説明

超音波探傷システム、信号処理装置、制御方法、及びプログラム

【課題】被検体の内部を超音波によって探傷すること。
【解決手段】複数の超音波素子と、信号処理装置110とを備え、信号処理装置110は、被検体の内部における定められた探傷位置から各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部113と、各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部115と、出力値採取部115が採取した各超音波素子の出力値を、遅延時間算出部113が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部117と、複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて出力値合成部が各超音波素子の出力値を合成した各結果を、各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部118とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷システム、信号処理装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、被検体の内部を超音波によって探傷する超音波探傷システム、複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置、信号処理装置を制御する方法、並びに信号処理装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探傷技術は、超音波を用いて傷、内部欠陥の有無と材料の劣化等を検査する技術である。一般的に使用されている超音波探傷技術の検出方式は反射法であり、被検体に超音波を入射し、その反射波により傷、内部欠陥を検査する。そして、このような超音波探傷技術は、ステンレス鋼の溶接部や異材継手等の超音波難透過材における傷や内部欠陥の検査へ適用されることが検討されている。
【0003】
しかしながら、超音波難透過材の内部においては、超音波が散乱したり屈折したりし易いことから、欠陥の検出やサイジングは難しい。具体的には、超音波難透過材の内部においては、超音波の曲がりが起こるため、超音波難透過材でなければ送信する超音波の軸が交差するような場合でも軸が交差せず、検出性が低下する。この現象は、ビームを集束させるほど軸が交わる領域が点に近づき発生し易くなる。
【0004】
このような問題に鑑みてなされた技術としては、被検体の溶接部に存在する欠陥を検出する方法及び装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法及び装置は、送受信型マトリックスアレイにより3次元スキャンする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−178186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の超音波探傷方法及び装置は、送信か受信、あるいは両方の集束点を3次元にスキャンすることによって、いずれかの位置において送信と受信のビーム軸を交差することができる。しかしながら、特許文献1に記載の超音波探傷方法及び装置は、複数の屈折角や首振り角によって超音波をスキャンするため、プローブを走査しながら探傷する場合等、データの取り込みがついていかず、プローブ操作が非常にゆっくりとなってしまう。例えば、特許文献1に記載の超音波探傷方法及び装置は、1つの送信波に対して複数の受信信号を得る場合、9回の送受信を繰り返さなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、被検体の内部を超音波によって探傷する超音波探傷システムであって、複数の超音波素子と、当該各超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置とを備え、信号処理装置は、被検体の内部における定められた探傷位置から各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部と、各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部と、出力値採取部が採取した各超音波素子の出力値を、遅延時間算出部が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部と、複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて出力値合成部が各超音波素子の出力値を合成した各結果を、各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部とを有する。
【0008】
信号処理装置は、被検体の内部における複数の探傷位置を定める旨の設定を受け付ける探傷位置設定受付部を更に有し、遅延時間算出部は、探傷位置設定受付部が受け付けた設定によって定められた各探傷位置に基づいて遅延時間を算出してよい。
