説明

超伝導性の物品における耐エピタキシャル膜、および、関連する物品、デバイス、および、システム

超伝導性の物品は、基板、該基板上の耐エピタキシャル膜、該耐エピタキシャル膜上の2軸結晶テキスチャーを持つバッファー膜、および、前記第2のバッファー膜上の超伝導性の層を含んで与えられる。また、電力ケーブル、および、電力変圧器における超伝導性の物品が、与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導体テープおよびデバイスを含む、超伝導性の物品、それらから作られるデバイス、およびシステムに関係する。
【背景技術】
【0002】
超伝導体材料は、長い間、技術共同体によって知られてきており、理解されてきている。液体ヘリウムの使用(4.2K)を必要とする温度で超伝導特性を示す、低温(低TC)超伝導体は、およそ1911年から知られてきた。しかしながら、酸化物ベースの高温(高TC)超伝導体が発見されたのは、いくぶん最近である。1986年のあたりに、液体窒素の温度(77K)以上の温度で超伝導特性を持つ、最初の高温超伝導体(HTS)、すなわち、YBa2Cu3O7-x(YBCO)が発見され、それに続いて、過去15年にわたって Bi2Sr2Ca2Cu3 O10+y(BSCCO)、およびその他を含む追加的な材料が開発されてきた。高TC超伝導体の開発は、液体ヘリウムに基づく比較的より高価な極低温インフラストラクチャーよりむしろ、液体窒素でこのような超伝導体を動作させるコストに一部依存して、このような材料を組み込む超伝導素子の可能な、経済的に意義のある開発をもたらして来た。
【0003】
可能性のある無数の応用のなかで、産業は、発電、送電、配電、および貯蔵を含む電力産業においてこのような材料の使用を開発することを求めてきた。この点に関して、銅ベースの商用電力要素の自然抵抗は、電力の損失において1年に何十億ドルにも達していると推定され、したがって、電力産業は、送電および配電電力ケーブルにおいて、発電機、変圧器、および無効電流阻止器等の電力要素において、高温超伝導体を利用することに大きな有効性を持つ。さらに、電力産業における高温超伝導体の他の利点は、従来技術に対する、電力処理能力の3割から10割の増加、電力設備の大きさ(すなわち、設置面積)の実質的な減少、環境に対する衝撃の減少、より大きな安全性、および増大した能力を含む。このような高温超伝導体の可能性のある利点が、きわめて競争力がある反面、高温超伝導体の製造、および商業化においては、数々の技術的挑戦が、大規模に存在しつづけている。
【0004】
高温超伝導体の商業化と関連する挑戦の中で、多くが種々の電力要素の形成に利用することのできる超伝導テープの製造の周りにある。第1世代超伝導性テープは、前述の BSCCO 高温超伝導体の使用を含む。この材料は一般に、分離したフィラメントの形で与えられ、これは代表的には、銀である貴金属のマトリックスの中に埋め込まれている。このような導体は、電力産業において実施されるに必要な延長された長さ(たとえば、キロメートルのオーダー)に形成されるが、材料および製造コストによって、このようなテープは、商業的に利用可能な製品を与えることができない。
【0005】
したがって、非常に多くの興味は、優秀な商業的実現可能性を持つ、いわゆる第2世代HTS テープで生み出されてきた。これらのテープは、代表的に、一般に機械的支持を与えるフレキシブル基板、該基板の上に横たわる少なくとも1つのバッファ層であって、該バッファ層は任意に複数の膜を含む、および該超伝導性層の上に横たわる、代表的には貴金属より形成される、電気的安定化層を含む層構造に依拠している。しかしながら、今日まで、このような第2世代テープの完全な商業化の前に数多くの工業的および製造上の挑戦が残っている。
【0006】
商業的に実行可能な第2世代テープを作るにおいてもっとも困難な挑戦のうちのひとつは、2軸テキスチャーされたHTS層の作製であった。良い結晶学的な2軸テキスチャーは、高臨界電流(Ic)性能を得るよう、HTS導体にとっては、臨界的である。所望の2軸テキスチャーを達成するための通常の方法は、単結晶(001)STO上のYBCOのエピタキシャル成長のような、単結晶基板のような方位つけられた基板上のエピタキシャル成長である。
【0007】
しかしながら、種々の応用のために、高価でなく、かつ、可撓性のあるHTSテープを作るためには、単結晶酸化物基板は、これを使用することができず、したがって、多結晶金属テープ(通常、厚さ2mmより小さい)が、基板が選択であるときは、用いられてきた。HTS層の鋭い2軸テキスチャー(低モザイク拡散)を得るために、良い2軸テキスチャー膜を有するバッファーは、金属テープ基板上のバッファーとして形成されなければならず、また、そのとき、HTS層は、2軸テキスチャーされたバッファー上に、所望の2軸テキスチャーを得るよう、エピタキシャルに成長することができる。
【0008】
イイジマら(米国特許第5,650,378号明細書)は、それにおいては、エネルギーの高い収束されたイオンビームが、成長しているYSZ(イットリア安定化ジルコニア)膜を、成長しているYSZグレインをイオンビーム方向に揃えるために、照射するよう用いられるイオンビームアシスト堆積(IBAD)により、多結晶基板上に堆積される2軸テキスチャーされたYSZバッファー層を開示している。多くの研究者は、この技術において仕事をすることに参加し、このテキスチャーされたYSZ上に成長するYBCO膜は、優秀な超伝導性の特性を示し、かつ、IBAD YSZは、頑強なプロセスであることを示した。しかしながら、2軸テキスチャーされたYSZを形成するメカニズムは、成長の競争をベースとするものと考えられ、したがって、厚い(1000nmまでの)YSZ膜は、鋭いテキスチャーを得ることが要求された。したがって、IBAD YSZ処理は、商業的な製造のためには、あまりに遅いものであると、考慮されてきた。
