説明

超微細化装置

【課題】より強力で大規模なキャビテーションを発生でき、長期間に渡って保守無しで安定した連続運転が可能で、有機物を連続的且つ効率的に超微細化して流体中に溶融させる。
【解決手段】超微細化装置1は、流体を保持している流体槽内に高速旋回噴流F3を噴射して流体中の有機物を衝撃力で超微細化して流体中に溶融させ、本体10の側部ケーシング11Aの端面11aに開口され、高速旋回噴流を噴射する出口11bと、中央ケーシング11Bの大径の円形内腔部12bから側部ケーシング11Aの小径の出口11bに向かって先細りした円錐台形状の側部内部腔部12aと、中央内腔部12bに接線方向から7kg/cmの圧力の流体を供給して内部腔部12内で高速旋回流を発生させるために中央ケーシング11Bの内周面に形成された供給口12cとを有している。側部ケーシング11Aの端面11aには、キャビテーションを強めるノズル13が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中に含有されたフレーク状の有機物などを超微細化して流体中に溶融させる超微細化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産業や食品加工業を始め一般家庭やホテル、レストランからの廃棄物には多量の有機物が含まれており、それらは腐敗しやすいために、一部分だけが肥料として生物分解処理される他は大部分が焼却処理されている。また、し尿処理などの下水処理場からも大量の汚泥が排出され、それらも大部分が脱水後に焼却処理されている。しかし、大部分が濡れたり、湿ったりしており、それらを焼却処理するには多大な費用が掛り、不経済なものである。
【0003】
従って、近年そのような有機物を微細化して水に溶融させ、ばっき槽において生物分解処理して消滅させる技術が開発されている。そのような従来の微細化装置には、下記特許文献1に開示されているものがある。このものは、箱状の容器内の一端側に容器内部に向けて水噴射ノズルを配置し、空気を水ジェット中に取り込み、積極的にキャビテーション泡を作り、反対側端部の開口部から排出するタイプで、キャビテーション流によって有機物の細胞を破壊し、気液分離等を行うものであった。
【0004】
キャビテーションを利用した別の反応装置の例は、下記特許文献2に開示されているものがあり、池などの水域中の水中に、高圧水噴射ノズルとそのノズル対向側の凹面を持ったターゲット板とを浸漬して固定し、ノズルとターゲットの間でキャビテーションを伴った高速水ジェットを自己循環的に発生させて、キャビテーションによって水中の有機物の分解を図り、貯水などを長時間かけて浄化しようとするものである。
【0005】
他に、キャビテーションと湾曲層流間の剪断作用とを利用した微粒化装置が下記特許文献3に開示されている。このものは、同心状に2層以上の円筒壁を設け、隣り合う円筒壁間に環状流路を設けた竪型円筒容器と、環状流路に接線方向に加圧水を注入して円周方向の高速水流を作る水噴出装置と、前記隣り合ういずれかの円筒壁に配置して有機物粒子含有スラリーを前記高速水流中に供給する供給ノズルとを有し、高速水流中でのキャビテーション現象と高い剪断作用によって有機物粒子を剪断して微粒化するものである。供給ノズルは、円筒壁に貫通した縱スロットで形成される。
【特許文献1】特開平11−319819号公報
【特許文献2】特開2001−017988号公報
【特許文献3】特開2005−161222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1の装置は、高速流体の破壊力を使用して細菌細胞などの比較的柔軟な有機物の超微細粒子を破壊するのであるが、高速水流中での瞬間時の破壊であって、破壊力の持続性が無く、上記廃棄物中の植物組織や動物の硬質部を含む繊維組織や大きな塊状物に対して破壊効率が低く、実用性が乏しかった。特に、それら植物繊維や塊状物をジェット流中に効率良く供給できなかった。また脂肪成分を含むような廃棄物の処理にあたっては脂肪分が分離して水中に懸濁してフィルターなどに沈着して装置を詰まらせることが多く、長期間の効率的な連続運転が困難であった。
【0007】
上記の特許文献2の装置は、主にキャビテーションの破壊力に依存しており、池などの貯水などを長時間かけて浄化するのには向いていても、次から次と供給されてくる下水などの有機物を比較的短時間で微細化するには適していない。
【0008】
上記の特許文献3の装置は、主に円筒壁面に付着した流体層と高速流体層との間の高い剪断作用によって有機物を剪断すると共に、高速流による剥離で生じるキャビテーションの破壊力によっても粉砕するものであるが、縱スロットなどの抵抗によって高速流体の高速度の維持が難しく、被処理流体を繰り返しポンプで加圧して本装置内に通す必要があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、より強力で大規模なキャビテーションを発生できるものでありながら、長期間に渡って保守無しで安定した連続運転が可能で、また植物質及び動物質の有機物を連続的に且つ比較的短時間で効率的に超微細化して流体中に溶融させることができる超微細化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の超微細化装置は、有機物を含有した流体を保持している流体槽内に高速旋回噴流を噴射して流体中の有機物を衝撃力で超微細化して流体中に溶融させる装置であって、 該装置の本体の周面に開口され、前記高速旋回噴流を噴射する小径の出口と、
