説明

超電導コイルシステムおよびその運転方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、励磁電源から直流遮断器を介して超電導コイルにエネルギーを供給し励磁する超電導コイルシステムに係り、特に、クエンチ時に、それまで蓄積されていたエネルギーを超電導コイルに並列接続された保護抵抗に消費させて、クエンチに起因する損傷から超電導コイルを保護する超電導コイル保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近では、核融合装置,加速器,電力エネルギー貯蔵設備,リニアモータ等の分野において、超電導コイルの応用が急速に広まりつつある。超電導コイルは、通常はその電気抵抗が零であるが、磁場の急変や温度の異常等により、超電導状態から常電導状態に転移することがある。この超電導が破壊する現象は、クエンチと呼ばれている。クエンチが発生すると、液体ヘリウム等の異常蒸発による圧力増大等に拡大するおそれがある。
【0003】図2は、従来の基本的な超電導コイルシステムの系統構成を示す図である。図2に示すように、励磁電源3からエネルギーを供給されている超電導コイル1でクエンチが発生した場合、超電導コイル1に蓄積されていたエネルギーを保護抵抗2において消費し、クエンチの拡大を抑制し、超電導コイル1を保護する方式が採用されている。すなわち、クエンチが発生すると、励磁電源3と超電導コイル1とで構成されるループ回路に流れる電流を、超電導コイル1と並列に接続された保護抵抗2にシフトさせる。この時に、直流の大電流を遮断する直流遮断器4が必要となる。
【0004】最近は、超電導コイル応用装置すなわち超電導コイルシステムの大型化が進み、超電導コイル1に流す電流も大電流化する傾向にあり、連続運転をめざしている超電導コイルシステムが増えている。そのために、クエンチ保護に使用される直流遮断器4も、直流大電流の遮断が可能で、しかも、連続運転できる直流遮断器であることが条件となる。
【0005】図3は、並列接続した直流遮断器を用いる従来の超電導コイルシステムの系統構成を示す図である。一般に、高圧型の直流遮断器は小電流しか扱えず、逆に大電流を扱える直流遮断器は低圧型であった。1台の高圧型直流遮断器では、大電流の連続通電には耐えられないので、図3に示すように、数台の高圧型直流遮断器を並列運転していた。なお、この種の従来装置を示す例としては、特開昭57−198613号等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術においては、クエンチ保護として直流を遮断する場合、数台の高圧型直流遮断器が必要であり、保護装置としては非常に高価であった。
【0007】また、並列接続された数台の直流遮断器を同時に遮断させることは困難であって、タイミングのずれに起因する遮断動作のばらつきにより、直流遮断器自体および他の回路構成機器を損傷するおそれがあった。
【0008】本発明の目的は、直流大電流で連続運転しつつ、クエンチ等の緊急時にはその直流大電流を確実に遮断でき、単純な構成で安価な超電導コイル保護装置を備えた超電導コイルシステム提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、第1発明として、励磁電源と、通常運転時に励磁電源からエネルギーの供給を受けるとともに、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断される超電導コイルと、超電導コイルと並列に接続され、超電導コイルへのエネルギーの供給が遮断された状態で超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを消費し、クエンチに起因する損傷から超電導コイルを保護する保護抵抗とを備えた超電導コイルシステムにおいて、励磁電源と超電導コイルとの間に、通常運転時に開放され、クエンチが生じた際には一旦投入され、所定条件が成立した時に再度開放され、励磁電源から超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断する直流遮断器を直列に配置するとともに、直流遮断器と並列に、通常運転時に投入され励磁電源からのエネルギーを超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には自らを流れている励磁電源からのエネルギーを直流遮断器にシフトさせ、自らを流れているエネルギーが所定値以下に減少したら開放される少なくとも1つの開閉器を設けた超電導コイルシステムを提案するものである。
【0010】本発明は、上記目的を達成するため、第2発明として、励磁電源と、通常運転時に励磁電源からエネルギーの供給を受けるとともに、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断される超電導コイルと、超電導コイルと並列に接続され、超電導コイルへのエネルギーの供給が遮断された状態で超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを消費し、クエンチに起因する損傷から超電導コイルを保護する保護抵抗とを備えた超電導コイルシステムにおいて、励磁電源と超電導コイルとの間に、通常運転時に投入され励磁電源からのエネルギーを超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には所定条件が成立した時に開放され、励磁電源から超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断する直流遮断器を直列に配置するとともに、直流遮断器と並列に、通常運転時に投入され励磁電源からのエネルギーを超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には直流遮断器に先立って開放され自らを流れている励磁電源からのエネルギーを直流遮断器にシフトさせる少なくとも1つの開閉器を設けた超電導コイルシステムを提案するものである。