【0009】
ワングら(米国特許第6,190,752号明細書)は、2軸テキスチャーが、滑らかなアモルファス表面上に、IBADにより、約10nmのMgO をもって形成され得ることを開示している。したがって、IBAD MgOプロセスは、IBAD YSZプロセスよりずっとより早いことができ、改善された商業的な可能性を提示する。このような薄い厚さでのこの2軸テキスチャーは、IBAD YSZにおけるメカニズムとは異なるメカニズムによるものである。該IBAD MgOの早いテキスチャー化は、IBADの間の核形成段階の間に行われ、IBAD YSZにおけるように、成長競争プロセスではない。ワングらは、早いテキスチャー化を達成するために、岩塩状の材料がアモルファス基板上に堆積されなければならないことを教える。しかしながら、任意の材料のアモルファス基板上に堆積された任意の岩塩状の材料が、2軸テキスチャーを達成することができるものではないことが発見され、かつ、実際、実務においては、アモルファスSi3N4表面上のMgOのみが、満足できる2軸テキスチャーを核形成の際に得ることができることが発見された。しかし、Si3N4の、HTS膜堆積に要求される高温度、および高酸素環境での不安定さにより、臨界電流(Ic)の性能は、きわめて貧弱であることが、発見された。
【0010】
アレンドら(米国特許出願公開第2003/0144150号明細書)は、アモルファス表面は、2軸テキスチャーされるIBAD MgO に必要なものではなく、かつ、IBAD MgOの良い2軸テキスチャーは、また、ナノ結晶性のY2O3 上でより広い堆積窓を持って得ることができることを教える。アレンドらは、結晶性の酸化物、または窒酸化物表面上のテキスチャーされた岩塩状の酸化物を教える。上記したように、任意の岩塩状の材料が、結晶性の基板上に堆積されて、適切な核形成段階での2軸テキスチャーを得ることができる、というのではなく、実際は、実務においては、結晶性のY2O3表面上のMgOのみが、HTS導体のためのバッファー層として満足できる2軸テキスチャーの他の要件を得ることができることが発見された。
【0011】
HTS導体を開発する努力において、Y2O3 またはアモルファスSi3N4上のIBAD MgOの他に、利用可能な2軸テキスチャーされた薄膜バッファーについてのより多くの選択があることが、強く望まれる。付加的な材料、および処理のパスウェイについての必要があるのはこれもまた、IBAD MgO 処理は、特に、IBAD YSZ処理に比較し、大変デリケートであり、かつ、制御するのが困難であるからである。たとえば、IBAD MgO 処理は、Y2O3 、その下に横たわるテンプレート表面(核形成シード層、とも言われる)の滑らかさ(1nmより小さい)に、高い要求をおく。核形成シード層の、等級が劣化された滑らかさは、貧弱なテキスチャーを生じ、あるいは、テキスチャーさえも生じない。Y2O3 上のIBAD MgO を処理するについてのもう1つの問題は、IBAD MgO が、大変狭い最適厚さ範囲を持つことである;すなわち、MgO 厚さが増えると、面外方位は、(111)、または(110)に変化し、面内テキスチャーは、破壊される。IBAD MgO処理のための原子対イオン到達比のパラメータは、また、HTS導体の商業化における大規模製造においては望まれない大変狭い窓を持つ。
【0012】
またさらに、薄い(すなわち、10nmの)IBAD MgO を強靭とするために、ホモエピタキシー MgO 層(約30−80nm)が、IBAD MgO 層上に成長されなければならない。欠点として、臨界電流(Ic)は、ホモエピタキシャル MgO の品質に大変感受性が高く、ホモエピタキシャル MgO の成長に対して、厳格なプロセス制御の歩調をとる。さらにMgO は、HTS層(代表的に、YBCO)と大きな格子不整合を持つものであり、したがって、キャップ層、通常はSiTiO3が、MgO とYBCO の間に成長されなければならない。すべてのこれらの(少なくとも4つの)層に加えて、一般に、Al2O3 等のバリヤーが、金属元素の基板からHTS層内への拡散を妨げるために、かつ、金属基板の酸化を妨げるために、必要とされる。したがって、実務において、IBAD MgO/Y2O3 シード層 の全体構造は、不所望に複雑であり、かつ、特に、大規模製造設定においては、再現可能な態様でこれを処理することは困難である。
【0013】
したがって、処理を、複雑さが少なく、かつ、信頼性のあるものとするために、バッファースタック内の層の数を低減させる、ことについての要望がある。
したがって、上記に鑑み、改善された超伝導体、デバイス、およびこのようなデバイスを組み込んでいるシステム、についての技術における必要がある。
【0014】
特に、改善された処理可能性を持つ新しい超伝導体構造、および、2軸テキスチャーされたHTS層を作り出す代替的な技術等の、商業的に利用可能な超伝導性の物品を形成するプロセス、についての必要がある。
さらに、HTS導体製造のためのプロセス窓におけるさらなる改善、特に、核形成シード層と、IBADテキスチャー層との間の相互作用に関しての、より良い特性を持つ付加的な材料の選択が、HTS導体の商業化のための、産業における特別な必要であると、本発明者により、認識されてきた。
【特許文献1】米国特許第5,650,378号明細書
