説明

超音波医療診断システムおよび超音波医療診断システムによるイメージング方法

【課題】超音波イメージング装置を用いて超音波による3次元画像のステレオスコピックビューを可能にする。
【解決手段】人体を表すデータを形成する超音波イメージング装置が設けられており、この装置は超音波トランスデューサおよび3次元画像プロセッサを備えており、このプロセッサはデータに依存してそれぞれ異なる第1の観察角および第2の観察角に相応する第1の3次元表現および第2の3次元表現をレンダリングし、さらにこれらの表現を表示するステレオスコピックディスプレイが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波によって所定のボリュームを表現する3次元イメージングに関する。本発明は特に、超音波医療診断システムおよび超音波医療診断システムによるイメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元表現は2つの2次元画像としてCRTまたはフラットパネルモニタに表示される。制限されてはいるものの、3次元効果または奥行き認知は、種々のレンダリング法、例えば不透明化、平滑化フィルタリング、影付け、エッジ強調その他の技術によって達成される。
【0003】
コンピュータゲーム、フライトシミュレーション、映画およびTVなどに対して種々のタイプのステレオスコピック表示が開発されてきた。これらの製品では3次元物体のステレオスコピックビューをビデオ表示速度で形成する。この場合の3次元効果は2次元画像による3次元表現に比べて高まる。
【0004】
また3次元ステレオスコピック画像は医療用イメージングおよびその学習に広く用いられている。超音波ステレオスコピック画像はオフラインで超音波イメージング装置から分離されたワークステーションなどを用いて表示される。例えばSiemensSXD33Dカラーフラットパネルステレオスコピックディスプレイモニタを用いた超音波ステレオスコピックイメージングにより鮮明な胎児画像が得られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、複雑な構造をより簡単かつ迅速に分析できるよう、超音波イメージング装置を用いて超音波による3次元画像のステレオスコピックビューを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、人体を表すデータを形成する超音波イメージング装置が設けられており、この超音波イメージング装置は超音波トランスデューサおよび3次元画像プロセッサを備えており、この3次元画像プロセッサはデータに依存してそれぞれ異なる第1の観察角および第2の観察角に相応する第1の3次元表現および第2の3次元表現をレンダリングし、さらに第1の3次元表現および第2の3次元表現を表示するステレオスコピックディスプレイが設けられているシステムにより解決される。
【0007】
課題はまた、超音波イメージング装置により、所定の領域を表す超音波データを取得し、それぞれ異なる第1の観察方向および第2の観察方向から前記領域の第1の3次元表現および第2の3次元表現をレンダリングし、これら第1の3次元表現および第2の3次元表現を用いて前記領域のステレオスコピック表示を形成する方法により解決される。
【0008】
課題はまた、超音波イメージング装置、ディスプレイおよびヘッドマウントデバイスを有しており、前記超音波イメージング装置は同じ領域を第1の観察角および第2の観察角から表した第1の3次元表現および第2の3次元表現を出力するビデオ処理ユニットを有しており、前記ディスプレイは第1の3次元表現および第2の3次元表現を表示し、前記ヘッドマウントデバイスは前記ディスプレイに関連して前記領域のステレオスコピック表示を形成するシステムにより解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の方法は有利には超音波医療診断システムに適用される。超音波医療診断システムは音響エネルギにより人体を走査し、当該の人体について3次元のステレオスコピックビューを形成する。さらにビデオ処理ユニットおよび/またはディスプレイデバイスによりステレオスコピック表示が形成される。
【0010】
本発明の特徴は特許請求の範囲に定義されており、発明の詳細な説明中の実施形態は特許請求の範囲を限定するものではない。本発明のさらなる態様および利点を図示の実施例に関連して以下に説明する。
【実施例】
【0011】
図示の実施例は本発明の基本的原理を説明するためのものにすぎない。また図中のコンポーネントはそれぞれ縮尺通りには示されていないことに注意されたい。なお同じコンポーネントには全図を通して相応する参照番号を付してある。
【0012】
ステレオスコピックなビデオ表示は超音波イメージング装置によって実現される。従来の超音波イメージング装置のビデオパスはパーソナルコンピュータまたはワークステーションのそれとは異なっている。主な相違点として超音波イメージング装置はグラフィクスカードに加えて付加的なビデオ処理ユニットを有することが挙げられる。付加的なビデオ処理ユニットは患者登録情報、病院情報、イメージングパラメータなどを含むオーバレイグラフィクスを画像に加え、他の画像ディスプレイデバイスへのビデオ入出力、例えばDICOMワークステーション、CDバーナー、光学ドライブ、DVDバーナー、VCRおよびプリンタなどへの画像送信を管理する。グラフィクスカードはパーソナルコンピュータまたはワークステーションで用いられているものと同様であるが、当該の付加的なビデオ処理ユニットは典型的にはカスタムデザインの装置である。
【0013】
他の医療用イメージング装置に比べての超音波イメージング装置の強みは、リアルタイム処理が可能であり、可搬かつ低コストであるということである。超音波イメージング装置を用いて超音波による3次元画像のステレオスコピックビューが可能になると、画像品質、3次元効果(例えばつや、シンチレーション、表面光沢)、奥行き認知、信号雑音比、解剖学的位置、ワークフロー、スループットが向上し、および/または解剖学的構造をリアルタイムでステレオスコピックに、つまり時間に依存して3Dまたは4Dで観察することができる。超音波ステレオスコピック画像はオフラインのパーソナルコンピュータまたはワークステーションではなく超音波イメージング装置で形成される。
【0014】
超音波ステレオスコピック画像は、胎児顔貌、胎児胸郭、胎児の全身、胆石、胆嚢、肝静脈、新生児脳、経頭蓋または心臓などの画像を形成できる。付加的な奥行き情報により複雑な構造をより簡単かつ迅速に分析することができる。ビジュアル環境の高いレベルでの3次元画像を提供できれば、適用範囲もさらに広がる。こうしたアプリケーションは治療計画ツール、医療研修ツールおよびバーチャル生検ツールを含み、超音波画像のバーチャルリアリティ表示の基礎をなし、フライスルー表示技術およびバーチャルパースペクティブカメラビューイメージングにおいて利用される。
