説明

超電導線の臨界電流測定装置および臨界電流測定方法

【課題】測定時間が短く、かつ超電導線の歩留まりを向上することができる、超電導線の臨界電流測定装置および臨界電流測定方法を提供する。
【解決手段】超電導線10の臨界電流測定装置1は、第1の電極11、12と短区間測定部2とを有している。第1の電極11、12は、超電導線10の長手方向Xに沿って延びる被測定区間13の両端に接して、被測定区間3に電流を流すためのものである。短区間測定部2は、被測定区間13内に位置する複数の短区間の各々の長手方向Xの両端に接することにより、第1の電極11、12で被測定区間13に電流を流したときの複数の短区間の各々の電圧を測定することにより複数の短区間の各々の臨界電流値を測定するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導線の臨界電流測定装置および臨界電流測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超電導線材の重要な特性の一つとして臨界電流値(I)があり、臨界電流値は超電導線材の重要な保証項目の一つである。
【0003】
特開平10−239260号公報(特許文献1)には、超電導線の所定の区間に電流を流して所定の区間の電圧を測定することにより臨界電流値を測定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−239260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平10−239260号公報に記載されている臨界電流測定装置によると、長尺状の超電導線の臨界電流値を測定する場合、特定の長さの区間毎に臨界電流値が測定される。1回の臨界電流値の測定時間は、臨界電流値が測定される区間の長さを変化させてもそれほど変わらない。そのため、超電導線のすべての区間の臨界電流値を測定するトータルの時間を短くするためには、1回の臨界電流値の測定区間の距離を長くすることが有効である。
【0006】
しかしながら、長い区間の臨界電流値を測定した場合に超電導線に欠陥が発見されると、その長い区間の超電導線を全て廃棄する必要があった。この場合、欠陥を有しない部分の超電導線も一緒に廃棄するため、超電導線の歩留まりがよくなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、測定時間が短く、かつ超電導線の歩留まりを向上することができる、超電導線の臨界電流測定装置および臨界電流測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超電導線の臨界電流測定装置は、第1の電極と短区間測定部とを備えている。第1の電極は、超電導線の長手方向に沿って延びる被測定区間の両端に接して、被測定区間に電流を流すためのものである。短区間測定部は、被測定区間内に位置する複数の短区間の各々の長手方向の両端に接することにより、第1の電極で被測定区間に電流を流したときの複数の短区間の各々の電圧を測定することにより複数の短区間の各々の臨界電流値を測定するためのものである。
【0009】
本発明に係る超電導線の臨界電流測定装置によれば、被測定区間を複数の短区間に区切って超電導線の臨界電流値が測定される。このように、短区間毎に臨界電流値を測定することができるため、複数ある短区間の一つに欠陥が見つかった場合、その短区間のみを廃棄すればよい。よって、長区間全体を廃棄する場合と比較して、歩留まりが向上する。また、複数の短区間の臨界電流値を同時に測定することができる。それゆえ、超電導線のトータルの臨界電流測定時間を、長区間毎に測定する場合と同様に、短く維持することができる。
【0010】
上記の超電導線の臨界電流測定装置において好ましくは、超電導線の臨界電流測定装置は短区間に電流を流すための第2の電極をさらに備えている。
【0011】
たとえば、超電導線の被測定区間に位置する複数の短区間の内、ある特定の短区間は低い臨界電流値(Ic1)を有し、他の短区間は高い臨界電流値(Ic2)を有する場合がある。ここで、臨界電流値とは、超電導体が、抵抗値が0の超電導状体から抵抗値が有限の値を有する常伝導状態に変化する臨界値のことである。それゆえ、被測定区間全体にIc1よりも大きく、Ic2よりも小さい電流が流れると、低い臨界電流値を有する短区間は有限の抵抗値を有するために発熱する。さらに被測定区間に流れる電流が大きくなると、低い臨界電流値を有する短区間はさらに発熱してしまいジュール熱によって溶断される場合がある。本発明の超電導線の臨界電流測定装置によれば、第2の電極を用いて短区間毎に電流が流されて短区間毎の電圧が測定される。このように、選択的に短区間毎の臨界電流値を測定することができるので、上記のような場合でも、超電導線が溶断することがなく、複数の短区間の各々の臨界電流値を測定することができる。