【0011】本発明は、上記目的を達成するため、第3発明として、通常運転時は励磁電源から超電導コイルにエネルギーを供給し超電導コイルを励磁する一方、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断し、超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを超電導コイルに並列接続された保護抵抗に消費させ、クエンチに起因する損傷から超電導コイルを保護する超電導コイルシステムの運転方法において、通常運転時には、励磁電源と超電導コイルとの間に配置された直流遮断器を開放し、直流遮断器に並列に接続された少なくとも1つの開閉器を介して励磁電源からのエネルギーを超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には、直流遮断器を一旦投入して開閉器を流れているエネルギーを直流遮断器にシフトさせ、開閉器を開放し、直流遮断器を流れていたエネルギーが所定値に減少したら直流遮断器を開放して超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断し、その後、超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを保護抵抗に消費させる超電導コイルシステムの運転方法を提案するものである。
【0012】本発明は、上記目的を達成するため、第4発明として、通常運転時は励磁電源から超電導コイルにエネルギーを供給し超電導コイルを励磁する一方、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断し、超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを超電導コイルに並列接続された保護抵抗に消費させ、クエンチに起因する損傷から超電導コイルを保護する超電導コイルシステムの運転方法において、通常運転時には、励磁電源と超電導コイルとの間に配置された直流遮断器および当該直流遮断器と並列に接続されている少なくとも1つの開閉器を介して励磁電源からのエネルギーを超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には、開閉器を開放し、励磁電源からのエネルギーを直流遮断器にシフトさせ、直流遮断器を流れていたエネルギーが所定値に減少したら直流遮断器を開放して超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断し、その後、超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを保護抵抗に消費させる超電導コイルシステムの運転方法を提案するものである。
【0013】
【作用】第1発明の超電導コイルシステムおよびその運転方法である第3発明においては、通常運転時に、直流遮断器は開放しておき、この直流遮断器と並列に接続した開閉器に直流大電流を連続的に流しておく。クエンチが発生した時は、直流遮断器を投入させ、直流遮断器に大電流をシフトさせ、開閉器を開放し、その後に、直流遮断器により遮断動作を実行する。遮断動作が完了すれば、保護抵抗に超電導コイルのエネルギーを消費させることができる。
【0014】このように、直流遮断器に大電流を流す期間を実質的にクエンチ発生時のみに限定することにより、通電容量が小さく経済性の高い直流遮断器を選定でき、直流大電流で連続運転される超電導コイルのクエンチ時の電流を確実に遮断可能である。すなわち、高価な直流遮断器は1台のみで、安価な開閉器を併設してあるので、超電導コイルシステム全体としては、大幅なコストダウンが可能である。
【0015】また、クエンチ発生時には、1台の直流遮断器を一旦投入し、開閉器側の電流がほぼ0になったところでこれらの開閉器を開き、それから1台の直流遮断器を開くことから、それらの開閉のタイミングはそれほど厳密でなくてもよく、開閉タイミングの相対的ずれによる直流遮断器や開閉器自体の損傷のおそれがほとんどない。
【0016】第2発明の超電導コイルシステムおよびその運転方法である第4発明においては、通常運転時に、直流遮断器と並列に接続した開閉器に直流大電流を連続的に流しておくことは、第1発明等と同じであるが、直流遮断器も投入し、直流遮断器にもその定格内の電流を分流させておく。開閉器と直流遮断器との直流の分流の比率は、それぞれ適切な内部抵抗の機種を選択すると設定できる。クエンチが発生した時は、開閉器を開放し、そのアーク抵抗により、開閉器側の大電流を直流遮断器にシフトさせ、その後に、直流遮断器により遮断動作を実行する。遮断動作が完了すれば、保護抵抗に超電導コイルのエネルギーを消費させることが可能となる。
