説明

超音波仲介による薬送達

(i)超音波に曝されるとき物理的変化を受ける超音波粒子の投与ステップ、(ii)超音波の付与により影響を受けて治療薬の放出を可能にする超音波剤形で治療薬の投与、(iii)超音波粒子の少なくとも幾らかの物理的変化に影響を与えるための超音波の付与、及び(iv)治療薬の放出を刺激するための超音波の付与を有する、哺乳類、特にヒトへの治療薬の送達のための方法が説明される。本発明によると、前記超音波粒子が、エコー及び/又は放射を介して、音響反応の検出を受ける。このようにして得られた情報が処理され、処理された情報が治療薬の超音波仲介した送達を採用又は調整するために使用される。これは、(超音波撮像トレーサーとして及び薬送達手段としても役立つ)単一のセットの粒子を使用して、又は別個のセットの粒子を付与することにより実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の付与により仲介される治療薬の投与及び送達に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波活性される薬坦持粒子の治療上の使用は、様々な臨床アプリケーションへの可能性を伴う新進の技術である。超音波造影撮像及び薬送達の領域では、通常の(ターゲットされていない)造影剤及びターゲットされた造影剤両方が利用される。部位特異的でない造影剤に対して、ターゲットされた薬送達は、対象の領域で超音波エネルギーを正確に集中させることにより達成できる。通常、直径0.1〜8μmの超音波造影剤は、血液プールからエコー振幅を増大し、毛細管と同程度の小さな血管の検出をさえ可能にする。
【0003】
超音波によって仲介される薬送達を使用するための合理的根拠は、器官若しくは組織特異的、腫瘍特異的であるか、又は凝血塊特有の薬物療法のような部位特異的アプリケーションのためのニーズに基づく。薬は、様々な異なるアプローチにより超音波発動できる粒子(マイクロバブル、ナノ粒子及びリポソーム)に組み込まれ得る。この技術を備えるターゲットされた薬送達は、生物学的効果のために薬の大きなペイロード(搭載量)を必要としない高い活性薬に対して、多分最も有効だろう。多くの化学療法、タンパク質、遺伝子ベースの薬、血栓溶解剤及び他の治療薬は、超音波及びターゲットされた音響的活性キャリアでの送達に対して充分にアクティブである。新規なターゲティング及び薬剤放出計画戦略の開発で、超音波活性粒子は、ターゲットされた処置のための重要な治療ツールになっている。
【0004】
癌及び心血管疾患合せて、これらは米国内の全ての死の57%以上を占める。これらの疾患は、通常局部的であり、しばしば手術及び放射線療法のような焦点治療により軽減される。多くの薬及び放射線は、通常の組織に対して負の副作用を持ち、結果的に減少する生存率及び劣化する生活の質になる。多くの既存の薬の副作用は、疾患部位にそれらの効果を限定することにより低減できる。他方では、遺伝子技術を利用する治療の新進の形式は、しばしば、副作用により制限されるのではなく、ターゲット細胞の内側への遺伝物質の低い送達効率により制限されてしまう。
【0005】
多くの生化学技術は、部位局地化を強化し、治療薬の取り込みを強化するように開発されている。単クローン抗体のようなターゲティング分子は、優れた特性を提供する見込みがある。他の微細な構成は、治療薬を包装し、これらを特定の状況、例えば疾患特異的分子種の検出の下、局所的にリリース(放出)するように設計されている。しかしながら、斯様なアプローチは、主に生体内プロセスの相互作用のほとんど手に負えない複雑さのために、実際的でないままである。
【0006】
超音波は、治療薬の放出又は発動を制御するため、複雑な生体内プロセスに対する代わりを提供する。マイクロバブル及びナノ滴のような薬の特定のキャリア輸送手段は、薬の内容物を放出するために適切な超音波によりトリガーできる。低い効力が副作用よりももっと問題である遺伝子送達の場合でも、治療薬をマイクロバブルに包むことさえ必要ではないだろう。単に薬剤と泡を混合することが、増大された効力を達成するために十分であろう。斯様な効果のために最もありそうなメカニズムは、泡が超音波フィールドで振動するので、微細な液体動きが、治療薬を細胞に働きかけるか、又は一時的に、分子の自由な動きを可能にする細胞膜の孔を開けることである。マイクロバブル内で超音波が血液脳関門を開くことができ、薬が脳内のターゲット細胞に到達できることも知られている(Hynynen、ハーバード・メディカル・スクール)。
【0007】
全ての治療薬は、意図された用量範囲内で与えられる。この範囲より下では、所望の治療上の効果は、達成されないし、この範囲より上では、望まない有毒な効果が発現し得る。マイクロバブルによって仲介される薬送達技術は、送達プロセスにわたる制御を改良することを一般に目的とする。しかしながら、治療の後の静的測定として、又は治療中の継続的若しくは反復測定として、ターゲット部位に届けられる実際の投与量レベルを測定する技術がまだない。斯様な情報なしで、将来の臨床医は、「盲目的に」これらの新規な医学技法を実行しなければならないだろう。超音波は、通常、治療薬を放出するか、又は治療薬がターゲット組織により利用されるようにするために使用される。所望の効果が疾患領域でトリガーされるように、多くの要因が、超音波エネルギーの正確な送達に影響する。疾患領域は、内部器官動き(鼓動のように)又は全体的患者の動きのため、通常動いている。超音波ビームがターゲット部位に到達する前に、患者の身体の脂肪、骨、空気及び液体充填領域も、超音波ビームを変形又は劣化させる。従って、超音波発射装置のリアルタイムの調整又は反復調整が、最適な治療を達成するために必要である。
【0008】
超音波によって仲介される薬送達の参考文献は、米国特許出願2003/0204141である。当該文献には、音波エネルギーの治療的送信の適用による薬取り込みを強化し、同じトランスデューサ及び超音波システムで、治療ガイドを補助するため領域を撮像する方法及びシステムが記載されている。この文献は、当該方法の薬送達部分に関して、超音波仲介自体を説明するに他ならず、撮像に関しても、既知の撮像、例えばターゲット組織の撮像であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
薬剤の投与量レベルのより良好な設定を可能にする、治療薬の超音波による仲介送達の方法を提供することが好適である。薬送達にわたってより正確な空間制御を可能にする、治療薬の超音波による仲介送達の方法を提供することが更に好適である。特に、強化されたターゲティング正確さ及び薬剤放出効率を可能にする治療薬の超音波による仲介送達の方法を提供することが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の要望の少なくとも一つをより良く対処するために、一つの態様において、本発明は、(i)超音波に曝されるとき物理的変化を受ける超音波粒子の投与ステップ、(ii)超音波の付与により影響を受けて治療薬の放出を可能にする超音波剤形で治療薬の投与、(iii)超音波粒子の少なくとも幾らかの物理的変化に影響を与えるための超音波の付与、及び(iv)治療薬の放出を刺激するための超音波の付与を有する、哺乳類、特にヒトへの治療薬の送達のための方法であって、前記超音波粒子が、エコー及び/又は放射を含む音響反応の検出を受ける方法を提示する。
【0011】
ここで、音響特性の検出は、超音波剤形によって治療薬の送達に関連する一つ以上のパラメータを調整する際の超音波粒子の音響特性の変化で得られる情報を使用することを可能にする。
【0012】
