超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置
【課題】
超音波を用いて配管内の流体の流速を求める場合、超音波の検出位置を正確に求める必要があるが、超音波送受信素子の周波数帯域は狭いため、信号が急速に立ち上がらず、その検出開始位置が不明確となる問題がある。
【解決手段】
流体の流動方向にある角度をもって超音波の送信素子と受信素子を相対して設置し、その超音波伝搬時間から流体の流量を計測する装置および方法において、異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号の超音波を発振する手段と、流体中を伝搬した超音波の第1,第2の周波数成分の位相差を求める手段と、求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算する手段を備え、超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することで流量を求める。
超音波を用いて配管内の流体の流速を求める場合、超音波の検出位置を正確に求める必要があるが、超音波送受信素子の周波数帯域は狭いため、信号が急速に立ち上がらず、その検出開始位置が不明確となる問題がある。
【解決手段】
流体の流動方向にある角度をもって超音波の送信素子と受信素子を相対して設置し、その超音波伝搬時間から流体の流量を計測する装置および方法において、異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号の超音波を発振する手段と、流体中を伝搬した超音波の第1,第2の周波数成分の位相差を求める手段と、求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算する手段を備え、超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することで流量を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて配管内の気体や液体の流体の流速を計測し、計測された流速により流体の流量を検出する超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる気体,液体中の流量検出は、一般産業で広く要求されている技術であり、流量計測の種々の方法が提案されている。例えば、流路にオリフィスを設け、配管内オリフィス前後の圧力差から流量を求める方法や、オリフィスが流体の流動抵抗になることから、オリフィスの代わりに、管路の途中の流れの抵抗が小さくなるように、断面積を絞り、絞り部分と管路部分との圧力差を測定して流量を求めるベンチュリ計、流動方向に先端が開放した細い管を挿入し、この細管と流動配管内面の圧力差から流量を求めるピトー管法,流路に羽根車を設け、その回転数から流量を求める方法がある。
【0003】
又、渦式流量計は、流路においた障害物の後方にカルマン渦を発生させ、その発生周波数から流速を求める方法である。熱式流量計は、流路に発熱体をおき、流体の流速による放散熱量の違いから流量を算出する方法である。
【0004】
これらの方法は、流路に部品を挿入する必要があり、流動抵抗が生じて計測精度が低下する、部品が流体に接触するため、圧力計測用の孔が詰まる、可動部が摩耗する、設置部品が汚損するなどメインテナンス性に課題がある。
【0005】
これに対して、超音波を用いる方法は、可動部がないこと、流体を乱す要素がないことなどの理由で広く使われている。
【0006】
超音波流量計で伝搬時間を精度良く測定する方法として、〔非特許文献1〕に記載のように、ゼロクロス検出法がある。この方法では、設定した閾値を越えた直後の検出信号のゼロ点を検出時刻とするものである。また、ゼロクロス検出の変形法として、〔特許文献1〕に記載のように、設定した閾値を越えた直後の検出信号のゼロクロス点から、設定波長分の時間をさかのぼった位置を信号検出時刻とする方法もある。また、〔非特許文献2〕に記載のように、周波数が異なる二組の超音波送受信素子を用い、同時に伝搬波形を検出して加算し、より検出位置を求めやすくするとした方法もある。
【0007】
以上の方法がある閾値レベルを超えた位置をもとに検出点を求めるのに対し、送信波形を工夫して送信波形と受診波形の相関関係から伝搬時間を求める方法もある。〔非特許文献3〕に記載のものは、送信波形を公知のM系列変調波形とし、受信信号と送信信号との相関を求め、最も相関が良くなる位置から信号の伝搬時間を算出する方法である。
【0008】
又、〔特許文献2〕には、発信波と斜め上流方向に伝播して受信された信号の位相差と、発信波と斜め下流方向に伝播して受信された信号との位相差を測定して、これらの位相差の逆数の差によって、音速に無関係に流速を演算する流速測定方法が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−9893号公報
【特許文献2】特開2000−314742号公報
【非特許文献1】第17回センシングフォーラムシンポジウム「気体用超音波式流量計の開発」
【非特許文献2】第27回計測自動制御連合講演会「2波長式超音波流量計」
【非特許文献3】第8回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集「可聴周波のスペクトラム拡散信号を用いた音波式流量計測」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来技術で、〔非特許文献1〕,〔特許文献1〕に記載の方法は、信号の検出時間精度の問題がある。すなわち、超音波送受素子の応答性が悪いため、立ち上がり時間増加による検出位置のずれが発生するが、〔非特許文献1〕,〔特許文献1〕に記載の従来技術では、検出位置のずれが発生する問題の解決に十分に対応出来ない。つまり、ある閾値レベルを超える以前に伝搬信号は到達しており、これが信号検出時刻の誤差となる。
【0011】
〔非特許文献2〕に記載の方法は、二つの周波数の信号を加算することによりビートが発生し、閾値を越える時刻が信号到達時刻に近づき、検出精度が向上するとしている。しかし、閾値を越える時刻は必ず信号到達時刻よりあとになり、〔非特許文献1〕,〔特許文献1〕の方法と同様、立ち上がり時間増加による検出位置のずれ防止が難しい。また、効果的なビートを発生させるための周波数の選定が課題である。
【0012】
送信信号をM系列変調する〔非特許文献3〕に記載の方法は、閾値レベルを用いた信号検出とは異なり、信号全体の相関を用いる方法である。よく知られているように、M系列変調は0,1のパターンに対応して信号を変調する。〔非特許文献3〕に記載の方法では、正弦波の1波長を符号1と0とで180度異なる位相の信号を用いる。このため、符号1,1、又は符号0,0のように、同じ符号が連続する部分では連続的な正弦波となるが、符号1,0など符号が異なる部分では、位相が108度変わる不連続部分が生じる。この不連続部分で、超音波送受信素子は応答追従できず、波形が乱れる不都合が生じて、送受信波の相関を求める誤差となり、相関から得る検出時刻のずれを生じる問題がある。
【0013】
この応答性低下の問題は、超音波の周波数領域で特に顕著である。〔非特許文献3〕に記載の方法では、超音波ではなく、周波数の低い可聴音波領域を使うことにより、応答性の問題を低減しているが、完全な解決とはならなく、特に超音波領域で問題が大きい。
【0014】
以上に述べたように、従来の技術では、超音波送受信素子の周波数帯域は狭いため、信号が急速に立ち上がらず、その検出開始位置が不明確となる問題がある。
【0015】
