説明

超電導薄膜材料および超電導薄膜材料の製造方法

【課題】元素拡散反応を防止して良好な超電導特性を得る超電導薄膜材料および超電導薄膜材料の製造方法を提供する。
【解決手段】超電導薄膜材料10は、基板11と、基板11上に形成された1層または2層以上の中間層12と、中間層12上に形成された超電導層13とを備えている。中間層12の厚みは、0.4μm以上である。中間層12を構成する材料は、岩塩型、蛍石型、ペロブスカイト型、およびパイロクロア型の少なくともいずれか1つの結晶構造を有する酸化物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導薄膜材料および超電導薄膜材料の製造方法に関し、たとえば超電導特性の優れた超電導薄膜材料および超電導薄膜材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導薄膜材料は、図5に示すように、基板101上に中間層102を積層し、さらに中間層102上に超電導層103を成膜して形成している。このような超電導薄膜材料100において、良好な超電導特性を得るために、たとえば特開平11−53967号公報(特許文献1)に、配向性多結晶中間層を備える配向性多結晶基材が開示されている。なお、図5は、従来の超電導薄膜材料を示す断面図である。
【0003】
上記特許文献1には、超電導層の配向性を向上するために、表面に結晶配向性を有する基板上に、中間層を形成し、さらにその中間層上に超電導層を形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−53967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示の配向性多結晶基材では、加熱反応を行なって超電導層を成膜するため、超電導層の構成元素は基板側に拡散するとともに、基板の構成元素は超電導層側に拡散する元素拡散反応が生じてしまう。基板の構成元素が、中間層を超えて超電導層に到達すると、超電導層を構成している超電導元素と反応を起こしてしまい、超電導特性を低下するという問題がある。
【0005】
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、元素拡散反応を防止して良好な超電導特性を得る超電導薄膜材料および超電導薄膜材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、超電導薄膜材料における元素拡散反応が生じるという問題は、中間層の厚みに起因することを見出した。中間層の厚みが十分に厚くないと、基板を構成する元素が中間層を超えて超電導層まで到達し、元素拡散反応を起こしてしまうという問題がある。本発明者は、このような元素拡散反応を防止するために鋭意研究した結果、元素拡散反応を防止するために必要な中間層の膜厚を見出した。
【0007】
そこで、本発明にしたがった超電導薄膜材料は、基板と、中間層と、超電導層とを備えている。中間層は、基板上に形成され、1層または2層以上であり、厚みが0.4μm以上である。超電導層は、中間層上に形成されている。
【0008】
本発明の超電導薄膜材料によれば、中間層の厚みを0.4μm以上とすることによって、基板と超電導層との元素拡散を防止することができる。そのため、形成された超電導層の特性の低下を防止できるので、超電導薄膜材料は良好な超電導特性を得ることができる。
【0009】
上記超電導薄膜材料において好ましくは、中間層を構成する材料は、岩塩型、蛍石型、ペロブスカイト型、およびパイロクロア型の少なくともいずれか1つの結晶構造を有する酸化物である。
【0010】
これらの中間層の材料は、超電導層との反応性が極めて低いため、中間層が超電導層と接触していても超電導層と元素拡散反応がより発生しにくくなる。
【0011】
上記超電導薄膜材料において好ましくは、基板を構成する材料は配向金属であり、中間層を構成する材料がイットリア安定化ジルコニア、酸化セリウム、酸化マグネシウム、およびチタン酸ストロンチウムのうちの少なくともいずれか1つを含んでいる。
【0012】
これにより、特性の優れる配向金属を基板に用いる場合であっても、基板と超電導層との間の元素拡散反応を抑制することができる。
【0013】
本発明の超電導薄膜材料の製造方法は、上記超電導薄膜材料を製造する方法であって、基板を準備する工程と、基板上に1層または2層以上の中間層を形成する工程と、超電導層を形成する工程とを備えている。超電導層を形成する工程は、気相法および液相法の少なくともいずれか一方により中間層上に超電導層を形成する。
【0014】
