超音波振動子装着具及び超音波送受信装置
【課題】本発明は、装着具又は体表に超音波伝搬物質の残留を減少又は消失させるための超音波振動子装着具の提供を目的とする。
【解決手段】超音波振動子と体表との間に空間を作る、あるいは外周に空間を作る振動子装填具を有する超音波振動子装着具を、超音波振動子に装着する。
【解決手段】超音波振動子と体表との間に空間を作る、あるいは外周に空間を作る振動子装填具を有する超音波振動子装着具を、超音波振動子に装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子装着具及び超音波送受信装置に関し、特に、超音波治療器又は検査器で使用する超音波振動子の装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波治療器は、超音波振動子から超音波を患部へ照射することにより治療を行っている。超音波は、安全で簡便な物理療法として一般的に診断や治療に使用されている。その有効性、利便性、又は安全性の更なる改善のために、多くの技術が開発されてきた。
【0003】
その代表的なもののひとつに超音波伝播物質の使用があげられる。超音波は音響インピーダンスが異なる物質の境界で反射が起こる。超音波振動子と体表の間に空気が存在するとき、特に超音波治療器で多く用いられている1MHz以上の超音波では、エネルギーの大半が反射され、超音波を体内へ照射することができない。そのため、物体内に超音波を効率的に照射する方法として、超音波振動子と体表の間に超音波伝搬物質を用いることが一般的となっている。この超音波伝搬物質としては、水や油、超音波ゲルなどが使用可能であるが、診断や治療を目的に人体に超音波を照射する場合は、超音波ゲルが用いられることが多い。この超音波伝搬物質は超音波を照射する前に超音波振動子に塗布し、使用後は除去されるものである。
【0004】
しかしながら、例えば、振動子が患部に押し付けられることにより、振動子と体表との間の超音波伝播物質も圧縮されて拡がり、振動子直下からはみ出した部分が隣接する装着具(例えばギプスやギプスに設置されている装着具)の下面等と体表の間に入り込むことにより、超音波伝播物質の拭き残りが生じる。特に、隣接する装着具は、ギプスやギプスに設置されている装着具など体表に固定されているものであると、この下面に入り込んだ超音波伝搬物質は掃除がしにくく、除去が不十分にないやすい。除去が不十分であると、残留した超音波伝播物質には体表の菌等を蓄積する可能性があり、不衛生である。また、残留した超音波伝搬物質を不快に感じる患者も数多い。これらの理由から、超音波伝搬物質は、超音波を照射する治療中のみ患部に存在し、治療後は速やかに除去されることが望ましい。
【0005】
特許文献1では、超音波治療器の治療ヘッドを固定するために、治療ヘッドと係合する取り付け具を用いている。この発明においても超音波振動子と体表の間は超音波伝搬物質が満たされることになるが、このとき、超音波伝搬物質の一部は治療ヘッドと体表との間から押し出され、治療ヘッド周辺にはみ出し、フェルトパッドに付着する。この付着した超音波伝搬物質は患者の不快感の原因となる。
【0006】
特許文献2では、超音波伝搬物質をトランスデューサ先端に装着することによるゲルの不要性が示されているが、超音波伝搬物質と体表の間の空隙を満たす物質が別途必要であるため、超音波伝搬物質が不要になるようにはできていない。
【0007】
また、超音波照射又は受信時の利便性を向上させるために装着具が考えられる。装着具は、超音波治療又は検査器使用中に、患部に対し、手で振動子を押さえ続ける不便さを解消することを目的としている。
【0008】
特許文献3では、ギプス5で固定されている部位に治療目的で超音波治療器を用いる場合、ギプス5固定後に患部付近に孔23を開け、その孔23に振動子装着具19とスペーサ20を入れ(図16)、振動子装着具19に振動子8をはめ込み、更に固定構造21で振動子8を上から押さえた状態で、超音波を照射して治療を行う(図17)。治療時間以外も、装着具は包帯で固定し、ギプスにはめ込んだたままの状態となる。しかし、振動子の固定に特化しており、超音波トランスミッション増強媒体の拭き残りをなくす工夫等の衛生面に優れた構造にはなってなく、超音波伝播物質の拭き残しによる患者の不快感は高い。
【0009】
【特許文献1】特開平8−238284号公報
【特許文献2】特表平11−505440号公報
【特許文献3】特表2002−512823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、装着具又は体表に超音波伝搬物質の残留を減少又は消失させるための超音波振動子装着具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、超音波振動子と体表との間に空間を作る、あるいは超音波振動子の超音波送受波面の外周に空間を作る振動子装填具を有する超音波振動子装着具及び超音波送受信装置である。
【0012】
すなわち、本発明は、筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具を有し、前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有する超音波振動子装着具である。
【0013】
また、前記振動子装填具の底面は、前記振動子装填具の内部に嵌合させる超音波振動子の超音波送受波面に接し、かつ前記開口部が超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成することが好ましい。さらに、前記側面の外周面は前記底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有することが好ましい。
【0014】
また本発明は、筒状の側面を具備する振動子装填具を有し、前記側面の外周面は前記側面の先端に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有する超音波振動子装着具である。
【0015】
本発明の前記カーブ構造又は直線構造は、前記側面の途中から始まることが好ましい。前記筒状の側面が円筒状の側面であることが好ましい。また、前記振動子装填具は、前記側面の外周面から放射方向に固定板を備えることが好ましい。
【0016】
さらに本発明は、超音波振動子装着具、及び前記振動子装填具の内部に嵌合する超音波振動子を有し、前記超音波振動子の超音波送受波面は前記振動子装填具の底面に接し、前記開口部は超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成する超音波送受信装置である。
【0017】
さらに本発明は、前記振動子装填具の外周面を囲む孔を形成する装填具嵌合部を有し、前記装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具を備え、前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有することを特徴とする超音波振動子装着具である。
【0018】
さらに本発明は、筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具、並びに前記振動子装填具と着脱可能に接合し、かつ前記振動子装填具の側面の外周面を囲む筒状の装填具嵌合部及び装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具とを有し、前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有し、前記振動子装填具の側面の外周面は底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有し、前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有する超音波振動子装着具である。
【0019】
前記振動子装填具と前記保持具の前記接合構造は、突起と係合部、スナップフィット機構、又はねじ機構であることが好ましい。前記接合構造による前記保持具と前記振動子装填具の接合位置の調節を可能にするために、2種類以上の高さ調節機構あるいは連続調節機構を有することが好ましい。
【0020】
前記保持具が有する固定板が、下向きに湾曲していることが好ましい。
【0021】
前記保持具が有する固定板の体表側の底面にはクッションが接着していることが好ましい。
【0022】
さらに本発明は、前記振動子装填具と着脱可能であって、前記振動子装填具の上面を覆い、前記振動子装填具に嵌め込まれる超音波振動子の上方を押さえ付ける構造を有する治療時用キャップを備えることを特徴とする超音波振動子装着具である。
