説明

走行玩具システム

【課題】スピード感あるレースなどの走行を行うにあたり、比較的自由な走行を楽しむことが可能な走行玩具システムを提供する。
【解決手段】走行玩具システム1は、複数のゲート10と、当該複数のゲート10を通過走行する走行玩具20とからなる。複数のゲート10は、それぞれ走行玩具20に対して走行信号を送信する送信器11を有している。走行玩具20は、送信器11からの走行信号を受信する受信器21と、受信器21にて走行信号を左側から受信した場合に左折動作を選択し、受信器21にて走行信号を右側から受信した場合に右折動作を選択し、且つ、受信器21にて走行信号を前方から受信した場合に直進動作を選択する選択部22aと、選択部22aにより選択された動作による走行を制御する走行制御部22bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信器から赤外線信号を受信して走行する走行玩具システムが知られている(特許文献1参照)。この走行玩具システムは、赤外線信号の非受信時に自転動作すると共に、赤外線信号の受信時には直進動作する構成となっている。これにより、走行玩具システムは徐々に送信器側に近づくように走行可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−79283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の走行玩具システムでは、赤外線信号の非受信時に自転する構成となっているため、ジグザグ等に進むこととなり、このような走行玩具ではスピード感あるレースなどの走行を楽しむことができない。また、従来のミニ四駆などの走行玩具においてレースなどを楽しむ場合、走行玩具が走行するための走行レーンが設置されるため、走行玩具を走行レーン上に乗せることにより、レースを楽しむことができる。しかし、走行玩具が走行レーン上しか走行できないことから、比較的自由な走行を楽しむことができない。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、スピード感あるレースなどの走行を行うにあたり、比較的自由な走行を楽しむことが可能な走行玩具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る走行玩具システムは、複数のゲートと、当該複数のゲートを通過走行する走行玩具とからなる走行玩具システムであって、複数のゲートは、それぞれ走行玩具に対して走行信号を送信する送信器を有し、走行玩具は、送信器からの走行信号を受信する受信器と、受信器にて送信器からの走行信号を左側から受信した場合に左折動作を選択し、受信器にて送信器からの走行信号を右側から受信した場合に右折動作を選択し、且つ、受信器にて送信器からの走行信号を前方から受信した場合に直進動作を選択する選択手段と、選択手段により選択された動作による走行を制御する走行制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、選択手段は、受信器にて送信器からの走行信号を受信できない場合、左折又は右折動作を選択することが好ましい。
【0008】
また、送信器は、複数のゲート毎に異なる制御信号を送信し、走行玩具は、受信した制御信号に応じて実行する動作を記憶した記憶手段を有し、走行制御手段は、送信器からの制御信号に対応する動作を記憶手段から読み出して、読み出した動作を右折動作、左折動作若しくは直進動作に追加して、又は、読み出した動作を右折動作、左折動作若しくは直進動作に優先して実行させることが好ましい。
【0009】
また、記憶手段に記憶された制御信号に応じて実行する動作の記憶内容を更新可能な書換手段をさらに備え、書換手段は、受信器にて送信器からの走行信号を前方から受信した場合の直進動作時における直進性及び速度、受信器にて送信器からの走行信号を右側又は左側から受信した場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度、並びに、受信器にて送信器からの走行信号を受信できない場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度の少なくとも1つを更新可能に構成されていることが好ましい。
【0010】
また、受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された走行信号を受信すると共に走行玩具本体の前方左右にそれぞれ1つずつ設けられた2つの受信センサと、2つの受信センサを隔てる板部と、を有し、選択手段は、2つの受信センサのうち左側センサのみで走行信号を受信した場合、左折動作を選択し、2つの受信センサのうち右側センサのみで走行信号を受信した場合、右折動作を選択し、2つの受信センサの双方で走行信号を受信した場合、直進動作を選択することが好ましい。
【0011】
また、送信器は、第1信号を走行信号の1つとして送信する第1送信部と、第2信号を走行信号の1つとして出力する第2送信部と、第1送信部と第2送信部とを隔てる板部とを有し、受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された同一の信号を受信する受信センサを有し、選択手段は、第1送信部からの第1信号のみを受信した場合、左折動作を選択し、第2信部からの第2信号のみを受信した場合、右折動作を選択し、第1送信部からの第1信号及び第2信部とからの第2信号の双方を受信した場合、直進動作を選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る走行玩具システム及び走行玩具によれば、スピード感あるレースなどの走行を行うにあたり、比較的自由な走行を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る走行玩具システムの構成図である。
【図2】図1に示した送信器から送信される赤外線信号を示す図であり、(a)は赤外線信号の第1の例を示し、(b)は赤外線信号の第2の例を示している。
