説明

超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置

【課題】水路全体の流量を精度よく計測でき、かつ流量の算出処理を簡素化することが可能な超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置を提供する。
【解決手段】水路の流れに略直交する横断面上に複数の計測位置を設定し、複数の計測位置について横断面の法線を含む面内に複数の測定点を設定し、測線が法線を含む面内にあり、かつ測線の法線に対する角度が異なる2つの超音波センサ112b、112bを有するセンサユニット110を計測位置に配置し、2つの超音波センサによって、それぞれの測線上において複数の測定点について速度ベクトルU1、U2を測定し、複数の測定点について各測線上の速度ベクトルを合成して流速ベクトルU3を算出し、複数の測定点について法線方向の流速を示す法線ベクトルU4を算出し、法線ベクトルから水路全体について法線方向の流速分布を取得し、水路全体の流量を算出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送受信して水路の流量を計測する超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水力発電所は、流れる水の水圧によって発電用水車を回転させることで発電を行っている。発電用水車の水車効率は、水力を機械エネルギーに変換する際の効率である。水車効率を計測するためには、発電に使用する水の流量を計測する必要がある。水車効率を計測することは発電機性能を把握するために不可欠であり、水力発電所における水の流量計測には高い精度が求められている。
【0003】
水力発電に使用する水は、大型の水力発電所においてはダムや取水堰を設けて取水する場合もあるが、小型の水力発電所においては自然河川から分岐させて取水する場合もある。自然河川から分岐され上方が開放された水路は開水路または開渠と称されており、幅が数mのものから数十mのものまで様々なものがある。このような水路の流量の計測は、水路の横断面の流速分布を計測することによって行われる。
【0004】
自然河川からの分岐直後の水路には大きな乱流および偏流が発生しやすく、その流速分布を正確に取得するのは容易ではない。そこで従来から、水路の流量を計測する際には、乱流および偏流を防ぐために流量計測位置の上流に川幅の5〜10倍程度の等断面直線水路を確保することが望ましいとされている。しかし、現実には水路の分岐点から取水口までの距離が短く、上記の条件に適合する位置に流量計測設備の設置面積を確保できるとは限らない。
【0005】
電気学会の電気規格調査会標準規格(JEC)では、上流下流に十分な等断面直線水路を確保できない場合の対策として、大規模な整流装置、整波板、導壁を設置して流れを安定化させる方法が推奨されている。整流装置としては、水路内に設ける格子状のものが例示されている。例えば、この整流装置の各格子に測定点を設けることで、水路の横断面の流速分布を精度よく取得することが可能である。またJECでは、水路の流量を計測する際の水路断面に対する測定点の数についても推奨値が定められている。例えば4m×4m断面の水路では、測定点の数は50以上と非常に多数の測定点を求めている。これらのように水路の流量計測においては、乱流および偏流を伴うか否かに関わらず、流速の測定点を多数設けることでその測定精度を高めることができるとされている。
【0006】
従来の流速計測は基本的に点計測であり、測定点を多数設けるためには、測定点の数に比例した数の計測装置が必要となっている。例えば、点計測の計測装置として、1方向の流速が計測できるプロペラ式流速計や電磁流速計等がある。しかし、これらの装置を多数設置することは、設備コストおよび運搬労力の面などからその実施が難しいおそれがある。また、計測装置の位置を逐一移動(トラバース)させて流速分布を得る手法も存在するが、移動と計測とを繰り返すために手間と時間が必要となってしまう。さらに、これらのプロペラ式流速計や電磁流速計では、河川の分岐直後などの非定常性が強く、流量が時間的に変化してしまう場合には適切な計測が行えないという問題がある。
【0007】
他の計測装置としては、超音波を用いた線形計測の流量計測装置およびその手法が知られている。この超音波式流量計測装置は、水中に発振した超音波が水中の浮遊物や気泡に反射して戻ってきた反射波を受信して流速を計測するものであり、超音波が通過する測線上に多数の測定点を設けることが可能である。超音波式流量計測装置には、主にドップラー法と相互相関法が利用されている。また市場では、ドップラー法を利用した流量測定装置(ADCP:Acoustic Doppler Current Profiler)が広く提供され、利用されている。
【0008】
ADCPによる流速の計測の例として、例えば特許文献1には、河川の流れの上流側の第1ビームと、流れの下流側の第2ビームとによって河川の流速を測定するADCP(音響ドップラー流速計)が開示されている。特許文献1では、水位、流速分布および河床位の同時観測により、河川の流量を精度よく自動的に観測できるとされている。
【0009】
またADCPの他の形態として、例えば特許文献2には、3方向以上に音響ビームを放射するADCP(広帯域音響ドップラー流速プロファイラ)が開示されている。特許文献2によれば、波の方向および波高と共に、流速プロフィール(流速分布)を計測できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−111375号公報
