説明

超硬合金を含む土木掘削ビット及び他の部品

本製造品は、超硬合金片、及び超硬合金片を物品中に結合させる接合相を含む。接合相は無機粒子及びマトリクス材料を含む。マトリクス材料は金属及び合金である。無機粒子の融点はマトリクス材料の融点よりも高い。本方法は、無機粒子と超硬合金片の間の空間に溶融金属又は合金を浸潤させ、次に金属又は合金を凝固させて製造品を形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、焼結超硬合金を含む土木掘削物品及び他の製造品、並びにそれらの製造方法に関する。本発明に包含される土木掘削物品の例としては、例えば、土木掘削ビット、並びに、例えばフィックスドカッター土木掘削ビット本体、及び回転コーン土木掘削ビット用のローラーコーンのような土木掘削ビット部品が挙げられる。本発明は更に、ここで開示する方法を用いて製造される土木掘削ビット本体、ローラーコーン、及び他の製造品に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]超硬合金は、比較的軟質の連続バインダー相中に分散している硬質金属炭化物の不連続相の複合体である。分散相は、通常、例えばチタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、及びタングステンから選択される1種類以上の遷移金属を含む炭化物の細粒を含む。バインダー相は、通常、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含む。例えばクロム、モリブデン、ルテニウム、ホウ素、タングステン、タンタル、チタン、及びニオブのような合金化元素をバインダーに加えて、複合体の特定の特性を向上させることができる。バインダー相は、金属炭化物領域を結合又は「接合」し、複合体は不連続相及び連続相の物理特性の有利な組合せを示す。
【0003】
[0003]パラメーター(分散相及び/又は連続相中の材料の組成、分散相の粒径、及び相の体積割合を挙げることができる)を変化させることによって、数多くの超硬合金のタイプ又は「グレード」が製造される。分散した炭化タングステン相及びコバルトバインダー相を含む超硬合金は、一般的に入手できる超硬合金グレードの商業的に最も重要なものである。種々のグレードを粉末ブレンド(ここでは「超硬合金粉末」と呼ぶ)として入手することができ、通常の圧縮−焼結技術を用いてこれを処理して超硬合金複合体を形成することができる。
【0004】
[0004]不連続炭化タングステン相及び連続コバルトバインダー相を含む超硬合金グレードは、強度、破壊靱性、及び耐摩耗性の有利な組合せを示す。当該技術において公知なように、「強度」は、材料が破断又は破壊する時点での応力である。「破壊靱性」は、材料が破壊する前にエネルギーを吸収し塑性変形する能力である。「靱性」は、応力−歪み曲線の下側の始点から破断点までの面積に比例する。McGRAW HILL DICTIONARY OF SCIENTIFIC AND TECHNICAL TERMS (5版, 1994)を参照。「耐摩耗性」は、材料がその表面に対する損傷に耐える能力を指す。「摩耗」は、一般に、材料と接触表面又は物質との間の相対的な動きによる材料の進行的損失を含む。METALS HANDBOOK DESK EDITION (2版, 1998)を参照。超硬合金は、大きな強度、靱性、及び高い耐摩耗性が要求される用途、例えば金属切削及び金属成形加工用途、土木掘削及び岩石切削用途などにおいて、並びに機械における摩耗部品としての広範囲の使用が見出されている。
【0005】
[0005]超硬合金の強度、靱性、及び耐摩耗性は、複合体中に存在する分散硬質相の平均粒径及びバインダー相の体積(又は重量)割合に関係する。一般に、通常の超硬合金粉末グレードにおいて超硬合金粒子の平均粒径を増加させるか及び/又はバインダーの体積割合を増加させると、形成される複合体の破壊靱性が増加する。しかしながら、一般に、この靱性の増加に伴って耐摩耗性が減少する。したがって、超硬合金を配合する冶金学者は、高い耐摩耗性及び高い破壊靱性の両方を示し、要求の厳しい用途において用いるのに好適なグレードを開発することに挑戦し続けている。
【0006】
[0006]一般に、超硬合金部品は、通常の粉末冶金圧縮−焼結技術を用いて個々の部品として製造される。製造プロセスは、通常、成形型内において超硬合金粉末の一部を固化又は圧縮して、規定の形状及び寸法の未焼結又は「素地」成形体を与えることを含む。粉末を圧縮又は他の方法で固化することによっては容易に達成することができない更なる形状特徴が超硬合金部品において必要な場合には、固化又は圧縮操作の後に素地成形体を機械加工する(これは、「素地成形加工」とも呼ばれる)。素地成形加工プロセスのために更なる成形体強度が必要な場合には、素地成形加工の前に素地成形体を予備焼結することができる。予備焼結は、最終焼結温度よりも低い温度において起こり、「脱脂」成形体を与える。素地成形加工操作の後、通常は「焼結」と呼ばれる高温処理を行う。焼結によって材料が理論的完全密度付近に緻密化されて、超硬合金複合体が製造され、材料の強度及び硬度が最適になる。
【0007】
[0007]圧縮−焼結製造技術の大きな制限は、形成することができる成形体の形状の範囲がかなり制限され、複雑な部品形状を製造するためにこの技術を有効に用いることができないことである。粉末の圧縮又は固化は、通常、機械又は水圧プレス及び剛性の用具、或いはその代わりに等方圧プレスを用いて行う。等方圧プレス技術においては、成形加工力を異なる方向から可撓性の成形型に加えることができる。「ウェットバッグ」等方圧プレス技術は、圧媒体中に配置される可動成形型を用いる。「ドライバッグ」等方圧プレス技術は、放射方向の対称性を有する成形型を用いる。しかしながら、剛性の用具を用いるにせよ、又は可撓性の用具を用いるにせよ、固化成形体は用具から抜き出さなければならず、この制限によって形成することができる成形体の形状が限定される。更に、直径が約4〜6インチ及び長さが約4〜6インチより大きい成形体は、等方圧プレスで固化しなければならない。しかしながら、等方圧プレスは可撓性の用具を用いるので、精密な形状を有する圧縮成形体を形成することができない。
【0008】
[0008]上記に示すように、予備焼結後に脱脂成形体を素地成形加工することによって、超硬合金部品用の成形体中に更なる形状特徴を導入することができる。しかしながら、素地成形加工から可能な形状の範囲は限定されている。可能な形状は、工作機械の利用可能性及び能力によって限定される。素地機械加工において用いることができる工作機械は高度に耐摩耗性でなければならず、一般的に高価である。また、超硬合金部品を形成するために用いる成形体の素地機械加工は、高度に研磨性の微粉を生成する。更に、部品の設計においては、成形体上に形成する形状特徴は切削工具の進路を横切ることができないということを考慮しなければならない。
【0009】
[0009]複雑な形状を有する超硬合金部品は、例えばろう付け、溶接、及び拡散結合のような通常の冶金的接合技術を用いるか、又は例えば収縮嵌め、締まり嵌めのような機械的接続技術を用いるか、或いは機械的締着手段を用いて2以上の超硬合金片を一緒に接続することによって製造することができる。しかしながら、冶金的及び機械的接合は両方とも、超硬合金の固有の特性及び/又は接合部の機械的特性のために不十分である。合金の通常のろう付け又は溶接は超硬合金よりも非常に低い強度レベルを有しているので、ろう付け又は溶接した接合部は、接続した超硬合金片よりも非常に脆弱であると思われる。また、ろう付け及び溶接の溶着部は、炭化物、窒化物、ケイ化物、酸化物、ホウ化物、又は他の硬質相を含まないので、ろう付け又は溶接接合部はまた、超硬合金材料よりも耐摩耗性が非常に低い。機械的接続技術は、一般に、接合する部品の上にキー溝、溝、孔、又はネジのような形状特徴を存在させることが必要である。超硬合金部品上にかかる形状特徴を与えると、応力が集中する領域が形成される。超硬合金は比較的脆性の材料であるので、切り込みに対して極度に感受性であり、機械的接合形状特徴に関係する応力の集中によって、超硬合金の早期の破壊が容易に引き起こされる可能性がある。
【0010】
[0010]要求の厳しい用途のために好適な強度、耐摩耗性、及び破壊靱性を示し、上記で議論した従来の方法によって製造される部品の欠点を有しない複雑な形状を有する超硬合金部品、例えば土木掘削ビット及びビット本体を製造する方法が、非常に望まれている。
【0011】
[0011]更に、結合領域又は更に部品全体の強度、耐摩耗性、又は破壊靱性を大きく損なうことなく、容易に機械加工できる金属又は金属(即ち金属含有)合金のような非超硬合金材料の領域を含む超硬合金部品を製造する方法が非常に望まれている。かかる方法による製造の利益を享受する部品の特定の例は、超硬合金をベースとするフィックスドカッター土木掘削ビットである。フィックスドカッター土木掘削ビットは、基本的に、切削を最適にする所定の位置でビット本体に固定されている幾つかのインサートを含む。切削インサートは、通常、超硬合金基材上の焼結合成ダイヤモンドの相を含む。かかるインサートはしばしば多結晶ダイヤモンド成形体(PDC)と呼ばれる。
【0012】
[0012]フィックスドカッター土木掘削ビット用の通常のビット本体は、鋼材からビットの複雑な形状特徴を機械加工するか、或いは硬質炭化物粒子の床に例えば銅ベースの合金のようなバインダー合金を浸潤させることによって製造されている。最近になって、標準的な粉末冶金手順(粉末を固化し、次に素地成形体又は予備焼結した粉末成形体を成形加工又は機械加工し、高温焼結する)を用いて、フィックスドカッタービット本体を超硬合金から製造することができることが開示されている。共に係属している米国特許出願10/848,437及び11/116,752においては土木掘削ビット用のビット本体において超硬合金複合体を用いることが開示されており、かかる出願のそれぞれはその全部を参照として本明細書中に包含する。超硬合金は、機械加工した鋼材又は浸潤処理した炭化物と比較して高い強度、靱性、並びに耐摩耗及び耐浸食性の特に有利な組合せを示すので、超硬合金をベースとするビット本体は、機械加工した鋼材又は湿潤処理した炭化物のビット本体を凌ぐ大きな有利性を与える。
【0013】
[0013]図1は、その上にPDC切削インサートを取り付けることができるフィックスドカッター土木掘削ビット本体の概要図である。図1を参照すると、ビット本体20は、それを通して泥水をポンプ移送する孔24を含む中央部分22、及びその中にPDCカッターを取り付けるポケット28を含むアーム又は「ブレード」26を含む。ビット本体20には、硬質で耐摩耗性の材料で形成されるゲージパッド29を更に含ませることができる。ゲージパッド29は、ビットの有効直径を許容できない度合いに減少させるビットの摩耗を抑制するために与えられる。ビット本体20は、粉末冶金技術によるか、或いは硬質炭化物粒子に溶融金属又は合金を浸潤させることによって形成される超硬合金から構成することができる。粉末冶金プロセスは、成形型の空洞部にバインダー金属及び炭化物粉末を充填し、次に粉末を圧縮して素地成形体を形成することを含む。材料を機械加工することを困難にする焼結超硬合金の高い強度及び硬度のために、通常は素地成形体を機械加工してビット本体の形状特徴を含ませ、次に機械加工した成形体を焼結する。浸潤プロセスは、成形型の空洞部に炭化タングステン粒子のような硬質粒子を充填し、成形型内の硬質粒子に溶融した金属又は銅合金のような合金を浸潤させることを伴う。浸潤によって製造される幾つかのビット本体においては、焼結超硬合金の小さな片を1以上のゲージパッドの周囲に配置してビットの摩耗を更に抑制する。かかる場合においては、焼結超硬合金片の全体積はビット本体の全体積の1%未満である。