【特許文献2】米国特許第6,190,752号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0144150号明細書
【発明の開示】
【0015】
開示された超伝導性の物品の1つの側面によれば、その上に横たわる耐エピタキシャル膜を備えた基板が、与えられる。バッファ膜は、該耐エピタキシャル膜の上に横たわり、かつ、該バッファ膜は、2軸テキスチャーを有する。さらに、超伝導性の層は、該バッファ層の上に横たわる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に戻って、1実施形態による超伝導性の物品の一般化された層構造が、描かれている。該超伝導性の物品は、基板10の上に横たわるバッファー層12、および、超伝導性の層16よりなる。任意に、該超伝導性の物品は、また、前記超伝導性の層上に、キャップ層18を含み、これは、代表的に、貴金属層を含む。該超伝導性の物品は、任意に、安定化層20を含み、これは、代表的に、非金属を含む。
【0017】
該基板10は、一般に、金属ベースのものであり、かつ、代表的に、少なくとも2つの金属元素の合金である。特に適切な基板材料は、公知のInconel(登録商標)グループ合金、等のニッケルベース金属合金を含む。該Inconel(登録商標)グループ合金は、膨張係数、引っ張り強度、降伏強度、および、延長を含む、望ましい、クリープ、科学的、および、機械的特性を持つ傾向がある。これらの金属は、一般に、スプールされたテープの形で、商業的に入手可能であり、特に、リールツーリールテープ処理を利用する超伝導性のテープの製造に適切である。
【0018】
1つの実施形態において、該基板10は、高い寸法比を有する、テープ状の形状をしている。たとえば、該テープの幅は、一般に、約0.4から10cmのオーダーであり、該テープの長さは、少なくとも約100mであり、もっとも代表的には、500mより大きい。実際、本発明の実施形態は、1kmまたはそれ以上のオーダーの長さを持つ基板10を含む、超伝導性のテープを与える。したがって、該基板は、十分に高い、10より小さくない、約102より小さくない、または、約103より小さくないオーダーの寸法比を持つことができる。ある実施形態は、104、およびより高い寸法比を持つ、より長いものである。ここで用いられているように、用語“寸法比”は、基板またはテープの長さの、次の最も長い寸法、すなわち、該基板またはテープの幅、に対する比を示すのに用いられる。
さらに、該基板は、該超伝導体テープの構成層の順次の堆積のために望ましい表面特性を持つように、取り扱われることができる。たとえば、該表面は、所望の平坦さ、および、表面粗さにまで、軽く研磨することができる。
【0019】
バッファー層12に戻って、該バッファー層は、単一層であってよく、あるいは、より一般には、いくつかの膜よりなっていてもよい。最も代表的には、該バッファー層は、一般に、該膜の平面内および平面外の両方の結晶軸に沿って並んだ結晶性のテキスチャーを持つ、2軸テキスチャーされた膜を含む。このような2軸テキスチャー化は、IBADにより達成され得る。技術において理解されるように、IBADは、イオンビームアシスト堆積、すなわち、優秀な超伝導性の特性のための、望ましい、結晶学的方位をもつ超伝導体層の順次の形成のための、適切にテキスチャーされたバッファー層を形成するのに有利に利用され得る技術、のための略語である。酸化マグネシウムは、IBAD膜のために選択する代表的な材料であり、50から200オングストローム等、50から500オングストロームのものであってよい。1つの実施形態において、該IBAD膜は、参照によりここに組み入れられる米国特許第6,190,752号明細書で定義され、記述されたような、岩塩状の結晶構造を持つ。
【0020】
超伝導層16は、一般に、高温超伝導(HTS)層の形をしている。HTS材料は、代表的に、液体窒素の温度、77K以上で、超伝導性の特性を示す高温超伝導材料のいずれかから選択される。このような材料は、たとえば、YBa2Cu3O7-x、Bi2Sr2Ca2Cu3O10+y 、Ti2Ba2Ca2Cu3O10+y、および、HgBa2Ca2Cu3O8+y を、含む。該材料の1つのクラスは、REBa2Cu3O7-x であり、ここで、RE は、希土類元素である。上記のうちで、一般に、YBCO とも言われるYBa2Cu3O7-x は、有利に利用されることができる。上記超伝導性の層16は、厚い、および薄い膜の形成技術を含む、種々の技術のうちの任意の1つにより、形成することができる。好ましくは、パルス化されたレーザ堆積(PLD)のような薄膜物理堆積技術は、高い堆積レートのために用いることができ、または、化学気相堆積技術は、より低コストで、かつ、より大きい表面領域処理のために、用いることができ、あるいは、MOD法のような、化学溶液方法を用いることができる。代表的に、該超伝導性の層16は、該超伝導性の層14と関連する望ましいアンペアレートを得るために、約1から約30μmのオーダーの、最も代表的には、約2から約10ミクロン等のような、約2から約20ミクロンの、厚みを持つ。
【0021】