【図3】図1に示した走行玩具を示す上方概略図である。
【図4】図1に示した走行玩具の内部構成を示す構成図である。
【図5】第1実施形態に係る走行玩具システムによる走行玩具の基本的な走行の様子を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る走行玩具システムによる走行玩具の走行の様子を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る走行玩具システムの走行玩具を示す上方概略図である。
【図8】第2実施形態に係る走行玩具システムを示す図である。
【図9】第2実施形態に係る送信信号を示す図であり、(a)は第1信号を示し、(b)は第2信号を示し、(c)は第1信号と第2信号との重畳信号を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る走行玩具システムの構成図である。図1に示す走行玩具システム1は、複数のゲート10と、走行玩具20とからなっている。ゲート10は、走行玩具20が通過するアーチ状の部材であって、走行玩具20の走行経路を定めるものである。また、ゲート10は、アーチ上部に送信器11を有している。送信器11は、走行玩具20に対して走行信号及び制御信号を送信するものである。走行玩具20は、アーチ状のゲート10の内側を通過走行するものであり、送信器11から受信した信号に基づいてゲート10に向けて走行するものである。なお、ゲート10はアーチ状でなくともよく、上部に送信器11を取付可能であって、走行玩具20が送信器11の下側を走行可能であれば、L字状など他の形状であってもよい。
【0015】
また、ゲート10は、不図示の信号発生部を有している。信号発生部は、走行玩具20に送信する信号を生成するものである。このため、送信器11は、信号発生部によって生成された信号を送信することとなる。また、送信器11は、例えば光ビーコン送信器により構成されており、近赤外線信号を送信する構成となっている。さらに、送信器11は、比較的高い指向性の信号を送信する構成となっており、前方に向けて所定範囲内のみに信号(すなわち赤外線信号)送信する。
【0016】
ここで、図2を参照して送信器11から送信される信号について説明する。図2は、図1に示した送信器11から送信される赤外線信号を示す図である。なお、図2の説明においてゲート10は、16個設置されており、16個のゲート10からそれぞれ赤外線信号が出力されているとする。
【0017】
赤外線信号は、走行信号と制御信号とから構成されている。図2(a)に示すように、まず、送信器11からは第1パルスP1が出力される。この第1パルスP1が走行信号に該当する。また、第1パルスP1が立ち下がってから規定時間taの経過後に、送信器11から制御信号が出力される。本実施形態において制御信号は、ゲート番号を示す信号であって、第2〜第5パルスP2〜P5の有無によって表される。例えば16個のゲート10のうち、2個目のゲート10から出力される制御信号は、図2(a)に示すようになる。すなわち、送信器11からは、第2〜第4パルスP2〜P4が出力されず、第5パルスP5のみが出力される。同様に、16個のゲート10のうち、13個目のゲート10から出力される制御信号は、例えば図2(b)に示すようになる。すなわち、送信器11からは、第2,第3パルスP2,P3が出力され、第4,第5パルスP4,P5が出力されないこととなる。このように、第2〜第4パルスP2〜P4の有無によって送信器11は何個目のゲート10からの制御信号であるかを走行玩具20に通知可能となっている。
【0018】
再度、図1を参照する。走行玩具20は、送信器11からの信号を受けて走行するものであり、概略的に受信器21と、制御部22と、車輪30とを有している。受信器21は、送信器11からの信号を受信するものであり、受信センサ21aと、板部21bとによって構成されている。
【0019】
受信センサ21aは、送信器11から発せられる信号(すなわち赤外線信号)を受信する赤外線センサによって構成されている。この赤外線センサは受信可能範囲が限られており、前方及び前側方から赤外線信号を受信可能に設けられている。図3は、図1に示した走行玩具20を示す上方概略図である。図3に示すように、走行玩具20は、2つの赤外線センサ(受信センサ)21a1,21a2を有している。この2つの赤外線センサ21a1,21a2は、本体前方の左右に1つずつ設けられている。
【0020】
また、板部21bは、左右の赤外線センサ21a1,21a2を隔てるように、両者間に立って設けられている。この板部21bにより、送信器11からの赤外線信号は、送信器11が左側に存在する場合に左側赤外線センサ(左側センサ)21a1のみによって受信され、送信器11が右側に存在する場合に右側赤外線センサ(右側センサ)21a2のみによって受信されることとなる。そして、赤外線信号は、送信器11が前方に存在する場合に、左側赤外線センサ21a1及び右側赤外線センサ21a2の双方に受信されることとなる。
【0021】
図4は、図1に示した走行玩具20の内部構成を示す構成図である。図4に示す制御部22は、送信器11からの走行信号に基づいて、左折動作、右折動作、及び直進動作を実行させると共に、制御信号に基づいて付加的な実行させるものである。この制御部22は、選択部(選択手段)22aと、走行制御部(走行制御手段)22bと、記憶部(記憶手段)22cとを備えている。選択部22aは、左折動作、右折動作、及び直進動作のいずれか1つを選択するものである。具体的に選択部22aは、受信器21にて左側から走行信号が受信された場合に左折動作を選択し、右側から走行信号が受信された場合に右折動作を選択し、前方から走行信号が受信された場合に直進動作を選択する。なお、左折動作とは、角度に拘わらず走行玩具20の前後方向に伸びる直線に対して左方向に走行する動作である。従って、走行玩具20が左前方に走行する場合や、左側にほぼ直角に曲がって走行する場合のいずれについても左折動作の概念に含まれる。右折動作についても左折動作と同様に角度に拘わらず走行玩具20の前後方向に伸びる直線に対して右方向に走行する動作である。
