超音波シール方法及びそれを用いた包装袋の製造方法
【課題】咬合具付テープや雰囲気改良性テープ等の部材をフィルムに接着させるときに、接着不良等の発生が少なく、また、接着部の外観のよい接着方法を提供する。
【解決手段】テープ状本体部を有し、本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けたテープ状部材と、フィルムとを、積層した状態で配置し、超音波ホーンとアンビルとの間隙を通過させることにより、厚肉部とフィルムとを超音波接着し、超音波接着時における間隙Sを、本体部の厚みをT1、厚肉部の厚みをT2及びフィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する超音波シール方法。
S≦(T1+T2+T3) (1)
【解決手段】テープ状本体部を有し、本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けたテープ状部材と、フィルムとを、積層した状態で配置し、超音波ホーンとアンビルとの間隙を通過させることにより、厚肉部とフィルムとを超音波接着し、超音波接着時における間隙Sを、本体部の厚みをT1、厚肉部の厚みをT2及びフィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する超音波シール方法。
S≦(T1+T2+T3) (1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムとテープ状部材を接着する超音波シール方法及び包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋において、内容物の吸湿を防ぐために包装内に乾燥剤を入れたり、衣料品の虫害やダニ害を防ぐため防虫剤を同封することがある。また、工業部品の金属部分の錆びを防止するために工業部品の包装内に防錆剤を同封することもある。このように包装袋内を適切な状態に保つために、各種雰囲気改良物質が用いられている。
また、袋の開封部に雄部材及び雌部材よりなる帯状の咬合具(嵌合具)を設けることにより、開閉自在とした袋(チャック袋)が食品、医薬品、雑貨等の多くの分野で使用されている。
【0003】
雰囲気改良物質の包装袋への使用方法として、特許文献1には雰囲気改良物質を含む層を有する断面が平坦なテープ(雰囲気改良性テープ)が開示されている。このテープは製袋時に原反フィルムに熱接着(融着)して用いる。原反フィルムへの熱接着方法として、テープを原反フィルムの繰り出しに合わせて加熱ロールによるヒートシールや超音波シール装置による超音波シール(インパルスシール)により接着することが示されている。雰囲気改良性テープを使用することにより、雰囲気改良物質の誤使用や投入漏れの防止等の利点が得られる。
しかしながら、雰囲気改良物質をテープの一層として設けた場合、テープが柔らくなり、繰り出し時に蛇行するため、原反フィルムに対して精度よく平行に接着できないという問題があった。
【0004】
一方、咬合具を有する包装袋の製造方法について、特許文献2にはドラムと超音波シール装置により、咬合具付きテープを原反フィルムに連続して融着させる方法が開示されている。また、特許文献3にはドラムとヒートシールバーにより、咬合具付テープを原反フィルムに連続的に融着させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献2に開示されている技術では、加熱手段として超音波を用いているが、接着に必要なエネルギーを超音波により供給する関係上、十分な接着強度を得るためには、原反フィルムの流れ方向に対して細長い形状か、若しくは多数の点状突起を設けた超音波ホーン又はアンビルを、テープに喰い込ませることが必要である。このため、シール部の外観が悪くなるという問題があった。また、テープの流れ方向の厚みにムラがある場合、喰い込み量が変化することからシール線の幅が変化し、これも外観不良の原因となる。
さらに、喰い込ませてシールするので、原反フィルムにピンホールを発生させ易いという問題があった。
【0006】
また、特許文献3のように、熱接着(ヒートシール)により咬合具付きテープをフィルムに接着する場合、ある程度の加熱時間を確保するため、ドラムの直径を大きくする必要がある。そのため、装置が大きくなり製袋機の設置面積が広くなったり、装置費用が増加する欠点がある。
【0007】
また、特許文献2及び3のようにドラムを用いたシール方式では、咬合具付きテープの蛇行を防止するためにドラムに溝が設けられている。しかしながら、溝付きドラムを用いる場合、様々な断面形状のテープに対し、個別にドラムを用意する必要があるため製造費用が高くなると共に、生産におけるドラム交換が煩雑になるという問題がある。
また、薄く平坦なテープを接着しようとする場合、テープが溝から脱離し易い等の問題がある。また、平坦で薄く柔らかいテープを、原反フィルムにテープ片面全面で熱接着すると、余熱でテープが伸びるため次工程へ送ることができないという問題がある。
【0008】
従って、咬合具付テープや雰囲気改良テープ等の部材を包袋用フィルムに接着する際、蛇行、シール不良、再嵌合不良及びしわの発生が少ない接着方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−221075号公報
【特許文献2】特開2009−120240号公報
【特許文献3】特開平9−39121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、咬合具付テープや雰囲気改良性テープ等の部材をフィルムに接着させるときに、接着不良等の発生が少なく、また、接着部の外観のよい接着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下の超音波シール方法等が提供される。
1.テープ状本体部を有し、前記本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けたテープ状部材と、フィルムとを、積層した状態で配置し、超音波ホーンとアンビルとの間隙を通過させることにより、前記厚肉部とフィルムとを超音波接着し、前記超音波接着時における前記間隙Sを、前記本体部の厚みをT1、前記厚肉部の厚みをT2及び前記フィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する超音波シール方法。
S≦(T1+T2+T3) (1)
2.下記式(2)を満たすように設定する1に記載の超音波シール方法。
(T1+T3)<S (2)
3.前記超音波接着を連続して行う1又は2に記載の超音波シール方法。
4.前記超音波ホーンの先端が、前記テープ状部材と平行しており、前記アンビルがローラー状である1〜3のいずれかに記載の超音波シール方法。
5.上記1〜4のいずれかに記載の超音波シール方法により、テープ状部材とフィルムを接着する工程を含む包装袋の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、テープ状部材とフィルムとを、接着不良なく、また、きれいに接着できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明で使用するテープ状部材の形状の一例を示す概略幅方向断面図である。
【図2】本発明で使用するテープ状部材の厚肉部の断面の例を示す図である。
【図3】雰囲気改良性層を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
【図4A】咬合具を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
【図4B】咬合具を有するテープ状部材の他の例を示す概略幅方向断面図である。
【図4C】咬合具を有するテープ状部材の他の例を示す概略幅方向断面図である。
【図5】本発明の方法における、超音波ホーン、原反フィルム、テープ状部材及びアンビルの位置関係を示す図である。
【図6】本発明の方法に用いる超音波ホーンの形状例を示す図である。
【図7】本発明の包装袋の製造方法の一実施形態を示す図である。
【図8】本発明の製造方法に用いるガイドの例を示す図である。
【図9】実施形態で製造した包装袋の概略平面図である。
【図10】本発明の包装袋の製造方法の他の実施形態を示す図である。
【図11】テープ状部材と原反フィルムを接着する工程を示す概略上面図である。
【図12】原反フィルムを折り畳んだ後のサイドシールの工程を示す概略上面図である。
【図13】他の実施形態で製造した包装袋の概略平面図である。
【図14】実施例1で作製した雰囲気改良性層を有するテープ状部材の概略断面図である。
【図15】実施例1で用いた超音波ホーンの形状を示す図である。
【図16】実施例1で用いたガイドの形状を示す図である。
【図17】実施例2で作製した咬合具を有するテープ状部材の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、フィルム上にテープ状部材を超音波接着する方法に関し、テープ状本体部を有し、本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けた部材を使用することを特徴の1つとする。
図1は、本発明で使用するテープ状部材の形状の一例を示す概略幅方向断面図である。