【0009】
信号処理装置は、探傷位置設定受付部が受け付けた設定によって示される各探傷位置を示す情報と、当該各探傷位置に基づいて遅延時間算出部が算出した各超音波素子に対応する相対的な遅延時間を示す情報とを対応付けて格納する遅延時間情報格納部を更に有し、出力値合成部は、出力値採取部が採取した各超音波素子の出力値を、遅延時間情報格納部が格納している各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成してよい。
【0010】
出力値採取部は、各超音波素子が超音波を受信したことを示す出力信号の有無に拘らず、当該各超音波素子の出力値を経時的に採取してよい。
【0011】
信号処理装置は、出力値採取部が採取した各超音波素子の出力値を経時的に保存する出力値記憶部を更に有し、出力値合成部は、出力値記憶部が記憶している各超音波素子の出力値を合成してよい。
【0012】
信号処理装置は、探傷位置設定受付部が受け付けた設定によって示される複数の探傷位置のいずれかの位置、又はその近傍の位置に、送信する超音波が集束するよう各超音波素子の動作を制御する超音波素子制御部を更に有してよい。
【0013】
本発明の第2の形態によると、複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置であって、被検体の内部における定められた探傷位置から各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部と、各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部と、出力値採取部が採取した各超音波素子の出力値を、遅延時間算出部が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部と、複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて出力値合成部が各超音波素子の出力値を合成した各結果を、各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部とを備える。
【0014】
本発明の第3の形態によると、複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置を制御する制御方法であって、被検体の内部における定められた探傷位置から各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出段階と、各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取段階と、出力値採取段階において採取された各超音波素子の出力値を、遅延時間算出段階において算出された当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成段階と、複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて遅延時間算出段階において遅延時間が算出され、当該遅延時間に基づいて出力値合成段階において各超音波素子の出力値が合成された各結果を、各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力段階とを備える。
【0015】
本発明の第4の形態によると、複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置用のプログラムであって、信号処理装置を、被検体の内部における定められた探傷位置から各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部、各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部、出力値採取部が採取した各超音波素子の出力値を、遅延時間算出部が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部、複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて出力値合成部が各超音波素子の出力値を合成した各結果を、各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部として機能させる。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、所望の複数の探傷位置を擬似的に設定し、複数の超音波素子の出力値を経時的に採取した後に、設定した各探傷位置に受信側の焦点が合うようにして各超音波素子の出力値を合成するようにしたので、各探傷位置に対して超音波の送受信を繰り返す方法に比べ、探傷処理を高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る超音波探傷システム100の利用環境の一例を示す図である。
