説明

超音波センサー、測定装置、および測定システム

【課題】簡単な構成で被検出物の位置を検出できる超音波センサー、測定装置、および測定システムを提供する。
【解決手段】プローブ10は、基板11と、基板面に設けられた4つ以上の超音波アレイ12と、超音波アレイ12から発信される超音波の発信角度を制御する遅延制御部と、を具備し、超音波アレイ12は、超音波を発信可能な超音波振動子が、走査直線方向Aに沿って複数配設された1次元アレイ構造を備え、遅延制御部は、各超音波素子から超音波を発信するタイミングを遅延させて、超音波アレイ12から発信される超音波の発信角度を制御する。そいて、各超音波アレイ12は、それぞれ走査直線方向Aが異ならせて、かつ、互いに離間した位置に配設された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
超音波を用いて被検出物の位置を検出可能な超音波センサー、測定装置、および測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を用いて、例えば生体内の血管などの被検出物の状態を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の装置は、血管の軸方向と平行な長手方向を有する振動子が設けられたプローブを備え、このプローブから、血管の壁に対して垂直となる血管径検出用超音波ビーム、および血管の軸方向に対して斜めに交差する速度検出用超音波ビームを発信して、血管径および血流の時間的変化を測定している。
【0004】
ところで、上記特許文献1のような装置で、血流や血圧を測定する場合、血管の位置を正確に特定し、血管の軸方向と、振動子の方向を合わせる必要があった。このような血管の位置は、例えば医者などの専門の知識が有する利用者であれば、容易に特定可能であるが、専門知識を有しない者では、容易に特定することができない。したがって、上記のような装置は、専門知識を有する者にとっては容易に操作できても、専門知識を有しない一般の利用者にとって、正しく操作することは困難となる。また、血管の状態を24時間継続して測定する場合、血管の位置がずれることがあり、血管の軸方向に対して振動子の方向を設定できず、正確な測定結果が得られないという問題もある。
【0005】
これに対して、近年、被検出物の位置を特定する方法(例えば、特許文献2参照)や、血管の変位を測定する方法(例えば、特許文献3参照)、が提案されている。
【0006】
特許文献2に記載の装置は、2次元アレイ状に血管位置検出用トランスデューサーを配置した超音波プローブを備えている。この装置では各血管位置検出用トランスデューサーの直下に超音波を発信し、超音波プローブの直下の血管で反射された超音波を検出することで、血管の位置を測定する。
また、特許文献3に記載の装置では、血流測定用の探触子の両端側に、血流が最大となる位置を検査するための単一振動子を配置して、血管位置を検出する構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−34543号公報
【特許文献2】特開2002−11008号公報
【特許文献3】特開2009−201557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献2のような装置では、血管の位置を検出するためには、アレイ状に配置された血管位置検出用トランスデューサーの直下に血管が位置している必要がある。また、特許文献3のような装置でも、単一振動子の直下に血管が位置している必要がある。したがって、プローブ面の直下にある血管位置を検出するには、プローブ面全体にこのような血管位置検出用トランスデューサーや単一振動子を配置する必要があり、構成が複雑化し、製造コストも増大してしまうという問題がある。また、XY方向に均等に超音波振動子を配置した2次元アレイセンサーを用いて、血管位置を検出する場合も考えられるが、この場合でも、2次元アレイの各超音波振動子への配線構造が複雑化し、製造コストも増大するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、簡単な構成で被検出物の位置を検出できる超音波センサー、測定装置、および測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の超音波センサーは、プローブ面と、プローブ面に設けられた複数の超音波アレイと、前記超音波アレイから発信される超音波の発信角度を制御する遅延制御部と、を具備し、前記超音波アレイは、複数の超音波素子が走査直線方向に沿って配設されたライン状アレイ構造を備え、前記遅延制御部は、各超音波素子から超音波を発信するタイミングを遅延させることで、前記超音波アレイから発信される超音波の発信角度を制御し、前記プローブ面に設けられる複数の前記超音波アレイは、それぞれ、前記超音波素子が配設される前記走査直線方向が異なる方向であるとともに、互いに離間した位置に配設されたことを特徴とする。
なお、本発明で述べる超音波アレイでは、超音波の送信および受信の双方を実施可能な超音波素子が複数配設される構成の他、例えば1つの超音波アレイの中に、超音波送信用の超音波素子と、超音波受信用の超音波素子との双方が設けられる構成、または超音波センサーに、超音波送信用超音波アレイと、超音波受信用の超音波アレイとの双方が設けられる構成なども含むものである。
【0011】
この発明の超音波センサーでは、ブローブ面に、走査直線方向および配設位置が異なる複数の超音波アレイが配設されており、これらの超音波アレイは、走査直線方向に沿って超音波素子を複数配置したライン状アレイ構造に構成されている。また、遅延制御部は、各超音波素子を駆動させるタイミングを遅延させることで、超音波の発信角度を変化させる。したがって、超音波アレイの各超音波素子を結び、走査直線方向と同方向となる走査直線とすると、超音波アレイは、走査直線を通ってプローブ面に直交する面内で、超音波の角度を変化させて発信されることが可能となる。また、被検出物の位置を測定する際、各超音波アレイから発信される超音波が略平面波として伝搬する範囲(いわゆる、フレネルゾーン)がスキャンエリアとなるが、上記のように、超音波の発信角度を変化させることで、超音波アレイを中心とした扇状のスキャンエリアを形成することが可能となる。このような場合、超音波アレイの直下領域に限らず、より広い範囲に存在する被検出物を検出することが可能となる。
そして、超音波センサーには、プローブ面に超音波アレイが2つ以上に設けられ、2つの超音波アレイにより被検出物の位置を容易に検出することができる。
つまり、被検出物が、生体における血管などの管形状を有する場合や、棒状形状を有する場合など、軸方向を有する形状である場合、所定の2点の位置座標が分かれば、この2点を結ぶ直線方向に被検出物が存在すると予測することができる。特に、微小体積領域内において被検出物の軸方向がほぼ変化しない場合では、2つの超音波アレイにより測定される2点を結ぶ直線上に被検出物が位置すると見なすことができる。
したがって、本発明の超音波センサーでは、2つの超音波アレイから超音波を発信させ、その反射波を受信することで、超音波が反射された2つの反射位置を取得することが可能であるため、これらの反射位置の情報により、被検出物が存在する位置、軸方向を把握することが可能となる。このような超音波センサーでは、プローブ面の全体に超音波アレイや超音波素子を引き詰める必要がなく、簡単な構成で被検出物の位置を検出することができる。
【0012】
本発明の超音波センサーでは、前記超音波アレイは、前記プローブ面に3つ以上配設され、前記プローブ面上に、これらの超音波アレイの前記走査直線方向より囲われる閉領域が形成されたことが好ましい。
【0013】
この発明では、プローブ面に3つ以上の超音波アレイの走査直線方向により囲われる閉領域が形成されている。この場合、軸方向を有する被検出物が、この閉領域の直下の体積領域を貫通して位置している場合、閉領域を形成する3つ以上の超音波アレイのうち、少なくとも2つにより、確実に被検出物の両端位置を検出することが可能となる。
【0014】
本発明の超音波センサーでは、前記プローブ面は多角形状に形成され、このプローブ面の各辺の一部に、それぞれ超音波アレイが配設され、これらの超音波アレイは、それぞれ、対応する辺の方向と前記走査直線方向とが平行になる状態に配設されたことを特徴とする。
【0015】
この発明では、プローブ面の各辺にそれぞれ超音波アレイが設けられている。また、各超音波アレイの走査直線方向は、対向する各辺の線方向に平行となる。したがって、これらの走査直線方向に沿う走査直線により囲われる閉領域は、プローブ面全面となる。ここで、上述した発明と同様に、閉領域の直下の体積領域を、軸方向を有する被検出物が通過する場合、この閉領域を形成する超音波アレイのうち少なくとも2つにより、確実に被検出物の2点が検出される。したがって、プローブ面の直下に位置する被検出物を確実に検出することが可能となる。
また、各超音波アレイは、各辺の一部に超音波アレイが形成され、残りの部分に超音波アレイと通信するための配線を形成することができる。したがって、プローブ面の全面に対して超音波素子が形成される場合に比べて、配線が形成しやすくなる。また、このような構成であればプローブ面の中央部に、他のセンサー素子や回路を形成することが可能となる。
【0016】
ここで、本発明の超音波センサーでは、前記プローブ面の各辺に対して、少なくとも2つ以上の超音波アレイが、互いに離間して配設されたことが好ましい。
【0017】
上述したように、各超音波アレイは、遅延制御部により走査直線方向に沿って超音波の発信角度を調整可能であり、走査直線を通りプローブ面に直交する面内に扇状のスキャンエリアを持つ。したがって、プローブ面の各辺に対して、複数の超音波アレイを互いに離間させて配置することで、スキャン範囲を大きく広げることができ、例えば、各辺の全域に亘る大きな範囲をスキャンエリアとすることもでき、少ない超音波アレイで、より広い範囲に位置する被検出物を検出することができる。