【0022】
ここで、左側から走行信号が送信されると左側赤外線センサ21a1のみによって走行信号が受信される。すなわち、選択部22aは、左側赤外線センサ21a1のみによって走行信号が受信された場合に左折動作を選択することとなる。同様に、右側から走行信号が送信されると右側赤外線センサ21a2のみ走行信号が受信され、選択部22aは、右折動作を選択することとなる。また、前方から走行信号が送信されると2つの赤外線センサ21a1,21a2で走行信号が受信され、選択部22aは、直進動作を選択することとなる。
【0023】
走行制御部22bは、選択部22aによって選択された動作を実行するものであって、舵取制御部22b1と、駆動制御部22b2とを備えている。舵取制御部22b1は、選択部22aによって選択された動作に従って前輪31の舵取りを行うものである。よって、舵取制御部22b1は、選択部22aによって左折動作が選択された場合に前輪31を左折側に傾け、選択部22aによって右折動作が選択された場合に前輪31を右折側に傾けることとなる。また、舵取制御部22b1は、選択部22aによって直進動作が選択された場合に前輪31を真っ直ぐにして走行玩具20が直進するように舵を取ることとなる。
【0024】
駆動制御部22b2は、走行玩具20を駆動させるものである。この駆動制御部22b2は、選択部22aによって左折、右折又は直進動作が選択されて、その旨の信号が走行制御部22bに入力されると、後輪32を駆動させて走行玩具20を走行させる。なお、駆動制御部22b2は、選択部22aからの信号の入力を契機として後輪32を駆動させる場合に限らず、走行玩具20に電源スイッチがあり、電源スイッチがオンされたときに後輪32を駆動させるようにしてもよい。また、図3において舵取制御部22b1及び駆動制御部22b2からの信号は直接車輪30に入力されているが、実際には図示しないモータ等によって舵取り及び駆動が行われることとなる。
【0025】
記憶部22cは、送信器11から送信される制御信号に応じて実行する付加的な動作を記憶したものである。記憶部22cに記憶されている付加的な動作は、例えば、走行時の直進性を示す動作(具体的には、直進動作時にはやや右折気味にゲート10へ進入する動作等)であったり、速度の低下を示す動作であったりする。
【0026】
さらに、走行制御部22bは、受信センサ21aにより制御信号を受信すると、記憶部22cから制御信号に応じた動作を読み出す。そして、走行制御部22bは、読み出した動作を右折動作、左折動作、又は直進動作に追加して実行させる。これにより、走行玩具20は、ゲート10の進入時にやや右折気味に進入させたり、速度を落としたりすることができる。なお、追加して実行させる付加的な動作は、走行に関するものに限らず、例えば走行玩具20が音声出力機能を有する場合に丁度1周毎に周回数を走行玩具20から音声出力させる動作などであってもよい。
【0027】
また、本実施形態において走行制御部22bは、記憶部22cから読み出した付加的な動作を右折動作、左折動作、又は直進動作に追加して実行させるが、これに限らず、右折動作、左折動作、又は直進動作に優先する優先動作を実行させるようにしてもよい。例えば、規定の周回数が終了した走行玩具20をレース中の走行玩具20の邪魔にならない位置に停止させる動作を行わせるなど、記憶部22cから読み出した動作を優先的に実行させてもよい。
【0028】
さらに、本実施形態に係る走行玩具システム1は、書換装置(書換手段)30を備えている。書換装置30は、記憶部22cに記憶された動作の記憶内容を更新可能なものである。ユーザは、書換装置30を走行玩具20の所定箇所に接続し、書換装置30を操作することによって記憶内容を更新することができる。ここで、更新可能な内容としては、受信センサ21aにて走行信号を前方から受信した場合の直進動作時における直進性及び速度、並びに、受信センサ21aにて走行信号を右側又は左側から受信した場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度などである。このような書き換えにより、ユーザは、複数のゲート10の設置箇所によって決まるコース毎に、最適なセッティングを行うことができる。なお、書換装置30は、有線接続によって記憶部22cの記憶内容を書き換える場合に限らず、無線によって記憶内容を書き換えるようになっていてもよい。さらに、記憶内容を赤外線通信やインターネットなどで友人と送受信できることが望ましい。これにより、コースに見合ったセッティングのコツなどを友人と交換等できるからである。
【0029】
また、上記の説明において、選択部22aは、走行信号を受信した場合のみに、右折、左折及び直進動作のいずれかを選択することとなるが、これに限らず、走行信号を受信できない場合に右折動作又は左折動作を選択するようにしてもよい。これにより、走行玩具20を右左折させるためにゲート10を設置する必要がなくなりゲート10の設置数が減少するだけでなく、コースが右回りか左回りかに応じて適切に右左折させることができるからである。
【0030】
次に、第1実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の走行の様子を説明する。図5は、第1実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の基本的な走行の様子を示す図である。
【0031】
まず、走行玩具20が図5に示す位置aに停止しているとする。すなわち、送信器11の左側に位置しているとする。この場合、走行玩具20は左側赤外線センサ21a1によって走行信号を受信するが、右側赤外線センサ21a2については板部21bによって走行信号が遮られて受信できないこととなる。これにより、選択部22aは左折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を左折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は左折動作を実行することとなる。
【0032】