【0012】
上記の超電導線の臨界電流測定装置において好ましくは、超電導線の臨界電流測定装置は、超電導線を長手方向に移動させるための移動装置をさらに備えている。
【0013】
移動装置により、短区間測定部に対して超電導線を相対的に移動させることができる。
本発明に係る超電導線の臨界電流測定方法は、以下の工程を備えている。
【0014】
超電導線の長手方向に沿って延びる被測定区間の両端に第1の電極を接触させて、被測定区間に電流が流される。被測定区間内に位置する複数の短区間の各々の長手方向の両端に短区間測定用電極を接触させて、第1の電極で被測定区間に電流を流したときの複数の短区間の各々の電圧を測定することにより、複数の短区間の各々の臨界電流値が測定される。
【0015】
本発明に係る超電導線の臨界電流測定方法によれば、被測定区間を複数の短区間に区切って超電導線の臨界電流値が測定される。このように、短区間毎に臨界電流値を測定することができるため、複数ある短区間の一つに欠陥が見つかった場合、その短区間のみを廃棄すればよい。よって、長区間全体を廃棄する場合と比較して、歩留まりが向上する。また、複数の短区間の臨界電流値を同時に測定することができる。それゆえ、超電導線のトータルの臨界電流測定時間を、長区間毎に測定する場合と同様に、短く維持することができる。
【0016】
上記の超電導線の臨界電流測定方法において好ましくは、超電導線の臨界電流測定方法は、第1の電極で被測定区間に電流を流したときの複数の短区間の各々の電圧を測定することにより複数の短区間の各々の臨界電流値を測定する工程の後に、短区間ごとに電流を流したときの短区間ごとの電圧を測定することにより短区間ごとの臨界電流値を測定する工程をさらに備えている。
【0017】
これにより、選択的に短区間毎の臨界電流値を測定することができるので、上記と同様、超電導線が溶断することがなく、複数の短区間の各々の臨界電流値を測定することができる。
【0018】
上記の超電導線の臨界電流測定方法において好ましくは、短区間ごとに電流を流したときの短区間の臨界電流値を測定する工程は、以下の工程を有している。複数の短区間の内の一つの短区間の臨界電流値が測定される。超電導線が長手方向に移動される。複数の短区間の内の他の短区間の臨界電流値が測定される。
【0019】
これにより、複数の短区間の各々の臨界電流値を順次測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被測定区間を複数の短区間に区切って超電導線の臨界電流値が測定される。そのため、短区間毎に臨界電流値を測定することができるため、複数ある短区間の一つに欠陥が見つかった場合、その短区間のみを廃棄すればよい。よって、長区間全体を廃棄する場合と比較して、歩留まりが向上する。また、複数の短区間の臨界電流値を同時に測定することができる。それゆえ、超電導線のトータルの臨界電流測定時間を、長区間毎に測定する場合と同様に、短く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に係る超電導線の臨界電流測定装置を示す概略模式図である。
【図2】実施の形態1に係る超電導線の臨界電流測定方法を示すステップ図である。
【図3】実施の形態2に係る超電導線の臨界電流測定装置を示す概略模式図である。
【図4】移動装置により超電導線が移動される前の状態を示す図である。
【図5】移動装置により超電導線が移動した後の状態を示す図である。
【図6】移動装置により超電導線がさらに移動した後の状態を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る超電導線の臨界電流測定方法を示すステップ図である。
【図8】ステップS3の詳細を示すステップ図である。
【図9】超電導線に流す電流と電圧の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1における超電導線の臨界電流測定装置の構成について、図1を用いて説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態に係る超電導線10の臨界電流測定装置1は、1対の第1の電極11、12と、複数の短区間測定部2と、電流源3と、PC(Personal Computer)4と、移動装置6、7と、液体窒素容器8とを主に有している。1対の第1の電極11、12は、超電導線10の長手方向Xに沿って延びる被測定区間13の両端に接して、被測定区間13に電流を流すためのものである。電流源3は、1対の第1の電極11、12と電気的に接続されており、被測定区間13に電流を流すためのものである。