【図2】信号処理装置110のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】信号処理装置110の動作フローの一例を示す図である。
【図4】遅延時間情報格納部111が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図5】信号処理装置110のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、一実施形態に係る超音波探傷システム100の利用環境の一例を示す。超音波探傷システム100は、信号処理装置110、及びフェーズドアレイ探傷ユニット120を備える。フェーズドアレイ探傷ユニット120は、複数の圧電素子121a、b、c、・・・(以下、圧電素子121と総称する。)を有する。信号処理装置110は、情報を入力するためのボタンやノブ等の入力手段130と、情報を出力するためのディスプレイ等の出力手段140とを有する。なお、圧電素子121は、この発明における超音波素子の一例であってよい。
【0021】
フェーズドアレイ探傷ユニット120の圧電素子121の振動面は、ステンレス鋼210とステンレス鋼220との溶接箇所230の付近の表面に接触している。また、フェーズドアレイ探傷ユニット120は、信号処理装置110との間において信号を入出力することができるよう電気的に接続されている。そして、圧電素子121は、信号処理装置110からの制御信号を受けて駆動する。また、圧電素子121は、その振動面に超音波を受けると信号を出力する。圧電素子121が出力した信号は、信号処理装置110に入力される。
【0022】
このような超音波探傷システム100において、信号処理装置110は、予め、所望の複数の探傷位置の設定を受け付けている。この所望の複数の探傷位置とは、溶接箇所230の内部において実際に探傷すべきポイントとなる位置を指す。例えば、各探傷位置は、溶接箇所230の表面の所定の位置を起点として、水平方向にそれぞれ直交するX軸及びY軸と、これらX軸及びY軸と鉛直方向に直交するZ軸を設定し、これらX軸、Y軸、及びZ軸を系とする座標によって示すことができる。
【0023】
そして、信号処理装置110は、これら各探傷位置の設定に基づいて、フェーズドアレイ探傷ユニット120の複数の圧電素子121のうち、受信素子として利用される各圧電素子121における超音波を受信する際に生じる遅延時間を算出する。具体的には、信号処理装置110は、設定された探傷位置から各圧電素子121までの相対的な距離の差に基づいて、その探傷位置において反射する超音波が各圧電素子121に到達する相対的な遅延時間を算出する。例えば、設定された探傷位置から最も近い距離にある圧電素子121が圧電素子121aであるとすると、圧電素子121aは、その探傷位置において反射した超音波を最初に受信することになる。したがって、圧電素子121aにおける遅延時間は、零となる。そして、その他の圧電素子121b、c、d、・・・における遅延時間は、圧電素子121aが超音波を受信するまでの時間を基準とする相対的な遅延時間となる。各圧電素子121における相対的な遅延時間は、設定された探傷位置から各圧電素子121までの相対的な距離に比例する。なお、信号処理装置110は、設定された各探傷位置のそれぞれの場合について、各圧電素子121における遅延時間を算出する。
【0024】
そして、信号処理装置110は、超音波探傷を行うにあたり、圧電素子121を駆動させるための制御信号をフェーズドアレイ探傷ユニット120に出力する。信号処理装置110が出力する制御信号は、フェーズドアレイ探傷ユニット120の2つ以上の圧電素子121をそれぞれ所定の遅延時間をおいて駆動させる信号である。この所定の遅延時間は、送信する超音波を集束させる位置に応じて決定される。この送信する超音波を集束させる位置は、予め設定されている複数の探傷位置のいずれかの位置、又は各探傷位置の近傍の位置となる。
【0025】
各圧電素子121は、このような制御信号の入力を受け付けると、所定の遅延時間をおいてそれぞれ駆動する。このように各圧電素子121が所定の遅延時間をおいて駆動することによって、超音波は、設定された所望の位置に集束するように送信される。しかしながら、ステンレス鋼210とステンレス鋼220との溶接箇所230は、超音波難透過材である。そのため、送信された超音波は、設定された所望の位置とはズレた位置に集束することになる。
【0026】
このようにして各圧電素子121を駆動することによって超音波が送信されると、信号処理装置110は、2つ以上の圧電素子121の出力のサンプリングを開始する。信号処理装置110によって出力がサンプリングされる対象の圧電素子121は、送信された超音波の反射波を受信し得る状態であるものとする。また、信号処理装置110による各圧電素子121の出力のサンプリングは、対象の圧電素子121が超音波の反射波を受信することによって出力する信号の有無に拘らず行われる。信号処理装置110は、各圧電素子121の出力のサンプリングを所定時間の間、経時的に行う。