【0023】
前記治療時用キャップと前記振動子装填具は、スナップフィット結合によって係合することが好ましい。
【0024】
さらに本発明は、前記保持具と着脱可能であって、前記保持具の上面を覆う非治療時用キャップを備える超音波振動子装着具である。
【0025】
前記非治療時用キャップと前記保持具は、突起と係合部またはスナップフィット結合によって係合することが好ましい。
【0026】
前記振動子装填具、前記保持具、前記治療時用キャップ、及び前記非治療時用キャップは、高分子材料又は金属材料からなることが好ましい。
【0027】
さらに本発明は、超音波振動子の超音波送受波面の外周に環状の突起部を有する超音波送受信装置である。
【0028】
前記突起部は超音波振動子と分離可能であることが好ましい。
【0029】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の超音波振動子装着具又は超音波送受信装置を用いれば、装着具又は体表に生じる超音波伝搬物質の残留を減少又は消失させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の超音波振動子装着具は、超音波振動子を治療などのために体表へ設置したときに、超音波振動子と体表との間に介在させる超音波伝搬物質が超音波振動子の超音波送受波面下からはみ出して、ギプスなどの装着具下に到達する前に溜まるように空間を備えさせるものである。
【0032】
また本発明の超音波振動子装着具は、掃除の簡便さを考慮し、超音波伝播物質が付着しやすい部分が取り外し可能になるよう装着具の構造を分割し、洗浄しやすい構造となっている。
【0033】
これにより、装着具下のクッションへの超音波伝播物質の付着を防ぐ、あるいは残留物を減らすことで、治療中および治療後の患者不快感を低減する。また、洗浄しやすくすることでも、ゲルの拭き残しの解消や減少により、長期間清潔を保ちやすくする。
【0034】
以下に、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。なお、本発明は図示の実施例に限定されるものではない。
【0035】
図1に本発明における超音波振動子装着具の使用時の断面図を示す。本発明の使用態様は、振動子装填具1と呼ばれる筒状の構造体の内部に振動子8を装填し、体表10と超音波振動子8の間に超音波伝搬物質7を介在させて密着させることで超音波照射又は受信を行うものである。本発明は、振動子装填具1の構造に工夫を加えることで、従来の超音波送受信の態様と比べ、ギプス5等の振動子装填具1周囲に存在するものに超音波伝播物質7が付着しにくくなっている。具体的には、振動子装填具1の底面24に作製されるストッパー9が挙げられる。ストッパー9は、振動子8が振動子装填具1から体表10へと通り抜けないようにする。ストッパー9は、振動子装填具1の底面24の中央に、振動子装填具1の側面25の内周より小さい開口部26を設けることによって形成される。ストッパー9の高さにより振動子8と体表10との間に振動子体表間空間11が生まれ、超音波伝搬物質7が振動子8によって体表方向へ圧縮されずにこの振動子体表間空間11に留まる。その結果、ストッパー9と体表10の隙間を抜けて、ギプス5の方向へはみ出す超音波伝搬物質7を減らすことができる。
【0036】
ストッパー9は、振動子装填具1の底面24の一部で、振動子装填具1の底面24のほぼ中央に開口部26を有することによって形成される。ストッパー9は、振動子装填具1に装填される振動子8により発生される超音波の体内への照射又は受信を遮らずに、振動子8を保持することを特徴としている。本実施例においては高さ1mm、半径方向の長さ1.5mmで設計した。なお、本実施例の超音波振動子8は、直径22mmの円筒状構造である。開口部26は、振動子8の超音波送受波面27の一部がストッパー9によって遮られても治療又は検査時に充分量の超音波を受信送信可能と考えられる、有効照射面積である振動子内部の圧電素子面積に相当する範囲の孔となっている。そのため、圧電素子が振動子中央部に設置されている場合は、開口部26は超音波送受波面27の中央部に形成されていることが好ましい。
【0037】
超音波伝播物質7は、超音波ゲル、水及び油等が一般的である。特に医療では超音波ゲルが用いられているが、その使用量は用途によって様々である。本発明においては、ストッパー9にて作製される振動子体表間空間11により、そこに貯留できる超音波伝播物質7の量は決定され、ストッパー9の高さおよび半径方向の長さに依存する。ストッパー9の高さおよび半径方向の長さは、好ましくは高さ0.5mm以上5mm以下、半径方向の長さ0.5mm以上5mm以下であるが、用途に応じた超音波伝播物質7の使用量により作製するストッパー9の寸法を決定すればよく、特に限定されない。使用する超音波伝播物質7の量をXとしたときの、ストッパーの高さh、ストッパーの半径方向の長さa、振動子装填具1の内周半径dとの関係式を示す。
X=h×(d−a)2×π
【0038】
振動子装填具1の側面は、図面では筒状のものを示したが、超音波振動子を保持できれば、どのような形状であってもよい。筒状についても、四角形や五角形などの角筒状であっても、円筒状であってもよく、嵌合させる超音波振動子の周面の形状に合わせた構造にすればよい。
【0039】
また、振動子自体の超音波送受波面側の中央部に窪みあるいは環状の突起部を作製し、ストッパー9と同様の効果、つまり振動子体表間空間11を作製してもよい。突起部は振動子と分離可能であっても一体的に作製されていてもよい。また突起部の環状は、連続していても分断されていてもよい。振動子と分離可能の場合は、例えば振動子の超音波送受波面の外周とほぼ同じ外周を有し、中央に開口部26に相当する孔を設けた環状の着脱可能なシールを貼り付けることでもよい。また、振動子装填具のストッパーも振動子と分離可能な突起部に該当する。
【0040】
本発明の超音波振動子装着具を使用する態様において、超音波の受信又は送信時に、振動子8に塗布した超音波伝搬物質7が、振動子体表間空間11からはみだした場合を図5に示す。超音波伝搬物質7の使用量について、ある程度指定されている場合でも、患者個人の好み、習慣により日々の使用量は異なる。本発明の超音波振動子装着具を使用しない場合は、超音波伝播物質7全量が振動子体表間空間11よりも多ければ、振動子装填具1の治療部側から溢れ、近接するギプス5もしくはクッション4へ付着することになる。
【0041】
本発明の超音波振動子装着具は、超音波伝播物質7のクッション4への付着を防ぐため、振動子装填具1と体表10とクッション4の間に超音波伝搬物質貯留空間12を備えることが好ましい。これにより、超音波伝播物質7がクッション4と体表10との間に入り込むことや、クッション4に付着することを阻止または低減することができ、患者不快感の原因を取り除くことができる。それ以外にも、清潔に保つことができるため、装着具の材料劣化を防止する効果もある。
【0042】
本実施例では、曲率半径2.5mmのカーブ構造15により、260.75mm3の超音波伝播物質貯留空間12を設けた。なお、超音波伝搬物質貯留空間12のために側面にカーブ構造15を用いる場合、その開始点は振動子の超音波送受波面が接する側の直近(図11)でも、振動子の超音波送受波面が接する側からおろした垂線の途中(図12)からでもよい。
【0043】
また、カーブ構造15以外に超音波伝播物質貯留空間12を作製する形態として、直線構造が挙げられる。例えば、垂直方向に対してθ´°(1〜80°)を描く斜め直線を描くもの(図13)、振動子挿入口側から垂直に描き途中より垂直方向に対してθ´°斜め直線(1〜80°)を描くもの(図14)等が挙げられる。斜め直線でカットする構造は、加工が容易な反面、十分な超音波伝播物質貯留空間12を設けるのにカーブ構造を用いる場合よりも振動子装填具1の外径を大きくする必要があり、装着具17の構造そのものを大きくする必要がある。そのため、装着する利便性、重量等を考慮する場合は、カーブ構造がより有効である。
【0044】
カーブ構造又は直線構造は振動子装填具の側面の途中から始まることが好ましく、装填する振動子の超音波受波面により近い箇所から始まることがより好ましい。
【0045】
振動子装填具1の側面の内周面を上記外周面と同様にカーブ構造又は直線構造に加工することにより、振動子を装着したときに振動子体表間空間11を形成することも可能である。
【0046】
また、振動子装填具1ではなく振動子8の超音波送受波面のエッジにカーブ構造、又は斜め直線の直線構造の切り込みを入れて加工しても、同様の効果が得られる。さらに、超音波送受波面側の中央部に環状の突起部を作製した場合は、突起部の外周は、振動子の超音波送受波面の外周より、やや内側に作製することにより、カーブ構造又直線構造と同様の効果が得られる。