【0014】
[0014]フィックスドカッター土木掘削ビットの全体的な耐久性及び耐用寿命は、切削部材の耐久性のみならず、ビット本体の耐久性にも依存する。したがって、緻密な超硬合金のビット本体を含む土木掘削ビットは、機械加工した鋼材又は浸潤処理した硬質粒子のビット本体を含むビットよりも相当に長い耐用寿命を示すことができる。しかしながら、緻密な超硬合金の土木掘削ビットは、なお幾つかの制限を受ける。例えば、ビット本体は高温焼結プロセス中に若干の寸法及び形状の歪みを起こすので、緻密な超硬合金のビット本体上に個々のPDCカッターを正確且つ精密に配置させることは困難である可能性がある。PDCカッターがビット本体ブレード上の所定に位置に精密に配置されないと、土木掘削ビットは、例えばカッター及び/又はブレードの早期の破損、過度の振動、及び/又は円形でない掘削孔(非円形孔)のために満足に機能しない可能性がある。
【0015】
[0015]また、緻密な一体型の超硬合金ビット本体は複雑な形状を有する(図1参照)ので、通常は、5軸コンピューター制御フライス盤のような高性能工作機械を用いて素地成形体を機械加工する。しかしながら、上記で議論したように、最も高性能の工作機械であっても限られた範囲の形状及びデザインしか与えることができない。例えば、形状特徴によって機械加工プロセス中の切削用具の進路を妨げることはできないので、機械加工することができる切削ブレードの数及び形状並びにPDCカッターの取り付け位置が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願10/848,437
【特許文献2】米国特許出願11/116,752
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】McGRAW-HILL DICTIONARY OF SCIENTIFIC AND TECHNICAL TERMS (5版, 1994)
【非特許文献2】METALS HANDBOOK DESK EDITION (2版, 1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
[0016]したがって、上記で議論したものを含む公知の製造方法の制限を受けない超硬合金をベースとする土木掘削ビット本体及び他の部品を製造する改良された方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
[0017]本発明の一形態は、超硬合金片の全体積が製造品の全体積の少なくとも5%であり、接合相によって少なくとも1つの超硬合金片が製造品中に結合されている少なくとも1つの超硬合金片を含む製造品に関する。接合相は、無機粒子、並びに金属及び合金の少なくとも1つを含むマトリクス材料を含む。無機粒子の融点はマトリクス材料の融点よりも高い。
【0020】
[0018]本発明の他の形態は、土木掘削物品である製造品に関する。土木掘削物品は少なくとも1つの超硬合金片を含む。超硬合金片は、土木掘削物品の全体積の少なくとも5%である超硬合金体積を有する。金属マトリクス複合体によって超硬合金片が土木掘削物品中に結合される。金属マトリクス複合体は、金属又は合金を含むマトリクス中に分散している硬質粒子を含む。
【0021】
[0019]本発明の更に他の形態は、少なくとも1つの超硬合金片、及び場合によっては非超硬合金片を、成形型の空洞部内の所定の位置に配置して、空洞部を部分的に充填して空洞部内に非占有空間を画定することを含む、超硬合金領域を含む製造品の製造方法に関する。少なくとも1つの超硬合金片の体積は、製造品の全体積の少なくとも5%である。多数の無機粒子を加えて非占有空間を部分的に充填する。無機粒子の間の空間は残余空間である。超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、及び多数の硬質粒子を加熱する。溶融金属又は溶融合金を残余空間中に浸潤させる。溶融金属又は溶融合金の融点は、多数の無機粒子の融点よりも低い。残余空間内の溶融金属又は溶融合金を冷却し、凝固した溶融金属又は溶融合金によって、超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、及び無機粒子を結合させて製造品を形成する。
【0022】
[0020]本発明の更なる形態は、少なくとも1つの焼結超硬合金片、及び場合によっては少なくとも1つの非超硬合金片を、成形型の空洞部内に配置し、それによって空洞部の非占有部分を画定することを含む、フィックスドカッター土木掘削ビットの製造方法に関する。成形型の空洞部内に配置される超硬合金片の全体積は、フィックスドカッター土木掘削ビットの全体積の少なくとも5%である。硬質粒子を空洞部内に配置して空洞部の非占有部分の一部を占有させ、成形型の空洞部内の占有されていない残余部分を画定する。成形型を鋳造温度に加熱し、溶融金属鋳造材料を成形型に加える。溶融金属鋳造材料の融点は、無機粒子の融点よりも低い。溶融金属鋳造材料を成形型内の残余部分に浸潤させる。成形型を冷却して溶融金属鋳造材料を凝固させて、少なくとも1つの焼結超硬合金及び存在する場合には少なくとも1つの非超硬合金の片、並びに硬質粒子をフィックスドカッター土木掘削ビット中に結合させる。超硬合金片を空洞部内に配置してフィックスドカッター土木掘削ビットのブレード領域の少なくとも一部を形成し、存在する場合には非超硬合金片によってフィックスドカッター土木掘削ビットの接続領域の少なくとも一部を形成する。
【0023】
[0021]本発明の1つの非限定的な形態によれば、製造品は、少なくとも1つの超硬合金片、並びに、共晶合金材料から構成される、少なくとも1つの超硬合金片を製造品中に結合する接合相を含む。
【0024】
[0022]本発明による更なる非限定的な形態は、焼結超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置することを含む、超硬合金部分を含む製造品の製造方法に関する。焼結超硬合金片及び隣接片によって充填材空間を画定する。合金共晶組成物から構成される配合粉末を充填材空間に加える。超硬合金片、隣接片、及び粉末を、少なくとも合金共晶組成物の共晶融点に加熱する。超硬合金片、隣接片、及び合金共晶組成物を冷却し、凝固した合金共晶材料によって超硬合金部品及び隣接部品を接合する。
【0025】
[0023]ここで記載する方法及び製造品の特徴及び有利性は、添付の図面を参照することによってより良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】[0024]図1は、緻密な超硬合金又は浸潤硬質粒子のいずれかから製造したフィックスドカッター土木掘削ビット本体の斜視図である。
【図2】[0025]図2は、本発明による超硬合金を含む製造品の1つの非限定的な態様の側面図である。
【図3】[0026]図3は、本発明によるフィックスドカッター土木掘削ビットの非限定的な態様の斜視図である。
【図4】[0027]図4は、本発明による超硬合金を含む複雑な製造品の製造方法の1つの非限定的な態様を示すフローチャートである。
【図5】[0028]図5は、本発明方法の非限定的な態様によって製造した超硬合金を含む製造品の断面の写真である。
【図6】[0029]図6A及び6Bは、それぞれ、本発明方法の非限定的な態様によって製造した製造品中の、焼結超硬合金片と、連続青銅相中に埋封されている鋳造炭化タングステン粒子を含む複合体マトリクスとの間の界面領域の低倍率及び高倍率の顕微鏡写真である。
【図7】[0030]図7は、本発明による、ニッケル及び炭化タングステンの共晶合金によって接合されている超硬合金片を含む製造品の非限定的な態様の写真である。
【図8】[0031]図8は、本発明によるフィックスドカッター土木掘削ビットの非限定的な態様の写真である。
【図9】[0032]図9は、図8において示すフィックスドカッター土木掘削ビット中に含まれる焼結超硬合金ブレード片の写真である。
【図10】[0033]図10は、図9において示す超硬合金ブレード片及び図11において示す黒鉛スペーサーを用いて図8において示す土木掘削ビットを製造するのに用いた黒鉛成形型及び成形型部品の写真である。
【図11】[0034]図11は、図8において示す土木掘削ビットを製造するのに用いた黒鉛スペーサーの写真である。
【図12】[0035]図12は、図8において示すフィックスドカッター土木掘削ビットを製造するのに用いた組み立てられた成形型アセンブリの上面を示す写真である。
【図13】[0036]図13は、図8において示すフィックスドカッター土木掘削ビット中に含まれる超硬合金ブレード片と機械加工可能な非超硬合金金属片の界面領域の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0037]本発明による幾つかの非限定的な態様の以下の詳細な記載を考察することによって、上記の詳細及び他の事項が認識されるであろう。
【0028】
[0038]実施例又は他に示されている箇所以外の非限定的な態様の本記載において、量又は特性を表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されているものと理解すべきである。したがって、反対に示されていない限りにおいては、以下の記載において示される全ての数値パラメーターは、本発明による方法によって及び部品において得ようとする所望の特性によって変化する可能性がある近似値である。最後に、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限することは意図しないが、それぞれのかかる数値パラメーターは、少なくとも、報告されている有効桁数の数を考慮し且つ通常の丸め法を適用することによって解釈すべきである。
【0029】
[0039]参照として本明細書中に包含されると記載されている全ての特許、公報、又は他の開示資料は、完全か又は部分的に、包含する資料が既存の定義、記述事項、又は本明細書中に示されている他の開示資料と対立しない程度にのみ本明細書中に包含される。このように、且つ必要な範囲で、本明細書中に示す開示事項は、参照として本明細書中に包含される全ての対立する資料に優先する。参照として本明細書中に包含されると記載されているが、既存の定義、記述事項、又は本明細書中に示されている他の開示資料と対立する全ての資料又はその一部は、包含する資料と既存の開示資料との間に対立が生じない程度にのみ包含される。
【0030】
[0040]本発明の一形態によれば、例えば土木掘削ビット本体など(しかしながらこれに限定されない)の製造品は、少なくとも1つの超硬合金片、及び超硬合金片を物品中に結合させる接合相を含む。超硬合金片は焼結材料であり、最終物品の一部を形成する。接合相には、無機粒子、並びに金属及び合金の少なくとも1つを含む連続金属マトリクスを含ませることができる。本発明においては、下記において他に示さない限りにおいて、「超硬合金」、「超硬合金材料」、及び「超硬合金複合体」という用語は、焼結超硬合金を指すと認められる。また、下記において他に示さない限りにおいて、ここで用いる「非超硬合金」という用語は、超硬合金材料を含まないか、或いは他の態様においては2体積%未満の超硬合金材料を含む材料を指す。
【0031】
