説明

走行玩具

【課題】 弾丸発射走行玩具では、走行路面の傾斜などにより発射装置への弾丸の装填が確実に行えないこともあり、送信装置の発射ボタンを操作しても不発となることもあった。
【解決手段】 弾丸発射装置を搭載した弾丸発射走行玩具であって、この弾丸発射装置は、砲身150の後端に弾発射機構171や発射駆動機構201及び弾倉221を有し、弾倉221内には、ピストンカムやシリンダーカムと連動して回転する駆動プーリー223、及び、この駆動プーリー223と回転自在の展張プーリー225とに掛け渡された搬送ベルト227が組み込まれ、弾丸発射モータの駆動時に搬送ベルト227の駆動によって弾丸を砲身150に設けた弾丸の装填口157に移動させることにより、砲身150内へ弾丸を確実に装填できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロールによる走行玩具に関し、遠隔操作により弾丸を発射可能な弾丸発射装置を搭載した走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、走行玩具には、ラジオコントロール装置を搭載して遠隔操作を可能とする種々の走行玩具が提供されている。
そして又、BB弾(Ball Bullet)と呼ばれる直径が数ミリメートル程度の球形であってプラスチック製などの弾丸を、圧縮空気や高圧ガスで発射させることのできるラジオコントロール式戦車の模型も提供されている(例えば特許文献1)。
【0003】
このBB弾などの弾丸を発射する弾丸発射装置を組み込んだラジオコントロール式の走行玩具では、通常、遊戯者から離れた位置で弾丸を発射させるため、弾丸の補充回数が少なくても数多くの弾丸を発射できるように弾丸発射装置と共に弾倉を備える走行玩具とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3522183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BB弾などの弾丸を発射可能な走行玩具は、弾倉に収納した弾丸を弾倉底部の傾斜により砲身の装填口に移動させて発射装置への弾丸の装填を行うも、弾丸発射走行玩具を走行させたとき、走行路面の傾斜などにより弾倉底部の傾斜も変化し、発射装置への弾丸の装填が確実に行えなくなるときもあり、ラジオコントローラーなどの送信装置の発射ボタンを操作しても不発となることもあった。
【0006】
本発明は、この様な欠点を排除し、弾倉内に弾丸が入っているときには、確実に弾丸を発射装置へ装填することができる弾丸発射可能な走行玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件出願に係る発明は、球形状の弾丸を発射する弾丸発射装置を搭載した走行玩具であって、この弾丸発射装置は、砲身の後端にピストン及びシリンダーを有する弾発射機構と、このピストン及びシリンダーを駆動するための弾丸発射モータ及びピストンカムやシリンダーカムを有する発射駆動機構と、複数の弾丸を収納する弾倉とを有し、弾倉の内部には、ピストンカムやシリンダーカムと連動して回転する駆動プーリー、及び、この駆動プーリーと回転自在の展張プーリーとに掛け渡された搬送ベルトが組み込まれ、弾丸発射モータの駆動時に搬送ベルトの駆動によって弾丸の一部を砲身に設けられた弾丸の装填口に移動させるものである。
【0008】
又、前記弾倉は、その前端を砲身後端近傍の装填口に合せて配置され、弾倉の外壁の内側に外壁と搬送ベルトにより両側が規制された搬送路が形成され、搬送路は、弾丸の直径に略等しい幅及び高さとされて弾倉内の前端近傍から外壁に沿って複数個の弾丸を整列させる長さとされるものである。
【0009】
そして、弾丸の装填口は、砲身の側方上方に開口されることが好ましい。
更に、前記駆動プーリーは、ピストンカム及びシリンダーカムと同軸としてカムシャフトに固定されることが好ましいものである。
【0010】
更に、弾丸発射装置は、砲身の後端近くに左右に突出する砲身回動軸を有すると共に、弾発射機構の後方に砲身回動モータ及び回動クランクを有する砲身回動機構を備えることにより、砲身回動モータを駆動して玩具本体に対して砲身を上下に回動可能とするものである。
【0011】