また、各超音波アレイが互いに離間して配設されているため、超音波アレイ間の隙間に配線を形成することができる。例えば、プローブ面の中央部に、他のセンサーや回路を設ける必要がある場合、この超音波アレイ間の隙間に配線パターンを形成することが可能となる。
【0018】
本発明の超音波センサーでは、前記超音波アレイの前記超音波素子は、前記走査直線方向に対して直交する走査直交方向に並び、異なるタイミングで超音波を発信可能な複数の超音波振動子を備え、これらの前記超音波振動子のうち、走査直交方向の両端側に配置された前記超音波振動子から、中央に配置された前記超音波振動子に向かうに従って、超音波を遅延させて発信させることが好ましい。
【0019】
この発明では、各超音波素子は、走査直交方向に並ぶ複数の超音波振動子により形成されている。このような構成では、これらの超音波振動子から超音波を発信するタイミングを異ならせることが可能であり、両端部から中央に向かうに従って、超音波の発信タイミングが遅延させることで、所定のフォーカス点に向かって超音波を集束させることが可能となる。この場合、各超音波素子により発信される超音波のうち、略平面波が発信される範囲であるフレネルゾーンを拡大することができ、超音波素子から超音波が平面波として伝搬される距離を延長させることができる。したがって、超音波アレイからより長い距離までをスキャンエリアをすることができる。
【0020】
ここで、本発明の超音波センサーでは、前記遅延制御部は、前記走査直交方向に沿って配設された複数の前記超音波振動子のうち、両端側に配設された前記超音波振動子から、中央に配設された前記超音波振動子に向かうに従って、超音波を発信するタイミングを遅延させることが好ましい。
【0021】
上述したような複数の超音波振動子が走査直交方向に配設される場合において、両端から中心に向かうに従って超音波の発信タイミングを遅延させることで、フレネルゾーンを拡大して、平面波が伝搬される距離を延長させることができる。この遅延時間は、例えば予め設定された時間であり、所定の遅延回路を用いて遅延駆動信号を発信する構成としてもよいが、本発明では、遅延制御回路により遅延時間を制御することで、フレネルゾーンを制御することができる。この場合、例えば超音波センサーから被検出物までの距離に応じて適宜遅延制御回路により遅延時間を切り替えることもできる。例えば、生体内の血管検出において、皮膚から血管までの距離が短い指の血管を検出対象とする場合では、各超音波振動子からの超音波発信タイミングをほぼ同一タイミングとし、皮膚から血管までの距離が長い腕や脚の血管を検出対象とする場合では、各超音波振動子からの超音波発信タイミングをより遅延させてフレネルゾーンを拡大して、超音波が平面波として伝搬される距離を長くするなどの制御が可能となる。
【0022】
本発明の測定装置は、上述した超音波センサーを備えたことを特徴とする。
【0023】
上述したように、上記超音波センサーでは、簡単な構成で被検出物の位置を検出することができ、製造コストを低減させることができ、このような超音波センサーを用いた測定装置においても製造コストの低減を図ることができる。
【0024】
また、本発明の測定装置は、複数の前記超音波アレイのうち、超音波を出入力させる前記超音波アレイを切り替える駆動アレイ切替部と、前記超音波アレイで検出される反射超音波に基づいて、超音波が反射された反射位置を演算する反射位置演算部と、前記反射位置演算部により検出される前記反射位置から、被検出物の位置を演算する位置演算部と、を具備することが好ましい。
【0025】
この発明では、測定装置は、超音波センサーの少なくとも2つ以上の超音波アレイのうち、駆動させる超音波アレイを駆動アレイ切替部で切り替える。これにより、他の超音波アレイで発信される超音波が入力されてノイズとなる不都合を回避できる。また、遅延制御部の制御により、超音波アレイから超音波が発信され、被検出物により反射されるとその反射波が再び超音波アレイで受信され、超音波アレイから受信された反射超音波に応じた電気信号(受信信号)が生成される。反射位置演算部は、この受信信号が受信された際の超音波の発信角度、超音波が発信されてから反射波が受信されるまでの時間に基づいて、超音波が反射された点を演算する。
測定装置では、駆動アレイ切替部で超音波を発信させる超音波アレイを切り替え、上記のような処理を各超音波アレイに対して実施する。そして、被検出物により反射された反射位置が2点検出されると、位置演算部は、これらの2点を結ぶ線方向を演算し、被検出物が存在する位置として認識する。
このような測定装置では、上述のように、超音波センサーで検出した被検出物の2点の超音波反射位置により、被検出物が存在する位置や軸方向を演算により容易に求めることができる。
【0026】
本発明の測定システムは、上述した超音波センサーを備えたことを特徴とする。
【0027】
上述したように、上記超音波センサーでは、簡単な構成で被検出物の位置を検出することができ、製造コストを低減させることができ、このような超音波センサーを用いた測定システムにおいても製造コストの低減を図ることができる。
【0028】
また、本発明の測定システムは、前記超音波センサーと通信可能に接続される制御装置を具備し、前記超音波センサーは、前記超音波アレイで検出される反射超音波に基づいた受信信号を前記制御装置に送信すると共に、前記制御装置から入力される駆動信号に基づいて、前記超音波アレイを駆動させ、前記制御装置は、前記超音波センサーから送信された前記受信信号に基づいて、超音波が反射された反射位置を演算する反射位置演算部と、前記反射位置演算部により検出される前記反射位置から、被検出物の位置を演算する位置演算部と、を備えることが好ましい。
【0029】
ここで、超音波センサーと制御装置との間の信号送信には、例えばリード線などの有線接続であってもよく、例えば赤外線や電波、Bluetooth(登録商標)などを用いた無線通信により信号を送信する構成であってもよい。
このような測定システムでは、上述した測定装置と同様に、超音波センサーで検出した被検出物の2点の超音波反射位置により、被検出物が存在する位置や軸方向を演算により容易に求めることができる。
また、制御装置で、各種信号処理を実施するため、超音波センサーに、各種演算回路などを設ける必要がなく、超音波センサーの小型化、薄型化を図ることができる。このような構成では、例えば生体の血管位置を測定する場合において、プローブをテーピングにより生体に貼り付けて使用することができるなど、利用の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る第一実施形態の生体検査装置の概略を示す斜視図であり、(A)は、生体検査装置の表面側、(B)は生体検査装置の裏面側を示す図である。
【図2】第一実施形態の生体検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第一実施形態のプローブの概略構成を示す平面図である。
【図4】第一実施形態の超音波アレイを拡大した平面図、およびその断面を示す図である。
【図5】各超音波素子(1)〜(4)に入力する駆動信号を、△tだけ順に遅延させて、入力した際の超音波の発信角度を示す図である
【図6】第一実施形態において、超音波アレイのスキャンエリアを示す図である。
【図7】第一実施形態の超音波振動子から発信される超音波のビーム形状を示す図である。
【図8】第一実施形態の生体検査装置による血管位置測定処置のフローチャートである。
【図9】プローブの直下領域に血管が存在する場合の一例を示す模式図である。
【図10】反射位置測定方法を説明するための図である。
【図11】本発明に係る第二実施形態の生体検査装置のプローブの基板面の平面図である。
【図12】第二実施形態の超音波アレイのフレネルゾーンと、1つの超音波振動子により出力される超音波のフレネルゾーンとの差を示す図である。
【図13】複数の超音波振動子から発信した超音波を所定の1点に集束させた状態を示す図である。
【図14】本発明に係る第三実施形態のプローブの概略構成を示す断面図、および平面図である。
【図15】本発明に係る第四実施形態の生体検査システムの概略を示す斜視図である。
【図16】第四実施形態の生体検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【図17】他の実施形態のプローブの概略構成を示す平面図である。
【図18】さらに他の実施形態のプローブの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態の超音波センサーを備えた測定装置である生体検査装置について、図面に基づいて説明する。
【0032】
〔1.生体検査装置の全体構成〕
図1は、第一実施形態の生体検査装置の概略を示す斜視図であり、(A)は、生体検査装置の表面側、(B)は生体検査装置の裏面側を示す図である。
図1において、生体検査装置1は、超音波により、血流や血圧、脈拍などの血管の状態を測定する装置である。具体的には、生体検査装置1は、図1に示すように、装置本体2と、装置本体2に接続されるバンド3を備えている。そして、このような生体検査装置1は、裏面を生体に密着させた状態でバンド3を締めることで生体に装着され、例えば24時間血管の状態を監視、測定することが可能となる。
【0033】
〔2.装置本体の構成〕
この生体検査装置1の装置本体2の表面側には、図1(A)に示すように、測定結果を示す表示部4や、生体検査装置1を操作するための操作部5などが設けられている。また、装置本体2の裏面側には、プローブ窓6が形成され、このプローブ窓6に本発明の超音波センサーを備えたプローブ10が設けられている。このプローブ10は、生体検査装置1により生体内の血管状態を測定する際に、生体に密着される。
【0034】
図2は、本実施形態の生体検査装置1の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、生体検査装置1は、プローブ10と、超音波アレイ切替回路21と、送受信切替回路22と、超音波モード切替制御部23と、超音波信号発信回路24と、信号遅延回路25と、受信計測部26と、遅延時間計算部27と、記憶部28と、中央演算回路29と、を含んで構成されている。なお、本発明の超音波センサーは、プローブ10、超音波信号発信回路24、信号遅延回路25により構成されている。
