説明

超電導ケーブル用支持治具

【課題】超電導ケーブルの端部を支持するケーブル支持部が上下方向及び水平方向に移動可能な超電導ケーブル用支持治具を提供する。
【解決手段】支持治具1は、上下位置調整部30、水平位置調整部31及び軸方向位置調整部32を有する架台部3を備えており、架台部3のケーブル支持台34を上下方向、水平方向(左右方向やケーブル軸方向)に移動させることができる。したがって、支持治具1を地面やマンホールの床面に設置(固定)した後であっても、ケーブル支持部2を支持するケーブル支持台34の位置を上下方向及び水平方向に調整することができる。また、超電導ケーブル10の端部をケーブル支持部2に支持させた状態で超電導ケーブル10の端部の位置や向きを調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導ケーブルの端部を処理する際に、超電導ケーブルの端部を支持する超電導ケーブル用支持治具及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線路に高温超電導体を用いた超電導ケーブルを適用することが検討されている。超電導ケーブルは、フォーマ上に超電導導体を形成したケーブルコアを断熱管内に収納し、断熱管内に充填した冷媒により超電導導体を冷却して超電導状態とする構成のものが代表的である。
【0003】
上記超電導ケーブルは、製造上、輸送上、布設上などの理由によりケーブル長が制限される。そのため、超電導ケーブルを用いて長距離に亘る電線路を構築する場合、複数本の超電導ケーブルを接続して用いなければならず、線路途中にケーブル同士を接続する中間接続構造を形成する必要がある。このような超電導ケーブルの中間接続構造又は接続方法が、例えば特許文献1、2に開示されている。この中間接続構造は、接続する一対の超電導ケーブルの端部からそれぞれケーブルコアを引き出し、一方の超電導ケーブルのケーブルコアと他方の超電導ケーブルコアのケーブルコアとを接続し、この接続部及びケーブルコア端部を接続箱内の冷媒槽に収納することにより形成される。
【0004】
上述のようなケーブルは、例えば地中の管路内に布設され、中間接続構造を形成する作業は、管路の途中に形成されたマンホール内などで超電導ケーブルの端部を支持しながら行う。その際、超電導ケーブルの端部を支持するために、支持治具が用いられる。現在使用されている支持治具は、マンホール内の床面(設置面)に固定される脚部と、この脚部に固定され、超電導ケーブルの端部を支持するケーブル支持部とを備える。
【0005】
【特許文献1】特開2005−251570号公報
【特許文献2】特開2006−197702号公報
【特許文献3】特開2005−237062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の支持治具は、支持した超電導ケーブルの端部を前後・上下・左右などに位置調整する機構を何ら備えていない。そのため、超電導ケーブルの端部を支持した後に、その位置や向きを調整することができず、中間接続構造の施工作業が行い難い場合があった。
【0007】
マンホールの床面には、施工上の問題から、凹凸(段差)や傾斜が存在することがある。また、マンホール内において、接続される各ケーブルを収納する管路の開口部も互いに位置ずれしていることがある。このようなマンホール内で超電導ケーブルの端部を支持治具で支持すると、ケーブル支持部の高さや向きが固定されているため、ケーブルコアの中心がずれることが多い。特に、超電導ケーブルの場合、断熱管にケーブルコアが収納されているため、断熱管の曲がり癖によってもケーブルコアの中心にずれが生じることがある。
【0008】
CVケーブルなどの常電導ケーブル同士をマンホール内で接続する場合、ケーブルの導体が銅などの可撓性に富む金属であるため、支持治具で支持された各ケーブルの位置に多少のずれがあっても、各ケーブルコアの端部を寄せて接続することが可能である。
【0009】
しかし、超電導ケーブルの場合、通常、超電導導体は外力により超電導特性が劣化し易い材料であるため、無理な屈曲をケーブルコアに与えることができない。特に、現状の代表的な中間接続構造では、フォーマ同士を圧縮接続し、この圧縮箇所の上に超電導導体を構成する超電導線材の接続、補強絶縁層の形成、超電導シールド層の処理などを行う。そのため、これらの各工程が中間接続構造での電流容量や絶縁性能に及ぼす影響を考慮すれば、ケーブルコアの位置合わせの精度は極めて重要である。とりわけ、三心一括型の超電導ケーブルでは、ケーブルコア同士の位置合わせはもちろん、接続する各超電導ケーブルにおける3心相互間の中心の位置合わせも重要になる。
【0010】