部材1は、厚さT1のテープ状本体部10と、本体部10の幅方向略中央部と左端との中間付近にある、片面に突出した厚さT2の厚肉部11からなる。本体部10から突き出した厚肉部11を形成することによって、厚さT3のフィルム110とテープ状部材1を接着させる際に使用する超音波が厚肉部11に集中し、選択的に加熱される。その結果、本体部10はほとんど加熱されないため、繰り出し時における熱による部材の伸びを抑制できる。また、厚肉部11とフィルム110が接着し、本体部10とフィルム110は接着しないため、接着後、厚肉部11に起因する接着線が直線状に美しく形成される。さらに、接着時に部材1とフィルム110を強く圧着する必要がないため、フィルムの傷やしわの発生を抑制できる。
【0015】
尚、部材1では厚肉部が本体部に1つ(1列)のみ形成されているが、これに限定されず、複数形成してもよい。また、厚肉部は本体部の片面に形成されているが、これに限らず、本体部の両面に形成してもよい。さらに、厚肉部は本体部長さ方向に沿って連続して(列状に)形成してもよく、断続的(ドット状等)に形成してもよい。さらに、厚肉部は本体部の幅方向略中央部と左端との中間付近に形成されているが、これに限らず、例えば、本体部の幅方向端部に形成してもよい。
厚肉部の断面形状は、図1に示すような半円状に限らず、例えば、図2に示すように、四角形状、円形状、楕円形状、台形状、釣鐘形状、三角形状等、適宜選択できる。尚、図2は厚肉部のみの断面形状を示している。
【0016】
厚肉部の厚みT2は、超音波シール装置を用いてフィルムと接着する時に、超音波ホーンとアンビルが本体部と接触して超音波が分散せず、かつ厚肉部は潰される程度が好ましい。具体的には、10μm〜2000μmが好ましく、特に200μm〜1000μmが好ましい。
尚、厚肉部が本体部の両面にある場合は、両側の高さの和が上記と同様の範囲となることが好ましい。
厚肉部の幅は300μm〜2000μmが好ましい。狭すぎると十分な接着強度が得られにくい。一方、広すぎると製袋において超音波のエネルギーが分散するため十分な接着が得られなかったり、熱接着面の樹脂溜りが多くなり外観が損なわれる。
厚肉部が設けられていない本体部の厚みT1は、テープ状部材の用途に応じて適宜変更されるが、製袋時の変形のし難さや柔軟性の確保の観点から、50〜500μmとすることが好ましい。
【0017】
本発明で使用するテープ状部材としては、例えば、本体部に雰囲気改良性層を形成した部材や、本体部の一面上に咬合具を形成した部材等が挙げられる。
図3は、雰囲気改良性層を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
テープ状部材2において本体部10の断面は、中間層である雰囲気改良性層21を、表層部22を形成する樹脂が覆っている構造を有する。表層部22には、図1の部材と同様に厚肉部11が形成されている。
【0018】
雰囲気改良性層としては、エラストマー等の基材に、液体香料、ゼオライト等の吸着剤、防錆オイル、酸素吸収性オイル等を混練したものが使用できる。具体的には、特開2003−221075号公報等を参照できる。
表層部としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレン(BPP)、ホモポリプロピレン(HPP)等、公知のポリオレフィン樹脂や、これらの混合物が使用できる。
尚、必要に応じて、エラストマー、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の改質材を添加してもよい。
【0019】
図4A〜Cは、それぞれ、咬合具を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
図4Aに示すテープ状部材3a(咬合具付きテープ)は、本体部10の一面上に雄の咬合具31を形成した構成を有する。同様に、図4Bに示すテープ状部材3bは、本体部10の一面上に雌の咬合具32を形成した構成を有し、図4Cに示す部材3cは、本体部10の一面上に雌雄の咬合具31,32をそれぞれ形成した構成を有する。いずれの部材においても、咬合具を形成した面の反対面に厚肉部11をテープ状部材3aの幅方向両端付近等に形成している。
尚、咬合具付きテープは、公知の方法により製造できる。
【0020】
本発明の方法では、上述したテープ状部材とフィルムを積層した状態で配置し、超音波シール装置の超音波ホーンとアンビルとの間を通過させることにより、厚肉部とフィルムとを超音波接着する。
本発明では超音波を利用してフィルムとテープ状部材を接着するが、使用する超音波シール装置は、特に限定はなく、本技術分野において公知であり、産業用として市販されているものが使用できる。超音波シール装置は、一般に、超音波発振器、振動子(コンバーター)及びホーン(共鳴体)を有し、発振器及び振動子で発生させた超音波振動(例えば、20kHzの振動数)をホーンにより被着体に伝導させる。ホーンと対向する位置にアンビルを配置し、ホーンとアンビルの間を被着体が通過することにより被着体が加圧され、超音波振動による摩擦熱が生じて被着体の一部が加熱溶融することにより接着させる。
超音波シール装置は、大掛かりなセパレーター等の装置を必要とするヒートシール装置と比べて、小型で取り外し可能であるため、既存の自動包装機に追加で取り付けることが可能である。
【0021】
図5(a)及び図5(b)は、テープ状部材、フィルム、超音波ホーン及びアンビルの位置関係の例を示す概略図である。
図5(a)では、超音波ホーン140側にテープ状部材1を、アンビル130側にフィルム110を配置している。一方、図5(b)では、超音波ホーン140側にフィルム110を、アンビル130側にテープ状部材1を配置している。
本発明では、図5(b)に示す配置が好ましい。この配置であると部材が熱により伸び難くなるため、綺麗な連続シールができやすい。特に、超音波ホーンの先端がテープ部材と平行しており、アンビルがローラー状であると好ましい。
尚、部材として咬合具付きテープ等、本体部に凸部を有する部材を使用する場合には、凸部(例えば、咬合具)が納まる溝を有するアンビルを使用することが好ましい。
【0022】
本発明においては、超音波ホーンとアンビルの間隙をS、本体部の厚みをT1、厚肉部の厚みをT2、フィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する。
S≦(T1+T2+T3) (1)
間隙Sが(T1+T2+T3)を超えると、部材の厚肉部とフィルムを接触させることができず、超音波振動が伝導できなくなるため接着できなくなる。
【0023】
また、本発明においては、下記式(2)を満たすように設定することが好ましい。
(T1+T3)<S (2)
間隙Sが(T1+T3)未満の場合、本体部の厚肉部以外の部分(厚みT1の本体部部分)もフィルムと圧着することになるため、超音波エネルギーが分散し、結果として接着が不十分となる場合がある。
【0024】
本体部の厚みT1は、本体部の厚肉部や咬合具等の突起状物や半折部等切欠部のない箇所の厚みを複数点測定し、その最大値を意味する。また、厚肉部の厚みT2は、本体部からの突出高さを意味し、本体部の両面に設けられる場合にはその合計値とする。
【0025】
超音波ホーンの形状は、特に限定はないが、例えば、図6に示すような形状が挙げられる。(a)は、ホーン先端が台形状断面であるもの、(b)は、ホーン先端が円弧状であるもの、(c)は円弧状先端に溝を有するものである。また、(d)のように、ホーンはローラー状で回転するもの等であってもよい。
【0026】
アンビルの形状としては、ホーンの形状と同様に、ホーン先端が台形状断面であるもの、円弧状であるもの、円弧状先端に溝を有するもの、又は、ローラー状で回転するもの等が挙げられる。好ましくは、ローラー状のアンビルである。ローラー状のアンビルにすることで擦れがなくなり美しく仕上がると共に、様々な溝幅、深さのローラーを容易に準備できる。
尚、様々な断面形状のテープ状部材を使用する場合、適切な溝を設けたローラー状のアンビルを使用すればよい。例えば、部材として咬合具付きテープを使用する場合には、ローラー状のアンビルに咬合具が納まる溝を設けたものを使用すればよい。このように、本発明の方法では、アンビルを交換することにより、各種テープ状部材に容易に適用できる。従って、様々なテープ状部材を使用した包装袋を製造できるので生産性が高い。
【0027】
ローラー状アンビルの場合、その直径は20mmφ程度でよい。本発明では超音波シール装置を使用するので、ヒートシールによる接着と比べて、ローラー径を小さくできる。そのため、装置を全体として小型化でき、かつ設備費を低減できる。尚、直径はより太くてもよいが、圧着に耐える強度とスムーズな回転が得られるなら、20mmφより細くてもよい。
【0028】
本発明の超音波接着方法は、包装袋の製造において好適に使用できる。本発明の包装袋の製造方法では、超音波シールによりテープ状部材をフィルムに接着する工程と、フィルムの2辺又は3辺を熱接着し、包装袋の側部にあたる辺を切断(サイドカット)することにより、包装袋の形状とする工程により製造される。以下、本発明の包装袋の製造方法の一実施形態について、図面を使用して説明する。
【0029】
図7は、本発明の包装袋の製造方法の一実施形態を説明するための概略図である。本実施形態は、例えば、テープ状部材として上述した雰囲気改良性層を有するテープ状部材等を、包装袋を形成するフィルムに接着する際に適用できる。
図7に示す装置は、原反フィルム110及び111を原反フィルムの巻重体(図示せず。)から繰り出す駆動ロールR’と、駆動ロールR’により繰り出された原反フィルム110及び111を、超音波シール装置の超音波ホーン140及びアンビル130の間隙に、又はヒートシールバー150及びシールバー受け160の間隙に供給する複数のガイドロールRと、テープ状部材1の蛇行を抑制するガイド120と、テープ状部材1と原反フィルム110とを接着する超音波シール装置(超音波ホーン140及びアンビル130)と、原反フィルム110及び111を、フィルムの進行方向に沿って接着し、包装袋のボトムシールを行うヒートシールバー150及びシールバー受け160と、原反フィルム110及び111を、フィルムの進行方向に直行する方向で接着し、包装袋のサイドシールを行うヒートシールバー170及びシールバー受け180を有する。