【特許文献2】特表2002−526783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1では、ADCPは河川の側面付近に配置されていて、それぞれのビーム方向を河川の幅方向かつ水平方向に向けて放射している。そのため、放射されたビームは河川の流れを横断する方向へ伝搬される。しかし、この構成では、河川の流れが速い場合や、河川の分岐後などの乱流および偏流が発生している箇所では、超音波が散乱および減衰して流速の測定に誤差が生じやすくなり、結果として流量の計測精度が低下してしまうおそれがある。
【0012】
一方、特許文献2のADCPであれば、3方向以上に音響ビームを放射して流速を3次元的に測定することで、速い流れであったり乱流および偏流であったりしても、その流速を正確に測定することが可能であると思われる。しかし、3次元的に流速を測定した場合、膨大な数の流速の測定データが取得されてしまうため、そこから流量を算出する処理が必要以上に複雑なものとなってしまう。
【0013】
また、流速を3次元的に測定する従来のADCPでは、3つ以上の超音波を放射状に発信させているため、超音波センサから離れるに従って超音波が広がってしまい、測定可能な距離が短くなることが懸念される。また、3次元の流速は放射状の超音波の中央で測定するため、例えば水路の壁面近傍のような場所を上方から測定する場合には、超音波が壁面にあたらないように壁面からある程度離れた位置に測定点を設けなければならない。しかし、水路の壁面近傍は摩擦等による流速変化が大きい箇所であり、壁面近傍の流速も測定しなければそこから算出する水路全体の流量の計測精度は低下してしまう。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑み、水路全体の流量を精度よく計測でき、かつ流量の算出処理を簡素化することが可能な超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明にかかる超音波式流量計測方法の代表的な構成は、水路の流れに略直交する横断面上に複数の計測位置を設定し、複数の計測位置について横断面の法線を含む面内に複数の測定点を設定し、測線が法線を含む面内にあり、かつ測線の法線に対する角度が異なる2つの超音波センサを有するセンサユニットを計測位置に配置し、2つの超音波センサによって、それぞれの測線上において複数の測定点について速度ベクトルを測定し、複数の測定点について各測線上の速度ベクトルを合成して流速ベクトルを算出し、複数の測定点について法線方向の流速を示す法線ベクトルを算出し、法線ベクトルから水路全体について法線方向の流速分布を取得し、流速分布から、水路全体の流量を算出することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、複数の測定点のそれぞれについて、2つの超音波センサのみの簡易な構成で流れ方向の流速を取得することが可能となる。なお、乱流や偏流が発生している箇所であっても、流れ方向の流速を取得することで、3次元方向の流速を計測せずとも、水路全体の流量を十分に高い精度で算出することが可能となる。
【0017】
当該超音波式流量計測方法は、ガウス求積法を用いて、水路の幅とセンサユニットの数から、ガウス求積法で定まる位置を計測位置とし、法線方向の流速分布から、法線方向の断面平均流速を算出し、断面平均流速に水路の断面積を乗算して水路全体の流量を算出するとよい。
【0018】
上記構成によれば、壁面との摩擦や流体の粘性が流速分布に影響する水路に対する流量計測であっても、ガウス求積法を用いることで、計測位置を少ない数に設定しても水路全体の断面平均流速を精度よく算出することができる。したがって、計測装置の設置工数を削減でき、また流量の算出処理を簡素化することが可能となる。
【0019】
当該超音波式流量計測方法は、上記のセンサユニットを複数の計測位置へ順次移動して法線方向の流速を取得してもよい。これによれば、センサユニットを増やしたり、センサユニットを水路へ常設させたりすることなく水路の流量を計測することが可能となる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明にかかる超音波式流量計測装置の代表的な構成は、水路の流れに略直交する横断面の法線を含む面内において測線の角度が異なる2つの超音波センサを有し、2つの超音波センサのそれぞれの測線上において複数の測定点について超音波を流体中に送信してその反射波を測定する少なくとも1つのセンサユニットと、センサユニットが測定した反射波から、複数の測定点について速度ベクトルを計測し、速度ベクトルから複数の測定点について法線方向の流速を示す法線ベクトルを算出し、法線ベクトルから水路全体について法線方向の流速分布を取得する流速算出部と、流速分布と水路の断面積から、水路全体の流量を算出する流量算出部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
上述した超音波式流量計測方法における技術的思想に対応する発明構成要素やその説明は、当該超音波式流量計測装置にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、水路全体の流量を精度よく計測でき、かつ流量の算出処理を簡素化することが可能な超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置の設置位置を示す図である。