【0027】
そして、信号処理装置110は、所定時間の間、各圧電素子121の出力をサンプリングした後、各圧電素子121の出力値を合成する。具体的には、信号処理装置110は、各圧電素子121から採取した経時的な出力のデータを、予め算出した各圧電素子121における遅延時間分それぞれ補正して合成する。例えば、圧電素子121a、圧電素子121b、及び圧電素子121cにおける相対的な遅延時間がそれぞれ0(μs)、1(μs)、及び2(μs)であるとすると、信号処理装置110は、各圧電素子121の出力の採取を開始してからt(μs)後に採取した圧電素子121aの出力値と、t+1(μs)後に採取した圧電素子121bの出力値と、t+2(μs)後に採取した圧電素子121cの出力値を合成する。そして、信号処理装置110は、合成した結果を示す情報を出力手段140に出力する。
【0028】
なお、信号処理装置110は、設定された各探傷位置それぞれの場合について算出した各圧電素子121の遅延時間に基づいて、各圧電素子121の出力を合成し、その結果を出力手段140に出力する。ユーザは、出力手段140に出力される情報を確認することによって、設定した各探傷位置における欠陥の有無を判断することができる。例えば、出力手段140に出力される情報によって示される各出力値の合成結果が超音波の反射波に特有の値を示している場合、ユーザは、その合成に適用された遅延時間を算出する基準となった探傷位置に欠陥があると判断することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、説明が煩雑になることを防ぐ目的として、超音波探傷システム100が一のフェーズドアレイ探傷ユニット120を備える構成について説明したが、超音波探傷システム100は複数のフェーズドアレイ探傷ユニット120を備えてよい。
【0030】
図2は、信号処理装置110のブロック構成の一例を示す。信号処理装置110は、遅延時間情報格納部111、探傷位置設定受付部112、遅延時間算出部113、超音波素子制御部114、出力値採取部115、出力値記憶部116、出力値合成部117、及び探傷結果出力部118を有する。以下に、各構成要素の機能及び動作を説明する。
【0031】
遅延時間情報格納部111は、探傷位置を示す情報と、その探傷位置において反射する超音波を各圧電素子121が受信するのに生じる相対的な遅延時間を示す情報を対応付けて格納している。
【0032】
探傷位置設定受付部112は、超音波によって探傷すべき溶接箇所230の内部における所望の複数の位置の設定を受け付ける。具体的には、探傷位置設定受付部112は、探傷すべき位置の設定を示すデータの入力を入力手段130から受け付ける。そして、探傷位置設定受付部112は、入力を受け付けたデータを遅延時間算出部113、及び超音波素子制御部114に送る。
【0033】
遅延時間算出部113は、溶接箇所230の内部における所定の位置から超音波が反射するときに、複数の各圧電素子121がその反射波を受信するまでに生じる相対的な遅延時間を算出する。具体的には、遅延時間算出部113は、超音波によって探傷すべき溶接箇所230の内部における所望の複数の位置の設定を示すデータを探傷位置設定受付部112から受け取る。そして、遅延時間算出部113は、受け取ったデータに基づいて、各探傷位置それぞれについて、各圧電素子121における遅延時間を算出する。そして、遅延時間算出部113は、各探傷位置それぞれについて算出した各圧電素子121に対応する相対的な遅延時間を示す情報を遅延時間情報格納部111に格納する。
【0034】
超音波素子制御部114は、送信する超音波が集束するよう、超音波の送信のために用いられる複数の圧電素子121を個別に制御する。具体的には、超音波素子制御部114は、超音波によって探傷すべき溶接箇所230の内部における所望の複数の位置の設定を示すデータを探傷位置設定受付部112から受け取る。そして、超音波素子制御部114は、受け取ったデータに基づいて、各探傷位置のいずれかの位置、又は各探傷位置の近傍の位置を、送信する超音波を集束させる位置として決定する。そして、超音波素子制御部114は、決定した位置に送信する超音波が集束されるように、各圧電素子121を所定の遅延時間を置いて駆動するよう制御するための制御信号をフェーズドアレイ探傷ユニット120に出力する。
【0035】
出力値採取部115は、超音波を受信するために用いられる複数の圧電素子121の出力値をサンプリングする。具体的には、出力値採取部115は、各圧電素子121が超音波を受信したことによる出力信号の出力の有無に拘らず、その出力値を経時的にサンプリングする。そして、出力値採取部採取部115は、所定時間の間、経時的にサンプリングした出力値を、一時的に出力値記憶部116に保存する。このように、出力値記憶部116は、バッファとして機能する。
【0036】