【0024】
複数の短区間測定部2の各々は、被測定区間13内に位置する複数の短区間の各々の長手方向Xの両端に接することにより、第1の電極11、12で被測定区間13にわたって電流を流したときの複数の短区間の各々の電圧を測定することにより複数の短区間の各々の臨界電流値を測定するためのものである。複数の短区間測定部2の各々は、1対の短区間測定用電極31、31と電圧計41とを主に有している。1対の短区間測定用電極31、31の各々は、超電導線10の短区間の長手方向Xの両端に当接可能に設けられている。電圧計41は、1対の短区間測定用電極31、31に挟まれた区間(短区間)の電圧を測定可能に設けられている。互いに隣り合う短区間測定部2同士は、短区間測定用電極31を共有している。短区間の長さ(つまり短区間測定用電極31の配置ピッチP)は、たとえば2mである。本実施の形態では短区間の数は、たとえば6個であるが、短区間の数は複数であればいくらでもよく、たとえば4個でも8個でもよい。
【0025】
PC4は、電流源3および複数の電圧計41からなる計測装置部5を制御可能に設けられている。PC4は、たとえば被測定区間13に電流を流すよう電流源3を制御可能であり、かつ電圧計41で測定された電圧から臨界電流値を算出可能である。
【0026】
移動装置6、7は、送りローラ6と、受けローラ7とを有している。送りローラ6には、臨界電流を測定する前の超電導線10が巻きつけられている。送りローラ6は、超電導線10を送り出す部分である。受けローラ7は、臨界電流を測定した後の超電導線10を巻き取る部分である。PC4は、送りローラ6および受けローラ7の動作を制御可能である。PC4は、たとえば、超電導線10を送る距離や速度を制御したり、送る方向(順方向や逆方向)を制御可能である。
【0027】
液体窒素容器8は、内部に液体窒素9を貯めるためのものである。超電導線10が、液体窒素容器8に貯められた液体窒素9内に浸漬可能に液体窒素容器8は配置されている。液体窒素容器8に貯められた液体窒素9によって、測定対象物である超電導線10が臨界温度以下に冷却されて超電導線10が超電導状態になる。
【0028】
次に、本実施の形態に係る超電導線10の臨界電流測定方法について図1および図2を用いて説明する。
【0029】
図1に示すように、被測定区間13の両端に1対の第1の電極11、12を接触させて、電流源3により被測定区間13に電流が流される(ステップS1:図2)。次に、被測定区間13内に位置する複数の短区間の両端に複数の短区間測定用電極31が接続される。短区間とは、たとえば、互いに隣り合う1対の短区間測定用電極31、31で挟まれた区間のことである。そして、被測定区間13の全区間にわたり電流を流したときの複数の短区間の各々の電圧が各々の電圧計41によって測定されることによって、複数の短区間の各々の臨界電流値が測定される(ステップS2:図2)。
【0030】
ここで、臨界電流値の測定方法について図9を用いて説明する。
臨界電流値とは、超電導体に流すことができる最大の電流値のことである。理想的な超電導体では抵抗値が0なので電流を流しても電圧は0である。しかし現実の超電導線10では、電流を流すと僅かながら電圧が検出される。
【0031】
臨界電流値は、たとえば図9に示すように、被測定区間13に電流が流されたときの電圧を測定することによって求めることができる。被測定区間13に流す電流値は低い値から徐々に高い値へ変化させることができる。各々の電流値に対する電圧が、図9に示すようにプロットされる。電流値を徐々に大きくしていくと電圧が急激に大きくなるところがある。ある基準となる電圧の閾値(点線で示す基準電圧)を決めて、その閾値の電圧になる電流が臨界電流(I)として決定される。
【0032】
次に、実施の形態1に係る超電導線10の臨界電流測定装置1および臨界電流測定方法の作用効果について説明する。
【0033】
実施の形態1に係る超電導線10の臨界電流測定装置1および臨界電流測定方法によれば、一度に6箇所の短区間の臨界電流値を測定することができる。そのため、6箇所の短区間の内の一つに欠陥が見つかった場合、その短区間のみを廃棄すればよい。よって、長区間全体を廃棄する場合と比較して、歩留まりが向上する。また、6箇所の短区間の臨界電流値を同時に測定することができる。それゆえ、超電導線のトータルの臨界電流測定時間を、長区間を測定する場合と同様に、短く維持することができる。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における超電導線の臨界電流測定装置の構成について、図3を用いて説明する。
【0035】
