超塑性・拡散接合パネルの成形方法
【課題】超塑性・拡散接合パネルの成形速度を均一化し、成形ガス圧制御の容易化、成形時間の短縮、成形精度の向上、装置構成簡素化を図る。
【解決手段】パネルのフェース面を成形するプレート51,52を成形型30内に収め、ガス圧、バネ、金属ハニカム等の手段を用いてプレート51,52をフェースシート2,3に押圧しつつ、パネルの膨張に伴ってプレート51,52を移動させて超塑性成形を行う。
【解決手段】パネルのフェース面を成形するプレート51,52を成形型30内に収め、ガス圧、バネ、金属ハニカム等の手段を用いてプレート51,52をフェースシート2,3に押圧しつつ、パネルの膨張に伴ってプレート51,52を移動させて超塑性成形を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機の機体構造等のように、特に耐熱性を必要とする部位に使用されるチタン合金等の金属板材を複数枚合わせて、超塑性成形(Super Plastic Forming )及び拡散接合(DiffusionBonding)の技術を用いて一体化しパネルを成形する超塑性・拡散接合パネルの成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、チタン合金の多く、或いは一部のアルミニウム合金やニッケル合金等には、超塑性を備えたものがあり、例えば適当な組成のチタン合金は数百パーセントに達する伸びを示すことが知られている。このような超塑性材料は、超塑性成形手段を用いることにより非常に複雑な形状であっても比較的容易に成形できる。
【0003】
特許文献1には、中空パネルを構成する3枚の金属板材の積層体の両外側に接合防止剤の塗布層を介してプレート支持板を各々重ね、該プレート支持板に挟まれた金属板材の積層体を成形型にセットし、該成形型の内壁とプレート支持板との間にパネル内の接合不要区域間に導入する圧力より低い圧力を導入してプレート支持板による最外層金属板材の規制の下で超塑性成形を行う成形方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、被成形超塑材を相対する平行な平面又は曲面を有する上下金型に挟持し、下金型を昇降して、超塑性成形時にパネルの膨張圧力に調和して金型間圧力を制御する超塑性成形装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−18532号公報
【特許文献2】特開平9−47825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、背面に圧力が付与されたプレート支持板によって局所的な膨張が防止されてパネル表面における皺の発生が防止できる。
しかし、特許文献1記載の発明及び特許文献1記載の発明に対しそのプレート支持板を排除したものに相当する従来の技術では、図12に示すように、超塑性を示す金属のシート1,2,3の周縁部は成形型30によりクランプされているため、これにより中央より大きく拘束を受けるパネル端部41の成形は相対的に遅く、パネル中央部40の成形は相対的に速くなる。
図13は、超塑性成形の進行度合いに応じて制御される成形ガス圧の変化を示したグラフである。なお、成形ガス圧はパネル内側に導入するガスの圧力からパネル外側のガス圧を引いた値である。
超塑性成形では、成形速度が速いとコアシート1が破れるため、適切な成形速度で成形を進める必要がある。図12に示すように成形速度がパネルの部位により異なる場合は、成形初期は成形の早い部分40に適切な成形ガス圧で成形を進める。この時の成形ガス圧は、成形の遅い部分41に対しては適切値より低いこととなる。成形速度の速い部分40が成形型30に接触する時点(図13のt1)以降は、成形型30に接触した部位は成形が止まるので、未だ成形型30に接触していない相対的に成形速度の遅い部分41の成形のために成形ガス圧を徐々に高くしていく必要がある。その後、全ての部位が成形型30に接触し(図13のt2)、シート1,2,3からなるパネルが成形型30の内壁に倣った形状になる。
【0006】
以上のような理想的な制御に成功しても、0〜t1の期間の成形ガス圧は、成形の遅い部分41に対しては適切値より低いため、全ての部位の成形が終了する時間は長期化し効率的でない。
また、実際には成形を直接監視しながら進めることができないため、成形の進行度合いは、成形ガス圧力の変化の挙動、シミュレーションによる結果等、間接的な方法に頼って判断せざるを得ない。したがって、上述したようには成形ガス圧を理想的に制御することは困難である。
このため、成形が進んでいない状態で成形ガス圧を上げたことによる局部的なコアシートの破れ、逆に低い成形ガス圧による成形の更なる長時間化が問題となっており、効率的とならない。
なお、コアシート1がなく2枚の超塑性金属シートによりパネルを構成する場合にも、部位による成形速度の不均一は生じ、上記の問題は同様に生じる。
【0007】
図14のようにコアの密度が1枚のパネルの中で変わる構造では、コアの密度が高い部分42に対してコアの密度が低い部分43の成形が進みやすく、この成形進行過程の具合のバラツキによりコアの最終位置が様々に変わるため、コアを精度良く形成することが難しいという問題、コア密度の変化する部分のコア44の負担する荷重が大きくなるため、コアシート1が破れやすいという問題がある。
【0008】
特許文献2記載の装置によれば、成形の進行と共に成形型を昇降させることによって、成形速度を均一にし、部位による成形速度の不均一に起因した前記諸問題を一掃できる。
しかし、特許文献2記載の装置では、成形型がパネルの膨張に従って開いていくため、パネルの端面は膨張に任せた形状になってしまい、成形型により所望の形状に成形することができないという問題がある。
また、特許文献2記載の装置では、型の昇降を行うために複雑な機械装置を必要とし、装置が大型、高価になるという問題がある。
【0009】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、超塑性・拡散接合パネルの超塑性成形における成形速度を均一化して容易かつ効率的に成形可能にすることを課題とする。
また、超塑性・拡散接合パネルの超塑性成形における成形速度を均一化して、パネルの端部を含むパネルの外形及びコアがある場合はコア形状を含めて超塑性・拡散接合パネルを所望の形状に精度良く成形可能にすることを課題とする。
また、できるだけ簡素な装置構成により超塑性・拡散接合パネルの超塑性成形におけるコアの成形速度を均一化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、超塑性成形及び拡散接合が可能な少なくとも2枚の金属板材を重ね合わせ、該重ね合わせた金属板材の積層体を成形型にセットし、該型内を加熱して接合区域に対応する金属板材の重合部分を金属板材相互で拡散接合すると共に、金属板材間の接合不要区域間に不活性ガスによる圧力を導入してパネルを超塑性成形する超塑性・拡散接合パネルの成形方法において、
前記積層体の最外層となる金属板材の外側に、前記超塑性成形をする時に定形を保ち、前記パネルのフェース面を成形する成形面を片面に有し、成形完了後型閉め状態で前記パネルの占める空間を残して前記成形型内に収まるプレートを配置し、
