説明

起泡性水性組成物

ポリマーバインダー、及びポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せを含み、130〜2000の重量平均分子量を有する起泡助剤を含んでなるカーペットバッキングとしての起泡性水性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には起泡性水性組成物に関し、詳細には、起泡性水性組成物を含むカーペットバッキング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーペットのほとんどは一次基布(primary backing)を含み、カットループ又は未カットループの形態の糸房が一次基布から上方に伸びることによってパイル面を形成している。タフテッド(tufted)カーペットの場合には、タフティング針によって糸を一次基布中に挿入し、次にプレコート又はバインダーをそれに適用する。非タフテッド(non-tufted)又は結合パイルカーペットの場合には、繊維を埋め込み、バインダー組成物によって適所に保つ。
【0003】
いずれの場合にも、カーペット構造は通常、一次基布に接着された二次基布も含む。二次基布は、カーペットに追加のパッド(padding)をもたらし、騒音を吸収し、寸法安定性を増し、多くの場合、断熱材の役割を果たす。二次基布は、典型的には発泡シート又は織布であって、タフトロック・コートされた(tuft-lock corted)一次基布に適用された又は二次基布に直接適用されたバインダー組成物によって、一次基布に貼り合わされる。同様な方法が、広幅織りカーペット及びカーペットタイルの製造に用いられる。
【0004】
バインダーの物理的性質は、カーペット基布用コーティング剤としての効果的な利用に重要である。この点に関しては、このようなコーティング剤が満たすべき要件は多数ある。コーティング剤は、カーペット業界で従来から用いられている方法及び装置を用いて、カーペットに適用し且つ乾燥することができなければならない。コーティング剤は、タフテッド構造及び非タフテッド構造のいずれにおいても、基布にパイル繊維をしっかりと固定するように、パイル繊維に対して優れた接着性を示さなければならない。コーティング剤は低い煙密度値及び高い難燃性を有する必要もあり、高配合量の従来の充填剤、例えば炭酸カルシウム、三水和アルミナ、バライト及び長石も受容できなければならない。更に、コーティング剤は、充填剤配合量が高い場合又は温度が低い場合であっても、カーペットが広幅織りの形態で製造する場合にカーペットを容易に巻くことができ且つ設置時に容易に広げることができる充分な柔軟性及び可撓性を保持しなければならない。この柔軟性及び可撓性はカーペットのスタイルによって異なるが、いかなる場合にも、カーペットは平らに置いて、カールしたりドーム状になる傾向がないことが重要である。
【0005】
コーティング剤組成物をカーペット基材に適用する場合には、適用前にコーティング剤組成物を気体、典型的には空気で気泡又は発泡させるのが有利なことが多い。気体を機械的作用(起泡(frothing))によってコーティング剤組成物中に取り入れて、泡を形成する。コーティング剤組成物は、望ましい化合物泡密度又は気泡率が迅速に再現性よく得られるならば、よく起泡する。起泡コーティング剤組成物の調製においては、典型的な方法は、全成分を混合し、次いで混合装置を用いて混合物中に気体を取り入れることを含む。界面活性剤をコーティング剤組成物に添加して、空気を取り込む速度及び程度を変更することができる。このような界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0006】
コーティング剤組成物の起泡はコーティング重量の制御を助ける。泡は、コーティング剤組成物の適用後であってコーティング剤の乾燥完了前に崩壊することが重要である。このような泡の崩壊は二次基布への良好な結合を得るのに必要である。泡が充分に崩壊しない場合には、二次基布接着性が著しく劣る泡構造が残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
満足に起泡又は発泡し、良好なコーティング量制御を達成できるように充分に安定であり、且つコーティング後のある時点で又は乾燥プロセスの早期に(乾燥化合物によってボイドが適所に固定される前に)満足に崩壊するような、カーペット及びカーペットタイル製造用コーティング剤組成物があれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開示は、ポリマーバインダー及び起泡助剤(froth aid)を含む起泡性水性組成物に関する。種々の態様に関して、起泡助剤はポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せを含む。種々の態様に関して、起泡助剤は130〜2000の重量平均分子量を有する。更に、ポリプロピレングリコールエーテルは、式R−O−[CH2CH(CH3)]n−OH(式中、Rは水素又は炭素数1〜22のアルキル基(C1〜C22)であることができ、nは2〜35の数である)を有する。一態様において、カーペットバッキング用組成物は、起泡性水性組成物を用いて形成できる。カーペットバッキング用組成物として用いる場合には、起泡性水性組成物は少なくとも無機充填剤を更に含むことができる。本発明の開示の別の面は、本発明の開示のカーペットバッキング用組成物用いて製造されるカーペット製品を含む。更に、このカーペットバッキング用組成物を使用するカーペット製品の製造方法及びこのカーペットバッキング用組成物のカーペットへのコーティング方法も本明細書中で開示する。本発明の開示の態様は本明細書中に開示したカーペットバッキング用組成物を用いた泡の生成方法を更に含む。種々の態様に関して、このカーペットバッキング用組成物は、前記起泡助剤の存在により、起泡の増加と泡安定度の低下を示し、コーティング剤組成物の適用後であってコーティング剤の乾燥完了前に泡を徐々に崩壊させる。
【0009】
本発明の開示の前記要約は、開示した各態様又は本発明の開示の各々の実施を説明するものではない。以下の説明は、実例となる態様をより詳細に例示する。本出願の全体を通していくつかの部分では、種々の組合せで使用できる例のリストによって解説をおこなう。いずれの場合にも、列挙したリストは、代表群としての役割をするだけであり、排他的なリストと解してはならない。
【0010】
定義
本発明の開示に関して、用語「乾燥」は水が実質的に存在しないことを意味し、用語「乾燥基準」は乾燥材料の重量を指し、「乾燥重量部」は乾燥材料の重量部を指す。
【0011】
本発明の開示に関して、用語「コポリマー」は、1種より多いモノマーに由来するポリマーを意味する。
【0012】
本明細書中で使用する用語「Tg」は、ガラス転移温度の略語である。本発明の開示に関して、用語「低Tgモノマー」は、ホモ重合された場合に10℃未満のTgを有するホモポリマーを生成するモノマーを意味し、用語「高Tgモノマー」は。ホモ重合された場合に少なくとも10℃のTgを有するホモポリマーを生成するモノマーを意味する。