前記装置の本体内部の大径の腔部から前記小径の出口に向かって先細りしていき、少なくとも部分的に円形部を有した内部腔部と、
前記内部腔部にその円形部において接線方向から好ましくは5kg/cm以上の圧力の流体を供給して内部腔部内で高速旋回流を発生させるために前記装置本体の周面に形成された供給口と、を有していることを特徴としている。
【0011】
前記装置本体は、略円柱状又は紡錘形を成し、両端面に前記出口を形成した両側部ケーシングと、両側部ケーシング間に配置され、大径の内部腔部の内周面に供給口を形成した中央部ケーシングとから構成される。
【0012】
前記内部腔部は、円形の周内面を有し、前記供給口を有した中央ケーシングの中央内部腔部と、前記出口を有した側部先細り内部腔部とから構成される。
【0013】
前記両端面には、各々外側に向かって直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔を有し、該円形孔の中心線を前記出口の中心線と整合させて前記円形孔に被さらない大きな孔を有した間隔円板を介して積層された複数の薄いノズル円板が取り付けられる。
【0014】
前記両端面には、各々外側に向かって直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔を有し、該円形孔の中心線を前記出口の中心線から円形孔の半径未満だけずらして前記円形孔に被さらない大きな孔を有した間隔円板を介して積層された複数の薄いノズル円板が取り付けられる。
【0015】
前記内部腔部にその円形部において接線方向から供給される圧力流体に気泡が混入される。
【0016】
複数の本装置は、5kg/cm以上の圧力の流体を供給する供給主管からの複数の分岐管に前記供給口で接続される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、本発明の超微細化装置では、本体内部の大径の腔部から小径の出口に向かって先細りしていき、少なくとも部分的に円形部を有した内部腔部に、その円形部において接線方向から5〜200kg/cmの圧力の流体を供給口から供給することで出口に向かって圧縮されながら増速して行く高速旋回流を発生させる。この圧縮され増速して行く高速旋回流が流体を保持している流体槽内に出口から噴射されると、急膨張によってより強力で、また高速旋回作用で到達距離の長い大規模なキャビテーションを発生することができる。また流体槽内のほぼ静止した流体に対する高速の衝突による衝撃力と、流体槽の流体内での強力で大規模なキャビテーション作用(液体から気体への相変化発泡現象での気泡破壊に伴った大きな衝撃力)とによってフレーク状、粒子状の有機物をミクロンレベルに超微細化する。内部腔部内で高速旋回流が発生されると、その中心部に負圧が生じ、その負圧の中心部に向かって、出口からの噴出高速旋回流の負圧中心部を介して吸い戻しの逆流が生じ、噴出する高速旋回流と部分的に衝突して極めて強力な振動及びキャビテーションが高速旋回流の中心部で生じているものと推定されている。汚泥においては、ミクロンのレベルに超微細化されると汚泥を形成している死骸細胞の細胞膜が破壊されて細胞質などが容易に流体中に溶融される。その場合、作動構成要素としては、ポンプ等の圧力流体発生手段が使用されているだけであり、長期間に渡って殆ど保守無しで安定した連続運転が可能であり、また繊維を含む植物質や脂肪の多い動物質の有機物であっても詰まるような隙間の小さな個所が無いために連続的で且つ効率的な超微細化が可能であり、結果的に可溶化が促進される。有機物と同様に各種無機物も超微細化されて機器の摩耗を緩和し、沈殿物量を減少させる。
【0018】
本装置で超微細化されて比表面積が格段に拡大した有機物を含む処理済み流体が曝気槽等に供給されると、そのような有機物は各種の原生生物や発酵菌などの細菌によって短時間で生物分解される。例えば、半径が1mmの球状有機物の比表面積が0.00120m /gにすぎなかったものが、半径が0.0001mmの球状に超微細化されると、比表面積は12.0m /gと1万倍にも成り、従ってばっき槽において生息する菌などは、1万倍の数が表面に付着することができて、有機物の消却や、有用な菌の大量培養を効率的に行うことができるようになる。
【0019】