又、一般的には超音波は、キャリア周波数が20kHz以上の音響信号のことを言うが、このような周波数を用いた場合、求めたい伝搬時間差の範囲に対して位相が複数回周り、〔特許文献2〕に記載の従来の技術では、流体の流れの影響で受信波形が前後に変動する量が1波長以上となり、位相変化量から伝搬時間差を一意に決定できないことが生じるという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、検出開始位置を精度よく決定でき、超音波の伝搬時間を精度よく求め、精度良く流速,流量を計測できる超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、送信波形を工夫し、送信波形と受診波形との位相関係から伝搬時間を算出できる超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、流体の流動方向に対してある角度をもって超音波の送信素子と受信素子を相対して設置し、その超音波伝播時間から流体の流量を計測するものであって、異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号の超音波を発振する手段と、流体中を伝搬した超音波の第1,第2の周波数成分の位相差を求める手段と、求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算する手段を備え、超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することで流量を求めるものである。
【0019】
また、第1の周波数と第2の周波数の周波数間隔の逆数(即ち周期)が、超音波の送信素子と受信素子の距離と流体の計測流速範囲と流体中の音速から決まる伝搬時間変動範囲より大きくなるように設定するものである。
【0020】
又、設置する超音波の送信素子と受信素子を少なくとも2組使用し、第1の組の超音波送信及び受信素子と第2の組の超音波送信及び受信素子で求めた位相から超音波の伝搬時間を求め、流体の流速演算に用いる流体中の音速を相殺して流量を求めるものである。
【0021】
又、超音波素子で受信する信号を自乗処理し、前記第1の周波数と第2の周波数の差から求める周波数成分をもつ正弦波信号を前記自乗処理結果に乗算する処理で前記第1,第2の周波数の位相差を検出するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、異なる第1の周波数と第2の周波数の位相差φH−φLを用いて算出するため位相が2π以上回転することを低減でき、容易に伝搬時間差を決定できるという効果がある。また、伝搬時間差の変動範囲を1次関数で表せるため、伝搬時間差を一意に決定できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本実施例は、配管などに相対して設置した電気信号を超音波信号に、逆に超音波信号を電気信号に変換する超音波センサ(超音波素子ともいう)を使用し、複数周波数の位相から伝搬時間を算出し、連続的に管内を流れる流体の流量を検出するものである。以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0024】
図1は、超音波流量計の原理を説明する図である。流体の流れ方向、すなわち配管の中心軸と角度θで、配管8に対向させて超音波センサ1,2を設置する。超音波を送信してから受信するまでの時間、すなわち伝搬時間TABは、超音波の伝搬が流れに順方向の場合は数1となる。
【0025】
【数1】
【0026】
図1で、超音波センサ1側から超音波を送信し、超音波センサ2で受信すると数2で示す伝搬時間TBAとなる。
【0027】
【数2】
【0028】
ここで、C0は、流体中の音速である。もし、数1,数2で示される伝搬時間が求まった場合、両式から音速C0を消去することにより、数3で示される流速Vを算出できる。
【0029】
【数3】
【0030】
流速Vを算出することにより、配管の断面積などから流量を換算する。これらの計算過程で分るように、超音波を用いた流量検出では超音波の伝播時間を正確に算出する必要がある。センサ間の伝搬時間を正確に測定するために、予め流速が0のとき、すなわち流体の流れがほぼ止まっている状態での伝搬時間を計測しておき、流体が流れている場合の伝搬時間の変化量から流速Vを算出する方法もある。
【0031】
図2は、超音波信号の検出波形例である。超音波センサの周波数帯域は狭いため、図2に示すように、信号が急速に立ち上がらず、その検出開始位置が不明確となる。検出開始位置の決定が、超音波の伝搬時間を求める上で不可欠である。
【0032】
図3は、本発明の一実施例の流量計測装置の構成図である。図3に示すように、配管8に角度θで相対するように超音波センサ1,2が設置されている。超音波センサ1には信号発生器3が、超音波センサ2には信号処理装置4が、それぞれ接続されている。信号発生器3から出力する電気信号は、超音波センサ1で超音波信号7に変換され、配管8内の流体を伝搬して超音波センサ2に到達し、超音波センサ2で再び電気信号に変換されて信号処理装置4に送信される。
【0033】
信号処理装置4では、信号処理を行い、信号処理結果を用いて信号処理装置4に接続された演算器5で演算をすることにより流量測定結果を出力する。
【0034】
信号発生器3は、図4に示すように、超音波センサ1の電気信号と超音波信号の変換効率が良い帯域における2つの異なる周波数fL,fHの正弦波又は余弦波信号の合成または加算した波形を出力する。
【0035】
図4は、超音波センサ1,2の周波数特性例を示しているが、電気信号と超音波信号の変換効率が良い帯域は、レベルの高い、周波数aから周波数bまでの領域であり、fL,fHは数4の関係で決定され、信号発生器3が出力する送信信号は数5で表される。
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
ここで、sは信号発生器の出力信号、A1,A2は振幅である。なお、位相成分の表記は省略している。
【0039】
送信信号は、波形データとして予め信号発生器3のメモリに保存しており、図示しないクロック信号にしたがってメモリから順次読み出し、図示しないD/A(デジタル−アナログ)変換器から出力する。或いは、fL,fHの正弦波信号をデジタル,アナログいずれかの方式で生成し、加算,合成して送信信号としても良い。
【0040】
送信信号は、測定する期間だけ間欠的に出力しても良く、継続的に出力するCW信号(Continuous Waveの略で継続信号)としてもよい。
【0041】
信号処理装置4では、受信信号の位相情報、もしくは位相変化量の情報を検出する。好適には、フーリエ変換処理して周波数fL,fHの位相情報を取得する。この場合には、該当する周波数のI(In-phase)成分とQ(Quadrature-phase)成分の逆正接を求める。
【0042】
又は、図5に示す回路を用いてもよい。図5に示す回路は、入力信号に乗算する4つの乗算器9と、2つの乗算器9間に設けられた信号発生器10及び移相器12と、2つの乗算器9のそれぞれに接続された2つのフィルタ13と、2つのフィルタ13に接続された逆正接演算器15と、2つの乗算器9間に設けられた信号発生器11及び移相器12と、2つの乗算器9のそれぞれに接続された2つのフィルタ14と、2つのフィルタ14に接続された逆正接演算器15と、2つの逆正接演算器15に接続された減算器16で構成される。
【0043】
図5に示す回路では、超音波センサ1,2で電気信号に変換された受信信号は、信号発生器10,11で発生させる発信周波数がfL、またはfHの信号(ローカル信号)と乗算され、フィルタ13,14により、直流成分を抽出するローパスフィルタ処理されて出力されるI,Q成分の逆正接を逆正接演算器15でそれぞれ計算する。