【0015】
図1には超音波医療診断システム10が示されている。システム10は超音波イメージング装置12およびステレオスコピックディスプレイ14を有する。超音波イメージング装置12は1つまたは複数の画像をステレオスコピックディスプレイ14上に形成することができる。超音波イメージング装置12は送信ビーム形成器16,トランスデューサ18,受信ビーム形成器20,検出器22,走査コンバータ24,3次元画像プロセッサ26およびビデオ処理ユニット28を有する。これらに加えて他のコンポーネントを設けてもよいし、逆に例えば走査コンバータ24および3次元画像プロセッサ26を省略してもよい。また別の実施例として、走査コンバータ24、3次元画像プロセッサ26およびビデオ処理ユニット28を結合することもできる。ビデオ処理ユニット28は同じ領域を種々の観察角から記録した複数の3次元表現を出力できる。各表現はほぼ同時に異なる観察パースペクティブ(例えば左右の目に相応する2つの方向)から見た1つの領域を表している。超音波イメージング装置12としてSiemens,Philips,GeneralElectricまたは東芝などで製造されたカートベースのシステムなどを利用することができる。ポータブルタイプ、ハンドヘルドタイプ、その他の周知または将来のタイプのいずれの超音波イメージング装置であってもよい。超音波イメージング装置12は、超音波データを取得するかまたは患者の人体を走査して相応の画像を形成する手段を備えている。例えば音波検査者が超音波イメージング装置12のトランスデューサを患者の表面または内部に配置することにより、リアルタイムに画像シーケンスを形成することができる。
【0016】
図2には超音波医療診断システム10の第2の実施例が示されている。ビデオ処理ユニット28は2つのコンポーネント、すなわち3D対応グラフィクスプロセッサ28Aおよびビデオ結合器28Bに分割されている。またパーソナルコンピュータ型のアーキテクチャ30が制御プロセッサまたは中央処理ユニットCPUのために設けられている。アーキテクチャ30はどのような形態のものであってもよく、例えばIntelのAGPアーキテクチャである。アーキテクチャ30はCPU、メモリ、メモリおよび周辺チップセット(またはブリッジ)、オーディオ、ネットワーク、USB、ユーザ入力部(ヒューマンインタフェース)、ハードディスクドライブまたはその他のコンポーネントに対するポートまたはバスコネクションを有する。さらに3Dグラフィクスプロセッサ28Aおよび/またはPCIブリッジ32に接続するための別のポートまたはブリッジも設けられている。PCIブリッジ32はアーキテクチャ30と超音波イメージング装置12のフロントエンドとを接続している。フロントエンドの送信ビーム形成器16および受信ビーム形成器20は送信ビームおよび受信ビームを形成する。ベースバンドフィルタリングまたはライン合成などの幾つかの信号処理をフロントエンドのビーム形成器によって行うこともできる。画像処理および走査変換はバックエンドの検出器22および走査コンバータ24によって行われる。検出器22は無線周波数信号または位相2乗信号の振幅をBモードイメージングのビデオ信号のために変換するか、またはフロー信号のために速度、周波数、偏差またはエネルギを変換する。他の画像処理またはフィルタリングを行うこともできる。走査コンバータ24は取得されたデータのフォーマットを2次元のディスプレイでの表示のために2次元デカルト座標系へ変換する。別の実施例として走査コンバータ24を省略したり、3次元画像プロセッサ26に上述の処理を行わせたりしてもよい。
【0017】
ビデオ結合器28Bはワイヤまたはバスを介して3D対応グラフィクスプロセッサ28Aに接続されている。ビデオ結合器28Bはバックエンドの検出器22および走査コンバータ24の形成した画像と3D対応グラフィクスプロセッサ28Aの形成したオーバレイグラフィクスとを合成する。オーバレイグラフィクスは画像または画像セットに関連する患者情報、病院情報、音波検査者情報、日時情報、イメージングパラメータ設定その他を含む。オーバレイグラフィクスはテキスト、グラフィクスまたはその双方である。結合された情報は入出力ボードへ送信されるか、またはステレオスコピックディスプレイ14に表示される。
【0018】
送信ビーム形成器16は種々のモード(例えばBモードまたはフローモードなど)の波形を形成する。送信波形に応じてトランスデューサ18が音響エネルギを形成する。この音響エネルギの送信ビームからのエコーがトランスデューサ18によって受信される。こうして得られた電気信号から受信ビーム形成器20が受信ビームを形成する。このとき種々の走査フォーマット、フォーカシング波形、波面、その他の周知または将来の超音波走査技術を利用することができる。検出器22は受信信号について強度、電力、振幅、周波数、速度、エネルギ、コントラスト作用、高調波情報その他の任意の特性を検出する。走査コンバータ24は受信された情報をディスプレイ14で使用可能な座標系へ変換する。この実施例では3次元表現を走査変換された情報からレンダリングしているが、別の実施例で走査コンバータでの変換なしにデータをレンダリングしてもよい。
【0019】
3次元画像プロセッサ26は汎用プロセッサ,DSP,ASIC,FPGA,ディジタル回路、画像処理ユニット、グラフィクスカードまたはこれらの組み合わせであり、また3次元表現をレンダリングする周知または将来の他の任意のデバイスであってもよい。図2の実施例では、3次元画像プロセッサ26はアーキテクチャ30のCPUまたはバックエンドとして構成されている。例えばCPUは3D対応グラフィクスプロセッサ(グラフィクスカード)28Aと共働してオープンGLドライバまたは他のドライバを用いて1つのボリュームの種々のビューを形成し、左右の目の観察角をシミュレートする。各ビューは取得したグリッドから再構成のための3次元グリッドへデータを補間することにより形成される。これに代えてデータを取得したときのフォーマットのままにしてもよい。最大値、最小値、平均値またはその他の投影のレンダリングを使用することができる。例えば観察角に平行な複数のラインを再構成のための3次元グリッドを通して延長する。各ラインに隣接するデータまたは各ライン上のデータはグリッドを通して延びるピクセルまたはラインの値を求めるために使用される。各ラインに沿って最大値、最小値またはしきい値上方の最近似値、平均値その他の値が選択される。別の実施例で表面レンダリングや周知または将来の他の3次元イメージング技術を利用してもよい。左右の目の位置を考慮し、1つのボリュームまたは1つの3次元再構成画像に対して2つの異なる観察角度が定義される。同じデータに依存して、異なる観察角に相応するように各3次元表現がレンダリングされる。