前記成形型を型閉めした状態で、前記プレートの前記成形面を前記最外層となる金属板材に押圧しつつ、前記積層体の前記不活性ガスによる膨張による前記最外層の表面の移動に追従して前記プレートを移動させて前記超塑性成形を行うことを特徴とする超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記プレートを前記超塑性成形をする時に変形可能で前記プレートを支持する支持体で覆い、前記積層体、前記プレート及び前記支持体を前記成形型にセットして型閉めして前記成形型内の成形空間におけるガスの流通を前記支持体により遮断し、前記支持体とこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記接合不要区域間に導入する圧力より低い圧力を導入してこの低い圧力により前記押圧を行うともに、前記低い圧力と前記接合不要区域間に導入する圧力との差圧によって、前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に弾性変形して前記プレートを支持する支持体を介装し、前記支持体の弾性力により前記押圧を行うともに、前記支持体の弾性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記プレートを支持し所定値以上の圧力で降伏する支持体を介装し、前記接合不要区域間に導入する圧力により前記プレートを前記支持体に押圧することにより前記押圧を行うともに、前記支持体の塑性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記支持体は金属ハニカムであることを特徴とする請求項4記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレートに沿う部分のパネルの成形速度が均一化するため、成形速度の不均一に対処するための成形ガス圧制御の困難が解消又は軽減されるとともに、成形時間が短期化し、容易かつ効率的に超塑性成形を行うことができるという効果がある。
また、成形型を型閉めした状態で超塑性成形を行うから、成形型によりパネルフェース面周囲のパネル端面が成形できる。その上、超塑性成形における成形速度が均一化するため、成形品の端部を含む成形品の外形及びコアがある場合はコア形状を含めて成形品を所望の形状に精度良く超塑性成形することができるという効果がある。
【0016】
請求項2〜5のうちいずれか一に記載の発明によって、プレートによる押圧及びプレートの移動を行うことにより、既存の設備に対して前記プレートと前記支持体を設けるだけで実施可能となり、複雑な機械構造やその動力を新たに設けることが避けられ簡素な装置構成により超塑性成形における成形速度の均一化を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の超塑性・拡散接合パネルの成形方法の一実施形態を図を参照して説明する。
【0018】
〔第1実施の形態〕
本発明の第1実施の形態を図1から図6を参照して説明する。
先ず、超塑性成形及び拡散接合が可能な金属板材、例えばTi−6Al−4V,Ti−4.5Al−3V−2Fe−2Mo,Ti−6Al−6V−2Sn等のチタン合金、からなる3枚のシート素材1,2,3を用意し、このシート素材1,2,3の内、図1に示すように重ね合わせた際に、中間に位置するコアシート1の一方の面に接合不要区域4a,4b,4c,4dを設定すると共に、他方の面に接合不要区域4a,4b,4c,4dと平面視において一部が重複する接合不要区域5a,5b,5c(図2参照)を設定する。コアシート1の一方の面の接合不要区域4a,4b,4c,4dと他方の面の接合不要区域5a,5b,5cとの平面視において重複する部分に予め各々ガス孔6が穿孔され、更に、このコアシート1に接合不要区域4aに一端が臨む成形ガス導入用溝7が形成されている。
【0019】
一方、コアシート1を挟む2枚のフェースシート2,3のうち、フェースシート2には、コアシート1に重ね合わせた際、成形ガス導入用溝7とフェースシート2とによって形成される成形ガス導入路の一端と連通する成形ガス供給孔8が穿設されている。
【0020】
そして、上記コアシート1の各接合不要区域4a,4b,4c,4d及び5a,5b,5cにイットリア等の接合防止剤9を塗布し、図2に示すようにコアシート1の両面にフェースシート2及び3を重ね合わせて積層体10を形成する。
【0021】
次に、図3に示すように、積層体10のフェースシート2の外側に接合防止剤9の塗布層9cを介してプレート51を、フェースシート3の外側に接合防止剤9の塗布層9cを介してプレート52を配置する。
プレート51,52の材料としては、超塑性成形をする時の環境下、すなわち、温度、加重等の負荷の下で定型を保つことができる変形しにくい材料を用いる。シート素材1,2,3がチタン合金のときは、超塑性成形をする時の型内温度は780℃〜900℃となり、例えば、ステンレス鋼SUS310をプレート51,52として適用できる。その他の耐熱性及び剛性の高い金属、セラミック等の材料を適用しても良い。
プレート51,52は、成形完了後型閉め状態で成形品の占める空間を残して図4に示す成形型30内に収まる形状及び大きさを有する。
【0022】
次に、接合防止剤9の塗布層9aを介して各々プレート支持板16を重ねてプレート51,52を覆い、図4に示すように、第1成形型31及び第2成形型32からなる成形型30内にプレート支持板16に挟まれた積層体10及びプレート51,52をセットし、成形型30に油圧プレス等により圧縮荷重を付加して型内をシールする。このとき、プレート支持板16及び積層体10の周縁部が成形型30によりプレスされ、プレート51,52は成形型30内に収まる。なお、プレート支持板16のフェースシート2に設けた成形ガス供給孔8に重なる部分には、成形ガス供給孔8に連通する孔(図示せず)を設けてあり、型閉め時には、この孔に第1成形型31に形成された成形ガス供給孔31hが接続する。
【0023】
ここで、プレート支持板16は、超塑性成形時の成形温度においてフェースシート2,3よりも変形応力が高く、かつ数十パーセントの伸びを有する安価な材料を用いることができる。なお、適当な材料がない場合は、フェースシート2,3と同じ材料を用いることも可能である。
【0024】
また、プレート支持板16の板厚は、成形に供する材料、プレート51,52とパネルの高さ及びプレート51,52とパネルの形状等を勘案して決定する。
プレート支持板16の外側にも接合防止剤9bを塗布し、成形後の離型を容易にすることが好ましい。
【0025】
このプレート支持板16に挟まれた積層体10及びプレート51,52を成形型30へセットした後、第1成形型31及び第2成形型32の内部空間31A内と32A内をガス供給孔31g,32gを介してアルゴンガス等の不活性ガスで置換しながら、図5に図4の一部を拡大して示すように、積層体10におけるコアシート1と各フェースシート2及び3との境界11及び12内を成形ガス給入孔31hを介して真空引きし、しかる後、積層体10及び成形型30の全体を加熱し、所定温度に昇温した後に成形型30の内部空間31A及び32A内にガス供給孔31g,32gを介して不活性ガスを所定の圧力で導入し、コアシート1と各々のフェースシート2及び3の接合区域13a,13b,13c,13d,13e及び14a,14b,14c,14d(図2参照)を拡散接合させる。
【0026】
しかる後、上記コアシート1とフェースシート2との間の接合不要区域4aに不活性ガスを導入する。なお、この接合不要区域4a内への不活性ガスの導入は、第1成形型31に開口する成形ガス給入孔31hから成形ガス供給孔8及び成形ガス導入溝7を介して行う。
【0027】
この接合防止剤9が介在する接合不要区域4aに導入された不活性ガスの圧力によって、接合不要区域4aに対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とが超塑性変形して膨れて、図6に示す第1拡張室15aが形成される。
一方、不活性ガスは、コアシート1の表裏を連通するガス孔6から接合防止剤9が介在する接合不要区域5aに導入されて圧力を付与し、この接合不要区域5aに対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とを超塑性変形して第2拡張室15bが形成される。