【0030】
尚、図7の製袋装置は、説明の都合上、一部省略して記載している。例えば、各包装袋に切断するサイドカット装置や、超音波シール装置本体等が省略されているが、これらには公知の装置が適用できる。
また、ガイド120の設置は必須ではないが、部材1の蛇行を制御するために設置することが好ましい。
ガイドの材質は金属でも合成樹脂でもよく、部材の位置ずれが起きず、部材がスムーズに繰り出せればよい。ガイドの形状としては、図8に示すようにテープ状部材の断面形状よりやや大きなガイド孔121を設けた板や筒状体、プーリー等が挙げられる。
ガイドと超音波ホーンの距離は、テープ状部材の蛇行度合いにもよるが、ガイド出口直後で超音波シールすることが望ましい。尚、蛇行が無い場合はガイドと熱接着する場所との距離は長くてもよい。
【0031】
本実施形態では、はじめにテープ状部材1と原反フィルム110(包装袋を形成する対向する第1及び第2のフィルムのうちの、第1のフィルム)を超音波シールにより接着する。具体的に、原反フィルム110は原反フィルムの巻重体から供給され、テンションロールRを通過したのち、超音波ホーン140及びアンビル130の間に導入される。一方、部材1は部材の巻重体から繰り出され、蛇行を制御するガイド120を通過した後、超音波ホーン140及びアンビル130の間に導入される。原反フィルム110と部材1を重ねた状態で、超音波ホーン140とアンビル130の間隙を通過させることにより、テープ状部材1の厚肉部と原反フィルム110を連続的に熱接着する。
【0032】
次いで、原反フィルム110と部材1を接着した後、原反フィルム110と他の原反フィルム(第2のフィルム)111の一端部をヒートシールバー150及びシールバー受け160により熱接着(ボトムシール)する。
その後、包装袋の側部となる部分をヒートシールバー170及びシールバー受け180により熱接着(サイドシール)する。サイドシールした部分の略中央部で切断することにより、包装袋のテープ状部材が超音波シールされた側が開放した状態の包装袋を得ることができる。尚、開封部は内容物を充填した後に熱接着等により閉じられる。
【0033】
図9に、本実施形態で得られる包装袋の概略図を示す。
本包装袋においては、袋の下部のボトムシール部201及び両側部のサイドシール部202は、それぞれ、ヒートシールバー150及びシールバー受け160、及びヒートシールバー170及びシールバー受け180により熱接着されたものである。ボトムシール部201とは反対側の開封部周辺に、テープ状部材1が接着されている。
【0034】
図10は、本発明の包装袋の製造方法の他の実施形態を説明するための概略図である。本実施形態は、例えば、テープ状部材として図4Cに示したような雌雄の咬合具を有するテープ状部材3cを、包装袋を形成するフィルムに接着して使用する際に適用できる。図4Cに示すように、テープ状部材3cは、本体部の幅方向における片面に、一対の雄雌の咬合具が並列に配置され、厚肉部は、本体部の咬合具形成面とは反対面に突出形成されている。
図10に示す装置は、原反フィルム110及びテープ状部材3cを各巻重体から繰り出す駆動ロールR’と、繰り出された原反フィルム110及びテープ状部材3cを超音波シール装置の超音波ホーン140及びアンビル130の間隙に供給するガイドロールRと、テープ状部材3cと原反フィルム110とを接着する超音波シール装置(超音波ホーン140及びアンビル130)とを有する。また、テープ状部材3cと原反フィルム110を接着した後、フィルム110の略中心線で折り畳み(図10の矢印Aはフィルムの折り畳みを表している。)、テープ状部材3cの雌雄の咬合具31,32を咬み合せた状態とした後、積層状態の原反フィルム110を、フィルムの進行方向に直行する方向で接着するヒートシールバー170及びシールバー受け180を有する。尚、図10の製袋装置も、説明の都合上、一部省略して記載している。
【0035】
図11は、テープ状部材3cと原反フィルム110を接着する工程を示す上面図であり、図12は、原反フィルム110を折り畳んだ後のサイドシールの工程を示す上面図である。尚、簡略化のため図11においては巻重体からガイドロールRまでのテープ状部材3cの図示を省略している。
テープ状部材3cと原反フィルム110を超音波シール装置にて接着した後、図11中、Aで示す点線に沿って、フィルム全体を2つ折りとする。そして、テープ状部材3cの雌雄の咬合具31,32を咬み合せた状態(図12参照)とした後、包装袋の側部となる部分をヒートシールバー170及びシールバー受け180により熱接着(サイドシール)する。サイドシール部202の略中央部で切断することにより、図13に示すように、包装袋のトップシールは形成されずにフィルム全体が折り曲げられた状態で、底部が開放した状態の包装袋を得ることができる。
【0036】
尚、上述した各実施形態では、超音波シール装置を1列のみ使用しているが、これに限らず、超音波シール装置を2列以上設置してもよく、また、複数の原反フィルムを使用する場合は各原反フィルム用に1機ずつ設置してもよい。
超音波シール装置を2列以上設置することにより、複数のテープ状部材を多列で熱接着できる。例えば、雰囲気改良性テープ部材と咬合具付きテープ部材を2列同時に又は逐次熱接着することができる。
また、各原反フィルム用に超音波シール装置を1機ずつ設置することにより、例えば、図4A及び図4Bに示す、雌雄のうち一方の咬合具を有する部材3a、3bを、第1及び第2の原反フィルム上にそれぞれ接着することができる。
【0037】
さらに、上述した各実施形態では原反フィルム同士を接着し、ボトムシールやサイドシールを行うための装置として、ヒートシールバーを使用したが、これに限らず、例えば、超音波シール装置を使用してもよい。
【0038】
原反フィルムは、一般的なラミネートフィルムを用いることができる。
PET/LLDPE、PET/CPP、OPP/CPP、OPP/LLDPE、Ny/LLDPE、Ny/CPP等を基本構成とし、中間層として必要に応じて他の層を設けてもよい。PETはポリエチレンテレフタレート、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、CPPは無延伸ポリプロピレン、OPPは二軸延伸ポリプロピレン、Nyはナイロンである。
【0039】
本発明の包装袋の製造方法は、一般的な製袋機に安価な超音波設備を取り付けるだけで、各種テープ状部材を使用した袋を容易に製造できる。
【実施例】
【0040】
実施例1
(1)雰囲気改良性層を有するテープ状部材の製造
2台の押出機と積層用フィードブロックに所望するテープ断面形状になるようなスリット孔の開いたプレートを取付けて図14に示す形状の部材を製造した。本部材では、本体部10両端に、断面が略半円状の厚肉部11をそれぞれ1列形成している。
表層部(被覆層)22として、ランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、MFR=7.0g/10分)を使用した。雰囲気改良性層21として、局方ハッカ油10wt%をクラレ社セプトン2063に混練してコンパウンドにした粒子を使用した。
部材本体部10の厚さ(T1)は170μm、幅(W1)は20mmとした。厚肉部11の厚さ(T2)は250μm、幅(W2)は400μmとした。雰囲気改良性層21の層厚は100μmとした。
【0041】
(2)包装袋の製造
図7の装置でテープ状部材を接着し、図9に示す包装袋を製造した。
上記(1)で作製したテープ状部材を用い、原反フィルムとしてPET(ポリエチレンテレフタレート)12μm/CPP(無延伸ポリプロピレン)30μmのドライラミネートフィルム(フィルムの総厚みT3が42μm)を用いた。
【0042】
超音波ホーンとアンビルの間隙Sは300μm、ガイドから超音波ホーンまでの距離は50mmとした。また、超音波の出力は180Wとした。本実施例で用いた超音波ホーンの形状を図15に、ガイドの形状を図16に示す。
アンビルとして、ロール状アンビル(ミスミ社製、20mmφ、長さ70mm、シャフトVSFJW)を用いた。
実施例1では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計(T1+T3)が212μmで、テープ状部材の本体厚みT1と、厚肉部の厚みT2と、フィルム厚みT3の合計(T1+T2+T3)が462μmで、超音波ホーンとアンビルの間隙Sが300μmであるので、(T1+T3)<S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
【0043】
200mmピッチ、40ショット/分でフィルム送りする度に、超音波ホーンにより超音波を発信し、テープ状部材を原反フィルムに連続的にシールした。テープ状部材の幅方向両端部にある厚肉部のみが、原反フィルム進行方向に直線状にヒートシールされた。ヒートシールされたテープ状部材の幅方向両端部は平行であり綺麗であった。赤色の浸透液で部材のシール部にピンホールがないか調べたがピンホール発生はなかった。
また、フィルム送り停止時は、電気的に超音波発信を停止させるだけでよく、超音波発信を発信した状態であっても、フィルムとテープ状部材の接触部分は厚肉部が発熱溶融し、ある程度潰されるとフィルムとテープ状部材との圧着力が低下し発熱しなくなるため、過度な溶融が起こらず、接着外観は美麗であった。
【0044】