また、走行玩具20が図5に示す位置bに停止しているとする。すなわち、送信器11の右側に位置しているとする。この場合、走行玩具20は右側赤外線センサ21a2によって走行信号を受信するが、左側赤外線センサ21a1については板部21bによって走行信号が遮られて受信できないこととなる。これにより、選択部22aは右折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を右折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は右折動作を実行することとなる。
【0033】
さらに、走行玩具20が図5に示す位置cに停止しているとする。すなわち、送信器11の正面に位置しているとする。この場合、走行玩具20は板部21bによって走行信号が遮られることなく、2つの赤外線センサ21a1,21bによって走行信号を受信する。これにより、選択部22aは直進動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を真っ直ぐにし、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。
【0034】
なお、左折及び右折動作が実行されることにより、走行玩具20の前方に送信器11が位置することとなる。この場合、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。すなわち、走行玩具20は、左折及び右折動作を経て直進動作に移行することとなる。より詳細に説明すると、走行玩具20は、常に左右の赤外線センサ21a1,21bが送信器11からの赤外線信号を受信するように走行することとなり、左側赤外線センサ21a1のみ、又は右側赤外線センサ21a2のみが赤外線信号を受信する領域に位置する場合、双方の赤外線センサ21aが赤外線信号を受信するように車体の方向を変えることとなる。これにより、送信器11に向かってより真っ直ぐに走行することとなり、レースを楽しむうえで適切な走行をすることができる。なお、走行玩具20が左折する際の左折角度や右折する際の右折角度は、制御信号によって調整可能であるが、双方の赤外線センサ21aと板部21bとの取付状態によっても調整可能である。例えば、板部21bを走行玩具20の前方に向けて長くした場合には右左折の角度は大きくなり、短くした場合には右左折の角度は小さくなる。同様に赤外線センサ21aを走行玩具20の後方側に設置した場合には右左折の角度は大きくなり、前方側に設置した場合には右左折の角度は小さくなる。
【0035】
図6は、第1実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の走行の様子を示す図である。走行玩具20は、図5に示した右左折及び直進動作を前提として、制御信号の受信によりコースに見合った付加的な動作を行うこととなる。なお、図6に示す例では、4つのゲート10a〜10dによってコースが設定されているものとする。
【0036】
まず、走行玩具20がスタート位置Aに存在しているとする。この場合、走行玩具20は、第1ゲート10aの第1送信器11aに正対しており、しかも信号送信範囲40aの範囲内に位置している。このため、図5を参照して説明したように、走行玩具20は直進動作を実行する。そして、走行玩具20は、第1ゲート10aを通過する。
【0037】
第1ゲート10aの通過後、走行玩具20は、第2ゲート10bの信号送信範囲40bの範囲外となる。このため、受信器21は走行信号を受信できず、走行玩具20において走行信号を受信できない場合に右折動作を行う旨がプログラムされている場合には、選択部22aは右折を選択する。これにより、走行玩具20は右折動作を実行し、第2送信器11bの信号送信範囲40bの範囲内に進入する。信号送信範囲40bの範囲内に進入すると、走行玩具20は第2送信器11bに正対する。これにより、選択部22aは直進動作を選択し、走行玩具20は直進動作を実行する。
【0038】
さらに、走行玩具20は、第2送信器11bからの制御信号を受信し、直進動作に追加して付加的な動作を実行する。ここでの付加的な動作とは、第2ゲート10bに対してやや右折気味に進入する動作である。なお、この場合において記憶部22cには、直進を開始してからX秒経過後にY度右折側に前輪31を傾けるといった内容が記憶されている。よって、走行玩具20は、第2ゲート10bをやや右折気味に通過することとなる。
【0039】
第2ゲート10bの通過後、走行玩具20は、第3ゲート10cの信号送信範囲40cの範囲外となる。このため、受信器21は走行信号を受信できず、選択部22aは右折を選択する。そして、走行玩具20は右折動作を実行し、第3送信器11cの信号送信範囲40cの範囲内に進入する。また、信号送信範囲40cの範囲内に進入すると、走行玩具20は第3送信器11cに正対する。これにより、選択部22aは直進動作を選択し、走行玩具20は直進動作を実行する。
【0040】
さらに、走行玩具20は、第3送信器11cからの制御信号を受信し、直進動作に追加して付加的な動作を実行する。ここでの付加的な動作とは、第3ゲート10bに対して速度を落として進入する動作である。なお、この場合において記憶部22cには、直進を開始してからX秒経過後に速度をY%減少させるといった内容が記憶されている。よって、走行玩具20は、速度を落とした状態で第3ゲート10cを通過することとなる。
【0041】
第3ゲート10cの通過後、走行玩具20は、第4ゲート10dの信号送信範囲40dの範囲内となる。第3ゲート10dの通過後において走行玩具20は、第4送信器11dからの信号を右側から受信している。このため、選択部22aは右折動作を選択し、走行玩具20は右折動作を実行する。右折動作後、位置Dにおいて走行玩具20は第4送信器11dに正対する。このため、選択部22aは直進動作を選択し、走行玩具20は直進動作を実行する。そして、走行玩具20は第4ゲート10dを通過することとなる。
【0042】