【0047】
本発明の振動子装填具の別の態様として、ストッパーを備える底面を有さず、側面の外周面を超音波送受波面側の先端に向かって窄まるカーブ構造又は直線構造を有するものも挙げられる。カーブ構造又は直線構造は上述と同様である。このとき、側面の内周は変化せずに、そのまま垂直に降ろす形状でよい。例として、図15にストッパーを有さない振動子装填具の一部断面図を例示する。
【0048】
これ以外に、形状加工を施さず、振動子装填具1の超音波送受波面側付近に超音波伝播物質吸収材料を備えて、振動子周囲にはみ出した超音波伝播物質を遮るのではなく吸収することにより、体表やクッションへの超音波伝播物質の付着又は残留を防ぐケースが挙げられる。あるいは超音波透過性の材質を用いて、振動子装填具1もしくは、超音波送受波面接触面に開口部を有さない振動子装填具構造体を作製し、ゲル状の超音波伝播物質7を用いずに振動子を装填して超音波の送信又は受信を行うケースも考えられる。これらの態様によっても、超音波伝播物質7がクッション4と体表10の間に入り込むこと以外に、クッション4に付着することを阻止することができ、患者不快感の原因を取り除くことができ、装着具を清潔なまま保つことができる。
【0049】
振動子装填具1は、患部のギプス5装着、非装着問わず使用可能である。湾曲した患部形状に適合するよう、図2に示すように側面25の外周面から放射方向の周囲に平面ないしは湾曲した固定板22を有する形体に加工されてもよい。固定板22を湾曲させる場合は、患部形状と平行に湾曲させることが好ましく、例えば固定板を装着具を設置する体表に向かって下向きに緩やかに湾曲させることが好ましい。この固定板22は、ギプス非装着のときでも振動子装填具1に嵌めこまれた振動子を体表上に固定するために、振動子装填具1を体表に固定するものであり、この固定板22はベルトなどで体表上に固定して使用する。
【0050】
また、振動子装填具1は、振動子装填具1よりも大きい保持具2と接合して使用する方法もある。この場合、保持具2と振動子装填具1の接合は着脱可能であり、治療終了後、振動子装填具1および装着された振動子8のみを保持具2から取り外し、水洗いをすることが可能である。
【0051】
図10に保持具2と振動子装填具1を組み合わせた装着具17を示す。図10に示す本発明の装着具17は振動子を嵌め込む振動子装填具1、振動子装填具1を嵌め込む保持具2、振動子装填具1と体表10の間にはさむクッション4より構成される。
【0052】
図7は、実施例における振動子装填具1を振動子8挿入側から見た斜視図である。図8は実施例における振動子装填具1を振動子の超音波照射面側から見た斜視図である。振動子装填具1を保持具2と連結して使用する場合、振動子装填具1は接合構造として保持具2に嵌め込めるための突起部分13を有する。振動子装填具1と保持具2を連結させるための接合方法は、片方に突起部を設け、もう片方にその突起部がちょうど嵌るようなくぼみを有する係合部構造を設ける他、保持具2内壁と振動子装填具1外壁にネジ山の切り込み構造を設けて互いに嵌りあうねじ機構、スナップフィットを用いるスナップフィット機構などが挙げられる。スナップフィット機構とは、部材の弾性を利用した接合であり、例えばフック状の留め具および留め具が引っかかるよう設計されている締結部により接合する機構である。本実施例では振動子装填具1に突起部として突起部分13を設けた。連結方法の選定には、作製が容易、保持が確実、高さ調節が可能、着脱が容易といった項目を考慮する必要があるが、突起部による接続とスナップフィットはこれら全項目を最も充足する方法と考えられる。なお、非治療時用キャップ18は、保持具2に設けられた振動子装填具1との連結部と結合するものとする。
【0053】
図4は、装着具17をギプス5固定骨折部位に用い、治療又は検査を行う形態を示す。保持具2に係合する振動子装填具1の内部に振動子8が嵌めこまれ、振動子8の上部は治療用キャップ3によって押さえつけられている。治療用キャップ3の押し付けによって、治療又は検査時の振動子8は固定される。図4には治療用キャップ3が振動子装填具2と係合する態様が示されているが、振動子8を固定できれば、治療用キャップ3は保持具1と係合するものであってもよい。保持具2と体表10との間にはクッション4が介在する。装着具17は、ギプス5によって保持具2が固定されないケースにおいても使用可能であり、ギプス5を用いない場合はベルト等により装着具17の保持具の固定板を治療部位に固定して用いることが可能である。
【0054】
図3に本発明の装着具17を非治療時にギプス固定骨折部位に装着した断面図を示す。非治療時は振動子を装着しない状態となる。振動子装填具1および治療時用キャップ3を用いず、非治療時用キャップ18を保持具2の上部を覆うことで患部を保護する。
【0055】
ギプス5固定部位に本発明の装着具17を用いる場合、ギプス5にクッション4の大きさに適する孔(本実施例では6×5.5cmを設定)を開け、クッション4と振動子装填具1の装着された保持具2を孔に挿入し、非治療時用キャップ18を装着し、ギプス5と共に包帯6で縛る。結果的に包帯等で装着具17をギプスと共に縛ることにより、治療を行わない日常生活中も保持具2を装着したままの状態となるが、これにより毎日の治療時に広範囲の患部を露出して固定具および装着具を装着する煩わしさを解消することができる。非治療時用キャップ18は、水洗による劣化が少なく比較的軽い、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子材料もしくはアルミニウム、ステンレスなどの金属材料で作製されることが好ましい。
【0056】
振動子装填具1が保持具2から容易に取り外し可能であることにより、振動子装填具1の洗浄が可能となり、保持具2およびクッション4についても綿棒等で容易に清掃可能となる。図6に、超音波治療又は検査後に保持具2から振動子装填具1を取り出したときの状態図を示す。装着具が取り外し機構を備えない場合、体表に残った超音波伝搬物質7、クッション4と皮膚の間に入り込んだ超音波伝搬物質及びクッションに付着した超音波伝搬物質等の除去が困難となる。また、毎治療後にクッションの洗浄が行えた場合には、クッション材料の劣化が予想され、短期間のうち交換せざるを得なくなる可能性が考えられる。本発明の振動子装着具を用いることで、簡単に振動子装填具1の洗浄が行え、清潔な状態に容易に保つことができる。また、クッション4の長期利用が可能となり、経済的にも有効である。
【0057】
振動子装填具1及び保持具2は水洗による劣化が少なく比較的軽い、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子材料もしくはアルミニウムなどの金属材料で、クッション4はウレタン、スポンジ、フェルト等のやわらかい素材で作製されることが好ましい。本実施例では、振動子装填具1と保持具2にポリカーボネートを、クッション4にはポリプロピレン、エチレンプロピレン、又はクロロプレンを用いた。クッション4は、厚さ1〜20mmの直方体で中央部に振動子装填具1が挿入可能な孔を有する。しかし孔の切り込みはクッション表面に対し、垂直であっても、垂直から1〜80°の範囲で傾けて作製しても、カーブを描いても良いものとする。垂直でなく、底面に向かって広げる角度やカーブでの切り込みによっても、振動子又は振動子装填具とクッションとの間に超音波伝搬物質貯留空間を備えることができる。また、保持具2の固定板を湾曲して作製する場合、スポンジ4もそれに適合するよう湾曲して作製しても良い。
【0058】
図9は、図7及び図8に示す振動子装填具に接合する保持具2の図である。保持具は、振動子装填具の側面の外周面を囲む筒状の装填具嵌合部29及び装填具嵌合部の外周面から放射方向に延びる固定板30を有する。固定板30は治療時又は検査時に超音波振動子を固定するために、固定板30を固定して使用する。係合部16は、図7及び図8に示される振動子装填具1の突起部13がちょうど嵌るためのくぼんだ形状となっており、係合によって両者は固定される。係合部16の位置はギプス5の厚みに応じて振動子装填具1の体表側への突出部が調節できるよう高さ方向に二種類以上設けることが好ましく、本実施例では二種類設けた。ギプスの厚みは各治療ケースにより様々で、係合部16が2種類以上あることにより、複数のケースに対応可能となる。
【0059】