その後、ヒートシールバー及びシールバー受けにより、袋の3辺(ボトムシール部、サイドシール部)をヒートシールした後、サイドシールの中央部を切断して包装袋を得た。
【0045】
実施例2
(1)咬合具を有するテープ状部材の製造
2台の押出機と積層用フィードブロックに所望する断面形状になるようなスリット孔の開いたプレートを取付けて図17に示す形状のテープ状部材を製造した。本部材は、本体部10の一面の幅方向一端周辺部に雄の咬合具31を、幅方向他端周辺部に雌の咬合具32を形成してある。また、本体部の他面の一端及びその周辺部に雄雌の咬合具32、33を挟む1列ずつ、並びに他端及びその周辺部に1列ずつ(計4列)、断面が略半円状の厚肉部11を形成してある。さらに、本体部10下面の略中央部には部材を折り曲げるための半折部42を設けている。
本体部10の表層部及び咬合具部31,32には、ランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、MFR=7.0g/10分)を使用し、中間芯層41にはホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、MFR=7.0g/10分)を使用した。
部材本体部10の厚みT1は180μm、幅(W1)は50mmとした。厚肉部の厚さ(T2)は500μm、幅(W2)は500μmとした。中間芯層の層厚は50μmとした。咬合具の高さは1mmとした。
【0046】
(2)包装袋の製造
図10の装置でテープ状部材を接着し、図13に示す包装袋を製造した。尚、超音波ホーンの形状は、幅方向長さを60mm(実施例1では34mm)に変更した他は、実施例1と同様である。アンビルとして、20mmφ、長さ70mmで、ステンレスシャフトに咬合具が納まる2本の溝を設けたものを使用した。
超音波ホーンとアンビルの間隙Sは350μmとした。また、超音波の出力は180Wとした。実施例2では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計(T1+T3)が222μmで、テープ状部材の本体厚みT1と、厚肉部の厚みT2と、フィルム厚みT3の合計(T1+T2+T3)が722μmで、超音波ホーンとアンビルの間隙Sが350μmであるので、(T1+T3)<S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
【0047】
200mmピッチで40ショット/分の速度でフィルムを送り、その都度超音波を発信して4箇所の厚肉部を原反フィルム面に連続的にシールした。
その結果、厚肉部のみが直線上にフィルム原反進行方向に並行に、かつシール部が判別できないほど綺麗に熱接着された。
赤色の浸透液で部材のシール部にピンホールがないか調べたがピンホール発生はなかった。
【0048】
テープ状部材を原反フィルムにシールした後、部材の半折部42で折り畳み、フィルムを積層状態とし、対向する雌雄の咬合具31,32を咬み合せた。積層状態のフィルムを、テープ状部材の垂直方向にヒートシールバーにより熱接着(サイドシール)した(図12参照)。サイドシール部の略中央部を切断することにより、袋の底部が開放した状態の包装袋を得た。
雌雄の咬合具部の接着状態は良好であり、安定した開閉ができた。
【0049】
実施例3
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを220μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。実施例3では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計が212μmであるので、(T1+T3)<S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
その結果、テープ状部材の幅方向両端部にある厚肉部のみが、原反フィルム進行方向に直線状にヒートシールされた。ヒートシールされたテープ状部材の幅方向両端部は平行であり綺麗であった。赤色の浸透液で部材のシール部にピンホールがないか調べたがピンホール発生はなかった。
【0050】
実施例4
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを200μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。つまり、実施例4では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計が212μmであるので、(T1+T3)>S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)は満たすが、(2)は満たしていない。
その結果、テープ状部材と厚肉部との接着は出来たが、テープ状部材の本体部においてフィルムが喰いこみ、白濁した線がテープ流れ方向に発生して一部に外観不良が生じるものがあった。また、厚肉部におけるシール強度も、実施例1と比べて弱くなっていた。
【0051】
実施例5
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを462μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。つまり、実施例5では、テープ状部材の本体厚みT1、厚肉部の厚みT2、及びフィルム厚みT3の合計が462μmであるので、(T1+T3)<S=(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
その結果、実施例1と比べて、テープ状部材の厚肉部とフィルムとの間で超音波が伝達されにくく、厚肉部とフィルムとは部分的な接着でシール線が細く、強度は弱いものの、一部の軽包装用途では使用可能と判断された。
【0052】
比較例1
実施例1で製造した雰囲気改良性層を持つテープ状部材において、2箇所の厚肉部を設けない部材を製造した。この部材を、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを150μmにした他は、実施例1と同様にして製袋した。
比較例1では、テープ状部材を厚肉部がない本体部のみで形成したため、テープ状部材の本体部厚みT1(150μm)と超音波ホーンとアンビルの間隙Sとが同一(T1=S)である。
その結果、超音波ホーンとアンビルによりテープ状部材の全面がしごかれて表面荒れを起こした。また、部分的な接着しかできなかった。
【0053】
比較例2
実施例1で製造した雰囲気改良層を持つテープ状部材を用いて、包装袋の製造を行った。包装袋の製造装置として、実施例1で用いた図7のアンビル130の代わりに、硬度70、厚み3mmのシリコーンラバーを巻きつけたステンレス製ロール(直径50mmφ、幅30mm)を設置し、図7の超音波ホーン140の代わりに、真鍮製ヒートシールロール(直径50mmφ、幅30mm)を設置して、テープ状部材とフィルムとをヒートシールにより接着した。
ヒートシールロールの温度を160℃、シリンダー圧力を1MPa(シリンダー径30mmφ)とし連続してヒートシールを行った。
その結果、接着開始まではヒートシールロールをフィルムから離しておかないと、フィルム及びテープ状部材が加熱により溶断するという不具合があった。また、連続的にヒートシールを開始した後は、製袋速度を速くするとフィルムとテープ状部材が接着し難くなる一方、ヒートシール温度を高くしすぎると、余熱によりフィルムやテープ状部材が加熱され、引き取り時にフィルムやテープ状部材が柔らかくなって伸びる等の問題が生じた。従って、厳しい条件調節が必要であった。
【0054】
比較例3
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを470μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。つまり、比較例4では、テープ状部材の本体厚みT1、厚肉部の厚みT2、及びフィルム厚みT3の合計が462μmであり、上述した関係式(1)を満たしていない。
その結果、テープ状部材の厚肉部とフィルムとの間で超音波が伝達されず、全く接着しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の超音波接着方法は、包装袋の製造に適している、具体的には、食品包装、雑貨包装、薬品包装等、各種包装袋の製造に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3a,3b,3c テープ状部材
10 テープ状本体部
11 厚肉部
21 雰囲気改良性層
22 表層部
31 雄の咬合具
32 雌の咬合具
41 中間芯層
42 半折部
50 セパレーター
51 溝
110,111 原反フィルム
130 アンビル
140 超音波ホーン
150,170 ヒートシールバー
160,180 シールバー受け
201 ボトムシール部
202 サイドシール部
R ガイドロール
R’ 駆動ロール
T1 テープ状部材本体部の厚み
T2 厚肉部の厚み
T3 フィルムの厚み
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムとテープ状部材を接着する超音波シール方法及び包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋において、内容物の吸湿を防ぐために包装内に乾燥剤を入れたり、衣料品の虫害やダニ害を防ぐため防虫剤を同封することがある。また、工業部品の金属部分の錆びを防止するために工業部品の包装内に防錆剤を同封することもある。このように包装袋内を適切な状態に保つために、各種雰囲気改良物質が用いられている。