【0028】
引き続き、第2拡張室15bに導入された不活性ガスは、ガス孔6から接合防止剤9が介在する接合不要区域4bに導入され、接合不要区域4bに対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とを超塑性変形して第3拡張室15cが形成される。
【0029】
更に、導入された不活性ガスは、ガス孔6を介して、接合不要区域4b,5b,4c及び5cへと順次に導入され、各接合不要区域に対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とを同様に超塑性変形させて、図6に示すように、第4拡張室15d、第5拡張室15e、第6拡張室15f、第7拡張室15gが順次に形成される。
【0030】
以上の超塑性変形工程において、図6に示すように第1成形型31の内壁とプレート支持板16との間、即ち内部空間31A内に、上記各接合不要区域4a,4b,4c,4d,5a,5b,5cに導入する圧力P1より低い圧力P2を、ガス供給孔31gを介して不活性ガスを供給することにより導入する(P1>P2)。
同様に、第2成形型32の内壁とプレート支持板16との間、即ち内部空間32A内に、圧力P1より低い圧力P3を、ガス供給孔32gを介して不活性ガスを供給することにより導入する(P1>P3)。
【0031】
この低い圧力P2により、プレート51の成形面をフェースシート2に押圧してフェースシート2の外表面にパネルフェース面を形成しこれを保持する。圧力P1のみを負荷した場合、フェースシート2は凸状に膨らむが、プレート51の面内においてフェースシート2の凸状の変形を許さないように、圧力P2によりプレート51をフェースシート2に押圧してプレート51の面内においてフェースシート2を図4に示す初期の平面状に拘束する。
同様に、圧力P3により、もう一方のプレート52の成形面をフェースシート3に押圧してフェースシート3の外表面にパネルフェース面を形成しこれを保持する。圧力P1のみを負荷した場合、フェースシート3は凸状に膨らむが、プレート52の面内においてフェースシート3の凸状の変形を許さないように、圧力P3によりプレート52をフェースシート3に押圧してプレート52の面内においてフェースシート3を図4に示す初期の平面状に拘束する。
【0032】
圧力P2,P3により押圧力を与え、超塑性成形開始時には図4に示すように、両プレート51,52の表面全体を積層体10の表裏にそれぞれ密着させた状態にし、超塑性成形開始時から超塑性成形終了まで両プレート51,52の表面を積層体10の表裏にそれぞれ密着させた状態に保持する。
【0033】
以上の超塑性成形により、平面状のパネルフェース面においては、成形速度が均一化する。
圧力P2,P3が不十分な場合、プレート51,52の周縁部とフェースシート2,3とが接触せず、隙間が生じ得るが、この場合でも成形速度差が減少し、超塑性成形の容易化、効率化等の効果が得られる。
超塑性成形過程においてプレート51,52とフェースシート2,3とに非接触部が生じないように、圧力P1,P2,P3を制御する。圧力P1,P2,P3は成形シミュレーションを行って決定する。
【0034】
やがて第1成形型31の内面及び第2成形型の内面にプレート支持板16が到達し、超塑性成形が終了する。この時、プレート51,52に対向するパネルフェース面の周囲のパネル端面の成形は第1成形型31の内面及び第2成形型32の内面(図中の傾斜面)によって完成する。
【0035】
以上の工程に従って得られる成形品は成形型30から取り出され、トリム処理工程等で形状が整えられて製品としてのパネルとなる。
【0036】
〔第2実施の形態〕
次に、本発明の第2実施の形態を図7を参照して説明する。図7に示すように、本実施の形態においては上記第1実施の形態のプレート支持板16に代え、バネ53をプレート51を支持する支持体とし、バネ54をプレート52を支持する支持体とする。バネ53,54としては、コイルバネ、板バネ等の種類は問わない。
遅くとも型収め作業時に、プレート51とこれに対向する第1成形型31の内壁との間にプレート51を支持するバネ53を介装する。同様に、プレート52とこれに対向する第2成形型32の内壁との間にプレート52を支持するバネ54を介装する。バネ53,54を介してプレート51,52をそれぞれ第1成形型31、第2成形型32に取り付けておいて、繰り返し使用すると作業効率が向上する。
型閉め後成形開始前の初期状態でプレート51,52がそれぞれフェースシート2,3に密着しているように、バネ53,54を選択する。
【0037】
以上の構成により、上記第1実施の形態と同様に工程を実施する。但し、外側に負荷した圧力P2,P3は除く。また、拡散接合時に内部空間31A及び32A内に供給した不活性ガスは、超塑性成形前に内部空間31A及び32A内からを排出する。
超塑性成形工程において、パネル内部への導入される圧力P1の上昇に従って、バネ53,54の弾性力によりプレート51,52がフェースシート2,3を押圧する押圧力は増していく。それとともに、バネ53,54の弾性変形が進行し、この弾性変形に伴ってプレート51,52が移動する。プレート51,52が所望の速度で移動するように、圧力P1を上昇させていく。
【0038】
〔第3実施の形態〕
次に、本発明の第3実施の形態を図8を参照して説明する。図8に示すように、本実施の形態においては上記第1実施の形態のプレート支持板16に代え金属ハニカム55をプレート51を支持する支持体とし、金属ハニカム56をプレート52を支持する支持体とする。
型収め作業時に、プレート51とこれに対向する第1成形型31の内壁との間にプレート51を支持する金属ハニカム55を介装する。同様に、プレート52とこれに対向する第2成形型32の内壁との間にプレート52を支持する金属ハニカム56を介装する。金属ハニカム55,56は一回一回使い捨てで使用する。プレート51,52の位置ずれが問題になる場合、金属ハニカム55,56を介してプレート51,52をそれぞれ第1成形型31、第2成形型32に係止するが、金属ハニカム55,56は成形終了時に離脱容易にしておく方が作業性が向上する。
型閉め後成形開始前の初期状態でプレート51,52がそれぞれフェースシート2,3に密着し、金属ハニカム55,56が成形型31,32の内面及びプレート51,52に接触しているように、金属ハニカム55,56の厚みを選択する。
金属ハニカムは、ほぼ一定の荷重で一定の圧縮方向の塑性変形が進行する性質を有するものであり、同様の性質を示す他の物に代えても良い。
【0039】
以上の構成により、上記第1実施の形態と同様に工程を実施する。但し、外側に負荷した圧力P2,P3は除く。また、拡散接合時に内部空間31A及び32A内に供給した不活性ガスは、超塑性成形前に内部空間31A及び32A内からを排出する。
超塑性成形工程において、パネル内部への導入される圧力P1の上昇に従って、プレート51,52がフェースシート2,3を押圧する押圧力は増していく。圧力P1を上昇させていき金属ハニカム55,56が降伏すると、金属ハニカム55,56の塑性変形が開始され、圧力P1がほとんど増大すること無しに金属ハニカム55,56の塑性変形が進行する。この塑性変形に伴ってプレート51,52が移動する。本実施の形態によれば、上記第2実施の形態と異なり、塑性変形開始後は圧力P1をほとんど上昇させることなくプレート51,52を一定速度で移動させることができる。
【0040】
〔第4実施の形態〕
次に、本発明の第4実施の形態を図9及び図10によって説明する。この第4実施の形態は、図1及び図2に示したコアシート1とフェースシート2,3とから積層体10を形成する工程を、図9及び図10に示すように変更して行うものであり、上記第1〜第3の各実施の形態に適用可能である。