即ち、本件出願に係る発明は、送信機からの遠隔操作信号に応答して砲身から球形状弾丸を発射する走行玩具であって、前記走行玩具に搭載された砲身と、前記砲身の後部に配置され装填された弾丸を空気圧によって前記砲身に向かって急激に押し出す弾発射機構と、前記砲身と前記弾発射機構との間に配置された弾丸装填口と、前記弾丸装填口に弾丸を供給する弾丸供給機構と、を備えてなり、前記弾丸供給機構は、弾丸の直径に略等しい幅であって弾丸の複数個を並べることのできる長さの搬送路と、前記搬送路に順次弾丸を供する位置に配置された弾丸供給部と、前記搬送路に沿って配置された搬送ベルトであって、前記弾丸供給部から前記弾丸装填口の方向に移動するように駆動され、前記搬送ベルトの移動によって前記搬送路に供給された弾丸を前記弾丸装填口の方向に移動させるように構成された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの移動によって前記搬送路に沿って移動してきた弾丸を1個ずつ前記弾丸装填口に供給する機構と、を備えてなる走行玩具とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、BB弾発射装置などの弾丸発射装置を搭載した弾丸発射走行玩具であり、弾丸発射装置は弾発射機構や発射駆動機構と共に弾倉を有して多くの弾丸を搭載することができ、弾倉には発射駆動機構のカムと連動する駆動プーリーや搬送ベルトを有して弾倉内の弾丸を砲身の装填口に送ることができるため、この弾丸発射走行玩具に傾斜地などを走行させて玩具本体や弾倉が種々の方向に傾いた場合であっても、弾倉内の弾丸を搬送ベルトによって確実に装填口に押し込んで砲身の内部に装填することができる。
【0013】
また、搬送ベルトと弾倉の外壁との間に形成した搬送路の幅及び高さを弾丸の直径と略等しく成形すれば、搬送路には弾丸を一列に整列させて配置することができ、搬送ベルトを駆動したときに弾丸の1個ずつを確実に且つ滑らかに装填口から砲身内に装填することができる。
【0014】
そして、砲身の側方上方に開口する装填口は、搬送路から搬送ベルトにより押し出される弾丸を装填口が閉じているときは停止させておき、装填口が開いたときは押圧されている弾丸を確実に砲身内に導くことができる。
【0015】
更に、駆動プーリーをピストンカム及びシリンダーカムと同軸としてカムシャフトに固定すれば、駆動プーリーの配置固定を単純として弾丸発射装置の組立製造を容易としつつ、走行時に確実にBB弾などの弾丸を砲身に送り込むことができる。
【0016】
また、弾丸発射装置として、弾発射機構の後方に砲身回動機構を配置して砲身の上下移動を可能とすれば、走行玩具の向きのみでなく、砲身を上下させて弾丸の発射方向に変化をもたせてより楽しく遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の一例を示す外観側面図。
【図2】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の全体構成を模式的に示す側面断面図。
【図3】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の砲塔部を模式的に示す部分断面斜視図。
【図4】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具のBB弾発射機構の概要を示す下方斜視図。
【図5】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の弾発射機構の要部を模式的に示す部分断面斜視図。
【図6】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の弾倉内部を示す部分断面斜視図。
【図7】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の発射駆動機構と弾倉とを模式的に示す分解斜視図。
【図8】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具に用いるストッパーを示す斜視図。
【図9】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具の弾倉の一部内部を示す部分断面斜視図。
【図10】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具における充填口が閉じた初期状態の弾丸発射動作を示す模式図。
【図11】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具における充填口が開いた中間状態の弾丸発射動作を示す模式図。