第4ゲート10dの通過後、走行玩具20は、第1ゲート10cの信号送信範囲40aの範囲外となる。このため、受信器21は走行信号を受信できず、選択部22aは右折を選択する。そして、走行玩具20は右折動作を実行し、第1送信器11aの信号送信範囲40aの範囲内に進入する。また、信号送信範囲40aの範囲内に進入すると、走行玩具20は第1送信器11aに正対する。これにより、選択部22aは直進動作を選択し、走行玩具20は直進動作を実行する。
【0043】
以後、上記した動作を繰り返すこととなる。ここで、走行玩具20にはゲート10の周回数をカウントするカウンタを有し、走行玩具20においてコースを何周したかを確認するようになっていてもよい。これにより、走行玩具20が音声出力機能を有する場合、周回数に応じた音声等を出力することができるからである。また、完走後に例えば走行玩具20をコースの邪魔にならない位置に移動させる制御なども実行可能となるからである。なお、周回数をカウントする場合、例えば、最初に入力した制御信号が再度入力された場合に1周をカウントすることとなる。
【0044】
また、書換装置30は、走行玩具20が走行信号を受信した場合の直進動作における直進性及び速度、並びに走行玩具20が走行信号を受信した場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度について、更新可能となっている。しかし、これに限らず、走行信号を受信できない場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度についても書換可能となっていてもよい。これにより、一層ユーザによるカスタマイズが進み、面白味が強調されるからである。
【0045】
なお、上記では走行信号の非受信時に一律に右折(図6では説明していないが左折の場合もあり)を実行しているが、これに限らず、第1ゲート10aからの制御信号によって第1ゲート10aの通過後に右折又は左折動作を実行するようになっていてもよい。例えば記憶部22cに「第1ゲート10aの第1送信器11aから送信される制御信号を受信した後に走行信号を受信できない状態となったとき、Z秒だけ右折(左折)動作を実行する」といった内容が記憶されているとする。この場合、走行玩具20は、第1ゲート10aの通過後、走行信号の非受信時になるとZ秒だけ右折(左折)動作を実行することとなる。このように、制御信号によって走行信号の非受信時に右折又は左折動作を実行させると、右折と左折とが混在した複雑なコースを作成することができる。
【0046】
このようにして、第1実施形態に係る走行玩具システム1によれば、走行玩具20は、ゲート10が有する送信器11からの走行信号を左側から受信した場合に左折動作を選択し、走行信号を右側から受信した場合に右折動作を選択し、且つ、走行信号を前方から受信した場合に直進動作を選択し、選択した動作による走行を制御する。このため、走行玩具20は、ゲート10に対して正対する場合には直進走行し、ゲート10に対してやや左右に向いた状態となっている場合にはゲート10側に向けて右左折することとなる。これにより、複数のゲート10を設置すれば走行玩具20はゲート10に向かって走行し、ゲート10通過後には次のゲート10に向かって走行することとなり、走行レーンが無くともスピード感あるレースを楽しむことが可能となる。従って、スピード感あるレースなどの走行を行うにあたり、比較的自由な走行を楽しむことができる。
【0047】
特に走行玩具20はゲート10の下側(送信器11の下側)を通過走行することからゲート10を並べ置くことにより走行レーンがないにも拘わらず仮想的な走行レーンが設置されることとなる。そして、ゲート10は自由に並べ替え可能であるため、コースの変更が容易であると共に、ゲート10さえあればコースを作成できるため、持ち運びにも優れている。
【0048】
また、受信器21にて送信器11からの走行信号を受信できない場合、左折又は右折動作を選択するため、走行玩具20を右左折させるためにゲート10を設ける必要がなく、ゲート設置数を減らすことができる。
【0049】
また、送信器11は複数のゲート10毎に制御信号を送信し、制御信号に対応する動作を読み出して、読み出した動作を右折動作、左折動作若しくは直進動作に追加して、又は、読み出した動作を右折動作、左折動作若しくは直進動作に優先して実行させる。このため、例えば直進動作であるが、やや右折気味にゲート10に進入する動作を追加させたり、速度を落としてゲート10に進入させる動作を追加させたりすることができる。さらには、走行玩具20が音声出力機能を有する場合に丁度1周毎に周回数を走行玩具20から音声出力させる追加動作を行わせたり、規定の周回数が終了した走行玩具20をレース中の走行玩具20の邪魔にならない位置に停止させる優先動作を行わせたりなど、走行玩具20の動作に一層面白味を持たせることができる。
【0050】
また、制御信号に応じて実行する動作の記憶内容のうち、受信器21にて走行信号を前方から受信した場合の直進動作時における直進性及び速度、受信器21にて走行信号を右側又は左側から受信した場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度、並びに、受信器21にて走行信号を受信できない場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度の少なくとも1つを、更新可能に構成されている。このため、ゲート10の設置状態が変更された場合に、ユーザがゲート10によって決まるコースに応じた走行玩具20の走行内容を調整できることとなり、一層レースを楽しむことができる。
【0051】