そのため、従来の支持治具では、予めマンホール内の床面を平坦に補修したり、支持治具の設置箇所を正確に決定する必要があり、中間接続構造の施工作業性が阻害されていた。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、超電導ケーブルの端部をケーブル支持部に支持させた状態でも超電導ケーブルの端部の位置を所定の方向に調整可能な超電導ケーブル用支持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の支持治具は、断熱管内にケーブルコアが収納された超電導ケーブルの端部を処理する際に、超電導ケーブルの端部を支持する超電導ケーブル用支持治具である。そして、本発明の支持治具は、超電導ケーブルの端部を支持するケーブル支持部と、このケーブル支持部を上下方向及び水平方向に移動可能に支持する架台部とを備えている。前記架台部は、前記ケーブル支持部を昇降させる上下位置調整部と、前記ケーブル支持部を水平方向に移動させる水平位置調整部とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の支持治具によれば、凹凸などが存在する設置面に支持治具を単に設置したときに他の支持治具との間でケーブル端部の位置が異なる場合であっても、各位置調整部により、ケーブル支持部を上下方向及び水平方向に移動させて、超電導ケーブルの端部の位置を接続される相手の位置に合わせて調整することができる。また、本発明の支持治具によれば、超電導ケーブルの端部をケーブル支持部に支持させた状態でケーブル支持部を上下方向及び水平方向に移動させて、超電導ケーブルの端部の上下方向及び水平方向の位置を調整することができる。その結果、例えば超電導ケーブルの中間接続構造を形成する際、断熱管の端部から引き出したケーブルコアとこのケーブルコアに接続される他のケーブルコアとの位置合わせが容易になり、作業性が向上する。その他、超電導ケーブルの端部に端末構造を形成する場合、超電導導体は常電導側に電力を出力する導体部と接続される。その際にも、本発明支持治具により超電導ケーブルの端部を支持することで、支持治具の設置面が平坦でなくても、導体部に対するケーブルコアの位置合わせを正確且つ容易に行うことができる。
【0014】
ここで、上下方向とは、水平面に直交する方向、即ち鉛直方向である。一方、水平方向とは、水平面に平行な方向であり、水平面上の前後・左右・斜めのあらゆる方向が含まれ、超電導ケーブルの軸方向も水平方向に含まれる。
【0015】
前記上下位置調整部は、上下移動台と、この上下移動台に取り付けられ、支持治具を設置する設置面に対して上下移動台を昇降可能とする複数の上下移動手段とを備えることが好ましい。また、前記水平位置調整部は、前記上下移動台の上面に当接し、水平方向に移動可能なスライド板を備え、前記ケーブル支持部は、前記スライド板に支持されていることが好ましい。
【0016】
複数の上下移動手段を上下移動台に取り付けることで、設置面に勾配があっても、上下移動台が水平になるように調整して、ケーブル支持部を介して超電導ケーブルの端部を水平に保持したり、超電導ケーブルの端部の向きを接続される相手の位置や向きに合わせて上下に調整したりし易い。また、スライド板により、ケーブル支持部を高精度に水平方向に移動させることができるので、超電導ケーブルの端部の水平方向の位置を微調整することができる。
【0017】
前記水平位置調整部は、前記上下移動台の上面及び前記スライド板の下面の一方に立設されるスライド軸と、上下移動台及びスライド板の他方に形成され、このスライド軸と嵌合するスライド穴とを備えることが好ましい。また、前記スライド穴は、前記スライド軸の径より大きく、スライド軸が嵌合した状態で所定の移動範囲内で前記スライド板を水平方向に移動可能とする形状であることが好ましい。
【0018】
スライド軸をスライド穴に嵌合させる構成とすることで、スライド板の移動範囲をスライド穴の大きさや形状に合った範囲内に制限し、スライド板が必要以上に水平方向に移動することを抑制することができる。
【0019】
スライド穴の形状は、円形の他に、例えば矩形、楕円形、多角形としたり、長穴とすることが挙げられる。また、複数のスライド穴を形成し、スライド軸と嵌合するスライド穴の位置を変更することで、スライド板の水平方向の位置を調整してもよい。
【0020】
特に、スライド穴の形状は円形であることが好ましい。円形のスライド穴は、成形が容易であるし、スライド軸がスライド穴の中心に位置する状態からスライド板を一方向に水平移動させた場合、あらゆる方向においてスライド板の最大移動量を同じにすることができる。また、スライド穴の径は前記スライド軸の径に比して大きいので、スライド板を超電導ケーブルの軸方向と直交する方向だけでなく、超電導ケーブルの軸方向を含むあらゆる方向に移動させることができる。その結果、超電導ケーブルの端部の水平方向の位置を微調整することができると共に、超電導ケーブルの端部の向きを左右に調整することもできる。
【0021】
前記水平位置調整部は、更に、前記ケーブル支持部をケーブル軸方向に移動させる軸方向位置調整部を有し、この軸方向位置調整部は、ケーブル軸方向に移動可能にスライド板に取り付けられる軸方向移動片を備えることが好ましい。このとき、前記ケーブル支持部は、前記軸方向移動片を介して前記スライド板に支持されるようにする。
【0022】
軸方向移動片は、ケーブル軸方向に移動させることができる。超電導ケーブルの端部に予め取り付けておいたケーブル支持部を架台部に支持させる場合、ケーブル支持部の位置に合わせて軸方向移動片を移動させることにより、軸方向移動片を介してケーブル支持部をスライド板に簡単に取り付けることができる。
【0023】
特に、前記軸方向位置調整部は、前記スライド板に設けられ、前記軸方向移動片と当接する当接面と、前記当接面の上面及び軸方向移動片の下面の一方に立設される位置調整軸と、当接面及び軸方向移動片の他方に形成され、この位置調整軸と嵌合するケーブル軸方向に延びる長穴とを備えることが好ましい。
【0024】