キャップ層18、および安定化層20は、一般に、低抵抗インタフェースを与えるために、および、実際の使用における、超伝導体のバーンアウトの妨げを助ける電気的な安定化のために、組み入れられる。特に具体的には、層18、および20は、冷却が失敗し、あるいは、臨界電流密度を超えたとき、電荷が継続して流れることを助け、かつ、該超伝導性の層は、該超伝導性の状態から移動し、抵抗性となる。代表的に、貴金属は、キャップ層18のために用いられて、上に横たわる安定化層とのオーム性の接触を与え、かつ、安定化剤である原子が、超伝導性の層14内にマイグレートする高温処理の場合におけるように、超伝導性の層の不所望の汚染を、妨げるようにする。代表的な貴金属は、金、銀、プラチナ、および、パラジウムを含む。銀は、代表的に、そのコスト、および、一般的な入手可能性により、用いられる。該キャップ層18は、代表的に、安定化層20のコーティングの間の、超伝導体の良い保護を与えるに十分な厚さとされるが、しかし、コストの理由により(生の材料、および処理コスト)、一般に、薄くされる。キャップ層18の代表的な厚さは、約0.1から約10.0μm、たとえば、0.5から約5.0μm内の範囲にわたる。種々の技術は、DCマグネトロンスパッタリング等を含む、物理気相成長を含む、キャップ層18の堆積のために、用いられる。
【0022】
安定化層20は、一般に、超伝導性の層16の上に横たわり、特に、図1に示される特定の実施形態において、キャップ層18の上に横たわり、かつ、直接接触するように、組み入れられる。該安定化層20は、厳しい環境的な条件、および、超伝導性の消化に対する安定性を向上させるために、保護/分路層として、機能する。該層は、一般に、高密度であり、かつ、熱的に、および、電気的に、導電性であり、かつ、超伝導性層が、失敗した場合に、電流をバイパスするように機能する。それは、半田またはフラックスのような、中間的なボンド材料を用いることにより、超伝導性のテープ上にあらかじめ形成した銅ストリップを積層する等により、種々の厚い、および薄い膜の形成技術のいずれかにより、形成されることができる。他の技術は、代表的に物理気相成長、またはスパッタリング、ばかりでなく、エレクトレスプレーティング、および、エレクトロプレーティング等のウェット化学プロセスに、焦点を置いている。この点に関し、キャップ層16は、その上への銅の堆積のための、シード層として機能する。
【0023】
図2に戻って、超伝導性の物品の層の断面が、図示される。1つの実施形態によれば、図示されたように、バッファー層200は、基板の上に横たわる耐エピタキシャル膜202、および、耐エピタキシャル膜202の上に横たわるバッファー膜204を、含む。ここで用いられるように、用語“耐エピタキシャル”は、上に横たわる膜が、上に横たわるテキスチャーされた層が堆積される条件では、該耐エピタキシャル層上に、エピタキシャル成長されないことを意味する。代わりの言い方をすれば、該耐エピタキシャル層は、それの上に成長する上に横たわる膜のグレインの方位に対して、影響を、及ぼさない、またはほとんど及ぼさない。ここで、上に横たわるバッファー膜のグレインの方向は、その下にあるエピタキシャル膜からの影響よりむしろ、その、最小自由エネルギープレーン、電荷バランスプレーン等の、それ自身の特性により、あるいは、イオンビーム照射等の外部力により、決定される。すなわち、該耐エピタキシャル膜は、上に横たわる膜のエピタキシーによる成長を妨げるに十分な、結晶学的な、または、化学的な不整合を持つ。結晶学的不整合は、異なる方法、たとえば、格子定数不整合、格子対称性不整合、格子パラメータ不整合、により明らかにすることができ、以下により詳細に記述される。
【0024】
1つの実施形態において、該耐エピタキシャル膜202は、単一軸的にテキスチャーされる。該耐エピタキシャル膜202の単一軸テキスチャーは、基板面に垂直な面、の外にある。特定の実施形態において、該耐エピタキシャル膜202の単一軸結晶テキスチャーは、面内に有意義なテキスチャーを持たないで、面外方向にある。
【0025】
特定の実施形態によれば、該耐エピタキシャル膜は、約20nm、50nmより小さくないように、約10nmより小さくない、あるいは、約100nmより小さくないように、より大きいグレインサイズを持つ。このような比較的大きなグレインサイズは、ある応用に特に、適切なものであり、有効な、耐エピタキシャル層の形成において助けとなる。
【0026】
ここで、使用されるように、用語“テキスチャー”は、“モザイク拡散”として知られ、定量化された各膜の、グレインツツーグレインの結晶学的なミス方位に、言及する。代表的に、該耐エピタキシャル膜のためのモザイク拡散は、約20°、15°、10°、または5°のように、約30°より小さいが、しかし、代表的に、約1°より大きく、一般に、有限である。上記で議論した実施形態によると、用語“実質的なテキスチャーのない”は、一般に、約30°より大きく、かつ、一般にランダムな多結晶学的配置を含む、該膜のモザイク拡散に言及する。
【0027】
上記した実施形態の特定の特徴によれば、前記耐エピタキシャル膜を形成する材料の単軸テキスチャーは、充分な品質(低モザイク拡散)、および方位を持ち、次の上に横たわる層(代表的に、該2軸テキスチャー膜)の成長のために提示される最終の表面が、鋳型を作らない効果を持つことを確実にする。単軸テキスチャーは、ランダムな結晶粒が、上に横たわる層の所望の2軸テキスチャーに負に衝撃を与えそうである、次の層の局所的な鋳型化を生じる結果となる方位を取らないことを、確実とすることを助けることができる。
【0028】
1つの実施形態によれば、該耐エピタキシャル膜202の単軸結晶テキスチャーは、イオンビームアシスト堆積(IBAD)により達成される。IBADは、第2世代HTSテープ製造と関連して利用されてきたが、それは、特定の2軸結晶構造を強制するために、代表的に保持されてきた。ここで、それは、一般に、上記した耐鋳型化特性を持つ、耐エピタキシャル膜内の単軸結晶構造を、強制するのに用いられる。
【0029】