本発明の超電導薄膜材料の製造方法によれば、超電導層を形成する工程では、結晶配向性および表面平滑性に優れる表面を有する超電導層を形成することができる。そのため、大きな臨界電流値および大きな臨界電流密度が得られる良好な超電導特性が得られる超電導薄膜材料を製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超電導薄膜材料によれば、中間層の厚みを0.4μm以上とすることによって、中間層の厚みが十分となるので、元素拡散反応を防止して良好な超電導特性を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態における超電導薄膜材料を示す断面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態における超電導薄膜材料を説明する。
【0018】
図1に示すように、実施の形態における超電導薄膜材料10は、基板11と、基板11上に形成された1層または2層以上の中間層12と、中間層12上に形成された超電導層13とを備えている。中間層12の厚みは、0.4μm以上である。
【0019】
詳細には、基板11を構成する材料は金属であることが好ましい。基板11は、配向金属基板を用いることがさらに好ましい。なお、配向金属基板とは、基板表面の面内の2軸方向に関して、結晶方位が揃っている基板を意味する。配向金属基板としては、たとえばNi(ニッケル)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Pd(パラジウム)、Cu(銅)、Ag(銀)、およびAu(金)のうち2以上の金属からなる合金が好適に用いられる。これらの金属を他の金属または合金と積層することもでき、たとえば高強度材料であるSUSなどの合金を用いることもできる。なお、基板11の材料は特にこれに限定されず、たとえば金属以外の材料を用いてもよい。
【0020】
基板11は、たとえば厚みを50μm〜200μmとし、長尺な帯状の形状を有している。
【0021】
中間層12の厚みxは、0.4μm以上である。厚みxは、0.8μm以上が好ましく、さらに好ましくは1.1μm以上である。図5に示すように、従来の超電導薄膜材料100における中間層102の厚みyが薄いと、基板101の構成元素が超電導層103に、超電導層103の構成元素が基板101に移動してしまう元素拡散反応が発生する。本発明者は、元素拡散反応を防止できる中間層12の厚みが0.4μm以上であることを見出した。すなわち、中間層12の厚みxを0.4μm以上とすることによって、元素拡散反応を防止でき、良好な超電導特性を得ることができる。厚みxを0.8μm以上とすることによって、元素拡散反応をより防止することができ、厚みxを1.1μm以上とすることによって、元素拡散反応をより一層防止することができる。
【0022】
中間層12を構成する材料は、岩塩型、蛍石型、ペロブスカイト型、およびパイロクロア型の少なくともいずれか1つの結晶構造を有する酸化物であることが好ましい。このような結晶構造を有する酸化物として、酸化セリウム(CeO2)、酸化ホルミニウム(Ho23)、酸化イットリウム(Y23)、および酸化イッテルビウム(Yb23)などの希土類元素酸化物、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化マグネシウム(MgO)、およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、BZO(BaZrO3)、酸化アルミニウム(Al23)などのLn−M−O化合物(Lnは1種以上のランタノイド元素、MはSr、Zr、およびGaの中から選ばれる1種以上の元素、Oは酸素)が挙げられる。特に、中間層12を構成する材料が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)、およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などが結晶定数および結晶配向の観点から好適に用いられる。これらの材料は、超電導層13との反応性が極めて低く、超電導層13と接触している境界面においても超電導層13の超電導特性を低下させない。特に、基板11を構成する材料として金属を用いる場合には、表面に結晶配向性を有する基板11と超電導層13との差を緩和して、超電導層13を高温で形成する際に、表面に結晶配向性を有する配向金属からなる基板11から超電導層13への金属原子の流出を防止する役割を果たすことができる。なお、中間層12を構成する材料は特にこれに限定されない。
【0023】
また、中間層12は、良好な結晶配向性を有していることが好ましい。良好な結晶配向性を有する材料としては、上記材料が挙げられる。