音響特性の検出は、技術的な測定として、超音波へ曝される前、曝されている間又は曝された後の粒子が、検出器(一般に超音波撮像システム)により検出される物理的ステップを指す点に留意されるべきである。この検出から受け取られる情報は、一般に、技術的な手段としてコンピュータを使用して適切なソフトウェアサポートされた方法によって、解釈され更に使われる。
【0013】
他の態様では、本発明は、超音波粒子の少なくとも2つのセットが投与されて、超音波に曝され、一方のセットは音響特性の検出を受けることにより撮像トレーサーとして役立ち、他方のセットは治療薬を有して放出する送達手段として役立つ、上述の方法を提供する。趣旨は、2つのセットの粒子、第1のセットの粒子は撮像のために最適化され、第2のセットの粒子は治療用量を提供するために最適化される2つのセットの粒子を混合させることである。
【0014】
他の態様によると、本発明の方法は、撮像及び治療目的の類似の2つのセットの粒子を含む。しかしながら、血管系、身体の血管の配置について造影剤の効果を利用することは、可能である。これらの薬剤は、しばしば、自由に振動し、注入の後、かなりの程度の相互作用を血管壁と持つように設計されている。この相互作用が、血管の増大された透過性を導き得ることが観察された。本発明は、第2のセットの泡が薬(又は治療)放出のために起動する前に、泡の1つの集団が撮像及び浸透性を強化可能にすることを意図する。
【0015】
さらに他の態様では、本発明は、音響特性の少なくとも2つの異なるレベルを持つ粒子の混合物が投与され、一方のレベルが撮像トレーサーとしての効果に関し、他方のレベルが薬剤放出に役立つ方法を提供する。
【0016】
本発明は、また、前述の方法の何れかに使用される超音波粒子も提供する。また、本発明は、前述の方法の何れかに使用される治療薬を有する超音波剤形を有する構成を提供する。
【0017】
本発明は、更に、上述した方法を実施するために適しているシステムを提供する。
【0018】
他のタイプの投与(例えばボディキャビティ、又は動脈内若しくは内部リンパのシステムへの付与)が除外されるわけではないが、超音波粒子及び超音波剤形の投与は、通常、静脈内投与による。
【0019】
広義には、本発明は、治療薬の放出が超音波エネルギ(超音波)の付与により影響される何れの方法に関しても説明できる。本発明によれば、斯様な方法には、超音波により発動できるようにケアする、投与された粒子に関連した振る舞いで情報が得られ、得られた情報が、治療薬を放出する超音波仲介された粒子の振る舞いを適応させる際に使われるという新規なステップが含まれる。
【0020】
例えば非線形超音波信号のエコー及び/又は放射の形で、音響特性の変化が、活性パルスエコーモード又は受動的な受信専用モードで超音波検出器により検出され、定量化される。検出された信号又は信号変化は、キャリアの量的ユニット当たりの治療薬の量についての先験的な知識を併用して、薬剤の送達された用量レベルの推定値に変換される。用量レベルの複数の独立推定値は、治療の進捗の完全で動的な画像を構築するために、処置される組織及び隣接する組織の種々異なる領域から、時間にわたって収集され蓄積され得る。
【0021】
治療システムは、人が理解できるフォーマットで投与量情報を表示でき、臨床医又はオペレータは、治療手順を適応させ、最適化し、又は終了するために情報を使用できる。代わりに、治療システムは、最適服用量が理想的に疾患器官と合う領域に送達されるように、薬剤放出プロセスを制御するアルゴリズムを使用できる。
【0022】
音響特性の検出に関して、ここで開示される発明の概念の適当な理解のために、最初に、本発明を説明する際に使用される様々な用語の説明が与えられる。本発明が適用できる、哺乳類及び特に人は、以下では「人(ヒト)」と呼ばれる。
【0023】
超音波
超音波は、(例えば子宮の胎児を)撮像のために適用できる音響エネルギーとしてよく知られた技術である。超音波は、また、超音波感受性キャリアの物理的特性に影響を及ぼすことにより、薬剤放出に影響を及ぼし得る外部のエネルギーの源としても次第に説明される。
【0024】
超音波は、超音波を送る(及び受ける)トランスデューサプローブによって、一般に付与される。薬送達を起動させるために超音波を使用するとき、基本的な要件は、超音波が人の身体に送信できるということである(すなわち、受信は、ここでは2次的な重要性である)。本発明を実施する際、人の身体に超音波を送信するのに役立つ治療アプリケータが供給される。斯様なアプリケータは、例えば国際特許公開公報WO2006/131840に記載されているように、知られている。
【0025】
超音波の治療アプリケーションの一般的利点として、超音波を身体に送信するために役立つだけでなく、身体組織等(例えば腫瘍又は凝血)の撮像を可能にする機器を使用することが好ましい。このために、上述した米国特許出願第2003/0204141号にて説明されたような機器、又は他の超音波撮像機器が使用できる。斯様な機器は、例えば米国特許出願第2007/0255117号、米国特許第6,527,718号、米国特許第7,358,226号、国際特許公開公報WO2006/131840に説明されているように従来技術で知られている。
【0026】
超音波粒子
これは、一般に、マイクロバブル、微粒子、ナノ粒子、マイクロカプセル又はナノカプセルのような(これらは超音波の付与の際に物理的変化を受けるという点で共通している)粒子を指す。この変化は、例えば、粒子の物理的状態(例えば、粒子は溶解できる)、保全性(例えばマイクロバブルの超音波を仲介した破壊)、形状/サイズ(例えば、粒子はサイズによって振動できる)又は多孔性(例えば、粒子は、粒子のペイロードを周囲の媒体に一時的に利用できる)に影響を与え得る。
【0027】
超音波により発動可能な粒子(以下超音波粒子と呼ぶ)は、ガス状のマイクロバブルの水性懸濁液を含む。これらは、ガス(例えば、空気)と周囲の水性媒体との間で音響インピーダンスの望ましくは大きな違いを呈する。斯様なマイクロバブルは、数百倍まで超音波信号を強調できる。超音波造影剤の開発の詳細な記述は、C.J.Harvey等によるEur.Radiol.第11巻(pp.675―689(2001)、及びJ―M.Correas等によるEur.Radiol.第11巻、pp.1316―1328(2001)によるレビューに与えられている。これらマイクロバブルのサイズ要件が、存在する。粒子は、静注で注射可能でなければならず、ほとんどの組織の毛細管を通過するのに十分小さくなければならない、すなわち、粒子は、約8ミクロンより小さくなければならない。しかしながら、あまり小さなマイクロバブル(約1ミクロン)は、あまりエコー源性でないので、妥協されなければならない。ほとんどの組織の毛細管を依然通るが高いエコー源性を持つために、3―4ミクロンが、最適サイズであるとみなされる(A.L.Klibanovによる「フィールド及び現在の状況の超音波造影剤開発」CurrentChemistryのトピックス、第222巻、73ページ、Springer―Verlagベルリン、ハイデルベルク(2002))。加えて、粒子のサイズは、粒子の最適撮像周波数又は共振を制御し、したがって、共振が1〜10MHzの医学画像診断周波数範囲内にあるので、2〜4ミクロン直径の粒子が、好ましくは選択される。
【0028】