【0020】
3次元画像プロセッサ26は2つの異なる観察角に相応する複数の3次元表現をほぼ同時に並列に出力するかまたは連続して出力する。ユーザの位置は走査ボリュームに対して変化するので、一方または双方の観察角も変化する。ユーザのパースペクティブが運動してもしなくても、3次元表現のシーケンスはリアルタイムまたは4Dでレンダリングされる。連続出力に際しては各観察角に相応する3次元表現は対または所定のグループで出力され、それぞれの観察角でのビューが同時に得られる。観察角ごとまたは観察角の対ごとの出力速度はビデオ処理ユニット28により画像フレームの表示速度に同期される。
【0021】
図3にはステレオスコピックビューの実施例が示されている。2つの異なる3次元表現40,42はデータフレーム46のサブフィールド44内に配置される。図示の例では各3次元表現40,42は800×600ピクセルであるが、これより小さい解像度または大きい解像度も可能である。2つの異なるビューは上下のサブフィールドとして合成される。これに代えて2つのビューを左右のサブフィールドまたは他のサブフィールドとして合成してもよい。フィルタリング、デシメーションまたはこれらの組み合わせにより、各ビュー40,42の1つまたは複数の次元に沿った解像度が低減される。選択的にデータフレーム46が例えば僅かに低減された解像度または低減なしの解像度に関連して増大された解像度を有してもよい。新たなデータフレームは左右のビューの双方から再構成される。この実施例では3次元画像プロセッサ26が2つの異なる3次元表現40,42を合成しているが、別の実施例でビデオ処理ユニット28がこれらを合成することもできる。各3次元表現40,42または合成されたフレーム46はMPEGまたはAVIの圧縮データであり、DICOMに対して互換性を有する。種々の画像サイズ、イメージング速度またはビットレートが可能である。
【0022】
各出力データフレーム46が2つの異なるビュー40,42に関連しているので、同期パルス速度は増大する。例えば、垂直同期パルス、水平同期パルスまたはその双方が同期回路48へ出力される。同期回路48はトランジスタ、プロセッサ、発振器、PLL回路、比較器、ディジタル回路、アナログ回路またはこれらの組み合わせであり、データフレーム46に関連して同期速度を増大する。例えばサブフィールド44が上下のサブフィールドである場合、同期回路48は垂直同期パルスをデータフレーム46から検出する。垂直同期パルスのレートは2倍にされる。検出された各垂直同期パルスのあいだにパルスが1つずつ挿入されるか、または各垂直同期パルスに対して2つのパルスが形成される。つまり例えばデータフレーム46が60Hzで供給されるとして、垂直同期パルスは2倍の120Hzとなる。サイドバイサイドでサブフィールド44が供給される場合、垂直同期パルスは3次元表現40,42の連続表示のために2倍にされる。
【0023】
データフレーム46および変更された同期情報は図1,図2に示されているビデオ処理ユニット28へ供給される。ビデオ処理ユニット28はグラフィクスプロセッサ、グラフィクスカード、ビデオ結合器、バッファ、ディジタル回路、アナログ回路またはこれらの組み合わせであり、また入力画像データにしたがってディスプレイを駆動する周知または将来の駆動デバイスであってもよい。実施例では、同期回路48はビデオ処理ユニット28に組み込まれていてもよいし、分離されていてもよい。1つのビデオチャネルがデータフレーム46の入力およびモニタへの出力のために設けられている。合成されたデータフレーム46が存在するので、ビデオ処理ユニット28は通常の60Hzの同期速度で動作する。またいっそう高い動作速度で動作するように構成することもできる。
【0024】
ビデオ処理ユニット28はそれぞれ異なる3次元表現40,42をデータフレーム46のサブフィールド44から分離する。外挿、補間その他の処理を用いて各3次元表現40,42の解像度が増大される。例えば低減されたコンテンツデータフレーム46がもとの3次元表現40,42の解像度800×600へ増大される。この実施例では1次元に沿ったラインが2倍にされ、ローパスフィルタリングされる。3次元表現40,42の分離後、ビデオ処理ユニット28は増大された同期速度に依存して3次元表現40,42の連続表示を形成する。左右のビューはもとのリフレッシュ速度60Hzで連続表示される。2つのビューがともに60Hzで連続して表示されるので、120Hzでの同期が行われることになる。
【0025】
図4に示されているように、スイッチ50,52またはその他のデバイスが画像の形成に同期したステレオスコピック表示の制御に用いられる。同期回路48は左右の同期信号を形成する。同期信号は、左フィールドおよび右フィールドを表す直接的な信号であって50%デューティ比を有するか、または制御チャネルに含まれるDVI信号である。スイッチは、この実施例では、赤外発光ダイオードに関連して遮光眼鏡をトリガする。スイッチ50,52は迅速な応答のために発光ダイオードに接するように位置決めされる。モノスコピックビューではスイッチ50,52は動作せず、観察者は両目で同時に観察することができる。
【0026】
1つの実施例では、図1,図2のシステム10はモノスコピックビューでなくステレオスコピックビューのみを提供する。これに代えて、ビデオ処理ユニット28がステレオスコピックモードおよびモノスコピックモードの双方で動作するように構成してもよい。動作モードはユーザによって選択されるか、またはデフォルトで所定のモードが選択される。例えばステレオスコピック観察機器が超音波イメージング装置12に取り付けられている場合にはデフォルトでステレオスコピック観察が行われるようにするとよい。モノスコピックモードではステレオスコピックモードで使用される回路はバイパスされる。
【0027】
ビデオ処理ユニット28は図3,図4に示されている同期回路48の出力した同期パルスの特性に依存してステレオスコピックモードまたはモノスコピックモードのいずれかを選択する。1つの実施例では、イメージングソフトウェアの制御に用いられるスイッチから独立に、モノスコピックモードとステレオスコピックモードとを切り換えるためのスイッチまたはボタンが設けられる。例えば持続的に符号化されたボタンまたはソフトウェアベースの選択ボタンが用いられ、ユーザは超音波イメージング装置12の動作に関係なく切り換えを行うことができる。スイッチはビデオ処理ユニット28の動作を制御するスイッチまたはその他のデバイスを作動させる。ソフトウェアはユーザ入力に応じてモードを電子的に切り換える。
【0028】