【0044】
本実施例では、周波数fHの位相情報φHとfLの位相情報φLの差の情報を用いて伝搬時間を求めているため、フーリエ変換方法でも、図5に示した回路による方法でも最終的に減算器16を用いて、φH−φLで表すことができる位相変化量を算出することができる。なお、移相変化量は、φL−φHとしてもよい。
【0045】
演算器5の処理について説明する。図6は、位相変化量φH−φLの例を示した図である。
【0046】
流速が0のときの位相を基準移相にとり、位相0としている。図6から分るように、伝搬時間差と位相変化量が1対1で対応しているため、位相変化量を測定すれば、伝搬時間差を求めることができる。図6で示されるように、複数の不連続箇所があるが、これはφH−φL≧πの場合は−πを、φH−φL≦−πの場合はπをφH−φLに加算する操作を行うことにより、図7に示すように直線となり、位相変化量と伝搬時間差間の線形変換が行える。すなわち、流速0を基準とし、位相変化と伝搬時間変化が相互に変換できる。
【0047】
なお、図6,図7に示す例では、流速0のときを位相0としているが、必ずしもそのようにする必要はなく、予め流速0のときの位相φiを測定しておき、φH−φLの計算時にφiを差し引くようにしてもよい。
【0048】
伝搬時間差は数6で求めることができる。
【0049】
【数6】
【0050】
演算器5において、流速Vを例えば数7を用いることで算出する。なお、演算器5は、信号処理装置4に含めてもよい。
【0051】
【数7】
【0052】
ここで、数7は、順方向の場合の数式であるが、逆方向の場合も同様にして算出できる。音速C0は、概ね温度に依存するため、別途温度センサを用いて測定した結果から設定することができる。
【0053】
異なる2つの周波数fL,fHの関係は、伝搬時間差の変動範囲を±Δtとすると、数8を満たすように設定される。
【0054】
【数8】
【0055】
なお、トリガ6は、信号送信タイミングをコントロールし、信号処理装置4への送信開始タイミングを制御している。又、図示していない別の手段により、信号発生器3と信号処理装置4を共通のクロックで動作させるようにする。いずれの場合でも、フーリエ変換区間ずれや信号発生器3と信号処理装置4のローカル信号との位相ずれによる測定精度低下を回避することができる。
【0056】
このように、配管などに相対して設置した超音波送信素子と受信素子とを一組以上使用し、超音波の伝搬時間から、連続的に管内を流れる流体の流量を検出する。又、可動部がないこと、流体を乱す要素がないことなど、超音波を使う測定法の有利性を十分に発揮できる効果がある。また、閾値を設けた信号到達時刻検出と異なり、複数周波数の位相差から伝搬時間を算出するため、超音波放射から検出までの伝搬時間を精度良く求めることができ、流量を精度良く検出できる効果がある。
【0057】
本実施例によれば、超音波信号の定常状態の信号区間の位相差を検出して流量を測定するため、立ち上がりが不明確な超音波センサを用いても正確に測定できる。
【0058】
又、一般的には超音波は、キャリア周波数が20kHz以上の音響信号のことを言うが、このような周波数を用いた場合、求めたい伝搬時間差の範囲に対して位相が複数回周り、すなわち、流体の流れの影響で受信波形が前後に変動する量が1波長以上となり、位相変化量から伝搬時間差を一意に決定できないことが生じる。図8はφHの位相変化量を示しているが、測定範囲に対して複数回位相が回転して位相変化量を算出しても伝搬時間差を一意に決定できないことが分る。
【0059】
本実施例では、φH−φLを用いて算出するため位相が2π以上回転することを低減でき、容易に伝搬時間差を決定できるという効果がある。また、数8で示した関係を満たす周波数の超音波信号を用いることで、伝搬時間差の変動範囲は、図7に示すような1次関数で表せるため、伝搬時間差を一意に決定できるという効果がある。
【0060】
送信にCW信号を用い、図5に示したローカル信号を乗算する方法を用いることにより、連続的に結果を出力できるため、測定間隔、すなわち流量計測結果の出力間隔を短縮でき、流量変動の激しい場合でも精度良く測定できるという効果がある。
【0061】
図11は、超音波センサ1から送信した超音波信号を超音波センサ2で受信した場合の受信信号波形例を示す図であるが、信号発生器3の出力信号を過渡状態より長い時間出力し位相検出に定常状態区間を用いることで、測定精度をさらに向上できる効果がある。
【0062】
図9は本発明の他の実施例の流量計測装置の構成図である。図9に示すように、本実施例では、相対する超音波センサ1,2と交差するように、相対する超音波センサ17,18を設置しており、超音波センサ17には信号発生器20が、超音波センサ18には信号処理装置44が接続されている。すなわち、配管8には、流体の流れ方向に対して順方向及び逆方向に超音波信号7,19を出力する2組の超音波センサ1,2,17,18を備え、送信側の超音波センサ1,17にはそれぞれ信号発生器3,20を接続している。信号処理装置4,44は、演算器21に接続されている。
【0063】
図3で示した実施例と同様に、異なる周波数fL,fHとなる正弦波または余弦波信号の合成または加算した波形を出力する。
【0064】
信号発生器3,20と信号処理装置4はトリガ6や図示しないクロックで処理を同期させる。超音波センサ1では順方向を測定するための超音波信号7を出力し、一方、超音波センサ17では逆方向を測定するための超音波信号19を出力する。超音波センサ2で受信した順方向を測定するための超音波信号7を信号処理装置4で信号処理し、超音波センサ18で受信した逆方向を測定する超音波信号19は信号処理装置44で信号処理する。
【0065】
信号処理は図3で示す実施例と同様に、フーリエ変換処理やfL,fHと同一の周波数のローカル信号を乗算する方法で位相を検出する。演算器21では、これらの位相情報から伝播時間差を算出して、流量を求める。
【0066】
ここで、順方向の測定で求まる伝搬時間差をΔtf、逆方向で求まる伝搬時間差をΔtr、順方向,逆方向における流速0での伝搬時間をそれぞれTf,Trとすると、流速Vは数9で求めることができる。
【0067】
【数9】
【0068】
本実施例では、このような構成とすることで、次のような効果がある。順方向と逆方向の測定を行うことで、その結果から音速C0に依存しない数9を用いて流速を算出できるため、流体内の音速が温度依存性などで変動する場合でも正確に流速を求めることができ、流量計測の精度向上が図れる。
【0069】
又、超音波センサが1組しかない場合は、図11に示すように、さらなる精度向上のためには、超音波センサの応答が定常状態になるまでにある程度の時間を要するため、1組の超音波センサで順方向,逆方向を計測すると、1ms以上、場合によっては10〜100ms以上の時間がかかり、応答性向上が難しい。送信信号にCW信号を用いる場合は、順方向と逆方向の超音波信号を1つの超音波センサから同時に出力する必要があるが、これは実際には困難である。これに対し、本実施例では順方向,逆方向のそれぞれに異なる超音波センサを用いて送信,受信するため、図11に示した特性の信号やCW信号であっても問題なく測定可能で測定応答性も向上できる効果がある。
【0070】
なお、図10に示す例では、信号発生器3,20を2台用いているが、これを順方向用と逆方向用で兼用して1台で実現しても良い。これは、信号発生器3からの出力信号を超音波センサ1,17に分配すれことにより実現可能であり、同様の効果が得られる。
【0071】