薬送達のための超音波撮像造影剤を使用する薬送達の早めの開示は、国際特許公開公報WO97/33474である。当該公報では、マイクロバブルが超音波の影響を受けてどのように空洞化し、その結果、抱合型生物活性剤が放出され、よってターゲット部位に送達できるかが説明されている。国際特許公開公報WO97/33474に記載されているマイクロバブルに加えて、多くの他の適切な粒子が、従来技術において開示されている。例えば、高分子電解質マイクロゲルとコロイドとを水溶液内で混合することにより作られるコア−シェル微粒子を記載する国際特許公開公報WO2005/039750が参照される。米国特許第5,487,390号及び米国特許第5,562,099号は、多価イオンとの接触により合成高分子電解質をイオンチャネル的にゲル化することにより形成される、超音波撮像のためのそれぞれガス充填及び造影剤充填重合マイクロカプセルを記述する。国際特許公開公報WO89/06978は、アミロース又は合成生分解性のポリマーを含むマイクロ―粒子から成る超音波造影剤を記述する。欧州特許公報EP0441468は、60℃未満の沸点を持つ液体及び/又はガスと、重合可能なアルデヒドから得られる生分解性のポリマーから成る0.1から40ミクロンまでの粒子直径を持つ微粒子から成る超音波造影剤を記述する。欧州特許EP0576519は、単分子層又は非タンパク架橋された若しくは重合する両親媒性部分の一つ以上の二重層により封入されるガスのマイクロバブルを有する「マイクロバルーン」として説明されるガス入りの小嚢を有する、超音波造影剤を記述する。米国特許出願第2002/0150539号及び米国特許出願第2005/0123482号は、超音波撮像のための造影剤として、又は薬送達剤として適しているガス状の前駆体充填リポソームを記述する。国際特許公開公報WO00/72757は、超音波造影及び薬送達剤用の表層安定のマイクロバブルを記述する。超音波仲介される薬送達に用いられる、ガス又はガス―前駆体で部分的に満たされる重合粒子は、国際特許公開公報WO2007/010442に記述されている。米国特許出願第2006/0002994号において、エチレングリコールポリマー又はオリゴマを含む表層活性ドーパントの組込みに基づく、超音波仲介される薬送達に適する、強化された超音波反応を持つリポソームが記述されている。
【0029】
超音波剤形
これは、治療薬を有するという付加的な特徴を持った、基本的に同じタイプの前述された超音波粒子を基本的に指す。治療薬は、例えば化学的相互作用(例えば、共有結合)により、又は物理的相互作用(例えば、吸着)により、超音波粒子に結合できる。治療薬は、超音波粒子の空洞に取り入れられる。単に混ぜ合わせる態様で、超音波粒子が治療薬を有することも考えられ得る。
【0030】
治療薬
これは、超音波仲介を通じて投与されるのに有効な何れの生物活性剤をも指す。これは、疾患若しくは障害の発生又は悪化を防止するのに役立つ予防のための薬剤だけでなく、疾患又は障害の処置に役立つ真の治療薬を含む。治療薬は、また、プラスミドDNA又はsiRNAのような遺伝物質を含む。
【0031】
従って、本発明の状況の中で生物活性剤としての使用のために想定される化合物は、治療的又は予防効果を持つ何れの化合物も含む。前記化合物は、組織の成長、細胞成長、細胞分化に影響する、若しくは関与する化合物でもよいし、免疫反応のような生物学的アクションを引き起こし得る化合物でもよいし、又は一つ以上の生物学的プロセスにおいて何らかの他の役割を果たせる化合物でもよい。非限定的なリストの例は、抗菌薬(抗菌剤、抗ウイルス薬及び抗真菌薬を含む)、抗ウイルス薬、制癌薬、トロンビン抑制剤、反血栓形成薬剤、血栓溶解剤、線維素溶解薬剤、血管攣縮抑制剤、カルシウムチャネル遮断抗体、血管拡張薬、抗高血圧症薬剤、抗菌薬、抗生物質、表面グリコプロテイン受容体の抑制剤、抗血小板薬剤、細胞分裂阻止性物質、微小管抑制剤、反分泌薬剤、アクチン抑制剤(抑制剤、反代謝物質、抗増殖剤(反脈管形成薬剤を含む)、制癌化学療法薬、抗炎症ステロイド又は非ステロイド性の抗炎症剤を改造する免疫抑制薬剤、成長ホルモン拮抗物質、成長因子、ドーパミン作用薬、ラジオ治療薬剤、細胞外マトリックス部品、ACE阻害薬、遊離ラジカルスカベンジャ、キレート化剤、酸化防止剤、反ポリメラーゼ及び光力学性治療薬剤を含む。
【0032】
比較的小さなペプチドは、アミノ酸の数によって呼称される(例えば、ジー、トリ―、テトラペプチド)。比較的小さな数のアミド結合を持つペプチドは、オリゴペプチド(最大50のアミノ酸)とも呼ばれる一方、比較的高い数(50を超えるアミノ酸)を持つペプチドは、ポリペプチド又はタンパク質と呼ばれる。アミノ酸残基鎖のポリマーであることに加えて、特定のタンパク質は、いわゆる四元構造により更に特徴付けられ、アミド結合により必ずしも化学的にリンクされているというわけではなくて、静電力及びファンデルワールス力のような当業者に一般に知られている力により結合されている多くのポリペプチドの集合体により特徴付けられてもよい。本明細書で用いられる用語ペプチド、タンパク質又はこれらの混合物は、上述した可能性をすべて含むものである。
【0033】
通常、タンパク質及び/又はペプチドは、その生物活性に基づいて選択される。選択されるポリマーのタイプに依存して、本プロセスにより取得できる生成物は、タンパク質及びペプチドの徐放に非常に適している。特定の実施例では、タンパク質又はペプチドは、成長因子である。
【0034】
ペプチド、タンパク質、又はロードされたポリマーに好適に含まれるタンパク質又はペプチドを有する実在物の他の例は、限定されるわけではないが、下記のものを含む、免疫原性ペプチド又は免疫原性タンパク質を含む。
【0035】
ジフテリア毒素及び破傷風毒素のような毒素。
【0036】
アデノウイルス、イプシュタイン―バーウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV―I、HIV−2、HTLV―III、インフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、麻疹ウイルス、パピローマウイルス、パラミクソウイルス属、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、ワクシニア(天然痘)ウイルス及び黄熱病ウイルスのようなウイルスの一部又はウイルス表面抗原。
【0037】
百日咳菌、ヘリコバクターピロリ、破傷風菌、コリネバクテリアジフテリア、大腸菌、ヘモフィルス属インフルエンザ、クレブシエラ属種、レジオネラ・ニューモフィラ菌、マイコバクテリウム‐ボビス、らい菌、マイコバクテリウム結核、淋菌、髄膜炎菌、プロテウス種、緑膿菌、サルモネラ属種、赤痢菌種、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌、ビブリオ属コレラ及びペスト菌のような細菌の一部又は細菌表面抗原。
【0038】
三日熱マラリア原虫(マラリア)、熱帯熱マラリア原虫(マラリア)、卵型マラリア原虫(マラリア)、四日熱マラリア原虫(マラリア)、熱帯リーシュマニア(リーシュマニア症)、ドノバァンリーシュマニア(リーシュマニア症)、ブラジルリーシュマニア(リーシュマニア症)、トリパノソーマロードセンス(眠り病)、ガンビアトリパノソーマ(眠り病)、クルーズトリパノソーマ(シャガス病)、マンソン住血吸虫(住血吸虫症)、ビルハルツ住血吸虫(住血吸虫症)、日本住血吸虫(住血吸虫症)、センモウチュウ(旋毛虫病)、ストロンギロイデス鉤虫(鉤虫)、十二指腸鉤虫(鉤虫)、アメリカ鉤虫(鉤虫)、バンクロフト糸状虫(フィラリア症)、マレー糸状虫(フィラリア症)、ロア糸状虫(フィラリア症)、ディペタロネマ糸状虫(フィラリア症)、メジナ虫(フィラリア症)及び回旋糸状虫(フィラリア症)のような寄生虫の一部又は疾患を引き起こしている寄生虫のうち表面抗原。
【0039】
IgG、IgA、IgM、抗狂犬病免疫グロブリン及び抗ワクシニア免疫グロブリンのような免疫グロブリン。
【0040】
ボツリヌス菌抗毒素、ジフテリア抗毒素、ガス壊疽抗毒素、破傷風抗毒素のような抗毒素。
【0041】