[0041]図2は、本発明による複雑な超硬合金含有物品30の1つの非限定的な態様の側面配置図である。物品30は、物品30内の所定の位置に配置されている3つの焼結超硬合金片32を含む。幾つかの非限定的な態様においては、本発明による物品中の1以上の焼結超硬合金片の合計体積は、物品の全体積の少なくとも5%であるか、或いは他の態様においては物品の全体積の少なくとも10%であってよい。本発明の可能な更なる形態によれば、物品30は、物品30中の所定の位置に配置されている非超硬合金片34も含む。超硬合金片32及び非超硬合金片34は、金属及び合金の少なくとも1つを含む連続金属マトリクス40中に多数の無機粒子38を含む接合相36によって物品30中に結合されている。図1は接合相36によって物品30中に結合されている3つの超硬合金片32及び単一の非超硬合金片34を示しているが、任意の数の超硬合金片、及び存在する場合には非超硬合金片を、本発明による物品中に含ませることができる。また、本発明による特定の非限定的な物品は非超硬合金片を有しなくすることができると理解されるであろう。
【0032】
[0042]限定することは意図しないが、いくつかの態様においては、本発明による物品中に含まれる1以上の超硬合金片は、超硬合金を製造するのに用いられる通常の方法によって製造することができる。1つのかかる通常の方法は、上記で一般的に議論したように、前駆体粉末を圧縮して成形体を形成し、次に焼結して成形体を緻密化し、粉末成分を冶金的に結合させることを伴う。超硬合金の製造に適用される圧縮−焼結法の詳細は当業者に周知であり、かかる詳細の更なる記載はここで与える必要はない。
【0033】
[0043]本発明による超硬合金を含む物品のいくつかの非限定的な態様においては、接合相によって物品中に結合している1以上の超硬合金片は、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物の不連続の分散相、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の1以上を含む連続バインダー相を含む。更に他の非限定的な態様においては、超硬合金片のバインダー相は、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を含む。いくつかの非限定的な態様においては、超硬合金片のバインダー相には、20重量%以下の添加剤を含ませることができる。他の非限定的な態様においては、超硬合金片のバインダー相には、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下の添加剤を含ませることができる。
【0034】
[0044]本発明による物品の幾つかの非限定的な態様における超硬合金片の全部又は一部は、同等の組成を有していてよく、又は同等の超硬合金グレードのものであってよい。かかるグレードとしては、例えば、炭化タングステン不連続相及びコバルト含有連続バインダー相を含む超硬合金グレードが挙げられる。種々の超硬合金グレードを製造するのに用いられる種々の商業的に入手できる粉末ブレンドは当業者に周知である。種々の超硬合金グレードは、通常、炭化物粒子の組成、炭化物粒子の粒径、バインダー相の体積割合、及びバインダー相の組成の1以上において異なり、これらの変化は複合体材料の最終特性に影響を与える。いくつかの態様においては、物品中に含まれる2以上の超硬合金片をそれから形成する超硬合金のグレードが異なる。本発明による物品中に含まれる超硬合金片中の超硬合金のグレードを物品全体にわたって変化させて、物品の異なる領域において例えば靱性、硬度、及び耐摩耗性のような特性の所望の組合せを与えることができる。また、本発明の物品中に含まれる超硬合金片、及び存在する場合には非超硬合金片の寸法及び形状を、物品の異なる領域において所望の特性に応じて所望のように変化させることができる。更に、超硬合金片及び存在する場合には非超硬合金片の全体積を変化させて物品の必要な特性を与えることができるが、超硬合金片の全体積は、物品の全体積の少なくとも5%、又は他の場合においては少なくとも10%である。
【0035】
[0045]物品の非限定的な態様においては、物品中に含まれる1以上の超硬合金片はハイブリッド超硬合金から構成される。当業者に公知なように、超硬合金は、通常は連続金属バインダー相全体にわたって分散し且つその中に埋封されている硬質金属炭化物粒子の不連続相を含む複合体材料である。これも当業者に公知なように、ハイブリッド超硬合金は、第2の超硬合金グレードの連続バインダー相全体にわたって分散し且つその中に埋封されている第1の超硬合金の硬質粒子の不連続相を含む。このように、ハイブリッド超硬合金は異なる複数の超硬合金の複合体として考えることができる。
【0036】
[0046]ハイブリッド超硬合金中に含まれるそれぞれの超硬合金の硬質不連続相は、通常、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族において見られる元素である遷移金属の少なくとも1つの炭化物を含む。ハイブリッド超硬合金中に通常含まれる遷移金属炭化物としては、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、及びタングステンの炭化物が挙げられる。金属炭化物細粒を結合又は「接合」する連続バインダー相は、通常、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金から選択される。更に、例えばタングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムのような1種類以上の合金化剤元素を連続相中に含ませて、複合体の特定の特性を向上させることができる。本発明による物品の1つの非限定的な態様においては、物品は、ハイブリッド超硬合金の分散相のバインダー濃度が分散相の2〜15重量%であり、ハイブリッド超硬合金の連続バインダー相のバインダー濃度が連続バインダー相の6〜30重量%であるハイブリッド超硬合金の1以上の片を含む。かかる物品は、場合によっては、通常の超硬合金材料の1以上の片、及び非超硬合金材料の1以上の片も含む。金属及び合金の少なくとも1つを含む連続接合相によって、1以上のハイブリッド超硬合金片を任意の通常の超硬合金片及び非超硬合金片と一緒に接触させ、物品内に結合させる。超硬合金又は非超硬合金材料のそれぞれの特定の片は一定の寸法及び形状を有していてよく、所望の特性を有する最終物品の種々の領域を与えるように予め定められた所望の位置に配置する。
【0037】
[0047]本発明による物品の幾つかの非限定的な態様のハイブリッド超硬合金は、比較的低い接触率を有していてよく、これによりハイブリッド超硬合金の特定の特性が他の超硬合金に対して向上する。本発明による物品の幾つかの態様において用いることができるハイブリッド超硬合金の非限定的な例は、米国特許7,384,443(その全部を参照として本明細書中に包含する)において見られる。ここで示す物品中に含ませることができるハイブリッド超硬合金複合体の幾つかの態様は、0.48以下の分散相の接触率を有する。幾つかの態様においては、ハイブリッド超硬合金の分散相の接触率は、0.4未満、又は0.2未満であってよい。比較的低い接触率を有するハイブリッド超硬合金を形成する方法、及び接触率を測定するための金相法は、包含されている米国特許7,384,443において詳述されている。
【0038】
[0048]本発明の他の形態によれば、本発明にしたがって製造される物品は、物品の接合相によって物品内に結合されている1以上の非超硬合金片を含む。いくつかの態様においては、物品中に含まれる非超硬合金片は、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金から選択される金属材料から構成される緻密な金属部品である。他の非限定的な態様においては、物品中に含まれる非超硬合金片は、金属又は合金の不連続マトリクス中に分散している金属又は合金の細粒、粒子、及び/又は粉末を含む複合体材料である。一態様においては、非超硬合金片の複合体材料の金属又は合金の連続マトリクスが接合相のマトリクス材料である。いくつかの非限定的な態様においては、非超硬合金片は、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金から選択される金属材料の粒子又は細粒を含む複合体材料である。1つの特定の態様においては、本発明による物品中に含まれる非超硬合金片は、金属又は合金のマトリクス中に分散しているタングステン細粒を含む。いくつかの態様においては、ここで示す物品中に含まれる非超硬合金片を機械加工してネジ又は他の形状特徴を含ませて、物品を他の物品に機械的に接続することができるようにすることができる。
【0039】
[0049]本発明による物品の1つの特定の非限定的な態様によれば、物品は、接合相によって物品に結合されている機械加工可能な非超硬合金片を含み、非超硬合金片を機械加工してビットを土木掘削ドリルストリングに接続するように構成されているネジ又は他の形状特徴を含ませているか又はそのようにしていてもよいフィックスドカッター土木掘削ビット及びローラーコーン土木ボーリングビットの1つである。幾つかの特定の態様においては、機械加工可能な非超硬合金片は、青銅のマトリクス中に分散し且つ埋封されているタングステン粒子の不連続相を含む複合体材料から製造される。
【0040】
[0050]非限定的な態様によれば、1以上の超硬合金片及び存在する場合には1以上の非超硬合金片を物品中に結合させる本発明による物品の接合相は無機粒子を含む。接合相の無機粒子としては、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドの少なくとも1つである硬質粒子が挙げられるが、これらに限定されない。他の非限定的な態様においては、硬質粒子は、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物を含む。更に他の非限定的な態様においては、接合相の硬質粒子は、炭化タングステン粒子及び/又は鋳造炭化タングステン粒子である。当業者に公知なように、鋳造炭化タングステン粒子は、共晶組成物であってよいWC及びWCの混合物から構成される粒子である。
【0041】
[0051]他の非限定的な態様によれば、1以上の超硬合金片及び存在する場合には1以上の非超硬合金片を物品中に結合させる本発明による物品の接合相は、金属粒子、金属細粒、及び/又は金属粉末の1以上である無機粒子を含む。いくつかの非限定的な態様においては、接合相の無機粒子は、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金から選択される金属材料の粒子又は細粒を含む。1つの特定の態様においては、本発明による接合相中の無機粒子は、金属又は合金のマトリクス中に分散しているタングステンの細粒、粒子、及び/又は粉末の1以上を含む。いくつかの態様においては、ここで示す物品の接合相の無機粒子は金属粒子であり、物品の接合相は機械加工可能であり、機械加工してネジ、ボルト、又はねじ穴、或いは他の形状特徴を含ませて、物品を他の物品に機械的に接続することができるようにすることができる。本発明による一態様においては、物品は土木掘削ビット本体であり、土木掘削ドリルストリング又は他の製造品に接続することができるように、機械加工してネジ、ボルト、及び/又はねじ穴、或いは他の接続形状特徴を含ませ、或いはそのように機械加工することができる。
【0042】
[0052]他の非限定的な態様においては、1以上の超硬合金片及び存在する場合には1以上の非超硬合金片を物品中に結合させる本発明による物品の接合相は、金属粒子とセラミック又は他の硬質無機粒子との混合物である無機粒子を含む。
【0043】
[0053]本発明の一形態によれば、いくつかの態様においては、接合相の無機粒子の融点は、無機粒子を接合相中に結合させる接合相のマトリクス材料の融点よりも高い。非限定的な態様においては、接合相の無機硬質粒子は接合相のマトリクス材料よりも高い融点を有する。更に他の非限定的な態様においては、接合相の無機金属粒子は接合相のマトリクス材料よりも高い融点を有する。
【0044】