装置本体を略円柱状又は紡錘形にして、その両端面に前記出口を形成した両側部ケーシングと、両側部ケーシング間に配置され、大径の内部腔部の内周面に供給口を形成した中央部ケーシングとから構成すると、中央部一個所からの圧力流体の供給で、同時に二つの両側に向かう高速旋回流を発生させることが可能になる。また、前記内部腔部を円形の周内面を有し、前記供給口を有した中央ケーシングの中央内部腔部と、前記出口を有した側部先細り内部腔部とから構成すると、内部腔部内で円形の内周面に沿って効率的に高速旋回流の増速と圧縮が可能になり、出口から流体槽内へ出た際に更に強力で大規模なキャビテーションを発生することができるようになる。
【0020】
装置本体の両端面に、各々外側に向かって直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔を有し、該円形孔の中心線を前記出口の中心線と整合させて前記円形孔に被さらない大きさの孔を有した間隔円板を介して積層された複数の薄いノズル円板を取り付けると、出口を出て各円形孔における高速旋回流の部分膨張によってノズル円板を高周波振動させ、更に超音波振動によるキャビテーションを付加的に発生させることができると共に、各円形孔の超音波振動する鋭いエッジによる機械的破壊作用を超微細化に活用できる。その場合、供給する圧力流体に被処理有機物が混合しているとその超微細化に特に有効である。また、エッジがキャビテーションによって浸食されても、次々と形成される鋭い粗面がエッジと同等の効果を発揮してくれる。
【0021】
装置本体の両端面に、各々外側に向かって直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔を有し、該円形孔の中心線を前記出口の中心線から円形孔の半径未満だけずらして前記円形孔に被さらない大きさの孔を有した間隔円板を介して積層された複数の薄いノズル円板を取り付けると、出口及び各円形孔を出たところでの高速旋回流の部分膨張でノズル円板を高周波振動させて更に超音波振動によるキャビテーションを付加的に発生させることができると共に、各円形孔の超音波振動するエッジによる機械的破壊作用を超微細化に活用できる。その場合、供給する圧力流体に被処理有機物が混合しているとその超微細化に特に有効である。また、エッジがキャビテーションによって浸食されても、次々と形成される鋭い粗面がエッジと同等の効果を発揮してくれる。各ノズル円板が共鳴して高音を発する場合には、各ノズル円板の円形孔の中心を互いに若干ずらして共鳴音を干渉で防ぐこともできる。
【0022】
内部腔部にその円形部において接線方向から供給される圧力流体にエジェクターなどを利用して気泡を混入すると、供給される圧力流体に発酵菌や各種バクテリアを予め混入しておいた場合に、気泡がクッションとなって生存率が高くなり、また圧力流体が噴射される流体槽内に棲息する好気性バクテリアに対しても良い結果をもたらす。従来のルーツブロワーによる気泡供給に比較して、コンパクトで少ない電気消費で多くの酸素を流体に溶解させることができる。
【0023】
複数の本装置は、5kg/cm以上の圧力の流体を供給する供給主管からの複数の分岐管に前記供給口で房状に接続され、このような複数の本装置を流体槽内の中央部に配置することで槽内の流体に対して隈なく高速旋回流を噴射することができ、極めて短時間で流体内の有機物を超微細化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1から図4を参照して本発明の代表的な超微細化装置1を説明する。この超微細化装置1は、下水などの被処理水中に含有されたフレーク状、粒子状の汚泥などの有機物を数ミクロンレベルまで超微細化して被処理水中に溶融させ、後続の曝気槽での生物分解を促進するための装置として利用されることが多く、有機物を含有した流体を保持している流体槽内に高速旋回噴流を噴射して流体中の有機物を衝撃力で超微細化して流体中に溶融させる。超微細化装置1は、左右に高速旋回噴流F3を噴射するように、左右一対のスタンドSで支持された装置本体10の両側部ケーシング11A、11Aの端面11a、11aに開口された小径の円形出口11b、11bと、両側部ケーシング11A、11Aの間に設けられた中央ケーシング11Bの周面に、その大径の円形内部腔部12bにおいて接線方向から7kg/cm程度の圧力の流体F1を供給して内部腔部12b内で高速旋回流F2を発生させるように形成された供給口12cと、中央ケーシング11Bの大径の円形な中央内部腔部12bを含み、両側部ケーシング11A、11Aの小径の出口11b、11bに向かって漏斗状に先細りしていく円形の両側部内部腔部12a、12aから成る内部腔部12と、両側部ケーシング11A、11Aの端面11a、11aに取り付けられ、各出口11bに連接されたノズル13とを有している。
【0025】