特定のモードでの動作を表す専用制御レジスタを使用してもよい。別の実施例では、ビデオ処理ユニット28は同期パルスによって示される所定のモードにしたがって動作する。図4に示されているように、ステレオスコピックモードまたはモノスコピックモードは同期パルスの極性、パルス幅またはその他の特性によって示される。例えば正の同期パルスが一方のモードを示し、負の同期パルスが他方のモードを示すようにする。別の実施例では、例えば6個以上のラインを有する幅の広い同期パルスが一方のモードでの動作を表し、通常の同期パルスまたは幅の狭い同期パルスが他方のモードを表す。別の実施例では、特性の変化により現在のモードから他のモードへの切り換えが表される。
【0029】
3次元表現40,42に対してデータフレーム46のサブフィールド44を合成するので、ビデオ処理ユニット28は図5に示されている増大された処理速度で3次元表現40,42を連続受信する。例えばビデオ処理ユニット28のクロック速度および/または処理速度は100Hz以上のデータフレームを連続して受け取れるように増大される。垂直同期速度も100Hz以上の同じ速度にされる。例えば各3次元表現40,42は60Hzでビデオ処理ユニット28の同じ入力側へ連続して供給される。ビデオ処理ユニット28の受信の連続的な入力速度は約120Hzである。垂直同期パルスによりそれぞれ異なる3次元表現40,42が生じ、約120Hzの入力同期パルスが得られる。3次元表現40,42は解像度のデシメーションまたは低減なしに準備される。ビデオ処理ユニット28は3次元表現40,42をディスプレイ14へ連続出力する。1つの実施例ではビデオ処理ユニット28はバッファまたはメモリをページフリップとして含み、3次元表現40,42の連続ローディングおよび連続出力が充分に高い速度で(例えば90Hz以上で)行われる。
【0030】
図6にはビデオ処理ユニットの動作の実施例が示されている。別個のビデオパス60,62が設けられている。各ビデオパスは別個のビデオ処理ユニット28i,28iiへ通じており、相応の3次元表現40,42を含む。別個に処理された3次元表現40,42はディスプレイ14上の画像として形成される。別個のビデオパス60,62は一時的かつ空間的な解像度を保存するが、付加的なハードウェアを必要とする。例えば4つのバッファが設けられ、そのうち2つは異なるビュー40,42の入力に用いられ、残りの2つは出力に用いられる。さらにディスプレイ14では両目または2つの観察角に対するチャネルが定められており、ひとりのユーザに制限されている。
【0031】
ビデオ処理ユニット28は1つまたは複数の3次元表面にオーバレイグラフィクスを合成することもできる。例えばオーバレイグラフィクスの第1部分を第1の観察角に相応する第1の3次元表現に合成し、第2部分を第2の観察角に相応する第2の3次元表現に合成する。オーバレイグラフィクスのそれぞれ異なる部分がそれぞれ異なる3次元表現40,42に合成されるのである。例えば、図3に示されているサブフィールド処理では、グラフィクスは偶数ラインおよび奇数ラインへ分割される。偶数ラインはデシメーション処理された3次元表現に合成され、奇数ラインは他の3次元表現に合成される。偶数ラインおよび奇数ラインへの分割のほか、別の分割を行ってもよい。それぞれ異なるビューが連続してユーザに提示されるので、ユーザの目または脳は異なるビューのオーバレイグラフィクス情報を統合し、解像度をフルに活用してテキスト表示を形成する。視覚的統合(visual integlation)はステレオスコピックに観察されない表示の解像度を回復するために用いられる。
【0032】
各部分が合成されるので、ステレオスコピックディスプレイ14に形成されたときにはオーバレイグラフィクスはモノスコピックな印象を有する。3次元表現は1つの同じボリュームの異なるビューであるから、ステレオスコピック表示はモノスコピックなオーバレイグラフィクスから得られる。ドップラーモードまたはMモードでのトレースが分割され、ステレオスコピックなBモード画像によるモノスコピック表示のためのオーバレイグラフィクスとして合成される。別の実施例では、オーバレイグラフィクスはステレオスコピック観察のために各ビューについて形成される。
【0033】
ビデオ処理ユニット28は1つまたは複数の出力ポートを有する。複数の出力ポートが設けられる。ステレオスコピック表示を同時に観察するユーザに対して1つずつ出力ポートが設けられる。これに代えて同じ表示を観察する複数のユーザに対して1つの出力ポートを設けてもよい。さらに別の実施例として、ビデオ処理ユニット28または超音波イメージング装置12の外側にスプリッタを設けて同じ表示を複数のユーザが観察できるようにしてもよい。出力はステレオスコピックディスプレイ14の一部を作動させるための制御信号である。例えばRGB値または他の画像情報がモニタまたはディスプレイへ供給される。図4に示されているように、付加的な制御信号がスイッチ50,52を介してディスプレイ14の他の部分、例えば遮光装置を駆動するために出力される。他の実施例として、ステレオスコピック表示の左右のビューに対して別個のビデオ出力を形成することが挙げられる。また出力は2次元のビデオ信号およびNTSC/PAL,VGA/XVGAなどの共通のビデオフォーマットを支援する。
【0034】
ユーザ入力部は超音波イメージング装置12を制御するために設けられる。ユーザ入力部はキーボード、ノブ、ボタン、スライダ、タッチスクリーン、マウス、トラックボール、タッチパッド、またはその他のユーザとコンピュータとをつなぐ周知または将来のインタフェースデバイスである。ユーザ入力デバイスは3次元表現を形成するための入力、例えば一般的な観察角(general viewing angle)を表す入力を受け取る。左右の目に対する観察角はこの一般的な観察角に基づいて求められる。ユーザ入力はステレオスコピック観察またはモノスコピックビ観察の選択を指示するために用いられる。例えば直接に2つの観察モードを切り換えるボタンその他のデバイスが設けられる。別の実施例として、3次元イメージングに関連するソフトウェアが選択されたことによりステレオスコピック観察への切り換えを行うこともできる。またステレオスコピック観察機器を超音波イメージング装置12へ接続したことをユーザ入力としてステレオスコピック観察モードへの切り換えを行ってもよい。
【0035】
ステレオスコピックディスプレイ14は2つ以上のビューから3次元表示をほぼ同時に表示する。ディスプレイ14はそれぞれ異なる3次元表現を連続して表示するか、または同時に表示する。
【0036】