[0054]本発明による物品の幾つかの非限定的な態様における接合相の金属マトリクスは、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、及びチタン合金の少なくとも1つを含む。一態様においては、金属マトリクスは真鍮である。他の態様においては、金属マトリクスは青銅である。一態様においては、金属マトリクスは、約78重量%の銅、約10重量%のニッケル、約6重量%のマンガン、約6重量%のスズ、及び不可避的な不純物を含む青銅である。
【0045】
[0055]本発明に包含されるいくつかの非限定的な態様によれば、物品はフィックスドカッター土木掘削ビット、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、回転コーンビット用のローラーコーン、又は土木掘削ビット用の他の部品の1つである。
【0046】
[0056]本発明の1つの非限定的な形態は、図3に示すフィックスドカッター土木掘削ビット50において具現化される。フィックスドカッター土木掘削ビット50は、ビット50を形成するのに用いる成形型の空洞部内に配置される焼結超硬合金から少なくとも部分的に形成される複数のブレード領域52を含む。幾つかの非限定的な態様においては、焼結超硬合金片の全体積は、フィックスドカッター土木掘削ビット50の全体積の少なくとも約5%であり、或いは少なくとも約10%であってよい。ビット50は、金属マトリクス複合体領域54を更に含む。金属マトリクス複合体は、金属又は合金中に分散している硬質粒子を含み、ブレード領域52の超硬合金片に接合している。ビット50は本発明方法によって形成する。図3に示す非限定的な例は6つの個々の超硬合金片を含む6つのブレード領域52を含むが、ビット中に含まれるブレード領域及び個々の超硬合金片の数は任意の数であってよいことが理解されるであろう。ビット50はまた、ビット50を形成するのに用いる成形型の空洞部内に配置されていた非超硬合金片から少なくとも部分的に形成され、金属マトリクス複合体によってビット中に結合されている機械加工可能な接続領域59も含む。非限定的な態様によれば、機械加工可能な接続領域中に含まれる非超硬合金片は、青銅のマトリクス中に分散し且つ埋封されているタングステン粒子の不連続相を含む。
【0047】
[0057]土木掘削ビットの幾つかの領域は、土木掘削ビット上の他の領域よりも大きい度合いの応力及び/又は摩耗を受けることが知られている。例えば、その上に多結晶ダイヤモンド成形体(PDC)インサートが取り付けられている特定のフィックスドカッター土木掘削ビットのブレード領域は、通常、高い剪断力を受け、ブレード領域の剪断破壊が、PDCをベースとするフィックスドカッター土木掘削ビットにおける破壊の通常のモードである。緻密な超硬合金のビット本体を形成することによってブレード領域に強度が与えられるが、ブレード領域は焼結中に変形する可能性がある。このタイプの変形は、ブレード領域上におけるPDC切削インサートの不正確な配置の原因となる可能性があり、これにより土木掘削ビットの早期の破損が引き起こされる可能性がある。本発明の範囲内で具現化される土木掘削ビット本体の幾つかの態様は、幾つかの超硬合金ビット本体が受ける変形の危険性を有しない。本発明によるビット本体の幾つかの態様はまた、緻密な超硬合金の成形体を機械加工して成形体から複雑な形状のビットを形成する必要性によって示される困難性も有しない。更に、幾つかの公知の緻密な超硬合金のビット本体においては、高価な超硬合金材料が、ブレード領域の強度及び耐摩耗性が要求されないビット本体の領域中に含まれている。
【0048】
[0058]図3のフィックスドカッター土木掘削ビット50においては、高い応力が加えられ、相当な摩耗力にかけられるブレード領域52は、完全か又は主として強固で高耐摩耗性の超硬合金から構成され、一方、強度及び耐摩耗性があまり重要でない領域であるブレード領域54を隔てているビット50の領域は、通常の浸潤金属マトリクス複合体材料から構成することができる。金属マトリクス複合体領域54は、ブレード領域52内の超硬合金に直接結合される。いくつかの非限定的な態様においては、ゲージパッド56及びマッドノズル領域58も、ビット50を形成するのに用いる成形型空洞部内に配置される超硬合金片から構成することができる。より一般的には、相当な強度、硬度、及び/又は耐摩耗性が要求されるビット50の任意の領域には、少なくとも、成形型内に配置される超硬合金片から構成され、浸潤させた金属マトリクス複合体によってビット50中に結合されている部分を含ませることができる。
【0049】
[0059]本発明による土木掘削ビット又はビット部品の非限定的な態様においては、少なくとも1つの超硬合金の片又は領域は、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の1以上を含むバインダーを含む。他の態様においては、超硬合金領域のバインダーは、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を含む。
【0050】
[0060]本発明による土木掘削ビットの超硬合金部分にはハイブリッド超硬合金を含ませることができる。いくつかの非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体は、0.48以下、0.4未満、又は0.2未満である分散相の接触率を有する。
【0051】
[0061]更なる態様においては、土木掘削ビットには少なくとも1つの非超硬合金領域を含ませることができる。非超硬合金領域は、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つから構成される緻密な金属の領域であってよい。本発明による土木掘削ビットの他の態様においては、少なくとも1つの金属領域は、金属マトリクス中に分散している金属細粒を含み、それによって金属マトリクス複合体が与えられる。非限定的な態様においては、金属細粒は、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金から選択することができる。金属又は合金中に埋封されている金属細粒を含む金属マトリクス複合体である非超硬合金領域を有するフィックスドカッター土木掘削ビットの他の非限定的な態様においては、金属マトリクス領域の金属又は合金も、少なくとも1つの超硬合金片を物品中に結合させる接合相のマトリクス材料のものと同じである。
【0052】
[0062]いくつかの態様によれば、土木掘削ビットは機械加工可能な領域を含み、これを機械加工してネジ又は他の形状特徴を含ませ、それによってビットをドリルストリング又は他の構造体に接続するための接続領域を与える。
【0053】
[0063]他の非限定的な態様においては、それから非超硬合金領域を形成する金属マトリクス複合体中の硬質粒子は、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドの少なくとも1つの硬質粒子を含む。例えば、硬質粒子は、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物を含む。いくつかの態様においては、硬質粒子は炭化タングステン及び/又は鋳造炭化タングステンである。
【0054】
[0064]金属マトリクス複合体の金属マトリクスには、例えば、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、及びチタン合金の少なくとも1つを含ませることができる。複数の態様においては、マトリクスは真鍮合金又は青銅合金である。一態様においては、マトリクスは、約78重量%の銅、約10重量%のニッケル、約6重量%のマンガン、約6重量%のスズ、及び不可避的な不純物から実質的に構成される青銅合金である。
【0055】
[0065]ここで図4のフロー図を参照すると、本発明の一形態によれば、物品60を形成する方法は、超硬合金片を準備し(工程62)、1つ以上の超硬合金片及び/又は非超硬合金片を第1の超硬合金に隣接させて配置する(工程64)ことを含む。非限定的な態様においては、成形型内に配置する超硬合金片の全体積は、成形型内で製造される物品の全体積の少なくとも5%であり、又は少なくとも10%であってよい。所望の場合には、片を成形型の空洞部内に配置することができる。種々の片の間の空間によって非占有空間が画定される。非占有空間の少なくとも一部に多数の無機粒子を加える(工程66)。多数の無機粒子と種々の超硬合金及び非超硬合金の片との間の残りの空洞部空間によって残余空間が画定される。残余空間に、無機粒子と複合体接合材料を形成する金属又は合金マトリクス材料を少なくとも部分的に充填する(工程68)。接合材料によって、無機粒子、並びに1つ以上の超硬合金片及び存在する場合には非超硬合金片を結合させる。
【0056】
[0066]本発明の1つの非限定的な形態によれば、残余空間に溶融金属又は合金を浸潤させることによって残余空間を充填する。冷却及び固化させることにより、金属又は合金によって、超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、及び無機粒子を結合させて製造品を形成する。非限定的な態様においては、片及び無機粒子を含む成形型を、金属又は合金浸潤剤の融点又はそれより高い温度に加熱する。非限定的な態様においては、浸潤は、残余空間の少なくとも一部に溶融金属又は合金が充填されるまで溶融金属又は合金を加熱した成形型中に注入又は流入させることによって行う。
【0057】
[0067]本発明方法の一形態は、成形型を用いて物品を製造することに関する。成形型は、黒鉛又は当業者に公知の任意の他の化学的に不活性で温度耐性の材料から構成することができる。非限定的な態様においては、少なくとも2つの超硬合金片を空洞部内に所定の位置で配置する。成形型内にスペーサーを配置して、少なくとも1つの超硬合金片及び存在する場合には非超硬合金片を所定の位置に配置することができる。超硬合金片は、高い強度、耐摩耗性、硬度などが要求される土木掘削ビットのブレード部分など(しかしながらこれらに限定されない)の重要な領域に配置することができる。
【0058】
[0068]非限定的な態様においては、超硬合金片は、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB族、第VB族、又は第VIB族金属の炭化物、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の1以上から構成されるバインダーから構成される。幾つかの態様においては、超硬合金片のバインダーは、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、マンガン、及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む。添加剤には20重量%以下のバインダーを含ませることができる。
【0059】
[0069]他の非限定的な態様においては、超硬合金片はハイブリッド超硬合金複合体を含む。いくつかの態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体の分散相は、0.48以下、0.4未満、又は0.2未満の接触率を有する。
【0060】
[0070]限定なしに、非超硬合金片は成形型内に所定の位置で配置することができる。非限定的な態様においては、非超硬合金片は、金属及び合金の少なくとも1つから構成される金属材料である。更なる非限定的な態様においては、金属は、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む。
【0061】