【0013】
本発明の開示に関して、用語「(メト)」は、この用語で修飾される化合物の類にメチル置換された化合物が含まれることを示す。例えば用語「(メト)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸を表す。
【0014】
カーペット業界においては用語「フォーム(foam)」は充填剤を含まない材料を指し且つ用語「泡(froth)」は通常は充填剤入り材料を指すが、本明細書中では用語「フォーム」と「泡」は同義で用いる。
【0015】
本発明の開示に関して、「起泡性(frothability)」は、「発泡性(foamability)」と同義で用いることができ、所定の時間間隔での泡密度を指し、時間が短いほど、低い泡密度で大きい起泡性が得られる。
【0016】
本明細書中で使用する泡に関して使用する用語「安定度」は、経時的な泡の崩壊を指す。例えば30分における泡のパーセント(%)安定度は、(30分における泡体積)÷(出発泡体積)×100によって求めることができる。残っている泡の体積パーセント(%)が低いほど、泡安定度が小さいことを意味する。
【0017】
本明細書中で使用する「pphm」はモノマー100重量部当たりの重量部の略語である。
本明細書中で使用する「MW」は重量平均分子量の略語である。
本明細書中で使用する「℃」は摂氏度の略度である。
本明細書中で使用する「g」はグラムの略語である。
本明細書中で使用する「cP」はセンチポアズの略語である。
本明細書中で使用する「cc」は立方センチメートルの略語である。
【0018】
本明細書中で使用する「アルキル」は一般式Cn2n+1(式中、nは炭素数である)を有する炭化水素基を指す。
用語「及び/又は」は列挙した要素の1つ若しくはそれ以上又は全てを意味する。
本明細書中で使用する「室温」は20〜25℃の周囲温度を指す。
【0019】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する、成分、重量部、温度、百分率などの量を表す数字は全て用語「約」で修飾されていると理解できる。
【0020】
本明細書中で使用する単数形の表現(a,an,the)、「少なくとも1つ」及び「1つ又はそれ以上」は、同義で使用する。用語「含む」及び「含んでなる」並びにそれらの変形表現は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲に記載される場合には、限定的な意味を持たない。従って、例えば(「1種の」)ポリマーバインダーを含むカーペットバッキング用組成物は、ポリマーバインダーが「1種又はそれ以上の」ポリマーバインダーを含むことを意味すると解することができる。
【0021】
また、本明細書中で、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、5などを含む)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の開示は、少なくとも1種のポリマーバインダー及び起泡を増加させると共に泡安定度を低下させる起泡助剤を含む起泡性水性組成物を含む。本明細書中に記載する種々の態様に関して、起泡助剤はポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せを含む。種々の態様に関して、起泡助剤用のポリプロピレングリコールエーテル及び/又はポリプロピレングリコールエーテルの量、重量平均分子量及び/又は種類の選択により、泡安定度を低下させながら泡の発生を増加させることができる。
【0023】
本明細書中に記載するように、起泡性水性組成物は、望ましいレベルの泡密度を有する泡を、迅速に再現性よく生成させ;泡を、望ましいコーティング重量で基材(例えばカーペット生機(きばた)(carpet greige))に適用するのに充分な所定の時間、充分に安定にし;次に乾燥化合物中に泡中のボイド(void)が固定されないようにコーテイング後且つ/又は乾燥プロセスの早期に泡を崩壊させる。更に、本発明の開示の起泡助剤は、水性組成物が急速に起泡し、次いで基材への泡の適用後速やかに崩壊する必要がある用途に使用できる。このような用途の例としては、ポリマーバインダー、起泡助剤及び添加剤の中でも特に無機充填剤を含む、カーペットバッキング用組成物としての起泡性水性組成物の使用が挙げられる。
【0024】
種々の態様に関して、ポリマーバインダーは、目的とする物品の製造に使用される結合量(binding amount)で用いることができる。従って、例えばカーペット製品と共に用いる場合には、カーペットバッキング用組成物のポリマーバインダーは結合量で存在する。例えばカーペット製品と共に使用する場合には、ポリマーバインダーの結合量は、繊維タフトを適所に保ち、繊維構造に二次基布を接着させ且つ/又はカーペットの最終構造に寸法安定性を与える役割を果たすことができる。
【0025】
起泡性水性組成物は、種々の1種又はそれ以上のポリマーバインダーを含むことができる。例えばカーペット製品の製造に使用されるポリマーバインダーはよく知られており、市販されている。具体的な態様において、本発明の開示の起泡性水性組成物に使用するポリマーバインダーとしては、合成ラッテクスが挙げられる。合成ラテックスは、よく知られているように、1種又はそれ以上のモノマーの乳化重合によって製造されるポリマー粒子の水性分散液である。合成ラッテクスの例としては、特にポリオレフィン及び/又はポリウレタンの分散液が挙げられる。
【0026】
ポリマーバインダーのポリマーはホモポリマーであることもできるが、好ましくはコポリマーである。コポリマーは、目的用途に望ましいバインダー特性を与える1種より多くのモノマー種の組合せから製造できる。例えばポリマーバインダーのTgは、目的用途によって変えることができる。ポリマーバインダーは−20〜30℃、好ましくは−15〜20℃、より好ましくは−10〜10℃のTgを有するのが有利である。種々の態様に関して、ポリマーバインダーは、1種又はそれ以上の低Tgモノマー、1種又はそれ以上の高Tgモノマー及び官能性コモノマーの組合せから製造できる。
【0027】
低Tgモノマーの例としては、10℃未満のTgを有するモノマー、即ちジエン、アクリル酸のC1〜C10アルキルエステル、α,β−エチレン性不飽和C4〜C6モノカルボン酸のC2〜C10アルキルエステル、α,β−エチレン性不飽和C4〜C8ジカルボン酸のC4〜C10ジアルキルエステル、エチレン並びにカルボン酸のビニルエステル、例えばイソブチル酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソオクタン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル(これらに限定するものではないが)が挙げられる。好ましくは、低Tgモノマーはジエン、(メト)アクリル酸のC1〜C10アルキルエステル、即ち(メト)アクリル酸アルキル並びにマレイン酸、イタコン酸及びフマル酸のC4〜C8ジアルキルエステルからなる群から選ばれる。特に好ましい低Tgモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸デシル、マレイン酸ジブチル及びマレイン酸ジオクチルが挙げられ、ブタジエンが好ましいモノマーである。