【図12】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具における弾丸が装填された中間状態の弾丸発射動作を示す模式図。
【図13】本願発明に係る弾丸発射可能な走行玩具における弾丸発射直前の弾丸発射動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る弾丸発射可能な弾丸発射走行玩具の最良の形態は、図1に示すように、一般にキャタピラ(登録商標)と呼ばれる無限軌道の走行装置を備えた戦車形式の走行玩具100であって、左右に旋回可能な砲塔部140を有し、砲塔部140には、図2及び図3に示すように上下に回動可能な砲身150を前方に突出させた弾丸発射装置を搭載する弾発射走行玩具100である。
【0019】
この弾丸発射装置は、図4に示すように砲身150の後端に弾発射機構171や発射駆動機構201及び弾倉221を有し、図5に示すように、弾発射機構171はピストン175及びシリンダー183やピストンスプリング179及びシリンダースプリング189を有し、発射駆動機構201はその本体部203の内部に図示しない弾丸発射モータ及びこのモータの回転速度を減速する減速歯車列を内蔵し、この減速歯車列により一回に一回転だけ回転してピストン175を後退させるピストンカム215とシリンダー183を後退させるシリンダーカム211とをカム室205に内蔵し、図3に示したように複数個のBB弾を収納する弾倉221を砲塔部140の内部に有すると共に、弾発射機構171の後方には砲身150を上下に回動させる砲身回動機構161を備えて砲身回動機構161に組み込んだ砲身回動モータにより回動クランク165を回転させて弾発射機構171の後端を上下に移動させることができるものである。
【0020】
そして、弾倉221の内部には、図6に示すように、カムシャフト207に固定されることによりピストンカム215及びシリンダーカム211と連動して回転する駆動プーリー223と自由に回転するプーリーである展張プーリー225とを備えて駆動プーリー223と展張プーリー225との間に搬送ベルト227を掛け渡し、この弾倉221の前端を砲身150の後端近傍に形成される弾丸の装填口157(図5及び図21参照)の位置にあわせると共に、弾倉221の外壁231の内側に沿って搬送ベルト227を配置することにより弾丸の直径に略等しい幅及び高さであって弾丸の複数個を整列させることのできる搬送路247を弾倉221の前端から弾倉221の側方に沿って形成しており、この搬送路247に位置する弾丸を搬送ベルト227の駆動によって砲身150の側方上方に形成された装填口157に送り込むことができるようにしているものである。
【実施例1】
【0021】
本発明に係る弾丸発射可能な走行玩具は、図1に示すように、戦車の形状を模した遠隔操作可能な走行玩具100である。
この走行玩具100は、砲身150を備えた砲塔部140を搭載する車体であって、後方に駆動輪124を有して転輪126などに履帯128を掛け渡した走行装置を備えた玩具本体110を有するものであり、この玩具本体110には、図2に示すように、電池112及び電源スイッチ114と合せて制御部116や走行駆動装置121並びに砲塔旋回装置131が組み込まれるものである。
【0022】
この走行駆動装置121は、右走行駆動モータ及び左走行駆動モータを内蔵し、右走行駆動モータの回転速度を減速する減速歯車列、及び、左走行駆動モータの回転速度を減速する減速歯車列も走行駆動装置121に内蔵し、左走行駆動モータ用減速歯車列により回転される左駆動軸123を車体の左側方に突出させてこの左駆動軸123の先端には図1に示した左駆動輪124を玩具本体110である車体の左後方に有し、右走行駆動モータ用減速歯車列により回転される右駆動軸を車体の右側方に突出させてこの右駆動軸の先端には図示されない右駆動輪を車体の後方右側に有しているものである。
【0023】
そして、玩具本体110の左側下方には図1に示したように複数の車体を支える左転輪126を有し、この左転輪126及び左駆動輪124などの車輪には左履帯128が掛け渡され、更に玩具本体110の右側下方にも車体を支える複数の右転輪127を有し、右転輪127及び右駆動輪などの車輪にも右履帯129が掛け渡されて車体の左右に各々キャタピラ(登録商標)を備えた無限軌道の走行装置が形成されるものである。
【0024】