振動子装填具と保持具の係合位置の調節は、上記の高さ方向に2種類の調節機構を有する高さ調節機構の他に、連続調節機構を備えることも可能である。連続調節機構とは、振動子装填具円筒部外周面および保持具の装填具嵌合部内周面にネジ山の切り込み構造を設け、ネジ機構により連続した高さ調節を行う機構、または振動子装填具円筒部外周面および装填具嵌合部内周面に微小突起と微小窪みをそれぞれがお互いに嵌め込まれる位置にて筒軸方向に連続作製し、それらが筒軸方向の移動の際に一定の間隔で噛み合うことで高さ調節を連続的に行う機構である。
【0060】
また、振動子装填具1と治療時用キャップの連結には、片方に突起部を設け、もう片方に接続部構造を設ける他、スナップフィットを用いることが可能である。図7又は8に示す本発明の態様ではスナップフィット構造を用いたため、振動子装填具1にキャップ用接続部分14を設けた。治療時用キャップ3の連結相手を保持具2にする場合も同様に片方に突起部を設け、もう片方に係合部構造を設ける他、スナップフィットを用いることも可能である。
【0061】
保持具2と非治療時用キャップ18を連結する場合の係合に際しても、治療時用キャップと振動子装填具との連結と同様に、突起と係合部又はスナップフィット結合によって係合できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の超音波振動子装着具又は超音波送受信装置は、振動子と体表の間に介在する超音波伝搬物質の治療又は検査後の除去を容易にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図
【図2】本発明の別の実施形態を示す断面図
【図3】非治療時の本発明の装着具の実施形態を示す断面図
【図4】治療時の本発明の装着具の実施形態を示す断面図
【図5】超音波伝播物質が振動子体表間空間からはみ出したときの治療部分断面図
【図6】保持具から振動子装填具を取り出した状態の断面図
【図7】振動子装填具を振動子挿入側から見た斜視図
【図8】振動子装填具を振動子の超音波照射面側から見た斜視図
【図9】保持具の振動子挿入側から見た斜視図
【図10】本発明の装着具の別の実施形態を示す断面図
【図11】振動子装填具外周面にカーブ構造を設けた振動子装填具の一部断面図
【図12】振動子装填具外周面にカーブ構造を設けた別の態様の振動子装填具の一部断面図
【図13】振動子装填具外周面に直線構造を設けた振動子装填具の一部断面図
【図14】振動子装填具外周面に直線構造を設けた別の態様の振動子装填具の一部断面図
【図15】振動子装填具にストッパーを作製せずにカーブ構造又は直線構造を設けた振動子装填具の一部断面図
【図16】特許文献3における装着具および振動子の装着法を表す図
【図17】特許文献3における治療時の脚模式図
【符号の説明】
【0064】
1 振動子装填具
2 保持具
3 治療時用キャップ
4 クッション
5 ギプス
6 包帯
7 超音波伝搬物質
8 振動子
9 ストッパー
10 体表
11 振動子体表間空間
12 超音波伝播物質貯留空間
13 突起部分
14 キャップ用接続部分
15 カーブ構造
16 係合部
17 装着具
18 非治療時用キャップ
19 特許文献3の振動子装着具
20 スペーサ
21 固定構造
22 固定板
23 孔
24 振動子装填具の底面
25 振動子装填具の側面
26 開口部
27 超音波送受波面
28 直線構造
29 装填具嵌合部
30 振動子装填具の固定板
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子装着具及び超音波送受信装置に関し、特に、超音波治療器又は検査器で使用する超音波振動子の装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波治療器は、超音波振動子から超音波を患部へ照射することにより治療を行っている。超音波は、安全で簡便な物理療法として一般的に診断や治療に使用されている。その有効性、利便性、又は安全性の更なる改善のために、多くの技術が開発されてきた。
【0003】
その代表的なもののひとつに超音波伝播物質の使用があげられる。超音波は音響インピーダンスが異なる物質の境界で反射が起こる。超音波振動子と体表の間に空気が存在するとき、特に超音波治療器で多く用いられている1MHz以上の超音波では、エネルギーの大半が反射され、超音波を体内へ照射することができない。そのため、物体内に超音波を効率的に照射する方法として、超音波振動子と体表の間に超音波伝搬物質を用いることが一般的となっている。この超音波伝搬物質としては、水や油、超音波ゲルなどが使用可能であるが、診断や治療を目的に人体に超音波を照射する場合は、超音波ゲルが用いられることが多い。この超音波伝搬物質は超音波を照射する前に超音波振動子に塗布し、使用後は除去されるものである。
【0004】
しかしながら、例えば、振動子が患部に押し付けられることにより、振動子と体表との間の超音波伝播物質も圧縮されて拡がり、振動子直下からはみ出した部分が隣接する装着具(例えばギプスやギプスに設置されている装着具)の下面等と体表の間に入り込むことにより、超音波伝播物質の拭き残りが生じる。特に、隣接する装着具は、ギプスやギプスに設置されている装着具など体表に固定されているものであると、この下面に入り込んだ超音波伝搬物質は掃除がしにくく、除去が不十分にないやすい。除去が不十分であると、残留した超音波伝播物質には体表の菌等を蓄積する可能性があり、不衛生である。また、残留した超音波伝搬物質を不快に感じる患者も数多い。これらの理由から、超音波伝搬物質は、超音波を照射する治療中のみ患部に存在し、治療後は速やかに除去されることが望ましい。
【0005】
特許文献1では、超音波治療器の治療ヘッドを固定するために、治療ヘッドと係合する取り付け具を用いている。この発明においても超音波振動子と体表の間は超音波伝搬物質が満たされることになるが、このとき、超音波伝搬物質の一部は治療ヘッドと体表との間から押し出され、治療ヘッド周辺にはみ出し、フェルトパッドに付着する。この付着した超音波伝搬物質は患者の不快感の原因となる。
【0006】
特許文献2では、超音波伝搬物質をトランスデューサ先端に装着することによるゲルの不要性が示されているが、超音波伝搬物質と体表の間の空隙を満たす物質が別途必要であるため、超音波伝搬物質が不要になるようにはできていない。
【0007】
また、超音波照射又は受信時の利便性を向上させるために装着具が考えられる。装着具は、超音波治療又は検査器使用中に、患部に対し、手で振動子を押さえ続ける不便さを解消することを目的としている。
【0008】
特許文献3では、ギプス5で固定されている部位に治療目的で超音波治療器を用いる場合、ギプス5固定後に患部付近に孔23を開け、その孔23に振動子装着具19とスペーサ20を入れ(図16)、振動子装着具19に振動子8をはめ込み、更に固定構造21で振動子8を上から押さえた状態で、超音波を照射して治療を行う(図17)。治療時間以外も、装着具は包帯で固定し、ギプスにはめ込んだたままの状態となる。しかし、振動子の固定に特化しており、超音波トランスミッション増強媒体の拭き残りをなくす工夫等の衛生面に優れた構造にはなってなく、超音波伝播物質の拭き残しによる患者の不快感は高い。
【0009】
【特許文献1】特開平8−238284号公報
【特許文献2】特表平11−505440号公報
【特許文献3】特表2002−512823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、装着具又は体表に超音波伝搬物質の残留を減少又は消失させるための超音波振動子装着具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、超音波振動子と体表との間に空間を作る、あるいは超音波振動子の超音波送受波面の外周に空間を作る振動子装填具を有する超音波振動子装着具及び超音波送受信装置である。
【0012】
すなわち、本発明は、筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具を有し、前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有する超音波振動子装着具である。
【0013】
また、前記振動子装填具の底面は、前記振動子装填具の内部に嵌合させる超音波振動子の超音波送受波面に接し、かつ前記開口部が超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成することが好ましい。さらに、前記側面の外周面は前記底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有することが好ましい。
【0014】
また本発明は、筒状の側面を具備する振動子装填具を有し、前記側面の外周面は前記側面の先端に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有する超音波振動子装着具である。