位置調整軸をケーブル軸方向に延びる長穴に嵌合させる構成とすることで、簡単な構成で軸方向移動片を確実にケーブル軸方向に移動させることができるので、ケーブル支持部の位置に合わせて軸方向移動片を確実に配置することができる。
【0025】
本発明の支持治具は、例えば、超電導ケーブルの中間接続構造、或いは端末構造の形成に使用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の支持治具は、超電導ケーブルの端部を支持するケーブル支持部を上下方向及び水平方向に移動可能とすることで、以下の効果を奏する。
1.支持治具が設置される設置面に凹凸などがある他に、断熱管に曲がり癖があったとしても、超電導ケーブルの端部をケーブル支持部に支持させた状態で超電導ケーブルの端部の位置を調整することができる。
2.例えば超電導ケーブルの中間接続構造や端末構造を形成するといった超電導ケーブルの端部を処理する際に、断熱管の端部から引き出したケーブルコアとこのケーブルコアに接続される他のケーブルコア或いは導体部との位置合わせ作業が容易となる。
3.支持治具をマンホール内の床面などに設置した後であっても、ケーブル支持部の位置を上下方向及び水平方向に調整できるので、支持治具の位置決め作業が容易となる。
4.その他、支持治具は、超電導ケーブルの中間接続構造、或いは端末構造を形成(組立)する際だけでなく、解体する際にも使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。ここでは、まず超電導ケーブルの構成を説明し、その後に支持治具とその使用方法を説明する。
【0028】
[超電導ケーブル]
まず、支持治具に端部を支持される超電導ケーブルについて説明する。図1は超電導ケーブルの構造の一例を示す。超電導ケーブル10は、断熱管12内に3心のケーブルコア11が収納された構造である。断熱管12は、内管121と外管122とからなる二重管構造のコルゲート管であり、両管121、122の間に真空断熱層が形成されている。また、外管122上には防食層123が形成されている。
【0029】
一方、ケーブルコア11は、中心から順にフォーマ111、超電導導体層112、絶縁層113、シールド層114、保護層115が形成されている。本例では3心のケーブルコアが撚り合わされた状態で断熱管内に収納された三心一括型超電導ケーブルを示したが、単心構造の超電導ケーブルであってもよい。
【0030】
[支持治具]
本発明の支持治具について説明する。図2は、本発明に係る支持治具の一例を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。図3は、図2に示す支持治具を使用して、超電導ケーブルの端部を支持した状態を示す図である。本発明の支持治具1は、超電導ケーブルの端部を支持するケーブル支持部2と、このケーブル支持部2を上下方向及び水平方向に移動可能に支持する架台部3とを備える。
【0031】
超電導ケーブル10の端部を支持してケーブルコア11を接続する作業を行う際は、断熱管12を端部から所定長さ切断し、この切断部に別途用意した保護管13を接続する。そして、ケーブルコア11の端部を保護管13から露出させた状態でケーブルコア11の接続作業を行う。なお、保護管13には、断熱管12が接続される側とは反対側の端部にフランジ部13fが形成されている(図3参照)。
【0032】
<ケーブル支持部>
ケーブル支持部2は、図2に示すように、保護管13の端部を支持する保護管支持部20と、保護管13から露出させたケーブルコア11の端部を支持するコア支持部21とを備える。ケーブル支持部2は、架台部3に設けられたケーブル支持台34に支持されている。
【0033】
保護管支持部20は、第一保護管支持板201と、第二保護管支持板202と、これら支持板を連結するボルト20bとを備えている。
【0034】
第一保護管支持板201と第二保護管支持板202とは、一対のC字状の板片を組み合わせた円環板から成る。第一保護管支持板201及び第二保護管支持板202は、それぞれ同形状の二枚の円環板を継ぎ目が重ならないように重ね合わせて構成される。
【0035】
第一保護管支持板201は、撚り合わされたケーブルコア11の外周にC字状の板片の凹部が嵌るように取り付ける。第二保護管支持板202は、C字状の板片の一方の面が保護管13のフランジ部13fに当接するように、保護管13の外周にC字状の板片の凹部が嵌るように取り付ける。そして、第一保護管支持板201と第二保護管支持板202とはボルト20bにより連結する。
【0036】
なお、ボルト20bにより連結した第一保護管支持板201と第二保護管支持板202との間隔は、ボルト20bの回転動作により、調節できるようになっている。具体的には、ボルト20bにはナットが螺合されており(以下に示すケーブル支持部に用いたボルト21b,22b,23bも同様)、ボルト20bを回転させてこのナットの位置を調整することにより、これら支持板の間隔が調節できるようになっている。
【0037】
そして、最終的に、第一保護管支持板201と第二保護管支持板202とで保護管13のフランジ部13fを挟持することにより、保護管13の端部をこれら第一保護管支持板201と第二保護管支持板202とで確実に支持し、それにより断熱管12の端部を支持治具で支持できるようになっている。
【0038】