【0035】
〔2−1.プローブの構成〕
図3は、第一実施形態のプローブの概略構成を示す平面図である。
図3に示すように、プローブ10は、本発明のプローブ面を構成する矩形状の基板11を備えている。また、基板11の厚み方向から当該基板11を見た平面視において、基板11の各辺の中央部には、超音波アレイ12(12A,12B,12C,12D)が設けられており、基板11の面内中心位置には、血流や血圧、脈拍などの血管状態を測定する生体検査センサー13が設けられている。より具体的には、プローブ10は、基板11と、基板11上に積層形成される支持膜14(図4参照)と、支持膜14を覆う保護層(図示略)とを備えている。保護層は、後述する超音波アレイ12や生体検査センサー13、支持膜14上に形成される配線パターンなどを外圧から保護する層であり、音響インピーダンスが生体と略同等である素材、例えばシリコーンゴムなどにより形成される。
【0036】
図4は、超音波アレイを拡大した平面図、およびその断面を示す図である。なお、図4では、保護層を省略した図を示す。
基板11の各辺の中央部には、上述したように超音波アレイ12が配置され、この超音波アレイ12は、ダイアフラム141と、圧電体15とにより構成される超音波振動子16により構成されている。
具体的には、図4に示すように、基板11は、各辺(11A〜11D)の直線方向(走査直線方向A)に沿って並ぶ複数の開口部111を備えている。また、基板11には、上述のように支持膜14が積層され、各開口部111は支持膜14により閉塞されている。この支持膜14のうち、開口部111を閉塞する領域によりダイアフラム141が構成される。そして、このダイアフラム141上には、圧電体15が設けられている。
ここで、開口部111の並び方向、すなわち超音波振動子16の並び方向は、辺11A〜11Dの直線方向と一致し、本発明の走査直線方向Aとなる。つまり、超音波アレイ12は、走査直線方向Aに沿って、複数の超音波振動子16が配設されたライン状アレイ構造(1次元アレイ構造)を有している。ここで、第一実施形態では、これらの超音波振動子16のそれぞれが、本発明の超音波素子を構成しており、超音波アレイ12は、複数の超音波素子である超音波振動子16を1次元アレイ構造に配設した素子群となる。
なお、本実施形態では、プローブ10と、超音波アレイ12とにおいて、共通の基板11が用いられる例を示すが、例えば、プローブ10を構成する基板11上に、超音波アレイ12を構成するアレイ基板を別途配置する構成などとしてもよい。
【0037】
本実施形態のプローブ10および超音波振動子16をより具体的に説明すると、基板11は、例えばエッチングなどにより加工が容易なシリコン(Si)などの半導体形成素材により形成される。また、基板11に形成される開口部111は、平面視で例えば円形状に形成されている。なお、開口部の平面形状として、ここでは、円形を例示するが、これに限定されず、ダイアフラム141の撓みバランスや、圧電体15によるダイアフラム141の振動安定性に応じて、例えば矩形状などその他の形状に形成されてもよい。
【0038】
支持膜14は、基板11上で、開口部111を閉塞する状態に成膜されている。この支持膜14は、例えばSiO膜とZrO層との2層構造により構成されている。ここで、SiO層は、基板11がSi基板である場合、基板表面を熱酸化処理することで成膜することができる。また、ZrO層は、SiO層上に例えばスパッタリングなどの手法により成膜される。ここで、ZrO層は、後述する圧電膜152として例えばPZTを用いる場合に、PZTを構成するPbがSiO層に拡散することを防止するための層である。また、ZrO層は、圧電膜152の歪みに対する撓み効率が向上させるなどの効果もある。
【0039】
圧電体15は、支持膜14の上層に積層される下部電極151と、下部電極151上に形成される圧電膜152と、圧電膜152上に形成される上部電極153とを備えている。
また、下部電極151には、例えば図4(A)に示すように、支持膜14上で走査直線方向Aに対して直交する走査直交方向に沿って延出する下部電極線151Aが接続されている。この下部電極線151Aは、各超音波振動子16に対して、それぞれ独立して設けられている。
また、上部電極153には、支持膜14上の走査直線方向Aに沿って延出する上部電極線153Aが接続されている。この上部電極線153Aは、1つの超音波アレイ12において共通電極線となる。すなわち、上部電極線153Aは、図4に示すように、隣り合う超音波振動子16の上部電極153に接続されており、端部において、例えばGNDに接続されている。これにより、各超音波振動子16の上部電極153がアースされることになる。
なお、ここでは、上部電極線153Aを超音波アレイ12における共通電極線としてGNDに接続し、下部電極線151Aをそれぞれ独立して形成することで、各超音波振動子16を個別に駆動可能となる構成を例示したが、例えば下部電極線151Aを共通電極線としてGNDに接続し、上部電極線153Aをそれぞれ独立して形成する構成などとしてもよい。
これらの下部電極151、上部電極153、下部電極線151A,および上部電極線153Aの形成素材としては、導電性を有する金属膜であればよく、金属膜を複数層積層した積層膜を用いてもよい。なお、本実施形態では、下部電極151および下部電極線151Aとして、Ti/Ir/Pt/Ti積層膜を用い、上部電極153および上部電極線153Aとしては、Ir膜を用いている。
【0040】
圧電膜152は、例えばPZT(ジルコン酸チタン酸鉛:lead zirconate titanate)を膜状に成膜することで形成される。なお、本実施形態では、圧電膜152としてPZTを用いるが、電圧を印加することで、面内方向に収縮することが可能な素材であれば、いかなる素材を用いてもよく、例えばチタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb、La)TiO)などを用いてもよい。
【0041】
このような超音波振動子16では、下部電極151と、上部電極153とに電圧を印加することで、圧電膜152が面内方向に伸縮する。このとき、圧電膜152の一方の面は、下部電極151を介して支持膜14に接合されるが、他方の面には、上部電極153が形成されるものの、この上部電極153上には他の層が積層形成されないため、圧電膜152の支持膜14側が伸縮しにくく、上部電極153側が伸縮し易くなる。このため、圧電膜152に電圧を印加すると、開口部111側に凸となる撓みが生じ、ダイアフラム141を撓ませる。したがって、圧電膜152に交流電圧を印加することで、ダイアフラム141が膜厚方向に対して振動し、このダイアフラム141の振動により超音波が発信される。
また、超音波振動子16で超音波を受信する場合、超音波がダイアフラム141に入力されると、ダイアフラム141が膜厚方向に振動する。超音波振動子16では、このダイアフラム141の振動により、圧電膜152の下部電極151側の面と上部電極153側の面とで電位差が発生し、上部電極153および下部電極151から圧電膜152の変位量に応じた受信信号(電流)が出力される。
【0042】
そして、このような超音波振動子16が走査直線方向Aに沿って複数配置される超音波アレイ12では、各超音波振動子16から超音波を発信させるタイミングを遅延させてずらすことで、所望の方向に超音波の平面波を発信することが可能となる。
図5は、各超音波素子(1)〜(4)に入力する駆動信号を、△tだけ順に遅延させて、入力した際の超音波の発信方向(発信角度)を示す図である。
各超音波振動子16から超音波を発信させると、これらの超音波が互いに強めあう合成波面Wが形成されて伝搬される。ここで、図5に示すように、配設間隔がdに設定された各超音波素子(1)〜(4)へ入力する駆動信号を△tだけ遅延させると、先に駆動信号が入力された超音波振動子16から発信される超音波の波面と、後に駆動信号が入力された超音波振動子16から発信される波面とで、位相が異なるため、合成波面Wが走査直線方向Aに対して傾斜して伝搬される。
この時、合成波面Wの伝搬方向と、走査直線方向Aに直交する走査直交方向との発信角度をθs、音速をcとすると、次式(1)の関係が成立する。
【0043】
【数1】

【0044】
図6は、1つの超音波アレイ12により血管位置測定が可能なスキャンエリアを示す図である。図7は、超音波振動子16から発信される超音波のビーム形状を示す図である。
超音波アレイ12は、上述のように、各超音波振動子16に入力する駆動信号のタイミングを遅延させることで、超音波の発信角度を変化させることになる。ここで、超音波アレイ12は、1次元アレイ構造を有しているため、超音波の発信角度は、図6に示すように、走査直線方向Aを通り、基板11に対して直交する面(スキャン面S)内に制限され、スキャン面Sに対して交差する方向に発信角度を変化させることはできない。
【0045】
さらに、有限の面積を持った各超音波振動子16のダイアフラム141から発信される超音波は、図7に示すようなビーム形状(図7中、一点鎖線にて示す)となる。ここで、超音波振動子16のダイアフラム141の直径をDとし、波長λの超音波を発信した場合、ダイアフラム141からD/4λまでの距離がフレネルゾーンとなる。このフレネルゾーンでは、超音波がほぼ平面波として伝搬させることが可能となり、フレネルゾーンを越える範囲であるフラウンホーファーゾーンでは、超音波の波面が球面状となって拡散伝搬される。超音波により血管の位置を測定する場合、フラウンホーファーゾーンでは、超音波が拡散されるため、正確な位置情報を取得することができないので、フレネルゾーン内の血管を超音波により検出することになる。
以上により、1つの超音波アレイ12により、血管位置を測定可能なスキャンエリアSareaは、図6に示すように、走査直線方向Aを通り、基板11に対して直交するスキャン面S内で、かつ、超音波アレイ12からの距離がフレネルゾーンの範囲内(超音波アレイ12からの距離がD/4λまでの範囲)となる扇状範囲となる。