また、袋の開封部に雄部材及び雌部材よりなる帯状の咬合具(嵌合具)を設けることにより、開閉自在とした袋(チャック袋)が食品、医薬品、雑貨等の多くの分野で使用されている。
【0003】
雰囲気改良物質の包装袋への使用方法として、特許文献1には雰囲気改良物質を含む層を有する断面が平坦なテープ(雰囲気改良性テープ)が開示されている。このテープは製袋時に原反フィルムに熱接着(融着)して用いる。原反フィルムへの熱接着方法として、テープを原反フィルムの繰り出しに合わせて加熱ロールによるヒートシールや超音波シール装置による超音波シール(インパルスシール)により接着することが示されている。雰囲気改良性テープを使用することにより、雰囲気改良物質の誤使用や投入漏れの防止等の利点が得られる。
しかしながら、雰囲気改良物質をテープの一層として設けた場合、テープが柔らくなり、繰り出し時に蛇行するため、原反フィルムに対して精度よく平行に接着できないという問題があった。
【0004】
一方、咬合具を有する包装袋の製造方法について、特許文献2にはドラムと超音波シール装置により、咬合具付きテープを原反フィルムに連続して融着させる方法が開示されている。また、特許文献3にはドラムとヒートシールバーにより、咬合具付テープを原反フィルムに連続的に融着させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献2に開示されている技術では、加熱手段として超音波を用いているが、接着に必要なエネルギーを超音波により供給する関係上、十分な接着強度を得るためには、原反フィルムの流れ方向に対して細長い形状か、若しくは多数の点状突起を設けた超音波ホーン又はアンビルを、テープに喰い込ませることが必要である。このため、シール部の外観が悪くなるという問題があった。また、テープの流れ方向の厚みにムラがある場合、喰い込み量が変化することからシール線の幅が変化し、これも外観不良の原因となる。
さらに、喰い込ませてシールするので、原反フィルムにピンホールを発生させ易いという問題があった。
【0006】
また、特許文献3のように、熱接着(ヒートシール)により咬合具付きテープをフィルムに接着する場合、ある程度の加熱時間を確保するため、ドラムの直径を大きくする必要がある。そのため、装置が大きくなり製袋機の設置面積が広くなったり、装置費用が増加する欠点がある。
【0007】
また、特許文献2及び3のようにドラムを用いたシール方式では、咬合具付きテープの蛇行を防止するためにドラムに溝が設けられている。しかしながら、溝付きドラムを用いる場合、様々な断面形状のテープに対し、個別にドラムを用意する必要があるため製造費用が高くなると共に、生産におけるドラム交換が煩雑になるという問題がある。
また、薄く平坦なテープを接着しようとする場合、テープが溝から脱離し易い等の問題がある。また、平坦で薄く柔らかいテープを、原反フィルムにテープ片面全面で熱接着すると、余熱でテープが伸びるため次工程へ送ることができないという問題がある。
【0008】
従って、咬合具付テープや雰囲気改良テープ等の部材を包袋用フィルムに接着する際、蛇行、シール不良、再嵌合不良及びしわの発生が少ない接着方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−221075号公報
【特許文献2】特開2009−120240号公報
【特許文献3】特開平9−39121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、咬合具付テープや雰囲気改良性テープ等の部材をフィルムに接着させるときに、接着不良等の発生が少なく、また、接着部の外観のよい接着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下の超音波シール方法等が提供される。
1.テープ状本体部を有し、前記本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けたテープ状部材と、フィルムとを、積層した状態で配置し、超音波ホーンとアンビルとの間隙を通過させることにより、前記厚肉部とフィルムとを超音波接着し、前記超音波接着時における前記間隙Sを、前記本体部の厚みをT1、前記厚肉部の厚みをT2及び前記フィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する超音波シール方法。
S≦(T1+T2+T3) (1)
2.下記式(2)を満たすように設定する1に記載の超音波シール方法。
(T1+T3)<S (2)
3.前記超音波接着を連続して行う1又は2に記載の超音波シール方法。
4.前記超音波ホーンの先端が、前記テープ状部材と平行しており、前記アンビルがローラー状である1〜3のいずれかに記載の超音波シール方法。
5.上記1〜4のいずれかに記載の超音波シール方法により、テープ状部材とフィルムを接着する工程を含む包装袋の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、テープ状部材とフィルムとを、接着不良なく、また、きれいに接着できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明で使用するテープ状部材の形状の一例を示す概略幅方向断面図である。
【図2】本発明で使用するテープ状部材の厚肉部の断面の例を示す図である。
【図3】雰囲気改良性層を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
【図4A】咬合具を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
【図4B】咬合具を有するテープ状部材の他の例を示す概略幅方向断面図である。
【図4C】咬合具を有するテープ状部材の他の例を示す概略幅方向断面図である。
【図5】本発明の方法における、超音波ホーン、原反フィルム、テープ状部材及びアンビルの位置関係を示す図である。
【図6】本発明の方法に用いる超音波ホーンの形状例を示す図である。
【図7】本発明の包装袋の製造方法の一実施形態を示す図である。
【図8】本発明の製造方法に用いるガイドの例を示す図である。
【図9】実施形態で製造した包装袋の概略平面図である。
【図10】本発明の包装袋の製造方法の他の実施形態を示す図である。
【図11】テープ状部材と原反フィルムを接着する工程を示す概略上面図である。
【図12】原反フィルムを折り畳んだ後のサイドシールの工程を示す概略上面図である。
【図13】他の実施形態で製造した包装袋の概略平面図である。
【図14】実施例1で作製した雰囲気改良性層を有するテープ状部材の概略断面図である。
【図15】実施例1で用いた超音波ホーンの形状を示す図である。
【図16】実施例1で用いたガイドの形状を示す図である。
【図17】実施例2で作製した咬合具を有するテープ状部材の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、フィルム上にテープ状部材を超音波接着する方法に関し、テープ状本体部を有し、本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けた部材を使用することを特徴の1つとする。
図1は、本発明で使用するテープ状部材の形状の一例を示す概略幅方向断面図である。
部材1は、厚さT1のテープ状本体部10と、本体部10の幅方向略中央部と左端との中間付近にある、片面に突出した厚さT2の厚肉部11からなる。本体部10から突き出した厚肉部11を形成することによって、厚さT3のフィルム110とテープ状部材1を接着させる際に使用する超音波が厚肉部11に集中し、選択的に加熱される。その結果、本体部10はほとんど加熱されないため、繰り出し時における熱による部材の伸びを抑制できる。また、厚肉部11とフィルム110が接着し、本体部10とフィルム110は接着しないため、接着後、厚肉部11に起因する接着線が直線状に美しく形成される。さらに、接着時に部材1とフィルム110を強く圧着する必要がないため、フィルムの傷やしわの発生を抑制できる。
【0015】
尚、部材1では厚肉部が本体部に1つ(1列)のみ形成されているが、これに限定されず、複数形成してもよい。また、厚肉部は本体部の片面に形成されているが、これに限らず、本体部の両面に形成してもよい。さらに、厚肉部は本体部長さ方向に沿って連続して(列状に)形成してもよく、断続的(ドット状等)に形成してもよい。さらに、厚肉部は本体部の幅方向略中央部と左端との中間付近に形成されているが、これに限らず、例えば、本体部の幅方向端部に形成してもよい。
厚肉部の断面形状は、図1に示すような半円状に限らず、例えば、図2に示すように、四角形状、円形状、楕円形状、台形状、釣鐘形状、三角形状等、適宜選択できる。尚、図2は厚肉部のみの断面形状を示している。
【0016】
厚肉部の厚みT2は、超音波シール装置を用いてフィルムと接着する時に、超音波ホーンとアンビルが本体部と接触して超音波が分散せず、かつ厚肉部は潰される程度が好ましい。具体的には、10μm〜2000μmが好ましく、特に200μm〜1000μmが好ましい。
尚、厚肉部が本体部の両面にある場合は、両側の高さの和が上記と同様の範囲となることが好ましい。
厚肉部の幅は300μm〜2000μmが好ましい。狭すぎると十分な接着強度が得られにくい。一方、広すぎると製袋において超音波のエネルギーが分散するため十分な接着が得られなかったり、熱接着面の樹脂溜りが多くなり外観が損なわれる。
厚肉部が設けられていない本体部の厚みT1は、テープ状部材の用途に応じて適宜変更されるが、製袋時の変形のし難さや柔軟性の確保の観点から、50〜500μmとすることが好ましい。
【0017】