又、砲塔部140は、基台リング141を用いて玩具本体110に対して左右に旋回可能に搭載されるものであり、基台リング141の外周に形成された歯部を砲塔旋回装置131の駆動歯車133と噛合わせるものであり、砲塔旋回装置131は、砲塔旋回装置131に組み込まれた砲塔旋回モータの回転速度を減速する減速歯車列を介して駆動歯車133を回転させ、この駆動歯車133の一部を砲塔旋回装置131の外部に突出させて基台リング141の歯部と噛合させることにより、駆動歯車133によって砲塔部140を回転させるものである。
【0025】
更に、制御部116は、受信機及び駆動制御手段を構成する集積回路などにより形成され、送信機であるラジオコントローラーからの制御信号を受信機で受信及び復調し、復調された制御信号に基づき、駆動制御手段から走行駆動装置121の右走行駆動モータや左走行駆動モータに停止及び正逆回転や回転速度を制御する走行制御信号を出力し、又、砲塔旋回装置131の砲塔旋回モータに停止及び正逆回転を制御する旋回制御信号を出力し、更に、後述する砲身回動機構161の砲身回動モータに停止及び正逆回転を制御する駆動制御信号を出力し、弾丸を発射する発射駆動機構201に発射制御信号を出力するものである。
【0026】
そして、砲塔部140には、図2及び図3に示すように、砲塔部140から前方に突出する砲身150と、この砲身150の後端に位置する弾発射機構171及び発射駆動機構201や弾倉221と、砲身150を上下に駆動する砲身回動機構161を有するものである。
【0027】
この砲身回動機構161は、砲身駆動モータ及び砲身駆動モータの回転速度を減速する減速歯車列が組み込まれ、減速歯車列を介して回動クランク165を鉛直方向に回転させるものであり、弾発射機構171から後方に延設された揺動リンク191の長穴195に回動クランク165に設けたクランクピン167を係合させ、回動クランク165の回転により揺動リンク191を上下に移動させて砲身回動軸151を中心に砲身150や弾発射機構171などを上下方向に回動させるものである。
【0028】
尚、砲身150は、砲身150から左右に突出する砲身回動軸151を曲率中心として湾曲させた可動板153を貫通させて砲塔部140の前方に突出させ、可動板153により砲塔部140の前面に設けた開口を塞ぐことにより砲身150を砲塔部140に対して上下に回動可能としつつ、砲身150の上下位置などの周縁部に砲塔内が見える間隙を生じさせないようにしている。
【0029】
更に、図3及び図4に示すように、砲身150の後方に配置される弾発射機構171の下方には発射駆動機構201が設けられ、弾発射機構171の側方上部に弾倉221が設けられ、発射駆動機構201の本体部203と弾倉221との間に発射駆動機構201のカム室205が設けられるものである。
【0030】
この発射駆動機構201には、その本体部203に図示しない弾丸発射モータと減速歯車列が内蔵され、この減速歯車列により弾丸発射モータの回転速度を減速してカム室205に収納されるピストンカム215及びシリンダーカム211を回転させるものである。
【0031】
この、ピストンカム215及びシリンダーカム211は、図5に示すように、一本のカムシャフト207に同軸として固定され、制御部116の駆動制御手段からの発射制御信号により弾丸発射モータはこのカムシャフト207を一回転だけ回転させるものである。
【0032】
即ち、このカムシャフト207は回転可能に本体部203に取り付けられ、カム室205を貫通して図6に示すように弾倉221の内部にその上端を突出させ、カム室205に収納されるピストンカム215及びシリンダーカム211を本体部203に内蔵する弾丸発射モータにより回転させると共に、後述する弾倉221の内部に設ける駆動プーリー223も回転させるものである。
【0033】
又、弾発射機構171は、図5に示したように、砲身150の後端に接続される外ケース173の内側に円筒状のシリンダー183を有し、シリンダー183の内部に円柱状のピストン175を有するものである。
【0034】
このシリンダー183及びピストン175の中心軸線は、砲身150の中心軸線と一致しているものであり、シリンダー183の先端には、砲身150の後端近傍に形成される装填室155に挿入される弾丸装填筒185を有してシリンダー183の全体が中心軸線に沿って前後に移動可能とされているものである。
【0035】