[0071]他の非限定的な態様においては、多数の金属の細粒、粒子、及び/又は粉末を成形型の一部に加える。多数の金属細粒は、多数の無機粒子と一緒に残余空間を画定するのに寄与し、これはその後に溶融金属又は合金によって浸潤させる。幾つかの非限定的な態様においては、金属細粒は、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つを含む。特定の態様においては、金属細粒はタングステンから構成される。
【0062】
[0072]非限定的な態様においては、非占有空間を部分的に充填する無機粒子は硬質粒子である。複数の態様においては、硬質粒子は、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、又は天然ダイヤモンドの1以上を含む。他の非限定的な態様においては、硬質粒子は、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物を含む。他の特定の態様においては、硬質粒子は、炭化タングステン及び/又は鋳造炭化タングステンから構成されるように選択される。
【0063】
[0073]他の非限定的な態様においては、非占有空間を部分的に充填する無機粒子は、金属の細粒、粒子、及び/又は粉末である。金属細粒は残余空間を画定し、これはその後に溶融金属又は合金によって浸潤させる。いくつかの非限定的な態様においては、金属細粒は、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つを含む。特定の態様においては、金属細粒はタングステンから構成される。
【0064】
[0074]残余空間に浸潤させるのに用いる溶融金属又は合金としては、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、青銅、及び真鍮の1以上が挙げられるが、これらに限定されない。プロセスの観点からは、比較的低い融点を有する浸潤溶融金属又は合金を用いることがしばしば有用である。したがって、残余空間を浸潤させるのに用いる溶融金属又は合金の非限定的な態様においては、真鍮又は青銅の合金を用いる。特定の態様においては、78重量%の銅、10重量%のニッケル、6重量%のマンガン、6重量%のスズ、及び不可避な不純物から構成される青銅合金が、浸潤溶融金属又は合金として選択される。
【0065】
[0075]ここで開示する超硬合金を含む製造品の製造方法の態様の幾つかの形態によれば、製造品としては、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、及び回転コーンビットのローラーコーンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0066】
[0076]本発明の他の形態によれば、フィックスドカッター土木掘削ビットの製造方法を開示する。フィックスドカッター土木掘削ビットの製造方法は、少なくとも1つの焼結超硬合金片及び場合によっては少なくとも1つの非超硬合金片を成形型中に配置し、それによって成形型内の空洞部の非占有部分を画定することを含む。非限定的な態様においては、成形型内に配置する超硬合金片の全体積は、フィックスドカッター土木掘削ビットの全体積の5%以上、又は10%以上である。成形型の非占有部分内に硬質粒子を配置して空洞部の非占有部分の一部を占有させ、成形型の空洞部の占有されていない残余部分を画定する。空洞部の占有されていない残余部分は、一般に、成形型内における硬質粒子間の空間及び硬質粒子と個々の片との間の空間である。成形型を鋳造温度に加熱する。溶融金属鋳造材料を成形型に加える。鋳造温度は金属鋳造材料の融点又はそれより高い温度である。通常は、金属鋳造温度は金属鋳造材料の融点又はそれ付近の温度である。溶融金属鋳造材料を占有されていない残余部分に浸潤させる。成形型を冷却して、金属鋳造材料を凝固させ、少なくとも1つの焼結超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、及び硬質粒子を結合させて、それによってフィックスドカッター土木掘削ビットを形成する。非限定的な態様においては、成形型の空洞部内に超硬合金片を配置して、フィックスドカッター土木掘削ビットのブレード領域の少なくとも一部を形成する。他の非限定的な態様においては、非超硬合金片は、存在する場合には、フィックスドカッター土木掘削ビットの接続領域の少なくとも一部を形成する。
【0067】
[0077]一態様においては、少なくとも1つの黒鉛スペーサー、又は他の不活性材料から製造されるスペーサーを、成形型の空洞部内に配置する。成形型の空洞部、及び存在する場合には少なくとも1つの黒鉛スペーサーによって、フィックスドカッター土木掘削ビットの全体形状が画定される。
【0068】
[0078]いくつかの態様においては、金属材料から構成される非超硬合金片を空洞部内に配置すると、非超硬合金金属片によってフィックスドカッター土木掘削ビットの機械加工可能な領域が形成される。機械加工可能な領域は、通常はネジ切りしてフィックスドカッター土木掘削ビットをドリルストリングの遠位端に接続することを容易にする。他の態様においては、溝、突起、フックなど(しかしながらこれらに限定されない)のような他のタイプの機械的締着手段を機械加工可能な領域中に機械加工して、土木掘削ビットの用具、用具ホルダー、ドリルストリングなどへの締着を容易にすることができる。非限定的な態様においては、機械加工可能な領域は、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む。
【0069】
[0079]機械加工可能な領域を土木掘削ビット中に導入するための他のプロセスは、硬質無機粒子を金属細粒の形態で空洞部中に配置することによる。非限定的な態様においては、金属細粒を成形型の空洞部の一部のみに加える。金属細粒によって金属細粒の間の空所が画定される。溶融金属鋳造材料を成形型に加えると、溶融金属鋳造材料が金属細粒の間の空所に浸潤して凝固した金属鋳造材料のマトリクス中の金属細粒が形成され、これにより土木掘削ビット上に機械加工可能な領域が形成される。非限定的な態様においては、金属細粒はタングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つ又はそれ以上を含む。特定の態様においては、金属細粒はタングステンである。他の非限定的な態様は、機械加工可能な領域にネジ切り加工を施すことを含む。
【0070】
[0080]通常は、しかしながら必須ではないが、少なくとも1つの焼結超硬合金片は、少なくとも1種類の周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダーから構成される。バインダーには、20重量%以下の、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、マンガン、及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含ませることができる。他の非限定的な態様においては、少なくとも1つの焼結超硬合金は最小で土木掘削ビットの10体積%を構成する。更に他の態様においては、少なくとも1つの焼結超硬合金は焼結ハイブリッド超硬合金複合体を含む。複数の態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体は、0.48以下、又は0.4未満、又は0.2未満である分散相の接触率を有する。
【0071】
[0081]土木掘削ビット上の例えば(しかしながらこれらには限定されない)ゲージプレート又はノズルの領域或いはノズルの周囲の領域に、増加した強度及び耐摩耗性の他の領域を有することが望ましい可能性がある。非限定的な態様は、少なくとも1つの超硬合金ゲージプレートを成形型中に配置することを含む。他の非限定的な態様は、少なくとも1つの超硬合金ノズル又はノズル領域を成形型中に配置することを含む。
【0072】
[0082]複数の態様によれば、硬質無機粒子は、通常、炭化物、ホウ化物、及び酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドの少なくとも1つを含む。他の非限定的な態様においては、硬質無機粒子は、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、炭化タングステン、及び鋳造炭化タングステンの少なくとも1つを含む。
【0073】
[0083]金属鋳造材材料には、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、真鍮、及び青銅の少なくとも1つを含ませることができる。他の態様においては、金属鋳造材料は青銅を含む。特定の態様においては、青銅は、78重量%の銅、10重量%のニッケル、6重量%のマンガン、6重量%スズ、及び不可避な不純物から実質的に構成される。
【0074】
[0084]焼結超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、存在する場合には金属硬質無機粒子、及びスペーサーの全部を成形型に加えた後、硬質無機粒子を成形型中に所定のレベルまで加える。所定のレベルは、土木掘削ビットの特定の工学的設計によって定められる。特定の工学的設計に関する所定のレベルは当業者に公知である。非限定的な態様においては、硬質粒子を成形型内のブレードの領域内に配置される超硬合金片の高さの直ぐ下まで加える。他の非限定的な態様においては、硬質粒子を成形型内の超硬合金片の高さと同じ高さか又はそれよりも上まで加える。
【0075】
[0085]上記に規定したように、鋳造温度は、通常、成形型に加える金属鋳造材料の融点か又はそれよりも高い温度である。金属鋳造材料が、78重量%の銅、10重量%のニッケル、6重量%のマンガン、6重量%のスズ、及び不可避な不純物から構成される青銅合金である特定の態様においては、鋳造温度は1180℃である。
【0076】
[0086]成形型及び成形型の内容物を冷却する。冷却すると、金属鋳造材料が凝固し、焼結超硬合金片、任意の非超硬合金片、及び硬質粒子が、複合体フィックスドカッター土木掘削ビット中に結合する。成形型から取り出した後、PDCインサートを加え、表面を機械加工して余分な金属マトリクス接合材料を除去し、更に当業者に公知の任意の他の仕上げ手順を行って成形生成物を完成土木掘削ビットに仕上げ処理することによって、フィックスドカッター土木掘削ビットを完成することができる。
【0077】
[0087]本発明の他の形態によれば、製造品は、少なくとも1つの超硬合金片、並びに少なくとも1つの超硬合金片を製造品中に結合させる共晶合金材料から構成される接合相を含む。いくつかの態様においては、少なくとも1つの超硬合金片は、製造品の全体積の少なくとも5%、又は少なくとも10%である超硬合金体積を有する。非限定的な態様においては、少なくとも1つの超硬合金片を接合相によって製造品中に結合させる。
【0078】
[0088]いくつかの態様によれば、共晶合金材料によって接合される少なくとも1つの超硬合金片には、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー中に分散している、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物の硬質無機粒子を含ませることができる。非限定的な態様においては、超硬合金片のバインダーは、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を含む。
【0079】
[0089]一態様においては、少なくとも1つの超硬合金片はハイブリッド超硬合金を含み、他の態様においては、ハイブリッド超硬合金の分散相は0.48以下の接触率を有する。
【0080】
