説明

超小型電力変換装置

【目的】薄型磁気誘導素子より小さな半導体素子を含む部品を薄膜磁気誘導素子の外周部に形成された電極の位置に制約されずに薄膜磁気誘導素子上の所定の位置に面実装できる超小型電力変換装置を提供する。
【解決手段】薄型磁気誘導素子100を構成するコイル導体16a上に絶縁層17を介して配線14を形成し、この配線14に実装する半導体素子21を含む部品を固着することで、部品のサイズを制限することがなくなり、部品のコスト低減をはかることができ、超小型電力変換装置のコストを低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体集積回路(以下ICと記す)などの半導体素子(電子部品)と、コイルやコンデンサおよび抵抗などの受動部品で構成されるDC−DCコンバータなどの超小型電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子情報機器、特に携帯型の各種電子情報機器の普及が著しい。それらの電子情報機器は、電池を電源とするものが多く、DC−DCコンバータなどの電力変換装置を内蔵している。通常その電力変換装置は、スイッチング素子、整流素子、制御用ICなどの能動素子と、磁気部品、コンデンサ、抵抗などの受動素子の各個別部品とをセラミック基板やプラスチックなどのプリント基板などの上に実装することでハイブリッド型電源モジュールとして構成されている。
【0003】
前記した携帯用を含めた各種電子情報機器の小型、薄型、軽量化の要望に伴い、内蔵される電力変換装置の小型、薄型、軽量化の要求も強い。ハイブリッド型電源モジュールの小型化は、MCM(マルチチップモジュール)技術や、積層セラミック部品などの技術により進歩してきている。しかしながら、個別の部品を同一基板上に、並べて実装するため、電源モジュールの実装面積の縮小化が制限されている。特にインダクタやトランスなどの磁気部品は、集積回路と比較すると体積が非常に大きいために電子機器の小型、薄型化をはかる上で最大の制約となっている。
【0004】
これら磁気部品の小型、薄型化に対する今後の方向としては、チップ部品として限りなく小さく、薄くし、面実装する方向と、シリコン基板上に薄膜で形成する方向の2つが考えられる。近年、半導体技術の適用により、半導体基板上に薄型のマイクロ磁気素子(コイル、トランス)を搭載した例も報告されている。
特に、平面型磁気部品として、スイッチング素子や制御回路などの半導体部品を作り込んだ半導体基板の表面上に、薄膜コイルを磁性基板とフェライト基板とで挟んだ形の平面型磁気部品(薄型インダクタ)を薄膜技術により形成したものが開示されている(例えば、特許文献1など)。
これにより、磁気素子の薄型化とその実装面積の削減が可能となった。しかし、真空プロセスでの製造でコストが高くなる。また、電流の大きい所で使用する場合などは、磁性膜と絶縁膜に関する多大な積層工程が必要であり、コストが非常に高くなるという問題があった。
【0005】
平面型磁気素子としてスパイラル(渦巻き状)のコイル導体の隙間に磁性を帯びた微粒子を混入した樹脂を充填し、上面、下面をフェライト基板で挟み込んで形成したものが開示されている(例えば、特許文献2など)。
この方法では、コイル導体のインダクタンスは、スパイラルの回数(ターン数)にほぼ比例するため、大きなインダクタンスを得るためには、ターン数を増やす必要がある。実装面積を増やさずにターン数を増やすと、コイル導体の断面積を小さくする必要がある。つまり、大きなインダクタンスを得るためには、コイル導体の断面積を小さく、導体線長を長くしなければならない。しかし、コイル断面積を小さく、導体線長を長くすると、コイル導体の直流抵抗が増大するため電力損失が増大してしまうという課題があった。
【0006】
その点を解消するために、磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する貫通孔に形成された接続導体とをそれぞれ接続してなるソレノイド状のコイル導体と、からなる薄型磁気素子が開示されている(例えば、特許文献3など)。
この特許文献3に記載されている構造は、磁性絶縁基板に貫通孔を形成し、コイル導体を形成する際、同時に半導体素子や、実装基板などと接続するための実装端子を形成し、コイルとなる磁性絶縁基板にICを実装するだけで、新たな実装基板を不要とし、超小型・薄型の電力変換装置を実現するものである。