即ち、図9に示すようにコアシート1の一方の面1aにフェースシート2を重ね合わせ、かつ真空雰囲気中で接合区域13a乃至13e(図9には接合区域13aを示す)の各々を囲むように電子ビーム溶接手段により形成される電子ビーム溶接部20によって互いに溶着すると共に、図10に示すようにフェースシート2を溶着したコアシート1の他方の面1bにフェースシート3を重ね合わせ、接合区域14a乃至14d(図10には接合区域14a及び14bを示す)の各々の周囲を各々電子ビーム溶接部20によって互いに溶着する。これら接合区域13a乃至13e及び14a乃至14dは周囲が囲まれているので真空状態に保持される。
【0041】
このように得られた積層体10を第1実施の形態と同様に成形型30にセットした後、第1実施の形態の拡散接合工程を省略して第1実施の形態と同様の超塑性成形工程を行う。この超塑性成形工程において超塑性成形と拡散接合を同時進行させることができる。
【0042】
この第4実施の形態によると、接合区域の周囲を電子ビーム溶接手段により互いに溶着することで、接合区域が真空状態を保ち、超塑性成形と拡散接合を同時進行させることで成形時間が短縮され、接合不要区域が拡散接合することがないので接合防止剤の塗布が省略でき、工数の削減と相侯って製造コストの低減が得られる。
【0043】
また、接合区域の接合面にインサート材、例えばCu−Niメッキを施した拡散接合、即ち液相拡散接合(Liquid Interface Diffusion Bonding)においても同様の方法で実施することが可能であり、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく本発明に要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
更に、コアシート1とフェースシート2,3との間に成形ガスを供給するガス通路として、上記実施の形態では一方がフェースシート2を厚さ方向に貫通して成形ガス供給孔8を設けたが、成形ガス導入溝7をコアシート1の端まで延長し、この溝中に超塑性を有しないステンレス管を嵌め込み回りをシールしたフェースシート2を重ねるのがよい。フェースシートやコアシートに直接設けた通路は、治具の圧力と高温で孔通路が狭められて抵抗が増大し、成形ガスの供給時間が長くなるが、ステンレス管をはめ込むことにより通路の狭まりが抑えられ成形ガスの供給が阻害されなくなる。
【0045】
以上の実施形態においては、積層体10の両外側にプレート51,52を配置したが、例えば図11に示すように、超塑性成形時の積層体10の膨張が片側にのみ進行する成形型においては、その膨張する側にのみプレートを配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明第1実施の形態に係る3枚の金属板材からなる積層体の分解斜視図である。
【図2】本発明第1実施の形態に係る3枚の金属板材からなる積層体の断面図である。
【図3】本発明第1実施の形態に係る3枚の金属板材からなる積層体、プレート、プレート支持板を重ねた状態の断面図である。
【図4】本発明第1実施の形態に係る成形装置の断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】本発明第1実施の形態に係る成形途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図7】本発明第2実施の形態に係る成形途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図8】本発明第3実施の形態に係る成形途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図9】本発明第4実施の形態に係る電子ビーム溶接された2枚の金属板材の斜視図である。
【図10】本発明第4実施の形態に係る電子ビーム溶接された3枚の金属板材の斜視図である。
【図11】本発明実施の形態に係る片側にのみ膨張が進行する成形型及びその内部の断面図である。
【図12】従来技術に係るコア密度一定パネルを成形している途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図13】従来技術に係る超塑性成形の進行度合いに応じて制御される成形ガス圧の変化を示したグラフである。
【図14】従来技術に係るコア偏在パネルを成形している途中の成形型及びその内部の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 コアシート
2,3 フェースシート
4a,4b,4c,4d 接合不要区域
5a,5b,5c 接合不要区域
6 ガス孔
7 成形ガス導入用溝
8 成形ガス供給孔
9 接合防止剤
10 積層体
15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g 拡張室
16 プレート支持板
20 溶接部
30 成形型
31 第1成形型
32 第2成形型
51,52 プレート
53,54 バネ
55,56 金属ハニカム
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機の機体構造等のように、特に耐熱性を必要とする部位に使用されるチタン合金等の金属板材を複数枚合わせて、超塑性成形(Super Plastic Forming )及び拡散接合(DiffusionBonding)の技術を用いて一体化しパネルを成形する超塑性・拡散接合パネルの成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、チタン合金の多く、或いは一部のアルミニウム合金やニッケル合金等には、超塑性を備えたものがあり、例えば適当な組成のチタン合金は数百パーセントに達する伸びを示すことが知られている。このような超塑性材料は、超塑性成形手段を用いることにより非常に複雑な形状であっても比較的容易に成形できる。
【0003】
特許文献1には、中空パネルを構成する3枚の金属板材の積層体の両外側に接合防止剤の塗布層を介してプレート支持板を各々重ね、該プレート支持板に挟まれた金属板材の積層体を成形型にセットし、該成形型の内壁とプレート支持板との間にパネル内の接合不要区域間に導入する圧力より低い圧力を導入してプレート支持板による最外層金属板材の規制の下で超塑性成形を行う成形方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、被成形超塑材を相対する平行な平面又は曲面を有する上下金型に挟持し、下金型を昇降して、超塑性成形時にパネルの膨張圧力に調和して金型間圧力を制御する超塑性成形装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−18532号公報
【特許文献2】特開平9−47825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、背面に圧力が付与されたプレート支持板によって局所的な膨張が防止されてパネル表面における皺の発生が防止できる。
しかし、特許文献1記載の発明及び特許文献1記載の発明に対しそのプレート支持板を排除したものに相当する従来の技術では、図12に示すように、超塑性を示す金属のシート1,2,3の周縁部は成形型30によりクランプされているため、これにより中央より大きく拘束を受けるパネル端部41の成形は相対的に遅く、パネル中央部40の成形は相対的に速くなる。
図13は、超塑性成形の進行度合いに応じて制御される成形ガス圧の変化を示したグラフである。なお、成形ガス圧はパネル内側に導入するガスの圧力からパネル外側のガス圧を引いた値である。