【0028】
高Tgモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニリデン、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、メタクリル酸t−ブチル、t−ブチルイソボルニルアクリレート、メタクリル酸フェニル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及び10℃又はそれ以上のTgを有するカルボン酸のビニルエステルが挙げられる。このようなビニルエステルの例としては、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、及び分岐ビニルエステルの混合物、例えば市販されているVEOVA 11(Resolution Performance Products)及びEXXAR NEO−12(ExxonMobil Chemicals)が挙げられる。スチレンが好ましい高Tgモノマーである。一態様において、ポリマーバインダーは、共重合されたスチレン及びブタジエン(例えば1,3−ブタジエン)モノマーの合成ラテックスである。
【0029】
ポリマーバインダー中に、1種又はそれ以上の官能性コモノマーを組み入れることも望ましいと考えられる。適当な共重合性官能性コモノマーとしては、例えばアクリル酸;メタクリル酸;イタコン酸;フマル酸;マレイン酸の半エステル、例えばマレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル又はマレイン酸モノオクチル;アクリルアミド;tert−オクチルアクリルアミド;N−メチロール(メト)アクリルアミド;N−ビニルピロリジノン;アジピン酸ジアリル;シアヌル酸トリアリル;ブタンジオールジアクリレート;メタクリル酸アリルなど;並びにC2〜C3ヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート及び対応するメタクリレートが挙げられる。官能性コモノマーは、一般に、個々のコモノマーの性質によって、5pphm未満、好ましくは3pphm未満のレベルで使用する。
【0030】
更に、ポリマーバインダーの安定度を補助するある種の共重合性モノマー、例えばビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルエーテルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸ナトリウム(AMPS)、メタクリル酸2−スルホエチル及びメタクリル酸2−スルホプロピルも、乳化安定剤として使用できる。これらの任意的なモノマーを使用する場合には、それらは0.1〜2pphmの量で添加するのが有利である。
【0031】
ポリマーバインダーの製造方法は当業界でよく知られており、これらの方法を使用できる。例えばポリマーバインダーは、反応体が乳化された形態である乳化重合プロセスによって製造できる。
【0032】
適当な遊離基重合開始剤は、乳化重合を促進できる開始剤であり、その例としては、水溶性酸化剤、例えば有機過酸化物(例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなど)、無機酸化剤(例えば過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)及び水溶性還元剤によって水相中で活性化されるこれらの開始剤が挙げられる。このような開始剤は重合を引き起こすのに充分な量で使用する。一般に、充分な量は0.1〜5pphmである。別法として、レッドクス開始剤を、特に重合をより低温で実施する場合に、使用できる。例えば還元剤は前記過硫酸塩及び過酸化物開始剤に加えて使用できる。典型的な還元剤としては、ハイドロサルファイト、スルホキシル酸、チオ硫酸、亜硫酸、重亜硫酸のアルカリ金属塩;グルコース、ソルボースのような還元糖;アスコルビン酸、エリソルビン酸などが挙げられるが、これらに限定するものではない。一般に、還元剤は0.01〜5pphmのレベルで使用する。このような開始剤の多くは当業者には知られている。開始剤の混合物も使用できる。
【0033】
種々の態様に関して、界面活性剤はポリマーバインダーの製造中に且つ/又は起泡性水性組成物中に使用できる。このような界面活性剤の例としては、乳化重合プロセスに一般に使用されるものが挙げられる。界面活性剤はアニオン性、ノニオン性又はそれらの混合物であることができる。用語「界面活性剤」及び「乳化剤」(“emulsifying agent”又は“emulsifier”)は本明細書中では同義で用いる。
【0034】
適当なノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレン縮合物が挙げられる。使用できるポリオキシエチレン縮合物の例としては、ポリオキシエチレン脂肪族エーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテル;ポリオキシエチレンアルカリールエーテル、例えばポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル;高級脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、例えばポリオキシエチレンラウレート及びポリオキシエチレンオレエート、並びにエチレンオキシドと樹脂酸及びタル油酸との縮合物;ポリオキシエチレンアミド及びアミン縮合物、例えばN−ポリオキシエチレンラウラミド及びN−ラウリル−N−ポリオキシエチレンアミンなど;更にポリオキシエチレンチオ−エーテル、例えばポリオキシエチレンn−ドデシルチオ−エーテルが挙げられる。
【0035】
使用できるノニオン性乳化剤としては、BASFから商標名PLURONIC及びTETRONICで入手可能な一連の界面活性剤も挙げられる。更に、Air Productsから商標名SURFYNOLで市販されている一連のアセチレングリコールのエチレンオキシド付加物もノニオン性乳化剤として適当である。
【0036】
適当なアニオン性乳化剤としては、アルキルアリールスルホネート、アルカリ金属アルキルスルフェート、スルホン化アルキルエステル及び脂肪酸せっけんが挙げられる。具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウム、N−オクタデシルスルホスクシネート及びジオクチルナトリウムスルホスクシネートが挙げられる。ポリマーバインダーの製造中に用いる場合には、乳化剤は、ポリマーの適切な乳化を水相中で実施し且つ所望の粒度及び粒度分布を生じるのに有効な量で使用する。