図10は、他の回路の例を示す構成図であり、信号処理装置において自乗処理して位相差を検出する処理を示す回路図である。
【0072】
信号処理装置の他の機器は、図3及び図9で示した実施例と同様に構成されている。信号処理装置50は、信号を入力して自乗する自乗演算器22と、自乗演算器22に接続されたフィルタ23と、フィルタ23に接続された2つの乗算器9と、2つの乗算器9間に設けられた信号発生器27及び移相器12と、信号発生器27に接続される移相調整器26と、信号発生器27及び信号発生器3に接続され、送信用の信号発生器3及び信号発生器3にクロック信号を送信するクロック28と、2つの乗算器9のそれぞれに接続されるフィルタ25と、2つのフィルタ25に接続される逆正接演算器15で構成される。
【0073】
位相調整器26は、信号発生器27から出力する信号の位相を変更する装置であり、クロック28は、送信用の信号発生器3と信号処理装置50の信号発生器27の出力周波数の関係が設定された逓倍あるいは分周状態を維持するために備えるものである。
【0074】
超音波センサ2で受信した超音波信号7は、電気信号として信号処理装置50に送信される。信号処理装置50では、受信した電気信号を自乗演算器22にて自乗する。フィルタ23では、少なくともfL,fH以上の信号成分を抑圧あるいは除去する。その後、信号発生器27にて生成するΔf=fH−fLとなる周波数の正弦波信号とフィルタ23の出力信号とを乗算器9で乗算し、フィルタ25にて直流成分を抽出するローパスフィルタ処理を行う。
【0075】
フィルタ25出力であるI成分,Q成分の逆正接(arctan)を逆正接演算器15で計算してφH−φLを得る。この結果から伝搬時間差Δtを算出し、演算器5,21にて流速Vや流量を計算する。
【0076】
【数10】
【0077】
信号処理装置50の入力信号である超音波センサ2の受信信号は、数11で表せる。ここで、rは受信信号、B1,B2は信号振幅である。
【0078】
【数11】
【0079】
受信信号を自乗処理すると、数11のようになり、直流、2fH,2fL,fH+fL,fH−fLの周波数成分からなる信号となる。この信号に対してフィルタ23処理で、直流、2fH,2fL,fH+fLの周波数を除去する。直流は、バイアス除去処理しても良い。
【0080】
フィルタ23の出力に対して、周波数Δfとなる正弦波信号(cosまたはsin)を乗算すると、数12のように直流、2Δfの信号成分からなる信号になる。M_outは乗算器9の出力である。
【0081】
【数12】
【0082】
フィルタ25で直流成分を抽出し、I成分とする。また、Q成分についても同様に算出する。算出されたI成分とQ成分を用いて、逆正接を演算することにより、φH−φLを得ることができる。
【0083】
本実施例によれば、図5に示した実施例と比較して、信号処理装置50に用いる信号発生器やフィルタ,逆正接演算器の数を削減できるため、ハードウェアを簡素化,小型化でき、コスト低減できるという効果がある。又、連続的に結果を出力できるため、測定間隔(流量計測結果の出力間隔)を短縮でき、流量変動の激しい場合でも精度良く測定できるという効果がある。その結果、オンライン計測が可能であり、比較的制御周期の早い、プラント,自動車などへも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
上述した各実施例によれば、超音波を用いて配管内を流れる気体,液体中の流量を精度良く検出する、流量計測方法および装置を提供できる。従来の課題であった、超音波センサの周波数帯域が狭く、信号が急速に立ち上がらないため、検出開始位置が不明確となる問題を解決でき、広く一般産業で要求される重要なプロセス量である配管内を流れる気体,液体中の流量を精度良く検出でき、工業製品の生産,品質確保の観点から極めて効果の大きい方法,装置である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】超音波流量計の原理を説明する図である。
【図2】超音波流量計の超音波検出信号波形の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例である流量計測装置の構成図である。
【図4】超音波センサの周波数特性を説明する図である。
【図5】本実施例における信号処理装置の構成図である。
【図6】伝搬時間差と移相変化量との関係を示す図である。
【図7】条件判定処理をした場合の伝搬時間差と移相変化量との関係を示す図である。
【図8】fLやfHにおける位相変化量の例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例である流量計測装置の構成図である。
【図10】本実施例における信号処理装置の構成図である。
【図11】超音波センサの受信信号の過渡状態と定常状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
1,2,17,18 超音波センサ
3,10,11,20,27 信号発生器
4,44,50 信号処理装置
5,21 演算器
6 トリガ
7,19 超音波信号
8 配管
9 乗算器
12 移相器
13,14,23,25 フィルタ
15 逆正接演算器
16 減算器
26 位相調整器
28 クロック
29 超音波センサ受信信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて配管内の気体や液体の流体の流速を計測し、計測された流速により流体の流量を検出する超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる気体,液体中の流量検出は、一般産業で広く要求されている技術であり、流量計測の種々の方法が提案されている。例えば、流路にオリフィスを設け、配管内オリフィス前後の圧力差から流量を求める方法や、オリフィスが流体の流動抵抗になることから、オリフィスの代わりに、管路の途中の流れの抵抗が小さくなるように、断面積を絞り、絞り部分と管路部分との圧力差を測定して流量を求めるベンチュリ計、流動方向に先端が開放した細い管を挿入し、この細管と流動配管内面の圧力差から流量を求めるピトー管法,流路に羽根車を設け、その回転数から流量を求める方法がある。
【0003】
又、渦式流量計は、流路においた障害物の後方にカルマン渦を発生させ、その発生周波数から流速を求める方法である。熱式流量計は、流路に発熱体をおき、流体の流速による放散熱量の違いから流量を算出する方法である。
【0004】
これらの方法は、流路に部品を挿入する必要があり、流動抵抗が生じて計測精度が低下する、部品が流体に接触するため、圧力計測用の孔が詰まる、可動部が摩耗する、設置部品が汚損するなどメインテナンス性に課題がある。
【0005】
これに対して、超音波を用いる方法は、可動部がないこと、流体を乱す要素がないことなどの理由で広く使われている。
【0006】
超音波流量計で伝搬時間を精度良く測定する方法として、〔非特許文献1〕に記載のように、ゼロクロス検出法がある。この方法では、設定した閾値を越えた直後の検出信号のゼロ点を検出時刻とするものである。また、ゼロクロス検出の変形法として、〔特許文献1〕に記載のように、設定した閾値を越えた直後の検出信号のゼロクロス点から、設定波長分の時間をさかのぼった位置を信号検出時刻とする方法もある。また、〔非特許文献2〕に記載のように、周波数が異なる二組の超音波送受信素子を用い、同時に伝搬波形を検出して加算し、より検出位置を求めやすくするとした方法もある。
【0007】
以上の方法がある閾値レベルを超えた位置をもとに検出点を求めるのに対し、送信波形を工夫して送信波形と受診波形の相関関係から伝搬時間を求める方法もある。〔非特許文献3〕に記載のものは、送信波形を公知のM系列変調波形とし、受信信号と送信信号との相関を求め、最も相関が良くなる位置から信号の伝搬時間を算出する方法である。