超塑性成形では、成形速度が速いとコアシート1が破れるため、適切な成形速度で成形を進める必要がある。図12に示すように成形速度がパネルの部位により異なる場合は、成形初期は成形の早い部分40に適切な成形ガス圧で成形を進める。この時の成形ガス圧は、成形の遅い部分41に対しては適切値より低いこととなる。成形速度の速い部分40が成形型30に接触する時点(図13のt1)以降は、成形型30に接触した部位は成形が止まるので、未だ成形型30に接触していない相対的に成形速度の遅い部分41の成形のために成形ガス圧を徐々に高くしていく必要がある。その後、全ての部位が成形型30に接触し(図13のt2)、シート1,2,3からなるパネルが成形型30の内壁に倣った形状になる。
【0006】
以上のような理想的な制御に成功しても、0〜t1の期間の成形ガス圧は、成形の遅い部分41に対しては適切値より低いため、全ての部位の成形が終了する時間は長期化し効率的でない。
また、実際には成形を直接監視しながら進めることができないため、成形の進行度合いは、成形ガス圧力の変化の挙動、シミュレーションによる結果等、間接的な方法に頼って判断せざるを得ない。したがって、上述したようには成形ガス圧を理想的に制御することは困難である。
このため、成形が進んでいない状態で成形ガス圧を上げたことによる局部的なコアシートの破れ、逆に低い成形ガス圧による成形の更なる長時間化が問題となっており、効率的とならない。
なお、コアシート1がなく2枚の超塑性金属シートによりパネルを構成する場合にも、部位による成形速度の不均一は生じ、上記の問題は同様に生じる。
【0007】
図14のようにコアの密度が1枚のパネルの中で変わる構造では、コアの密度が高い部分42に対してコアの密度が低い部分43の成形が進みやすく、この成形進行過程の具合のバラツキによりコアの最終位置が様々に変わるため、コアを精度良く形成することが難しいという問題、コア密度の変化する部分のコア44の負担する荷重が大きくなるため、コアシート1が破れやすいという問題がある。
【0008】
特許文献2記載の装置によれば、成形の進行と共に成形型を昇降させることによって、成形速度を均一にし、部位による成形速度の不均一に起因した前記諸問題を一掃できる。
しかし、特許文献2記載の装置では、成形型がパネルの膨張に従って開いていくため、パネルの端面は膨張に任せた形状になってしまい、成形型により所望の形状に成形することができないという問題がある。
また、特許文献2記載の装置では、型の昇降を行うために複雑な機械装置を必要とし、装置が大型、高価になるという問題がある。
【0009】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、超塑性・拡散接合パネルの超塑性成形における成形速度を均一化して容易かつ効率的に成形可能にすることを課題とする。
また、超塑性・拡散接合パネルの超塑性成形における成形速度を均一化して、パネルの端部を含むパネルの外形及びコアがある場合はコア形状を含めて超塑性・拡散接合パネルを所望の形状に精度良く成形可能にすることを課題とする。
また、できるだけ簡素な装置構成により超塑性・拡散接合パネルの超塑性成形におけるコアの成形速度を均一化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、超塑性成形及び拡散接合が可能な少なくとも2枚の金属板材を重ね合わせ、該重ね合わせた金属板材の積層体を成形型にセットし、該型内を加熱して接合区域に対応する金属板材の重合部分を金属板材相互で拡散接合すると共に、金属板材間の接合不要区域間に不活性ガスによる圧力を導入してパネルを超塑性成形する超塑性・拡散接合パネルの成形方法において、
前記積層体の最外層となる金属板材の外側に、前記超塑性成形をする時に定形を保ち、前記パネルのフェース面を成形する成形面を片面に有し、成形完了後型閉め状態で前記パネルの占める空間を残して前記成形型内に収まるプレートを配置し、
前記成形型を型閉めした状態で、前記プレートの前記成形面を前記最外層となる金属板材に押圧しつつ、前記積層体の前記不活性ガスによる膨張による前記最外層の表面の移動に追従して前記プレートを移動させて前記超塑性成形を行うことを特徴とする超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記プレートを前記超塑性成形をする時に変形可能で前記プレートを支持する支持体で覆い、前記積層体、前記プレート及び前記支持体を前記成形型にセットして型閉めして前記成形型内の成形空間におけるガスの流通を前記支持体により遮断し、前記支持体とこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記接合不要区域間に導入する圧力より低い圧力を導入してこの低い圧力により前記押圧を行うともに、前記低い圧力と前記接合不要区域間に導入する圧力との差圧によって、前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に弾性変形して前記プレートを支持する支持体を介装し、前記支持体の弾性力により前記押圧を行うともに、前記支持体の弾性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記プレートを支持し所定値以上の圧力で降伏する支持体を介装し、前記接合不要区域間に導入する圧力により前記プレートを前記支持体に押圧することにより前記押圧を行うともに、前記支持体の塑性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記支持体は金属ハニカムであることを特徴とする請求項4記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレートに沿う部分のパネルの成形速度が均一化するため、成形速度の不均一に対処するための成形ガス圧制御の困難が解消又は軽減されるとともに、成形時間が短期化し、容易かつ効率的に超塑性成形を行うことができるという効果がある。
また、成形型を型閉めした状態で超塑性成形を行うから、成形型によりパネルフェース面周囲のパネル端面が成形できる。その上、超塑性成形における成形速度が均一化するため、成形品の端部を含む成形品の外形及びコアがある場合はコア形状を含めて成形品を所望の形状に精度良く超塑性成形することができるという効果がある。
【0016】
請求項2〜5のうちいずれか一に記載の発明によって、プレートによる押圧及びプレートの移動を行うことにより、既存の設備に対して前記プレートと前記支持体を設けるだけで実施可能となり、複雑な機械構造やその動力を新たに設けることが避けられ簡素な装置構成により超塑性成形における成形速度の均一化を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の超塑性・拡散接合パネルの成形方法の一実施形態を図を参照して説明する。
【0018】
〔第1実施の形態〕
本発明の第1実施の形態を図1から図6を参照して説明する。
先ず、超塑性成形及び拡散接合が可能な金属板材、例えばTi−6Al−4V,Ti−4.5Al−3V−2Fe−2Mo,Ti−6Al−6V−2Sn等のチタン合金、からなる3枚のシート素材1,2,3を用意し、このシート素材1,2,3の内、図1に示すように重ね合わせた際に、中間に位置するコアシート1の一方の面に接合不要区域4a,4b,4c,4dを設定すると共に、他方の面に接合不要区域4a,4b,4c,4dと平面視において一部が重複する接合不要区域5a,5b,5c(図2参照)を設定する。コアシート1の一方の面の接合不要区域4a,4b,4c,4dと他方の面の接合不要区域5a,5b,5cとの平面視において重複する部分に予め各々ガス孔6が穿孔され、更に、このコアシート1に接合不要区域4aに一端が臨む成形ガス導入用溝7が形成されている。