【図2】第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置の概略構成を示す図である。
【図3】複数の計測位置および検査面を説明する図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】ガウス求積法を利用した流量計測を説明する図である。
【図7】第1実施形態においてガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法について説明するフローチャートである。
【図8】第1実施形態において積分法を用いた超音波式流量計測方法について説明するフローチャートである。
【図9】第2実施形態にかかる超音波式流量計測装置の概略構成を示す図である。
【図10】図9のセンサユニットの超音波センサを説明する図である。
【図11】第2実施形態においてガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法について説明するフローチャートである。
【図12】超音波式流量計測方法の他の実施形態の概要を示す図である。
【図13】ガウス求積法を用いて行った流量計測実験の結果を示す図である。
【図14】ガウス求積法を用いて行った流量計測実験の結果を示す図である。
【図15】第1実施形態にかかるガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法と3次元電磁流速計による流量計測方法との比較実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
[第1実施形態]
本発明にかかる超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置は、水路における流体の流量を計測するものであり、代表例として水力発電の取水用の水路における流量を計測するものである。以下の第1実施形態の説明では、理解を容易にするために、第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置について詳述した後に、かかる超音波式流量計測装置を用いた超音波式流量計測方法について詳細に説明する。
【0026】
(超音波式流量計測装置)
図1は、第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置(以下、「計測装置100」と記載する)の設置位置を示す図である。図1に示すように、計測装置100は水力発電所の取水用の水路102に設置することができる。水路102は自然河川104から分岐された開水路であって、水路102を流れる流体106(水)は自然河川104から水力発電所に向かって白抜矢印の方向に導かれている。
【0027】
計測装置100は、水路102を流れる流体106に向かって超音波を送信し、流体106に含まれる気泡109(図4参照)に反射した反射波を受信することで流体106の流量を計測する。なお、流体106に気泡109が含まれない場合は、例えば計測装置100より上流側において水路内に気泡発生装置108を配置することにより気泡109を発生させることができる。
【0028】
図2は、第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置の概略構成を示す図である。本実施形態にかかる計測装置100は、センサユニット110と、測定端末120とから構成されている。センサユニット110と測定端末120とは、ケーブル144を介して有線接続されている。
【0029】
センサユニット110は、複数の計測位置に並んで配置される。本実施形態では、3つのセンサユニット110を水路内に略鉛直に配置させている。センサユニット110は2つの超音波センサ112a、112bを有していて、各超音波センサは固定治具114に固定され、流体106内に沈められている。固定治具114の上部は水路上方に架けられた足場116に固定されている。
【0030】
図3は複数の計測位置および検査面を説明する図である。なお、図3では計測位置および検査面Sを明確に表すために、水路102は枠線として図示し、センサユニット110は、3つのセンサユニット110のうちの1つにおける超音波センサ112a、112bのみに省略して図示している。
【0031】
図3に示すように、複数の計測位置は、水路102の流れに略直交する横断面上に並んで設定される。センサユニット110の超音波センサ112a、112bは、水路102の横断面に対する法線を含む面を検査面Sとしている。検査面S内には、複数の測定点が設定される。測定点は、超音波センサ112a、112bの測定対象として水深方向に設定された複数の位置である。
【0032】
本実施形態において検査面Sは略鉛直である。超音波センサ112aおよび超音波センサ112bは検査面S内において、それぞれの測線L1、L2の法線に対する角度が互いに異なるように配置されている。なお、図3では超音波センサ112a、112bを上下に配置し、超音波センサ112a、112bのそれぞれの測線L1、L2は交差している。しかし本発明はこれに限らず、超音波センサ112a、112bを両方とも上または下に配置していてもよく、測線L1、L2の法線に対する角度が異なればよい。
【0033】