【0017】このように、通常運転時にも、直流遮断器に電流を分流させておくこともできるので、クエンチ発生時に、直流遮断器の投入操作を行なわずに済む。したがって、クエンチ発生から直流遮断までの時間を大幅に短縮し、超電導コイルをより確実に保護できる。
【0018】この場合も、直流遮断器に大電流を流す期間を実質的にクエンチ発生時のみに限定することにより、通電容量が小さく経済性の高い直流遮断器を選定でき、直流大電流で連続運転される超電導コイルのクエンチ時の電流を確実に遮断可能である。すなわち、高価な直流遮断器は1台のみで、安価な開閉器を併設してあるので、超電導コイルシステム全体としては、大幅なコストダウンが可能である。
【0019】また、クエンチ発生時には、開閉器を開き、そのアーク抵抗により直流遮断器に大電流をシフトさせ、それから1台の直流遮断器を開くことから、それらの開閉のタイミングはそれほど厳密でなくてもよく、相対的開閉タイミングのずれによる直流遮断器や開閉器自体の損傷のおそれがほとんどない。
【0020】
【実施例】次に、図1を参照して、本発明による超電導コイルシステムの一実施例およびその運転方法を説明する。図1は、本発明による超電導コイル保護装置を備えた超電導コイルシステムの実施例の系統構成を示す図である。
【0021】《第1実施例》保護対象の超電導コイル1には、保護抵抗2が並列接続されており、励磁電源3からは、直流遮断器4を介して、エネルギーすなわち直流電力が供給されている。本発明では、このような超電導コイルシステムの基本回路に対して、少なくとも1つの開閉器6を、直流遮断器4と並列に接続してある。制御回路8は、超電導コイル1のクエンチを検出するクエンチ検出器7の検出信号に基づき、直流遮断器4および開閉器6の開閉を制御する。
【0022】なお、ここでは図示していないが、開閉器6全体を流れる電流を検出する電流検出器を設置し、その検出電流を制御回路8に取り込み、開閉器6の開閉のタイミングを決定するために用いることもできる。
【0023】このように構成された第1実施例において、通常運転時には、直流遮断器4は開放し、開閉器6に直流大電流I0を連続通電しておく。
【0024】さて、超電導コイル1にクエンチが発生すると、クエンチ検出器7がそれを検出し、制御回路8に検出信号を送る。制御回路8は、クエンチ検出信号の入力に応じて、直流遮断器4に投入指令を与え、直流遮断器4を投入させる。直流遮断器4が投入されると、今まで開閉器6を流れていた直流電流I0は、直流遮断器4にシフトすることになる。開閉器6に流れる電流I1と、直流遮断器4に流れる電流I2との比は、開閉器6の内部抵抗をr1とし、直流遮断器4の内部抵抗をr2とすると、I1:I2=r2:r1………(1)
となる。ここで、r1〉〉r2である、すなわち、開閉器6の抵抗値が直流遮断器4の抵抗値よりもかなり大きいとすれば、直流電流I0は、大部分直流遮断器4に流れる。
【0025】次に、開閉器6に流れる設計上の電流が0に近くなった時点で、または、開閉器6に実際に流れる電流が0に近くなったことを図示していない電流検出器により検出した時点で、制御回路8は開閉器6に開放指令信号を与え、開閉器6を開かせる。開閉器6が開放されると、通常時には開放器6を流れていた直流大電流I0は、完全に直流遮断器4に移ったことになる。
【0026】以上の一連の動作の後、制御回路8からの遮断指令により、直流遮断器4は、直流電流を遮断する。したがって、超電導コイル1に蓄積されていたエネルギーは、保護抵抗2により適切に消費され、超電導コイル1のクエンチ時の保護が可能となる。
【0027】第1実施例においては、超電導コイル保護装置を安価な少なくとも1つの開閉器6と1台の直流遮断器4とで構成してあり、通常運転時には、開閉器6側に連続大電流を流し、直流遮断器4には連続通電することなく、クエンチ発生時のみ直流遮断器4に通電し、その後は直ぐに遮断動作に入るようにしている。
【0028】ここでは、高価な直流遮断器4は1台のみで、安価な開閉器6を併設してあるので、超電導コイルシステム全体としては、大幅なコストダウンが可能である。
【0029】また、クエンチ発生時には、1台の直流遮断器4を一旦投入し、開閉器6側の電流がほぼ0になったところでこれらの開閉器6を開き、それから1台の直流遮断器4を開くことから、それらの開閉のタイミングは、複数の直流遮断器を同期させて開閉する必要があった従来例と比較して、それほど厳密でなくてもよく、相対的開閉タイミングのずれによる直流遮断器4や開閉器6自体の損傷のおそれがほとんどない。
【0030】《第2実施例》第2実施例の基本的系統構成は、第1実施例と変わらない。通常運転時にも、直流遮断器4を投入しておく点が異なるだけである。
【0031】保護対象の超電導コイル1には、保護抵抗2が並列接続されており、励磁電源3からは、直流遮断器4を介して、エネルギーすなわち直流電力が供給されている。このような超電導コイルシステムの基本回路に対して、少なくとも1つの開閉器6を、直流遮断器4と並列に接続してある。制御回路8は、超電導コイル1のクエンチを検出するクエンチ検出器7の検出信号に基づき、直流遮断器4および開閉器6の開閉を制御する。
【0032】なお、ここでは図示していないが、開閉器6全体を流れる電流を検出する電流検出器を設置し、その検出電流を制御回路8に取り込み、直流遮断器4への電流のシフト完了を判定するために用いることもできる。