なお、ここでは、超音波振動子16の走査直交方向の厚み寸法が十分小さいものであるため、超音波アレイ12によるスキャンエリアSareaは、スキャン面S内としたが、例えば、超音波振動子16が走査直交方向に沿って長手状に形成される場合、スキャンエリアSareaは、超音波振動子16の長手方向の寸法分だけ幅寸法を有する体積領域となる。
【0046】
本実施形態のプローブ10では、上記のような超音波アレイ12が、基板11の各辺11A〜11Dの中央部に配置されるため、4つの超音波アレイ12の各走査直線方向Aにより囲われる閉領域が形成される。また、各超音波アレイ12のスキャンエリアSareaは、各走査直線方向Aを通り、基板11に対して直交するスキャン面S内に形成される。したがって、プローブ10の直下の直方体領域(図9参照:以降、直下領域Svと称す)の側面Sa,Sb,Sc,Sdが、各超音波アレイのスキャンエリアSareaと重なる。このようなプローブ10では、プローブ10の直下領域Svに血管が通過する場合、血管は、4つの側面Sa,Sb,Sc,Sdのいずれか2つの面に交差する。したがって、各超音波アレイ12からスキャンエリアSareaに超音波を発信し、反射された超音波を受信することで、血管と側面Sa,Sb,Sc,Sdとの交差点を検出することが可能となる。
【0047】
〔2−2.超音波アレイ切替回路の構成〕
次に、図2に戻って、装置本体2の他の構成について、説明する。
超音波アレイ切替回路21は、プローブ10に設けられる4つの超音波アレイ12のうち、駆動させる超音波アレイ12を切り替えるスイッチング回路である。
本実施形態の生体検査装置1では、1つの超音波アレイ12から超音波の送受信が実施されている間、他の超音波アレイ12への駆動信号の出力、および他の超音波アレイ12からの受信信号の受信は実施しない。これにより、駆動対象となった超音波アレイ12では、他の超音波アレイ12から発信された超音波を受信してしまい、ノイズが検出される不都合や、駆動対象以外の超音波アレイ12から受信信号が検出されてしまう不都合を回避できる。
この超音波アレイ切替回路21は、例えば、各超音波アレイ12の下部電極線151Aおよび上部電極線153Aに接続される端子群を備え、中央演算回路29から入力されるアレイを選択する旨の切替制御信号に基づいて、切替制御信号に基づいた超音波アレイ12に対応した端子群と、送受信切替回路22とを接続する。また、駆動させない超音波アレイ12に対応した端子群は、例えば、下部電極線151Aおよび上部電極線153Aの双方をGNDに接続するなどすることで、駆動させない構成としてもよい。
【0048】
〔2−3.送受信切替回路の構成〕
送受信切替回路22は、超音波モード切替制御部23から入力されるモード切替信号に基づいて、接続状態を切り替えるスイッチング回路である。
具体的には、超音波モード切替制御部23から超音波発信モードに切り替える旨の制御信号が入力された場合、送受信切替回路22は、信号遅延回路25から入力された駆動信号を、超音波アレイ切替回路21に出力可能な接続状態に切り替わる。一方、送受信切替回路22は、超音波モード切替制御部23から超音波受信モードに切り替える旨の制御信号が入力された場合、超音波アレイ切替回路21から入力される受信信号を受信計測部26に出力可能な接続状態に切り替わる。
【0049】
〔2−4.超音波モード切替制御部の構成〕
超音波モード切替制御部23は、超音波アレイ12から超音波を発信させる超音波発信モードと、超音波アレイ12にて超音波を受信させる超音波受信モードと、を切り替える。
具体的には、超音波モード切替制御部23は、中央演算回路から血管位置測定を開始する旨の制御信号が入力されると、まず、超音波モードに切り替える処理を実施する。この処理では、超音波モード切替制御部23は、送受信切替回路22に、発信モードに切り替える旨の制御信号を出力し、超音波信号発信回路24から駆動信号を出力させる旨の制御信号を出力する。また、超音波モード切替制御部23は、図示しない計時部(タイマー)により計測される時間を認識し、超音波発信モードから所定の発信時間経過後に、超音波受信モードに切り替える処理を実施する。ここで発信時間は、超音波アレイ12から例えば1〜2周波数のバースト波が発信される時間程度に設定されていればよい。受信モードでは、超音波モード切替制御部23は、送受信切替回路22に受信モードに切り替える旨の制御信号を出力して、送受信切替回路22を、超音波アレイ12から入力される受信信号を受信計測部26に入力可能な接続状態にスイッチングさせる。
なお、超音波モード切替制御部23は、上記処理を例えば予め設定された回数実施する。この回数は、超音波の発信角度の設定数により適宜設定される回数であり、例えば、図6に示すように、超音波の発信角度を5段階に切り替えて血管位置を測定する場合、5回上記の処理を繰り返す。
なお、受信信号に基づいて、血管位置が検出できなかった場合、さらに上記処理を繰り替えしてもよい。
【0050】
〔2−5.超音波信号発信回路の構成〕
超音波信号発信回路24は、発信モードにおいて、超音波モード切替制御部23から駆動信号を出力させる旨の制御信号が入力されると、超音波アレイ12の超音波振動子16を駆動させるための駆動信号(駆動電圧)を信号遅延回路25に出力する。
【0051】
〔2−6.信号遅延回路の構成〕
信号遅延回路25は、超音波信号発信回路24から、各超音波振動子16に対する駆動信号が入力されると、その駆動信号を遅延させて送受信切替回路22に出力する。
ここで、信号遅延回路25は、遅延時間計算部27から入力される遅延設定信号に基づいて、各超音波振動子16を駆動させるための駆動信号を△tずつ遅延させて送受信切替回路22に出力する。
【0052】
〔2−7.受信計測部の構成〕
受信計測部26は、計時部にて計測される時間を監視し、超音波が受信されまでの時間を計測する。
具体的には、受信計測部26は、超音波モード切替制御部23が発信モードに切り替える処理を実施したタイミング、すなわち超音波アレイ12から超音波が発信され、超音波モード切替制御部23により、計時部でカウントされる時間がリセットされてからの時間を監視する。そして、超音波モード切替制御部23が受信モードに切り替える処理を実施され、超音波アレイ12で受信された反射超音波に応じた受信信号が送受信切替回路22から受信計測部26に入力されると、その入力されたタイミングでの時間(TOFデータ:Time Of Flightデータ)を取得する。また、取得したTOFデータは、中央演算回路29に入力される。
【0053】
〔2−8.遅延時間計算部の構成〕
遅延時間計算部27は、中央演算回路29から入力される発信角度データに基づいて、各超音波振動子16の駆動遅延時間を算出する。
ここで、この発信角度データは、記憶部28に予め記憶されているデータであり、例えば、本実施形態では、図6に示すように、θs=θ1〜θ5の5つの発信角度データが予め記憶されている構成を例示する。なお、6個以上の発信角度データが記憶され、より細かく発信角度を変化可能な構成などとしてもよい。
そして、遅延時間計算部27は、入力された発信角度データθsと、予め設定されている超音波振動子16の素子ピッチdと、音速cとを用いて、上記式(1)に基づいて、遅延時間△tを算出し、遅延設定信号として信号遅延回路25に出力する。
【0054】
〔2−9.記憶部の構成〕
記憶部28は、中央演算回路29や遅延時間計算部27での各種処理を実施するための各種プログラムや各種データなどを記憶する。
具体的には、各種データとして、プローブ10における超音波アレイ12の位置データ、発信角度データθs、TOFデータなどが挙げられる。また、各種プログラムとして、血管測定処理の全体を制御する制御プログラム、TOFデータに基づいて血管の1点の座標位置を演算する反射位置演算プログラム、2点の反射位置から血管の位置を演算する血管位置測定プログラムなどが挙げられる。
【0055】
〔2−10.中央演算回路の構成〕
中央演算回路29は、記憶部28に記憶されるプログラムを展開することで、各種処理を実施する。ここで、中央演算回路29は、記憶部28に記憶される反射位置演算プログラムを読み込み、処理を実施することで、本発明の反射位置演算部として機能し、記憶部28に記憶される血管位置測定プログラムを読み込み、処理を実施することで、本発明の位置演算部として機能する。すなわち、中央演算回路29は、本発明の反射位置演算部および位置演算部を構成する。
この中央演算回路29は、例えば利用者による操作部5の操作により血管位置の測定を開始する旨の入力信号が入力された場合、超音波モード切替制御部23に測定を開始する旨の制御信号を出力する。また、中央演算回路29は、超音波アレイ切替回路21に超音波アレイ12を切り替える旨の切替制御信号を出力する。さらに、中央演算回路29は、記憶部28から発信角度データを読み込み、遅延時間計算部27に入力する。さらには、中央演算回路29は、反射位置演算プログラムにより、超音波が反射された位置を演算する反射位置演算処理を実施する。そして、中央演算回路29は、血管位置測定プログラムにより、血管の位置座標や血管の軸方向を算出する血管位置演算処理を実施する。
また、中央演算回路29は、血管位置演算処理により特定された血管に対して、生体検査センサー13による血管状態の検査を実施し、例えば血流や血圧、脈拍などを測定して、表示部4に表示させるなどの処理を実施する。
【0056】
[3.生体検査装置により血管位置測定処理]
次に、上記のような生体検査装置1により血管位置の測定処理について、図面に基づいて説明する。図8は、生体検査装置による血管位置測定処置のフローチャートである。図9は、プローブの直下領域に血管が存在する場合の一例を示す模式図である。図10は、反射位置の測定を説明するための図である。
【0057】
本実施形態の生体検査装置1は、上述したように、生体の例えば腕などの検査対象位置に、プローブ10を密着させ、バンド3を締め付けて装置本体2を検査対象位置に固定する。これにより、例えば利用者が、長時間手で装置本体を保持するなどの必要がなく、容易に長期に亘る血管状態の測定を実施することが可能となる。