【0037】
乳化重合において種々の特定目的で有用であることが当業界で知られている他の成分、例えば酸、塩、連鎖移動剤 、キレート化剤、緩衝剤、中和剤、脱泡剤及び可塑剤も、ポリマーバインダーの製造に使用できる。例えば重合性成分がモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーを含む場合には、酸性条件(pH2からpH7未満、好ましくはpH2〜pH5)下での重合が好ましい。このような場合には、水性媒体は目的とするpH範囲において緩衝系を生じるのに一般に使用される既知の弱酸及びそれらの塩を含むことができる。
【0038】
前記乳化剤の代わりに又はそれに加えて、種々の保護コロイドも使用できる。適当なコロイドとしては、カゼイン、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸塩、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエーテルなど、乳化重合技術の分野において知られているものが挙げられる。一般に、使用する場合には、これらのコロイドは、乳化重合反応器内容物の総重量に基づき、0.05〜10重量%のレベルで使用する。
【0039】
ポリマーバインダーの製造のために重合成分を合する方法は、種々の既知のモノマー供給法、例えば連続的モノマー添加、段階的(incremental)モノマー添加、又はモノマー全量の1回装入での添加によることができる。重合添加剤を含む水性媒体の全量は、モノマー投入前に重合容器中に存在することもできるし、或いは水性媒体又はその一部を、重合過程において連続的又は段階的に(incrementally)添加することもできる。
【0040】
重合後、得られたポリマーバインダーの水性分散液の固形分は、水の添加又は蒸留による水の除去によって望ましいレベルに調整することができる。ポリマーバインダー固形分の望ましいレベルは、ポリマーバインダーの総重量に基づき、一般に40〜75重量%、より好ましくはポリマーバインダーの総重量に基づき、50〜70重量%である。
【0041】
カーペットバッキング用組成物として用いる場合には、起泡性水性組成物は添加剤の中でも特に無機充填剤を更に含むことができる。カーペットバッキング用組成物への使用に適当な無機充填剤は知られており、市販されている。このような無機充填剤又は顔料の例としては、炭酸カルシウム、石炭フライアッシュ、粉末ガラス、クレイ、カオリン、タルク、バライト、長石、二酸化チタン、カルシウムアルミニウム顔料、サテンホワイト、合成ポリマー顔料、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石膏、シリカ、アルミナ三水和物、マイカ、中空ポリマー顔料及び珪藻土が挙げられる。無機充填剤の混合物も使用できる。
【0042】
カーペットバッキング用組成物の製造に使用できる無機充填剤の量は、無機充填剤の密度及び望ましいコーティング特性によって異なると考えられる。本発明の開示のカーペットバッキング用組成物中に使用する無機充填剤の量は、ポリマーバインダー100乾燥重量部当たり1000乾燥重量部以下、ポリマーバインダー100乾燥重量部当たり好ましくは150〜650乾燥重量部、より好ましくはポリマーバインダー100乾燥重量部当たり200〜600乾燥重量部であるのが有利である。
【0043】
種々の態様に関して、本発明の開示の起泡助剤としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せが挙げられる。この組合せは、1種又はそれ以上のポリプロピレングリコールと1種又はそれ以上のポリプロピレグリコールエーテルを含むことができる。即ちポリプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールエーテルのいずれかを単一の均一化合物として単独で使用できると考えられるが、同族列の化合物に由来するポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルの1種又はそれ以上の組合せも、組合せの重量平均分子量がここに記載したようなものであれば、使用できる。つまり、種々の態様に関して、起泡性水性組成物の起泡助剤は130〜2000、好ましくは190〜1200の重量平均分子量を有する。
【0044】
種々の態様に関して、ポリプロピレングリコールエーテルは、式R−O−[CH2CH(CH3)]n−OH(式中、Rは水素又は炭素数1〜22(C1〜C22)のアルキル基であり、nは2〜35の数である)を有する。nの他の好ましい範囲は3〜20の数を含む。好ましいポリプロピレングリコールエーテルは、Rが炭素数1〜8(C1〜C8)のアルキル基であるものであり、最も好ましいのは、Rが炭素数1〜4(C1〜C4)のアルキル基であるグリコールエーテルである。Rがアルキル基である場合、種々の態様に関しては、アルキル基は直鎖及び/又は分岐鎖であることができる(第二及び/又は第三アルキル基を含むことができる)。
【0045】
起泡性水性組成物の起泡性及び泡安定度は、ポリプロピレングリコール及び/若しくはポリプロピレングリコールエーテルの重量平均分子量並びに/又はグリコールエーテルのアルキル基の長さに影響され得る。例えば本明細書中に示した重量平均分子量範囲の下限値のポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルは、重量平均分子量範囲の上限値のポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルに比較してより速やかに起泡する傾向があるが、より安定な泡を生成する傾向もある。対照的に、本明細書中に示した重量平均分子量範囲の上限値のポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルは起泡に抵抗する傾向があるが、本明細書中に示した重量平均分子量範囲の下限値のポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルに比較して安定でない泡を生成する傾向もある。
【0046】
従って、使用する起泡助剤に関するポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルの量、重量平均分子量、混合物及び/又は比は、起泡性水性組成物によって望ましい泡密度及び泡安定度を達成するように、目的用途に応じて調整することができる。例えば起泡性水性組成物は、カーペットバッキング用組成物として使用する場合、コーティング重量制御によってより完璧な被覆を容易にするためにはより大きい起泡性を有するのが望ましいであろう。泡は、二次基布への良好な接着性が得られ且つ乾燥化合物によるボイドの固定が減少されるためには、適用後であって乾燥完了前に泡が崩壊するような低下した安定度を有するのも望ましいであろう。このような低下した安定度を有する泡は崩壊できると考えられる。
【0047】
