びJ4を支持体55または59に設ける。そして2本のリンクL1及びL2でベース44を支持するため、係合部支持機構57A乃至57Dの機械的強度を高めることができる。
【0027】
また図4に示すように、このアタッチメント7の調整可能連結機構53は、細長いフレーム63を備えている。そしてこのフレーム63の一端に第1の構造部材49の第1の支持体55が固定され、第2の構造部材51の第2の支持体59がフレーム63にスライド可能に装着されている。このような構造の調整可能連結機構53を用いると、図4(A)乃至(C)に示すように、フレーム63に沿った第2の支持体59のスライド動作により、第1の構造部材49と第2の構造部材51との間の寸法(ホイールベース寸法)を簡単に調整することができる。またフレーム63が存在するため、機械的強度も確保することができる。
【0028】
さらに上記実施の形態で用いるアタッチメント7の構造は、四輪車の模造玩具を保持するための専用の構造である。アタッチメントの構造は、支持する模造玩具の形状または構造に応じて適宜に定めればよい。また自走台車の構造も上記実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
また上記実施の形態においては、アタッチメント7を自走台車5の台座6Aに交換可能に固定している。この固定は、フレーム63の両端にフレーム63と直交して台座6A側に延びるフック部をそれぞれもうけ、また台座6Aにこれらのフックと係合する被係合部を設けて、フック部と被係合部とを取り外し可能に係合させる係合構造を採用することにより実現できる。その他の取り外し可能な係合構造を採用してもよいのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の走行玩具システムの実施の形態の一例の構成を示す図である。
【図2】(A)はアタッチメントを備えた走行台車を正面側から見た斜視図であり、(B)はアタッチメントを備えた走行台車を背面側から見た斜視図であり、(C)はアタッチメントを備えた走行台車の平面図であり、(D)は走行台車の底面図であり、(E)はアタッチメントに四輪車の模造玩具を乗せた状態の走行台車の側面図であり、(F)はアタッチメントを備えた走行台車5の背面図である。
【図3】(A)乃至(E)は、4つの係合部支持機構を用いて、4つの係合部の位置関係を変更する場合の複数のバリエーションを示す図である。
【図4】(A)乃至(C)は、調整可能連結機構の動きを示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 走行玩具システム
3 トラック部材
5 走行台車
7 アタッチメント
9 案内用溝部
11,13 給電用レール部材
15 駆動装置
17 スロットル
21 自走台車
41A乃至41D 係合部
49 第1の構造部材
51 第2の構造部材
53 調整可能連結機構
55 第1の支持体
57A乃至57D 係合部支持機構
59 第2の支持体
63 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック部材と、
駆動源を備えて前記トラック部材上を自走する自走台車とを備え、
前記自走台車は、改造が施されていない市販の模造玩具と部分的に係合する複数の係合部を有して前記市販の模造玩具を支持するアタッチメントを台座上に備え、前記アタッチメントが前記市販の模造玩具の寸法に応じて前記複数の係合部の位置関係を変更し得るように構成されていることを特徴とする走行玩具システム。
【請求項2】
前記自走台車の外装ケースは、前記トラック部材の表面の色と同一または近似した色を有している請求項1に記載の走行玩具システム。
【請求項3】
前記市販の模造玩具は、複数本の車軸にそれぞれ1以上の車輪が装着されている車両の模造玩具であり、
前記アタッチメントの前記複数の係合部は、前記複数本の車軸とそれぞれ係合するように構成されている請求項1に記載の走行玩具システム。
【請求項4】
前記複数の係合部は、それぞれ上方向と横方向両側に向かって開口し、前記上方向に向かって開口する開口部から前記車軸が挿入される溝部を備えている請求項3に記載の走行玩具システム。
【請求項5】
前記市販の模造玩具は、前方車軸と後方車軸にそれぞれ2つの車輪が装着されている四輪車の模造玩具であり、
前記アタッチメントは、1本の前記車軸の両端に固定される2つの車輪間のトレッド寸法及び前記前方車軸と前記後方車軸との車軸間のホイルベース寸法の相違に応じて前記複数の係合部の位置関係を変更し得るように構成されている請求項4に記載の走行玩具システム。
【請求項6】
前記アタッチメントは、
前記前方車軸の前記2つの車輪と隣接する両端部分と係合する2つの前記係合部と、第1の支持体と、前記2つの前記係合部間の寸法を調整可能にする機能を有して前記2つの係合部を前記第1の支持体に支持させる2つの係合部支持機構とを備えた第1の構造部材と、
前記後方車軸の前記2つの車輪と隣接する両端部分と係合する2つの前記係合部と、第2の支持体と、前記2つの前記係合部間の寸法を調整可能にする機能を有して前記2つの係合部を前記第2の支持体に支持させる2つの係合部支持機構とを備えた第2の構造部材と、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを、両者間の距離を調整可能に連結する機能を有する調整可能連結機構とを備えている請求項5に記載の走行玩具システム。
【請求項7】
前記係合部支持機構は、四節平行リンク機構である請求項6に記載の走行玩具システム。
【請求項8】
前記調整可能連結機構は、両端が前記台座に固定され且つ主要部が前記台座の表面との間に間隔をあけて配置された細長いフレームを備え、前記フレームに前記第1の支持体及び第2の支持体の一方が固定され、前記第1の支持体及び第2の支持体の他方が前記フレームにスライド可能に装着された構造を有している請求項6に記載の走行玩具システム。
【請求項9】
前記調整可能連結機構は、両端が前記台座に固定され且つ主要部が前記台座の表面との間に間隔をあけて配置された細長いフレームを備え、前記フレームに前記第1の支持体及び第2の支持体がスライド可能に装着された構造を有している請求項6に記載の走行玩具システム。
【請求項10】
前記係合部は前記溝部を備えた板状部と、前記板状部の下側端部と一体に形成されて前記板状部と直交する方向に延びるベースとを備えており、
前記四節平行リンク機構の第1及び第2の節は前記ベースに設けられ、前記四節平行リンク機構の第3及び第4の節は前記支持体に設けられ、
前記走行台車の前記台座の前記表面と対向する前記ベースの裏面及び前記支持体の裏面には、それぞれ前記表面上をスライドする1以上の凸部が形成されている請求項7または8に記載の走行玩具システム。
【請求項11】
前記アタッチメントは、前記走行台車の前記台座に着脱可能に固定されている請求項1に記載の走行玩具システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−289747(P2008−289747A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139776(P2007−139776)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】