そして、利用者が操作部5を操作するなどして、入力信号が入力されると、生体検査装置1は、血管状態の測定を開始する。
この血管状態の測定では、生体検査装置1は、まず、血管位置を測定(血管位置測定処理)し、その後、測定された血管位置の血管に対して、血圧や血流、脈拍を測定する血管状態測定を実施する。
【0058】
ここで、以下に血管位置測定処理について説明する。血管位置測定処理では、図8に示すように、生体検査装置1の中央演算回路29は、まず、初期化処理を実施する(ステップS1)。この初期化処理では、アレイ変数Na、角度変数Nsを初期化、すなわちNa=1,Ns=1を設定する。
次に、中央演算回路29は、アレイ変数Naの超音波アレイ12を駆動可能に切り替える処理を実施する(ステップS2)。ここで、中央演算回路29は、アレイ変数NaがNa=1の時には超音波アレイ12Aに切り替える旨の切替制御信号を超音波アレイ切替回路21に出力し、Na=2の時には超音波アレイ12Bに切り替える旨の切替制御信号を超音波アレイ切替回路21に出力し、Na=3の時には超音波アレイ12Cに切り替える旨の切替制御信号を超音波アレイ切替回路21に出力し、Na=4の時には超音波アレイ12Dに切り替える旨の切替制御信号を超音波アレイ切替回路21に出力する。
【0059】
この後、中央演算回路29は、超音波発信モードにおける各種処理を実施する(ステップS3)
この超音波発信モードでは、中央演算回路29は、記憶部28から発信角度データθsを読み込み、遅延時間計算部27に出力する。ステップS1により初期化された状態では、角度変数Ns=1であるので、発信角度データθ1を読み込み、遅延時間計算部27に出力する。これにより、遅延時間計算部27は、式(1)に基づいて、遅延時間△tを算出し、遅延設定信号として信号遅延回路25に出力する。
【0060】
また、中央演算回路29は、中央演算回路29は、超音波モード切替制御部23に超音波発信モードに切り替える旨の制御信号を出力する。超音波モード切替制御部23は、中央演算回路29から制御信号が入力されると、送受信切替回路22に、信号遅延回路25から入力される駆動信号を超音波アレイ切替回路21に出力する旨の制御信号を出力する。また、超音波モード切替制御部23は、超音波信号発信回路24に超音波アレイ12を駆動させるための駆動信号を発信する旨の制御信号を出力する。
これにより、超音波信号発信回路24から、超音波アレイ12の各超音波振動子16に出力するための駆動信号(駆動パルス)が信号遅延回路25に出力される。また、この信号遅延回路25では、上記のように、遅延時間計算部27から遅延設定信号が入力されている。このため、各駆動信号は、遅延設定信号に基づいた遅延時間だけ遅延させて送受信切替回路22に出力される。
また、送受信切替回路22は、上記のように、超音波モード切替制御部23から入力される制御信号により、信号遅延回路25から入力される駆動信号を超音波アレイ切替回路に出力する状態にスイッチングされている。このため、信号遅延回路25から出力された遅延処理済みの駆動信号は、超音波アレイ切替回路21を介して、アレイ変数Naに対応した超音波アレイ12の各超音波振動子16に出力される。
以上により、アレイ変数Naに対応した超音波アレイ12から、角度変数Nsに対応した発信角度で超音波が出力される。
【0061】
また、超音波モード切替制御部23は、中央演算回路29から超音波発信モードに切り替える旨の制御信号を受信して、超音波信号発信回路24から駆動信号を出力させたタイミング、すなわち、超音波アレイ12から超音波が発信されたタイミングで計時部にて計測される時間をリセットして、経過時間を計測する。そして、超音波モード切替制御部23は、例えば1〜2周期のバースト波が出力される時間後に、超音波受信モードの各種処理を実施する(ステップS4)。
なお、超音波モード切替制御部23は、遅延時間計算部27により計算される遅延時間△tに基づいて、前記超音波振動子16から超音波信号の出力が終了する発信終了時間を算出し、超音波アレイ12から超音波が発信されたタイミングからこの発信終了時間の経過後に受信モードに切り替える制御を実施してもよい。
【0062】
ステップS4の超音波受信モードでは、超音波モード切替制御部23は、送受信切替回路22に、超音波アレイ切替回路21から入力される受信信号を、受信計測部26に出力する旨の制御信号を出力する。
これにより、超音波アレイ12で超音波が受信されて、受信信号が超音波アレイ切替回路21から送受信切替回路22に入力されると、その受信信号は、受信計測部26に出力される。
そして、受信計測部26は、計時部にてカウントされる時間を監視し、超音波が発信されたタイミングから、受信信号が入力されるタイミングまでの時間であるTOFデータを取得し中央演算回路29に出力する。そして、中央演算回路29は、入力されたTOFデータを適宜読み出し可能に記憶部28に記憶する。
【0063】
ここで、超音波アレイ12から発信された超音波が血管により反射される場合、図10(B)に示すような受信信号が受信されるが、受信計測部26は、受信信号が入力された時点t1をTOFデータとして取得する。また、図10に示す例では、超音波アレイ12から発信角度θ2〜θ5の角度で超音波が発信された場合は、反射波が検出されず、図10(C)に示すような信号波形が得られる。このように、反射波が検出されない場合では、受信計測部26は、TOFデータが取得できないため、記憶部28へのTOFデータ記録処理も実施されない。
【0064】
この後、中央演算回路29は、角度変数Nsに1を加算し(ステップS5)、角度変数Nsが最大値NsMAX以上となったか否かを判断する(ステップS6)。なお、本実施形態では、超音波アレイから超音波を5段階の角度に切り替えて発信するものとするため、NsMAX=5となる。このステップS6において、Ns≦NsMAX(本実施形態では、Ns≦5)となる場合、中央演算回路29は、ステップS3の超音波発信モードの処理に戻る。
一方、ステップS6において、Ns>NsMAX(本実施系形態では、Ns>5)となる場合、角度変数Nsを初期化してNs=1を設定し、アレイ変数Naに1を加算する(ステップS7)。
【0065】
そして、中央演算回路29は、アレイ変数Naが最大値NaMAXを超えたか否かを判断する(ステップS8)。なお、本実施形態では、プローブ10に4つの超音波アレイ12が設けられる例を示すため、NaMAX=4となる。
このステップS8で、アレイ変数NaがNaMAX(本実施形態では、4)以下である場合、ステップS2の処理に戻り、他の超音波アレイ12によるスキャンを実施する。
【0066】
一方、ステップS8において、アレイ変数NaがNa>NaMAXとなる場合、中央演算回路29は、記憶部28から反射位置演算プログラムを読み込み、反射位置演算処理を実施する(ステップS9)。
この反射位置演算処理では、中央演算回路29は、下記式(2)〜(3)に基づいて、超音波が反射された反射位置を特定する。すなわち、血管がプローブ10の直下領域Svを通過する場合、図9に示すように、基板11の4つ辺11A〜11Dを通り、かつ各辺11A〜11Dに直交する4つの側面Sa,Sb,Sc,Sdのうち、少なくとも2つ側面と血管とが交差する。したがって、下記式(2)〜(3)を用いることで、2つの交点B1,B2の反射位置座標を演算により求めることができる。
【0067】
【数2】

【0068】
ここで、式(2)は、図9に示すように、超音波アレイ12Aを原点として、超音波アレイ12Aから発信角度θの超音波を発信し、受信信号が受信されるまでの時間(TOF)がtであった場合における、反射位置を示す式である。また、式(3)は、座標位置(Xb,Yb,0)に配置された超音波アレイ12Bから発信角度θの超音波を発信し、TOFがtであった場合における反射位置を示す式である。なお、ここでは、図9に示すように、血管がy=0平面(側面Sa)と、x=Xb平面(側面Sb)とに交差する場合を例示するため、超音波アレイ12C,12Dにより検出される反射位置については、省略するが、超音波アレイ12C,12Dは、基板11の中心点に対して超音波アレイ12A,12Bと対象となる位置に設けられるものであり、上記式(2)(3)の変形することで容易にその位置を演算することができる。
【0069】
この後、中央演算回路29は、記憶部28から血管位置測定プログラムを読み込み、血管位置測定処理を実施する(ステップS10)。
この血管位置測定処理では、プローブ10の直下領域Svが十分に小さいものであり、上記ステップS9で演算された2交点B1、B2を結ぶ直線に沿って、血管が位置しているものと見なして血管位置の測定結果とする。
【0070】
例えば、図10に示すように、血管がプローブ直下領域Svのy=0平面(側面Sa)と、x=Xb平面(側面Sb)とで交差する場合、上述した式(2)、(3)により、ステップS9で交点B1,B2の位置座表が演算される。この場合、交点B1,B2を結ぶ直線は、次式(4)により求めることができる。
以上により、プローブ10の直下領域を通過する血管の位置を測定することが可能となる。
【0071】
【数3】

【0072】
また、生体検査装置1は、上記のようなステップS1〜ステップS9の処理を例えば周期的に繰り返し実施することで、長時間に亘って血管位置の経時変化を取得することが可能となる。特に、本実施形態の生体検査装置1は、バンド3により常時利用者に装着することが可能であり、上記のように、周期的に測定を実施することで、利用者の動きにより血管位置が変化した場合でも正確に血管位置を特定することができる。したがって、長期間に亘って、正確な血管位置に対する血管状態(血流や血圧、脈拍など)の測定が可能となる。
【0073】
[4.生体検査装置の作用効果]