図4を参照して、超音波センサ112a、112bについて詳述する。図4は、図1のA−A断面図である。図4中のx軸は水平軸(法線と略平行)、y軸は鉛直軸(横断面と略平行)を表している。
【0034】
超音波センサ112a、112bは、それぞれの測線上に超音波を送信し、複数の測定点について気泡109からの反射波を測定する。超音波センサ112a、112bが測定した反射波に関する信号は、ケーブル144を介して測定端末120に送信される。なお、図4は模式的であり、2つの超音波センサ112a、112bは同一の気泡109のみを測定対象とするものではない。
【0035】
図5は、第1実施形態にかかる超音波式流量計測装置100の機能構成を示すブロック図である。図5に示す測定端末120は、制御部122と、記憶部134と、操作部136と、表示部138とを含んで構成され、超音波センサ112a、112bによる超音波の送信を制御し、かつかかる超音波センサ112a、112bにより受信された反射波を計算処理する。
【0036】
制御部122は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により計測装置100全体を管理および制御する。また本実施形態では、制御部122は、パルサー124、レシーバ126、A/D変換部128、流速算出部130、流量算出部132としても機能する。
【0037】
パルサー124は、センサユニット110の超音波センサ112a、112bに超音波の波形に応じた電気信号(電流)を送信する。電気信号は超音波送信部140を駆動させるための所定の周波数および間隔で送信される。レシーバ126は、反射波受信部142が超音波の反射波を受けて生じたアナログ信号を増幅する。A/D変換部128は、レシーバ126によって増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
流速算出部130は、センサユニット110が測定した反射波から、複数の測定点についての流速および流速分布を取得する。例えば図4に示すように、流速算出部130は、ある測定点について2つの超音波センサ112a、112bが測定した反射波から、それぞれ速度ベクトルU1、U2を測定する。次に速度ベクトルU1、U2を合成して流速ベクトルU3(検査面S内の流速)を算出する。そして、流速ベクトルU3を法線方向に投影することにより、法線方向の流速を示す法線ベクトルU4を算出する。これらのように、流速算出部130は、各測定点について法線ベクトルを算出することで水路全体について法線方向の流速分布を取得できる。
【0039】
流量算出部132は、流速算出部130により算出された流速分布と、水路102の断面積とから、水路全体の流量を算出する。
【0040】
記憶部134は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、制御部122で処理されるプログラムを記憶する。
【0041】
操作部136は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の複数のキー(スイッチ)やマウス等から構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。例えば、操作部136により、各センサユニット110について複数の測定点を設定することができる。
【0042】
表示部138は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成され、記憶部134に記憶されたアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0043】
超音波送信部140は、圧電素子等で構成され、水路内に超音波を送信する。また反射波受信部142は、気泡109によって反射された反射波を受信する。
【0044】
(センサユニットの計測位置の設定)
次にセンサユニット110の計測位置の設定について説明する。本実施形態にかかる計測装置100は、ガウス求積法を利用して計測位置の設定および流量の算出を行うことで、簡素かつ精度のよい流量計測が可能である。ガウス求積法は、数値解析における数値積分の一種である。ガウス求積法は、被積分関数の形に応じて刻みの幅を変えることで、少ない刻みの数でも高精度な結果を得ることができる。
【0045】
図6は、ガウス求積法を利用した流量計測を説明する図である。図6(a)はガウス求積法を利用した流量算出を表す式、図6(b)はガウス・ルジャンドル求積法に関する低次のサンプリング位置と重みを示す表、図6(c)はN=4の場合のサンプリング位置を示す図である。
【0046】
まず、ガウス求積法を用いることにより、水路102の幅と、流量計測に使用するセンサユニット110の数(または計測位置の数)とから、センサユニット110を水路102の横断面上に配置する際の最適な計測位置を設定することができる。例えば、使用するセンサユニット110の数を4つとした場合は、図6(b)の表のサンプリング数Nは4となり、サンプリング位置Wiがサンプリング数N=4の行に示す値となる。このサンプリング位置Wiは図6(c)に示すように、水路102の中央を0とし、中央から左右側壁までの距離を0.5とした場合の計測位置を表している。例えば、図6(c)の図におけるWに水路102の幅の実測値を代入することで、水路102の幅の実測値と各サンプリング位置Wiとから、水路中央からの4つのセンサユニット110の計測位置を求めることができる。そして、各センサユニット110によって測定したそれぞれの計測位置での法線方向の流速分布から、各計測位置における水深方向の平均流速V1〜V4(検査面S内の平均流速)を算出し、図6(a)の式に代入する。これにより、各計測位置における平均流速V1〜V4から法線方向の断面平均流速を算出し、断面平均流速に水路102の断面積(水路幅×水位)を乗算して水路全体の流量Qを算出することができる。