尚、シリンダー183の前後移動は、弾丸装填筒185を砲身150の内部に形成された装填室155の内部で前後に移動させる短い距離とされ、弾丸装填筒185を後退させたときに装填室155の後部側方に形成された弾丸の装填口157を開口するものである。
【0036】
また、ピストン175もシリンダー183内において中心軸線に沿って前後移動が可能とされるものであり、このピストン175の前後移動の距離は、シリンダー183の移動距離よりも大きくされている。
【0037】
そして、シリンダー183は、外ケース173の外側前端に設けられたシリンダースプリング189により前方に付勢されており、シリンダー183が前方に位置するときはシリンダー183の前端を外ケース173の前端内側に当接し、弾丸装填筒185を装填室155の前端近くに位置させて装填口157を塞ぐものであり、装填室155の前端に設けられた弾丸の直径よりも僅かに小さな直径とされる弾性リング159と弾丸装填筒185の前端との間に1個の弾丸を保持するものである。
【0038】
更に、このシリンダー183は、シリンダーカム211の上面外縁に設けられたシリンダー駆動突起213と係合可能な係合突起187をシリンダー183の外周面から突出させるように有しているものである(図21乃至図23参照)。
【0039】
また、ピストン175は、外ケース173の内側にしてピストン175の後方に配置したピストンスプリング179によりシリンダー183内で前方に付勢されており、ピストン175の後端から側方に突出してシリンダー183の外周に沿って配置される駆動ラック177を有し、駆動ラック177の歯部がピストンカム215のピストン駆動歯部217と噛合い可能とされるものである。
【0040】
このピストンカム215は、図5などに示したように、円板状のピストンカム215の外周において約半周だけ外方に突出するピストン駆動歯部217を有し、このピストン駆動歯部217を回転により駆動ラック177の歯部と噛合させたとき、ピストン175を後退させるものである。
【0041】
そして、弾倉221は、弾発射機構171の側方上方で弾発射機構171に沿って設けられ、図6及び図7に示すように、内部に駆動プーリー223及び回転自在とされた展張プーリー225を有し、この駆動プーリー223及び展張プーリー225により展張される搬送ベルト227を有して弾倉221の前端を砲身150の装填口157に合せているものである。
【0042】
この駆動プーリー223は、シリンダーカム211やピストンカム215が固定されているカムシャフト207に固定されてカムシャフト207の回転によりシリンダーカム211やピストンカム215と共に回転するものであって、この駆動プーリー223の直径はBB弾などの弾丸の直径よりも大きい直径とし、この駆動プーリー223が1回転することによって搬送ベルト227を弾丸の直径の4倍から5倍程度の距離だけ移動させるものである。
【0043】
そして、この駆動プーリー223と展張プーリー225との間に展張される搬送ベルト227と弾倉221の外壁231との間に、弾丸の直径に略等しい幅であって弾丸の複数個を並べることのできる長さの搬送路247を弾倉221の内側において弾倉221の前端から弾倉221の外壁231に沿わせるように形成しているものである。
【0044】
尚、この搬送路247は高さを弾丸の直径よりも僅かに大きくして弾丸を搬送路247に一列に整列させて並べることができるようにしているものである。
【0045】
そして、この搬送ベルト227は、外周面に移動方向と直交する方向に長さを有する帯状として形成される舌片部229を複数備えるものであり、この舌片部229により搬送路247に送り込まれた弾丸を前方に送るものである。
【0046】
更に、この駆動プーリー223と展張プーリー225とに掛け渡される搬送ベルト227と弾倉221の外壁231との間に形成された搬送路247の前端から砲身150の装填口157に向けて弾倉221の底部に傾斜する凹溝による導入路249を設けて搬送路247から搬送ベルト227により搬送された弾丸を砲身150の側方に設けた装填口157に装填可能とし、この導入路249の上方には、弾性部材により形成したストッパー235を設けているものである。
【0047】
このストッパー235は、図8に示しように、平板状の本体の一辺両端から下方に延設される2本の脚部237を有し、この両脚部237の先端内側で導入路249に送られた弾丸の両側上方を装填口157の直近で押さえ、搬送路247から装填口157に向けて降下する導入路249を通過する弾丸を上方から押えるものである。