ヒトの脳は2D画像に対して動きが存在すれば3次元情報を構成することができる。単一の画像を所定の時間にわたってアニメーション化すると、つまり例えば単一の画像を複数の観察角により時間に依存して掃引すると、ユーザは3次元表現40,42のシーケンスをボリュームとして認知することができる。アニメーションは単一のボリュームに関しており、リアルタイム走査またはシネループ再生(4D再生)とは異なる。ただしこの場合3D効果は最良とはならず、動きが停止すると3D効果も停止する。
【0037】
ステレオイメージングは所望の3D効果をもたらす。ヒトの目がどのようにステレオ画像を捉えるかという原理は良く知られている。それぞれの目がフラットな2D画像を網膜に形成する。脳は2つの画像を用いてステレオ画像または3D画像を構成する。観察角の僅かな差(視差)は脳がステレオ画像を構成するための重要な要素である。ステレオスコピックディスプレイ14はこの原理に基づいて、左目に対して左の表現を表示し、右目に対して右の表現を表示する。ステレオスコピック表示の2つのアプローチまたは2つのカテゴリは自動ステレオスコピック表示および観察機器を用いたステレオスコピック表示である。
【0038】
自動ステレオスコピックディスプレイ14はホログラム、ボリューム測定表示(例えば多層LCD)および方向投影(例えばそれぞれの目に対する画像の投影)を含む。他の自動ステレオスコピックディスプレイ14は固定焦点、レンチキュラデバイス、視差バリア部(例えばプリズム)、視差照明部または左目および右目のビューを交番的にブロックする可動スリットを用いた自由観察機器である。自動ステレオスコピック法は眼鏡などの特別な観察機器を要さない。ただし自動ステレオスコピックディスプレイ14は複数の観察者に対して充分な結果を形成するには煩雑かつ高価なハードウェアを使用している。また一般に多くの自動ステレオスコピックディスプレイ14ではベストビュー位置が1つに制限されており、頭痛をまねきやすい。特にラテラル方向での解像度のデグラデーションは、例えば同時に複数の人によって観察されるときのように複数の観察角が所望される場合に迅速に増大する。従来の自動ステレオスコピックディスプレイの他の欠点としては、ステレオスコピック表示とモノスコピック表示とが切り換えられないことが挙げられる。
【0039】
他のステレオスコピックディスプレイ14にはステレオスコープ、ヘッドマウントディスプレイ(例えばLCD眼鏡またはプロジェクタ眼鏡)、アナグリフ(例えばカラーコード眼鏡、カラーコードビューデバイス)、偏光装置(例えば空間多重デバイス、フィールドシーケンシャルデバイス)または連続ビューデバイス(例えば遮光眼鏡)などが含まれる。これらのステレオスコピックディスプレイ14は、モニタ、例えばCRT、LCDまたはプロジェクタと、モニタと共同作用してステレオスコピックビューを形成する付加的なデバイス、例えば眼鏡、別のモニタまたは他のデバイスとを含む。モニタは付加的なデバイスから間隔をおいて配置されたディスプレイ装置であり、例えばヘッドマウントディスプレイから間隔をおいて配置されたモニタまたはスクリーンである。モニタは第1の3次元表現および第2の3次元表現を例えば左右の目に対する連続ビューのために連続表示する。表示は付加的なデバイスつまりヘッドマウントデバイスの動作に関連して行われる。周知または将来の代替的なステレオスコピックディスプレイ、例えば運動視差効果またはPulfrich効果を用いた観察機器を使用することもできる。
【0040】
付加的なデバイスはそれぞれのビューごとに個別であり、複数の観察者に対して動作する。例えばステレオスコピックディスプレイ14の付加的なデバイスはヘッドマウントデバイス、例えばヘルメット、バイザまたは眼鏡である。この実施例ではヘッドマウントデバイス、例えば1人の観察者の左右の目に対して表現を形成する2つのLCDモニタを備えた眼鏡が使用されるが、別の実施例ではヘッドマウントデバイスがモニタに関連して動作し、所定の領域のステレオスコピック表示を形成する。例えばステレオスコピック画像対は付加的なデバイス、例えば遮光眼鏡または偏光眼鏡による観察のためにモニタに連続表示される。有線コネクションまたは無線コネクションにより付加的なデバイスがモニタに関連して制御される。特別な機器または個々の観察機器を用いるステレオスコピック表示法のほか、フィールドシーケンシャル法および/または偏光法からも複数の観察者に対して高品質のステレオスコピック画像が得られる。各観察者は個々の付加的な観察機器を有する。
【0041】
偏光法は左右の目に対してそれぞれ異なる偏光を有するレンズまたは眼鏡を用いている。モニタは適切な目に適合化された偏光によりそれぞれ異なる3次元表現またはビューを出力する。例えばモニタは、各3次元表現の偏光を連続して交番的に切り換えるスイッチング偏光パネルまたはモニタである。光伝送速度は偏光のために50%以上低減される。偏光眼鏡はヘッドマウントディスプレイまたは遮光眼鏡よりも安価である。
【0042】
フィールドシーケンシャル法は遮光装置を用いて左右の目に対する3次元表現のシーケンシャル表示の露光を制限する。モニタはもとの速度または入力リフレッシュ速度(画像ごとに例えば60Hzまたは120Hz)で連続してそれぞれ異なるビューを出力する。付加的なデバイス、例えば偏光眼鏡はモニタの表示に続いて駆動される。例えば液晶レンズが透明および不透明のあいだで交番的に切り換えられる。アナログまたはディジタルのコントローラが眼鏡内に設けられており、左右の目のビューとディスプレイスクリーンとを同期する。左目の3次元表現に対して左目は透明、右目は不透明となり、右目の3次元表現に対しては左目が不透明、右目が透明となる。
【0043】
超音波イメージング装置12には3次元表現のレンダリング前に人体を表すデータを記憶するかおよび/またはレンダリングされた3次元表現を記憶するためのメモリが設けられている。このデータは後にワークステーションを介して3次元表現を形成するために用いられる。また記憶された3次元表現は後に表示に用いられる。
【0044】
図7にはリアルタイム超音波医療診断イメージングの実施例が示されている。この方法は図1〜図6の装置または他の周知または将来の装置を用いて行われる。さらに図7の実施例では、これまで説明しなかったステップ84,86が設けられている。これらのステップは超音波医療診断システムの走査中または走査後のレビュー中に行われる。データを遠隔のワークステーションへ送信するステップは省略することもできる。ステレオスコピックビューのために遠隔のワークステーションへデータを送信するステップは付加的な別の実施例として設けられている。
【0045】
ステップ80で、所定の領域を表す超音波データが超音波イメージング装置により取得される。1つまたは複数の送信ビーム、波面またはフォーカシングされていない音響エネルギが人体のボリュームを検査するために用いられる。受信ビームまたは受信情報は送信された音響エネルギに応じて形成される。データは受信ビームから検出される。ボリュームが走査され、3つの次元に沿って個別にデータが形成される。ボリューム内で空間的に複数回の2次元の走査を行う走査フォーマットであればどんなものを設けてもよい。