【0015】
本発明の前記カーブ構造又は直線構造は、前記側面の途中から始まることが好ましい。前記筒状の側面が円筒状の側面であることが好ましい。また、前記振動子装填具は、前記側面の外周面から放射方向に固定板を備えることが好ましい。
【0016】
さらに本発明は、超音波振動子装着具、及び前記振動子装填具の内部に嵌合する超音波振動子を有し、前記超音波振動子の超音波送受波面は前記振動子装填具の底面に接し、前記開口部は超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成する超音波送受信装置である。
【0017】
さらに本発明は、前記振動子装填具の外周面を囲む孔を形成する装填具嵌合部を有し、前記装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具を備え、前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有することを特徴とする超音波振動子装着具である。
【0018】
さらに本発明は、筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具、並びに前記振動子装填具と着脱可能に接合し、かつ前記振動子装填具の側面の外周面を囲む筒状の装填具嵌合部及び装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具とを有し、前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有し、前記振動子装填具の側面の外周面は底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有し、前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有する超音波振動子装着具である。
【0019】
前記振動子装填具と前記保持具の前記接合構造は、突起と係合部、スナップフィット機構、又はねじ機構であることが好ましい。前記接合構造による前記保持具と前記振動子装填具の接合位置の調節を可能にするために、2種類以上の高さ調節機構あるいは連続調節機構を有することが好ましい。
【0020】
前記保持具が有する固定板が、下向きに湾曲していることが好ましい。
【0021】
前記保持具が有する固定板の体表側の底面にはクッションが接着していることが好ましい。
【0022】
さらに本発明は、前記振動子装填具と着脱可能であって、前記振動子装填具の上面を覆い、前記振動子装填具に嵌め込まれる超音波振動子の上方を押さえ付ける構造を有する治療時用キャップを備えることを特徴とする超音波振動子装着具である。
【0023】
前記治療時用キャップと前記振動子装填具は、スナップフィット結合によって係合することが好ましい。
【0024】
さらに本発明は、前記保持具と着脱可能であって、前記保持具の上面を覆う非治療時用キャップを備える超音波振動子装着具である。
【0025】
前記非治療時用キャップと前記保持具は、突起と係合部またはスナップフィット結合によって係合することが好ましい。
【0026】
前記振動子装填具、前記保持具、前記治療時用キャップ、及び前記非治療時用キャップは、高分子材料又は金属材料からなることが好ましい。
【0027】
さらに本発明は、超音波振動子の超音波送受波面の外周に環状の突起部を有する超音波送受信装置である。
【0028】
前記突起部は超音波振動子と分離可能であることが好ましい。
【0029】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の超音波振動子装着具又は超音波送受信装置を用いれば、装着具又は体表に生じる超音波伝搬物質の残留を減少又は消失させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の超音波振動子装着具は、超音波振動子を治療などのために体表へ設置したときに、超音波振動子と体表との間に介在させる超音波伝搬物質が超音波振動子の超音波送受波面下からはみ出して、ギプスなどの装着具下に到達する前に溜まるように空間を備えさせるものである。
【0032】
また本発明の超音波振動子装着具は、掃除の簡便さを考慮し、超音波伝播物質が付着しやすい部分が取り外し可能になるよう装着具の構造を分割し、洗浄しやすい構造となっている。
【0033】
これにより、装着具下のクッションへの超音波伝播物質の付着を防ぐ、あるいは残留物を減らすことで、治療中および治療後の患者不快感を低減する。また、洗浄しやすくすることでも、ゲルの拭き残しの解消や減少により、長期間清潔を保ちやすくする。
【0034】
以下に、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。なお、本発明は図示の実施例に限定されるものではない。
【0035】
図1に本発明における超音波振動子装着具の使用時の断面図を示す。本発明の使用態様は、振動子装填具1と呼ばれる筒状の構造体の内部に振動子8を装填し、体表10と超音波振動子8の間に超音波伝搬物質7を介在させて密着させることで超音波照射又は受信を行うものである。本発明は、振動子装填具1の構造に工夫を加えることで、従来の超音波送受信の態様と比べ、ギプス5等の振動子装填具1周囲に存在するものに超音波伝播物質7が付着しにくくなっている。具体的には、振動子装填具1の底面24に作製されるストッパー9が挙げられる。ストッパー9は、振動子8が振動子装填具1から体表10へと通り抜けないようにする。ストッパー9は、振動子装填具1の底面24の中央に、振動子装填具1の側面25の内周より小さい開口部26を設けることによって形成される。ストッパー9の高さにより振動子8と体表10との間に振動子体表間空間11が生まれ、超音波伝搬物質7が振動子8によって体表方向へ圧縮されずにこの振動子体表間空間11に留まる。その結果、ストッパー9と体表10の隙間を抜けて、ギプス5の方向へはみ出す超音波伝搬物質7を減らすことができる。
【0036】
ストッパー9は、振動子装填具1の底面24の一部で、振動子装填具1の底面24のほぼ中央に開口部26を有することによって形成される。ストッパー9は、振動子装填具1に装填される振動子8により発生される超音波の体内への照射又は受信を遮らずに、振動子8を保持することを特徴としている。本実施例においては高さ1mm、半径方向の長さ1.5mmで設計した。なお、本実施例の超音波振動子8は、直径22mmの円筒状構造である。開口部26は、振動子8の超音波送受波面27の一部がストッパー9によって遮られても治療又は検査時に充分量の超音波を受信送信可能と考えられる、有効照射面積である振動子内部の圧電素子面積に相当する範囲の孔となっている。そのため、圧電素子が振動子中央部に設置されている場合は、開口部26は超音波送受波面27の中央部に形成されていることが好ましい。
【0037】
超音波伝播物質7は、超音波ゲル、水及び油等が一般的である。特に医療では超音波ゲルが用いられているが、その使用量は用途によって様々である。本発明においては、ストッパー9にて作製される振動子体表間空間11により、そこに貯留できる超音波伝播物質7の量は決定され、ストッパー9の高さおよび半径方向の長さに依存する。ストッパー9の高さおよび半径方向の長さは、好ましくは高さ0.5mm以上5mm以下、半径方向の長さ0.5mm以上5mm以下であるが、用途に応じた超音波伝播物質7の使用量により作製するストッパー9の寸法を決定すればよく、特に限定されない。使用する超音波伝播物質7の量をXとしたときの、ストッパーの高さh、ストッパーの半径方向の長さa、振動子装填具1の内周半径dとの関係式を示す。
X=h×(d−a)2×π
【0038】
振動子装填具1の側面は、図面では筒状のものを示したが、超音波振動子を保持できれば、どのような形状であってもよい。筒状についても、四角形や五角形などの角筒状であっても、円筒状であってもよく、嵌合させる超音波振動子の周面の形状に合わせた構造にすればよい。
【0039】
また、振動子自体の超音波送受波面側の中央部に窪みあるいは環状の突起部を作製し、ストッパー9と同様の効果、つまり振動子体表間空間11を作製してもよい。突起部は振動子と分離可能であっても一体的に作製されていてもよい。また突起部の環状は、連続していても分断されていてもよい。振動子と分離可能の場合は、例えば振動子の超音波送受波面の外周とほぼ同じ外周を有し、中央に開口部26に相当する孔を設けた環状の着脱可能なシールを貼り付けることでもよい。また、振動子装填具のストッパーも振動子と分離可能な突起部に該当する。
【0040】