【0048】
従って、このストッパー235は、搬送ベルト227の舌片部229により搬送路247から押し出されてくる弾丸を導入路249でも一列に整列させると共に、導入路249においてストッパー235の脚部237よりも装填口157の側に空間的余裕があるときは舌片部229の押圧力によって弾丸の1個ずつを両脚部237の中間下方を通過させ、整列さされた複数の弾丸の内から1個ずつの弾丸を砲身150の側方上方に形成した装填口157へ円滑に送るようにするものである。
【0049】
そして、弾倉221の内部後方には傾斜部245を有すると共に、図9に示すように弾倉221の上部に筒状の供給筒241を有して供給筒241の上端を開口した供給口243とし、供給筒241の内部に収納する弾丸を傾斜部245により駆動プーリー223及び搬送ベルト227の方向へ、ひいては搬送路247に弾丸を送り込むようにしている。
【0050】
尚、砲塔部140には、図2及び図3に示したように、弾倉221の供給筒241よりも内径を大きくした保護筒147を砲塔部140の天板143から垂下させ、砲身150の上下動に合せて弾倉221や供給筒241が移動することを許容しつつ、供給筒241の内部の弾丸が弾丸発射走行玩具100の走行時に供給筒241からこぼれようとしても保護筒147により供給筒241の内部に戻されて弾丸が砲塔部140の内部に散乱しないようにしており、保護筒147の上端には戦車のハッチを模した蓋板145を設けているものである。
【0051】
従って、この弾丸発射走行玩具100は、走行駆動装置121を制御部116により駆動制御して走行玩具100を走行させ、砲塔旋回装置131を駆動制御して砲塔を旋回させ、砲身回動機構161を駆動制御して砲身150を上下に回動させ、発射駆動機構201を駆動制御して弾丸を発射することができるものである。
【0052】
即ち、この走行玩具100は、砲身150や弾発射機構171を搭載した走行玩具100であって、弾丸の装填口157に弾丸を供給する搬送路247や弾丸供給部及びストッパー235を弾丸供給機構として備え、弾倉221の内部に搬送ベルト227と弾倉221の外壁231との間に複数個の弾丸を並べる搬送路247を有し、搬送路247の後方には弾倉221の内部空間及び供給筒241を弾丸供給部として有し、搬送ベルト227により搬送路247から押し出される弾丸を1個ずつ装填口157に送る機構としてのストッパー235を装填口157直近の導入路249に備えるものである。
【0053】
そして、この走行玩具100における弾丸を発射する際の動作は、発射駆動機構201に発射制御信号が制御部116から入力されると、弾丸発射モータが回転してカムシャフト207を一回転、即ちシリンダーカム211及びピストンカム215と駆動プーリー223を一回転させるものである。
【0054】
この駆動プーリー223が回転することにより、搬送ベルト227が回動し、図20に示すように弾丸を搬送路247に送り込むと共に搬送路247の弾丸を導入路249に移動させることができる。
【0055】
また、シリンダー183の弾丸装填筒185が砲身150の側方に設けた装填口157を塞いでいるときは、搬送路247に位置する弾丸が舌片部229に押されて前方に移動しようとするも、搬送路247の幅及び高さが弾丸の直径と略等しいか僅かに大きくされているために、搬送路247の弾丸は一列に整列さされ、下方に傾斜する導入路249に送り込まれた弾丸もストッパー235により上方が押えられて一列とされ、搬送路247及び導入路249の弾丸は装填口157で弾丸装填筒185の外周面に押圧されることとなる。
【0056】
そして、駆動プーリー223と共にピストンカム215及びシリンダーカム211が回転することにより、図21に示すように、ピストンカム215のピストン駆動歯部217がピストン175の駆動ラック177の歯部と噛合して駆動ラック177を後退させ、ひいてはピストン175を後退させることができ、同時にシリンダーカム211のシリンダー駆動突起213がシリンダー183の係合突起187と係合して係合突起187を後退させるようにしてシリンダー183を後退させることとなる。
【0057】
そして、シリンダー183の後退により装填筒の先端を装填室155の後端近くまで後退させて装填口157を開き、シリンダー駆動突起213の外周によりシリンダー183を後退位置で一時的に停止させて導入路249で弾丸装填筒185の外周面に押圧されていた弾丸の1個を装填室155に装填させるものである。