【0008】
又、〔特許文献2〕には、発信波と斜め上流方向に伝播して受信された信号の位相差と、発信波と斜め下流方向に伝播して受信された信号との位相差を測定して、これらの位相差の逆数の差によって、音速に無関係に流速を演算する流速測定方法が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−9893号公報
【特許文献2】特開2000−314742号公報
【非特許文献1】第17回センシングフォーラムシンポジウム「気体用超音波式流量計の開発」
【非特許文献2】第27回計測自動制御連合講演会「2波長式超音波流量計」
【非特許文献3】第8回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集「可聴周波のスペクトラム拡散信号を用いた音波式流量計測」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来技術で、〔非特許文献1〕,〔特許文献1〕に記載の方法は、信号の検出時間精度の問題がある。すなわち、超音波送受素子の応答性が悪いため、立ち上がり時間増加による検出位置のずれが発生するが、〔非特許文献1〕,〔特許文献1〕に記載の従来技術では、検出位置のずれが発生する問題の解決に十分に対応出来ない。つまり、ある閾値レベルを超える以前に伝搬信号は到達しており、これが信号検出時刻の誤差となる。
【0011】
〔非特許文献2〕に記載の方法は、二つの周波数の信号を加算することによりビートが発生し、閾値を越える時刻が信号到達時刻に近づき、検出精度が向上するとしている。しかし、閾値を越える時刻は必ず信号到達時刻よりあとになり、〔非特許文献1〕,〔特許文献1〕の方法と同様、立ち上がり時間増加による検出位置のずれ防止が難しい。また、効果的なビートを発生させるための周波数の選定が課題である。
【0012】
送信信号をM系列変調する〔非特許文献3〕に記載の方法は、閾値レベルを用いた信号検出とは異なり、信号全体の相関を用いる方法である。よく知られているように、M系列変調は0,1のパターンに対応して信号を変調する。〔非特許文献3〕に記載の方法では、正弦波の1波長を符号1と0とで180度異なる位相の信号を用いる。このため、符号1,1、又は符号0,0のように、同じ符号が連続する部分では連続的な正弦波となるが、符号1,0など符号が異なる部分では、位相が108度変わる不連続部分が生じる。この不連続部分で、超音波送受信素子は応答追従できず、波形が乱れる不都合が生じて、送受信波の相関を求める誤差となり、相関から得る検出時刻のずれを生じる問題がある。
【0013】
この応答性低下の問題は、超音波の周波数領域で特に顕著である。〔非特許文献3〕に記載の方法では、超音波ではなく、周波数の低い可聴音波領域を使うことにより、応答性の問題を低減しているが、完全な解決とはならなく、特に超音波領域で問題が大きい。
【0014】
以上に述べたように、従来の技術では、超音波送受信素子の周波数帯域は狭いため、信号が急速に立ち上がらず、その検出開始位置が不明確となる問題がある。
【0015】
又、一般的には超音波は、キャリア周波数が20kHz以上の音響信号のことを言うが、このような周波数を用いた場合、求めたい伝搬時間差の範囲に対して位相が複数回周り、〔特許文献2〕に記載の従来の技術では、流体の流れの影響で受信波形が前後に変動する量が1波長以上となり、位相変化量から伝搬時間差を一意に決定できないことが生じるという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、検出開始位置を精度よく決定でき、超音波の伝搬時間を精度よく求め、精度良く流速,流量を計測できる超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、送信波形を工夫し、送信波形と受診波形との位相関係から伝搬時間を算出できる超音波を用いた流量計測方法および流量計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、流体の流動方向に対してある角度をもって超音波の送信素子と受信素子を相対して設置し、その超音波伝播時間から流体の流量を計測するものであって、異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号の超音波を発振する手段と、流体中を伝搬した超音波の第1,第2の周波数成分の位相差を求める手段と、求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算する手段を備え、超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することで流量を求めるものである。
【0019】
また、第1の周波数と第2の周波数の周波数間隔の逆数(即ち周期)が、超音波の送信素子と受信素子の距離と流体の計測流速範囲と流体中の音速から決まる伝搬時間変動範囲より大きくなるように設定するものである。
【0020】
又、設置する超音波の送信素子と受信素子を少なくとも2組使用し、第1の組の超音波送信及び受信素子と第2の組の超音波送信及び受信素子で求めた位相から超音波の伝搬時間を求め、流体の流速演算に用いる流体中の音速を相殺して流量を求めるものである。
【0021】
又、超音波素子で受信する信号を自乗処理し、前記第1の周波数と第2の周波数の差から求める周波数成分をもつ正弦波信号を前記自乗処理結果に乗算する処理で前記第1,第2の周波数の位相差を検出するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、異なる第1の周波数と第2の周波数の位相差φH−φLを用いて算出するため位相が2π以上回転することを低減でき、容易に伝搬時間差を決定できるという効果がある。また、伝搬時間差の変動範囲を1次関数で表せるため、伝搬時間差を一意に決定できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本実施例は、配管などに相対して設置した電気信号を超音波信号に、逆に超音波信号を電気信号に変換する超音波センサ(超音波素子ともいう)を使用し、複数周波数の位相から伝搬時間を算出し、連続的に管内を流れる流体の流量を検出するものである。以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0024】
図1は、超音波流量計の原理を説明する図である。流体の流れ方向、すなわち配管の中心軸と角度θで、配管8に対向させて超音波センサ1,2を設置する。超音波を送信してから受信するまでの時間、すなわち伝搬時間TABは、超音波の伝搬が流れに順方向の場合は数1となる。
【0025】
【数1】
【0026】
図1で、超音波センサ1側から超音波を送信し、超音波センサ2で受信すると数2で示す伝搬時間TBAとなる。
【0027】
【数2】
【0028】
ここで、C0は、流体中の音速である。もし、数1,数2で示される伝搬時間が求まった場合、両式から音速C0を消去することにより、数3で示される流速Vを算出できる。
【0029】
【数3】
【0030】
流速Vを算出することにより、配管の断面積などから流量を換算する。これらの計算過程で分るように、超音波を用いた流量検出では超音波の伝播時間を正確に算出する必要がある。センサ間の伝搬時間を正確に測定するために、予め流速が0のとき、すなわち流体の流れがほぼ止まっている状態での伝搬時間を計測しておき、流体が流れている場合の伝搬時間の変化量から流速Vを算出する方法もある。