少なくとも一部分は、この見解に基づいて、本発明の開示の起泡助剤を用いれば、本発明の開示の起泡助剤の選択及び使用によって体積増加と安定度低下という望ましい特性を有する起泡性水性組成物から泡を生成することが可能である。例えば起泡助剤の1つのポリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールエーテルを起泡性水性組成物の泡の安定度を低下させるように選択し、起泡助剤の別のポリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールエーテルを起泡性水性組成物の泡の体積を増加させるように選択することができる。更なる態様において、起泡助剤の選択は、混合物の泡を所定時間間隔で体積増加させ且つ崩壊させるように行うこともできる。一態様において、所定時間間隔は2〜5分である。この時間間隔は用途及び適用条件(例えば剪断力及び温度)によって異なるので、目的用途によって異なる他の所定時間間隔も可能であることがわかるであろう。
【0048】
追加の態様において、起泡助剤のポリプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテルの1種又はそれ以上は起泡性水性組成物に添加される本明細書中に記載した界面活性剤と共に使用することもでき、その場合には、起泡助剤と界面活性剤との組合せは、起泡性水性組成物の急速な初期泡密度とそれに続く起泡性水性組成物の不安定さという同様な利益をもたらすように調整できる。例えば本発明の開示の起泡助剤は、特にラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤と共に使用できる。
【0049】
種々の態様に関して、起泡性水性組成物の泡は、5〜95空気体積%、好ましくは30〜80空気体積%の空気含量を有することができる。起泡度(extent of frothing)は一般に、空気同伴率(percent air entrapment)又は泡密度として表される。例えば50%の空気同伴率は、特定体積の未起泡組成物の重さが200gであるならば、同一体積の起泡組成物の重さが100gとなるような空気の量に相当する。或いは、泡密度は、特定体積の起泡性水性組成物の泡の質量を測定することよって求めることができる。
【0050】
種々の態様に関して、起泡性水性組成物中に使用する起泡助剤の量は、ポリマーバインダーの100乾燥重量部当たり、乾燥基準で0.05〜3.0重量部であることができる。好ましくは、起泡性水性組成物中に使用する起泡助剤の量は、ポリマーバインダー100乾燥重量部当たり、乾燥基準で0.1〜1.5重量部であることができる。
【0051】
本発明の開示のカーペットバッキング用組成物は、種々の重量パーセント(%)濃度のポリマーバインダー及び無機充填剤を含むことができる。例えばカーペットバッキング用組成物は、バインダー及び充填剤の総重量に基づき、11〜100重量%のポリマーバインダー及び89重量%以下の無機充填剤を含むことができる。好ましくは、カーペットバッキング用組成物は、バインダー及び充填剤の総重量に基づき、14〜50重量%のポリマーバインダー及び50〜86重量%の無機充填剤を含む。
【0052】
開示した起泡性水性組成物は、一般に4〜57℃、さらに好ましくは18〜41℃の温度範囲で起泡させることができる。種々の態様に関して、起泡性水性組成物の予備状態調節を行うこともできる。このような予備状態調節工程としては、起泡前における所定温度への起泡性水性組成物の冷却が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0053】
種々の態様に関して、本発明の開示のカーペットバッキング用組成物は従来の添加剤を更に含むことができる。これらの従来の添加剤としては、増粘剤、触媒、分散剤、キレート化剤、着色剤、殺生剤などが挙げられるが、これらに限定するものではない。このような従来の添加剤の例は、”2002 McCutchenon’s Volume 2: Functional Materials”,McCutcheon’s Division,MC Publishing Co.(175 Rock Road,Glen Rock,NJ 07452 USA)に記載されている。一般的な界面活性剤は、”2002 McCutchenon’s Volume 1: Emulsifier and Detergents”に記載されている。
【0054】
本発明の開示のカーペットバッキング用組成物は、カーペット製品の製造に有利に使用できる。このカーペットバッキング用組成物は、既知の方法によるカーペットの製造にも使用できる。例えばこのカーペットバッキング用組成物は、前述のようにして、ポリマーバインダーを、他の成分の中でも特に無機充填剤及び起泡助剤と混合することによって形成できる。カーペットバッキング用組成物に気体を取り込んで泡を形成させる。次いで、カーペットバッキング用組成物の泡をカーペット基布上の糸に所望のコーティング重量で適用して、基材の糸をカーペットバッキング用組成物中に埋め込む。カーペットバッキング用組成物の泡は泡が適用後であって乾燥完了前に崩壊するような充分な埋め込み不安定度(built-in instability)も有する(例えば起泡助剤の選択によって)。このような崩壊は、カーペット基布への良好な結合を得るのに必要である。
【0055】
本発明の開示のカーペットバッキング用組成物は、従来のタフテッドカーペット、非タフテッドカーペット、ニードルパンチ(needle-punched)カーペット及び織りカーペットの製造に使用でき、当業者に知られた装置、例えばカーペット工場で使用される装置を用いて乾燥させることができる。従って、カーペットバッキング用組成物は、一次基布を含み、パイル糸が一次基布から伸びてパイルタフトを形成するパイルカーペット;及び織布又は不織布基材にコーティングされたバインダー組成物中に繊維が埋め込まれている非タフトテッドカーペットの製造において有用であると考えられる。
【0056】
タフテッドカーペットの製造においては、一般にはポリプロピレン、ポリエチレン若しくはポリエステル不織布又はジュート若しくはポリプロピレン織布である一次基布中に、糸をタフト又はニードリングする。二次基布を用いる場合には、二次基布は、一般に、一次基布として使用されるのと同様な織布又は不織布材料から形成する。このような二次基布は、カーペットに寸法安定性を与える。二次基布はフォームポリマー又はコポリマーの形態であることができる。適当なフォーム組成物はとしては、ウレタンポリマー、エチレン、プロピレン、イソブチレン及び塩化ビニルのポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0057】