ここで、保護管支持部20は、一対の半円筒状の分割片を組み合わせた円筒部材を備え、この円筒部材により保護管13の外周面を押圧して締め付けることで保護管13の端部を支持する構成としてもよい。例えば、各分割片の周方向両端部に径方向外方に延びるフランジ部を一体に形成し、これら分割片を保護管13の外周に配置して、対向するフランジ部同士をボルトで締結するようにしてもよい。この場合、分割片(円筒部材)のフランジ部をケーブル支持台34に固定する。
【0039】
一方、コア支持部21は、撚り合わされたケーブルコア11を把持する把持具210と、第一コア支持板211と、第二コア支持板212と、これら支持板を連結するボルト21bと、第一コア支持板211を上記の第一保護管支持板201に連結するためのボルト22bとを備えている。
【0040】
把持具210は、撚り合わされたケーブルコア11の外形に適合する内周面を有し、ケーブルコア11に着脱可能な円筒状の部材である。さらに、把持具210は、ケーブルコア11に着脱可能とするため、軸方向に沿って外周面から内周面に至る切れ目を有しており、ケーブルコア11の外周面を損傷させないようにクロロプレンゴムなどの弾性部材により構成されている。
【0041】
この把持具210は、撚り合わされたケーブルコア11の外周に配置され、ケーブルコア11の外周面を押圧することでケーブルコア11の端部を把持する構成である。本例では、三心一括型超電導ケーブルであるので、撚り合わされた3心のケーブルコア11を一括して把持できるように、把持具の内周面は、撚り合わされた3心のケーブルコア11の外形に適合するように形成している。
【0042】
なお、図示していないが、本例では、把持具210によりケーブルコア11を確実に把持できるように把持具210の外周面を押圧する締結具を備えている。この締結具は、把持具210の外形に適合する一対の半円筒状の分割片を組み合わせた円筒状の金具から成り、分割片同士の締結力をボルトやバネにより調節することにより、把持具210の外周面に加える押圧力を調整できるようにしている。
【0043】
第一コア支持板211と第二コア支持板212とは、一対のC字状の板片を組み合わせた円環板から成る。第一コア支持板211及び第二コア支持板212は、それぞれ同形状の二枚の円環板を継ぎ目が重ならないように重ね合わせて構成される。
【0044】
第一コア支持板211及び第二コア支持板212は、撚り合わされたケーブルコア11の外周にC字状の板片の凹部が嵌るように取り付ける。そして、これら第一コア支持板211と第二コア支持板212とをボルト21bにより連結する。
【0045】
なお、ボルト21bにより連結した第一コア支持板211と第二コア支持板212との間隔は、ボルト21bの回転動作により、調節できるようになっている。そして、最終的に、第一コア支持板211と第二コア支持板212とで把持具210を挟持することにより、把持具210を介してケーブルコア11の端部をこれら第一コア支持板211と第二コア支持板212とで確実に支持するようになっている。
【0046】
また、第一コア支持板211は、ボルト22bにより第一保護管支持板201に連結されており、このボルト22bの回転動作により、第一保護管支持板201との間隔が調節できるようになっている。
【0047】
これら保護管支持部20及びコア支持部21は、架台部3のケーブル支持台34に支持される。
【0048】
<架台部>
架台部3は、マンホール内などの床面上に設置され、ケーブル支持部2を上下方向及び水平方向に移動可能に支持する。
【0049】
架台部3は、ケーブル支持部2を昇降可能にする上下位置調整部30と、水平方向に移動可能にする水平位置調整部31とを備え、更に水平位置調整部31は、ケーブル支持部2をケーブル軸方向に移動可能にする軸方向位置調整部32を有する。また、架台部3は、脚部4及びこの脚部4を固定するベースプレート5を備える。本例では、脚部4の上方に上下位置調整部30を設け、この上下位置調整部30の上方に水平位置調整部31と軸方向位置調整部32とを設けている。そして、架台部3の上方にケーブル支持台34を設け、このケーブル支持台34にケーブル支持部2が支持されている。
【0050】
(脚部)
脚部4は、鋼鉄製のベースプレート5上に固定されており、矩形状の台座部40と、伸縮自在の主脚41と、この主脚41に連動して伸縮する補助脚42とを備える。主脚41及び補助脚42の上端部は台座部40の下面にボルトで固定され、主脚41及び補助脚42の下端部はベースプレート5の上面にボルトで固定されている。なお、ベースプレート5は、アンカーなどにより設置面に固定されている。
【0051】
主脚41は、台座部40の中央に取り付けられ、円筒状の上部支柱部41uと、この上部支柱部41u内に挿入され、外面にねじ山が形成された棒状の下部支柱部41dとから成る。
【0052】
下部支柱部41dには、下部支柱部41dのねじ山と螺合するハンドル付きナット41nが嵌め合わされており、このハンドル付きナット41nの上端面で上部支柱部41uの下端を支持するようになっている。上部支柱部41u内に下部支柱部41dを挿入し、このナット41nを回転させて上部支柱部41uを下部支柱部41dに沿って長手方向(上下方向)に移動させることで、脚部4の高さを自在に調節できるようになっている。
【0053】
また、補助脚42は、台座部40の四隅に取り付けられ、円筒状の上部支柱部42uと、この上部支柱部42u内に挿入され、側面に長手方向に延びる溝42gが形成された棒状の下部支柱部42dとから成る。
【0054】