上述したように、上記実施形態の生体検査装置1では、プローブ面を構成する基板11と、基板11に配置される複数の超音波アレイ12とを備え、超音波アレイ12は、複数の超音波振動子16が走査直線方向Aに沿って配設された1次元アレイ構造に構成されている。そして、これらの超音波アレイ12は、それぞれ離間した位置で、走査直線方向Aが互いに異なるように配設されている。また、生体検査装置1は、超音波信号発信回路24および信号遅延回路25を備え、これらの超音波信号発信回路24および信号遅延回路25により、各超音波振動子16に入力される駆動信号の入力タイミングを遅延させて、スキャン面S内で所望の発信角度に超音波発信方向を変化可能に構成されている。
【0074】
このような生体検査装置1では、少なくとも2つの超音波アレイ12で、血管にて反射された超音波を検出することができ、プローブ10の直下領域Svを通過する血管の2つの反射位置を求めることができる。したがって、これらの2つの反射位置の座標から、血管が位置する方向、血管位置を測定することができる。
また、このような構成では、プローブ10の基板11上に超音波アレイ12を敷き詰めることなく、基板11上の超音波アレイ12が配設されていない領域に、例えば生体検査センサー13の配線をパターニングしたり、超音波アレイ12の配線をパターニングしたりすることができ、構成を簡単にすることができる。すなわち、基板11に血管位置測定用の超音波アレイが敷き詰められて配設される場合や、超音波アレイが複数の超音波素子を2次元アレイ構造に配設された構成の場合、これらの超音波素子に接続される配線パターンが複雑となる。このため、生体検査センサーを同じ基板上に配設する場合、配線パターンを形成することが困難となり、例えば基板11の外側から生体検査センサーにリード線を直接結線する必要などが生じる。この場合、超音波センサー自体のサイズが大型化してしまうなどの問題も生じる。これに対して、上記実施形態のように、1次元アレイ構造の超音波アレイ12を互いに離間させて基板11上に設ける構成では、配線パターンを簡単にすることができるため、超音波センサーや生体検査装置1が大型化することなく、例えば腕などに容易に装着可能な小型の装置を提供することができる。
【0075】
また、上述のような超音波アレイ12は、基板11の各辺11A〜11Dの中央部に配設され、かつ、これらの超音波アレイ12の走査直線方向Aが各辺11A〜11Dの方向に沿うように配置されている。このため、各超音波アレイ12の走査直線方向Aによりプローブ10を囲うことができる。このような構成では、プローブ10の直下領域Svを各超音波アレイ12のスキャンエリアSareaで囲うことができるため、プローブ10の直下領域Svを通過する血管を確実に検出することができる。したがって、血管位置検出の精度を向上させることができる。
【0076】
そして、生体検査装置1の超音波アレイ切替回路21は、中央演算回路29から入力される切替制御信号に基づいて、プローブ10の4つの超音波アレイのうち、いずれか1つを駆動可能な状態に切り替えて、超音波の送受信が可能な状態とする。このため、他の超音波アレイから発信された超音波によるノイズや、他の超音波アレイで受信された超音波に基づいた受信信号の検出がない。したがって、各超音波アレイ12で超音波を出力するタイミングから受信信号が出力されるタイミングまでのTOFデータを取得することで、中央演算回路29により、TOFデータ、各超音波アレイの位置データ、および超音波の発信角度データに基づいた正確な超音波の反射位置を演算により求めることができる。また、微小領域では、血管は直線上に位置していると見なすことができるため、上記のように正確な反射位置が2点求まれば、血管の正確な位置を測定することができる。
【0077】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態の生体検査装置について、図面に基づいて説明する。
第二実施形態の生体検査装置は、第一実施形態の生体検査装置1の超音波アレイ12の構造を変形したものであり、その他の構成については上記第一実施形態の生体検査装置1と同様である。
図11は、第二実施形態の生体検査装置のプローブ10の基板11の平面図である。なお、図11において、生体検査センサー13は省略している。また、第二実施形態以降の説明にあたり、上記第一実施形態と同様の構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
【0078】
第二実施形態の生体検査装置のプローブ10には、第一実施形態と同様に、基板11の各辺11A〜11Dの中心位置に、それぞれ超音波アレイ31(31A,31B,31C,31D)が配置される。
ここで、第二実施形態の各超音波アレイ31は、対応する辺11A〜11Dの方向と同方向を走査直線方向Aとして、この走査直線方向Aに沿って、複数の超音波素子32が配設されている。また、各超音波素子32は、走査直線方向Aに直交する走査直交方向に沿って配設された複数(本実施形態では3つの例を示す)の超音波振動子16を備えている。なお、各超音波振動子16の構成は、第一実施形態の超音波素子32を同様の構成であり、ここでの説明は省略する。
【0079】
1つの超音波素子32において、例えば、各超音波振動子16の上部電極線153Aが共通電極として互いに接続され、各超音波振動子16の各下部電極151に接続される下部電極線151Aがそれぞれ独立して配線されている。すなわち、これらの超音波振動子16は、それぞれ独立して駆動させることが可能に構成されている。
なお、1つの超音波アレイ31において、全ての上部電極線153Aが結線されて共通電極線となる構成としてもよい。
【0080】
このような、超音波アレイ31では、各超音波素子32における各超音波振動子16の超音波出力タイミングを制御することで、所定の1点に超音波を集束させることが可能となり、これにより、超音波の平面波を出力可能なフレネルゾーンを拡大して、超音波が平面波として伝播される距離を延ばすことができる。
図12は、1つの超音波振動子により出力される超音波のフレネルゾーン(上図)と、第二実施形態の超音波アレイのフレネルゾーン(下図)と、の差を示す図である。
図12の上図に示すように、上記第一実施形態で示したような単一の超音波振動子16から発信される超音波では、距離L=D/4λまでがフレネルゾーンとなり、平面波が伝搬される。これに対して、図12の下図に示すように、中央の超音波素子32から超音波を発信するタイミングを、両端部の超音波素子32から発信される超音波の発信タイミングから遅延させることで、各超音波振動子16から出力される超音波の合成波が、遅延時間に応じたフォーカス点Pに向かって集束するように形成される。すなわち、各超音波振動子16の超音波発信タイミングを制御することで、フォーカス点Pの位置を制御でき、フレネルゾーンの距離(すなわち、超音波が平面波として伝搬される距離)Lを所望の距離に調整することが可能となる。
【0081】
このような遅延時間の制御は、中央演算回路29、遅延時間計算部27および信号遅延回路25により実施することが可能である。その遅延時間の算出方法を図13に基づいて説明する。
図13は、複数の超音波振動子16から発信した超音波を所定の1点に集束させた状態を示す図である。図13に示す例のように、1〜Nの超音波振動子16が配置されており、各超音波振動子16における超音波発信タイミングを調整することで、フォーカス点Pに超音波を集束させる場合、任意の点Yiの位置にある超音波振動子16からフォーカス点Pに超音波が到達するまでの時間τ(i,F)は、以下の式(5)により表すことができる。
【0082】
【数4】

【0083】
この式(5)は、図13に示すように、超音波素子32の中央点を原点(0,0)とし、超音波振動子16のy軸に沿って配設し、x方向に超音波を発信した場合における演算式である。上記式(5)において、Fは、フォーカス点のx座標位置、θは、超音波素子32の中心点(原点)とフォーカス点Pとを通る直線と、x軸とのなす角度である。
【0084】
第二実施形態の生体検査装置では、上記式(5)に基づいて、中央演算回路29、遅延時間計算部27、および信号遅延回路25は、各超音波振動子16に印加する駆動信号の出力タイミングを制御して、超音波の発信タイミングを遅延させる。
すなわち、第二実施形態の生体検査装置では、中央演算回路29は、血管が位置する深さに応じて、超音波を集束させるフォーカス点Pを設定して、遅延時間計算部27に出力する。これにより、遅延時間計算部27は、上記式(5)に基づいて、各超音波振動子16から出力させる超音波をフォーカス点Pで集束させるための遅延時間を計算し、信号遅延回路25に入力する。
ここで、血管が位置する深さとは、例えば利用者が操作部5を操作することで入力されるものであればよい。例えば、皮膚から血管までの距離が短い指などを検査部位とする場合で、利用者の操作部5の操作により指を検査対象とする旨の入力信号が入力されると、中央演算回路29は、遅延時間計算部27に小さい値のF値(フォーカス点Pまでの距離)を出力する。また、例えば、皮膚から血管までの距離が長くなる腕などを検査部位とする場合で、利用者の操作部5の操作により腕を検査対象とする旨の入力信号が入力されると、中央演算回路29は、より大きい値のF値を遅延時間計算部27に出力する。また、例えば、皮膚から血管までの距離がさらに長くなる脚などを検査部位とする場合で、利用者の操作部5の操作により脚を検査対象とする旨の入力信号が入力されると、中央演算回路29は、さらに大きい値のF値を遅延時間計算部27に出力する。ここで、これらのF値としては、予め設定され、記憶部28に記憶される値を用いることができる。なお、例えば指を検査部位とする場合などでは、1つの超音波素子32を構成する各超音波振動子16間では、超音波の発信タイミングを遅延させず、上記第一実施形態と同様のフレネルゾーンにより血管位置を検出する構成などとしてもよい。
【0085】
〔第二実施形態の作用効果〕
上記第二実施形態の生体検査装置では、各超音波アレイ31は、走査直線方向Aに沿って配設された1次元アレイ構造の超音波素子32を備えるとともに、これらの超音波素子32は、それぞれ走査直線方向Aに直交する走査直交方向に配設された超音波振動子16を備えている。そして、遅延時間計算部27および信号遅延回路25は、中央演算回路29から入力される最適F値に基づいて、各超音波素子32の走査直交方向に配設された各超音波振動子16に対し、両端部の超音波振動子16から中央部の超音波振動子16に向かうに従って、超音波の発信タイミングを遅延させる駆動信号を出力する。