フォーム二次基布を用いる場合には、予備発泡させてから、一次基布に貼り合わせることができ、或いは熱によって活性化可能な発泡剤を含み、貼り合わせ直前又は貼り合わせ直後に起泡させることができる。更に、二次基布は、それ自体の熱可塑性接着性を示すことができ、二次基布は、貼り合わせ前に予熱して、その表面に接着性を与えることができる。或いは、二次基布はホットメルト、1種若しくはそれ以上の又は溶融PVCプラスチゾル層又はビチューメン(多くの場合、ガラス繊維スクリム又は寸法安定性を与えることが知られている他のスクリムと併用される)であることができる。
【0058】
本明細書中に開示したカーペットバッキング用組成物は、プレコーティングバインダーとして及び二次基布用バインダーとしても使用できる。プレコーティング層は任意的に、二次基布用バインダーの適用前に乾燥させることができる。二次基布用バインダーは、プレコーティングされた生機又は二次基布に適用できる。
【0059】
種々の態様に関して、カーペットバッキング用組成物は、一般に、4000〜30000cPの粘度(室温においてBrookfield RVT粘度計,スピンドル#5又は#6を用いて20rpmで測定)まで増粘させる。一般に、粘度が高いほど起泡性及び安定度が増加する。
【0060】
本発明の開示のカーペットバッキング用組成物は、コーティング剤の適用に費用がかかる複雑な機械及び方法を必要とするホットメルト熱可塑性接着剤よりもカーペット製品への適用が容易であり、カーペットバッキング用組成物はまた、カーペット糸の繊維に浸透して、より良好な接着性、繊維束強度(fiber bundle integrity)及び毛羽立ち抵抗性を与える。用語「タフト−バインド(tuft-bind)」は、カーペットバッキング用組成物がパイル糸タフトを一次基布に固定する(lock and secure)能力を指し、ここに記載したようにして測定する。タフト−バインドは繊維パイルの接着性が基布のみによって達成される非タフテッドコーティングに必要な優れた特性を含ませるのにも使用される。適当なタフト−バインド性は、平方ヤード当たり10〜40オンス(乾燥基準)の範囲の量のカーペットバッキング用組成物をカーペット製品に適用することによって達成でき、その結果、ループカーペットの場合には少なくとも6ポンド・力(pounds force)(カットパイルの場合には3ポンド)のタフト−バインド値、多くの場合15ポンド・力又はそれ以上のタフト−バインド値を有するカーペットが得られる。
【0061】
本発明の開示は、織基布又は不織基布中に糸をタフティング又はニードリングし;糸がカーペットバッキング用組成物中に埋め込まれるように、本発明の開示の起泡カーペットバッキング用組成物をカーペット基布の裏側に適用し;そしてカーペット基布に適用したカーペットバッキング用組成物を乾燥させることを含むことができるパイル又はタフテッドカーペットの製造方法も提供する。
【0062】
このようなタフテッドカーペットの製造においては、使用する基布の型によっては、カーペットプレコーティングの乾燥の前又は後に二次基布を一次基布に適用するのも望ましい。カーペット製造中にカーペット生機又は二次基布に更なる起泡又は未起泡コーティングを使用することも可能である。
【0063】
非タフテッドカーペットは、本発明の開示のカーペットバッキング用組成物を用いて、本発明の開示のカーペットバッキング用組成物を基材上にコーティングし;カーペット繊維を前記基材中に埋め込み;そして得られたカーペット構造を乾燥させることを含むことができる方法によっても製造できる。
【0064】
これらの非タフテッドカーペットは、更なる寸法安定性を与えるために、二次基布を用いて製造するのが有利であるとも考えられる。
【0065】
本発明の開示の起泡性水性組成物を用いて製造されるカーペット製品は、コーティング中に多孔質構造を実質的に含まないのが有利である。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は、本発明の開示の範囲を説明するために記載するのであって、本発明の開示の範囲を限定するものではない。他の方法で表示しない限り、全ての部およびパーセント(%)は重量である。他の方法で特定しない限り、使用した全ての器具及び化学薬品は市販のものである。
【0067】
材料
ポリマーバインダーA: カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(XZ 92229.00 Latex,The Dow Chemical Company)、水中固形分52パーセント(%)。
【0068】
充填剤A: 乾燥炭酸カルシウム(MW101;O−N Minerals,Filler Products Operation,Chatworth,GA,USA)。
【0069】
増粘剤A: ポリアクリル酸ナトリウム増粘剤(PARAGUM 265,Para-Chem Standard Division,Dalton,GA)。
【0070】
起泡助剤A: ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル(UCON Lubricant APPG−200;MW200;R=アリル;The Dow Chemical Company)。
【0071】
起泡助剤B: ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル(UCON Lubricant APPG−800R;MW800;R=アリル;The Dow Chemical Company)。
【0072】
起泡助剤C: ポリプロピレングリコール(POLYGLYCOL P425;MW425;The Dow Chemical Company)。
【0073】
起泡助剤D: ポリプロピレングリコール(POLYGLYCOL P1200;MW1200;The Dow Chemical Company)。
【0074】
起泡助剤E: ポリプロピレングリコール(POLYGLYCOL P2000;MW2000;The Dow Chemical Company)。
【0075】
起泡助剤F: ポリプロピレングリコール(POLYGLYCOL P4000;MW4000;The Dow Chemical Company)。
【0076】
起泡助剤G: トリプロピレングリコール−モノメチルエーテル(DOWANOL TPM;MW206;R=メチル;The Dow Chemical Company)。
【0077】
起泡助剤H: トリプロピレングリコール−モノブチルエーテル(DOWANOL TPnB;MW248;R=n−ブチル;The Dow Chemical Company)。
【0078】
起泡助剤I: ポリプロピレングリコール−モノブチルエーテル(UCON Lubricant LB−65;MW340;R=n−ブチル;The Dow Chemical Company)。
【0079】
起泡助剤J: ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(DOWFROTH 250;MW250;R=メチル;The Dow Chemical Company)。
【0080】