図3に示すように、本実施の形態2の構成は、実施の形態1の構成と比較して短区間に電流を流すための第2の電極21、22、23と電流源20とを有している点において異なっている。第2の電極21、22は、電流源20と電気的に接続されており、互いに隣り合う1対の短区間測定用電極31、31に挟まれた区間(短区間)に電流を流すためのものである。第2の電極21、22は、互いに隣り合う1対の短区間測定用電極31、31によって挟まれた短区間の少し外側に設けられている。
【0036】
また電極23は、第1の電極11との間にある、1対の短区間測定用電極31、31に挟まれた短区間に電流を流すことができるので第2の電極の一例である。この場合、第1の電極11と第2の電極23とを通して、電流源3により1対の短区間測定用電極31、31に挟まれた区間(短区間)に電流を流すことが可能である。
【0037】
これ以外の実施の形態2の構成は、上述した実施の形態1の構成と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0038】
次に、本実施の形態2に係る超電導線10の臨界電流測定方法について、図3〜図8を用いて説明する。
【0039】
まず、図3に示すように、被測定区間13の両端に1対の第1の電極11、12が当接されて、電流源3により被測定区間13にわたり電流が流される(ステップS1:図7)。次に、被測定区間13に電流が流されているときの複数の短区間の各々の電圧が電圧計41の各々によって測定され、複数の短区間の各々の臨界電流値が測定される(ステップS2:図7)。次に、短区間毎に電流を流すための第2の電極21、22、23が超電導線10に接続される。1対の第2の電極21、22の間の1対の短区間測定用電極31、31により挟まれた区間(例えば図4における短区間d)に電流源20により電流が流される。電流が流された短区間の電圧が電圧計41により測定され、短区間の臨界電流値が測定される(ステップS3:図7)。同様に、第1の電極11と第2の電極23の間の1対の短区間測定用電極31、31により挟まれた区間(例えば図4における短区間d)に電流源3により電流が流される。電流が流された短区間の電圧が電圧計41により測定され、短区間の臨界電流値が測定される(ステップS3:図7)。
【0040】
短区間ごとに電流を流したときの短区間の臨界電流値を測定する工程(ステップS3)は、複数の短区間の各々の臨界電流値を順次測定できるように、図8に示す工程を含んでいてもよい。以下、図8に示す工程を図4〜図6を用いて説明する。
【0041】
図4に示すように、超電導線10の短区間dの両端に1対の短区間測定用電極31、31が接続され、短区間dの両端には別の1対の短区間測定用電極31、31が接続される。短区間dの少し外側に第1の電極11と第2の電極23とが接続され、短区間dの少し外側に1対の第2の電極21、22が接続される。電流源3により短区間dに電流が流され、短区間dの電圧が電圧計41により測定されることにより、短区間dの臨界電流値が測定される。同様に、電流源20により短区間dに電流が流され、短区間dの電圧が電圧計41により測定されることにより、短区間dの臨界電流値が測定される。このようにして、短区間dと短区間dの臨界電流値が測定される(ステップS4:図8)
次に、超電導線10が送りローラ6により送り出され受けローラ7により巻き取られることで、長手方向Xに移動される(ステップS5:図8)。これにより図5に示すように、短区間dがあった場所に短区間dが移動し、短区間dがあった場所に短区間dが移動してくる。
【0042】
超電導線10が移動した後、図4で説明した方法と同様の方法により、短区間dと短区間dの臨界電流値が測定される(ステップS6:図8)。
【0043】
次に、超電導線10が送りローラ6により送り出され受けローラ7により巻き取られることで、長手方向Xに移動されるにさらに移動される。これにより図6に示すように、短区間dがあった場所に短区間dが移動し、短区間dがあった場所に短区間dが移動してくる。
【0044】
超電導線10が移動した後、図4で説明した方法と同様の方法により、短区間dと短区間dの臨界電流値が測定される。
【0045】
上記のようなステップで、短区間d〜dの各々の短区間に電流を流したときの電圧を測定することにより複数の短区間の各々の臨界電流値を全て測定することができる。
【0046】
次に、実施の形態2に係る超電導線10の臨界電流測定装置1および臨界電流測定方法の作用効果について説明する。
【0047】