【0058】
更にピストンカム215及びシリンダーカム211の回転が継続すると、図22に示すように、シリンダーカム211のシリンダー駆動突起213とシリンダー183の係合突起187との係合が外れてシリンダースプリング189の弾性力によりシリンダー183は前進し、砲身150の内部に送り込まれた1個の弾丸を装填室155の前端位置に設けた弾性リング159に押し付けるようにして固定すると共に弾丸装填筒185により装填口157を閉鎖する。
【0059】
このとき、ピストンカム215のピストン駆動歯部217はピストン175の駆動ラック177の歯部との係合が持続され、ピストンカム215の回転によりピストン175は更に後退を継続する。
【0060】
また、駆動プーリー223の回転も持続し、搬送ベルト227の回転により弾倉221内の弾丸や供給筒241内の弾丸を搬送路247に送り込むと共に、搬送路247内の弾丸や導入路249内の弾丸を整列状態で相互に密接させて弾丸装填筒185の外面に押し付けた状態とする。
【0061】
そして、カムシャフト207が半回転余り回転するとピストン駆動歯部217と駆動ラック177との噛合が外れ、図23に示すように、ピストン175はピストンスプリング179の弾性力により前方へ付勢されているため、ピストンスプリング179の弾性力により急激に前方に押し出されることとなり、装填室155に装填されている弾丸を空気圧により発射することができるものである。
【0062】
そして、次回の発射に際しては、搬送路247及び導入路249に密接して整列させた弾丸を搬送ベルト227の舌片部229により押圧し、弾丸装填筒185が後退したときにストッパー235の脚部237により1個の弾丸を脚部237の中間下方を通過させ、確実に装填室155に弾丸を装填することを繰り返す。
【0063】
このように、この実施例では、弾発射機構171及び発射駆動機構201を駆動してBB弾などの弾丸を発射する際、複数の弾丸を収納可能とした弾倉221の内部に組み込んだ搬送ベルト227が駆動されて弾倉221内の搬送路247に整列状態とした複数個の弾丸を砲身150の装填口157の方向に押圧移動させ、ピストン175及びシリンダー183の後退により弾丸の1個を装填室155に装填するため、弾丸発射走行玩具100が傾斜地などを走行して砲塔部140内の弾倉221が種々の方向に傾く場合であっても、搬送路247や導入路249に整列させている複数の弾丸の内の最前方の1個を確実に砲身150の内部に送り込むことができる。
【0064】
尚、図面に示した走行玩具100は、走行装置として無限軌道を備えた戦車を模しているも、走行装置は転輪及び履帯とする場合に限ることなく、玩具本体110の左右に複数の駆動輪を有する多輪走行玩具100とする場合や、駆動輪と操舵輪を有する4輪走行玩具100とする場合もある。
【0065】
更に、玩具本体110に対して旋回可能な砲塔部140を備える場合に限ることなく、玩具本体110へ直接に上下動可能な砲身150を備えた自走砲形式の走行玩具100とする場合や、走行車輌の車体に砲身150を固定するように取り付けた弾丸発射走行玩具100とする場合もある。
【0066】
また、弾倉221内に組み込む駆動プーリー223も、ピストンカム215やシリンダーカム211と同軸としてカムシャフト207に固定する場合に限ることなく、カムシャフト207に固定した伝達歯車と噛合する小径歯車と組み合わせて駆動プーリー223のプーリー軸に小径歯車を固定し、伝達歯車及び小径歯車などにより駆動プーリー223の組み込み位置を弾倉221内の適宜の位置とし、又、駆動プーリー223の直径を小さくしても回転数を増加させてカムシャフト207の1回転で弾丸の複数個分の距離だけ弾丸を搬送路247内で移動させることのできる搬送ベルト227の移動距離とすることもある。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ラジオコントロールによる遠隔操作で玩具を走行させると共に玩具からBB弾などの弾丸を発射させ、戦車や自走砲などを真似て楽しく遊ぶことのできる弾丸発射走行玩具100を提供できる。
【符号の説明】
【0068】
100 走行玩具
110 玩具本体 112 電池
114 電源スイッチ 116 制御部
121 走行駆動装置 123 左駆動軸
124 左駆動輪 126 左転輪
127 右転輪 128 左履帯