また、受信器21は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された走行信号を受信する。このため、送信器11からの走行信号は、後方などから受信されないこととなる。さらに、受信器21は、走行玩具本体の前方左右にそれぞれ1つずつ設けられた2つの受信センサ21aと、2つの受信センサ21aとを隔てる板部21bとを有している。このため、送信器11が前方にある場合には、2つの受信センサ21aにて走行信号を受信できるが、送信器11が左前方又は右前方にある場合には、板部21bによって2つの受信センサ21aのうち一方でしか走行信号を受信できないこととなる。ゆえに、走行玩具20はゲート10が左前方又は右前方にある場合に右左折走行を行うこととなり、右左折走行によって2つの赤外線センサ21a1,21a2で信号を受信するように向きを変更することとなる。また、変更後には2つの赤外線センサ21a1,21a2で信号を受信することから、走行玩具20は直進動作を選択して直進走行を行うこととなる。これにより、走行玩具20は送信器11(ゲート10)に向かって右左折又は直進走行を行うこととなる。従って、ゲート10に向けて適切に走行することができる。
【0052】
また、図3等に示すように、板部21bは走行玩具20の本体の前後方向に伸びるように設置されているため、走行に際して板部21bが左右方向に伸びている場合と比較して板部21bが走行時における抵抗となり難くなっている。これにより、走行玩具20を駆動するモータ等の負荷低減につなげることができる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る走行玩具システム2は、第1実施形態のものと同様であるが、送信器11及び走行玩具20の構成が一部異なっている。
【0054】
図7は、第2実施形態に係る走行玩具システム2の走行玩具20を示す上方概略図である。図7に示すように、第2実施形態に係る走行玩具20は、受信センサ21aとして1つの赤外線センサを有している。なお、この赤外線センサは受信範囲が限られており、前方及び前側方からしか赤外線信号を受信できない。また、図7に示すように、第2実施形態に係る走行玩具20は、第1実施形態で説明した板部21bを有しておらず、美観的に第1実施形態のものよりも優れている。
【0055】
図8は、第2実施形態に係る走行玩具システム2を示す図である。第2実施形態において送信器11は、第1赤外線発光ダイオード(第1送信部)12aと、第2赤外線発光ダイオード(第2送信部)12bと、両者の発光ダイオード12a,12bを隔てる板部13とを有している。
【0056】
第1赤外線発光ダイオード12a及び第2赤外線発光ダイオード12bは、第1実施形態に示したものと同様である。すなわち、第1赤外線発光ダイオード12a及び第2赤外線発光ダイオード12bは、比較的高い指向性の信号を送信する構成となっており、前方に向けて所定範囲内のみに赤外線信号を送信可能となっている。また、板部13は、鉛直方向に伸びた状態でゲート10に取り付けられている。
【0057】
図9は、第2実施形態に係る送信信号を示す図である。第2実施形態において第1赤外線発光ダイオード12aは第1信号を送信し、第2赤外線発光ダイオード12bは第2信号を送信する構成となっている。図9(a)に第1信号のパルス波形を示す。第1信号において、第1赤外線発光ダイオード12aからは、まずスタートパルスPsが出力される。そして、第1赤外線発光ダイオード12aは、スタートパルスPsが立ち下がってから第1時間t1経過後に、第1指示パルスPaを出力する。また、図9(b)に第2信号のパルス波形を示す。第2信号において、第2赤外線発光ダイオード12bはスタートパルスPsを出力し、スタートパルスPsが立ち下がってから第2時間t2経過後に、第2指示パルスPbを出力する。
【0058】
このように、第1赤外線発光ダイオード12aと第2赤外線発光ダイオード12bとは、それぞれ出力する信号が異なっている。なお、制御信号については、図2に示したものと同じであって、ゲート番号を示す信号である。また、第2実施形態において制御信号は、第1指示パルスPaが立ち下がってから第1所定時間tb経過後、及び、第2指示パルスPbが立ち下がってから第2所定時間tc経過後に出力される。
【0059】
また、板部13は、両者の赤外線発光ダイオード12a,12bとの間に位置している。このため、第1信号と第2信号との信号送信範囲を限定することとなる。具体的には、図8に示すように、両者間に板部13が存在することによって、赤外線発光ダイオード12a,12bは、内側についての信号送信範囲がより限定されることとなる。
【0060】
次に、図8を参照して、第2実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の基本的な走行の様子を説明する。まず、第1赤外線発光ダイオード12aと第2赤外線発光ダイオード12bから第1信号及び第2信号がそれぞれ送信される。
【0061】
ここで、走行玩具20が図8に示す位置aに停止しているとする。すなわち、送信器11の左側に位置しているとする。この場合、第2信号は板部13によって遮られ、受信センサ21aは第1信号のみを受信することとなる。これにより、選択部22aは左折動作を選択する。この際、選択部22aは、図9(a)に示したように、スタートパルスPsを受信してから第1時間t1経過後に第1指示パルスPaを受信した場合に、第1信号のみを受信したと判断して左折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を左折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は左折動作を実行することとなる。
【0062】
また、走行玩具20が図8に示す位置bに停止しているとする。すなわち、送信器11の右側に位置しているとする。この場合、第1信号は板部13によって遮られ、受信センサ21aは第2信号のみを受信することとなる。これにより、選択部22aは右折動作を選択する。この際、選択部22aは、図9(b)に示したように、スタートパルスPsを受信してから第2時間t2経過後に第2指示パルスPbを受信した場合に、第2信号のみを受信したと判断して右折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を右折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は右折動作を実行することとなる。
【0063】