本発明で使用するテープ状部材としては、例えば、本体部に雰囲気改良性層を形成した部材や、本体部の一面上に咬合具を形成した部材等が挙げられる。
図3は、雰囲気改良性層を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
テープ状部材2において本体部10の断面は、中間層である雰囲気改良性層21を、表層部22を形成する樹脂が覆っている構造を有する。表層部22には、図1の部材と同様に厚肉部11が形成されている。
【0018】
雰囲気改良性層としては、エラストマー等の基材に、液体香料、ゼオライト等の吸着剤、防錆オイル、酸素吸収性オイル等を混練したものが使用できる。具体的には、特開2003−221075号公報等を参照できる。
表層部としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレン(BPP)、ホモポリプロピレン(HPP)等、公知のポリオレフィン樹脂や、これらの混合物が使用できる。
尚、必要に応じて、エラストマー、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の改質材を添加してもよい。
【0019】
図4A〜Cは、それぞれ、咬合具を有するテープ状部材の一例を示す概略幅方向断面図である。
図4Aに示すテープ状部材3a(咬合具付きテープ)は、本体部10の一面上に雄の咬合具31を形成した構成を有する。同様に、図4Bに示すテープ状部材3bは、本体部10の一面上に雌の咬合具32を形成した構成を有し、図4Cに示す部材3cは、本体部10の一面上に雌雄の咬合具31,32をそれぞれ形成した構成を有する。いずれの部材においても、咬合具を形成した面の反対面に厚肉部11をテープ状部材3aの幅方向両端付近等に形成している。
尚、咬合具付きテープは、公知の方法により製造できる。
【0020】
本発明の方法では、上述したテープ状部材とフィルムを積層した状態で配置し、超音波シール装置の超音波ホーンとアンビルとの間を通過させることにより、厚肉部とフィルムとを超音波接着する。
本発明では超音波を利用してフィルムとテープ状部材を接着するが、使用する超音波シール装置は、特に限定はなく、本技術分野において公知であり、産業用として市販されているものが使用できる。超音波シール装置は、一般に、超音波発振器、振動子(コンバーター)及びホーン(共鳴体)を有し、発振器及び振動子で発生させた超音波振動(例えば、20kHzの振動数)をホーンにより被着体に伝導させる。ホーンと対向する位置にアンビルを配置し、ホーンとアンビルの間を被着体が通過することにより被着体が加圧され、超音波振動による摩擦熱が生じて被着体の一部が加熱溶融することにより接着させる。
超音波シール装置は、大掛かりなセパレーター等の装置を必要とするヒートシール装置と比べて、小型で取り外し可能であるため、既存の自動包装機に追加で取り付けることが可能である。
【0021】
図5(a)及び図5(b)は、テープ状部材、フィルム、超音波ホーン及びアンビルの位置関係の例を示す概略図である。
図5(a)では、超音波ホーン140側にテープ状部材1を、アンビル130側にフィルム110を配置している。一方、図5(b)では、超音波ホーン140側にフィルム110を、アンビル130側にテープ状部材1を配置している。
本発明では、図5(b)に示す配置が好ましい。この配置であると部材が熱により伸び難くなるため、綺麗な連続シールができやすい。特に、超音波ホーンの先端がテープ部材と平行しており、アンビルがローラー状であると好ましい。
尚、部材として咬合具付きテープ等、本体部に凸部を有する部材を使用する場合には、凸部(例えば、咬合具)が納まる溝を有するアンビルを使用することが好ましい。
【0022】
本発明においては、超音波ホーンとアンビルの間隙をS、本体部の厚みをT1、厚肉部の厚みをT2、フィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する。
S≦(T1+T2+T3) (1)
間隙Sが(T1+T2+T3)を超えると、部材の厚肉部とフィルムを接触させることができず、超音波振動が伝導できなくなるため接着できなくなる。
【0023】
また、本発明においては、下記式(2)を満たすように設定することが好ましい。
(T1+T3)<S (2)
間隙Sが(T1+T3)未満の場合、本体部の厚肉部以外の部分(厚みT1の本体部部分)もフィルムと圧着することになるため、超音波エネルギーが分散し、結果として接着が不十分となる場合がある。
【0024】
本体部の厚みT1は、本体部の厚肉部や咬合具等の突起状物や半折部等切欠部のない箇所の厚みを複数点測定し、その最大値を意味する。また、厚肉部の厚みT2は、本体部からの突出高さを意味し、本体部の両面に設けられる場合にはその合計値とする。
【0025】
超音波ホーンの形状は、特に限定はないが、例えば、図6に示すような形状が挙げられる。(a)は、ホーン先端が台形状断面であるもの、(b)は、ホーン先端が円弧状であるもの、(c)は円弧状先端に溝を有するものである。また、(d)のように、ホーンはローラー状で回転するもの等であってもよい。
【0026】
アンビルの形状としては、ホーンの形状と同様に、ホーン先端が台形状断面であるもの、円弧状であるもの、円弧状先端に溝を有するもの、又は、ローラー状で回転するもの等が挙げられる。好ましくは、ローラー状のアンビルである。ローラー状のアンビルにすることで擦れがなくなり美しく仕上がると共に、様々な溝幅、深さのローラーを容易に準備できる。
尚、様々な断面形状のテープ状部材を使用する場合、適切な溝を設けたローラー状のアンビルを使用すればよい。例えば、部材として咬合具付きテープを使用する場合には、ローラー状のアンビルに咬合具が納まる溝を設けたものを使用すればよい。このように、本発明の方法では、アンビルを交換することにより、各種テープ状部材に容易に適用できる。従って、様々なテープ状部材を使用した包装袋を製造できるので生産性が高い。
【0027】
ローラー状アンビルの場合、その直径は20mmφ程度でよい。本発明では超音波シール装置を使用するので、ヒートシールによる接着と比べて、ローラー径を小さくできる。そのため、装置を全体として小型化でき、かつ設備費を低減できる。尚、直径はより太くてもよいが、圧着に耐える強度とスムーズな回転が得られるなら、20mmφより細くてもよい。
【0028】
本発明の超音波接着方法は、包装袋の製造において好適に使用できる。本発明の包装袋の製造方法では、超音波シールによりテープ状部材をフィルムに接着する工程と、フィルムの2辺又は3辺を熱接着し、包装袋の側部にあたる辺を切断(サイドカット)することにより、包装袋の形状とする工程により製造される。以下、本発明の包装袋の製造方法の一実施形態について、図面を使用して説明する。
【0029】
図7は、本発明の包装袋の製造方法の一実施形態を説明するための概略図である。本実施形態は、例えば、テープ状部材として上述した雰囲気改良性層を有するテープ状部材等を、包装袋を形成するフィルムに接着する際に適用できる。
図7に示す装置は、原反フィルム110及び111を原反フィルムの巻重体(図示せず。)から繰り出す駆動ロールR’と、駆動ロールR’により繰り出された原反フィルム110及び111を、超音波シール装置の超音波ホーン140及びアンビル130の間隙に、又はヒートシールバー150及びシールバー受け160の間隙に供給する複数のガイドロールRと、テープ状部材1の蛇行を抑制するガイド120と、テープ状部材1と原反フィルム110とを接着する超音波シール装置(超音波ホーン140及びアンビル130)と、原反フィルム110及び111を、フィルムの進行方向に沿って接着し、包装袋のボトムシールを行うヒートシールバー150及びシールバー受け160と、原反フィルム110及び111を、フィルムの進行方向に直行する方向で接着し、包装袋のサイドシールを行うヒートシールバー170及びシールバー受け180を有する。
【0030】
尚、図7の製袋装置は、説明の都合上、一部省略して記載している。例えば、各包装袋に切断するサイドカット装置や、超音波シール装置本体等が省略されているが、これらには公知の装置が適用できる。
また、ガイド120の設置は必須ではないが、部材1の蛇行を制御するために設置することが好ましい。
ガイドの材質は金属でも合成樹脂でもよく、部材の位置ずれが起きず、部材がスムーズに繰り出せればよい。ガイドの形状としては、図8に示すようにテープ状部材の断面形状よりやや大きなガイド孔121を設けた板や筒状体、プーリー等が挙げられる。
ガイドと超音波ホーンの距離は、テープ状部材の蛇行度合いにもよるが、ガイド出口直後で超音波シールすることが望ましい。尚、蛇行が無い場合はガイドと熱接着する場所との距離は長くてもよい。
【0031】
本実施形態では、はじめにテープ状部材1と原反フィルム110(包装袋を形成する対向する第1及び第2のフィルムのうちの、第1のフィルム)を超音波シールにより接着する。具体的に、原反フィルム110は原反フィルムの巻重体から供給され、テンションロールRを通過したのち、超音波ホーン140及びアンビル130の間に導入される。一方、部材1は部材の巻重体から繰り出され、蛇行を制御するガイド120を通過した後、超音波ホーン140及びアンビル130の間に導入される。原反フィルム110と部材1を重ねた状態で、超音波ホーン140とアンビル130の間隙を通過させることにより、テープ状部材1の厚肉部と原反フィルム110を連続的に熱接着する。
【0032】
次いで、原反フィルム110と部材1を接着した後、原反フィルム110と他の原反フィルム(第2のフィルム)111の一端部をヒートシールバー150及びシールバー受け160により熱接着(ボトムシール)する。