【0019】
一方、コアシート1を挟む2枚のフェースシート2,3のうち、フェースシート2には、コアシート1に重ね合わせた際、成形ガス導入用溝7とフェースシート2とによって形成される成形ガス導入路の一端と連通する成形ガス供給孔8が穿設されている。
【0020】
そして、上記コアシート1の各接合不要区域4a,4b,4c,4d及び5a,5b,5cにイットリア等の接合防止剤9を塗布し、図2に示すようにコアシート1の両面にフェースシート2及び3を重ね合わせて積層体10を形成する。
【0021】
次に、図3に示すように、積層体10のフェースシート2の外側に接合防止剤9の塗布層9cを介してプレート51を、フェースシート3の外側に接合防止剤9の塗布層9cを介してプレート52を配置する。
プレート51,52の材料としては、超塑性成形をする時の環境下、すなわち、温度、加重等の負荷の下で定型を保つことができる変形しにくい材料を用いる。シート素材1,2,3がチタン合金のときは、超塑性成形をする時の型内温度は780℃〜900℃となり、例えば、ステンレス鋼SUS310をプレート51,52として適用できる。その他の耐熱性及び剛性の高い金属、セラミック等の材料を適用しても良い。
プレート51,52は、成形完了後型閉め状態で成形品の占める空間を残して図4に示す成形型30内に収まる形状及び大きさを有する。
【0022】
次に、接合防止剤9の塗布層9aを介して各々プレート支持板16を重ねてプレート51,52を覆い、図4に示すように、第1成形型31及び第2成形型32からなる成形型30内にプレート支持板16に挟まれた積層体10及びプレート51,52をセットし、成形型30に油圧プレス等により圧縮荷重を付加して型内をシールする。このとき、プレート支持板16及び積層体10の周縁部が成形型30によりプレスされ、プレート51,52は成形型30内に収まる。なお、プレート支持板16のフェースシート2に設けた成形ガス供給孔8に重なる部分には、成形ガス供給孔8に連通する孔(図示せず)を設けてあり、型閉め時には、この孔に第1成形型31に形成された成形ガス供給孔31hが接続する。
【0023】
ここで、プレート支持板16は、超塑性成形時の成形温度においてフェースシート2,3よりも変形応力が高く、かつ数十パーセントの伸びを有する安価な材料を用いることができる。なお、適当な材料がない場合は、フェースシート2,3と同じ材料を用いることも可能である。
【0024】
また、プレート支持板16の板厚は、成形に供する材料、プレート51,52とパネルの高さ及びプレート51,52とパネルの形状等を勘案して決定する。
プレート支持板16の外側にも接合防止剤9bを塗布し、成形後の離型を容易にすることが好ましい。
【0025】
このプレート支持板16に挟まれた積層体10及びプレート51,52を成形型30へセットした後、第1成形型31及び第2成形型32の内部空間31A内と32A内をガス供給孔31g,32gを介してアルゴンガス等の不活性ガスで置換しながら、図5に図4の一部を拡大して示すように、積層体10におけるコアシート1と各フェースシート2及び3との境界11及び12内を成形ガス給入孔31hを介して真空引きし、しかる後、積層体10及び成形型30の全体を加熱し、所定温度に昇温した後に成形型30の内部空間31A及び32A内にガス供給孔31g,32gを介して不活性ガスを所定の圧力で導入し、コアシート1と各々のフェースシート2及び3の接合区域13a,13b,13c,13d,13e及び14a,14b,14c,14d(図2参照)を拡散接合させる。
【0026】
しかる後、上記コアシート1とフェースシート2との間の接合不要区域4aに不活性ガスを導入する。なお、この接合不要区域4a内への不活性ガスの導入は、第1成形型31に開口する成形ガス給入孔31hから成形ガス供給孔8及び成形ガス導入溝7を介して行う。
【0027】
この接合防止剤9が介在する接合不要区域4aに導入された不活性ガスの圧力によって、接合不要区域4aに対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とが超塑性変形して膨れて、図6に示す第1拡張室15aが形成される。
一方、不活性ガスは、コアシート1の表裏を連通するガス孔6から接合防止剤9が介在する接合不要区域5aに導入されて圧力を付与し、この接合不要区域5aに対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とを超塑性変形して第2拡張室15bが形成される。
【0028】
引き続き、第2拡張室15bに導入された不活性ガスは、ガス孔6から接合防止剤9が介在する接合不要区域4bに導入され、接合不要区域4bに対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とを超塑性変形して第3拡張室15cが形成される。
【0029】
更に、導入された不活性ガスは、ガス孔6を介して、接合不要区域4b,5b,4c及び5cへと順次に導入され、各接合不要区域に対応する部分のコアシート1とフェースシート2及び3とを同様に超塑性変形させて、図6に示すように、第4拡張室15d、第5拡張室15e、第6拡張室15f、第7拡張室15gが順次に形成される。
【0030】
以上の超塑性変形工程において、図6に示すように第1成形型31の内壁とプレート支持板16との間、即ち内部空間31A内に、上記各接合不要区域4a,4b,4c,4d,5a,5b,5cに導入する圧力P1より低い圧力P2を、ガス供給孔31gを介して不活性ガスを供給することにより導入する(P1>P2)。
同様に、第2成形型32の内壁とプレート支持板16との間、即ち内部空間32A内に、圧力P1より低い圧力P3を、ガス供給孔32gを介して不活性ガスを供給することにより導入する(P1>P3)。
【0031】
この低い圧力P2により、プレート51の成形面をフェースシート2に押圧してフェースシート2の外表面にパネルフェース面を形成しこれを保持する。圧力P1のみを負荷した場合、フェースシート2は凸状に膨らむが、プレート51の面内においてフェースシート2の凸状の変形を許さないように、圧力P2によりプレート51をフェースシート2に押圧してプレート51の面内においてフェースシート2を図4に示す初期の平面状に拘束する。
同様に、圧力P3により、もう一方のプレート52の成形面をフェースシート3に押圧してフェースシート3の外表面にパネルフェース面を形成しこれを保持する。圧力P1のみを負荷した場合、フェースシート3は凸状に膨らむが、プレート52の面内においてフェースシート3の凸状の変形を許さないように、圧力P3によりプレート52をフェースシート3に押圧してプレート52の面内においてフェースシート3を図4に示す初期の平面状に拘束する。
【0032】
圧力P2,P3により押圧力を与え、超塑性成形開始時には図4に示すように、両プレート51,52の表面全体を積層体10の表裏にそれぞれ密着させた状態にし、超塑性成形開始時から超塑性成形終了まで両プレート51,52の表面を積層体10の表裏にそれぞれ密着させた状態に保持する。
【0033】
以上の超塑性成形により、平面状のパネルフェース面においては、成形速度が均一化する。
圧力P2,P3が不十分な場合、プレート51,52の周縁部とフェースシート2,3とが接触せず、隙間が生じ得るが、この場合でも成形速度差が減少し、超塑性成形の容易化、効率化等の効果が得られる。
超塑性成形過程においてプレート51,52とフェースシート2,3とに非接触部が生じないように、圧力P1,P2,P3を制御する。圧力P1,P2,P3は成形シミュレーションを行って決定する。
【0034】