本発明の超音波振動子装着具を使用する態様において、超音波の受信又は送信時に、振動子8に塗布した超音波伝搬物質7が、振動子体表間空間11からはみだした場合を図5に示す。超音波伝搬物質7の使用量について、ある程度指定されている場合でも、患者個人の好み、習慣により日々の使用量は異なる。本発明の超音波振動子装着具を使用しない場合は、超音波伝播物質7全量が振動子体表間空間11よりも多ければ、振動子装填具1の治療部側から溢れ、近接するギプス5もしくはクッション4へ付着することになる。
【0041】
本発明の超音波振動子装着具は、超音波伝播物質7のクッション4への付着を防ぐため、振動子装填具1と体表10とクッション4の間に超音波伝搬物質貯留空間12を備えることが好ましい。これにより、超音波伝播物質7がクッション4と体表10との間に入り込むことや、クッション4に付着することを阻止または低減することができ、患者不快感の原因を取り除くことができる。それ以外にも、清潔に保つことができるため、装着具の材料劣化を防止する効果もある。
【0042】
本実施例では、曲率半径2.5mmのカーブ構造15により、260.75mm3の超音波伝播物質貯留空間12を設けた。なお、超音波伝搬物質貯留空間12のために側面にカーブ構造15を用いる場合、その開始点は振動子の超音波送受波面が接する側の直近(図11)でも、振動子の超音波送受波面が接する側からおろした垂線の途中(図12)からでもよい。
【0043】
また、カーブ構造15以外に超音波伝播物質貯留空間12を作製する形態として、直線構造が挙げられる。例えば、垂直方向に対してθ´°(1〜80°)を描く斜め直線を描くもの(図13)、振動子挿入口側から垂直に描き途中より垂直方向に対してθ´°斜め直線(1〜80°)を描くもの(図14)等が挙げられる。斜め直線でカットする構造は、加工が容易な反面、十分な超音波伝播物質貯留空間12を設けるのにカーブ構造を用いる場合よりも振動子装填具1の外径を大きくする必要があり、装着具17の構造そのものを大きくする必要がある。そのため、装着する利便性、重量等を考慮する場合は、カーブ構造がより有効である。
【0044】
カーブ構造又は直線構造は振動子装填具の側面の途中から始まることが好ましく、装填する振動子の超音波受波面により近い箇所から始まることがより好ましい。
【0045】
振動子装填具1の側面の内周面を上記外周面と同様にカーブ構造又は直線構造に加工することにより、振動子を装着したときに振動子体表間空間11を形成することも可能である。
【0046】
また、振動子装填具1ではなく振動子8の超音波送受波面のエッジにカーブ構造、又は斜め直線の直線構造の切り込みを入れて加工しても、同様の効果が得られる。さらに、超音波送受波面側の中央部に環状の突起部を作製した場合は、突起部の外周は、振動子の超音波送受波面の外周より、やや内側に作製することにより、カーブ構造又直線構造と同様の効果が得られる。
【0047】
本発明の振動子装填具の別の態様として、ストッパーを備える底面を有さず、側面の外周面を超音波送受波面側の先端に向かって窄まるカーブ構造又は直線構造を有するものも挙げられる。カーブ構造又は直線構造は上述と同様である。このとき、側面の内周は変化せずに、そのまま垂直に降ろす形状でよい。例として、図15にストッパーを有さない振動子装填具の一部断面図を例示する。
【0048】
これ以外に、形状加工を施さず、振動子装填具1の超音波送受波面側付近に超音波伝播物質吸収材料を備えて、振動子周囲にはみ出した超音波伝播物質を遮るのではなく吸収することにより、体表やクッションへの超音波伝播物質の付着又は残留を防ぐケースが挙げられる。あるいは超音波透過性の材質を用いて、振動子装填具1もしくは、超音波送受波面接触面に開口部を有さない振動子装填具構造体を作製し、ゲル状の超音波伝播物質7を用いずに振動子を装填して超音波の送信又は受信を行うケースも考えられる。これらの態様によっても、超音波伝播物質7がクッション4と体表10の間に入り込むこと以外に、クッション4に付着することを阻止することができ、患者不快感の原因を取り除くことができ、装着具を清潔なまま保つことができる。
【0049】
振動子装填具1は、患部のギプス5装着、非装着問わず使用可能である。湾曲した患部形状に適合するよう、図2に示すように側面25の外周面から放射方向の周囲に平面ないしは湾曲した固定板22を有する形体に加工されてもよい。固定板22を湾曲させる場合は、患部形状と平行に湾曲させることが好ましく、例えば固定板を装着具を設置する体表に向かって下向きに緩やかに湾曲させることが好ましい。この固定板22は、ギプス非装着のときでも振動子装填具1に嵌めこまれた振動子を体表上に固定するために、振動子装填具1を体表に固定するものであり、この固定板22はベルトなどで体表上に固定して使用する。
【0050】
また、振動子装填具1は、振動子装填具1よりも大きい保持具2と接合して使用する方法もある。この場合、保持具2と振動子装填具1の接合は着脱可能であり、治療終了後、振動子装填具1および装着された振動子8のみを保持具2から取り外し、水洗いをすることが可能である。
【0051】
図10に保持具2と振動子装填具1を組み合わせた装着具17を示す。図10に示す本発明の装着具17は振動子を嵌め込む振動子装填具1、振動子装填具1を嵌め込む保持具2、振動子装填具1と体表10の間にはさむクッション4より構成される。
【0052】
図7は、実施例における振動子装填具1を振動子8挿入側から見た斜視図である。図8は実施例における振動子装填具1を振動子の超音波照射面側から見た斜視図である。振動子装填具1を保持具2と連結して使用する場合、振動子装填具1は接合構造として保持具2に嵌め込めるための突起部分13を有する。振動子装填具1と保持具2を連結させるための接合方法は、片方に突起部を設け、もう片方にその突起部がちょうど嵌るようなくぼみを有する係合部構造を設ける他、保持具2内壁と振動子装填具1外壁にネジ山の切り込み構造を設けて互いに嵌りあうねじ機構、スナップフィットを用いるスナップフィット機構などが挙げられる。スナップフィット機構とは、部材の弾性を利用した接合であり、例えばフック状の留め具および留め具が引っかかるよう設計されている締結部により接合する機構である。本実施例では振動子装填具1に突起部として突起部分13を設けた。連結方法の選定には、作製が容易、保持が確実、高さ調節が可能、着脱が容易といった項目を考慮する必要があるが、突起部による接続とスナップフィットはこれら全項目を最も充足する方法と考えられる。なお、非治療時用キャップ18は、保持具2に設けられた振動子装填具1との連結部と結合するものとする。
【0053】
図4は、装着具17をギプス5固定骨折部位に用い、治療又は検査を行う形態を示す。保持具2に係合する振動子装填具1の内部に振動子8が嵌めこまれ、振動子8の上部は治療用キャップ3によって押さえつけられている。治療用キャップ3の押し付けによって、治療又は検査時の振動子8は固定される。図4には治療用キャップ3が振動子装填具2と係合する態様が示されているが、振動子8を固定できれば、治療用キャップ3は保持具1と係合するものであってもよい。保持具2と体表10との間にはクッション4が介在する。装着具17は、ギプス5によって保持具2が固定されないケースにおいても使用可能であり、ギプス5を用いない場合はベルト等により装着具17の保持具の固定板を治療部位に固定して用いることが可能である。
【0054】
図3に本発明の装着具17を非治療時にギプス固定骨折部位に装着した断面図を示す。非治療時は振動子を装着しない状態となる。振動子装填具1および治療時用キャップ3を用いず、非治療時用キャップ18を保持具2の上部を覆うことで患部を保護する。
【0055】
ギプス5固定部位に本発明の装着具17を用いる場合、ギプス5にクッション4の大きさに適する孔(本実施例では6×5.5cmを設定)を開け、クッション4と振動子装填具1の装着された保持具2を孔に挿入し、非治療時用キャップ18を装着し、ギプス5と共に包帯6で縛る。結果的に包帯等で装着具17をギプスと共に縛ることにより、治療を行わない日常生活中も保持具2を装着したままの状態となるが、これにより毎日の治療時に広範囲の患部を露出して固定具および装着具を装着する煩わしさを解消することができる。非治療時用キャップ18は、水洗による劣化が少なく比較的軽い、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子材料もしくはアルミニウム、ステンレスなどの金属材料で作製されることが好ましい。
【0056】