その後、包装袋の側部となる部分をヒートシールバー170及びシールバー受け180により熱接着(サイドシール)する。サイドシールした部分の略中央部で切断することにより、包装袋のテープ状部材が超音波シールされた側が開放した状態の包装袋を得ることができる。尚、開封部は内容物を充填した後に熱接着等により閉じられる。
【0033】
図9に、本実施形態で得られる包装袋の概略図を示す。
本包装袋においては、袋の下部のボトムシール部201及び両側部のサイドシール部202は、それぞれ、ヒートシールバー150及びシールバー受け160、及びヒートシールバー170及びシールバー受け180により熱接着されたものである。ボトムシール部201とは反対側の開封部周辺に、テープ状部材1が接着されている。
【0034】
図10は、本発明の包装袋の製造方法の他の実施形態を説明するための概略図である。本実施形態は、例えば、テープ状部材として図4Cに示したような雌雄の咬合具を有するテープ状部材3cを、包装袋を形成するフィルムに接着して使用する際に適用できる。図4Cに示すように、テープ状部材3cは、本体部の幅方向における片面に、一対の雄雌の咬合具が並列に配置され、厚肉部は、本体部の咬合具形成面とは反対面に突出形成されている。
図10に示す装置は、原反フィルム110及びテープ状部材3cを各巻重体から繰り出す駆動ロールR’と、繰り出された原反フィルム110及びテープ状部材3cを超音波シール装置の超音波ホーン140及びアンビル130の間隙に供給するガイドロールRと、テープ状部材3cと原反フィルム110とを接着する超音波シール装置(超音波ホーン140及びアンビル130)とを有する。また、テープ状部材3cと原反フィルム110を接着した後、フィルム110の略中心線で折り畳み(図10の矢印Aはフィルムの折り畳みを表している。)、テープ状部材3cの雌雄の咬合具31,32を咬み合せた状態とした後、積層状態の原反フィルム110を、フィルムの進行方向に直行する方向で接着するヒートシールバー170及びシールバー受け180を有する。尚、図10の製袋装置も、説明の都合上、一部省略して記載している。
【0035】
図11は、テープ状部材3cと原反フィルム110を接着する工程を示す上面図であり、図12は、原反フィルム110を折り畳んだ後のサイドシールの工程を示す上面図である。尚、簡略化のため図11においては巻重体からガイドロールRまでのテープ状部材3cの図示を省略している。
テープ状部材3cと原反フィルム110を超音波シール装置にて接着した後、図11中、Aで示す点線に沿って、フィルム全体を2つ折りとする。そして、テープ状部材3cの雌雄の咬合具31,32を咬み合せた状態(図12参照)とした後、包装袋の側部となる部分をヒートシールバー170及びシールバー受け180により熱接着(サイドシール)する。サイドシール部202の略中央部で切断することにより、図13に示すように、包装袋のトップシールは形成されずにフィルム全体が折り曲げられた状態で、底部が開放した状態の包装袋を得ることができる。
【0036】
尚、上述した各実施形態では、超音波シール装置を1列のみ使用しているが、これに限らず、超音波シール装置を2列以上設置してもよく、また、複数の原反フィルムを使用する場合は各原反フィルム用に1機ずつ設置してもよい。
超音波シール装置を2列以上設置することにより、複数のテープ状部材を多列で熱接着できる。例えば、雰囲気改良性テープ部材と咬合具付きテープ部材を2列同時に又は逐次熱接着することができる。
また、各原反フィルム用に超音波シール装置を1機ずつ設置することにより、例えば、図4A及び図4Bに示す、雌雄のうち一方の咬合具を有する部材3a、3bを、第1及び第2の原反フィルム上にそれぞれ接着することができる。
【0037】
さらに、上述した各実施形態では原反フィルム同士を接着し、ボトムシールやサイドシールを行うための装置として、ヒートシールバーを使用したが、これに限らず、例えば、超音波シール装置を使用してもよい。
【0038】
原反フィルムは、一般的なラミネートフィルムを用いることができる。
PET/LLDPE、PET/CPP、OPP/CPP、OPP/LLDPE、Ny/LLDPE、Ny/CPP等を基本構成とし、中間層として必要に応じて他の層を設けてもよい。PETはポリエチレンテレフタレート、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、CPPは無延伸ポリプロピレン、OPPは二軸延伸ポリプロピレン、Nyはナイロンである。
【0039】
本発明の包装袋の製造方法は、一般的な製袋機に安価な超音波設備を取り付けるだけで、各種テープ状部材を使用した袋を容易に製造できる。
【実施例】
【0040】
実施例1
(1)雰囲気改良性層を有するテープ状部材の製造
2台の押出機と積層用フィードブロックに所望するテープ断面形状になるようなスリット孔の開いたプレートを取付けて図14に示す形状の部材を製造した。本部材では、本体部10両端に、断面が略半円状の厚肉部11をそれぞれ1列形成している。
表層部(被覆層)22として、ランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、MFR=7.0g/10分)を使用した。雰囲気改良性層21として、局方ハッカ油10wt%をクラレ社セプトン2063に混練してコンパウンドにした粒子を使用した。
部材本体部10の厚さ(T1)は170μm、幅(W1)は20mmとした。厚肉部11の厚さ(T2)は250μm、幅(W2)は400μmとした。雰囲気改良性層21の層厚は100μmとした。
【0041】
(2)包装袋の製造
図7の装置でテープ状部材を接着し、図9に示す包装袋を製造した。
上記(1)で作製したテープ状部材を用い、原反フィルムとしてPET(ポリエチレンテレフタレート)12μm/CPP(無延伸ポリプロピレン)30μmのドライラミネートフィルム(フィルムの総厚みT3が42μm)を用いた。
【0042】
超音波ホーンとアンビルの間隙Sは300μm、ガイドから超音波ホーンまでの距離は50mmとした。また、超音波の出力は180Wとした。本実施例で用いた超音波ホーンの形状を図15に、ガイドの形状を図16に示す。
アンビルとして、ロール状アンビル(ミスミ社製、20mmφ、長さ70mm、シャフトVSFJW)を用いた。
実施例1では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計(T1+T3)が212μmで、テープ状部材の本体厚みT1と、厚肉部の厚みT2と、フィルム厚みT3の合計(T1+T2+T3)が462μmで、超音波ホーンとアンビルの間隙Sが300μmであるので、(T1+T3)<S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
【0043】
200mmピッチ、40ショット/分でフィルム送りする度に、超音波ホーンにより超音波を発信し、テープ状部材を原反フィルムに連続的にシールした。テープ状部材の幅方向両端部にある厚肉部のみが、原反フィルム進行方向に直線状にヒートシールされた。ヒートシールされたテープ状部材の幅方向両端部は平行であり綺麗であった。赤色の浸透液で部材のシール部にピンホールがないか調べたがピンホール発生はなかった。
また、フィルム送り停止時は、電気的に超音波発信を停止させるだけでよく、超音波発信を発信した状態であっても、フィルムとテープ状部材の接触部分は厚肉部が発熱溶融し、ある程度潰されるとフィルムとテープ状部材との圧着力が低下し発熱しなくなるため、過度な溶融が起こらず、接着外観は美麗であった。
【0044】
その後、ヒートシールバー及びシールバー受けにより、袋の3辺(ボトムシール部、サイドシール部)をヒートシールした後、サイドシールの中央部を切断して包装袋を得た。
【0045】
実施例2
(1)咬合具を有するテープ状部材の製造
2台の押出機と積層用フィードブロックに所望する断面形状になるようなスリット孔の開いたプレートを取付けて図17に示す形状のテープ状部材を製造した。本部材は、本体部10の一面の幅方向一端周辺部に雄の咬合具31を、幅方向他端周辺部に雌の咬合具32を形成してある。また、本体部の他面の一端及びその周辺部に雄雌の咬合具32、33を挟む1列ずつ、並びに他端及びその周辺部に1列ずつ(計4列)、断面が略半円状の厚肉部11を形成してある。さらに、本体部10下面の略中央部には部材を折り曲げるための半折部42を設けている。
本体部10の表層部及び咬合具部31,32には、ランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、MFR=7.0g/10分)を使用し、中間芯層41にはホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、MFR=7.0g/10分)を使用した。
部材本体部10の厚みT1は180μm、幅(W1)は50mmとした。厚肉部の厚さ(T2)は500μm、幅(W2)は500μmとした。中間芯層の層厚は50μmとした。咬合具の高さは1mmとした。
【0046】
(2)包装袋の製造
図10の装置でテープ状部材を接着し、図13に示す包装袋を製造した。尚、超音波ホーンの形状は、幅方向長さを60mm(実施例1では34mm)に変更した他は、実施例1と同様である。アンビルとして、20mmφ、長さ70mmで、ステンレスシャフトに咬合具が納まる2本の溝を設けたものを使用した。
超音波ホーンとアンビルの間隙Sは350μmとした。また、超音波の出力は180Wとした。実施例2では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計(T1+T3)が222μmで、テープ状部材の本体厚みT1と、厚肉部の厚みT2と、フィルム厚みT3の合計(T1+T2+T3)が722μmで、超音波ホーンとアンビルの間隙Sが350μmであるので、(T1+T3)<S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