[0090]いくつかの態様においては、少なくとも1つの超硬合金片が共晶合金材料によって物品内に接合され、物品は金属部品である少なくとも1つの非超硬合金片を含む。金属部品には、例えば鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含ませることができる。
【0081】
[0091]特定の態様においては、共晶合金材料は、55重量%のニッケル及び45重量%の炭化タングステンから構成される。他の特定の態様においては、共晶合金は、55重量%のニッケル及び45重量%の炭化タングステンから構成される。他の態様においては、共晶合金成分は、凝固によって硬質相細粒が散在している金属細粒から構成される緻密な材料に相分離する当業者に現在又は将来的に公知の任意の共晶組成物であってよい。
【0082】
[0092]非限定的な態様においては、製造品は、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、ローラーコーン、及び土木掘削ビット用の部品の1つである。
【0083】
[0093]超硬合金片を含む製造品の他の製造方法は、超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置することから構成される。超硬合金片と隣接片との間の空間によって充填材空間が画定される。非限定的な態様においては、超硬合金片及び隣接片を面取りして、面取り面によって充填材空間を画定する。合金共晶組成物から構成される粉末を充填材空間に加える。超硬合金片、隣接片、及び粉末を、少なくとも粉末が溶融する合金共晶組成物の共晶融点に加熱する。冷却した後に、凝固した合金共晶組成物によって超硬合金部品と隣接部品が接合される。
【0084】
[0094]非限定的な態様においては、超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置することは、焼結超硬合金片を他の焼結超硬合金片に隣接させて配置することを含む。
【0085】
[0095]他の非限定的な態様においては、超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置することは、焼結超硬合金片を非超硬合金片に隣接させて配置することを含む。非超硬合金片としては金属片を挙げることができるが、これに限定されない。
【0086】
[0096]特定の態様においては、配合粉末を加えることは、約55重量%のニッケル及び約45重量%の炭化タングステンを含む配合粉末を加えることを含む。他の特定の態様においては、配合粉末を加えることは、約55重量%のコバルト及び約45重量%の炭化タングステンを含む配合粉末を加えることを含む。他の態様においては、配合粉末を加えることは、凝固させることによって硬質相細粒が散在している金属細粒を含む材料を形成する当業者に現在又は将来において公知の任意の共晶組成物を加えることを含む。
【0087】
[0097]配合粉末が約55重量%のニッケル及び約45重量%の炭化タングステンを含む態様においては、超硬合金片、隣接片、及び粉末を少なくとも合金共晶組成物の共晶融点に加熱することは、1350℃以上の温度に加熱することを含む。非限定的な態様においては、超硬合金片、隣接片、及び粉末を少なくとも合金共晶組成物の共晶融点に加熱することは、不活性雰囲気又は真空中で加熱することを含む。
【実施例】
【0088】
実施例1:
[0098]図5は、本発明方法の幾つかの態様にしたがって製造した複合体物品70の写真である。物品70は、金属マトリクス中に分散している硬質無機粒子を含む接合相74によって結合されている数個の個々の焼結超硬合金片72を含む。個々の焼結超硬合金片72は、通常の技術によって製造した。超硬合金片72を円筒形の黒鉛成形型内に配置し、片72の間に非占有空間を画定した。鋳造炭化タングステン粒子を非占有空間内に配置し、個々の炭化タングステン粒子の間に残余空間を存在させた。超硬合金片72及び鋳造炭化タングステン粒子を含む成形型を1180℃の温度に加熱した。溶融青銅を成形型の空洞部中に導入し、残余空間に浸潤させて、超硬合金片及び鋳造炭化タングステン粒子を結合させた。青銅の組成は、78%(w/w)の銅、10%(w/w)のニッケル、6%(w/w)のマンガン、及び6%(w/w)のスズであった。青銅を冷却及び凝固させて、固体青銅中に埋封している鋳造炭化タングステン粒子の金属マトリクス複合体を形成した。
【0089】
[0099]物品60の青銅マトリクス76中の超硬合金片72と鋳造炭化タングステン粒子75を含む金属マトリクス複合体と間の界面領域の顕微鏡写真を、図6A(低倍率)及び6B(高倍率)に示す。図6Bを参照すると、浸潤プロセスによって、超硬合金片62の外側層中に溶解している青銅鋳造材料を含み、ここで青銅が超硬合金片62のバインダー相と混合しているように見える明確な界面区域78が得られた。一般に、図6Bにおいて示される拡散結合の形態を示す界面区域は強固な結合強度を示すと考えられる。
【0090】
実施例2:
[0100]図7は、本発明方法の複数の態様にしたがって製造した更なる複合体物品80の写真である。物品80は、共晶組成を有するNi−WC合金82によって物品80中に結合されている2つの焼結超硬合金片81を含む。物品80は、2つの超硬合金片81の間の面取りされた領域内に55%(w/w)のニッケル粉末及び45%(w/w)の炭化タングステン粉末から構成される粉末ブレンドを配置することによって製造した。アセンブリを、真空炉内において、粉末ブレンドの融点より高い1350℃の温度で加熱した。面取りされた領域内において溶融材料を冷却してNi−WC合金82として凝固させ、超硬合金片81を結合させて物品80を形成した。
【0091】
実施例3:
[0101]図8は、本発明の非限定的な態様によるフィックスドカッター土木掘削ビット84の写真である。フィックスドカッター土木掘削ビット84は、青銅マトリクス中に分散している鋳造炭化タングステン粒子を含む第1の金属接合材料86によってビット84中に結合されているブレード領域85を形成する焼結超硬合金片を含む。多結晶ダイヤモンド成形体87を、ブレード領域85を形成する焼結超硬合金片内に画定されているインサートポケット中に嵌め込んだ。また、非超硬合金片も第2の金属接合材料によってビット84中に結合させて、ビット84の機械加工可能な接続領域88を形成した。第2の接合材料は、青銅鋳造合金中に分散しているタングステン粉末(又は細粒)を含む金属複合体であった。
【0092】
[0102]ここで図8〜12を参照すると、図8に示されているフィックスドカッター土木掘削ビット84は以下のようにして製造した。図9は、ビット84内に含ませるブレード領域85を形成した焼結超硬合金片90の写真である。焼結超硬合金片90は、粉末を圧縮成形し、素地及び/又は脱脂(即ち予備焼結)状態の成形体を機械加工し、高温焼結する工程を含む通常の粉末冶金技術を用いて製造した。
【0093】
[0103]図8の土木掘削ビット84を製造するのに用いた黒鉛成形型及び成形型部品100を図10に示す。成形型内に配置した黒鉛スペーサー110を図11に示す。焼結超硬合金ブレード90、黒鉛スペーサー110、及び他の黒鉛成形型部品100を成形型内に配置した。図12は、成形型の空洞部を覗き込んだ眺めであり、最終成形型アセンブリ120を与えるための種々の部品の配置を示す。まず、結晶タングステン粉末を成形型アセンブリ120内の空洞部空間の領域中に導入して、ビット84の機械加工可能な接続領域88の不連続相を形成した。次に、鋳造炭化タングステン粒子を、成形型アセンブリ120の非占有空洞部空間中に、超硬合金片90の高さの直ぐ下のレベルまで注入した。黒鉛炉(図示せず)を成形型アセンブリ120の頂部上に配置し、青銅ペレットを炉内に配置した。アセンブリ120全体を、1180℃の温度の空気雰囲気を有する予め加熱した炉内に配置し、60分間加熱した。青銅ペレットが溶融し、溶融青銅が結晶タングステン粉末に浸潤して鋳造金属マトリクス中の金属細粒の機械加工可能な領域が形成され、また炭化タングステン粒子に浸潤して金属複合体接合材料が形成された。得られた土木掘削ビット84を清浄化し、機械加工によって余分な材料を除去した。接続領域88中にネジを機械加工した。
【0094】
[0104]図13は、ビット80のブレード領域82を形成する超硬合金片132と、連続青銅マトリクス138中に分散しているタングステン粒子136を含むビット80の機械加工可能な接続領域134との間の界面領域130の顕微鏡写真である。
【0095】
[0105]本記載は本発明の明確な理解に適切な本発明の複数の形態を示すものであることが理解されるであろう。当業者に明らかであり、したがって本発明のより良好な理解を促進しない幾つかの形態は、本記載を簡単にするために示さなかった。ここではやむを得ずに限られた数の本発明の態様のみを記載したが、当業者であれば上記の記載を考察することによって、本発明の多くの修正及び変更を用いることができることを認識するであろう。本発明の全てのかかる変更及び修正は、上記の記載及び特許請求の範囲にカバーされると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超硬合金片の全体積が製造品の全体積の少なくとも5%である少なくとも1つの超硬合金片;及び
無機粒子、並びに金属及び合金の少なくとも1つを含むマトリクス材料を含む、少なくとも1つの超硬合金片を製造品中に結合させる接合相;
を含み;
無機粒子の融点がマトリクス材料の融点よりも高い製造品。
【請求項2】
超硬合金片の全体積が製造品の全体積の少なくとも10%である、請求項1に記載の製造品。
【請求項3】
接合相によって製造品中に結合しており、製造品の全体積の少なくとも10%である超硬合金体積を含む少なくとも2つの超硬合金片を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項4】
接合相によって製造品中に結合している非超硬合金片を更に含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項5】
接合相によって製造品中に結合している少なくとも2つの非超硬合金片を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項6】
超硬合金片が、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー中に分散している、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物の粒子を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項7】
超硬合金片のバインダーが、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項6に記載の製造品。
【請求項8】
超硬合金片がハイブリッド超硬合金を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項9】
ハイブリッド超硬合金の分散相が0.48以下の接触率を有する、請求項8に記載の製造品。
【請求項10】
非超硬合金片が金属部品を含む、請求項4に記載の製造品。
【請求項11】
非超硬合金片が、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の製造品。
【請求項12】
非超硬合金片が、金属及び合金の1つの連続マトリクス中に分散している、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つの細粒を含む、請求項4に記載の製造品。
【請求項13】
非超硬合金片がタングステンを含む、請求項12に記載の製造品。
【請求項14】