起泡助剤K: ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(DOWFROTH 250A(PM Heavies);R=メチル;The Dow Chemical Company)。
【0081】
起泡助剤L: ポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル(MW280;R=n−プロピル;The Dow Chemical Company)。
【0082】
起泡助剤M: ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(MW295;R=n−ブチル;The Dow Chemical Company)。
【0083】
起泡助剤N: プロピレングリコール(MW76;The Dow Chemical Company)。
【0084】
起泡助剤O: ジプロピレングリコール(MW134;The Dow Chemical Company)。
【0085】
起泡助剤P: トリプロピレングリコール(MW192;The Dow Chemical Company)。
【0086】
起泡助剤Q: プロピレングリコールモノメチルエーテル(DOWANOL PM Glycol Ether;MW90;R=メチル;The Dow Chemical Company)。
【0087】
起泡助剤R: ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DOWANOL DPM Glycol Ether;MW148;R=メチル;The Dow Chemical Company)。
【0088】
起泡助剤S: プロピレングリコールn−ブチルエーテル(DOWANOL PnB Glycol Ether;MW132;R=n−ブチル;The Dow Chemical Company)。
【0089】
起泡助剤T: ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DOWANOL DPnB Glycol Ether;MW190;R=n−ブチル;The Dow Chemical Company)。
【0090】
界面活性剤A: ラウリル硫酸ナトリウム(Calimulse SLS;Pilot Chemical Company,Santa Fe Springs,CA)から入手可能),30%活性。
【0091】
試験方法
以下の試験方法により、ポリマーバインダーAの水性分散液及び本発明の開示の起泡性水性組成物に関する起泡性及び泡安定度を評価する。起泡性水性組成物は、ポリマーバインダーA及び前記起泡助剤の少なくとも1種を含むが、これらに限定するものではない。起泡性水性組成物の1種又はそれ以上の起泡助剤の量は、ポリマーバインダー100乾燥重量部当たりの乾燥基準の重量部である。試験結果は例であり、限定的に解してはならない。
【0092】
起泡度は、泡密度で表す。起泡させた材料100ccをビーカーに移して泡密度を測定、ビーカー中の起泡材料の質量をグラム(g)で測定し、起泡材料の質量に10をかけて、泡密度をグラム/リットルで得る。
【0093】
起泡性及び泡安定度
ポリマーバインダーAの水性分散液又は前記起泡性水性組成物の200gのサンプルを、本発明の開示に従ってHobart N50 Model D工業用ミキサー(Hobart,Troy Ohio)中で起泡させる。Hobart N50ミキサーは、改良ワイヤ−ループホイスク(whisk)(5つの最短ワイヤを除去)と5リットル・ステンレス鋼ミキシングボールを含む。起泡材料の泡密度を1分及び6分で測定して、起泡材料が生成されている速さ及びパーセント空気閉じ込め率の測定値を得る。
【0094】
同等な泡密度における泡安定度を試験するために、ポリマーバインダーAの水性分散液又は前記起泡性組成物の別の200gのサンプルを、155g/リットルの密度まで起泡させる。起泡材料の体積を測定する。(30分における泡体積)÷(出発泡体積)×100によって、30分における起泡材料のパーセント安定度を求める。残っている泡の体積パーセントが小さいほど、泡安定度が低いことを示す。
【0095】
異なった起泡助剤及び/又は界面活性剤の効果を検討するために、Hobart N50ミキサー中で起泡前にポリマーバインダーAに起泡助剤及び/又は界面活性剤を加える。添加した起泡助剤及び/又は界面活性剤の量は、ポリマーバインダー100乾燥重量部当たりの乾燥基準の重量部で測定する。例えば固形分50%のポリマーバインダー中の固形分30%の起泡助剤を0.5部とするのに必要な起泡助剤の質量(g)の計算は、(所望の起泡助剤の部)÷(起泡助剤の固形分%)×(ポリマーバインダーの固形分%)×(ポリマーバインダーのg数)÷100による(この場合には、起泡助剤0.5部は、固形分50%のポリマーバインダー200g中に30%の起泡助剤1.66gとなるであろう)。
【0096】
下記表I〜VII中のサンプルを、室温においてHobart N50ミキサーの速度設定値3で起泡させる。但し、アスタリスクを付けた結果については、サンプルは室温においてHobart N50ミキサーの速度設定値2で起泡させた。
【0097】
【表1】

【0098】
表Iのデータは、本発明の開示の起泡助剤が、起泡性をもたらすと同時に、発生する泡に不安定度を有利に与えるのに有効であることを示している。更に、表Iの起泡助剤は、基準とした界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤A)よりも容易に起泡する分散液を生じる。この泡の泡安定度は本発明の開示の泡助剤の組成によって有利に変化させることもできる。
【0099】
【表2】

【0100】
表IIのデータは、表Iにデータに比較してより高レベルの起泡助剤でも同じ傾向が得られることを示している。
【0101】
【表3】

【0102】
表IIIのデータは、ポリマーバインダーAの水性分散液及び本発明の開示の起泡性水性組成物の起泡性及び泡安定度に対する、起泡助剤の重量平均分子量(MW)の影響を示している。表IIIに示されるように、起泡助剤のMWが高いほど起泡性が低下する。これは、MWの増加につれて、起泡助剤の水中の溶解度が低下するためと考えられる。起泡助剤Cが起泡助剤Jよりも良好な起泡助剤であることは、所定のMWにおいてポリグリコールの溶解度がポリグリコールブチルエーテルよりも大きいことによって説明できるであろう。泡安定度もMW及びポリプロピレングリコールエーテルのR基を変えることによって変えることができる。表IIIは、起泡性の改善に好ましいMWが190〜300の範囲であることを示す結果を記載している。例えば起泡助剤P(MW=192)は優れた起泡性と比較的安定な(界面活性剤Aの対照に匹敵する)泡を生じ、一方起泡助剤K(MW=250)は優れた起泡性と極めて不安定な泡を生じる。
【0103】
【表4】

【0104】
表IVは、表IIIのデータと比較して高いレベルの起泡助剤でも同じ傾向が得られることを示すデータを記載している。
【0105】
【表5】

【0106】