【0007】
特許文献3に記載されている超小型電力変換素子の特徴は、磁性絶縁基板に貫通孔を形成し、その貫通孔を通して電気的に接続されたコイル導体を第1主面、第2主面に具備し、さらに同様に第1主面に半導体素子との電気的接続をするための電極(接合単端子)、第2主面に実際に使用される場合のプリント板などとの電気的接続のための電極(実装電極)を具備している薄型磁気誘導素子を有することである。この構造を適用することにより、デバイスを構成する部品を最小限に留め、薄型化を実現した超小型電力変換装置を得ることができる。この超小型電力変換装置について説明する。
【0008】
図15は、従来の超小型電力変換装置の構成図であり、同図(a)はICチップを搭載した薄膜磁気誘導素子の要部断面図、同図(b)は薄型磁気誘導素子の第1主面(表面)から透視した要部平面図である。同図(a)は同図(b)のY−Y線で切断した要部断面図である。また、同図(b)ではICチップ80を点線で示した。
従来の薄型磁気誘導素子300は、フェライト基板86の中央部にソレノイド状コイルが形成され、周辺部に電極82、88が形成されている。ソレノイド状コイルはフェライト基板86の第1主面と第2主面と貫通孔85に形成されるコイル導体84(接続導体も含んでいる)で出来ている。電極82は第1主面、電極88は第2主面に形成され,貫通孔83に形成される接続導体83aで互いに接続されている。
【0009】
第1主面に形成された電極82とICチップ80はスタッドバンプ81を介して固着し、ICチップ80とフェライト基板86の間にはアンダーフィル樹脂89が充填されている。また、第2主面に形成されたコイル導体84は保護膜87で被覆されている。
また、超小型電力変換装置ではないが、コイル導体および磁性材料からなるコイルが内部に形成され、回路部品を搭載するための外部電極が上面に形成され、当該外部電極と前記コイルとの配線を行うための配線パターンを内部に設けることにより、搭載する回路部品の配置の自由度を高めた積層基板が開示されている(例えば、特許文献4など)。
【特許文献1】特開2001−196542号公報
【特許文献2】特開2002−233140号公報(図1)
【特許文献3】特開2004−274004号公報
【特許文献4】特開2005−183890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した特許文献3の構造では、図15に示したように、薄型磁気誘導素子の外周部に半導体素子であるICチップ80との接合電極(電極82)がある。これは薄型磁気誘導素子のコイルの形状がソレノイド状であるために、磁気誘導素子の中央部にコイルを配置しなければならないためで、必然的にICチップ80などの半導体素子との接合電極は、薄型磁気誘導素子の外周部に配置しなければならなくなる。
【0011】
薄型磁気誘導素子の特性のうちインダクタンス値は、磁気誘導素子のサイズに大きく依存するために、必要な特性を得るためには磁気誘導素子のサイズの制限が非常に大きい。
一方、半導体素子のサイズについては、特性でサイズが制限されることはもちろんであるが、機能によってサイズを大幅に低減できる場合もある。
従って、半導体素子と薄型磁気誘導素子のサイズには本来相関はないが、本構造の場合には、半導体素子を薄型磁気誘導素子に面実装することと、電極82が外周に配置されていることから、半導体素子のサイズが薄型磁気誘導素子のサイズによって制限されてしまうという問題があった。
【0012】
このため、半導体素子の小型化が可能であっても、薄型磁気誘導素子の小型化ができない場合は、半導体素子はサイズを大きくしなければならず、コスト低減を妨げる要因になっていた。
また、電極82が外周に配置されていることから、複数の半導体素子を実装することが困難であり、薄型磁気誘導素子ひとつに対して、実装できる半導体素子はひとつという制限もあり、多機能化の妨げとなっていた。
【0013】