連続マトリクスが接合相のマトリクス材料を構成する、請求項12に記載の製造品。
【請求項15】
接合相の無機粒子が、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、超硬合金、合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、炭化タングステン、及び鋳造炭化タングステンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項16】
接合相の無機粒子が、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項17】
接合相の無機粒子が金属又は合金の細粒を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項18】
接合相の無機粒子が、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つの細粒を含む、請求項17に記載の製造品。
【請求項19】
接合相の無機粒子がタングステンを含む、請求項17に記載の製造品。
【請求項20】
接合相が機械加工可能である、請求項17に記載の製造品。
【請求項21】
接合相のマトリクスが、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及び青銅の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項22】
接合相のマトリクスが、約78重量%の銅、約10重量%のニッケル、約6重量%のマンガン、約6重量%のスズ、及び不可避的な不純物から実質的に構成される青銅を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項23】
製造品が、フィックスドカッター土木掘削ビット、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、ローラーコーンビット、ローラーコーン、及び土木掘削ビット用の部品の1つである、請求項1に記載の製造品。
【請求項24】
製造品が、フィックスドカッター土木掘削ビット、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、ローラーコーンビット、ローラーコーン、及び土木掘削ビット用の部品の1つである、請求項4に記載の製造品。
【請求項25】
土木掘削物品の全体積の少なくとも5%である超硬合金体積を含む少なくとも1つの超硬合金片;
金属及び合金の少なくとも1つを含むマトリクス中に分散している硬質粒子を含む、少なくとも1つの超硬合金片を土木掘削物品中に結合させる金属マトリクス複合体;
を含む土木掘削物品。
【請求項26】
超硬合金片の全体積が土木掘削物品の全体積の少なくとも10%である、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項27】
少なくとも2つの超硬合金片を含み、金属マトリクス複合体が超硬合金片のそれぞれを土木掘削物品中に結合させている、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項28】
超硬合金片が、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー中に分散している、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物を含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項29】
超硬合金部品のバインダーが、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項28に記載の土木掘削物品。
【請求項30】
土木掘削物品がブレード領域を含むフィックスドカッター土木掘削ビットであり、超硬合金片がブレード領域の少なくとも一部である、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項31】
超硬合金片がハイブリッド超硬合金を含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項32】
ハイブリッド超硬合金の分散相が0.48以下の接触率を有する、請求項31に記載の土木掘削物品。
【請求項33】
金属及び合金の少なくとも1つを含む非超硬合金片を更に含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項34】
非超硬合金片が、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む、請求項33に記載の土木掘削物品。
【請求項35】
非超硬合金片が、金属及び合金の少なくとも1つを含むマトリクス中に分散している金属細粒を含む、請求項33に記載の土木掘削物品。
【請求項36】
金属細粒が、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金からなる群から選択される、請求項35に記載の土木掘削物品。
【請求項37】
金属細粒がタングステンを含む、請求項35に記載の土木掘削物品。
【請求項38】
非超硬合金片が、土木掘削物品をドリルストリングに接続するように構成されているネジを含む、請求項34に記載の土木掘削物品。
【請求項39】
非超硬合金片が、土木掘削物品をドリルストリングに接続するように構成されているネジを含む、請求項35に記載の土木掘削物品。
【請求項40】
金属マトリクス複合体の硬質粒子が、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項41】
金属マトリクス複合体の硬質粒子が、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、炭化タングステン、及び鋳造炭化タングステンの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項42】
金属マトリクス複合体のマトリクスが、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及び青銅の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項43】
金属マトリクス複合体のマトリクスが、78重量%の銅、10重量%のニッケル、6重量%のマンガン、6重量%のスズ、及び不可避的な不純物から実質的に構成される青銅を含む、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項44】
物品が、フィックスドカッター土木掘削ビット、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、ローラーコーンビット、及びローラーコーンから選択される、請求項25に記載の土木掘削物品。
【請求項45】
少なくとも1つの超硬合金片及び場合によっては非超硬合金片を成形型の空洞部内の所定の位置に配置して、空洞部を部分的に充填して空洞部内に非占有空間を画定し、ここで、少なくとも1つの超硬合金片の体積は製造品の全体積の少なくとも5%を構成し;
多数の無機粒子を加えて非占有空間を部分的に充填して無機粒子の間に残余空間を与え;
超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、及び多数の硬質粒子を加熱し;
溶融金属及び溶融合金の1つを残余空間中に浸潤させ、ここで溶融金属及び溶融合金の1つの融点は多数の無機粒子の融点よりも低く;そして
溶融金属及び溶融合金を残余空間内で冷却し、溶融金属及び溶融合金を凝固させて、超硬合金片、存在する場合には非超硬合金片、及び無機粒子を結合させて製造品を形成する;
ことを含む、超硬合金を含む製造品の製造方法。
【請求項46】
少なくとも1つの超硬合金片の体積が製造品の全体積の少なくとも10%を構成する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも2つの超硬合金片を成形型の空洞部内の所定の位置に配置することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
成形型内にスペーサーを配置して、超硬合金片、及び存在する場合には非超硬合金片の少なくとも1つを所定の位置に配置することを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
超硬合金片が、
少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、又はVIB族金属の炭化物;及び
コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の1以上を含むバインダー;
を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
超硬合金片のバインダーが、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
超硬合金片がハイブリッド超硬合金複合体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相が0.48以下の接触率を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも1つの超硬合金片及び1つの非超硬合金片を、成形型の空洞部内の所定の位置に配置して、空洞部を部分的に充填して空洞部内に非占有空間を画定することを含み、非超硬合金片が金属及び合金の少なくとも1つを含む金属材料である、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
非超硬合金片が、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
多数の無機粒子を加えて、非占有空間を部分的に充填して硬質粒子の間に残余空間を与えることを含み、非占有空間を部分的に充填する無機粒子が金属細粒を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
金属細粒が、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
金属細粒がタングステンを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
多数の無機粒子を加えて、非占有空間を部分的に充填して無機粒子の間に残余空間を与えることを含み、非占有空間を部分的に充填する無機粒子が硬質粒子を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
硬質粒子が、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドの1以上である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
硬質粒子が、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、炭化タングステン、及び鋳造炭化タングステンの少なくとも1つを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
溶融金属及び溶融合金が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及び青銅の1以上を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項62】