【0046】
ステップ82では超音波イメージング装置がそれぞれ異なる3次元表現をレンダリングする。各3次元表現は同じ領域に関しているかまたは同時またはほぼ同時の走査に関している。例えば2つの異なる観察方向が検出された同じデータセットに対して用いられ、左右の目のビューに対する各3次元表現がレンダリングされる。レンダリングは1回のみでもよいし、同じ2つの観察角または異なる観察角の組からより最近取得されたデータの時刻に依存して付加的なビューをレンダリングする連続プロセスであってもよい。2つ以上のレンダリングが同じデータセットで形成され、例えば同じ走査に対して異なる方向またはユーザパースペクティブから一般的なレンダリングが形成される。アッパー・オーバ法が使用される場合、レンダリング装置は左右のビューを1/2の垂直解像度でレンダリングし、動作速度を上げる。
【0047】
ステップ84では3次元データが伝送される。3次元データは例えばユーザのそれぞれの目のビューに相応するそれぞれ異なるレンダリングである。レンダリングデータは種々のプロセスの1つでディスプレイ装置へ供給される。例えば各3次元表現は表示のために個々のビデオプロセッサを介してそれぞれ異なるパスへ供給される。他の実施例として、各3次元表現を連続的に同じ入力側または同じビデオプロセッサへ供給してもよい。高いレートで動作可能なビデオプロセッサが設けられており、レンダリングと同じ速度でステレオスコピックビューが出力される。さらに別の実施例では、同じ領域をほぼ同時に表す各3次元表現を1つのデータフレームのサブフィールドとして統合することもできる。各表現の解像度がディスプレイおよびビデオ処理ユニットによって扱われる解像度に等しい場合には、各表現は1/2にデシメーションされる。例えば垂直方向または水平方向で1つおきのラインが除去される。他のデシメーションまたは他のデータ低減を使用することもできる。サブフィールドの左右分割、上下分割またはその他の分割が統合されたデータフレームに対して行われる。ビデオプロセッサは各ビューまたは各3次元表現をステレオスコピックビューのためにデータフレームのサブフィールドから分離する。例えば各サブフィールドは連続表示または並列表示のために分離される。データフレームに関連する同期信号、例えば垂直同期信号または水平同期信号は2倍にされる。各3次元表現は1つのデータフレームとして各データフレームの開始または終了を表す1つの同期パルスで受信されるので、それぞれの3次元表現を出力するためには同期パルスを2倍にしなければならない。
【0048】
ステップ86ではオーバレイグラフィクスと3次元表現とがステレオスコピックビューのために合成される。オーバレイグラフィクスは任意のテキスト情報、波形情報、Mモード表示情報、スペクトルドップラー表示情報およびこれらの組み合わせを含む。情報はステレオスコピック画像によりモノスコピックに表示される。例えばオーバレイグラフィクスは患者情報およびその時点のイメージングコンフィグレーション(例えば周波数、トランスデューサ情報、超音波イメージング装置のタイプ、走査奥行き、走査フォーマット、病院情報、音波検査者情報およびこれらの組み合わせ、または他のテキストデータ)を含む。
【0049】
オーバレイグラフィクスと所定の3次元表現とは平均化、和形成、最大強度の選択、上書き、またはビデオ情報/グラフィクス情報の結合技術により合成される。結合はグラフィクス情報または他のオーバレイグラフィクス情報に関連するピクセルのみのために行われる。例えばオーバレイグラフィクスは2次元フレームの外側領域に設けられ、3次元表現は中央領域に設けられる。3次元表現およびオーバレイグラフィクスは同じピクセル、例えば注釈に関連するピクセルを共有する。結合は所定のピクセルに対するオーバレイグラフィクスのみ、または3次元表現およびオーバレイグラフィクスの双方を表す影付け情報のみを形成するために行われる。
【0050】
オーバレイグラフィクスはモノスコピックに観察されるので、オーバレイグラフィクスの内容はステレオスコピック画像へ分割される。例えば、オーバレイグラフィクスの奇数ラインと左のステレオスコピック画像とが結合され、オーバレイグラフィクスの偶数ラインと右のステレオスコピック画像とが結合される。画像が連続して観察される場合、ユーザはオーバレイグラフィクスの情報もともに観察する。別の実施例では、オーバレイグラフィクスはステレオスコピック観察に対する3次元表現として形成される。この場合オーバレイグラフィクスと各3次元表現とは所定の時点で2つの観察角から合成される。走査領域のオーバレイグラフィクスおよび3次元表現は同時にステレオスコピック観察で表示される。
【0051】
オーバレイグラフィクスの合成はレンダリング後、画像の形成前に行われる。合成はビデオプロセッサによりレンダリングデータの受信後に行われるか、または3次元画像プロセッサにより各3次元表現のレンダリングの一部として行われる。
【0052】
ステップ88では、ステレオスコピック表示が形成される。超音波データを取得した超音波イメージング装置が領域のステレオスコピック表示を形成する。所定の時点で、またはほぼ同時に、2つの異なる3次元表現がステレオスコピックに表示される。リアルタイムイメージングのために、対のシーケンスまたはステレオスコピックビューはレンダリングされ、ステレオスコピック表示の形成に用いられる。ステレオスコピック表示は連続画像または同時に形成された画像として得られる。
【0053】
ステレオスコピックビューはステレオスコピック法または付加的な機器、例えばヘッドマウントディスプレイにステレオスコピック画像を表示する機器を用いる方法により形成される。別の実施例として、連続して形成された3次元表現またはステレオスコピックビューを異なる偏光、切り換え可能な遮光、またはこれらの双方によって観察することが挙げられる。遮光眼鏡を用いれば、選択された目に対する3次元表現が相応の画像の形成に同期して露光される。左ビューに対する左目のアクセスと右ビューに対する右目のアクセスとを迅速に交番させることにより、ステレオスコピックビューまたはステレオスコピック表示が形成される。この遮光眼鏡の代替手段として、偏光眼鏡または色フィルタリング機構を備えた眼鏡などを設けることもできる。その場合異なるビューは異なる偏光または色によって形成される。偏光レンズを偏光パネルまたは他のディスプレイの切り換えと組み合わせて使用することにより、ディスプレイ上に連続して形成された異なる3次元表現が観察者のそれぞれの目に供給される。画像を連続して例えば100Hz以上の速度で形成することにより、3次元のステレオスコピックビューのぶれ、フリッカ、干渉またはその他の望ましくない効果が最小となる。