【0047】
上記構成によれば、壁面との摩擦や流体106の粘性が流速分布に影響する水路102に対する流量計測であっても、ガウス求積法を用いることで、少ない計測位置で水路全体の流量を精度よく算出することができる。したがって、計測装置100の設置工数を削減でき、また流量の算出処理を簡素化することが可能となる。
【0048】
なお、ガウス求積法を利用しない場合は、センサユニット110を水路102の横断面上の複数の任意な計測位置に配置し、横断面を等間隔にメッシュ分割した微小面積と流速とをかけて算出した微小流量を積分することにより流量を算出してもよい。なお積分法による場合であっても、計測位置をガウス求積法のときと同様に少なくして、計測位置間の流速を補間することによって求めてもよい。この流量算出方法は、当業者にとって周知であるため詳細な説明は省略する。
【0049】
(超音波式流量計測方法)
続いて、上述した計測装置100を用いた超音波式流量計測方法について詳述する。図7は、第1実施形態においてガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法について説明するフローチャートである。
【0050】
ガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法では、まずセンサユニット110の任意な使用数(または計測位置の数)を決定し、ガウス求積法に基づいて水路102の流れに略直交する横断面上に複数の計測位置を設定し(S200)、各計測位置にセンサユニット110を配置する(S204)。このとき、センサユニット110は、水路102の横断面に対する法線を含む面を検査面Sとし、検査面S内において2つの超音波センサ112a、112bの測線の法線に対する角度が互いに異なるように配置する。
【0051】
次に、複数の計測位置に配置した各センサユニット110について、検査面内に複数の測定点を設定する(S208)。複数の測定点は、それぞれが2つの測線から水平方向へ等距離の位置に設定する。
【0052】
そして、パルサー124が超音波送信部140に電気信号を送信することにより、超音波送信部140は水路内の流体106に超音波を送信する(S212)。反射波受信部142は、超音波送信部140により送信された超音波が気泡109に反射して生じた反射波を受信する(S216)。
【0053】
流速算出部130は、反射波を受信した反射波受信部142からレシーバ126およびA/D変換部128を介して増幅されたアナログ信号を基に、ドップラー法により2つの超音波センサ112a、112bのそれぞれの測線上において複数の測定点について2方向の速度ベクトルU1、U2を測定する(S220)。なお速度ベクトルU1、U2を測定する位置(超音波センサ112a、112bからの距離)は、測定点を含む水平線と測線との交点(測定点と同じ水深の位置)とする。
【0054】
さらに、流速算出部130は、2つの速度ベクトルU1、U2を合成して、複数の測定点についての流体106の流速ベクトルU3を算出する(S224)。またさらに、流速算出部130は、算出した流速ベクトルU3から、複数の測定点について、水路102の横断面に対する法線方向の流速を示す法線ベクトルU4を算出する(S228)。これにより流速算出部130は、各測定点について算出した法線ベクトルから、水路全体について法線方向の流速分布が取得できる(S232)。
【0055】
次に、流速算出部130は、複数の計測位置のセンサユニット110の各検査面Sにおける平均流速Vを算出し(S236)、流量算出部132は、流速算出部130により算出された各検査面Sにおける平均流速Viと、水路102の断面積とから、ガウス求積法により水路全体の流量を算出する(S240)。これにより、当該超音波式流量計測方法の処理が終了する。
【0056】
また、上述した計測装置100はガウス求積法を用いずとも流量を算出することが可能である。図8は第1実施形態において積分法を用いた超音波式流量計測方法について説明するフローチャートである。なお、図7と同様の処理については同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
通常の積分法を用いた超音波式流量計測方法では、まず水路102の流れに略直交する横断面上に、任意に複数の計測位置(水平方向)と、各計測位置ごとに複数の測定点(水深方向)を設定する(S250)。そして、図7と同様の処理により各測定点について流速分布を算出した後(S232)、積分法により流量を算出し(S254)、処理を終了する。
【0058】
これら上記構成によれば、複数の測定点のそれぞれについて、2つの超音波センサ112a、112bのみの簡易な構成で流れ方向の流速(法線ベクトルU4)を取得することが可能となる。なお、乱流や偏流が発生している箇所であっても、流れ方向の流速を取得することで、3次元方向の流速を計測せずとも、水路全体の流量を十分に高い精度で算出することが可能となる。
【0059】