溶融合金が、78重量%の銅、10重量%のニッケル、6重量%のマンガン、6重量%のスズ、及び不可避的な不純物から実質的に構成される青銅を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
製造品が、フィックスドカッター土木掘削ビット本体及びローラーコーンから選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの焼結超硬合金片及び場合によっては少なくとも1つの非超硬合金片を成形型の空洞部内に配置して、それによって空洞部内に非占有部分を画定し、ここで、成形型の空洞部内に配置される超硬合金片の全体積はフィックスドカッター土木掘削ビットの全体積の少なくとも5%であり;
硬質粒子を空洞部内に配置して、空洞部の非占有部分の一部を占有させて、成形型の空洞部内の占有されていない残余部分を画定し;
成形型を鋳造温度に加熱し;
溶融金属鋳造材料を成形型に加え、ここで、溶融金属鋳造材料の融点は無機粒子の融点よりも低く、溶融金属鋳造材料を残余部分に浸潤させ;そして
成形型を冷却して溶融金属鋳造材料を凝固させ、少なくとも1つの焼結超硬合金及び存在する場合には少なくとも1つの非超硬合金の片、並びに硬質粒子を、フィックスドカッター土木掘削ビット中に結合させる;
ことを含み、
超硬合金片を空洞部内に配置してフィックスドカッター土木掘削ビットのブレード領域の少なくとも一部を形成し、存在する場合には非超硬合金片によってフィックスドカッター土木掘削ビットの接続領域の少なくとも一部を形成する;
フィックスドカッター土木掘削ビットの製造方法。
【請求項65】
成形型の空洞部内に配置される超硬合金片の全体積がフィックスドカッター土木掘削ビットの全体積の少なくとも10%である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
成形型の空洞部内に少なくとも1つの黒鉛スペーサーを配置することを更に含み、空洞部及び少なくとも1つの黒鉛スペーサーによってフィックスドカッター土木掘削ビットの全体形状を画定する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
非超硬合金片を成形型内に配置し、これが金属材料を含み、非超硬合金片によってフィックスドカッター土木掘削ビットの機械加工可能な領域を形成する、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
金属材料が、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
空洞部内に無機粒子を配置することが、空洞部中に金属細粒を配置することを含み;
成形型に金属鋳造材料を加えることが、金属細粒の間の空所中に金属鋳造材料を浸潤させることを含み;
鋳造材料を凝固させることによって、凝固した金属鋳造材料のマトリクス中に金属細粒を含む機械加工可能な領域を与える;
請求項64に記載の方法。
【請求項70】
金属細粒が、タングステン、タングステン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、及びニオブ合金の少なくとも1つを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
機械加工可能な領域にネジ切り加工を施すことを更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1つの超硬合金片が、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
バインダーが、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
少なくとも1つの焼結超硬合金片が焼結ハイブリッド超硬合金複合体を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項75】
ハイブリッド超硬合金複合体が0.48以下の分散相の接触率を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
硬質粒子が、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物、焼結超硬合金、合成ダイヤモンド、及び天然ダイヤモンドの少なくとも1つを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項77】
硬質粒子が、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、炭化タングステン、及び鋳造炭化タングステンの少なくとも1つを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項78】
金属鋳造材料が、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及び青銅の少なくとも1つを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項79】
金属鋳造材料が青銅を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項80】
青銅が、78重量%の銅、10重量%のニッケル、6重量%のマンガン、6重量%のスズ、及び不可避的な不純物から実質的に構成される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも1つの焼結超硬合金ゲージパッドを成形型の空洞部内に配置することを更に含む、請求項64に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つの焼結超硬合金ノズルを成形型の空洞部内に配置することを更に含む、請求項64に記載の方法。
【請求項83】
少なくとも1つの超硬合金片;及び
少なくとも1つの超硬合金片を製造品中に結合させる接合相;
を含み;
接合相が共晶合金材料を含む製造品。
【請求項84】
少なくとも1つの超硬合金片が、製造品の全体積の少なくとも5%である超硬合金体積を含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項85】
少なくとも1つの超硬合金片が、製造品の全体積の少なくとも10%である超硬合金体積を含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項86】
接合相によって製造品中に結合している少なくとも1つの非超硬合金片を更に含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項87】
超硬合金片が、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー中に分散している、少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物の粒子を含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項88】
超硬合金片のバインダーが、クロム、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、銅、ルテニウム、及びマンガンから選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項89】
超硬合金片がハイブリッド超硬合金を含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項90】
ハイブリッド超硬合金の分散相が0.48以下の接触率を有する、請求項89に記載の製造品。
【請求項91】
非超硬合金片が金属部品を含む、請求項86に記載の製造品。
【請求項92】
非超硬合金片が、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、タングステン、及びタングステン合金の少なくとも1つを含む、請求項86に記載の製造品。
【請求項93】
共晶合金材料が55重量%のニッケル及び45重量%の炭化タングステンを含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項94】
共晶合金材料が55重量%のコバルト及び45重量%の炭化タングステンを含む、請求項83に記載の製造品。
【請求項95】
製造品が、フィックスドカッター土木掘削ビット本体、ローラーコーン、及び土木掘削ビット用の部品の1つである、請求項83に記載の製造品。
【請求項96】
焼結超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置し、焼結超硬合金片及び隣接片によって充填材空間を画定し;
合金共晶組成物を含む配合粉末を充填材空間に加え;
超硬合金片、隣接片、及び粉末を、少なくとも合金共晶組成物の共晶融点に加熱し;そして
超硬合金片、隣接片、及び合金共晶組成物を冷却し、合金共晶によって超硬合金部品及び隣接部品を接合させる;
ことを含む、超硬合金を含む製造品の製造方法。
【請求項97】
超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置することが、
焼結超硬合金片を他の焼結超硬合金片に隣接させて配置する;
ことを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
超硬合金片を少なくとも1つの隣接片に隣接させて配置することが、
焼結超硬合金片を非超硬合金片に隣接させて配置する;
ことを含む、請求項96に記載の製造品。
【請求項99】
非超硬合金片が金属片を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
合金共晶組成物を含むバインダー粉末を充填材空間に加えることが、
55重量%のニッケル及び45重量%の炭化タングステンを含む配合粉末を加える;
ことを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項101】
超硬合金片、隣接片、及び粉末を、少なくとも合金共晶組成物の共晶融点に加熱することが、
1350℃以上の温度に加熱する:
ことを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
合金共晶組成物を含む配合粉末を充填材空間に加えることが、
55重量%のコバルト及び45重量%の炭化タングステンを含む配合粉末を加える;
ことを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項103】
超硬合金片、隣接片、及び粉末を、少なくとも合金共晶組成物の共晶融点に加熱することが、
不活性雰囲気又は真空中で加熱する;
ことを含む、請求項96に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−500914(P2012−500914A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523846(P2011−523846)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/051126
【国際公開番号】WO2010/021802
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(500566936)ティーディーワイ・インダストリーズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】