【0054】
異なるビューを連続して形成することに代えて、異なるビューまたは異なる3次元表現を同時またはほぼ同時に出力することができる。2つの異なる3次元表現の表示は同時に形成される。例えばそれぞれの目に対する露光を制限した状態でLCDディスプレイまたは眼鏡のプロジェクタに画像が形成される。
【0055】
複数のユーザによる観察のために、例えば同じ3次元表現が個々の眼鏡に取り付けられた個々のLCDディスプレイに形成される。これに代えて、ステレオスコピック表示を複数人に対して同時に同じ1つまたは複数のモニタ上に形成してもよい。観察者またはユーザは各人ごとに対応の眼鏡、ヘッドマウントディスプレイ、または連続して形成された画像または並列に形成された画像をステレオスコピックに観察するための他の付加的なデバイスを有する。さらに別の実施例として、複数のユーザが3次元ビューを形成できる多層LCDスクリーンなどの1つのモニタを観察してもよい。
【0056】
さらに例えばモノスコピックモードとステレオスコピックモードとを切り換えるステップを設けてもよい。例えばユーザがモノスコピック観察またはステレオスコピック観察のいずれかを選択する。同じディスプレイ装置または異なるディスプレイ装置、例えば1つまたは複数のモニタをこれらのモードの双方に使用することができる。モノスコピックモードではユーザは干渉を低減するために付加的な観察機器を取り外す。モードの切り換えはユーザ入力に応じて自動で行われるか、ユーザによる3Dイメージングまたは4Dイメージングの選択に基づいて行われる。ビデオ処理ユニットまたは他のハードウェアは同期パルスに依存して切り換えの指示を受信する。例えば同期パルスの極性、パルス幅またはその他の特性が動作モードの切り換えまたは特定のモードの選択を表すために変更される。
【0057】
本発明を幾つかの実施例に則して説明したが、本発明の範囲から離れることなく種々の変更または修正を加えることができることを理解されたい。上述の実施例は説明のための例示にすぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲およびこれに等価な全ての特徴によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】ステレオスコピックイメージングのための超音波医療診断システムの第1の実施例のブロック図である。
【図2】ステレオスコピックイメージングのための超音波医療診断システムの第2の実施例のブロック図である。
【図3】超音波イメージング装置を用いたステレオスコピック観察の第1の様態を示す図である。
【図4】同期回路の実施例を示す図である。
【図5】超音波イメージング装置を用いたステレオスコピック観察の第2の様態を示す図である。
【図6】超音波イメージング装置を用いたステレオスコピック観察の第3の様態を示す図である。
【図7】超音波イメージング装置を用いた3次元観察のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10 超音波医療診断システム、 12 超音波イメージング装置、 14 ステレオスコピックディスプレイ、 16 送信ビーム形成器、 18 トランスデューサ、 20 受信ビーム形成器、 22 検出器、 24 走査コンバータ、 26 3次元画像プロセッサ、 28 ビデオ処理ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を表すデータを形成する超音波イメージング装置(12)が設けられており、該超音波イメージング装置は超音波トランスデューサ(18)および3次元画像プロセッサ(26)を備えており、該3次元画像プロセッサはデータに依存してそれぞれ異なる第1の観察角および第2の観察角に相応する第1の3次元表現および第2の3次元表現をレンダリングし、
さらに第1の3次元表現および第2の3次元表現を表示するステレオスコピックディスプレイ(14)が設けられている
ことを特徴とする超音波医療診断システム。
【請求項2】
前記ステレオスコピックディスプレイ(14)はヘッドマウントデバイスを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ヘッドマウントデバイスはヘッドマウンテッドディスプレイを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記ヘッドマウントデバイスは遮光装置、偏光装置またはこれらの組み合わせを含み、前記ステレオスコピックディスプレイ(14)はさらに前記ヘッドマウントデバイスから間隔を置いて配置されたディスプレイ装置を有しており、該ディスプレイ装置は第1の3次元表現および第2の3次元表現を前記ヘッドマウントデバイスの動作に関連して表示する、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記超音波イメージング装置(12)は送信ビーム形成器(16)、受信ビーム形成器(20)、検出器(22)および第1の3次元表現および第2の3次元表現の少なくとも1つに対するテキストを形成するオーバレイグラフィクスプロセッサ(28)を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
第1の3次元表現および第2の3次元表現はそれぞれデータフレーム(46)の第1のサブフィールドおよび第2のサブフィールドに配置され、前記超音波イメージング装置(12)はさらにデータフレームに関連する同期速度を増大させる同期回路(48)と、第1の3次元表現および第2の3次元表現をデータフレームの第1のサブフィールドおよび第2のサブフィールドから分離し、増大された同期速度に依存して第1の3次元表現および第2の3次元表現を連続表示するビデオ処理ユニット(28)とを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記ビデオ処理ユニット(28)は同期回路(48)から出力された同期パルスの特性に依存してステレオスコピックモードまたはモノスコピックモードを選択して動作可能である、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記ステレオスコピックディスプレイ(14)はディスプレイ装置および遮光装置を有しており、該ディスプレイ装置は第1の3次元表現および第2の3次元表現を連続表示し、該遮光装置は第1の3次元表現の左目に対する露光および第2の3次元表現の右目に対する露光を制限する、請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