【0031】
図2は、超音波信号の検出波形例である。超音波センサの周波数帯域は狭いため、図2に示すように、信号が急速に立ち上がらず、その検出開始位置が不明確となる。検出開始位置の決定が、超音波の伝搬時間を求める上で不可欠である。
【0032】
図3は、本発明の一実施例の流量計測装置の構成図である。図3に示すように、配管8に角度θで相対するように超音波センサ1,2が設置されている。超音波センサ1には信号発生器3が、超音波センサ2には信号処理装置4が、それぞれ接続されている。信号発生器3から出力する電気信号は、超音波センサ1で超音波信号7に変換され、配管8内の流体を伝搬して超音波センサ2に到達し、超音波センサ2で再び電気信号に変換されて信号処理装置4に送信される。
【0033】
信号処理装置4では、信号処理を行い、信号処理結果を用いて信号処理装置4に接続された演算器5で演算をすることにより流量測定結果を出力する。
【0034】
信号発生器3は、図4に示すように、超音波センサ1の電気信号と超音波信号の変換効率が良い帯域における2つの異なる周波数fL,fHの正弦波又は余弦波信号の合成または加算した波形を出力する。
【0035】
図4は、超音波センサ1,2の周波数特性例を示しているが、電気信号と超音波信号の変換効率が良い帯域は、レベルの高い、周波数aから周波数bまでの領域であり、fL,fHは数4の関係で決定され、信号発生器3が出力する送信信号は数5で表される。
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
ここで、sは信号発生器の出力信号、A1,A2は振幅である。なお、位相成分の表記は省略している。
【0039】
送信信号は、波形データとして予め信号発生器3のメモリに保存しており、図示しないクロック信号にしたがってメモリから順次読み出し、図示しないD/A(デジタル−アナログ)変換器から出力する。或いは、fL,fHの正弦波信号をデジタル,アナログいずれかの方式で生成し、加算,合成して送信信号としても良い。
【0040】
送信信号は、測定する期間だけ間欠的に出力しても良く、継続的に出力するCW信号(Continuous Waveの略で継続信号)としてもよい。
【0041】
信号処理装置4では、受信信号の位相情報、もしくは位相変化量の情報を検出する。好適には、フーリエ変換処理して周波数fL,fHの位相情報を取得する。この場合には、該当する周波数のI(In-phase)成分とQ(Quadrature-phase)成分の逆正接を求める。
【0042】
又は、図5に示す回路を用いてもよい。図5に示す回路は、入力信号に乗算する4つの乗算器9と、2つの乗算器9間に設けられた信号発生器10及び移相器12と、2つの乗算器9のそれぞれに接続された2つのフィルタ13と、2つのフィルタ13に接続された逆正接演算器15と、2つの乗算器9間に設けられた信号発生器11及び移相器12と、2つの乗算器9のそれぞれに接続された2つのフィルタ14と、2つのフィルタ14に接続された逆正接演算器15と、2つの逆正接演算器15に接続された減算器16で構成される。
【0043】
図5に示す回路では、超音波センサ1,2で電気信号に変換された受信信号は、信号発生器10,11で発生させる発信周波数がfL、またはfHの信号(ローカル信号)と乗算され、フィルタ13,14により、直流成分を抽出するローパスフィルタ処理されて出力されるI,Q成分の逆正接を逆正接演算器15でそれぞれ計算する。
【0044】
本実施例では、周波数fHの位相情報φHとfLの位相情報φLの差の情報を用いて伝搬時間を求めているため、フーリエ変換方法でも、図5に示した回路による方法でも最終的に減算器16を用いて、φH−φLで表すことができる位相変化量を算出することができる。なお、移相変化量は、φL−φHとしてもよい。
【0045】
演算器5の処理について説明する。図6は、位相変化量φH−φLの例を示した図である。
【0046】
流速が0のときの位相を基準移相にとり、位相0としている。図6から分るように、伝搬時間差と位相変化量が1対1で対応しているため、位相変化量を測定すれば、伝搬時間差を求めることができる。図6で示されるように、複数の不連続箇所があるが、これはφH−φL≧πの場合は−πを、φH−φL≦−πの場合はπをφH−φLに加算する操作を行うことにより、図7に示すように直線となり、位相変化量と伝搬時間差間の線形変換が行える。すなわち、流速0を基準とし、位相変化と伝搬時間変化が相互に変換できる。
【0047】
なお、図6,図7に示す例では、流速0のときを位相0としているが、必ずしもそのようにする必要はなく、予め流速0のときの位相φiを測定しておき、φH−φLの計算時にφiを差し引くようにしてもよい。
【0048】
伝搬時間差は数6で求めることができる。
【0049】
【数6】
【0050】
演算器5において、流速Vを例えば数7を用いることで算出する。なお、演算器5は、信号処理装置4に含めてもよい。
【0051】
【数7】
【0052】
ここで、数7は、順方向の場合の数式であるが、逆方向の場合も同様にして算出できる。音速C0は、概ね温度に依存するため、別途温度センサを用いて測定した結果から設定することができる。
【0053】
異なる2つの周波数fL,fHの関係は、伝搬時間差の変動範囲を±Δtとすると、数8を満たすように設定される。
【0054】
【数8】
【0055】
なお、トリガ6は、信号送信タイミングをコントロールし、信号処理装置4への送信開始タイミングを制御している。又、図示していない別の手段により、信号発生器3と信号処理装置4を共通のクロックで動作させるようにする。いずれの場合でも、フーリエ変換区間ずれや信号発生器3と信号処理装置4のローカル信号との位相ずれによる測定精度低下を回避することができる。
【0056】
このように、配管などに相対して設置した超音波送信素子と受信素子とを一組以上使用し、超音波の伝搬時間から、連続的に管内を流れる流体の流量を検出する。又、可動部がないこと、流体を乱す要素がないことなど、超音波を使う測定法の有利性を十分に発揮できる効果がある。また、閾値を設けた信号到達時刻検出と異なり、複数周波数の位相差から伝搬時間を算出するため、超音波放射から検出までの伝搬時間を精度良く求めることができ、流量を精度良く検出できる効果がある。
【0057】
本実施例によれば、超音波信号の定常状態の信号区間の位相差を検出して流量を測定するため、立ち上がりが不明確な超音波センサを用いても正確に測定できる。
【0058】
又、一般的には超音波は、キャリア周波数が20kHz以上の音響信号のことを言うが、このような周波数を用いた場合、求めたい伝搬時間差の範囲に対して位相が複数回周り、すなわち、流体の流れの影響で受信波形が前後に変動する量が1波長以上となり、位相変化量から伝搬時間差を一意に決定できないことが生じる。図8はφHの位相変化量を示しているが、測定範囲に対して複数回位相が回転して位相変化量を算出しても伝搬時間差を一意に決定できないことが分る。
【0059】
本実施例では、φH−φLを用いて算出するため位相が2π以上回転することを低減でき、容易に伝搬時間差を決定できるという効果がある。また、数8で示した関係を満たす周波数の超音波信号を用いることで、伝搬時間差の変動範囲は、図7に示すような1次関数で表せるため、伝搬時間差を一意に決定できるという効果がある。
【0060】
送信にCW信号を用い、図5に示したローカル信号を乗算する方法を用いることにより、連続的に結果を出力できるため、測定間隔、すなわち流量計測結果の出力間隔を短縮でき、流量変動の激しい場合でも精度良く測定できるという効果がある。
【0061】