やがて第1成形型31の内面及び第2成形型の内面にプレート支持板16が到達し、超塑性成形が終了する。この時、プレート51,52に対向するパネルフェース面の周囲のパネル端面の成形は第1成形型31の内面及び第2成形型32の内面(図中の傾斜面)によって完成する。
【0035】
以上の工程に従って得られる成形品は成形型30から取り出され、トリム処理工程等で形状が整えられて製品としてのパネルとなる。
【0036】
〔第2実施の形態〕
次に、本発明の第2実施の形態を図7を参照して説明する。図7に示すように、本実施の形態においては上記第1実施の形態のプレート支持板16に代え、バネ53をプレート51を支持する支持体とし、バネ54をプレート52を支持する支持体とする。バネ53,54としては、コイルバネ、板バネ等の種類は問わない。
遅くとも型収め作業時に、プレート51とこれに対向する第1成形型31の内壁との間にプレート51を支持するバネ53を介装する。同様に、プレート52とこれに対向する第2成形型32の内壁との間にプレート52を支持するバネ54を介装する。バネ53,54を介してプレート51,52をそれぞれ第1成形型31、第2成形型32に取り付けておいて、繰り返し使用すると作業効率が向上する。
型閉め後成形開始前の初期状態でプレート51,52がそれぞれフェースシート2,3に密着しているように、バネ53,54を選択する。
【0037】
以上の構成により、上記第1実施の形態と同様に工程を実施する。但し、外側に負荷した圧力P2,P3は除く。また、拡散接合時に内部空間31A及び32A内に供給した不活性ガスは、超塑性成形前に内部空間31A及び32A内からを排出する。
超塑性成形工程において、パネル内部への導入される圧力P1の上昇に従って、バネ53,54の弾性力によりプレート51,52がフェースシート2,3を押圧する押圧力は増していく。それとともに、バネ53,54の弾性変形が進行し、この弾性変形に伴ってプレート51,52が移動する。プレート51,52が所望の速度で移動するように、圧力P1を上昇させていく。
【0038】
〔第3実施の形態〕
次に、本発明の第3実施の形態を図8を参照して説明する。図8に示すように、本実施の形態においては上記第1実施の形態のプレート支持板16に代え金属ハニカム55をプレート51を支持する支持体とし、金属ハニカム56をプレート52を支持する支持体とする。
型収め作業時に、プレート51とこれに対向する第1成形型31の内壁との間にプレート51を支持する金属ハニカム55を介装する。同様に、プレート52とこれに対向する第2成形型32の内壁との間にプレート52を支持する金属ハニカム56を介装する。金属ハニカム55,56は一回一回使い捨てで使用する。プレート51,52の位置ずれが問題になる場合、金属ハニカム55,56を介してプレート51,52をそれぞれ第1成形型31、第2成形型32に係止するが、金属ハニカム55,56は成形終了時に離脱容易にしておく方が作業性が向上する。
型閉め後成形開始前の初期状態でプレート51,52がそれぞれフェースシート2,3に密着し、金属ハニカム55,56が成形型31,32の内面及びプレート51,52に接触しているように、金属ハニカム55,56の厚みを選択する。
金属ハニカムは、ほぼ一定の荷重で一定の圧縮方向の塑性変形が進行する性質を有するものであり、同様の性質を示す他の物に代えても良い。
【0039】
以上の構成により、上記第1実施の形態と同様に工程を実施する。但し、外側に負荷した圧力P2,P3は除く。また、拡散接合時に内部空間31A及び32A内に供給した不活性ガスは、超塑性成形前に内部空間31A及び32A内からを排出する。
超塑性成形工程において、パネル内部への導入される圧力P1の上昇に従って、プレート51,52がフェースシート2,3を押圧する押圧力は増していく。圧力P1を上昇させていき金属ハニカム55,56が降伏すると、金属ハニカム55,56の塑性変形が開始され、圧力P1がほとんど増大すること無しに金属ハニカム55,56の塑性変形が進行する。この塑性変形に伴ってプレート51,52が移動する。本実施の形態によれば、上記第2実施の形態と異なり、塑性変形開始後は圧力P1をほとんど上昇させることなくプレート51,52を一定速度で移動させることができる。
【0040】
〔第4実施の形態〕
次に、本発明の第4実施の形態を図9及び図10によって説明する。この第4実施の形態は、図1及び図2に示したコアシート1とフェースシート2,3とから積層体10を形成する工程を、図9及び図10に示すように変更して行うものであり、上記第1〜第3の各実施の形態に適用可能である。
即ち、図9に示すようにコアシート1の一方の面1aにフェースシート2を重ね合わせ、かつ真空雰囲気中で接合区域13a乃至13e(図9には接合区域13aを示す)の各々を囲むように電子ビーム溶接手段により形成される電子ビーム溶接部20によって互いに溶着すると共に、図10に示すようにフェースシート2を溶着したコアシート1の他方の面1bにフェースシート3を重ね合わせ、接合区域14a乃至14d(図10には接合区域14a及び14bを示す)の各々の周囲を各々電子ビーム溶接部20によって互いに溶着する。これら接合区域13a乃至13e及び14a乃至14dは周囲が囲まれているので真空状態に保持される。
【0041】
このように得られた積層体10を第1実施の形態と同様に成形型30にセットした後、第1実施の形態の拡散接合工程を省略して第1実施の形態と同様の超塑性成形工程を行う。この超塑性成形工程において超塑性成形と拡散接合を同時進行させることができる。
【0042】
この第4実施の形態によると、接合区域の周囲を電子ビーム溶接手段により互いに溶着することで、接合区域が真空状態を保ち、超塑性成形と拡散接合を同時進行させることで成形時間が短縮され、接合不要区域が拡散接合することがないので接合防止剤の塗布が省略でき、工数の削減と相侯って製造コストの低減が得られる。
【0043】
また、接合区域の接合面にインサート材、例えばCu−Niメッキを施した拡散接合、即ち液相拡散接合(Liquid Interface Diffusion Bonding)においても同様の方法で実施することが可能であり、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく本発明に要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
更に、コアシート1とフェースシート2,3との間に成形ガスを供給するガス通路として、上記実施の形態では一方がフェースシート2を厚さ方向に貫通して成形ガス供給孔8を設けたが、成形ガス導入溝7をコアシート1の端まで延長し、この溝中に超塑性を有しないステンレス管を嵌め込み回りをシールしたフェースシート2を重ねるのがよい。フェースシートやコアシートに直接設けた通路は、治具の圧力と高温で孔通路が狭められて抵抗が増大し、成形ガスの供給時間が長くなるが、ステンレス管をはめ込むことにより通路の狭まりが抑えられ成形ガスの供給が阻害されなくなる。
【0045】
以上の実施形態においては、積層体10の両外側にプレート51,52を配置したが、例えば図11に示すように、超塑性成形時の積層体10の膨張が片側にのみ進行する成形型においては、その膨張する側にのみプレートを配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明第1実施の形態に係る3枚の金属板材からなる積層体の分解斜視図である。
【図2】本発明第1実施の形態に係る3枚の金属板材からなる積層体の断面図である。
【図3】本発明第1実施の形態に係る3枚の金属板材からなる積層体、プレート、プレート支持板を重ねた状態の断面図である。