たとえば、超電導線10の被測定区間13に位置する複数の短区間の内、ある特定の短区間は低い臨界電流値(Ic1)を有し、他の短区間は高い臨界電流値(Ic2)を有する場合がある。ここで、臨界電流値とは、超電導体が、抵抗値が0の超電導状体から抵抗値が有限の値を有する常伝導状態に変化する臨界値のことである。それゆえ、被測定区間13全体にIc1よりも大きく、Ic2よりも小さい電流が流れると、低い臨界電流値を有する短区間は有限の抵抗値を有するために発熱する。さらに被測定区間13に流れる電流が大きくなると、低い臨界電流値を有する短区間はさらに発熱してしまいジュール熱によって溶断される場合がある。この超電導線10の臨界電流測定方法によれば、短区間毎に電流が流されて短区間毎の電圧が測定される。それゆえ、選択的に短区間毎の臨界電流値を測定することができるので、上記のような場合でも、超電導線10が溶断することがなく、複数の短区間の各々の臨界電流値を測定することができる。
【0048】
また、超電導線10の一部が著しく損傷しており被測定区間13の全区間にわたって電流を流すことができない場合がある。この場合、短区間の電圧も正確に測定することができない。実施の形態2に係る超電導線10の臨界電流測定装置1および臨界電流測定方法電流によれば、短区間毎に電流を流して短区間毎の電圧を測定することで短区間毎の臨界電流値を測定することができる。それゆえ、超電導線10の一部が著しく損傷しており被測定区間13の全区間にわたって電流を流すことができない場合でも、短区間の臨界電流値を正確に測定することができる。
【0049】
超電導線10を長手方向Xに移動させる移動装置6、7や移動工程を有する場合は、超電導線10を順次長手方向へ移動させて複数の短区間の各々の臨界電流値の測定することができるので、短時間で精度良く超電導線10の臨界電流値を測定することができる。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、超電導線の臨界電流測定装置および臨界電流測定方法に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 超電導線の臨界電流測定装置、2 短区間測定部、3 電流源、4 PC、5 測定装置部、6 送りローラ、7 受けローラ、8 液体窒素容器、9 液体窒素、10 超電導線、11,12 第1の電極、13 被測定区間、20 電流源、21〜23 第2の電極、31 短区間測定用電極、41 電圧計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導線の長手方向に沿って延びる被測定区間の両端に接して、前記被測定区間に電流を流すための第1の電極と、
前記被測定区間内に位置する複数の短区間の各々の前記長手方向の両端に接することにより、前記第1の電極で前記被測定区間に電流を流したときの前記複数の短区間の各々の電圧を測定することにより前記複数の短区間の各々の臨界電流値を測定するための短区間測定部とを備えた、超電導線の臨界電流測定装置。
【請求項2】
前記短区間に電流を流すための第2の電極をさらに備えた、請求項1に記載の超電導線の臨界電流測定装置。
【請求項3】
前記超電導線を前記長手方向に移動させるための移動装置をさらに備えた、請求項1または2に記載の超電導線の臨界電流測定装置。
【請求項4】
超電導線の長手方向に沿って延びる被測定区間の両端に第1の電極を接触させて、前記被測定区間に電流を流す工程と、
前記被測定区間内に位置する複数の短区間の各々の前記長手方向の両端に短区間測定用電極を接触させて、前記第1の電極で前記被測定区間に電流を流したときの前記複数の短区間の各々の電圧を測定することにより前記複数の短区間の各々の臨界電流値を測定する工程とを備えた、超電導線の臨界電流測定方法。
【請求項5】
前記第1の電極で前記被測定区間に電流を流したときの前記複数の短区間の各々の電圧を測定することにより前記複数の短区間の各々の臨界電流値を測定する工程の後に、前記短区間ごとに電流を流したときの前記短区間ごとの電圧を測定することにより前記短区間ごとの臨界電流値を測定する工程をさらに備えた、請求項4に記載の超電導線の臨界電流測定方法。
【請求項6】
前記短区間ごとに電流を流したときの前記短区間の臨界電流値を測定する工程は、
前記複数の短区間の内の一つの前記短区間の臨界電流値を測定する工程と、
前記超電導線を前記長手方向に移動させる工程と、
前記複数の短区間の内の他の前記短区間の臨界電流値を測定する工程とを含む、請求項5に記載の超電導線の臨界電流測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−32937(P2013−32937A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168416(P2011−168416)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】