上部支柱部42uの側面下方には、内側まで貫通するねじ穴が形成されている。上部支柱部42u内に下部支柱部42dを挿入し、前記ねじ穴にボルト42bをねじ込んで溝42gの底面をボルト42bの端面で押圧することで、主脚41により調節した脚部4の高さを確実に保持するようになっている。
【0055】
(上下位置調整部)
上下位置調整部30は、架台部3に支持されたケーブル支持部2の上下方向の位置を調整するのに用いる。上下位置調整部30は、矩形状の上下移動台300と、この上下移動台300の4つの角部のそれぞれに取り付けられ、上下移動台300を昇降可能とする4つの上下移動手段301とを備えている。この上下位置調整部30は、脚部4の台座部40上に設けられている。
【0056】
本例では、図4に示すように、脚部の台座部40と上下移動台300とを同じ大きさに形成し、台座部40の各角部の上面にそれぞれ突設するスタッドボルト30bと、これらスタッドボルト30bのそれぞれに螺合する2つのナット30nとにより上下移動手段301を構成している。また、上下移動台300の各角部には、これらスタッドボルト30bと対応する位置にボルト30bを挿通する貫通孔30hが設けられている。
【0057】
上下移動台300を台座部40の上方に配置するときは、スタッドボルト30bの下方にナット30nを螺合させた状態で、上下移動台300の貫通孔30hにスタッドボルト30bが挿通されるように配置する。そして、下方側のナット30nの上端面と上下移動台300とを当接させた状態で、スタッドボルト30bの上方にもう一つのナット30nを螺合させ、スタッドボルト30bの下方側と上方側の2つのナット30nで上下移動台300を挟むようにして、下方側のナット30nの上端面で上下移動台300を支持するようになっている。
【0058】
このように、本例では、下方側のナット30n及びスタッドボルト30bを介して上下移動台300を台座部40に支持させており、下方側のナット30nの位置を調整することで、台座部40に対して上下移動台300を昇降させることができる。
【0059】
さらに、この上下移動手段301は、上下移動台300の角部を支持する各スタッドボルト30bの下方側のナット30nの位置を個々に調整することで、台座部40に対する上下移動台300の傾きを調整し、設置面に凹凸や勾配などが存在しても上下移動台300を水平に保つことができる。
【0060】
その結果、上下移動台300を介してケーブル支持部2の上下方向の位置を調整することができ、ケーブル支持部2の向きを上下に調整して、ケーブル支持部2を水平に保持することができる。
【0061】
別の形態の上下移動手段としては、上記のスタッドボルト30bを長手方向に複数の穴が所定の間隔をあけて形成された軸部に置換し、この軸部とこの軸部の穴に嵌合するピンとにより構成してもよい。この場合、軸部の穴に嵌合したピンを上下移動台300の下面に当接させ、ピンと軸部を介して上下移動台300を台座部40に支持させる。上下移動台300の上下方向の位置や向きを調整するときは、各軸部のピンを嵌合させる穴の位置を変更することにより行う。
【0062】
さらに、他の上下移動手段としては、ラックとピニオンとを組み合わせた機構、或いはジャッキ機構を用いてもよい。
【0063】
なお、上下位置調整部30の上下移動手段301の取付位置は作業性などを考慮して適宜決定すればよい。本例のように上下移動台を矩形状の板部材とした場合、上下移動手段の取付位置は板部材の四隅に設けるだけでなく、さらに、矩形状の板部材の中心部にも設けるようにしてもよい。また、上下移動台を円形の板部材とした場合、上下移動手段の取付位置は板部材の周縁に沿って均等に上下移動手段を設けるようにしてもよい。
【0064】
(水平位置調整部)
水平位置調整部31は、架台部3に支持されたケーブル支持部2の水平方向の位置を調整するのに用いる。水平位置調整部31は、上記の上下移動台300の上面に当接するスライド板310と、ボルト31b(スライド軸)と、ワッシャ31wと、ボルト31bの径よりも極端に大きいばか穴31h(スライド穴)とを備えている。
【0065】
本例では、図4に示すように、上下移動台300にはこのボルト31bと嵌合するねじ穴30oが、スライド板310にはこのボルト31bが遊嵌した状態で挿通されるばか穴31hが形成されている。そして、ねじ穴30oとばか穴31hとの中心が合うようにスライド板310を上下移動台300に当接させ、ワッシャ31wが嵌められたボルト31bをばか穴31hに挿通し、ボルト31bをねじ穴30oに嵌合している。なお、ばか穴31hの形状は円形とし、ばか穴31hの径はボルト31bの径に比して十分に大きく、ワッシャ31wの径はばか穴31hの径に比して大きくしている。
【0066】
このように、本例では、ねじ穴30oに嵌合したボルト31bを弛めることで、スライド板310をあらゆる方向にスライドさせることができると共にスライド板310の水平方向の向きを調整することができる。また、ねじ穴30oに嵌合したボルト31bを締めることで、ワッシャ31wによりスライド板310を上下移動台300に押さえつけて、スライド板310がスライドすることを制限することができる。また、スライド板310の移動範囲をボルト31bがばか穴31hの内周面に接触するまでの範囲に制限することができる。
【0067】
その結果、スライド板310を介してケーブル支持部2をケーブル軸方向を含むあらゆる方向に移動させることができる。また、ケーブル支持部2の水平方向の位置調整が可能となるだけでなく、ケーブル支持部2の向きを左右に調整することも可能である。