【0024】
また、図2に示すように、中間層12は、複数の層により構成されていてもよい。複数の層により構成されている場合であっても、それぞれの層の合計が中間層12の厚みxとなり、中間層12の厚みxが0.4μm以上とする。なお、図2は、本発明の実施の形態における超電導薄膜材料の別の例を示す断面図である。
【0025】
中間層12が複数の層により構成される場合、中間層12を構成するそれぞれの層は互いに異なる材質により構成されていてもよい。たとえば図2に示すように、中間層12が第1の層12a、第2の層12b、および第3の層12cの3層により構成することができる。この場合、第1の層12aは、基板11上に形成され、結晶成長の核となる種結晶層とすることが好ましい。第2の層12bは、第1の層12a上に形成され、元素拡散反応を防止する拡散防止層とすることが好ましい。第3の層12cは、その上に形成される超電導層13との格子サイズのマッチングをとる格子整合層とすることが好ましい。また、種結晶層は、たとえば酸化セリウムを好適に用いることができる。拡散防止層は、たとえばイットリア安定化ジルコニアを好適に用いることができる。格子整合層は、たとえば酸化セリウムを好適に用いることができる。
【0026】
中間層12は特にこれに限定されず、任意の数の層とすることができ、2層であっても4層以上であってもよいし、図1に示すように1層であってもよい。1層または2層である場合は、その層内で種結晶層、拡散防止層、および格子整合層の役割を有していることが好ましい。
【0027】
なお、中間層12と超電導層13との格子不整合率は10%以下、中間層12と基板11との格子不整合率は10%以下とすることが好ましい。
【0028】
中間層12の超電導層13が形成される側の表面は平坦であることが好ましい。たとえば、中間層12の表面粗さが10nm以下とすることが好ましい。
【0029】
超電導層13を構成する材料は特に限定されないが、たとえばRE−123系の超電導体とすることが好ましい。なお、RE−123系の超電導体とは、REBa2Cu3y(yは6〜8、より好ましくはほぼ7、REとはイットリウム、またはGd、Sm、Hoなどの希土類元素を意味する)として表される超電導体を意味する。このようにすれば、フレキシブルな金属からなる基板11上に中間層12および超電導層13を形成するので、大きな臨界電流値および臨界電流密度を示す超電導薄膜材料を実現できる。また、超電導層13の厚みは、たとえば0.2μm〜5μmとすることができる。
【0030】
超電導薄膜材料をたとえば超電導線材として利用する場合には、超電導層13の表面保護のために、超電導層13上にAg(銀)安定化層やCu(銅)安定化層などの表面保護層や安定化層(図示せず)を設けることもできる。
【0031】
次に、図1および図3を参照して、本発明の実施の形態における超電導薄膜材料の製造方法について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態における超電導薄膜材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0032】
図3に示すように、まず、基板11を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、超電導薄膜材料10のベースとなる基板11を準備する。基板11としては、配向金属からなる材料を用いることが好ましく、たとえばニッケルなどの金属からなる帯状の金属テープを用いることができる。
【0033】
次に、中間層12を形成する工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、準備された基板11上に、厚みが0.4μm以上となるように中間層12を形成する。中間層12としては、たとえば岩塩型、蛍石型、ペロブスカイト型、パイロクロア型といった結晶構造を有する酸化物を用いることができる。工程(S20)において用いる成膜方法としては、任意の成膜方法を用いることができるが、たとえばパルスレーザ蒸着法(Pulsed Laser Deposition:PLD法)などの物理蒸着法を用いることができる。
【0034】
なお、工程(S20)において図2に示すように中間層12が複数の層からなる場合であっても同様に、基板11上に第1の層12aをたとえば物理蒸着法により形成し、第1の層12a上に第2の層12bをたとえば物理蒸着法により形成し、第2の層12b上に第3の層12cをたとえば物理蒸着法により形成する。
【0035】
次に、中間層12の表面上に、超電導層13を形成する工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、気相法および液相法の少なくともいずれか一方により、超電導層13を形成する。