表Vのデータは、ポリマーバインダーAの水性分散液及び本発明の開示の起泡性水性組成物の起泡性及び泡安定度に対する起泡助剤の重量部の影響を示している。表Vは、起泡性が一般に起泡助剤をより多く添加するほど増加することを示している。しかし、泡安定度に対する影響は、起泡助剤の組成によって異なる。起泡安定度は、起泡助剤Aの場合には、起泡助剤を増加させても本質的に一定のままである。しかし、起泡助剤B及びKの場合には、起泡助剤の増加につれて泡安定度が低下する。
【0107】
【表6】

【0108】
表VIは、本発明の開示の起泡助剤の組合せの影響を示すデータを記載している。表VIのデータは、起泡助剤の種々の組合せを用いて中間レベルの起泡性及び泡安定度を得ることができ、それによって所望の起泡性と所望のレベルの不安定度を達成できることを示している。例えば0.25部の起泡助剤A及び0.25部の起泡助剤Bの添加は、ポリマーバインダーAの起泡性を増加させると同時に、泡安定度を低下させる。
【0109】
【表7】

【0110】
表VIIのデータは、本発明の開示の起泡助剤と界面活性剤A(ラウリル硫酸ナトリウム)との組合せが、種々のレベルの泡不安定度を依然として可能にしながら、界面活性剤A単独での使用よりもよく起泡する分散液を生成できることを示している。
【0111】
カーペットコーティング剤組成物の起泡性及び泡安定度
表VIIIは、本発明の開示に係るカーペットコーティング剤組成物を調製するための配合を示す。コーティング組成物を調製するために、混合容器にポリマーバインダーAと最終化合物固形分を80重量%とするのに充分な水を加える。充填剤Aと添加剤(界面活性剤A又は起泡助剤)を別々に添加し、各添加後に1分間混合する。増粘剤Aを加え、得られたカーペットコーティング剤組成物を、空気の同伴(entrainment)を引き起こすには不充分な速度で5分間ゆっくりと撹拌する。カーペットコーティング剤組成物の粘度を室温でBrookfield RVT Viscometerによってスピンドル#5を用いて20rpmで測定する。
【0112】
前記カーペットコーティング剤組成物の600gのサンプルをHobart N50工業用ミキサー中で前述のようにして起泡させる。起泡材料の泡密度を前述のようにして1分、6分及び15分に測定して、起泡材料が生成される速さ及び起泡材料の最終空気量を求める。15分の泡を室温でギャップ20mil(0.020インチ)のキャスティングバーを用いてガラス板上にドローダウンする。泡の安定度を目視評価する。表VIIIはこのデータを示す。
【0113】
【表8】

【0114】
前記データは、起泡助剤A及びKを用いたカーペットコーティング剤組成物は、界面活性剤A(ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて製造したものよりも迅速に、より大きい空気含量まで(即ちより低い密度まで)、より速やかに起泡し、より低い安定度を有することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーバインダー及び
130〜2000の重量平均分子量を有する、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せを含む起泡助剤
を含んでなる起泡性水性組成物。
【請求項2】
起泡助剤の量が、ポリマーバインダー100乾燥重量部当たり、乾燥基準で0.05〜3.0重量部である前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーバインダーが、ポリマーバインダーの総重量に基づき、40〜75重量%のバインダー固形分を有する前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、ポリマーバインダー及び無機充填剤の総重量に基づき、11〜100重量%のポリマーバインダー及び89重量%以下の無機充填剤を含む前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の起泡性水性組成物を含んでなるカーペットバッキング用組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のカーペットバッキング用組成物を用いて製造されたカーペット製品。
【請求項7】
請求項5に記載のカーペットバッキング用組成物を用いてカーペット製品を製造することを含んでなるカーペット製品の製造方法。
【請求項8】
前記ポリプロピレングリコールエーテルが式R−O−[CH2CH(CH3)]n−OH(式中、Rは水素又は炭素数1〜22のアルキル基である)を有する前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
Rが炭素数1〜8のアルキル基である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーバインダーが−20〜30℃のTgを有する前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーバインダー、無機充填剤及び、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せを含んでなり、130〜2000の重量平均分子量を有する起泡助剤を含む起泡性水性組成物を起泡させて泡を形成し、そして
前記泡をカーペットに適用する
ことを含んでなるカーペットのコーティング方法。
【請求項12】
ポリマーバインダーを含む水性組成物を、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの組合せを含んでなる、130〜2000の重量平均分子量を有する起泡助剤と合して、混合物を形成し;そして
前記混合物を起泡させる
ことを含んでなる泡の生成方法。
【請求項13】
ポリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールエーテルの1つを選択することによって前記混合物の泡の泡安定度を低下させることを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールエーテルの1つを選択することによって前記混合物の泡の体積を増加させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記起泡助剤を選択することによって、所定の時間間隔で混合物の泡を体積増加させ且つ崩壊させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−520008(P2011−520008A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508492(P2011−508492)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/002770
【国際公開番号】WO2009/137034
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】