【0033】このように構成された第2実施例において、通常運転時には、直流遮断器4も投入し、開閉器6に大電流を流すことはもちろんであるが、直流遮断器4にもその定格内の電流を分流させておく。開閉器6と直流遮断器4との分流の比率は、それぞれ適切な内部抵抗の機種を選択すると、設定できる。すなわち、通常運転時に、開閉器6に流れる電流I3と、直流遮断器4に流れる電流I4との比は、開閉器6の内部抵抗をr3とし、直流遮断器4の内部抵抗をr4とすると、I3:I4=r4:r3………(2)
となる。開閉器6と直流遮断器4との直流の分流の比率は、それぞれ適切な内部抵抗r3,内部抵抗r4の機種を選択すると、正確に設定可能である。
【0034】さて、超電導コイル1にクエンチが発生すると、クエンチ検出器7がそれを検出し、制御回路8に検出信号を送る。制御回路8は、クエンチ検出信号の入力に応じて、開閉器6に開放指令を与え、開閉器6を開放させる。開閉器6のアーク抵抗により、今まで開閉器6を流れていた直流電流は、直流遮断器4にシフトする。クエンチ時に開かれる開閉器6のアークの抵抗値raが直流遮断器4の抵抗値r4よりもかなり大きい、すなわち、ra〉〉r4であるから、直流電流I0は、直流遮断器4にシフトすることになる。
【0035】開閉器6に流れる設計上の電流が0に近くなり、または、開閉器6に実際に流れる電流が0に近くなったことを図示していない電流検出器により検出したら、制御回路8からの遮断指令により、直流遮断器4により遮断動作を実行する。したがって、超電導コイル1に蓄積されていたエネルギーは、保護抵抗2により適切に消費され、超電導コイル1のクエンチ時の保護が可能となる。
【0036】このように、第2実施例においては、通常運転時にも、直流遮断器4に電流を分流させておくことができるので、クエンチ発生時に、直流遮断器4の投入操作を行なわずに済む。したがって、クエンチ発生から直流遮断までの時間を大幅に短縮し、超電導コイル1をより確実に保護できる。
【0037】この場合も、直流遮断器4に大電流を流す期間を実質的にクエンチ発生時のみに限定するので、通電容量が小さく経済性の高い直流遮断器4を選定でき、直流大電流で連続運転される超電導コイル1のクエンチ時の電流を確実に遮断可能である。すなわち、高価な直流遮断器4は1台のみで、安価な開閉器6を併設してあるから、超電導コイルシステム全体としては、大幅なコストダウンが可能である。
【0038】また、クエンチ発生時には、開閉器6を開き、そのアーク抵抗により直流遮断器4に大電流をシフトさせ、それから1台の直流遮断器4を開くことから、それらの開閉のタイミングはそれほど厳密でなくてもよく、開閉タイミングの相対的ずれによる直流遮断器4や開閉器6自体の損傷のおそれがほとんどない。
【0039】なお、直流遮断器4は、機械的に作動するもののみならず、サイリスタ等の半導体遮断器でも本発明を適用可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0041】(1)高価な直流遮断器は1台のみで、安価な開閉器を併設してあるので、超電導コイルシステム全体としては、大幅なコストダウンが可能である。
【0042】(2)第1発明および第3発明において、クエンチ発生時には、1台の直流遮断器を一旦投入し、開閉器側の電流がほぼ0になったところでこれらの開閉器を開き、それから1台の直流遮断器を開くことから、それらの開閉のタイミングはそれほど厳密でなくてもよく、相対的開閉タイミングのずれによる直流遮断器や開閉器自体の損傷のおそれがほとんどない。
【0043】(3)第2発明および第4発明において、クエンチ発生時には、開閉器の開放時のアーク抵抗を利用して少なくとも1つの開閉器の電流を直流遮断器にシフトさせるから、通常運転時にも、直流遮断器に電流を分流させてさせておくことができる。この方式では、クエンチ発生時に、直流遮断器の投入操作を行なわずに済むので、クエンチ発生から直流遮断までの時間を大幅に短縮でき、超電導コイルをより確実に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超電導コイル保護装置を備えた超電導コイルシステムの実施例の系統構成を示す図である。
【図2】従来の基本的な超電導コイルシステムの系統構成を示す図である。
【図3】並列接続した直流遮断器を用いる従来の超電導コイルシステムの系統構成を示す図である。
【符号の説明】
1 超電導コイル
2 保護抵抗
3 励磁電源
4 直流遮断器
6 開閉器
7 クエンチ検出器
8 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 励磁電源と、通常運転時に前記励磁電源からエネルギーの供給を受けるとともに、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断される超電導コイルと、前記超電導コイルと並列に接続され、前記超電導コイルへのエネルギーの供給が遮断された状態で前記超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを消費し、クエンチに起因する損傷から前記超電導コイルを保護する保護抵抗とを備えた超電導コイルシステムにおいて、前記励磁電源と前記超電導コイルとの間に、通常運転時に開放され、クエンチが生じた際には一旦投入され、所定条件が成立した時に再度開放され、前記励磁電源から前記超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断する直流遮断器を直列に配置するとともに、前記直流遮断器と並列に、通常運転時に投入され前記励磁電源からのエネルギーを前記超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には自らを流れている前記励磁電源からのエネルギーを前記直流遮断器にシフトさせ、自らを流れているエネルギーが所定値以下に減少したら開放される少なくとも1つの開閉器を設けたことを特徴とする超電導コイルシステム。