図11は、超音波センサ1から送信した超音波信号を超音波センサ2で受信した場合の受信信号波形例を示す図であるが、信号発生器3の出力信号を過渡状態より長い時間出力し位相検出に定常状態区間を用いることで、測定精度をさらに向上できる効果がある。
【0062】
図9は本発明の他の実施例の流量計測装置の構成図である。図9に示すように、本実施例では、相対する超音波センサ1,2と交差するように、相対する超音波センサ17,18を設置しており、超音波センサ17には信号発生器20が、超音波センサ18には信号処理装置44が接続されている。すなわち、配管8には、流体の流れ方向に対して順方向及び逆方向に超音波信号7,19を出力する2組の超音波センサ1,2,17,18を備え、送信側の超音波センサ1,17にはそれぞれ信号発生器3,20を接続している。信号処理装置4,44は、演算器21に接続されている。
【0063】
図3で示した実施例と同様に、異なる周波数fL,fHとなる正弦波または余弦波信号の合成または加算した波形を出力する。
【0064】
信号発生器3,20と信号処理装置4はトリガ6や図示しないクロックで処理を同期させる。超音波センサ1では順方向を測定するための超音波信号7を出力し、一方、超音波センサ17では逆方向を測定するための超音波信号19を出力する。超音波センサ2で受信した順方向を測定するための超音波信号7を信号処理装置4で信号処理し、超音波センサ18で受信した逆方向を測定する超音波信号19は信号処理装置44で信号処理する。
【0065】
信号処理は図3で示す実施例と同様に、フーリエ変換処理やfL,fHと同一の周波数のローカル信号を乗算する方法で位相を検出する。演算器21では、これらの位相情報から伝播時間差を算出して、流量を求める。
【0066】
ここで、順方向の測定で求まる伝搬時間差をΔtf、逆方向で求まる伝搬時間差をΔtr、順方向,逆方向における流速0での伝搬時間をそれぞれTf,Trとすると、流速Vは数9で求めることができる。
【0067】
【数9】
【0068】
本実施例では、このような構成とすることで、次のような効果がある。順方向と逆方向の測定を行うことで、その結果から音速C0に依存しない数9を用いて流速を算出できるため、流体内の音速が温度依存性などで変動する場合でも正確に流速を求めることができ、流量計測の精度向上が図れる。
【0069】
又、超音波センサが1組しかない場合は、図11に示すように、さらなる精度向上のためには、超音波センサの応答が定常状態になるまでにある程度の時間を要するため、1組の超音波センサで順方向,逆方向を計測すると、1ms以上、場合によっては10〜100ms以上の時間がかかり、応答性向上が難しい。送信信号にCW信号を用いる場合は、順方向と逆方向の超音波信号を1つの超音波センサから同時に出力する必要があるが、これは実際には困難である。これに対し、本実施例では順方向,逆方向のそれぞれに異なる超音波センサを用いて送信,受信するため、図11に示した特性の信号やCW信号であっても問題なく測定可能で測定応答性も向上できる効果がある。
【0070】
なお、図10に示す例では、信号発生器3,20を2台用いているが、これを順方向用と逆方向用で兼用して1台で実現しても良い。これは、信号発生器3からの出力信号を超音波センサ1,17に分配すれことにより実現可能であり、同様の効果が得られる。
【0071】
図10は、他の回路の例を示す構成図であり、信号処理装置において自乗処理して位相差を検出する処理を示す回路図である。
【0072】
信号処理装置の他の機器は、図3及び図9で示した実施例と同様に構成されている。信号処理装置50は、信号を入力して自乗する自乗演算器22と、自乗演算器22に接続されたフィルタ23と、フィルタ23に接続された2つの乗算器9と、2つの乗算器9間に設けられた信号発生器27及び移相器12と、信号発生器27に接続される移相調整器26と、信号発生器27及び信号発生器3に接続され、送信用の信号発生器3及び信号発生器3にクロック信号を送信するクロック28と、2つの乗算器9のそれぞれに接続されるフィルタ25と、2つのフィルタ25に接続される逆正接演算器15で構成される。
【0073】
位相調整器26は、信号発生器27から出力する信号の位相を変更する装置であり、クロック28は、送信用の信号発生器3と信号処理装置50の信号発生器27の出力周波数の関係が設定された逓倍あるいは分周状態を維持するために備えるものである。
【0074】
超音波センサ2で受信した超音波信号7は、電気信号として信号処理装置50に送信される。信号処理装置50では、受信した電気信号を自乗演算器22にて自乗する。フィルタ23では、少なくともfL,fH以上の信号成分を抑圧あるいは除去する。その後、信号発生器27にて生成するΔf=fH−fLとなる周波数の正弦波信号とフィルタ23の出力信号とを乗算器9で乗算し、フィルタ25にて直流成分を抽出するローパスフィルタ処理を行う。
【0075】
フィルタ25出力であるI成分,Q成分の逆正接(arctan)を逆正接演算器15で計算してφH−φLを得る。この結果から伝搬時間差Δtを算出し、演算器5,21にて流速Vや流量を計算する。
【0076】
【数10】
【0077】
信号処理装置50の入力信号である超音波センサ2の受信信号は、数11で表せる。ここで、rは受信信号、B1,B2は信号振幅である。
【0078】
【数11】
【0079】
受信信号を自乗処理すると、数11のようになり、直流、2fH,2fL,fH+fL,fH−fLの周波数成分からなる信号となる。この信号に対してフィルタ23処理で、直流、2fH,2fL,fH+fLの周波数を除去する。直流は、バイアス除去処理しても良い。
【0080】
フィルタ23の出力に対して、周波数Δfとなる正弦波信号(cosまたはsin)を乗算すると、数12のように直流、2Δfの信号成分からなる信号になる。M_outは乗算器9の出力である。
【0081】
【数12】
【0082】
フィルタ25で直流成分を抽出し、I成分とする。また、Q成分についても同様に算出する。算出されたI成分とQ成分を用いて、逆正接を演算することにより、φH−φLを得ることができる。
【0083】
本実施例によれば、図5に示した実施例と比較して、信号処理装置50に用いる信号発生器やフィルタ,逆正接演算器の数を削減できるため、ハードウェアを簡素化,小型化でき、コスト低減できるという効果がある。又、連続的に結果を出力できるため、測定間隔(流量計測結果の出力間隔)を短縮でき、流量変動の激しい場合でも精度良く測定できるという効果がある。その結果、オンライン計測が可能であり、比較的制御周期の早い、プラント,自動車などへも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
上述した各実施例によれば、超音波を用いて配管内を流れる気体,液体中の流量を精度良く検出する、流量計測方法および装置を提供できる。従来の課題であった、超音波センサの周波数帯域が狭く、信号が急速に立ち上がらないため、検出開始位置が不明確となる問題を解決でき、広く一般産業で要求される重要なプロセス量である配管内を流れる気体,液体中の流量を精度良く検出でき、工業製品の生産,品質確保の観点から極めて効果の大きい方法,装置である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】超音波流量計の原理を説明する図である。
【図2】超音波流量計の超音波検出信号波形の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例である流量計測装置の構成図である。
【図4】超音波センサの周波数特性を説明する図である。
【図5】本実施例における信号処理装置の構成図である。
【図6】伝搬時間差と移相変化量との関係を示す図である。