また、特許文献4の積層基板は、内部に形成されたコイル(インダクタ)に接続される部品の配置の自由度はあるものの、複雑な構成であり、コストおよび超小型化には問題のある構造となっている。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、薄型磁気誘導素子より小さな半導体素子を含む部品を薄型磁気誘導素子の外周部に形成された電極の位置に制約されずに薄型磁気誘導素子上の所定の位置に面実装できる超小型電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、半導体集積回路が形成された半導体基板と薄型磁気誘導素子とコンデンサを有し、前記薄型磁気誘導素子が磁性絶縁基板と該磁性絶縁基板の中央部に形成されたコイルと該磁性絶縁基板の第1主面および第2主面の外周部で貫通孔を介して電気的に接続された電極を有する超小型電力変換装置において、前記第1主面のコイル形成領域上に絶縁層を介して一端が前記電極と接続して形成された配線を有する構成とする。
【0015】
また、前記コイルが、前記磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する貫通孔に形成された接続導体とをそれぞれに接続してなるソレノイド状コイルであるとよい。
また、前記配線の他端に半導体素子を含む部品を接続する構成とするとよい。
また、前記磁性絶縁基板がフェライト基板であるとよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、薄型磁気誘導素子を構成するコイル導体上に絶縁膜を介して配線を形成し、この配線に所定の大きさの半導体素子を含む部品を面実装(固着)することで、部品のサイズを制限することがなくなり、部品のコスト低減を図ることができ、超小型電力変換装置のコストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態を以下の実施例で説明する。
【実施例1】
【0018】
図1および図2は、この発明の第1実施例の超小型電力変換装置の構成図であり、図1(a)は薄型磁気誘導素子の第1主面から透視した要部平面図、図1(b)は図1(a)のY−Y線で切断したときの要部断面図であり、図2(a)は半導体素子を面実装した薄型磁気誘導素子の要部平面図であり、図2(b)は図2(a)のY−Y線で切断した要部断面図である。図2の半導体素子21は電源制御部などが集積された電源ICなどである。
【0019】
この薄型磁気誘導素子100の構成は、貫通孔12a、13aを形成した磁性絶縁基板11に第1主面および第2主面のコイル導体16a、16bと電極15a、電極15bをそれぞれ形成し、コイル導体16aと16bを貫通孔13aに形成された接続導体13bで、電極15aと15bを貫通孔12aに形成された接続導体12bでそれぞれ接続するとともに、第1主面のコイル導体16aの上に絶縁層17を形成し、第1主面の電極15a上の絶縁層17に開口部33を設け、その開口部33を介して電極15aと電気的に接続する配線14を絶縁層17上に形成する。配線14は配線部14aとパッド電極部14bおよび接続電極部14cとを有し、接続電極部14cは電極15aと接続し、パッド電極部14bは半導体素子21に形成した図示しない電極(パッド電極)と接続する実装電極の役割をする。従って、パッド電極部14bの配置は半導体素子21に形成した電極(パッド電極)の配置に合わせて形成する必要がある。また、配線14は配線部14aとパッド電極部14bおよび接続電極部14cのそれぞれの幅を点線14dで示したように全て同じにしても構わない。この場合もパッド電極部14bに相当する箇所の配置は半導体素子21に形成した電極の配置に合わせる必要がある。
【0020】
尚、第2主面の18はコイル導体16bに対する保護膜である。
この構成とすることで、薄型磁気誘導素子100のサイズや電極15aの位置に左右されることなく、半導体素子21のサイズ(チップサイズのこと)や半導体素子21の電極位置を任意に設定することができる。このため、半導体素子21のサイズの小型化が薄型磁気誘導素子100の大きさ(フェライト基板11の大きさ)に左右されずに可能となる。半導体素子21のサイズを小さくすることで、超小型電力変換装置の低コスト化を図ることができる。
【0021】
図3〜図12は、図1の薄型磁気誘導素子100の製造工程を説明するための製造工程順に示した要部製造工程断面図である。尚、図3〜図12は図1(b)の断面図に相当する要部断面図である。図3〜図12は、1つの薄型磁気誘導素子片のみについて拡大して示してあるが、実際はこのような薄型磁気誘導素子片を大きなフェライト基板11に多数形成し、最終的に図示しないスクライブラインに沿って大きなフェライト基板11を切断して1つの薄型磁気誘導素子100となる。つぎにその詳細を説明する。