【0068】
別の形態の水平位置調整部としては、上下移動台300の上面にレールを設けてスライド板310をレールに沿ってスライドさせるレール機構、或いはラックとピニオンとを組み合わせた機構を用いて構成してもよい。
【0069】
さらに、支持治具1自身が水平方向に移動できるように、例えば、設置面にレールを設けて支持治具1をレールに沿ってスライドさせるレール機構、或いはラックとピニオンとを組み合わせた機構を用いてもよい。
【0070】
本例では、更に、上記のスライド板310の上方に中間台330が設けられている。この中間台330は、スライド板310の上面に立設する4つの支柱部材33fによりスライド板310に支持されている。そして、この中間台330上にケーブル支持台34が載置されている。
【0071】
(軸方向位置調整部)
軸方向位置調整部32は、ケーブル支持台34に一体に設けられた軸方向移動片320と、この軸方向移動片320に形成され、ケーブル軸方向に延びる長穴32h(図5)と、この長穴32hに挿通するボルト32b(位置調整軸)とを備えている。
【0072】
ケーブル支持台34は、図5(A)に示すように断面U字状で、同図(B)、(C)に示すように長尺な、底面と側面とを有している。さらに、ケーブル支持台34の長手方向一端の両側面には、ボルト取付片34aが外側に突出するように一体に形成されている。これらボルト取付片34aには、2つの嵌合穴34cが形成されている。
【0073】
このケーブル支持台34のボルト取付片34aに形成した嵌合穴34cと、第一保護管支持板201に形成した嵌合穴とにボルト23bを挿通して、ナットにより締付固定することにより、保護管支持部20とコア支持部21とがケーブル支持台34に支持された状態となる。
【0074】
さらに、ケーブル支持台34の両側面であって、底面に連続する部位には、長尺な軸方向移動片320が一体に形成されており、これら軸方向移動片320には、同一直線上に長穴32hが2つずつ形成されている。
【0075】
本例では、図4、5に示すように、中間台330には前記ボルト32bと嵌合するねじ穴33oが形成されている。そして、ねじ穴33oと長穴32hとの位置が合うように軸方向移動片320を中間台330に当接させ、ボルト32bを長穴32hに挿通した後、このボルト32bの一端をねじ穴33oに嵌合している。
【0076】
このように、本例では、ねじ穴33oに嵌合したボルト32bを弛めることで軸方向移動片320を介してケーブル支持台34をケーブル軸方向にスライドさせることができる。また、ねじ穴33oに嵌合したボルト32bを締めることでケーブル支持台34がスライドすることを制限することができる。
【0077】
この軸方向移動片320は、本例のように、ケーブル支持台34に一体に設けてもよいし、ケーブル支持台34と中間台330との間にさらに中間部材を配置し、この中間部材に設けてもよい。また、軸方向移動片320は、スライド板310の上面に当接するように取り付けてもよい。
【0078】
さらに、軸方向位置調整部32は、例えば、軸方向移動片320がケーブル軸方向に移動できるように、スライド板310の上面にレールを設けて軸方向移動片320をレールに沿ってスライドさせるレール機構、或いはラックとピニオンとを組み合わせた機構を用いてもよい。
【0079】
以上説明したように、支持治具1は、上下位置調整部30、水平位置調整部31及び軸方向位置調整部32を有する架台部3を備えており、架台部3のケーブル支持台34を上下方向、水平方向(左右方向やケーブル軸方向)に移動させることができる。したがって、支持治具1を地面やマンホールの床面に設置(固定)した後であっても、ケーブル支持部2を支持するケーブル支持台34の位置を上下方向及び水平方向に調整することができる。また、図3に示すように、超電導ケーブル10の端部をケーブル支持部2に支持させた状態で超電導ケーブル10の端部の位置や向きを調整することができる。
【0080】
[支持治具の使用方法]
図3を参照して、支持治具1の使用方法を説明する。本例では、支持治具1で支持する超電導ケーブルとして、図1に示す3心のケーブルコア11が撚り合わされて断熱管12内に収納された三心一括型超電導ケーブル10を用いる。また、超電導ケーブル10を支持治具1で支持する前に超電導ケーブル10の端部を前処理しておく。具体的には、断熱管12を端部から所定長だけ切断し、この切断部にフランジ部13fを有する保護管13を溶接接続して、保護管13の端部からケーブルコア11の端部を露出させた状態にしておく。このとき、超電導ケーブル10の端部(断熱管12及びケーブルコア11の端部)はクレーンなどで吊り下げた状態にしておく。
【0081】
まず、超電導ケーブル10の端部を支持治具1で支持する前に、架台部3の上下位置調整部30(上下移動台300)、水平位置調整部31(スライド板310)及び軸方向位置調整部32(軸方向移動片320)のそれぞれを移動可能範囲の中間位置となるように調節しておく。そして、架台部3のケーブル支持台34の位置が保護管13の位置と合うように支持治具1を地面やマンホールの床面に設置し、ベースプレート5を設置面に固定する。なお、ベースプレート5の固定はケーブル支持部2を架台部3に支持させた後に行ってもよい。このとき、保護管支持部20(第一保護管支持板201、第二保護管支持板202)及びコア支持部21(第一コア支持板211、第二コア支持板212)を支持治具1から取り外しておくと共に、予め脚部4の高さを調節して支持治具1の高さをある程度調節しておく。