口蹄疫に対して免疫反応を誘発する抗原。
【0042】
卵胞刺激ホルモン、プロラクチン、アンジオゲニン、上皮細胞増殖因子、カルシトニン、エリトロポイエチン、甲状腺刺激性放出ホルモン、インシュリン、成長ホルモン、インシュリン様成長因子1及び2、骨格の成長因子、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、神経成長因子、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、バソプレッシン、コレシストキニン及び副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンのようなホルモン類及び成長因子;インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子及び腫瘍壊死因子のようなサイトカイン:ウロキナーゼ、腎臓プラスミノゲン活性剤のような線維素溶解酵素;及びプロテインC、第VII因子、第IX因子、第VII因子及びアンチトロンビンIIIのような凝固因子。
【0043】
他のタンパク質又はペプチドの例は、アルブミン、心房性ナトリウム利尿因子、レニン、過酸化物ジスムターゼ、α1である―抗トリプシン、肺界面活性剤タンパク質、バシトラシン、ベスタチン、シクロスポリン、δ睡眠誘発ペプチド(DSIP)、エンドルフィン、グルカゴン、グラミシジン、メラニン形成細胞抑制因子、ニューロテンシン、オキシトシン、ソマスタチン、テプロチド、血清胸腺因子、チモシン、DDAVP、デルモルフィン、メトエンケファリン、ペプチドグリカン、サタエティン、サイモポエチン、フィブリン分解生成物、非エンケファリン―α―エンドルフィン、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン、ロイプロリド、α―MSH及びメトケファミド。
【0044】
アルトレタミン、フルオロウラシル、アムサクリン、ヒドロキシカルバミド、アスパラギナーゼ、イホスファミド、ブレオマイシン、ロムスチン、ブスルファン、メルファラン、クロラムブシル、メルカプトプリン、クロル・メタ・ヒン、メトトレキサート、シスプラチン、マイトマイシン、シクロホスファミド、プロカルバジン、シタラビン、テニポシド、ダカルバジン、チオテパ、ダクチノマイシン、チオグアニン、ダウノルビシン、トレオスルファン、ドキソルビシン、チオフォスファミド、エストラムスチン、ビンブラスチン、エトグルシド、ビンクリスチン、エトポシド、ビンデシン及びパクリタキセルのような制癌薬。
【0045】
アンピシリン、ナフシリン、アモキシシリン、オキサシリン、アズロシリン、ペニシリンG、カルベニシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、フェネチシリン、フロキサシリン、ピペラシリン、メシリナム、スルベニシリン、メチシリン、チカルシリン、メズロシリン、セファロスポリン:セファクロール、セファロチン、セファドロキシル、セファピリン、セファマンドール、セフラジン、セファトリジン、セフスロジン、セファゾリン、セフタジジム、セフォラニド、セフトリアキソン、セフォキシチン、セフロキシム、セファセトリル、ラタモキセフ及びセファレキシンのような抗生物質。アミカシン、ネオマイシン、ジベカシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、硫酸ネチルマイシン、カナマイシン、トブラマイシンのようなアミノグリコシド。アンホテリシンB、ノボビオシン、バシトラシン、ナイスタチン、クリンダマイシン、ポリミキシン、コリスチン、ロバマイシン、エリスロマイシン、スペクチノマイシン、リンコマイシン、バンコマイシンのようなマクロライド。クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ロリテトラサイクリン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン及びミノサイクリンテトラサイクリン。クロラムフェニコール、リファマイシン、リファンビシン及びチアンフェニコールのような他の抗生物質。
【0046】
スルフォンアミド・サルファダイアジン、スルファメチゾール、スルファジメトキシン、スルファメトキサゾール、スルファジミジン、スルファメトキシピリダジン、スルファフラゾール、スルファフェナゾール、スルファレン、スルフィソミジン、スルファメラジン、スルファメトキサゾール又はスルファメトロールを持つトリメトプリム及びスルフィソキサゾールのような化学療法治療薬。
【0047】
メタンアミン、キノロン類(ノルフロキサシン、シノキサシン)、ナリジキシン酸、ニトロ化合物(ニトロフラントイン、ニフルトイノール)及びオキソリン酸のような尿路消毒剤。
【0048】
メトロニダゾールのような嫌気性感染症のための薬。
【0049】
アミノサルチル酸、イソニアジド、シクロセリン、リファンピシン、エタンブトール、チオカルリド、エチオナミド及びバイオマイシンのような結核のための薬。
【0050】
アミチオゾン、リファンピシン、クロファジミン、ナトリウム・スルホキソン及びジアミノジフェニルスルホン(DDS、ダプソン)のようなハンセン病のための薬。
【0051】
アンホテリシンB、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ナタマイシン、フルシトシン、ナイスタチン及びグリセオフルビンのような抗真菌薬。
【0052】
アシクロビル、イドクスウリジン、アマンチジン、メチサゾン、シタラビン、ビダラビン及びガンシクロビルのような抗ウイルス薬。
【0053】
クロロキン、ヨード・キノール、クリオキノール、メトロニダゾール、デヒドロエメチン、パロモマイシン、ジロキサニド、フロエートチニダゾール及びエメチンのようなアメーバ症の化学療法。
【0054】
クロロキン、ピリメタミン、ヒドロキシクロロキン、キニーネ、メフロキン、スルファドキシン/ピリメタミン、ペンタミジン、ナトリウム・スラミン、プリマキン、トリメトプリム及びプログアニルのような抗マラリア薬剤。
【0055】
酒石酸アンチモンカリウム、ニリダゾール、アンチモン・ナトリウム・ジメルカプトコハク酸、オキサムニキン、ベフェニウム、ピペラジン、ジクロロフェン、プラジカンテル、ジエチルカルバマジン、ピランテルパモエート、ヒカントン、ピリビウムパモエート、レバミゾール、スティボフェン、メベンダゾール、テトラミゾール、メトリホナート、チアベンダゾール及びニクロサミドのような反蠕虫病薬剤。
【0056】
アスピリン酸、メフェナム酸、アクロフェナク、ナプロキセン、アゾプロパノン、ニフルミン酸、ベンジダミン、オキシフェンブタゾン、ジクロフェナク、ピロキシカム、フェノプロフェン、ピルプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸ナトリウム、イブプロフェンスリンダック、インドメタシン、チアプロフェン酸、ケトプロフェン及びトルメチンのような反炎症性薬剤。
【0057】
コルヒチン及びアロプリノールのような反痛風薬剤。
【0058】
アルフェンタニル、メタドン、ベジトラミド、モルヒネ、ブプレノルフィン、ニコモルフィン、ブトルフェノール、ペンタゾシン、コデイン、ペチジン、デキストロモラミド、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、スフェンタニル及びフェンタニルのような中枢作用(オピオイド)鎮痛薬。
【0059】
アルチカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、プロカイン、リドカイン及びテトラカインのような局所的麻酔薬。