さらに、走行玩具20が図8に示す位置cに停止しているとする。すなわち、送信器11の正面に位置しているとする。この場合、第1信号及び第2信号は板部13cによって遮られることなく、受信センサ21aによって受信される。これにより、選択部22aは直進動作を選択する。この際、選択部22aは、図9(c)に示すように、スタートパルスP1を受信してから第1時間t1経過後に第1指示パルスP2を受信し、且つ、スタートパルスP1を受信してから第2時間t2経過後に第2指示パルスP3を受信した場合に、第1信号及び第2信号を受信したと判断して直進動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を真っ直ぐにし、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。
【0064】
なお、第1実施形態と同様に、左折及び右折動作が実行された場合、左折及び右折により、走行玩具20の前方に送信器11が位置することとなる。この場合、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。より詳細に説明すると、走行玩具20は、常に送信器11からの第1信号と第2信号とが重ねあわされた信号(図9(b))を受信するように走行することとなり、第1信号、又は第2信号のみを受信する領域に位置する場合、双方の信号を受信する領域に走行するように車体の方向を変えることとなる。これにより、送信器11に向かってより真っ直ぐに走行することとなり、レースを楽しむうえで適切な走行をすることができる。さらに、ゲート10が複数設置されたときの動作についても第1実施形態と同様である。なお、走行玩具20が左折する際の左折角度や右折する際の右折角度は、制御信号によって調整可能であるが、赤外線発光ダイオード12a,12bと板部13との取付状態によっても調整可能である。例えば、板部13を送信器11の前方に向けて長くした場合には右左折の角度は大きくなり、短くした場合には右左折の角度は小さくなる。同様に赤外線発光ダイオード12a,12bの間の距離を短くした場合には右左折の角度は大きくなり、長くした場合には右左折の角度は小さくなる。
【0065】
このようにして、第2実施形態に係る走行玩具システム2によれば、第1実施形態と同様に、スピード感あるレースなどの走行を行うにあたり、比較的自由な走行を楽しむことができる。
【0066】
すなわち、受信器21は、走行玩具20本体の前方及び前側方から送信された走行信号を受信する。このため、送信器11からの走行信号は後方などから受信されないこととなる。さらに、送信器11は、第1信号を走行信号の1つとして出力する第1赤外線発光ダイオード12aと、第2信号を走行信号の1つとして出力する第2赤外線発光ダイオード12bと、第1赤外線発光ダイオード12aと第2赤外線発光ダイオード12bとを隔てる板部13とを有している。このため、第1信号と第2信号との送信可能範囲が異なることとなり、送信器11が前方にある場合には、受信器21にて第1及び第2信号を受信できるが、送信器11が左側(前左方)又は右側(前右方)にある場合には、受信できる信号が制限されることとなる。ゆえに、走行玩具20は送信器11が左前方又は右前方にある場合に右左折走行を行うこととなり、右左折走行によって第1信号及び第2信号の双方を受信するように向きを変更することとなる。また、変更後には第1信号及び第2信号の双方を受信することから、走行玩具20は直進動作を選択して直進走行を行うこととなる。これにより、走行玩具20は送信器11(ゲート10)に向かって右左折又は直進走行を行うこととなる。従って、ゲート10に向けて適切に走行することができる。また、受信器21を有する走行玩具20側に板部13を有しないため、美観向上に寄与することができる。さらに、走行玩具20側に受信センサ21aが複数必要ないため、コスト減に寄与することができる。
【0067】
さらに、第2実施形態では第1実施形態と同様に、走行玩具20はゲート10の下側(送信器11の下側)を通過走行することからゲート10を並べ置くことにより走行レーンがないにも拘わらず仮想的な走行レーンが設置されることとなる。そして、ゲート10は自由に並べ替え可能であるため、コースの変更が容易であると共に、ゲート10さえあればコースを作成できるため、持ち運びにも優れている。
【0068】
なお、第2実施形態では、第1指示パルスPaが立ち下がってから第2指示パルスPbが出力されるまでの第3時間t3は、第1時間t1と異なっていることが望ましい。走行玩具20側が何らかの障害物によりスタートパルスPsを受信できず、第1指示パルスPa及び第2指示パルスPbのみを受信した場合、第1信号のみを受信したと誤認してしまうことを防止できるためである。すなわち、第3時間t3が第1時間t1と異なっていれば、たとえスタートパルスPsを受信できなくとも、選択部22aは第3時間t3に基づいて直進動作を選択できるからである。
【0069】
以上、本発明に係る走行玩具システムを実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0070】
例えば、上記実施形態において板部13,22bは、黒色部材や低反射部材など、反射率が通常の黒色でない樹脂部材よりも反射率が低減された部材であることが望ましい。これにより、板部13,21bによって赤外線信号が反射して、室内等のガラスや鏡などの反射を経て、予期せぬ赤外線信号の受信が発生してしまう事態を軽減できるからである。
【0071】
また、第2実施形態において第1信号及び第2信号はパルス信号であるが、これに限らず、例えば周波数を異ならせた信号など、他の信号によって構成されていてもよい。また、走行玩具20は、前輪31が従動輪であり後輪32が駆動輪であるが、後輪32が従動輪であり前輪31が駆動輪であってもよい。さらには、前輪31及び後輪32の双方が従動輪及び駆動輪の機能を備えていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において送信器11から送信される信号は赤外線信号であるが、赤外線に限らず、他の種類の信号であってもよい。