【0022】
磁性絶縁基板としては、厚さ525μmのNi−Zn系フェライト基板11を用いた。尚、フェライト基板11の厚さは必要なインダクタンス、コイル電流値、フェライト基板11である磁性絶縁基板の特性から決定されるものであり、今回の実施例での厚さに限ったものではなく、絶縁性の磁性基板であればどの材料でも良い。今回は、基板状に容易に成型し得る材料としてフェライト基板11を用いた。
【0023】
まず、フェライト基板11に貫通孔12a、13aを形成する(図3)。貫通孔12aは第1主面の電極15aと第2主面の電極15bを接続するのに用いられ、貫通孔13aは第1主面のコイル導体16aと第2主面のコイル導体16bを接続するのに用いられる。加工方法は、レーザ加工、サンドブラスト加工、放電加工、超音波加工、機械加工などいずれの方法も適用でき、加工コスト、加工寸法などで決定する必要がある。今回の実施例では、貫通孔12a、13aの最小加工寸法幅が0.13mmと微小なこと、加工箇所が多いことからサンドブラスト法を用いた。
【0024】
つぎに、貫通孔12a、13aとフェライト基板11の第1主面、第2主面に、接続導体12b、13bとコイル導体16a、16bおよび電極15a、15bをそれぞれ同時に形成する。つぎにその詳細を説明する。
まず、フェライト基板11全面に導電性を付与するために、Cr/Cuをスパッタ法で成膜し、めっきシード層31を形成する(図4)。このとき、貫通孔12a、13aの側壁へも導電性は付与されるが、必要であれば、無電解めっきなどを施しても良い。また、スパッタ法にかぎらず真空蒸着法、CVD(ケミカルベイパーデポジション)法、などを用いても良い。無電解めっきのみで形成する方法でも良い。ただし、フェライト基板11との密着性を十分得られる方法が望ましい。なお、導電性材料については導電性を持つ材料であればなんでも良い。密着性を得るための密着層として今回はCrを用いたが、Ti、W、Nb、Taなども用いることができる。また、Cuが後工程の電解めっき工程でめっきが生成されるめっきシード層31となるが、Cu以外にもNi、Auなどを用いることができる。今回は、後工程での加工の容易さも考慮し、Cr/Cuの膜構成とした。
【0025】
つぎに、第1主面、第2主面に形成されるべきコイル導体16a、16b、電極15a、15bのパターンをフォトレジストを用いて形成する。本実施例ではネガ型のフィルムタイプのフォトレジストを用いてこれらのレジストパターン32を形成する(図5)。
つぎに、レジストパターン32の開口部へ電解めっきで導電層34であるCuを形成させる(図6)。このとき、貫通孔12a、13aへもCuがめっきされて、接続導体12b、13bが同時に形成される。接続導体13aによって第1主面と第2主面のコイル導体16a、16bが接続されて、ソレノイド状コイルが形成される。また、電極15a、15bも同時に形成され、接続導体12aでそれぞれが接続される。電解めっき後、レジストパターン32を除去し、その後で不要なめっきシード層31を除去することで、所望のコイル導体16a,16bと電極15a、15bが形成される(図7)。
【0026】
つぎに、コイル導体16aが形成される第1主面には電極15aが部分的に露出するように絶縁膜17を形成し、コイル導体16bが形成される第2主面には電極15bを除きその他の箇所に保護膜18を形成する(図8)。本実施例では両者ともフィルム型の感光性絶縁材料を用いた。絶縁層17はコイル導体16aとその上部に配置される配線14(配線パターン)とを電気的に絶縁する層間絶縁膜の役割を果たし、保護膜18は、第2主面のコイル導体16bを保護する役割を果たす。また、この両者(絶縁膜16および保護膜18)は貫通孔12a,13aの内部を充填する機能も持つ。コイル導体16a、16bは複雑な凹凸構造であるために、十分導体間を埋め込み、かつ貫通孔12a、13aの内部もボイドなく埋め込むために、両者には真空ラミネート法を用いた。
【0027】
また、両者の形成は感光性であるため、通常のフォトレジストのように露光、現像を実施し、絶縁層17には開口部33も同時に形成した。使用した感光性絶縁材料は熱硬化型であるため、加工後に180℃で熱硬化した。なお、絶縁層17や保護膜18の形成方法はフィルム型の材料に限定されるものではなく、液状の絶縁材料をスクリーン印刷でパターン形成し、熱硬化させても良い。
【0028】