このため、各超音波振動子16から発信される超音波のフレネルゾーンの距離(すなわち、超音波が平面波として伝搬される距離)L2を、単一の超音波振動子16を用いる場合に比べて延ばすことができ、血管位置のスキャンエリアSareaをより大きくすることができる。したがって、生体検査装置は、より広い領域に対して血管の位置測定を実施することができる。
【0086】
[第三実施形態]
次に、本発明に係る第三実施形態の生体検査装置について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態の生体検査装置は、第一実施形態の生体検査装置1の超音波アレイ12の配置位置を変形したものであり、その他の構成については上記第一実施形態の生体検査装置1を同様である。
図14は、第三実施形態のプローブ10の概略構成を示す断面図、および平面図である。
【0087】
この第三実施形態の生体検査装置では、プローブ10の基板11の各辺11A〜11Dに対して、それぞれ3つの超音波アレイ12が配設されている。これらの超音波アレイ12は、互いに離間して配設されており、超音波アレイ12間の隙間に、図示略の生体検査センサーなどの配線パターンや、超音波アレイ12の配線パターンが形成されている。
【0088】
ここで、上記したように、各超音波アレイ12は、それぞれ、スキャン面S内で、略扇状のスキャンエリアSareaを有する。したがって、1つの辺に対して、このような超音波アレイ12が複数配設されることで、基板11の辺11A〜11Dを覆うスキャンエリアSareaを形成することができる。したがって、プローブ10の直下領域Svの側面Sa,Sb,Sc,Sdを確実にスキャンエリアSareaとすることができ、プローブ直下領域Svを通過する血管をより確実に精度良く検出することが可能となる。
【0089】
また、このようなプローブ10では、各辺11A〜11Dの両端側に配置される超音波アレイ12により、プローブ10の直下領域からはみ出るスキャンエリアSareaを形成することができる。したがって、プローブ直下領域Svから僅かに血管の位置がずれている場合であっても、これらの超音波アレイ12により、その位置を検出することができる。
以上により、第三実施形態の生体検査装置では、各辺11A〜11Dに1つずつ超音波アレイ12が配設されたプローブ10よりも、さらに広いスキャンエリアSareaを形成することができ、より広い範囲に位置する血管を精度よく検出することができる。
【0090】
なお、第三実施形態では、基板11の1つの辺に対して3つの超音波アレイ12が配設された例を示すが、2つの超音波アレイ12が配設される構成としてもよく、4つ以上の超音波アレイ12が配設される構成としてもよい。4つ以上配設される場合であっても、各超音波アレイ12が互いに離間して配設されていれば、これらの超音波アレイ12の間の隙間に、図示略の生体検査センサーなどの配線パターンを形成することができ、配線パターンの複雑化を回避することができる。
【0091】
[第四実施形態]
次に、本発明に係る第四実施形態の生体検査システム1Aについて図面に基づいて説明する。図15は、本発明に係る第四実施形態の生体検査システム1Aの概略を示す斜視図である。
図15において、第四実施形態の生体検査システム1Aは、プローブ10Aと、バンド3と、制御装置7と、を備えている。図16は、第四実施形態の生体検査システム1Aの概略構成を示すブロック図である。
この生体検査システム1Aでは、膜状に形成されるプローブ10Aを生体の所定の検査位置にバンドで固定し、プローブ10Aから出力される信号を制御装置7により処理する。また、制御装置7には、図16に示すように、超音波アレイ切替回路21、送受信切替回路22、超音波モード切替制御部23、超音波信号発信回路24、信号遅延回路25、受信計測部26、遅延時間計算部27、記憶部28、中央演算回路29などが組み込まれている。
なお、制御装置7に設けられる各構成については、上記第一実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、制御装置7に利用者が生体検査システム1Aを操作するための操作部5や表示部4が設けられる構成としてよく、制御装置7に操作部5や表示部4が接続可能な構成としてもよい。
【0092】
なお、図15では、プローブ10Aを制御装置7が有線により接続される例を示すが、例えば、赤外線、Bluetooth(登録商標)、電波などにより、無線接続される構成としてもよく、この場合、プローブ10Aおよび制御装置7には、それぞれ、無線通信を実施する無線通信部が設けられる。このような構成とする場合、プローブ10Aを装着時に線が邪魔になることがなく、より携帯利便性に優れた生体検査システム1Aを提供できる。
【0093】
上述のような第四実施形態の生体検査システム1Aでは、薄型のプローブ10Aのみを生体に固定するため、長時間に亘って血管状態を検査する場合であっても、生体検査システム1Aが邪魔になったり、重量により生体に負荷をかけたりすることがない。したがって、例えば利用者は、普段の生活を続けながら血管状態の変化を測定することができる。
【0094】
〔その他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0095】
例えば、上記第一〜第四実施形態では、測定装置として、生体内の血管を測定する生体検査装置1を例示したが、これに限定されず、例えば、超音波を伝達可能な収納体の内部に、収納体と異なる音響インピーダンスを有する被検出物が設けられており、その被検出物の位置を測定する測定装置であれば本発明を適用することができる。例えば、液体内に配設された配管の位置を検出する配管検出装置などに本発明を適用することができる。
【0096】
また、上記第一〜第四実施形態において、超音波振動子16は、支持膜14上に、膜状の下部電極151、圧電膜152、上部電極153を積層することで構成される例を示したが、これに限定されず、例えばバルク状(塊状)の圧電体を支持膜14上に配置する構成などとしてもよい。この場合、バルク状圧電体としては、カット成形が容易な長方形状に形成し、長方形の長手方向を走査直交方向に沿わせ、かつ走査直線方向Aに沿って複数の圧電体を配置する。
【0097】
さらに、上記第一〜第四実施形態において、超音波振動子16として、ダイアフラム141の形状が円形で、円形状の圧電体15を形成する構成を例示したが、これに限定されず、例えば矩形状や、多角形状などのダイアフラム141に、矩形状や多角形状などの圧電体15を設ける構成としてもよい。すなわち、ダイアフラム141の振動時の応力バランスなどを考慮して、超音波振動子16の形状を自由に設計することができる。
【0098】
さらには、上記第一〜第四実施形態において、プローブ10の基板11を矩形状(正方形状)に形成する例を示したが、これに限定されず、その他の多角形状や、円形、楕円形状など、いかなる形状に成形してもよい。基板11が多角形状の場合、各辺に対してそれぞれ超音波アレイ12を配設することで、また、基板が円形や楕円形の場合では、走査直線方向Aが、基板11の接線方向に沿うように、超音波アレイを配設することで、プローブ10の直下領域を通過する血管の位置を測定することができる。
【0099】
また、上記第一〜第四実施形態において、各辺11A〜11Dに沿って、超音波アレイ12を設ける構成としたが、基板11の面内の所定位置に、互いに、離間し、走査直線方向Aが異なる2つの超音波アレイ12を配置する構成としてもよい。この場合でも、血管が、これらの超音波アレイ12により形成されるスキャンエリアSarea内を通過する場合、血管位置を測定することができる。ただし、血管がスキャンエリアSareaを通過しない場合、生体検査装置1の姿勢を変えたり、装着位置を変えたり必要がある。
このため、生体検査装置1では、少なくとも3つ以上の超音波アレイ12を設けることが好ましく、これにより、2つの超音波アレイにより1点の反射位置しか検出できなかった場合でも、他の1つの超音波アレイにより残りの1点の反射位置を検出できれば、血管位置を特定することができる。さらに、基板11の面内で、これらの3つの以上の超音波アレイ12の走査直線方向Aにより閉領域が形成されるように、超音波アレイ12を配設することがより好ましい。すなわち、このような閉領域が形成されれば、閉領域の直下領域を通過する血管を確実に検出することができ、血管検出精度をより向上させることができる。
【0100】
上記第一〜第四実施形態では、基板11に生体検査用の生体検査センサー13を別途設ける構成を例示したが、これに限定されず、生体検査センサーが別の基板上に形成される構成などとしてもよい。
例えば、基板11上に円形窓部を形成し、この円形窓部内に、生体検査センサーが回転可能に設けられる構成としてもよい、このような構成であれば、上記のような構成により、血管の位置を測定した後、血管位置の測定結果に応じて生体検査センサーを回転させることが可能となる。この場合、表示部4に血管位置や、血管の軸方向などを表示させてもよく、この表示に応じて生体検査センサーを回転させることで、専門の知識を有しない者であっても、生体検査センサーを血管の軸方向に合わせることができ、測定を容易に実施することができる。
【0101】
そして、第二実施形態では、生体検査装置1が装着される位置が設定入力されることで、中央演算回路29で最適なF値を選択して遅延時間計算部27に出力し、遅延時間計算部27で各超音波素子32を構成する各超音波振動子16に対して出力する駆動信号の遅延時間を算出する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、血管状態の検査対象が予め設定された位置、例えば腕の血管状態の検査専用の生体検査装置1などでは、遅延時間計算部27は、予め設定された最適F値に基づいて、遅延時間を計算する構成などとしてもよい。
【0102】