1つの実施形態によれば、該耐エピタキシャル膜202は、該耐エピタキシャル膜202の結晶構造のエピタキシャル成長を通しての再生が、バッファー膜204内においては、妨げられるよう、該バッファー膜204との大きい格子不整合を持つ結晶材料よりなる。1つの実施形態によれば、該耐エピタキシャル膜202と、バッファー膜204との間の格子不整合は、約12%より小さくなく、好ましくは、20%より大きく、かつ、いくらかの場合には、約30%より大きい。
【0030】
適切な格子不整合を持つ耐エピタキシャル膜材料を与えることは、バッファー膜204よりなる材料に、部分的に依存する。たとえば、1つの実施形態においては、該バッファー膜204は、MgOよりなる。このような場合、適切な単軸にテキスチャーされた耐エピタキシャル膜材料は、Y2O3、AlON、Eu2O3、Er2O3、Gd2O3、Tb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Gd2O3、LaAlO3、またはこれらの材料の結合よりなる。
【0031】
もう1つの実施形態において、該耐エピタキシャル膜202は、バッファー膜204の表面格子対称性とは異なる表面格子対称性を持つ結晶学的材料よりなり、該バッファー膜204における結晶成長を妨げる。以前の実施形態において述べたように、該耐エピタキシャル膜202よりなる材料の選択は、該バッファー膜204よりなる材料により、部分的に決定される。1つの実施形態において、該バッファー膜204材料は、岩塩状結晶構造よりなり、代表的に、4重の表面格子対称性を持つ、IBAD MgO、のようなIBADにより形成される。したがって、該耐エピタキシャル膜202は、3重の、または2重の、表面格子対称性のような、異なる表面格子対称性を持つ材料を含むことができる。1つの実施形態において、該バッファー膜204は、(001)方位のIBAD MgOを含み、該耐エピタキシャル膜202は、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、GdZrO7 等のピロクロア型材料、および、酸化イットリウム等の希土類C型材料等の、(111)方位のフルオライト型材料よりなる。
【0032】
この材料は、(111)最密充填平面を持ち、熱ダイナミック成長条件の下で、(111)面外単軸テキスチャーを形成しようとする。3重表面対称性を形成する8角形構造を持つ材料は、もし、それらが、3重、または6重対称表面格子を持つ、単軸テキスチャー膜を形成することができれば、上記した材料の代わりに、用いられることができる。これらの材料は、Al23を含む。ときどき、2重対称表面格子を持つ単軸テキスチャー膜を形成することのできる材料は、また、耐エピタキシャル層としても、用いことができる。
【0033】
もう1つの実施形態において、該耐エピタキシャル膜202は、格子パラメータa、b、cを持つ非立方体材料よりなり、ここで、上記格子パラメータのうちの任意の2つの値間の差は、約20%より小さくなく、好ましくは、約30%より、小さくない。
もう1つの実施形態において、耐エピタキシャル膜202は、格子平面間の角度が、少なくとも5°だけ、好ましくは、少なくとも10°だけ、直角ではない、三斜晶系の、または単斜晶系の、結晶構造を持つ材料よりなる。該耐エピタキシャル膜202材料は、上記したように、a、b、c格子定数間に、両方ともに大きな差を持ち、かつ、三斜晶系、または単斜晶系構造をもつ材料よりなる。適切な材料は、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化スカンジウム、酸化サマリウム、酸化ジルコニウム、酸化ホルミウム、酸化プラセオジミウム、酸化プロメシウム、酸化ジスプロシウム、酸化スーリウム、酸化ルテティウム、酸化イッテルビウム、および、酸化ネオジミウム等の、基を中心とした単斜晶系構造を含む。他の、酸化チタニウム、酸化ヴァナジウム、酸化ニオビウム、酸化クロミウム等の単斜晶系材料、および、酸化ビスマス等の直交構造材料をも、利用することができる。
【0034】
1つの実施形態によれば、該耐エピタキシャル膜202は、バッファー膜204内のエピタキシャル成長を妨げる、大きい表面緩和特性を有する結晶性材料よりなる。“大きい表面緩和”は、たとえば、バルク材料から表面緩和下にある表面への、結晶構造の変化として、定義される。いくらかの材料については、結果として生じる表面格子定数は、そのバルク格子定数の2倍以上であることができ、かつ、該結果として生じる表面格子対称性は、立方体構造より単斜性構造に変化する。この現象は、耐エピタキシャル膜と、バッファー膜との間の耐エピタキシー関係を与える。
【0035】
バッファー膜204に戻って、該膜は、代表的に、2軸テキスチャーされており、これは、該膜が、該膜の面内、および面外の両方において、両軸に沿って一般に並んでいる結晶性のテキスチャーを有することを意味する。このような2軸テキスチャーは、IBADで遂行することができる。技術において理解されているように、酸化マグネシウムは、バッファー膜204のための代表的な選択の材料であり、50から200オングストローム等の、50から500オングストロームのオーダーにあってよい。現在のところ、米国特許第6,190,752号明細書、および、米国特許出願公開第2003/0144150号明細書におけるように、このIBADバッファー膜は、岩塩状の結晶構造のものであることが、主張される。しかしながら、ここでの実施形態によれば、現在のバッファー膜は、岩塩状の材料に、限定されないが、これを含む材料よりなってもよい。耐エピタキシャル膜との耐エピタキシャル関係を持ち、HTS導体の後の処理の間での他の要件を満たす多種の材料を、用いることができる。