129 右履帯
131 砲塔旋回装置 133 駆動歯車
140 砲塔部 141 基台リング
143 天板 145 蓋板
147 保護筒
150 砲身 151 砲身回動軸
153 可動板 155 装填室
157 装填口 159 弾性リング
161 砲身回動機構 165 回動クランク
167 クランクピン
171 弾発射機構 173 外ケース
175 ピストン 177 駆動ラック
179 ピストンスプリング 183 シリンダー
185 弾丸装填筒 187 係合突起
189 シリンダースプリング
191 揺動リンク 195 長穴
201 発射駆動機構 203 本体部
205 カム室 207 カムシャフト
211 シリンダーカム 213 シリンダー駆動突起
215 ピストンカム 217 ピストン駆動歯部
221 弾倉 223 駆動プーリー
225 展張プーリー 227 搬送ベルト
229 舌片部 231 外壁
235 ストッパー 237 脚部
241 供給筒 243 供給口
245 傾斜部 247 搬送路
249 導入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球形状の弾丸を発射する弾丸発射装置を搭載した走行玩具であって、弾丸発射装置は、砲身の後端にピストン及びシリンダーを有する弾発射機構と、前記ピストン及びシリンダーを駆動する弾丸発射モータ及びピストンカムやシリンダーカムを有する発射駆動機構と、複数の弾丸を収納する弾倉とを有し、前記弾倉の内部には、前記ピストンカムやシリンダーカムと連動して回転する駆動プーリー、及び、この駆動プーリーと回転自在の展張プーリーとに掛け渡された搬送ベルトが組み込まれ、前記弾丸発射モータの駆動時に搬送ベルトの駆動によって弾倉内の弾丸を砲身に設けられた弾丸の装填口に移動させることを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記弾倉は、その前端を砲身後端近傍の装填口に合せて配置され、弾倉の外壁の内側に外壁と搬送ベルトにより両側が規制された搬送路が形成され、この搬送路は、弾丸の直径に略等しい幅及び高さとされて弾倉内の前端近傍から外壁に沿って複数個の弾丸を整列させる長さとされていることを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記弾丸の装填口は、砲身の側方上方に開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記駆動プーリーは、前記ピストンカム及びシリンダーカムと同軸としてカムシャフトに固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の走行玩具。
【請求項5】
前記弾丸発射装置は、砲身の後端近くに左右に突出する砲身回動軸を有すると共に、弾発射機構の後方に砲身回動モータ及び回動クランクを有する砲身回動機構を備え、砲身回動モータを駆動して砲身を玩具本体に対して上下に回動が可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の走行玩具。
【請求項6】
送信機からの遠隔操作信号に応答して砲身から球形状弾丸を発射する走行玩具であって、
前記走行玩具に搭載された砲身と、前記砲身の後部に配置され装填された弾丸を空気圧によって前記砲身に向かって急激に押し出す弾発射機構と、前記砲身と前記弾発射機構との間に配置された弾丸装填口と、前記弾丸装填口に弾丸を供給する弾丸供給機構と、を備えてなり、
前記弾丸供給機構は、
弾丸の直径に略等しい幅であって弾丸の複数個を並べることのできる長さの搬送路と、
前記搬送路に順次弾丸を供する位置に配置された弾丸供給部と、
前記搬送路に沿って配置された搬送ベルトであって、前記弾丸供給部から前記弾丸装填口の方向に移動するように駆動され、前記搬送ベルトの移動によって前記搬送路に供給された弾丸を前記弾丸装填口の方向に移動させるように構成された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの移動によって前記搬送路に沿って移動してきた弾丸を1個ずつ前記弾丸装填口に供給する機構と、
を備えてなることを特徴とする走行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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