【0060】
アマンチジン、ジフェンヒドラミン、アポモルヒネ、エトプロパジン、メタンスルホン酸ベンズトロピン、レルゴトリル、ビペリデン、レボドパ、ブロモクリプチン、リスリド、カルビドパ、メチキセン、クロルフェノキサミン、オルフェナドリン、シクリミン、プロシクリジン、デキセチミド及びトリヘキシフェニジルのようなパーキンソン病のための薬。
【0061】
バクロフェン、カリソプロドール、クロルメザノン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、ダントロレン、ジアゼパム、フェバルバメート、メフェノキサロン、メフェネシン、メタキサロン、メトカルバモール及びトルペリゾンのような中枢性筋弛緩薬。
【0062】
コルチゾール、デオキシコルチコステロン及びフルオロヒドロコルチゾンのような無機質コルチコステロイド。
【0063】
ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コーチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン及びトリアムシノロン(アセトニド)のような副腎皮質ステロイド。
【0064】
ダナゾール、フルオキシメステロン、メステロロン、メチルテストステロン、テストステロン及びその塩類のような治療で使用されるアンドロゲニックステロイド。
【0065】
カルステロン、ナンドロロン及びその塩類、ドロモスタノロン、オキサンドロロン、エチルエストレノール、オキシメトロン、メタンドリオール、スタノゾロール・メタアンドロステノロン及びテストラクトンのような治療で使用される筋肉増強剤。
【0066】
シプロテロン酢酸塩のような抗アンドロゲン。
【0067】
ジエチルスチルベストロール、エストラジオール、エストリオール、エチニルエストラジオール、メストラノール及びキネストロールのような治療で使用されるエストロゲン・ステロイドを有するエストロゲン。
【0068】
クロロトリアニセン、クロミフェン、エタモキシトリフェトール、ナフォキシジン及びタモキシフェンのような抗エストロゲン。
【0069】
アリルエストレノール、デソゲストレル、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチニルエストレノール、エチステロン、エチノジオールジアセテート、エチノジオール、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール酢酸塩、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル及びプロゲステロンのようなプロゲスチン。
【0070】
甲状腺薬は以下を有する。
【0071】
左旋サイロニン及びリオチロニンのような治療で使用される甲状腺薬。カルビマゾール、メチマゾール、メチルチオウラシル及びプロピルチオウラシルのような治療で使用される抗甲状腺薬。
【0072】
水溶性である生物活性剤から離れて、抗酸化剤、イオン、キレート薬、染料、撮像化合物のような他の水溶性化合物が組み込まれ得る。
【0073】
好適な治療薬は、癌(例えば抗腫瘍)及び心血管疾患(例えば血栓治療又は防止)の領域内にある。これらは、超音波仲介による送達から利点を得られる治療薬の中でも最善の候補を構成する。
【0074】
音響特性の検出
本発明において、治療の前、治療中、又は治療後に、治療薬の投与レベルの適切な設定、治療薬を放出するために付与される超音波の特性及び部位への良好な洞察を得るという願望をとりわけ強調するステップが含まれる。
【0075】
一般に、治療薬の超音波介在(仲介)による放出のプロセスの一部において、投与された超音波粒子の音響特性が検出され(超音波粒子が超音波を受ける時のポイントで、又はその後で)、そこから得られた情報は、当該プロセスの一つ以上の後続の部分で、治療薬の放出を適応又は調整するために適用できると考えられる。
【0076】
一つの実施例では、超音波粒子の単一のセットが、使用される。この場合、これら超音波粒子は、治療薬を有する。初めに投与された粒子は、超音波を受ける。これがもたらす(通常、薬剤の放出を遂行するために用いられる)物理的変化は、同時に音響特性の変化をもたらす。超音波スキャナのような適切な機器が、超音波仲介による薬剤放出の間、投与された粒子の音響特性を検出するために用いられる。これは、音響エコーの形式(スキャナがパルスエコーモードに設定される場合)、又は粒子からの音響放射の形式(スキャナが受動的な受信専用モードに設定される場合)であり得る。
【0077】
このようにして検出された音響特性が処理される。制御ユニットは、放出プロセスに関連した音響信号の変化又は特性放射を適切に分析し、放出された薬剤の服用量の推定値を作る。推定値は、複数の空間位置に対して作られ、時間とともに更新できる。推定値は、キャリアの量単位当たりの治療薬の量についての経験的知識から付与できる。単に以下の例を示す:特定の予め選択された部位(例えば、腫瘍及びその周囲の通常の組織)上の各小さな検出ボリューム(撮像空間解像度により決定される)内に送達される超音波粒子と関連した音響信号の強度から、どれくらいの粒子が超音波により影響を受けるかが、計算できる。これは、粒子投与及び超音波発動が同じ設定を使用して繰り返された場合、各小さな検出ボリューム内に放出できる治療薬の最大量の計算を可能にする。よって、腫瘍及び周囲の通常の組織両方への全治療薬の放出(例えば、立方体ミリメートル当たり)が、計算でき、超音波発動の間、時間とともに更新できる。
【0078】
累算された用量だけでなく、最近の放出用量の画像表示もオペレータに提示できる。用量情報は解剖的画像(二次元又は三次元の)に重畳できるので、送達される治療の局所化は、患者の解剖学的構造に重畳できる。
【0079】
制御ユニットは、様々な形態でできる。制御ユニットは、別個又は一体化されたハードウエア装置でもよいが、スキャナ上を走るソフトウェア要素でもよい。
【0080】
他のハードウェアオプションとして、アプリケータ(粒子の投与を受ける人へ超音波を送るのに役立つ)は、スキャナに対するアドオン(拡張)要素として構成できる。所望ならば、アプリケータは、スキャナと実際に全く同一である。
【0081】
得られた情報を処理する音響分析及び方法は、様々な態様でなされる。例示的な記述として、オペレータが最適行動方針を決定するために、送達された用量の情報を使用するとする。オペレータのオプションは、治療を継続し、治療位置の準最適な配置に応答して若しくは新しい治療スポットを作るためにアプリケータ又はその超音波ビームを空間的にシフトさせ、治療を終了することを含む。オプションとして、制御ユニットは、アプリケータ上の様々なパラメータを起動させ、停止させ、制御するための機能を含む。実際に送達された用量がオペレータ(例えば、医師)によりあらかじめ規定された治療計画と最適に合うように、閉フィードバック制御ループが実行できる。他のオプションとして、超音波仲介による送達の適応制御を可能にする情報は、信号処理によりパルスエコー測定から抽出できる。例えば、音響減衰及び収差は、超音波スキャナによる画像捕捉の一部として得られたパルスエコーデータから推定できる。斯様な情報は、最適な薬剤送達効力及び最小の副作用のために適切にアプリケータを制御するために使用できる。
【0082】