【0073】
記憶部22cには、上記した内容以外の記憶内容(例えば速度の増加など)が記憶されていてもよいし、書換装置30は上記した内容に限らず、他の内容を書換可能となっていてもよい。
【0074】
さらに、ゲート10や走行玩具20の構成については上記実施形態の構成に限られるものであってもよい。例えば、ゲート10に複数の送信器11が設けられていてもよいし、受信センサ21aの個数を変更するようにしてもよい。また、走行玩具20は、車両のような形状に限らず人形やキャラクターなど他のものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,2 走行玩具システム
10 ゲート
11 送信器
12a 第1赤外線発光ダイオード(第1送信部)
12b 第2赤外線発光ダイオード(第2送信部)
13 板部
20 走行玩具
21 受信器
21a 受信センサ
21a1 左側赤外線センサ(左側センサ)
21a2 右側赤外線センサ(右側センサ)
21b 板部
22 制御部
22a 選択部(選択手段)
22b 走行制御部(走行制御手段)
22b1 舵取制御部
22b2 駆動制御部
22c 記憶部(記憶手段)
30 書換装置(書換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲートと、当該複数のゲートを通過走行する走行玩具とからなる走行玩具システムであって、
前記複数のゲートは、それぞれ前記走行玩具に対して走行信号を送信する送信器を有し、
前記走行玩具は、前記送信器からの走行信号を受信する受信器と、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を左側から受信した場合に左折動作を選択し、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を右側から受信した場合に右折動作を選択し、且つ、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を前方から受信した場合に直進動作を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された動作による走行を制御する走行制御手段と、を有する
ことを特徴とする走行玩具システム。
【請求項2】
前記選択手段は、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を受信できない場合、左折又は右折動作を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行玩具システム。
【請求項3】
前記送信器は、複数のゲート毎に異なる制御信号を送信し、
前記走行玩具は、受信した制御信号に応じて実行する動作を記憶した記憶手段を有し、前記走行制御手段は、前記送信器からの制御信号に対応する動作を前記記憶手段から読み出して、読み出した動作を右折動作、左折動作若しくは直進動作に追加して、又は、読み出した動作を右折動作、左折動作若しくは直進動作に優先して実行させる
ことを特徴とする請求項2に記載の走行玩具システム。
【請求項4】
前記記憶手段に記憶された制御信号に応じて実行する動作の記憶内容を更新可能な書換手段をさらに備え、
前記書換手段は、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を前方から受信した場合の直進動作時における直進性及び速度、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を右側又は左側から受信した場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度、並びに、前記受信器にて前記送信器からの走行信号を受信できない場合の右左折動作時における右左折の角度及び速度の少なくとも1つを更新可能に構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の走行玩具システム。
【請求項5】
前記受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された走行信号を受信すると共に走行玩具本体の前方左右にそれぞれ1つずつ設けられた2つの受信センサと、前記2つの受信センサを隔てる板部と、を有し、
前記選択手段は、前記2つの受信センサのうち左側センサのみで前記走行信号を受信した場合、左折動作を選択し、前記2つの受信センサのうち右側センサのみで前記走行信号を受信した場合、右折動作を選択し、前記2つの受信センサの双方で前記走行信号を受信した場合、直進動作を選択する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の走行玩具システム。
【請求項6】
前記送信器は、第1信号を走行信号の1つとして送信する第1送信部と、第2信号を走行信号の1つとして出力する第2送信部と、前記第1送信部と前記第2送信部とを隔てる板部とを有し、
前記受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された同一の信号を受信する受信センサを有し、
前記選択手段は、前記第1送信部からの第1信号のみを受信した場合、左折動作を選択し、前記第2信部からの第2信号のみを受信した場合、右折動作を選択し、前記第1送信部からの第1信号及び前記第2信部とからの第2信号の双方を受信した場合、直進動作を選択する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の走行玩具システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−194089(P2010−194089A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42119(P2009−42119)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】