すなわち、3次元流速計等を用いる場合と比較して、取得する測定データ数を減らすことで流量の算出処理を簡素化できる。また、横断面の法線を含む検査面S上で測定を行うため、センサユニット110をより壁面に近づけることができる。したがって、流速変化の大きい壁面近傍の速度ベクトルを測定できる。これらによって、水路全体の流量を精度よく計測することが可能となる。
【0060】
[第2実施形態]
(超音波式流量計測装置)
図9は、第2実施形態にかかる超音波式流量計測装置(以下、「計測装置300」と記載する)の概略構成を示す図である。第2実施形態にかかる計測装置300は、センサユニット310を複数の計測位置へ順次移動して水路102の法線方向の流速を取得することができる点において、第1実施形態にかかる計測装置100と異なる。またセンサユニット310では、2つの超音波センサ312a、312bがいずれも上方から下方に向かって超音波を送信する。以下、第1実施形態と同様の作用および構成の要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
計測装置300は、2つの超音波センサ312a、312bを有する1つのセンサユニット310を備えている。本実施形態では、センサユニット310は水路上方に架けられたガイド320に移動可能に取り付けられている。ガイド320は、水路102の流れに略直交する横断面と略平行に架けられていて、センサユニット310はガイド320上を横断面の略平行に移動することで上記の横断面上の複数の計測位置を順次移動することができる。なお、ガイド320はセンサユニット310の支持部材として例示するものであり、支持部材はこれに限るものではない。例えば、足場116を支持部材とし、センサユニット310は単に足場116に複数箇所で着脱可能としてもよい。
【0062】
図10は、図9のセンサユニット310の超音波センサ312a、312bを説明する図である。本実施形態にかかるセンサユニット310は、第1実施形態にかかるセンサユニット110と同様に、水路102の横断面に対する法線を含む面を検査面Sとしている。検査面Sは略鉛直である。超音波センサ312aおよび超音波センサ312bは、検査面S内において、それぞれの測線L3、L4の法線(x軸に略平行)に対する角度が互いに異なるように配置されている。
【0063】
超音波センサ312a、312bは、それぞれの測線上において、複数の測定点について、送信した超音波の気泡109からの反射波を測定する。超音波センサ312a、312bが測定した反射波に関する信号は、ケーブル144を介して測定端末120に送信される。測定端末120内では、反射波に関する信号から流速算出部130によって速度ベクトルU5、U6が測定され、さらに速度ベクトルU5、U6を合成して流速ベクトルU7が算出される。次に流速ベクトルU7から法線方向の流速を示す法線ベクトルU8が算出され、各測定点の法線ベクトルを算出することで水路全体の流速分布が取得される。そして流量算出部132によって、流速算出部130が算出した流速分布と、水路102の断面積とから、水路全体の流量が計測される。
【0064】
(超音波式流量計測方法)
続いて、上述した計測装置300を用いた超音波式流量計測方法について詳述する。図11は、第2実施形態においてガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法について説明するフローチャートである。なお、図7と同様の処理については同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
計測装置300によるガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法では、まずセンサユニット310が計測を行う任意な計測位置の数について、ガウス求積法に基づいて水路102の横断面の流れに略直交する横断面上に複数の計測位置を設定し(S200)、そのうちの一つの計測位置にセンサユニット310を配置する(S350)。このとき、複数の計測位置のうち、最も水路102の壁面側の計測位置に配置することで、反対側の壁面へ向かって計測位置を順次移動してスムーズに流速を取得することができる。なお、センサユニット310は、水路102の横断面に対する法線を含む面を検査面Sとし、検査面S内において2つの超音波センサ312a、312bの測線の法線に対する角度が互いに異なるように配置する。
【0066】
次に、図7と同様の処理によりその計測位置での法線ベクトルU8を算出する(S228)。これにより流速算出部130は、その時点までに算出した法線ベクトルから、法線方向の流速分布が取得できる(S232)。
【0067】
そして、センサユニット310は、次の計測位置へ移動し(S354のYES)、次の計測位置での流速分布を取得する。
【0068】
センサユニット310は、すべての計測位置での流速分布の取得を終えると移動を終了し(S354のNO)、流速算出部130および流量算出部132によって図7と同様の処理で流量が算出される。
【0069】
上記構成によれば、センサユニットを増やしたり、センサユニットを水路102へ常設させたりすることなく水路102の流量を計測することが可能となる。すなわち、センサユニット310を少なくとも1つ設けることで流量計測が可能となる。
【0070】
なお、本実施形態にかかる計測装置300においても、ガウス求積法を用いずに積分法を用いて流量を算出することも可能である。
【0071】
[他の実施形態]