【0036】
具体的には、気相法としては、たとえばレーザ蒸着法、スパッタリング法、および電子ビーム蒸着法などが挙げられる。液相法としては、たとえば有機金属堆積法などが挙げられる。レーザ蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム法、および有機金属堆積法の少なくとも1つの方法により行なわれると、結晶配向性および表面平滑性に優れた表面を有する超電導層13を形成することができる。
【0037】
工程(S30)では、超電導層13を形成する際に600℃〜900℃とすることが好ましい。このように高温下で超電導層13を形成しても、中間層12の厚みが十分にあるので、超電導層13と基板11との間で原子拡散反応はほとんど生じない。
【0038】
なお、工程(S10,20,30)を実施した後に、基板11、中間層12、または超電導層13の表面を平坦化する平坦化工程を実施してもよい。平坦化工程は、任意の平坦化方法を用いることができ、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法、ウエットエッチング法、または機械研磨法などを用いることができる。
【0039】
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、超電導薄膜材料10を製造することができる。
【0040】
また、超電導薄膜材料をたとえば超電導線材として利用する場合には、超電導層13の表面上に表面保護層(図示せず)を形成する工程をさらに備えていてもよい。この工程では、たとえば超電導層13上に、Ag安定化層からなる表面保護層を形成する。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施の形態における超電導薄膜材料10によれば、中間層12の厚みが0.4μm以上であるので、基板11の構成元素が超電導層13に、超電導層13の構成元素が基板11に移動する元素拡散反応を防止することができる。また、実施の形態における超電導薄膜材料10は、良好な結晶配向性および元素拡散反応防止の両方の役割を果たしている。そのため、超電導層13の特性を低下させないので、超電導薄膜材料10は良好な超電導特性を得ることができる。
【0042】
[実施例]
本発明による超電導薄膜材料の効果を確認するべく、以下のような実験を行なった。すなわち、表1に示す厚みの中間層を備える実施例1〜3および比較例1,2の超電導薄膜材料を準備し、それぞれの超電導薄膜材料における臨界電流密度を測定した。各超電導薄膜材料の中間層の膜厚および臨界電流の測定値を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
(実施例1:超電導薄膜材料)
実施例1では、基本的に実施の形態における超電導薄膜材料の製造方法にしたがって、超電導薄膜材料を製造した。具体的には、まず、基板を準備する工程(S10)では、Ni合金基板を準備した。次に、中間層を形成する工程(S20)では、気相蒸着法により、基板上に金属系酸化物からなる中間層を形成した。詳細には、中間層は3層からなり、基板上に結晶成長させるための種結晶層(第1の層)として酸化セリウムを0.1μm形成した。そして、種結晶層上に拡散防止層(第2の層)としてYSZを0.2μm形成した。そして、格子整合層(第3の層)として酸化セリウムを0.1μm形成した。次に、超電導層を形成する工程(S30)では、超電導層としてHoBa2Cu3x(HoBCO)をレーザ蒸着法により0.8μmの膜厚となるように形成した。これにより、実施例1における超電導薄膜材料を得た。
【0045】
なお、表1における中間層の膜厚は、第1の層、第2の層、および第3の層の合計を示す。
【0046】
(実施例2:超電導薄膜材料)
実施例2における超電導薄膜材料は、基本的には実施例1と同様の構成を備えるが、中間層の膜厚を0.8μmとした点において、実施例1における超電導薄膜材料と異なる。詳細には、実施例2における超電導薄膜材料の中間層は、種結晶層(第1の層)の厚みを0.1μm、拡散防止層(第2の層)の厚みを0.6μm、格子整合層(第3の層)の厚みを0.1μmとした。
【0047】
(実施例3:超電導薄膜材料)
実施例3における超電導薄膜材料は、基本的には実施例1と同様の構成を備えるが、中間層の膜厚を1.1μmとした点において、実施例1における超電導薄膜材料と異なる。詳細には、実施例3における超電導薄膜材料の中間層は、種結晶層(第1の層)の厚みを0.1μm、拡散防止層(第2の層)の厚みを0.9μm、格子整合層(第3の層)の厚みを0.1μmとした。