【0082】
次に、第一保護管支持板201と第二保護管支持板202とでフランジ部13fを挟むように、ケーブルコア11の外周に第一保護管支持板201を、保護管13の外周に第二保護管支持板202を取り付ける。そして、これら支持板をボルト20bにより連結すると共に、ボルト20bを回転させ、これら支持板でフランジ部13fを挟持する。
【0083】
また、保護管13の端部から露出させたケーブルコア11の端部に把持具210を取り付ける。把持具210にはケーブルコア11に着脱可能なように切れ目が形成されているので、この切れ目を開くことでケーブルコア11の外側から把持具210を装着することができる。図示していないが、この把持具210の外側には、ケーブルコアを確実に把持できるように、把持具210の外周面を押圧する締結具を配置する。ケーブルコア11に把持具210を装着した後、把持具210の軸方向の一端面側に第一コア支持板211を、他端面側に第二コア支持板212を取り付ける。そして、これら支持板をボルト21bにより連結すると共に、ボルト21bを回転させ、これら支持板で把持具210を挟持する。第一、第二コア支持板211,212により把持具210が軸方向に変形することを抑制すると共に、締結具により把持具210が径方向に変形することを抑制することができるので、把持具210によりケーブルコア11を確実に把持することができる。さらに、第一保護管支持板201と第一コア支持板211とをボルト22bによりに連結する。
【0084】
次に、ケーブル支持台34に形成された嵌合穴34cと第一保護管支持板201に形成された嵌合穴との位置が合うように、架台部3の上下位置調整部30、水平位置調整部31及び軸方向位置調整部32によりケーブル支持台34の上下方向及び水平方向の位置や向きを調整して、第一保護管支持板201をケーブル支持台34にボルト23bで固定する。これにより、フランジ部13fを第一、第二保護管支持板201,202により挟持して保護管13の端部を支持する保護管支持部20が、ケーブル支持台34に支持される。また、把持具210を第一、第二コア支持板211,212により挟持してケーブルコア11の端部を支持するコア支持部21が、ケーブル支持台34に支持される。つまり、超電導ケーブル10の端部を支持するケーブル支持部2が架台部3に支持された状態となる。
【0085】
このような支持治具1を用いて超電導ケーブル10の端部を支持する場合、支持治具1が設置される設置面に凹凸などが存在しても、ケーブル支持台34の位置や向きを前記各調整部で調整することができるので、超電導ケーブル10の端部を支持するケーブル支持部2とケーブル支持台34との位置合わせを簡単に行うことができる。その結果、支持治具1の位置に余裕を持たせることができるので、支持治具1の位置決め作業が容易となる。
【0086】
また、超電導ケーブル10の端部をケーブル支持部2に支持させた状態であっても、架台部3の上下位置調整部30、水平位置調整部31及び軸方向位置調整部32によりケーブル支持台34を介してケーブル支持部2の位置や向きを調整することができる。その結果、ケーブルコア11の端部の位置や向きを調整することができるので、超電導ケーブルの中間接続構造や端末構造を形成する際、このケーブルコア11に接続される他のケーブルコア或いは導体部との位置合わせ作業が容易となる。なお、本例で用いた保護管13は、中間接続構造及び端末構造の冷媒槽にケーブルコア11を導入するための導入管としても使用可能である。
【0087】
さらに、超電導ケーブルの中間接続構造や端末構造を形成する際、ボルト22bを回転させて第一コア支持板211(把持具210)をケーブルコア11の長手方向に移動させることで、断熱管12内に収納されたケーブルコア11を引き出したり、押し込んだりすることができる。図3に示すように、撚り合わされたケーブルコア11を断熱管12から露出させた後、撚りを解してから断熱管12内のケーブルコア11を引き出すことで、ケーブルコア11の端部のケーブルコア同士のクリアランスをより大きくすることができる。ケーブルコア同士のクリアランスが大きくなることで、各ケーブルコア11の端部を処理する作業が容易となる。また、各ケーブルコア11の端部を処理した後、ケーブルコア11を断熱管12内に押し込むことで、露出させたケーブルコア11の端部の撚りが締まり、ケーブルコア11の端部の径を小さくすることができる。ケーブルコア11の端部の径が小さくなることで、ケーブルコア11の接続部の径が小さくなり、中間接続構造や端末構造の大きさを小さくすることができる。
【0088】
なお、上述した実施例は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、上記の上下位置調整部30を脚部4とベースプレート5との間に配置してもよいし、上記の脚部4において、各補助脚42を主脚41と同じような伸縮自在の構成としてもよい。その他、本発明支持治具は、超電導ケーブルの端末構造の組立時にも同ケーブルの端部を支持することに利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の支持治具は、超電導ケーブルの中間接続構造や端末構造を形成するといったケーブルコアの端部を処理する際に、好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】超電導ケーブルの構造の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の支持治具の一例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】図2の支持治具を使用して、超電導ケーブルの端部を支持した状態を示す側面図である。