振動子装填具1が保持具2から容易に取り外し可能であることにより、振動子装填具1の洗浄が可能となり、保持具2およびクッション4についても綿棒等で容易に清掃可能となる。図6に、超音波治療又は検査後に保持具2から振動子装填具1を取り出したときの状態図を示す。装着具が取り外し機構を備えない場合、体表に残った超音波伝搬物質7、クッション4と皮膚の間に入り込んだ超音波伝搬物質及びクッションに付着した超音波伝搬物質等の除去が困難となる。また、毎治療後にクッションの洗浄が行えた場合には、クッション材料の劣化が予想され、短期間のうち交換せざるを得なくなる可能性が考えられる。本発明の振動子装着具を用いることで、簡単に振動子装填具1の洗浄が行え、清潔な状態に容易に保つことができる。また、クッション4の長期利用が可能となり、経済的にも有効である。
【0057】
振動子装填具1及び保持具2は水洗による劣化が少なく比較的軽い、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子材料もしくはアルミニウムなどの金属材料で、クッション4はウレタン、スポンジ、フェルト等のやわらかい素材で作製されることが好ましい。本実施例では、振動子装填具1と保持具2にポリカーボネートを、クッション4にはポリプロピレン、エチレンプロピレン、又はクロロプレンを用いた。クッション4は、厚さ1〜20mmの直方体で中央部に振動子装填具1が挿入可能な孔を有する。しかし孔の切り込みはクッション表面に対し、垂直であっても、垂直から1〜80°の範囲で傾けて作製しても、カーブを描いても良いものとする。垂直でなく、底面に向かって広げる角度やカーブでの切り込みによっても、振動子又は振動子装填具とクッションとの間に超音波伝搬物質貯留空間を備えることができる。また、保持具2の固定板を湾曲して作製する場合、スポンジ4もそれに適合するよう湾曲して作製しても良い。
【0058】
図9は、図7及び図8に示す振動子装填具に接合する保持具2の図である。保持具は、振動子装填具の側面の外周面を囲む筒状の装填具嵌合部29及び装填具嵌合部の外周面から放射方向に延びる固定板30を有する。固定板30は治療時又は検査時に超音波振動子を固定するために、固定板30を固定して使用する。係合部16は、図7及び図8に示される振動子装填具1の突起部13がちょうど嵌るためのくぼんだ形状となっており、係合によって両者は固定される。係合部16の位置はギプス5の厚みに応じて振動子装填具1の体表側への突出部が調節できるよう高さ方向に二種類以上設けることが好ましく、本実施例では二種類設けた。ギプスの厚みは各治療ケースにより様々で、係合部16が2種類以上あることにより、複数のケースに対応可能となる。
【0059】
振動子装填具と保持具の係合位置の調節は、上記の高さ方向に2種類の調節機構を有する高さ調節機構の他に、連続調節機構を備えることも可能である。連続調節機構とは、振動子装填具円筒部外周面および保持具の装填具嵌合部内周面にネジ山の切り込み構造を設け、ネジ機構により連続した高さ調節を行う機構、または振動子装填具円筒部外周面および装填具嵌合部内周面に微小突起と微小窪みをそれぞれがお互いに嵌め込まれる位置にて筒軸方向に連続作製し、それらが筒軸方向の移動の際に一定の間隔で噛み合うことで高さ調節を連続的に行う機構である。
【0060】
また、振動子装填具1と治療時用キャップの連結には、片方に突起部を設け、もう片方に接続部構造を設ける他、スナップフィットを用いることが可能である。図7又は8に示す本発明の態様ではスナップフィット構造を用いたため、振動子装填具1にキャップ用接続部分14を設けた。治療時用キャップ3の連結相手を保持具2にする場合も同様に片方に突起部を設け、もう片方に係合部構造を設ける他、スナップフィットを用いることも可能である。
【0061】
保持具2と非治療時用キャップ18を連結する場合の係合に際しても、治療時用キャップと振動子装填具との連結と同様に、突起と係合部又はスナップフィット結合によって係合できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の超音波振動子装着具又は超音波送受信装置は、振動子と体表の間に介在する超音波伝搬物質の治療又は検査後の除去を容易にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図
【図2】本発明の別の実施形態を示す断面図
【図3】非治療時の本発明の装着具の実施形態を示す断面図
【図4】治療時の本発明の装着具の実施形態を示す断面図
【図5】超音波伝播物質が振動子体表間空間からはみ出したときの治療部分断面図
【図6】保持具から振動子装填具を取り出した状態の断面図
【図7】振動子装填具を振動子挿入側から見た斜視図
【図8】振動子装填具を振動子の超音波照射面側から見た斜視図
【図9】保持具の振動子挿入側から見た斜視図
【図10】本発明の装着具の別の実施形態を示す断面図
【図11】振動子装填具外周面にカーブ構造を設けた振動子装填具の一部断面図
【図12】振動子装填具外周面にカーブ構造を設けた別の態様の振動子装填具の一部断面図
【図13】振動子装填具外周面に直線構造を設けた振動子装填具の一部断面図
【図14】振動子装填具外周面に直線構造を設けた別の態様の振動子装填具の一部断面図
【図15】振動子装填具にストッパーを作製せずにカーブ構造又は直線構造を設けた振動子装填具の一部断面図
【図16】特許文献3における装着具および振動子の装着法を表す図
【図17】特許文献3における治療時の脚模式図
【符号の説明】
【0064】
1 振動子装填具
2 保持具
3 治療時用キャップ
4 クッション
5 ギプス
6 包帯
7 超音波伝搬物質
8 振動子
9 ストッパー
10 体表
11 振動子体表間空間
12 超音波伝播物質貯留空間
13 突起部分
14 キャップ用接続部分
15 カーブ構造
16 係合部
17 装着具
18 非治療時用キャップ
19 特許文献3の振動子装着具
20 スペーサ
21 固定構造
22 固定板
23 孔
24 振動子装填具の底面
25 振動子装填具の側面
26 開口部
27 超音波送受波面
28 直線構造
29 装填具嵌合部
30 振動子装填具の固定板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具を有し、前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有する超音波振動子装着具。
【請求項2】
前記振動子装填具の底面は、前記振動子装填具の内部に嵌合させる超音波振動子の超音波送受波面に接し、かつ前記開口部が超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成することを特徴とする請求項1に記載の超音波振動子装着具。
【請求項3】
前記側面の外周面は前記底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有する請求項1又は2に記載の超音波振動子装着具。
【請求項4】
筒状の側面を具備する振動子装填具を有し、前記側面の外周面は前記側面の先端に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有する超音波振動子装着具。
【請求項5】
前記カーブ構造又は直線構造は、前記側面の途中から始まることを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波振動子装着具。
【請求項6】
前記筒状の側面が円筒状の側面であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項7】
前記振動子装填具は、前記側面の外周面から放射方向に固定板を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の超音波振動子装着具、及び前記振動子装填具の内部に嵌合する超音波振動子を有し、
前記超音波振動子の超音波送受波面は前記振動子装填具の底面に接し、前記開口部は超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成する超音波送受信装置。
【請求項9】
前記振動子装填具の外周面を囲む孔を形成する装填具嵌合部を有し、前記装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具を備え、前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項10】
筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具、並びに前記振動子装填具と着脱可能に接合し、かつ前記振動子装填具の側面の外周面を囲む筒状の装填具嵌合部及び装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具とを有し、