図12は、超音波式流量計測方法の他の実施形態の概要を示す図である。なお、以下の説明では、上述した各実施形態と同様の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
上述した各実施形態におけるガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法では、断面が矩形の水路102に対する流量計測の説明を行った。しかし、断面が矩形ではない水路であってもガウス求積法を用いた流量計測を行うことが可能である。例えば、図12(a)に示すように断面が台形の水路402に対しては、水面および水底のそれぞれにおいて、水路402の幅とセンサユニット110の使用数とからガウス求積法によって計測位置を求め、水面および底面の計測位置を結ぶ傾斜面が検査面S1〜S4となるようにセンサユニット110を配置する。これにより、断面が台形の水路402であっても、ガウス求積法を用いた流量計測が可能である。
【0073】
また、上述した各実施形態では、検査面が略鉛直となるようにセンサユニット110を配置した。しかし、検査面はこれに限らず、例えば図12(b)に示すように、検査面S1〜S4が略水平となるようにセンサユニット110を配置しても、ガウス求積法を利用した流量計測が可能である。ただし、この場合は水位の時間的変化を考慮して流量計測を実施する必要がある。
【0074】
[評価試験]
図13および図14は、ガウス求積法を用いて行った流量計測実験の結果を示す図である。実験条件として、図13(a)に示すように、幅1500mm、水位1250mmの水路410(開渠)を利用した。また、水路410の流速条件は1.5m/sとし、水路内には上流からマイクロバブルを注入した。
【0075】
実験は、水路内に障害物が有る場合と無い場合において行った。障害物は水路内に乱流および偏流を発生させるためのものであり、障害物としてはピトー管412の上流1.8mの右側壁にパイプ414を配置させた。
【0076】
図13(b)は障害物が無い場合の水路横方向の流速分布、図13(c)は障害物が有る場合の水路横方向の流速分布である。図13(b)および図13(c)の流速の測定はピトー管412(管径:φ9mm)を使用し、測定は50Hz、30秒間/点で行った。また、流速の測定は一定水位(0.5m)において水路410の片側壁面から反対側壁面まで10mm間隔で行った。図13(b)および図13(c)を比較すると、図13(c)では流速分布が乱れていることから、水路内に障害物が存在することによって乱流および偏流が発生していることが確認できる。
【0077】
図13(b)および図13(c)中の破線および一点鎖線は、ガウス求積法のサンプリング位置(N=3,4)を示している。図14はガウス求積法と積分法とにより求めた断面平均流速の差異を表した図である。ガウス求積法による断面平均流速は、図13(b)および図13(c)中に破線で示すサンプリング位置(N=3、4)の測定データを抽出することにより算出した。また、積分法による断面平均流速は、図13(b)および図13(c)に示す全測定データを積分することにより求めた。
【0078】
図14からは、全測定データを使用する積分法に比べて、少ない測定データを使用するガウス求積法を用いた流量計測であっても、積分法との断面平均流速の差異は小さいことがわかる。また、障害物によって乱流および偏流が発生している場合でも、ガウス求積法のサンプリング位置が3以上である場合には、積分法との差異が小さいことがわかる。これらのことから、ガウス求積法を用いることで、計測位置を少ない数に設定でき、かつ乱流および偏流が発生していても水路全体の流量を精度よく算出できることが確認できる。
【0079】
図15は、第1実施形態にかかるガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法と3次元電磁流速計(以下、「EMC」と記載する)による流量計測方法との比較実験の結果を示す図である。実験条件として、図15(a)に示すように、幅1500mm、水位1250mmの水路410(開渠)を利用した。また、水路410の流速条件は0.5m/s、1.0m/s、1.5m/sとし、水路内には上流からマイクロバブルを注入した。さらに、水路410には乱流および偏流を発生させる障害物として、パイプ414を水路410の右側壁へ配置した。パイプ414は、センサユニット110の上流2200mmの位置とした。
【0080】
計測装置100のセンサユニット110は計3本使用し、ガウス求積法に基づいた計測位置に配置した。各超音波センサ112a、112bは水路410の上流側に向け、かつ鉛直方向より30°傾けて配置した。超音波センサ112a、112bが送信する超音波周波数は200kHzとした。EMCは、センサ径がφ20mmで、測定範囲が±2.5m/s(精度FS±2%)のものを使用した。EMCによる流速の測定は、パイプ414の下流1800mmの位置(センサユニット110の上流400mmの位置)、かつ計測装置100の各センサユニット110と略同一の検査面S1〜S3において、水面から水底に向かって略鉛直方向にトラバースし、10mm間隔で測定を行った。
【0081】
図15(b)は、計測装置100およびEMCが取得した流速分布を比較する図である。図15(b)に示すように、障害物であるパイプ414から遠い検査面S1においては比較的計測装置100とEMCとの流速分布が一致していることが確認できる。また、検査面S2、S3では計測装置100とEMCとの流速分布に差異が見られるが、これは検査面S2、S3ではパイプ414により乱流および偏流が発生していることと、計測装置100とEMCとの測定位置(パイプ414からの距離)が若干異なっていることによるものであると考えられる。