【図4】架台部の上下位置調整部及び水平位置調整部を説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【図5】架台部の軸方向位置調整部を説明するための図であり、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は側面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 支持治具
2 ケーブル支持部
20 保護管支持部
201 第一保護管支持板 202 第二保護管支持板
21 コア支持部
210 把持具 211 第一コア支持板 212 第二コア支持板
20b,21b,22b,23b ボルト
3 架台部
30 上下位置調整部
300 上下移動台 301 上下移動手段
30b スタッドボルト 30h 貫通孔 30n ナット 30o ねじ穴
31 水平位置調整部
310 スライド板 31b ボルト(スライド軸) 31h ばか穴(スライド穴)
31w ワッシャ
32 軸方向位置調整部
320 軸方向移動片 32b ボルト(位置調整軸) 32h 長穴
330 中間台 33f 支柱部材 33o ねじ穴
34 ケーブル支持台
34a ボルト取付片 34c 嵌合穴
4 脚部
40 台座部
41 主脚
41u 上部支柱部 41d 下部支柱部 41n ハンドル付きナット
42 補助脚
42u 上部支柱部 42d 下部支柱部 42b ボルト 42g 溝
5 ベースプレート
10 超電導ケーブル
11 ケーブルコア
111 フォーマ 112 超電導導体層 113 絶縁層
114 シールド層 115 保護層
12 断熱管
121 内管 122 外管 123 防食層
13 保護管 13f フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱管内にケーブルコアが収納された超電導ケーブルの端部を処理する際に、超電導ケーブルの端部を支持する超電導ケーブル用支持治具であって、
前記支持治具は、超電導ケーブルの端部を支持するケーブル支持部と、このケーブル支持部を上下方向及び水平方向に移動可能に支持する架台部とを備え、
前記架台部は、前記ケーブル支持部を昇降させる上下位置調整部と、前記ケーブル支持部を水平方向に移動させる水平位置調整部とを有することを特徴とする超電導ケーブル用支持治具。
【請求項2】
前記上下位置調整部は、上下移動台と、この上下移動台に取り付けられ、支持治具を設置する設置面に対して上下移動台を昇降可能とする複数の上下移動手段とを備え、
前記水平位置調整部は、前記上下移動台の上面に当接し、水平方向に移動可能なスライド板を備え、
前記ケーブル支持部は、前記スライド板に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導ケーブル用支持治具。
【請求項3】
前記水平位置調整部は、前記上下移動台の上面及び前記スライド板の下面の一方に立設されるスライド軸と、上下移動台及びスライド板の他方に形成され、このスライド軸と嵌合するスライド穴とを備え、
前記スライド穴は、前記スライド軸の径より大きく、スライド軸が嵌合した状態で所定の移動範囲内で前記スライド板を水平方向に移動可能とする形状であることを特徴とする請求項2に記載の超電導ケーブル用支持治具。
【請求項4】
前記スライド穴が円形であることを特徴とする請求項3に記載の超電導ケーブル用支持治具。
【請求項5】
前記水平位置調整部は、更に、前記ケーブル支持部をケーブル軸方向に移動させる軸方向位置調整部を有し、
前記軸方向位置調整部は、ケーブル軸方向に移動可能にスライド板に取り付けられる軸方向移動片を備え、
前記ケーブル支持部は、前記軸方向移動片を介して前記スライド板に支持されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の超電導ケーブル用支持治具。
【請求項6】
前記軸方向位置調整部は、前記スライド板に設けられ、前記軸方向移動片と当接する当接面と、前記当接面の上面及び軸方向移動片の下面の一方に立設される位置調整軸と、当接面及び軸方向移動片の他方に形成され、この位置調整軸と嵌合するケーブル軸方向に延びる長穴とを備えることを特徴とする請求項5に記載の超電導ケーブル用支持治具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の超電導ケーブル用支持治具を、超電導ケーブルの中間接続構造、或いは端末構造の形成に使用することを特徴とする超電導ケーブル用支持治具の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−245343(P2008−245343A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77982(P2007−77982)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】