装置本体10は、略水平な円柱状を成しており、リング状の中央ケーシング11Bに両側部ケーシング11A、11Aをそれらのフランジにおいて4本のボルトBによって結合して構成されている。それらの接合面は、各々O−リングRによってシールされている。中央ケーシング11Bの内部腔部12bの大直径と両側部ケーシング11A、11Aの出口11bの小直径の比率は、例えば約4:1に設定され、また両側部ケーシング11A、11Aの先細り角度、即ちテーパ角度αは、例えば30度に設定されている。従って、供給口12cに接続された供給管Pから7kg/cmの圧力の流体が中央ケーシング12Bの大径の円形中央内部腔部12bに接線方向から供給されてくると、左右の両側部ケーシング11A、11Aの先細りの円錐台形状の内部腔部12a、12aに高速旋回流F2となって流れ込み、出口11b、11bに向かって徐々に圧力を高めていく。供給圧力よりも高くなった噴射の高速旋回流F3は、より大きな衝撃力と振動を伴って、通常の噴流よりも螺旋作用よるより長い流出経路に渡って大規模なキャビテーションを発生して有機物を効果的に粉砕し、ミクロンレベルまで超微細化する。しかし、供給圧力流体F1にエジェクターなどを利用して気泡を混入すると、その圧力流体に発酵菌や各種バクテリアを予め混入しておいた場合に、気泡がクッションとなって生存率が高くなり、また圧力流体が噴射される流体槽内に棲息する好気性バクテリアに対しても良い結果をもたらすことになる。内部腔部12での高速旋回流F2は、槽内流体に強力なキャビテーションを発生させる高速旋回噴流F3を発生すると共に、その中心部に負圧を発生させて出口11bから吸い戻し逆流を発生させようとするものであり、噴出流との局部的な干渉で微細化に有効な振動も発生する。
【0026】
この代表実施例では、更に両側部ケーシング11A、11Aの端面11a、11aにノズル13、13が各々2本のボルトbによって取り付けられている。各ノズル13は、4枚のノズル円板13A、13B、13C、13Dと、これらノズル円板を間に挟んで積層する間隔円板14A、14B、14C、14D、14Eとから構成されている。ノズル円板13A、13B、13C、13Dは、出口11b側から外側に向かって順次直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔13a、13b、13c、13dを有し、該円形孔の中心線を出口11bの中心線と整合させている。間隔円板14A、14B、14C、14D、14Eは、円形孔13a、13b、13c、13dに被さらない大きな孔14a、14b、14c、14d、14eを有している。従って、出口11bから噴出して徐々に部分膨張して行く高速旋回流F3は、出口11bを出て各円形孔13a、13b、13c、13dにおいて中心部の負圧による繰り返す吸い戻し逆流によってノズル円板13A、13B、13Cを高周波振動させて更に超音波振動によるキャビテーションを付加的に発生させることができると共に、各円形孔の超音波振動する鋭いエッジによる機械的破壊作用を超微細化に活用できる。その場合、供給する圧力流体F1に被処理有機物が混合していると特にその超微細化に有効で、数ミクロンレベルにまでの超微細化が行われる。また、円孔のエッジがキャビテーションによって浸食されても、次々と形成される鋭い粗面がエッジと同等の効果を発揮する。各ノズル円板13A、13B、13C、13Dが共鳴して高音を発する場合には、各ノズル円板の円形孔13a、13b、13c、13dの中心を互いに若干ずらして共鳴音を干渉で防ぐこともできる。このノズル13を省いた超微細化装置も超微細化に使用できることは言うまでもない。
【0027】
図5に示すように、各側部ケーシング11A’の内部腔部11a’を円錐形状の他にドーム形状に円弧(縦断面において)によって周面を形成することもでき、この場合には、出口11bに向かうに従って急激に高速旋回流の圧力が高まり、より強力な高速旋回流を噴射することができ、より強いキャビテーションを流体中の有機物に作用させることができる。
【0028】
図6に示すように、被処理流体Fを保持した流体槽4内において、被処理流体Fの量に応じて複数の、例えば3組の本装置1が、圧力流体の供給主管5からの3本の分岐管6に各供給口で接続され、短時間で大量の被処理流体Fの有機物の超微細化を実施することができる。
また、前記代表実施例の他に、片側だけから高速旋回流を噴射する一つの出口を有した片方の側部ケーシングを設けたものも適宜使用される。
【実施例】
【0029】
本発明の超微細化装置1の一実施例(テスト用実施例)として、中央ケーシング11Bの内部腔部12bを70mmの直径と45mmの奥行きで構成すると共に、側部ケーシング11Aの円錐台形状の内部腔部12aを70mmの大径から出口11bの18mmの小径まで30度のテーパ角度で97mmの奥行きで構成している。ノズル13は、出口側から外側に向かって順次配置された直径18mmの円孔と3mmの厚さを有した間隔円板14Aと、直径6mmの円孔と0.5mmの厚さを有した振動ノズル円板13Aと、直径30mmの円孔と5mmの厚さを有した間隔円板14Bと、直径7mmの円孔と0.5mmの厚さを有した振動ノズル円板13Bと、直径20mmの円孔と7mmの厚さを有した間隔円板14Cと、直径8mmの円孔と0.5mmの厚さを有した振動ノズル円板13Cと、直径35mmの円孔と9mmの厚さを有した間隔円板14Dと、直径9mmの円孔と0.5mmの厚さを有した振動ノズル円板13Dと、直径20mmの円孔と3mmの厚さを有した押さえ用間隔円板14Eとから構成されている。