つぎに絶縁層17上にスパッタ法で導電膜35であるAl膜を1μm成膜した(図9)。今回はスパッタ法を用いたが、手法は蒸着法、CVD法など、どのような手法でも良いが、第1主面の電極15aとの密着性が十分得られる手法を選択する必要がある。密着性を得るために、導電膜35の下部に密着層を成膜するなども必要に応じて取る。本実施例では、導電膜35であるAl膜の下にCrを0.2μm成膜し、密着性を向上させている。また、配線抵抗が特性に影響を与える場合には、成膜時の膜厚を厚くするか、めっきなどの手法を用いてさらに導電膜35であるAl膜の膜厚を厚くする手法を取る必要がある。導電膜35(配線材料)には、Al以外の材料を用いても良いが、後工程での半導体素子21との接続工程に対応できる材料を選択し、且つ、配線14の加工を考慮して選択する。本実施例では、超音波接合を用いるためにAlを選択した。
【0029】
つぎに、導電膜35を加工するためのレジストパターン36を形成し(図10)、ウェットエッチングで導電膜35を所望の形状に加工し(図11)、その後レジストを剥離して薄型磁気誘導素子100の配線14を形成する(図12)。
上記工程で、薄型磁気誘導素子100を製作した。このあと、図2に示すように、スタッドバンプ22を用いた超音波接合法により半導体素子21と接続し、半導体素子21と薄型磁気誘導素子100の間をアンダーフィル樹脂23で封止し、図示しないコンデンサなど接続して超小型電力変換装置が完成する。接続方法として本実施例ではスタッドバンプ22と超音波接合を用いたが、これに限定されるものではなく、はんだ接合、導電接着材などを用いても問題はない。また、半導体素子21と薄型磁気誘導素子100の固定にはアンダーフィル樹脂23を用いたが、これは必要に応じて材料を選定すれば良く、エポキシ樹脂などの封止材などでも良い。
【0030】
本実施例では、薄型磁気誘導素子100の外形が3.5mm×3.5mmのものを用いた。これと同じ大きさの図15に示す従来の薄型磁気誘導素子300を用いた場合には、半導体素子80と接続する電極82が外周部に配置されているため、半導体素子80のサイズは3.0mm×3.0mm程度までしか小さくすることができず、それ以上小さくするためには、薄型磁気誘導素子300の大きさを小さくしなければならず、特性を悪化させてしまう。
【0031】
第1実施例では、薄型磁気誘導素子100を小さくすることなく、面実装する半導体素子21のみ小さくできる。具体的には所望される半導体素子21のサイズである2.0mm×2.0mmまで小さくすることができ、半導体素子21のコスト低減効果は、4/9(面積比)であり、大幅なコスト低減効果が得られた。
【実施例2】
【0032】
図13および図14は、この発明の第2実施例の超小型電力変換装置の構成図であり、図13は薄型磁気誘導素子200を第1主面から透視した要部平面図、図14は図13の薄型磁気誘導素子200の配線に半導体素子とコンデンサを固着し面実装した要部平面図である。
第2実施例では、部品として1個の半導体素子21と3個のコンデンサ41を薄型磁気誘導素子200上の絶縁層17上に形成した配線14に固着して面実装した例を示した。この部品の個数は超小型電力変換装置に付与する機能によって増減するのは勿論である。
【0033】
従来の外周電極構造では、実装する半導体素子のサイズに制限があるため、所望の特性を持つ素子を複数実装することは困難であった。
しかし、本発明により、必要な配線14を必要な形状、位置で薄型磁気誘導素子200上に形成することができるため、部品サイズの制限もなく、実装する部品数も増加させることができる。これにより、要求機能が複雑になり、複数の部品が必要な場合でも、問題なく構造を製作することができる。
【0034】
このように、半導体素子21を含む複数の部品を薄型磁気誘導素子200に面実装させることで、超小型電力変換装置の外形を大きくすることなく機能向上を図ることができる。
尚、第1、第2実施例において、コイルとしてソレノイド形状コイルを一例として挙げたが、本発明においては、コイル形成は関係なく、渦巻き形状(スパイラル形状)など別の形状のコイルについても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1実施例の超小型電力変換装置の構成図であり、(a)は薄型磁気誘導素子の第1主面から透視した要部平面図、(b)は(a)のY−Y線で切断したときの要部断面図