【0048】
(比較例1:超電導薄膜材料)
比較例1における超電導薄膜材料は、基本的には実施例1と同様の構成を備えるが、中間層の膜厚を0.2μmとした点において、実施例1における超電導薄膜材料と異なる。詳細には、比較例1における超電導薄膜材料の中間層は、種結晶層(第1の層)の厚みを0.1μm、拡散防止層(第2の層)の厚みを0μm、格子整合層(第3の層)の厚みを0.1μmとした。
【0049】
(比較例2:超電導薄膜材料)
比較例2における超電導薄膜材料は、基本的には実施例1と同様の構成を備えるが、中間層の膜厚を0.3μmとした点において、実施例1における超電導薄膜材料と異なる。詳細には、比較例2における超電導薄膜材料の中間層は、種結晶層(第1の層)の厚みを0.1μm、拡散防止層(第2の層)の厚みを0.1μm、格子整合層(第3の層)の厚みを0.1μmとした。
【0050】
(測定結果)
実施例1〜3および比較例1,2の超電導薄膜材料について、上述したように臨界電流値の値を測定した結果を図4に表わす。図4において、横軸は中間層膜厚(単位:μm)、縦軸は超電導層の臨界電流値(単位:A/cm幅)を示している。
【0051】
表1および図4に示すように、中間層の膜厚が0.4μm以上である実施例1〜3における超電導薄膜材料の臨界電流値は128A/cm幅以上となり良好な超電導特性を得ることができた。一方、比較例1,2における超電導薄膜材料は中間層の膜厚が0.4μmよりも薄かったので、超電導層と基板との元素拡散反応が生じてしまい、臨界電流値は悪かった。
【0052】
本発明の実施例によれば、本発明の超電導薄膜材料において、中間層を0.4μm以上とすることにより、超電導層の臨界電流値などの特性を向上できることがわかった。
【0053】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における超電導薄膜材料を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における超電導薄膜材料の別の例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における超電導薄膜材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施例における超電導薄膜材料について臨界電流値を示す図である。
【図5】従来の超電導薄膜材料を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 超電導薄膜材料、11 基板、12 中間層、12a 第1の層、12b 第2の層、12c 第3の層、13 超電導層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された1層または2層以上の中間層と、
前記中間層上に形成された超電導層とを備え、
前記中間層の厚みが0.4μm以上である、超電導薄膜材料。
【請求項2】
前記中間層を構成する材料は、岩塩型、蛍石型、ペロブスカイト型、およびパイロクロア型の少なくともいずれか1つの結晶構造を有する酸化物である、請求項1に記載の超電導薄膜材料。
【請求項3】
前記基板を構成する材料は配向金属であり、
前記中間層を構成する材料がイットリア安定化ジルコニア、酸化セリウム、酸化マグネシウム、およびチタン酸ストロンチウムのうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1または2に記載の超電導薄膜材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の超電導薄膜材料を製造する方法であって、
前記基板を準備する工程と、
前記基板上に1層または2層以上の厚みが0.4μm以上の中間層を形成する工程と、
気相法および液相法の少なくともいずれか一方により、前記中間層上に前記超電導層を形成する工程とを備える、超電導薄膜材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−311194(P2007−311194A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139262(P2006−139262)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超電導応用基盤技術研究開発」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(391004481)財団法人国際超電導産業技術研究センター (144)
【Fターム(参考)】