【0047】
200mmピッチで40ショット/分の速度でフィルムを送り、その都度超音波を発信して4箇所の厚肉部を原反フィルム面に連続的にシールした。
その結果、厚肉部のみが直線上にフィルム原反進行方向に並行に、かつシール部が判別できないほど綺麗に熱接着された。
赤色の浸透液で部材のシール部にピンホールがないか調べたがピンホール発生はなかった。
【0048】
テープ状部材を原反フィルムにシールした後、部材の半折部42で折り畳み、フィルムを積層状態とし、対向する雌雄の咬合具31,32を咬み合せた。積層状態のフィルムを、テープ状部材の垂直方向にヒートシールバーにより熱接着(サイドシール)した(図12参照)。サイドシール部の略中央部を切断することにより、袋の底部が開放した状態の包装袋を得た。
雌雄の咬合具部の接着状態は良好であり、安定した開閉ができた。
【0049】
実施例3
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを220μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。実施例3では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計が212μmであるので、(T1+T3)<S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
その結果、テープ状部材の幅方向両端部にある厚肉部のみが、原反フィルム進行方向に直線状にヒートシールされた。ヒートシールされたテープ状部材の幅方向両端部は平行であり綺麗であった。赤色の浸透液で部材のシール部にピンホールがないか調べたがピンホール発生はなかった。
【0050】
実施例4
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを200μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。つまり、実施例4では、テープ状部材の本体厚みT1とフィルム厚みT3の合計が212μmであるので、(T1+T3)>S<(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)は満たすが、(2)は満たしていない。
その結果、テープ状部材と厚肉部との接着は出来たが、テープ状部材の本体部においてフィルムが喰いこみ、白濁した線がテープ流れ方向に発生して一部に外観不良が生じるものがあった。また、厚肉部におけるシール強度も、実施例1と比べて弱くなっていた。
【0051】
実施例5
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを462μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。つまり、実施例5では、テープ状部材の本体厚みT1、厚肉部の厚みT2、及びフィルム厚みT3の合計が462μmであるので、(T1+T3)<S=(T1+T2+T3)となっており、上述した関係式(1)と(2)の両方を満たしている。
その結果、実施例1と比べて、テープ状部材の厚肉部とフィルムとの間で超音波が伝達されにくく、厚肉部とフィルムとは部分的な接着でシール線が細く、強度は弱いものの、一部の軽包装用途では使用可能と判断された。
【0052】
比較例1
実施例1で製造した雰囲気改良性層を持つテープ状部材において、2箇所の厚肉部を設けない部材を製造した。この部材を、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを150μmにした他は、実施例1と同様にして製袋した。
比較例1では、テープ状部材を厚肉部がない本体部のみで形成したため、テープ状部材の本体部厚みT1(150μm)と超音波ホーンとアンビルの間隙Sとが同一(T1=S)である。
その結果、超音波ホーンとアンビルによりテープ状部材の全面がしごかれて表面荒れを起こした。また、部分的な接着しかできなかった。
【0053】
比較例2
実施例1で製造した雰囲気改良層を持つテープ状部材を用いて、包装袋の製造を行った。包装袋の製造装置として、実施例1で用いた図7のアンビル130の代わりに、硬度70、厚み3mmのシリコーンラバーを巻きつけたステンレス製ロール(直径50mmφ、幅30mm)を設置し、図7の超音波ホーン140の代わりに、真鍮製ヒートシールロール(直径50mmφ、幅30mm)を設置して、テープ状部材とフィルムとをヒートシールにより接着した。
ヒートシールロールの温度を160℃、シリンダー圧力を1MPa(シリンダー径30mmφ)とし連続してヒートシールを行った。
その結果、接着開始まではヒートシールロールをフィルムから離しておかないと、フィルム及びテープ状部材が加熱により溶断するという不具合があった。また、連続的にヒートシールを開始した後は、製袋速度を速くするとフィルムとテープ状部材が接着し難くなる一方、ヒートシール温度を高くしすぎると、余熱によりフィルムやテープ状部材が加熱され、引き取り時にフィルムやテープ状部材が柔らかくなって伸びる等の問題が生じた。従って、厳しい条件調節が必要であった。
【0054】
比較例3
実施例1において、超音波ホーンとアンビルの間隙Sを470μmとした以外は、実施例1と同様の条件で製袋を行った。つまり、比較例4では、テープ状部材の本体厚みT1、厚肉部の厚みT2、及びフィルム厚みT3の合計が462μmであり、上述した関係式(1)を満たしていない。
その結果、テープ状部材の厚肉部とフィルムとの間で超音波が伝達されず、全く接着しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の超音波接着方法は、包装袋の製造に適している、具体的には、食品包装、雑貨包装、薬品包装等、各種包装袋の製造に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3a,3b,3c テープ状部材
10 テープ状本体部
11 厚肉部
21 雰囲気改良性層
22 表層部
31 雄の咬合具
32 雌の咬合具
41 中間芯層
42 半折部
50 セパレーター
51 溝
110,111 原反フィルム
130 アンビル
140 超音波ホーン
150,170 ヒートシールバー
160,180 シールバー受け
201 ボトムシール部
202 サイドシール部
R ガイドロール
R’ 駆動ロール
T1 テープ状部材本体部の厚み
T2 厚肉部の厚み
T3 フィルムの厚み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状本体部を有し、前記本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けたテープ状部材と、フィルムとを、積層した状態で配置し、超音波ホーンとアンビルとの間隙を通過させることにより、前記厚肉部とフィルムとを超音波接着し、
前記超音波接着時における前記間隙Sを、前記本体部の厚みをT1、前記厚肉部の厚みをT2及び前記フィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する超音波シール方法。
S≦(T1+T2+T3) (1)
【請求項2】
下記式(2)を満たすように設定する請求項1に記載の超音波シール方法。
(T1+T3)<S (2)
【請求項3】
前記超音波接着を連続して行う請求項1又は2に記載の超音波シール方法。
【請求項4】
前記超音波ホーンの先端が、前記テープ状部材と平行しており、前記アンビルがローラー状である請求項1〜3のいずれかに記載の超音波シール方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の超音波シール方法により、テープ状部材とフィルムを接着する工程を含む包装袋の製造方法。
【請求項1】
テープ状本体部を有し、前記本体部に厚肉部を少なくとも一つ設けたテープ状部材と、フィルムとを、積層した状態で配置し、超音波ホーンとアンビルとの間隙を通過させることにより、前記厚肉部とフィルムとを超音波接着し、
前記超音波接着時における前記間隙Sを、前記本体部の厚みをT1、前記厚肉部の厚みをT2及び前記フィルムの厚みをT3とした場合に、下記式(1)を満たすように設定する超音波シール方法。
S≦(T1+T2+T3) (1)
【請求項2】
下記式(2)を満たすように設定する請求項1に記載の超音波シール方法。
(T1+T3)<S (2)
【請求項3】
前記超音波接着を連続して行う請求項1又は2に記載の超音波シール方法。
【請求項4】
前記超音波ホーンの先端が、前記テープ状部材と平行しており、前記アンビルがローラー状である請求項1〜3のいずれかに記載の超音波シール方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の超音波シール方法により、テープ状部材とフィルムを接着する工程を含む包装袋の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−86491(P2012−86491A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236344(P2010−236344)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】
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