【図2】この発明の第1実施例の超小型電力変換装置の構成図であり、(a)は半導体素子を面実装した薄型磁気誘導素子の要部平面図、(b)は(a)のY−Y線で切断した要部断面図
【図3】図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図4】図3に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図5】図4に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図6】図5に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図7】図6に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図8】図7に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図9】図8に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図10】図9に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図11】図10に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図12】図11に続く、図1の薄型磁気誘導素子100の要部製造工程断面図
【図13】この発明の第2実施例の超小型電力変換装置の構成図であり、薄型磁気誘導素子200を第1主面から透視した要部平面図
【図14】図13の薄型磁気誘導素子200の配線に半導体素子とコンデンサを固着し面実装した要部平面図
【図15】従来の超小型電力変換装置の構成図であり、(a)はICチップを搭載した薄膜磁気誘導素子の要部断面図、(b)は薄型磁気誘導素子の第1主面(表面)から透視した要部平面図
【符号の説明】
【0036】
11 フェライト基板
12a 貫通孔(電極部)
12b 接続導体(電極部)
13a 貫通孔(コイル導体部)
13b 接続導体(コイル導体部)
14 配線
14a 配線部
14b パッド電極部
14c 接続電極部
14d 配線部、電極部および接続電極部における幅を等しくした場合の配線
15a 電極(第1主面)
15b 電極(第2主面)
16a コイル導体(第1主面)
16b コイル導体(第2主面)
17 絶縁層
18 保護膜
21 半導体素子
22 スタッドバンプ
23 アンダーフィル樹脂
31 めっきシード層
32、36 レジストパターン
33 開口部
34 導電層
35 導電膜
100、200 薄型磁気誘導素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路が形成された半導体基板と薄型磁気誘導素子とコンデンサを有し、前記薄型磁気誘導素子が磁性絶縁基板と該磁性絶縁基板の中央部に形成されたコイルと該磁性絶縁基板の第1主面および第2主面の外周部で貫通孔を介して電気的に接続された電極を有する超小型電力変換装置において、前記第1主面のコイル形成領域上に絶縁層を介して一端が前記電極と接続して形成された配線を有することを特徴とする超小型電力変換装置。
【請求項2】
前記コイルが、前記磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する貫通孔に形成された接続導体とをそれぞれに接続してなるソレノイド状コイルであることを特徴とする請求項1に記載の超小型電力変換装置。
【請求項3】
前記配線の他端に半導体素子を含む部品を接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の超小型電力変換装置。
【請求項4】
前記磁性絶縁基板がフェライト基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超小型電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−171965(P2008−171965A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2966(P2007−2966)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】