【0036】
2軸バッファー膜の1つの実施形態は、(001)最低自由エネルギー、または、(100)最密充填平面を持つ、非立方体構造材料よりなる。例は、金紅石(TiO2)、またはアナターゼ(鋭錘石)TiO2等の正方晶系構造材料、酸化ランタンアルミニウム(LaAlO3)等の菱面体晶構造材料、または、YBCO等の層構造材料を含むが、しかしこれらに限定されない。
【0037】
2軸バッファー膜の、もう1つの実施形態は、(001)電荷バランス平面を持つ、非岩塩状材料よりなる。該電荷バランス結晶平面は、その中に、負イオンからの全負電荷が、正イオンからの全正電荷とほぼ同じだけある結晶平面である。このような材料の1つの例は、TiO2,SnO2,RuO2を含むルチル構造材料であり、これは、(001)面に沿った電荷バランス平面を持つ。
【0038】
1つの側面において、バッファー膜は、耐エピタキシャル膜上に配置されており、該バッファー膜は、2軸結晶テキスチャーを持つ。定義により、2軸テキスチャーバッファー膜は、面内、および面外の結晶テキスチャーを持つ。ここで定義されるように、“2軸テキスチャー膜”は、その中において、最上端部の結晶学的な面内、および面外モザイク拡散が、たとえば、約20°、15°、10°、または5°より低い等のように、約30°より低い、しかし、代表的に1°より大きい有限である多結晶性の材料である。
【0039】
該バッファー膜204は、2軸テキスチャーが、一般に、イオンビームアシスト堆積により、引き起こされる層である。該バッファー膜204は、一般に、約50から約5000オングストローム内の厚さを持つ。該2軸テキスチャーバッファー層204は、好ましくは、(001)面外方位を持つ。該バッファー膜204は、MgO、NiO等の岩塩状結晶構造を持つことができ、または、YSZ、CeO2、Y2O3、TiO2、SnO2、Mn3O4、Fe3O4、Cu2O、または、RE2O3、ここで、REは、希土類元素である、よりなる。
【0040】
上記したテープ等の、超伝導性の物品と関連した特定のアーキテクチャー、およびプロセス技術を超えて、実施形態は、また、このような導体を組み込んでいる産業上の、または商業上の電力要素等の、要素に向けられている。ある実施形態は、電力ケーブル、すなわち、“回転機械”として知られる、あるクラスの電力要素、に向けられており、これらは、広く、発電機、および電動機を含み、他の実施形態は、変圧器に向けられている。
【0041】
図3Aは、本発明の1実施形態による電力ケーブル300を示す。示された電力ケーブル300は、3相のすべてが、同じ熱的に、絶縁性の導管330内に収容されたトレフォイル配列に配置された3つの超伝導性のケーブル、またはテープ320を示す。グランド平面340が、また示されている。該相は、一般に、物理的に可能なように、できるだけ相互に近接して位置している。示されてはいないが、他の配列が、3つのケーブルが、同心に位置している同心配列を含んで、可能である。
【0042】
図3Bは、単一の例示的な超伝導性のケーブル320の詳細を示す。外側から内側に進み、ケーブル320は、外装366、スキッドワイヤ364、コルゲートされたスチール362、および、熱絶縁体360を、含む。液体窒素(LN2)ダクト358は、冷蔵体をケーブル320に対し与え、かつ、中心にあるワイヤ356上に、配置されている。銅シールド354が設けられ、かつ、超伝導体テープ層352上に配置されている。誘電体テープ350は、テープ層352と、銅シールド348の間に配置されている。もう1つの超伝導体テープ層346は、銅シールド348の下にある。フォーマー/ダクト344は、窒素の凝固点(これは、約63.3Kである)以上の温度への、コスト的に有効な冷却を許す、液体窒素冷却材のような、冷却流体の通路を与える。該電力ケーブル300は、電力送信ケーブル、または電力配電ケーブルを形成することができる。
【0043】
図4は、その周りに、1次巻線72、および2次巻線74が設けられる中央コア76を持つ電力変圧器を、図式的に示している。図4は、その性質上、図式的であり、該変圧器の実際の地理的な形状は、技術においてよく理解されるように、変化することができる。
しかしながら、該変圧器は、少なくとも基本的な1次、および2次巻線を含む。この点に関し、図4に示す実施形態においては、1次巻線は、2次巻線より多くのコイルを有し、入力電力信号の電圧を、低減する電圧降下変圧器を示す。逆に、2次巻線に対して、1次巻線に、より少ない数のコイルを設けることは、電圧の上昇を与える。この点に関し、代表的に、昇圧変圧器は、超距離にわたっての電力ロスを低減するために、電圧を、高電圧に上昇させる電力送信サブステーションにおいて利用され、一方、降圧変圧器は、電力のエンドユーザへの後のステージでの配電のために、配電サブステーションにおいて集積される。1次巻線と2次巻線の少なくとも1つ、および好ましくは両方は、以上の記述に従った超伝導性のテープよりなる。
【0044】
図5に戻って、発電機の基本的構造が、与えられる。該発電機は、タービンによって等、技術において知られているように、駆動されるローター86を含む。ローター86は、高強度電磁石を含み、これは、電力の発生に望ましい電磁界を形成するローターコイル87により形成されている。
【0045】
該電磁界の形成は、少なくとも1つの導電性配線89よりなるステーター88において、電力を生成する。本実施形態の特定の特徴によれば、ローターコイル、および/またはステーター巻線は、上記した実施形態にしたがって、超伝導性のテープよりなる。
【0046】