【0082】
図15(c)は、計測装置100とEMCとがそれぞれ算出した水路410の断面平均流速を比較する図である。図15(c)では、計測装置100およびEMCが各計測位置において測定した平均流速からガウス求積法により求めた断面平均流速を比較した。
【0083】
図15(c)に示すように、流速が1m/s以上では、計測装置100とEMCとの断面平均流速の差異は1%未満である。この結果から、乱流や偏流が発生している水路410であっても、ガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法よる流速測定が高精度であることがわかる。すなわち、本発明にかかるガウス求積法を用いた超音波式流量計測方法であれば、3次元方向の流速を計測せずとも、水路全体の流量を十分に高い精度で算出することが可能であることが確認できる。
【0084】
なお、流速0.5m/s以下では差異が大きくなっているが、これは流速0.5m/sという低速条件ではEMCの測定精度が落ちてしまっているためと推測される。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、超音波を送受信して水路の流量を計測する超音波式流量計測方法および超音波式流量計測装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
S、S1、S2、S3 …検査面
U1、U2、U5、U6 …速度ベクトル
U3、U7 …流速ベクトル
U4、U8 …法線ベクトル
100、300 …計測装置
102、402、410 …水路
104 …自然河川
106 …流体
108 …気泡発生装置
109 …気泡
110、310 …センサユニット
112a、112b、312a、312b …超音波センサ
114 …固定治具
116 …足場
120 …測定端末
122 …制御部
124 …パルサー
126 …レシーバ
128 …A/D変換部
130 …流速算出部
132 …流量算出部
134 …記憶部
136 …操作部
138 …表示部
140 …超音波送信部
142 …反射波受信部
144 …ケーブル
320 …ガイド
412 …ピトー管
414 …パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路の流れに略直交する横断面上に複数の計測位置を設定し、
前記複数の計測位置について前記横断面の法線を含む面内に複数の測定点を設定し、
測線が前記法線を含む面内にあり、かつ該測線の該法線に対する角度が異なる2つの超音波センサを有するセンサユニットを前記計測位置に配置し、
前記2つの超音波センサによって、それぞれの測線上において前記複数の測定点について速度ベクトルを測定し、
前記複数の測定点について各測線上の前記速度ベクトルを合成して流速ベクトルを算出し、
前記複数の測定点について前記法線方向の流速を示す法線ベクトルを算出し、
前記法線ベクトルから前記水路全体について前記法線方向の流速分布を取得し、
前記流速分布から、前記水路全体の流量を算出することを特徴とする超音波式流量計測方法。
【請求項2】
当該超音波式流量計測方法は、ガウス求積法を用いて、
前記水路の幅と前記センサユニットの数から、前記ガウス求積法で定まる位置を前記計測位置とし、
前記法線方向の流速分布から、前記法線方向の断面平均流速を算出し、
前記断面平均流速に前記水路の断面積を乗算して前記水路全体の流量を算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波式流量計測方法。
【請求項3】
前記センサユニットを前記複数の計測位置へ順次移動して前記法線方向の流速を取得することを特徴とする請求項1に記載の超音波式流量計測方法。
【請求項4】
水路の流れに略直交する横断面の法線を含む面内において測線の角度が異なる2つの超音波センサを有し、該2つの超音波センサのそれぞれの測線上において複数の測定点について超音波を流体中に送信してその反射波を測定する少なくとも1つのセンサユニットと、
前記センサユニットが測定した反射波から、前記複数の測定点について速度ベクトルを計測し、該速度ベクトルから前記複数の測定点について前記法線方向の流速を示す法線ベクトルを算出し、該法線ベクトルから前記水路全体について前記法線方向の流速分布を取得する流速算出部と、
前記流速分布と前記水路の断面積から、該水路全体の流量を算出する流量算出部と、を備えることを特徴とする超音波式流量計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−122831(P2011−122831A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278315(P2009−278315)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 第87期 日本機械学会流体工学部門講演会 主催者名 社団法人 日本機械学会 公開場所 名古屋工業大学 御器所キャンパス(〒466−8555 愛知県名古屋市昭和区御器所町) 公開日 平成21年11月07日
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】