【図7】条件判定処理をした場合の伝搬時間差と移相変化量との関係を示す図である。
【図8】fLやfHにおける位相変化量の例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例である流量計測装置の構成図である。
【図10】本実施例における信号処理装置の構成図である。
【図11】超音波センサの受信信号の過渡状態と定常状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
1,2,17,18 超音波センサ
3,10,11,20,27 信号発生器
4,44,50 信号処理装置
5,21 演算器
6 トリガ
7,19 超音波信号
8 配管
9 乗算器
12 移相器
13,14,23,25 フィルタ
15 逆正接演算器
16 減算器
26 位相調整器
28 クロック
29 超音波センサ受信信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号を出力する信号発生器と、配管内の流体の流動方向に対して角度をもって設置され、前記信号発生器から出力された正弦波信号を超音波信号に変換する送信素子と、該送信素子と相対して配置され、前記送信素子から前記配管内の流体に送信された超音波を受信して電気信号に変換する受信素子と、該受信素子で受信された電気信号から流体中を伝搬した超音波の前記第1,第2の周波数成分の位相情報の位相差を求める演算器と、該演算器で求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算する信号処理装置を備え、該信号処理装置で算出した超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することにより流量を求める超音波を用いた流量計測装置。
【請求項2】
前記送信信号には継続信号を用いる請求項1に記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項3】
前記第1の周波数と第2の周波数の周波数間隔の逆数が、前記送信素子と受信素子の距離と流体の計測流速範囲と流体中の音速から決まる伝搬時間変動範囲より大きくなるように設定した請求項1又は2に記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項4】
前記送信素子と受信素子を少なくとも2組設置し、第1の組の送信素子及び受信素子と第2の組の送信素子及び受信素子で計測された前記第1,第2の周波数成分の位相情報の位相差から超音波の伝搬時間をそれぞれ求め、流体の流速演算に用いる流体中の音速を相殺して流量を求める請求項1から3のいずれかに記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項5】
前記受信素子で受信する信号を自乗処理し、前記第1の周波数と第2の周波数の差から求める周波数成分をもつ正弦波信号を前記自乗処理結果に乗算する処理で前記第1,第2の周波数の位相差を検出する請求項1から3のいずれかに記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項6】
信号発生器から異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号を出力し、配管内の流体の流動方向に対して角度をもって設置された送信素子により、前記信号発生器から出力された正弦波信号を超音波信号に変換し、前記送信素子と相対して配置された受信素子により、前記送信素子から前記配管内の流体に送信された超音波を受信して電気信号に変換し、演算器により前記受信素子で受信された電気信号から流体中を伝搬した超音波の前記第1,第2の周波数成分の位相情報の位相差を求め、信号処理装置により、前記演算器で求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算し、前記信号処理装置で算出した超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することにより流量を求める超音波を用いた流量計測方法。
【請求項1】
異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号を出力する信号発生器と、配管内の流体の流動方向に対して角度をもって設置され、前記信号発生器から出力された正弦波信号を超音波信号に変換する送信素子と、該送信素子と相対して配置され、前記送信素子から前記配管内の流体に送信された超音波を受信して電気信号に変換する受信素子と、該受信素子で受信された電気信号から流体中を伝搬した超音波の前記第1,第2の周波数成分の位相情報の位相差を求める演算器と、該演算器で求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算する信号処理装置を備え、該信号処理装置で算出した超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することにより流量を求める超音波を用いた流量計測装置。
【請求項2】
前記送信信号には継続信号を用いる請求項1に記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項3】
前記第1の周波数と第2の周波数の周波数間隔の逆数が、前記送信素子と受信素子の距離と流体の計測流速範囲と流体中の音速から決まる伝搬時間変動範囲より大きくなるように設定した請求項1又は2に記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項4】
前記送信素子と受信素子を少なくとも2組設置し、第1の組の送信素子及び受信素子と第2の組の送信素子及び受信素子で計測された前記第1,第2の周波数成分の位相情報の位相差から超音波の伝搬時間をそれぞれ求め、流体の流速演算に用いる流体中の音速を相殺して流量を求める請求項1から3のいずれかに記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項5】
前記受信素子で受信する信号を自乗処理し、前記第1の周波数と第2の周波数の差から求める周波数成分をもつ正弦波信号を前記自乗処理結果に乗算する処理で前記第1,第2の周波数の位相差を検出する請求項1から3のいずれかに記載の超音波を用いた流量計測装置。
【請求項6】
信号発生器から異なる第1の周波数と第2の周波数からなる周波数成分を有する正弦波信号を出力し、配管内の流体の流動方向に対して角度をもって設置された送信素子により、前記信号発生器から出力された正弦波信号を超音波信号に変換し、前記送信素子と相対して配置された受信素子により、前記送信素子から前記配管内の流体に送信された超音波を受信して電気信号に変換し、演算器により前記受信素子で受信された電気信号から流体中を伝搬した超音波の前記第1,第2の周波数成分の位相情報の位相差を求め、信号処理装置により、前記演算器で求めた位相差から超音波の伝搬時間を演算し、前記信号処理装置で算出した超音波の伝搬時間から流体の流速を算出することにより流量を求める超音波を用いた流量計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−222534(P2009−222534A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66947(P2008−66947)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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