ここでの実施形態によれば、再製造可能な、超伝導性の物品は、超伝導性の層における好ましいテキスチャーを可能とする特徴的なバッファー層における、好ましいテキスチャーをもって、与えられる。実施形態は、その上に2軸テキスチャーされたバッファー膜が成長されるアモルファス表面上に依拠する必要を、未然に取り除いており、かつさらに、米国特許第6,489,580号明細書において開示された、その上に2軸膜がエピタキシャル成長される単軸の鋳型膜を利用する、先行する仕事からの基本的なシフトを、示している。
【0047】
本発明の特定の側面は、ここで、特異性を持って記述されたが、当業者は、これに対して、まだ、現在の請求項の範囲内にある修整を行うことができることが、よく理解されるであろう。以前に記述した実施形態、および例は、どのようにも、以下の請求項を、制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の1実施形態による超伝導性の物品の一般化された構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の1実施形態による超伝導性の物品の一般化された構造を示す断面図である。
【図3A】図3Aは、ケーブルにおいて使用される、前記超伝導性の物品の1実施形態を図示する。
【図3B】図3Bは、ケーブルにおいて使用される、前記超伝導性の物品の1実施形態を図示する。
【図4】図4は、変圧器の模式図である。
【図5】図5は、電力発生器の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導性の物品であって、以下のものよりなる:
基板;
前記基板の上に横たわる、結晶性の、耐エピタキシャル膜;
前記耐エピタキシャル膜の上に横たわるバッファー膜であって、該バッファー膜は、2軸の結晶テキスチャーを持つ;かつ、
前記バッファー膜の上に横たわる超伝導性の層。
【請求項2】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、単軸テキスチャーを持つ。
【請求項3】
請求項2に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜の前記単軸テキスチャーは、膜の、平面外方位に沿っている。
【請求項4】
請求項3に記載の超伝導性の物品であって、
前記平面外結晶学的テキスチャーは、一般に、[111]結晶方位に沿っている。
【請求項5】
請求項3に記載の超伝導性の物品であって、
前記平面外結晶テキスチャーは、約30度より大きくない、モザイク拡散である。
【請求項6】
請求項5に記載の超伝導性の物品であって、
前記平面外結晶テキスチャーは、約20度より大きくない、モザイク拡散である。
【請求項7】
請求項6に記載の超伝導性の物品であって、
前記平面外結晶テキスチャーは、約10度より大きくない、モザイク拡散である。
【請求項8】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記結晶性耐エピタキシャル膜は、10nmより小さくない平均グレインサイズを持つ。
【請求項9】
請求項8に記載の超伝導性の物品であって、
前記結晶性耐エピタキシャル膜は、20nmより小さくない平均グレインサイズを持つ。
【請求項10】
請求項8に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、前記バッファー膜と、格子不整合をもち、前記耐エピタキシャル膜と、前記バッファー膜との間の格子不整合は、約10%より小さくない。
【請求項11】
請求項10に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜と、前記バッファー膜との間の格子不整合は、約20%より小さくない。
【請求項12】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、前記バッファー膜の平面内格子対称性と異なる平面内格子対称性を持つ。
【請求項13】
請求項12に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜の前記平面内格子対称性は、3重対称性であり、前記バッファー膜の前記平面内対称性は、4重対称性である。
【請求項14】
請求項13に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、(111)の最も低い自由エネルギー平面を持つ、フルオライト型材料、ピロククロア材料、希土類C型材料、および、ヘキサゴン型材料より選択されたものである。
【請求項15】
請求項12に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜の前記平面内格子対称性は、2重対称性であり、前記バッファー膜の前記平面内対称性は、4重対称性である。
【請求項16】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、格子パラメータa、b、cを持つ材料よりなり、ここで、上記格子パラメータのうちの任意の2つの値間の差は、約20%より小さくなく、好ましくは、約30%より、小さくない。
【請求項17】
請求項16に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、格子平面を持つ、単斜晶系の、または、三斜晶系の、構造材料よりなり、ここで、前記格子平面間の角度は、5°以上だけ、非直交である。
【請求項18】