制御ユニットは、境界に関する情報を供給できる。例えば、情報は、副作用を制限するためオペレータに、送達された投与量に対する上限値(例えば、副作用限界)を供給できる。制御ユニットは、同様に、充分な効力を保証するためオペレータに、送達された投与量に対する(治療)下限値を供給できる。他のオプションとして、エコー源性造影剤の追加的な注射が、治療確認の目的のために投与できる。例えば、治療に対する(予想される)免疫又は他の生物学的反応にターゲットされる造影剤が、治療セッションの正確さ及び質を明らかにするために注入される。
【0083】
他の実施例では、超音波粒子の少なくとも2つのセットが投与されて、超音波を受け、一方の(第1の)セットが音響特性の検出を受け、他方の(第2の)セットが治療薬を有して放出する。このように実際に、超音波粒子の第1のセットは、撮像トレーサーとして役立ち、他方のセットは、治療薬を有して放出する送達輸送手段として役立つ。
【0084】
好ましくは、この実施例は、前記撮像トレーサーが投与されて音響特性の検出を受ける第1のフェーズとしての計画フェーズと、前記送達手段が投与され、前記治療薬の放出を行う第2のフェーズとしての処置フェーズとを有する、2つのフェーズプロセスとして実行される。
【0085】
用語「フェーズ」は、必ずしも単一の投与を指すわけではないことは留意されるべきである。実際に、計画フェーズでは、実際の治療ゾーンの決定のためのトレーサー分布及び治療の超音波ビーム配置は、血流への正確な撮像トレーサーの一つ以上の注入で最善に計画する。
【0086】
このように、本発明は、超音波により援助された薬送達のため、一つ以上の音響トレーサーの使用のための新規なアプローチを説明する。例示的なスキームは、図1に与えられる。ここでは、少なくとも2つの既知の超音波薬剤が、次々と血流に注射される(又は、注入される)。第1の薬剤は、連続的造影撮像のための撮像トレーサーとして作用する所与の数の安定、可撓性のマイクロバブル(例えば、脂質の殻の過フルオロ炭素ガス入りのマイクロバブル)である。このトレーサーは、後で投与される薬の分布に関する情報を供給し、後続の治療ビームを計画し調整するために役立つ。第2の薬剤は、薬送達輸送手段(超音波剤形)として作用し、正確にターゲットされた薬送達のための薬キャリアとして、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム又は他の音響的活性の粒子(超音波粒子)の計画された集団を含む。複数のトレーサー及び/又は複数の薬キャリアの組合せも使用できる。
【0087】
一般に、計画フェーズにおいて、第1の造影剤注入の比較的小さな既知の量(注入の前に調整される)が、対象の領域に必要とされる薬の量を推定するために利用される。この第1のステップは、対象の領域の造影剤のマイクロバブルの量、濃度及び造影動態(部分的な血液量だけでなく、wash in、wash outのような)に関する情報を供給する。第1のステップは、通常、(限定するわけではないが)低い振幅(すなわち、低いMI)診断用超音波フィールドを使用して達成される。MI(メカニカルインデックス)は、超音波によって誘発されたメカニカル生体効果(特に、有害な不活発な空洞化)の見込みの尺度である。同じ注入(点滴)で、又は新規な造影剤注入の後、同じ撮像装置又は新規な治療装置の治療の超音波フィールドがオンにされるので、各治療の超音波ビームの焦点が、限られたマイクロバブルの破壊、又は音響放射線で誘発される造影マイクロバブル変位で視覚化できる。このようにして、対象の領域内にある治療の超音波焦点の強度は、低いMI診断用超音波フィールドと比較して調整できる。(薬坦持粒子の予測される分布として)造影剤の分布及び治療の超音波フィールドの実際の焦点位置両方は、相関され、後ろにある解剖的構造体の超音波画像(例えば、通常の又はハーモニックBモードの及び更に大きな血管の目印のためのドップラー画像)に重ね合わされる。
【0088】
造影剤注入の終了時、すぐに又は短時間後に、対象の同じ領域へ流れる薬坦持粒子の比較的大きな較正された量が、造影剤集団で以前の低MI造影撮像からの情報を使用して、推定された局所的濃度及びレートに従って起動される。超音波で活性する薬坦持の粒子が検出されると、又は注入部位と対象の領域との間の較正の時間が経過した後に、治療のビームは、起動され、造影分布及び超音波焦点位置両方のための重ね合わされた地図であって解剖的な超音波撮像のガイダンスの下、ターゲティング領域間を走査される。薬坦持剤の音響発動は、超音波の使用を通じて(例えば、より高いMI及び/又はより大きなパルス長で)、これらの医薬ペイロードを放出するために当該剤を破壊することである。当該発動は、処置している臨床医により手動で、又はプログラム可能なトリガーを使用して自動的に開始できる。
【0089】
薬担持粒子の総量、濃度及び注入レートは、注入の前に較正されて計画される。撮像マイクロバブルと薬送達手段との間の比率は、充分な薬が組み込まれ得るように選択され、従って、比率は1:10又は1:100以上でさえあり得る。複数の相互作用的な薬と複数のキャリアとの組合せが、最適な治療の効果のために使用される。
【0090】
このアプローチは、撮像トレーサーが(低MI造影撮像で、又は複数の造影注入で)繰り返し問い合わせができるという利点を持ち、その特定のサインが検出できる。ターゲットされた造影剤の場合、撮像バブル及び薬送達手段両方は、同じターゲット部分で変更できる。ターゲティングの正確さは、ターゲットされた造影剤と良くフォーカスされた超音波との組合せで非常に改善される。
【0091】
非破壊造影撮像及び破壊誘発による薬剤放出のために必要とされる最小及び最大超音波エネルギーレベル(中心周波数、振幅、パルス反復だけでなくパルス長、周波数又はフレームレートを含む)は、(可撓性の、薄い殻及び厚い殻を持ったマイクロバブル、ナノ粒子及びリポソームのような)撮像及び薬担持トレーサー両方のサイズ及び構成により決定される。局所的薬剤放出レートは、超音波エネルギーレベルによっても調整される。
【0092】
他の同様の実施例が可能であることは、明らかであろう:例えば、トレーサー薬剤が最初に注入され、治療ゾーンが、破壊及び破壊/再灌流等のような従来の手段を通じて視覚化され、それから治療パラメータが、治療ビームを調整するために微調整され、その後、薬坦持粒子が注入され、後続の治療ビームにより活性化される。
【0093】
更に他の実施例では、ターゲティングの正確さ及び薬放出効率を強化するために、撮像及び薬坦持造影剤(すなわち、超音波粒子及び超音波剤形)の混合物が、同時に注入されて、撮像及び薬放出のために選択的に活性化される。
【0094】
選択的な発動のために、2つの異なる粒子は、超音波反応に関して互いに異なることを必要とされる。これは、以下の例示的な実施例を参照して説明できる。
【0095】
撮像のための少量の可撓性のマイクロバブル(例えば、脂質マイクロバブル)及びターゲットされた薬送達のための比較的かなりの量の比較的柔軟性がないマイクロカプセル(例えば、より大きな発動閾値を持つ薬坦持ポリマーマイクロバブル)である、マイクロバブルの少なくとも2つの集団が、よく混合されて、同時に血流に注入される(又は点滴される)。
【0096】
対象の領域に必要とされる薬の量(すなわち、薬坦持マイクロカプセルの数)を推定するために、連続的低いMI造影撮像と関連して、少量の可撓性のマイクロバブルが、対象の領域での可撓性のマイクロバブルの濃度及び(部分的血量だけでなく、wash in、wash outのような)造影動態を評価することにより、時間にわたって造影量を推定し決定するために使用される。やがて、相対的に大きな量の薬坦持マイクロカプセル(より大きな活性閾値を持つ)がターゲット領域に達し、処置医療の開始時に、マイクロカプセルは、活性閾値を超えた高い強度(より大きな振幅及びパルス長両方を持つ)超音波の使用を通じて、これらの薬ペイロードの放出のために開かれる。当該活性は、処置している医師により手動で、又はプログラム可能なトリガーを使用して自動的に開始できる。