また、第三実施形態において、各辺11A〜11Dに対して複数の超音波アレイ12を配設した例を示したが、これに限定されない。例えば、図17に示すように、基板11の各辺11A〜11Dに沿う位置だけでなく、基板11の面内領域にも複数の超音波アレイ12を配設する構成としてもよい。この場合、各超音波アレイ12により、より多くのTOFデータを取得することができるため、これらのTOFデータに基づいて、より精度の高い血管位置の測定を実施することができる。この場合、例えばプローブ10の直下領域Svで血管が屈折している場合などでも、精度よく血管の軸方向を求めることができる。
【0103】
また、第三実施形態では、各辺11A〜11Dに対して複数の超音波アレイ12を配設することで、各辺11A〜11Dを覆うスキャンエリアSareaを形成する構成を例示したが、図18に示すように、プローブ10の基板11に音響屈折層33を形成することで、さらにスキャンエリアSareaを拡大させてもよい。この音響屈折層33は、中央部の超音波アレイ12に対向して基板11と平行な面を有し、両端部の超音波アレイ12に対向して、端部に向かうに従って、基板11側に傾斜する傾斜面を有している。また、この音響屈折層33としては、生体よりも音の伝搬速度が速くなる材料が用いられる。具体的には、生体内での音速が1530m/sであるので、シリコン(音速8400m/s)、石英(音速5900m/s)、ガラス(音速4000〜5300m/s)、ナイロン(音速2600m/s)、ポリスチレン(音速2350m/s)、ポリエチレン(音速1900m/s)などを用いることができる。
このような音響屈折層33を用いることで、各辺11A〜11Dの両端側に位置する超音波アレイ12から出力される超音波は、プローブ直下領域の内部から外側に向かって広がるスキャンエリアSareaが形成される。このため、第三実施形態の生体検査装置のプローブ10よりも、広い範囲に位置する血管を検出することが可能となる。
【0104】
さらに、第四実施形態において、制御装置7内に、超音波アレイ切替回路21、送受信切替回路22、超音波モード切替制御部23、超音波信号発信回路24、信号遅延回路25、受信計測部26、遅延時間計算部27、記憶部28、中央演算回路29が含まれる構成を例示したがこれに限定されない。例えば、プローブ10Aに、超音波アレイ切替回路21や送受信切替回路22、信号遅延回路25などの回路を設ける構成としてもよい。プローブ10Aに各回路が構成される場合、例えば基板11上に形成することで、プローブ10Aの厚み寸法の増大を抑えることができる。この場合、プローブ10Aにより本発明の超音波センサーが構成され、このプローブ10Aと通信可能な制御装置7により本発明の測定システムが構成される。
【0105】
また、上記のような変形例の測定システムや、第四実施形態の生体検査システム1Aにおいて、制御装置7は、例えばインターネット回線を介して接続されるサーバー装置にデータを送信する構成であってもよく、この場合、例えば病院などの医療施設でプローブ10Aを装着した患者の血管状態を常時監視することができる。
【0106】
そして、上記第一〜第四実施形態において、各超音波アレイ12は、各超音波振動子16により超音波の発信および受信の双方を実施し、超音波モード切替制御部23により、超音波発信モードと、超音波受信モードとを切り替える例を示したが、これに限定されない。
例えば各超音波アレイ12を構成する超音波振動子16のうち、奇数番目に配置される超音波振動子16を超音波発信用の素子として用い、偶数番目に配置される超音波振動子16を超音波受信用の素子として用いてもよい。また、超音波アレイ12のライン一端側の超音波振動子16から超音波を発信し、ライン他端側の超音波振動子16で超音波を受信する構成などとしてもよい。
さらには、超音波発信専用の超音波振動子と、超音波受信専用の超音波振動子とがそれぞれ別体として設けられる構成としてもよい。
この場合、複数の超音波発信専用振動子が直線上に配列された超音波発信用アレイと、超音波受信専用振動子が直線上に配列された超音波受信用アレイとが、並設される構成などとしてもよい。
【0107】
さらに、上記実施形態において、遅延時間計算部27が、中央演算回路29から発信角度データを受け取ることで、各超音波振動子16に入力する駆動信号の遅延時間を演算する装置である例、すなわち、遅延時間計算部27がハードウェアとして構成される例を示したが、これに限定されない。例えば、記憶部28に遅延時間計算プログラムが記憶され、中央演算回路29によりこの遅延時間計算プログラムが読み出されて実行されることで、各駆動信号に遅延時間を演算する構成としてもよい。また、本発明の反射位置演算部および位置演算部として、中央演算回路29が反射位置演算プログラム、血管位置測定プログラムを読み出し実行することで機能する例を示したが、例えば、反射位置演算部および位置演算部が、例えばICなどの集積回路により、ハードウェアとして構成されるものであってもよい。
【0108】
以上、本発明を実施するための最良の構成について具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形および改良を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0109】
1…測定装置である生体検査装置、1A…測定システムである生体検査システム、7…制御装置、10…超音波センサーを構成するプローブ、11…プローブ面を構成する基板、11A〜11D…辺、12,31…超音波アレイ、16…超音波振動子、21…駆動アレイ切り替え部である超音波アレイ切替回路、25…遅延制御部を構成する信号遅延回路、29…プログラムを読み込み実行することで反射位置演算部や位置演算部として機能する中央演算回路、32…超音波素子、A…走査直線方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ面と、
プローブ面に設けられた複数の超音波アレイと、
前記超音波アレイから発信される超音波の発信角度を制御する遅延制御部と、を具備し、
前記超音波アレイは、複数の超音波素子が走査直線方向に沿って配設されたライン状アレイ構造を備え、
前記遅延制御部は、各超音波素子から超音波を発信するタイミングを遅延させることで、前記超音波アレイから発信される超音波の発信角度を制御し、
前記プローブ面に設けられる複数の前記超音波アレイは、それぞれ、前記超音波素子が配設される前記走査直線方向が異なる方向であるとともに、互いに離間した位置に配設された
ことを特徴とする超音波センサー。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波センサーにおいて、
前記超音波アレイは、前記プローブ面に3つ以上配設され、前記プローブ面上に、これらの超音波アレイの前記走査直線方向より囲われる閉領域が形成された
ことを特徴とする超音波センサー。
【請求項3】
請求項1また請求項2に記載の超音波センサーにおいて、
前記プローブ面は多角形状に形成され、
このプローブ面の各辺の一部に、それぞれ超音波アレイが配設され、
これらの超音波アレイは、それぞれ、対応する辺の方向と前記走査直線方向とが平行になる状態に配設された
ことを特徴とする超音波センサー。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波センサーにおいて、
前記プローブ面の各辺に対して、少なくとも2つ以上の超音波アレイが、互いに離間して配設された
ことを特徴とする超音波センサー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の超音波センサーにおいて、
前記超音波アレイの前記超音波素子は、前記走査直線方向に対して直交する走査直交方向に並び、異なるタイミングで超音波を発信可能な複数の超音波振動子を備え、
これらの前記超音波振動子のうち、走査直交方向の両端側に配置された前記超音波振動子から、中央に配置された前記超音波振動子に向かうに従って、超音波を遅延させて発信させる
ことを特徴とした超音波センサー。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波センサーにおいて、
前記遅延制御部は、前記走査直交方向に沿って配設された複数の前記超音波振動子のうち、両端側に配設された前記超音波振動子から、中央に配設された前記超音波振動子に向かうに従って、超音波を発信するタイミングを遅延させる
ことを特徴とする超音波センサー。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の超音波センサーを備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の測定装置において、
複数の前記超音波アレイのうち、超音波を出入力させる前記超音波アレイを切り替える駆動アレイ切替部と、
前記超音波アレイで検出される反射超音波に基づいて、超音波が反射された反射位置を演算する反射位置演算部と、
前記反射位置演算部により検出される前記反射位置から、被検出物の位置を演算する位置演算部と、
を具備したことを特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の超音波センサーを備えたことを特徴とする測定システム。
【請求項10】
請求項9に記載の測定システムにおいて、
前記超音波センサーと通信可能に接続される制御装置を具備し、
前記超音波センサーは、前記超音波アレイで検出される反射超音波に基づいた受信信号を前記制御装置に送信すると共に、前記制御装置から入力される駆動信号に基づいて、前記超音波アレイを駆動させ、
前記制御装置は、
前記超音波センサーから送信された前記受信信号に基づいて、超音波が反射された反射位置を演算する反射位置演算部と、
前記反射位置演算部により検出される前記反射位置から、被検出物の位置を演算する位置演算部と、を備えた
ことを特徴とする測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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