請求項16に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、非直交構造材料よりなる。
【請求項19】
請求項17に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、ベースを中心とした単斜晶系構造材料よりなる。
【請求項20】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化スカンジウム、酸化サマリウム、酸化チタニウム、酸化ヴァナジウム、酸化ニオビウム、酸化クロミウム、酸化ジルコニウム、酸化ネオジミウム、酸化ホルミウム、酸化プラセオジミウム、酸化プロメシウム、酸化ジスプロシウム、酸化スーリウム、酸化ルテニウム、酸化イッテルビウム、および、酸化ビスマスよりなるグループからの少なくとも1つの材料よりなる。
【請求項21】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記耐エピタキシャル膜は、表面緩和を持つ材料よりなり、表面緩和は、その上にバッファー膜が横たわる耐エピタキシャル膜の表面が、該バッファー膜と耐エピタキシャル関係を持つような、バルクと、表面との間の、格子構造における差である。
【請求項22】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、前記2軸テキスチャーされたバッファー膜は、平面外方位に沿った<001>方位を持つ。
【請求項23】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、前記バッファー膜は、(001)電荷バランス結晶表面を持つ非岩塩状材料よりなる。
【請求項24】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記バッファー膜は、(001)最低自由エネルギーの、または(100)最密充填平面を持つ、非立方体構造の材料よりなる。
【請求項25】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記バッファー層は、MgO、NiO、YSZ、CeO2、Y2O3、 Mn3O4, Fe3O4、Cu2O, および、RE2O3, ここで、REは、希土類元素である、ルチル、および、アナターゼを含む正方晶構造材料、LaAlO3を含むロームボーへドラル構造材料、および、YBCOを含む異方性の層構造材料、よりなるグループからの少なくとも1つの材料よりなる。
【請求項26】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記超伝導性の物品は、77Kで少なくとも0.5MA/cm2の電流Jc、及び自己電磁界を与える。
【請求項27】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記超伝導体の層は、REBa2Cu3O7 よりなり、ここで、REは、稀土類元素である。
【請求項28】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
REは、Yよりなる。
【請求項29】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記物品は、超伝導性のテープの形をしている。
【請求項30】
請求項29に記載の超伝導性の物品であって、
前記物品は、約10より小さくない寸法比を持つ。
【請求項31】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
さらに、前記基板と、前記バッファー層との間に配置された保護層を備える。
【請求項32】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記超伝導性の物品は、超伝導性テープのコイルであり、該超伝導性テープのコイルは、基板、耐エピタキシャル膜、および、超伝導性の層よりなる。
【請求項33】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
該物品は、電力変圧器よりなり、該電力変圧器は、少なくとも1つの、一次巻線、および、2次巻線を備え、ここで、少なくとも1つの一次巻線、および、2次巻線は、超伝導性のテープの巻かれたコイルよりなり、前記超伝導性のテープは、基板、耐エピタキシャル膜、バッファー膜、および、超伝導性の層よりなる。
【請求項34】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、
前記物品は、回転機械であり、該回転機械は、少なくとも1つの巻き線よりなり、ここで、該少なくとも1つの巻き線は、基板、耐エピタキシャル膜、バッファー膜、および、超伝導性の層より形成される超伝導性のテープよりなる。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−522733(P2009−522733A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548845(P2008−548845)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/062655
【国際公開番号】WO2007/136421
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(505448796)スーパーパワー インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】