【0097】
種々異なる殻厚さ(同様の直径ではあるが)を持つ、又は種々異なる殻厚さと直径との比を持つポリマーマイクロバブルは、マイクロバブルの種々異なる集団としても使用できる。これは、より厚い殻を持つ(同一の殻材料を使用する)ポリマーマイクロカプセルが、活性化される(破壊される)には通常硬めであるからである。薄い殻の剤は、厚めの殻の薬坦持剤の破壊なしに、wash in/wash out灌流動態測定のために(所与の時間にわたって間欠的に)理想的に破壊されるか、又は低いMIで既に音波を発生しているかの何れかである。これは、複数の評価を可能にし、高いMIが、厚い殻のバブルに最小の効果を持って、薄い殻のバブルを破壊するのに充分大きなMIを指す「高いMI」撮像さえ可能にする。従って、バブルの様々な集団のサイズ及び殻の厚さを注意深く設計することにより、特定のマイクロバブルの集団に対する特定の超音波活性圧力を設計することが可能である。
【0098】
薄い殻の撮像剤又は超音波造影マイクロバブルの第3の集団(例えば、薄い殻の撮像バブルに対しての破壊よりも大きいが、厚い殻の薬坦持マイクロカプセルに対しての破壊よりも小さい音響破壊を持つ中間の厚さ、ポリマー殻のガス充填マイクロカプセル)の何れかが、治療の超音波ビームの焦点の視覚化のために使用できる。第3の集団は、囲んでいる組織の浸透性を強化するのに役立つ。
【0099】
薄い殻の撮像剤だけの場合、各治療超音波ビームの焦点領域の周りの限定されたバブル破壊又は放射線による力誘発バブル動作が、治療用ビームの視覚化に対して利用できる。薄い殻及び中間の厚い殻の剤両方の場合、視覚化が2つの超音波パルスを送信することにより実現でき、これらそれぞれのエコーを比較する。低めの振幅を持つ第1のパルスが薄い殻の撮像剤だけを破壊する一方、僅かに大きい振幅を持つ第2のパルスが、薄い殻及び中間の厚さの殻両方のガスマイクロカプセルを破壊する。良く規定された破壊閾値を持つ中間の厚さの造影剤を使用して、処置ゾーンの間で必要とされる治療の超音波強度を較正することが更に可能である。剤破壊が起こり始めるように、超音波強度が異なる深さで調整できる。
【0100】
非破壊的造影撮像及び破壊誘発薬放出のために必要とされる最小及び最大超音波エネルギーレベルが、薄い、中間の厚さ、及び厚い殻のマイクロバブルのサイズ及び組成により決定される。
【0101】
バブルの存在の検出のために使用されるマイクロバブルが、低いメカニカルインデックスで付与される超音波に可逆的に反応し、薬で満たされたマイクロカプセルは、低いMIでは反応せず、高いMIにだけ信号を出す。これは、撮像バブルとして脂質の殻又は代わりに薄いアルビミン殻のバブルと、超音波活性薬送達手段として硬い殻のバブルとを必要とする。
【0102】
厚い殻のマイクロカプセルは、非常に低い散乱可能性(すなわち、散乱断面積)を持ち、よって、マイクロカプセルが低いMI造影撮像で通常使用される低い音響圧力で音響的に活性化される前には(すなわち、崩壊する又は分解する前には)、「見えない」(特に、ハーモニック撮像モードで)。従って、厚い殻のマイクロカプセルの存在は、わずかな減衰しか導かず、薄い殻のマイクロバブルで低いMI造影撮像に対する撮像の感度をほとんど低減させない。
【0103】
薄い殻の撮像マイクロバブルと厚い殻の薬送達剤との間の比率は、充分な薬が組み込まれるように選択され、従って、当該比率は、1:10又は1:100以上でさえある。薬送達アプリケーションにとって、強度を撮像範囲まで制限することが常に必要なわけではない。よって、厚い殻のマイクロカプセルを開けるために必要とされる、より高い圧力が、問題を起こすわけではない。
【0104】
理想的には、造影撮像及び薬放出のために使用されるマイクロバブル及びマイクロカプセルの集団は、同一の表面特性(しかし、異なる殻厚さ)を持つ。この実施例では、薬坦持剤は、ポリマー殻のマイクロバブルのような固い殻のマイクロカプセルであり、これは、同一の表面特性を作るために、撮像剤がポリマーバブルでもよいことを意味する。ここでの利点は、撮像バブルの生体内分布が、薬坦持バブルに対するのと正確に同一であり、これにより、撮像バブルの使用が、より少ないエコー強度の薬放出バブルの量及び存在を推測可能にする。
【0105】
本発明は、繰り返しが可能で頑強な殻特性(化学組成、厚さ)を持つ良く規定されたサイズ分布(狭い又はモノ−分散)を具備する造影剤の既存の製造を参照して実現できる。2つのポリマーマイクロカプセルサンプルのサイズ分布が、図2に提示される。マイクロバブルのサイズ及び殻特性についてのこの注意深い制御は、マイクロバブルが、完全に封入された粒子から利用可能な薬又はジェネリック材料を持つ空の殻へ動く鋭い圧力遷移ポイントがあることを保証する。この技術の付加的利点は、マイクロバブル全てが既知の量の薬を含み(粒子当たりの薬が単純な数の濃度倍)、薬剤介入の配給の量がより単純になる。
【0106】
薬のような治療薬が、付加的オイルのフェーズで好ましくは組み込まれて、部分的にオイルで満たされ、部分的にガスで満たされたカプセルを作る。斯様なオイルのフェーズにある薬の例は、低い濃度で使用できるパクリタキセル又は他の抗がん剤である。ガスで満たされたポリマー殻のトレーサーカプセル及び治療薬を含む部分的にオイルで満たされた治療のポリマー殻のカプセルを持つ、好ましい実施例が実現できる。部分的にオイルで満たされるか又は完全にガスで満たされたカプセルを合成するために、同一の準備(インクジェット印刷、前もって混合された乳化作用)が使用される場合、カプセルのサイズ分布は、影響されない。しかしながら、カプセルが図5に示されるように部分的にオイルで満たされる場合、音響閾値が影響される。
【0107】
本発明は、前述の式及び実施例に限定されないことは、理解されるべきである。請求項内の用語「有する」が他の要素又はステップを除外しないことは、理解されるべきである。単一の名詞を参照するとき、不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」「an」又は「the」が使用されているが、これは、特に言及がない限り、その名詞の複数を含む。
【0108】
本発明は、以下の非限定的例及び添付の非限定的図を参照して例示されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、前述の2つのフェーズプロセスの計画及び処置プロセスの実例のためのフローチャートを示す。
【図2】図2は、マイクロカプセルの2つのインクジェットサンプルのサイズ分布を示す。
【図3】図3は、「実施例」で説明された実験的セットアップの概略的説明を提供する。撮像造影剤MP1950及びポリマー殻のマイクロカプセル剤IJ05232(薬送達手段として)が先ず混合され、その後脱イオン水に注入される。IJ05232は、ポリマーに基づいた薄い殻のマイクロカプセル剤である(ポリマー/核=4;MIが0.25の低いが鋭い閾値を持つ90nm殻厚)。これらのマイクロカプセル準備の説明は、単分散高分子殻のカプセルのためのBohmer等によるColloids and Surfaces A、2006(289)96−104に見られるだろう。国際特許公開公報WO2006/003581A1も参照される。
【図4】図4は、2つの連続する画像フレームを表す。(a)−22dBの非常に低い透過パワーを持つモニタモード(ディスプレイ上の「レベルが下げられた」MI=0.1に対応する)では、撮像剤MP1950マイクロバブルだけが、80dBの高い受信ゲインで見られた。(b)−12dBのより大きな透過パワーを持つインパルスモード(ディスプレイ上の「レベルが下げられた」MI=0.4に対応する)では、撮像剤MP1950マイクロバブル及びポリマー剤IJ05232マイクロカプセル両方は、これらが、インパルスモードで強い超音波により分解されるので、60dBのより低い受信ゲインでも観察された。