7kg/cmの供給圧力で3回流体を超微細化装置1に循環供給した場合、ほぼ100%の有機物が4から6ミクロンに超微細化されたのが顕微鏡観察で確認された。これで、従来の超微細化装置に比較して循環回数が2回以上も少なくて済むことが分かる。有機物が微生物の場合、3ミクロン以下のものは大部分生き残り、この超微細化処理後にばっき槽で生物分解処理を行う場合に4から6ミクロンの比較的大形の微生物の餌になる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の活用例として、し尿処理場からの汚泥の生物分解処理の他に、畜産業や食品加工業を始め一般家庭やホテル、レストランから廃棄される多量の有機物の生物分解処理のための事前の有機物超微細化に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る代表実施例の超微細化装置の縦断面図。
【図2】同超微細化装置の端面図。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った断面図。
【図4】同超微細化装置のノズルの縦断面図。
【図5】本発明に係る超微細化装置の先細り内部腔部の変形例を示した構成部材の縦断面図。
【図6】本発明に係る複数の超微細化装置の流体槽内の配置を示した平面図。
【符号の説明】
【0032】
1 超微細化装置
4 流体槽
5 供給主管
6 分岐管
10 本体(ケーシング)
11A 側部ケーシング
11B 中央部ケーシング
11a 端面
11b 出口
12 内部腔部
12a 側部先細り内部腔部
12b 中央内部腔部
13 ノズル
13A〜13D ノズル円板
13a〜13d ノズル円板のエッジ付きの円形孔
14A〜14D 間隔円板
14a〜14d 間隔円板の孔
F 流体
F1 供給圧力流体
F2 内部腔部内の高速旋回流
F3 噴射された高速旋回流



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有した流体を保持している流体槽内に高速旋回噴流を噴射して流体中の有機物を衝撃力で超微細化して流体中に溶融させる装置であって、
該装置の本体の周面に開口され、前記高速旋回噴流を噴射する小径の出口と、
前記装置の本体内部の大径の腔部から前記小径の出口に向かって先細りしていき、少なくとも部分的に円形部を有した内部腔部と、
前記内部腔部にその円形部において接線方向から圧力流体を供給して前記内部腔部内で高速旋回流を発生させるために前記装置本体の周面に形成された供給口と、を有していることを特徴とする超微細化装置。
【請求項2】
前記装置本体は、略円柱状又は紡錘形を成しており、両端面に前記出口を形成した両側部ケーシングと、両側部ケーシング間に配置され、大径の内部腔部の内周面に供給口を形成した中央部ケーシングとから構成されている請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記内部腔部は、円形の内周面を有しており、前記供給口を有した中央ケーシングの中央内部腔部と、前記出口を有した側部先細り内部腔部とから構成されている請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記両端面には、各々外側に向かって直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔を有し、該円形孔の中心線を前記出口の中心線と整合させて前記円形孔に被さらない大きさの孔を有した間隔円板を介して積層された複数の薄いノズル円板が取り付けられている請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記両端面には、各々外側に向かって直径が大きくなっているエッジ付きの円形孔を有し、該円形孔の中心線を前記出口の中心線から円形孔の半径未満だけずらして前記円形孔に被さらない大きさの孔を有した間隔円板を介して積層された複数の薄いノズル円板が取り付けられている請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記内部腔部にその円形部において接線方向から供給される圧力流体に気泡が混入される請求項1記載の装置。
【請求項7】
複数の本装置は、5kg/cm以上の圧力の流体を供給する供給主管からの複数の分岐管に前記供給口で接続される請求項1記載の装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−185590(P2007−185590A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4894(P2006−4894)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】