【図4】本発明第1実施の形態に係る成形装置の断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】本発明第1実施の形態に係る成形途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図7】本発明第2実施の形態に係る成形途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図8】本発明第3実施の形態に係る成形途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図9】本発明第4実施の形態に係る電子ビーム溶接された2枚の金属板材の斜視図である。
【図10】本発明第4実施の形態に係る電子ビーム溶接された3枚の金属板材の斜視図である。
【図11】本発明実施の形態に係る片側にのみ膨張が進行する成形型及びその内部の断面図である。
【図12】従来技術に係るコア密度一定パネルを成形している途中の成形型及びその内部の断面図である。
【図13】従来技術に係る超塑性成形の進行度合いに応じて制御される成形ガス圧の変化を示したグラフである。
【図14】従来技術に係るコア偏在パネルを成形している途中の成形型及びその内部の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 コアシート
2,3 フェースシート
4a,4b,4c,4d 接合不要区域
5a,5b,5c 接合不要区域
6 ガス孔
7 成形ガス導入用溝
8 成形ガス供給孔
9 接合防止剤
10 積層体
15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g 拡張室
16 プレート支持板
20 溶接部
30 成形型
31 第1成形型
32 第2成形型
51,52 プレート
53,54 バネ
55,56 金属ハニカム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超塑性成形及び拡散接合が可能な少なくとも2枚の金属板材を重ね合わせ、該重ね合わせた金属板材の積層体を成形型にセットし、該型内を加熱して接合区域に対応する金属板材の重合部分を金属板材相互で拡散接合すると共に、金属板材間の接合不要区域間に不活性ガスによる圧力を導入してパネルを超塑性成形する超塑性・拡散接合パネルの成形方法において、
前記積層体の最外層となる金属板材の外側に、前記超塑性成形をする時に定形を保ち、前記パネルのフェース面を成形する成形面を片面に有し、成形完了後型閉め状態で前記パネルの占める空間を残して前記成形型内に収まるプレートを配置し、
前記成形型を型閉めした状態で、前記プレートの前記成形面を前記最外層となる金属板材に押圧しつつ、前記積層体の前記不活性ガスによる膨張による前記最外層の表面の移動に追従して前記プレートを移動させて前記超塑性成形を行うことを特徴とする超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項2】
前記プレートを前記超塑性成形をする時に変形可能で前記プレートを支持する支持体で覆い、前記積層体、前記プレート及び前記支持体を前記成形型にセットして型閉めして前記成形型内の成形空間におけるガスの流通を前記支持体により遮断し、前記支持体とこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記接合不要区域間に導入する圧力より低い圧力を導入してこの低い圧力により前記押圧を行うともに、前記低い圧力と前記接合不要区域間に導入する圧力との差圧によって、前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項3】
前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に弾性変形して前記プレートを支持する支持体を介装し、前記支持体の弾性力により前記押圧を行うともに、前記支持体の弾性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項4】
前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記プレートを支持し所定値以上の圧力で降伏する支持体を介装し、前記接合不要区域間に導入する圧力により前記プレートを前記支持体に押圧することにより前記押圧を行うともに、前記支持体の塑性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項5】
前記支持体は金属ハニカムであることを特徴とする請求項4記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項1】
超塑性成形及び拡散接合が可能な少なくとも2枚の金属板材を重ね合わせ、該重ね合わせた金属板材の積層体を成形型にセットし、該型内を加熱して接合区域に対応する金属板材の重合部分を金属板材相互で拡散接合すると共に、金属板材間の接合不要区域間に不活性ガスによる圧力を導入してパネルを超塑性成形する超塑性・拡散接合パネルの成形方法において、
前記積層体の最外層となる金属板材の外側に、前記超塑性成形をする時に定形を保ち、前記パネルのフェース面を成形する成形面を片面に有し、成形完了後型閉め状態で前記パネルの占める空間を残して前記成形型内に収まるプレートを配置し、
前記成形型を型閉めした状態で、前記プレートの前記成形面を前記最外層となる金属板材に押圧しつつ、前記積層体の前記不活性ガスによる膨張による前記最外層の表面の移動に追従して前記プレートを移動させて前記超塑性成形を行うことを特徴とする超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項2】
前記プレートを前記超塑性成形をする時に変形可能で前記プレートを支持する支持体で覆い、前記積層体、前記プレート及び前記支持体を前記成形型にセットして型閉めして前記成形型内の成形空間におけるガスの流通を前記支持体により遮断し、前記支持体とこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記接合不要区域間に導入する圧力より低い圧力を導入してこの低い圧力により前記押圧を行うともに、前記低い圧力と前記接合不要区域間に導入する圧力との差圧によって、前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項3】
前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に弾性変形して前記プレートを支持する支持体を介装し、前記支持体の弾性力により前記押圧を行うともに、前記支持体の弾性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項4】
前記プレートとこれに対向する前記成形型の内壁との間に前記プレートを支持し所定値以上の圧力で降伏する支持体を介装し、前記接合不要区域間に導入する圧力により前記プレートを前記支持体に押圧することにより前記押圧を行うともに、前記支持体の塑性変形に伴って前記移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【請求項5】
前記支持体は金属ハニカムであることを特徴とする請求項4記載の超塑性・拡散接合パネルの成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−334625(P2006−334625A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161518(P2005−161518)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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