【図5】図5は、オイルがない空洞のマイクロカプセルサンプル及びオイルで閉じられたマイクロカプセルサンプル両方に対して1MHz、32サイクル照射パルスのメカニカルインデックスの関数として、百分率の事象カウントを示す。各マイクロカプセル活性が一つの事象としてカウントされる。空気で満たされたマイクロカプセルに対する鋭い活性閾値は、線形フィッティングによると0.5のMIの周りである(4%を超える測定された百分率事象カウントに対しては青の点線)。オイルで閉じられたマイクロカプセルの活性に対する閾値は、線形フィッティングによると0.55まで増大する(緑の実線)。
【発明を実施するための形態】
【0110】
図3に示されるように、脂質ベースの撮像剤(MP1950、バージニア大学)及びポリマーベースの厚い殻のマイクロカプセル剤(直径3.26μmを持つIJ05232、フィリップスリサーチ)が先ず混合され、次に水タンクに注入された。Sonos7500超音波スキャナに接続されたセクター超音波プローブS3が垂直方向に位置づけられ、一片の2層音響吸収材が底部に置かれる。超音波スキャナが、連続的造影撮像のための低いMIモニタモード及び造影剤破壊のためのインパルスモード(かなり高いMIを持つ)から成る造影モダリティを使用して動作された。非常に低い送信パワーの−22dBでモニタモード(ディスプレイ上の「レベルが下げられた」MI=0.1又は水内3cmで実際のMIが〜0.16に対応する)の図4に示されるように、高い受信ゲイン80dBでさえ、撮像剤MP1950マイクロバブルだけが見られた。図4bでは、より大きな伝送パワーの−12dBを持つインパルスモード(ディスプレイ上の「レベルが下げられた」MI=0.4又は水内3cmで実際のMIが〜0.52に対応する)において、撮像剤MP1950マイクロバブル及びポリマー剤IJ05232マイクロカプセル両方が、これら両方がインパルスモードで強力な超音波により破壊されるので、低い受信ゲインの60dBで観察された。これら受信ゲインは、伝送パワーの増大を補償するために低下された。
【0111】
このアプローチは、撮像バブルが繰り返し調べられ、その特別なサインが検出できるという利点を持つ。ターゲットバブルの場合には、撮像バブル及び薬送達手段両方が、同一のターゲット部位で変形できるか、又は別の実施例では、治療薬はターゲットされないが、ターゲット撮像マイクロバブルの隣にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)超音波に曝されるとき物理的変化を受ける超音波粒子の投与ステップ、
(ii)超音波の付与により影響を受けて治療薬の放出を可能にする超音波剤形で治療薬の投与、
(iii)超音波粒子の少なくとも幾らかの物理的変化に影響を与えるための超音波の付与、及び
(iv)治療薬の放出を刺激するための超音波の付与
を有する、哺乳類、特にヒトへの治療薬の送達のための方法であって、前記超音波粒子が、エコー及び/又は放射を含む音響反応の検出を受ける、方法。
【請求項2】
前記治療薬を有するキャリアの形式で前記治療薬が投与され、前記キャリアは超音波粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
超音波粒子の少なくとも2つのセットが投与されて、超音波に曝され、一方のセットは音響特性の検出を受けることにより撮像トレーサーとして役立ち、他方のセットは治療薬を有して放出する送達手段として役立つ、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記撮像トレーサーが投与されて音響特性の検出を受ける第1のフェーズとしての計画フェーズと、前記送達手段が投与され、前記治療薬の放出を行う第2のフェーズとしての処置フェーズとを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記撮像トレーサー及び前記送達手段は、同時に投与され、選択的に撮像及び治療薬放出のために活性化される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
撮像トレーサーとして役立つ超音波粒子は、低い超音波強度でさえ音波を発生する粒子を有し、送達手段として役立つ超音波粒子は、活性超音波閾値よりも低いとわずかな音波を発生する粒子を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
撮像トレーサーとして役立つ超音波粒子は、相対的に低い活性超音波閾値を備えた粒子を有し、送達手段として役立つ超音波粒子は、相対的に高い活性超音波閾値を備えた粒子を有する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
撮像トレーサーとして役立つ超音波粒子は、相対的に薄い殻の超音波粒子を有し、送達手段として役立つ超音波粒子は、前記撮像トレーサーとして役立つ超音波粒子と同じ殻組成及び殻構造を持った、相対的に厚い殻の超音波粒子を有する、請求項5乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
撮像トレーサーとして役立つ超音波粒子は、ガス充填マイクロスフェアを含み、前記治療薬がフォーカスされた超音波で送られる熱により活性化される粒子内に含まれる、請求項5乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
腫瘍の部位への抗がん剤のターゲット送達ステップを有する、患者の腫瘍の処置方法であって、前記ターゲット送達ステップは、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法を適用することにより実行される、方法。
【請求項11】
血栓の部位への抗血栓剤のターゲット送達ステップを有する、患者の血栓の処置方法であって、前記ターゲット送達ステップは、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法を適用することにより実行される、方法。
【請求項12】
超音波を人の身体へ送るために役立つアプリケータと、エコー及び放射を含む音響応答を検出するために役立つスキャナと、前記スキャナから受信された情報を処理し、処理された情報を前記アプリケータへ与えるのに役立つ制御ユニットとを有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法を実施するために適するシステム。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法に使用するための超音波粒子。
【請求項14】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法に使用するための超音波剤形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529039(P2011−529039A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519256(P2011−519256)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052449
【国際公開番号】WO2010/010473
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】