【請求項2】 励磁電源と、通常運転時に前記励磁電源からエネルギーの供給を受けるとともに、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断される超電導コイルと、前記超電導コイルと並列に接続され、前記超電導コイルへのエネルギーの供給が遮断された状態で前記超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを消費し、クエンチに起因する損傷から前記超電導コイルを保護する保護抵抗とを備えた超電導コイルシステムにおいて、前記励磁電源と前記超電導コイルとの間に、通常運転時に投入され前記励磁電源からのエネルギーを前記超電導コイルに供給し、前記クエンチが生じた際には所定条件が成立した時に開放され、前記励磁電源から前記超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断する直流遮断器を直列に配置するとともに、前記直流遮断器と並列に、通常運転時に投入され前記励磁電源からのエネルギーを前記超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には前記直流遮断器に先立って開放され自らを流れている前記励磁電源からのエネルギーを前記直流遮断器にシフトさせる少なくとも1つの開閉器を設けたことを特徴とする超電導コイルシステム。
【請求項3】 通常運転時は励磁電源から超電導コイルにエネルギーを供給し前記超電導コイルを励磁する一方、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断し、前記超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを前記超電導コイルに並列接続された保護抵抗に消費させ、クエンチに起因する損傷から前記超電導コイルを保護する超電導コイルシステムの運転方法において、通常運転時には、前記励磁電源と前記超電導コイルとの間に配置された直流遮断器を開放し、前記直流遮断器に並列に接続された少なくとも1つの開閉器を介して前記励磁電源からのエネルギーを前記超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には、前記直流遮断器を一旦投入して前記開閉器を流れているエネルギーを前記直流遮断器にシフトさせ、前記開閉器を開放し、前記直流遮断器を流れていたエネルギーが所定値に減少したら前記直流遮断器を開放して前記超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断し、その後、前記超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを前記保護抵抗に消費させることを特徴とする超電導コイルシステムの運転方法。
【請求項4】 通常運転時は励磁電源から超電導コイルにエネルギーを供給し前記超電導コイルを励磁する一方、クエンチが生じた際にはエネルギーの供給を遮断し、前記超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを前記超電導コイルに並列接続された保護抵抗に消費させ、クエンチに起因する損傷から前記超電導コイルを保護する超電導コイルシステムの運転方法において、通常運転時には、前記励磁電源と前記超電導コイルとの間に配置された直流遮断器および当該直流遮断器と並列に接続されている少なくとも1つの開閉器を介して前記励磁電源からのエネルギーを前記超電導コイルに供給し、クエンチが生じた際には、前記開閉器を開放し、前記励磁電源からのエネルギーを前記直流遮断器にシフトさせ、前記直流遮断器を流れていたエネルギーが所定値に減少したら前記直流遮断器を開放して前記超電導コイルへのエネルギーの供給を遮断し、その後、前記超電導コイルに蓄積されていたエネルギーを前記保護抵抗に消費させることを特徴とする超電導コイルシステムの運転方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【特許番号】第2724321号
【登録日】平成9年(1997)12月5日
【発行日】平成10年(1998)3月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−286534
【分割の表示】特願平1−176037の分割
【出願日】平成1年(1989)7月7日
【公開番号】特開平7−192913
【公開日】平成7年(1995)7月28日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリングサービス (276)