記超音波イメージング装置(12)はさらに第1の3次元表現および第2の3次元表現を100Hz以上で連続受信するビデオ処理ユニット(28)を有しており、前記ステレオスコピックディスプレイ(14)は第1の3次元表現および第2の3次元表現に対してそれぞれ異なる偏光を形成するスイッチング偏光パネルを有している、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記超音波イメージング装置(12)は前記ステレオスコピックディスプレイ(14)の第1の3次元表現および第2の3次元表現に対する第1のディスプレイ装置および第2のディスプレイ装置に接続された第1のビデオパスおよび第2のビデオパスを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記超音波イメージング装置(12)は第1の3次元表現および第2の3次元表現にそれぞれ異なるオーバレイグラフィクスの第1部分および第2部分を合成するビデオ処理ユニット(28)を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
第1の3次元表現および第2の3次元表現は同じ領域に関しており、前記ステレオスコピックディスプレイ(14)は当該の領域をステレオスコピックに表示可能であり、かつ当該の領域のステレオスコピック表示のオーバレイグラフィクスをモノスコピックに表示可能である、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記超音波イメージング装置(12)は前記ステレオスコピックディスプレイ(14)に関連して動作する複数の出力ポートを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記超音波イメージング装置(12)はユーザ入力部を有しており、該ユーザ入力部により前記超音波イメージング装置(12)の動作を制御し、ステレオスコピックイメージングまたはモノスコピックイメージングのいずれかを選択することができる、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
超音波イメージング装置(12)により、
所定の領域を表す超音波データを取得し(80)、
それぞれ異なる第1の観察方向および第2の観察方向から前記領域の第1の3次元表現および第2の3次元表現をレンダリングし(82)、
該第1の3次元表現および第2の3次元表現を用いて前記領域のステレオスコピック表示を形成する(88)
ことを特徴とする超音波医療診断システムによるイメージング方法。
【請求項16】
ステレオスコピック表示を形成する際に(88)、第1のヘッドマウントディスプレイおよび第2のヘッドマウントディスプレイへの表示を行う、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ステレオスコピック表示を形成する際に(88)、それぞれ異なる偏光、色、切り換え可能な遮光またはこれらの組み合わせにより第1の3次元表現および第2の3次元表現を観察させる、請求項15記載の方法。
【請求項18】
超音波データを取得する際に(80)、送信ビームに応じて受信ビームを形成し、該受信ビームからデータを検出し、表現をレンダリングする際に(82)、検出されたデータからレンダリングを行う、請求項15記載の方法。
【請求項19】
第1の3次元表現および第2の3次元表現をデータフレームの第1のサブフィールドおよび第2のサブフィールドへ統合し、
データフレームに対する同期信号を2倍にし、
第1の3次元表現および第2の3次元表現をデータフレームの第1のサブフィールドおよび第2のサブフィールドから分離し、
ステレオスコピック表示を形成する際に(88)、第1の3次元表現および第2の3次元表現を2倍の同期信号に依存して連続出力し、さらに2倍の同期信号に依存して第1の3次元表現の左目への露光および第2の3次元表現の右目への露光を制限する、請求項15記載の方法。
【請求項20】
モノスコピックモードとステレオスコピックモードとを同期パルスの特性に依存して切り換える、請求項15記載の方法。
【請求項21】
ステレオスコピック表示を形成する際に(88)、第1の3次元表現および第2の3次元表現を100Hz以上で連続受信し、スイッチング偏光パネルにより第1の3次元表現および第2の3次元表現に対してそれぞれ異なる偏光を形成する、請求項15記載の方法。
【請求項22】
ステレオスコピック表示を形成する際に(88)、第1の3次元表現および第2の3次元表現を同時に別々のパスに出力する、請求項15記載の方法。
【請求項23】
さらに第1の3次元表現にオーバレイグラフィクスの第1部分を合成し、第2の3次元表現に第1部分とは異なる第2部分を合成する(86)、請求項15記載の方法。
【請求項24】
前記領域をステレオスコピックに表示し、前記領域のステレオスコピック表示のオーバレイグラフィクスをモノスコピックに表示する、請求項15記載の方法。
【請求項25】
ステレオスコピック表示を形成する際に(88)、複数人に対して同時にステレオスコピック表示を行う、請求項15記載の方法。
【請求項26】
ユーザ入力に応じてモノスコピックイメージングまたはステレオスコピックイメージングのいずれかを選択する、請求項15記載の方法。
【請求項27】
超音波イメージング装置(12)、ディスプレイ(14)およびヘッドマウントデバイス(14)を有しており、
前記超音波イメージング装置は同じ領域を第1の観察角および第2の観察角から表した第1の3次元表現および第2の3次元表現を出力するビデオ処理ユニット(28)を有しており、
前記ディスプレイは第1の3次元表現および第2の3次元表現を表示し、
前記ヘッドマウントデバイスは前記ディスプレイに関連して前記領域のステレオスコピック表示を形成する
ことを特徴とする超音波医療診断システム。
【請求項28】
前記超音波イメージング装置(12)はさらに人体を表すデータ、第1の3次元表現および第2の3次元表現またはこれらの組み合わせを記憶するメモリと、記憶されたデータからレンダリングを行う3次元画像プロセッサ(26)とを有しており、前記ディスプレイ(14)は記憶された第1の3次元表現および第2の3次元表現に依存して表示を行う、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−204920(P2006−204920A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15421(P2006−15421)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】