前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有し、前記振動子装填具の側面の外周面は底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有し、
前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有する超音波振動子装着具。
【請求項11】
前記振動子装填具と前記保持具の前記接合構造は、突起と係合部、スナップフィット機構、又はねじ機構であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の超音波振動子装着具。
【請求項12】
前記接合構造による前記保持具と前記振動子装填具の接合位置の調節を可能にするために、2種類以上の高さ調節機構あるいは連続調節機構を有する、請求項9〜11のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項13】
前記保持具が有する固定板が、下向きに湾曲していることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項14】
前記保持具が有する固定板の体表側の底面にクッションが接着していることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項15】
前記振動子装填具と着脱可能であって、前記振動子装填具の上面を覆い、前記振動子装填具に嵌め込まれる超音波振動子の上方を押さえ付ける構造を有する治療時用キャップを備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項16】
前記治療時用キャップと前記振動子装填具は、スナップフィット結合によって係合することを特徴とする、請求項15に記載の超音波振動子装着具。
【請求項17】
前記保持具と着脱可能であって、前記保持具の上面を覆う非治療時用キャップを備えることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項18】
前記非治療時用キャップと前記保持具は、突起と係合部またはスナップフィット結合によって係合することを特徴とする請求項17に記載の超音波振動子装着具。
【請求項19】
前記振動子装填具、前記保持具、前記治療時用キャップ、及び前記非治療時用キャップは、高分子材料又は金属材料からなることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項20】
超音波振動子の超音波送受波面の外周に環状の突起部を有する超音波送受信装置。
【請求項21】
前記突起部は超音波振動子と分離可能であることを特徴とする請求項20に記載の超音波送受信装置。
【請求項1】
筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具を有し、前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有する超音波振動子装着具。
【請求項2】
前記振動子装填具の底面は、前記振動子装填具の内部に嵌合させる超音波振動子の超音波送受波面に接し、かつ前記開口部が超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成することを特徴とする請求項1に記載の超音波振動子装着具。
【請求項3】
前記側面の外周面は前記底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有する請求項1又は2に記載の超音波振動子装着具。
【請求項4】
筒状の側面を具備する振動子装填具を有し、前記側面の外周面は前記側面の先端に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有する超音波振動子装着具。
【請求項5】
前記カーブ構造又は直線構造は、前記側面の途中から始まることを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波振動子装着具。
【請求項6】
前記筒状の側面が円筒状の側面であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項7】
前記振動子装填具は、前記側面の外周面から放射方向に固定板を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の超音波振動子装着具、及び前記振動子装填具の内部に嵌合する超音波振動子を有し、
前記超音波振動子の超音波送受波面は前記振動子装填具の底面に接し、前記開口部は超音波振動子の超音波送受波面より面積が小さい孔であることによって、前記底面が振動子の照射方向の脱落を防ぐストッパーを形成する超音波送受信装置。
【請求項9】
前記振動子装填具の外周面を囲む孔を形成する装填具嵌合部を有し、前記装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具を備え、前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項10】
筒状の側面及び底面を具備する振動子装填具、並びに前記振動子装填具と着脱可能に接合し、かつ前記振動子装填具の側面の外周面を囲む筒状の装填具嵌合部及び装填具嵌合部の外周面から放射方向に固定板を有する保持具とを有し、
前記振動子装填具の底面は中央に開口部を有し、前記振動子装填具の側面の外周面は底面に向かって狭まるカーブ構造又は直線構造を有し、
前記保持具と振動子装填具は、前記保持具の孔に前記振動子装填具を嵌め込むことによって着脱可能に接合し、前記振動子装填具と前記保持具は互いに接合するための接合構造をそれぞれ有する超音波振動子装着具。
【請求項11】
前記振動子装填具と前記保持具の前記接合構造は、突起と係合部、スナップフィット機構、又はねじ機構であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の超音波振動子装着具。
【請求項12】
前記接合構造による前記保持具と前記振動子装填具の接合位置の調節を可能にするために、2種類以上の高さ調節機構あるいは連続調節機構を有する、請求項9〜11のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項13】
前記保持具が有する固定板が、下向きに湾曲していることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項14】
前記保持具が有する固定板の体表側の底面にクッションが接着していることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項15】
前記振動子装填具と着脱可能であって、前記振動子装填具の上面を覆い、前記振動子装填具に嵌め込まれる超音波振動子の上方を押さえ付ける構造を有する治療時用キャップを備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項16】
前記治療時用キャップと前記振動子装填具は、スナップフィット結合によって係合することを特徴とする、請求項15に記載の超音波振動子装着具。
【請求項17】
前記保持具と着脱可能であって、前記保持具の上面を覆う非治療時用キャップを備えることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項18】
前記非治療時用キャップと前記保持具は、突起と係合部またはスナップフィット結合によって係合することを特徴とする請求項17に記載の超音波振動子装着具。
【請求項19】
前記振動子装填具、前記保持具、前記治療時用キャップ、及び前記非治療時用キャップは、高分子材料又は金属材料からなることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の超音波振動子装着具。
【請求項20】
超音波振動子の超音波送受波面の外周に環状の突起部を有する超音波送受信装置。
【請求項21】
前記突起部は超音波振動子と分離可能であることを特徴とする請求項20に記載の超音波送受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−183605(P2009−183605A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29054(P2008−29054)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)
【Fターム(参考)】
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