出力値合成部117は、超音波を受信するために用いられた複数の圧電素子121の出力値を合成する。具体的には、出力値合成部117は、遅延時間情報格納部111が格納している情報に基づいて、出力値記憶部116が保存している各圧電素子121の出力値を合成する。そして、出力値合成部117は、合成した結果を示すデータを探傷結果出力部118に送る。
【0037】
探傷結果出力部118は、設定されている各探傷位置における探傷結果を出力する。具体的には、探傷結果出力部118は、各圧電素子121の出力値の合成結果を示すデータを出力値117から受け取る。そして、探傷結果出力部118は、受け取ったデータを探傷結果として出力手段140に出力する。
【0038】
図3は、信号処理装置110の動作フローの一例を示す。超音波探傷システム100により溶接箇所230の内部の超音波探傷を行うにあたり、ユーザは、予め、溶接箇所230の内部における所望の複数の探傷位置の設定を、入力手段130を利用して入力しておく。入力手段130を介して溶接箇所230の内部における所望の複数の探傷位置の設定の入力がなされると、信号処理装置110の探傷位置設定受付部112は、その設定の入力を受け付ける。探傷位置設定受付部112が複数の探傷位置の設定を受け付けると、信号処理装置110の遅延時間算出部113は、各探傷位置から各圧電素子121までに超音波が到達するまでに生じる相対的な遅延時間をそれぞれ算出する。そして、遅延時間算出部113は、算出した各圧電素子に対応する相対的な遅延時間を示す情報を、各探傷位置の座標を示す情報とそれぞれ対応付けて格納する。
【0039】
まず、信号処理装置110の超音波素子制御部114は、超音波を送信するのに用いられる各圧電素子121を制御する(S101)。具体的には、超音波素子制御部114は、設定された各探傷位置のいずれかの位置、又は各探傷位置の近傍の位置に超音波が集束するよう、各圧電素子121がそれぞれ遅延時間を置いて駆動するように制御する。このようにして、超音波は、溶接箇所230の内部におけるある一点に集束するように送信される。しかしながら、実際には、溶接箇所230が超音波難透過材であるため、送信された超音波は、散乱したり屈折したりして、想定していた位置よりもズレた位置に集束することになる。
【0040】
そして、信号処理装置110の出力値採取部115は、超音波を受信するのに用いられる各圧電素子121の出力値のサンプリングを開始する(S102)。具体的には、各圧電素子121は、超音波を受信することによって信号を出力する。出力値採取部115は、この信号の出力の有無に拘らず、各圧電素子121の出力値をサンプリングして、経時的に出力値記憶部116に保存する。
【0041】
そして、信号処理装置110の出力値合成部117は、出力値記憶部116が保存している各圧電素子121の出力値を合成する(S103)。具体的には、出力値合成部117は、遅延時間情報格納部111が格納している各探傷位置を示す情報のうち、一の探傷位置を示す情報を特定する。そして、出力値合成部117は、その特定した探傷位置を示す情報に対応付けられている各圧電素子121に対応する相対的な遅延時間を示す情報に基づいて、各圧電素子121の出力値を、各々に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する。
【0042】
そして、信号処理装置110の探傷結果出力部118は、探傷結果を出力する(S104)。具体的には、探傷結果出力部118は、出力値合成部117が合成した結果を示すデータを、その合成の際に特定された情報によって示される探傷位置における探傷結果として出力手段140に出力する。
【0043】
そして、設定された全ての探傷位置について、これら合成及び出力の処理がなされていない場合(S105:No)、出力値合成部117は、まだ合成処理を行っていない探傷位置における処理を行う。そして、探傷結果出力部118は、出力値合成部117が合成処理を行う度に、その合成結果を出力する。そして、設定された全ての探傷位置について、これら合成及び出力の処理が行われた場合(S105:Yes)、信号処理装置110は、設定された全ての探傷位置における超音波探傷処理を終了する。
【0044】
図4は、遅延時間情報格納部111が格納している情報の一例をテーブル形式で示す。遅延時間情報格納部111は、探傷位置のX軸座標、探傷位置のY軸座標、探傷位置のZ軸座標、圧電素子121aの遅延時間、圧電素子121bの遅延時間、圧電素子121cの遅延時間、圧電素子121dの遅延時間、及び圧電素子121eの遅延時間を対応付けて格納している。なお、探傷位置のX軸座標、探傷位置のY軸座標、及び探傷位置のZ軸座標は、この発明における探傷位置を示す情報の一例である。また、圧電素子121aの遅延時間、圧電素子121bの遅延時間、圧電素子121cの遅延時間、圧電素子121dの遅延時間、及び圧電素子121eの遅延時間は、この発明における各超音波素子に対応する相対的な遅延時間を示す情報の一例である。
【0045】
探傷位置のX軸座標、探傷位置のY軸座標、及び探傷位置のZ軸座標は、それぞれ、探傷位置設定受付部112が受け付けた設定における探傷位置のX軸座標、Y軸座標、及びZ軸座標を示す値であってよい。なお、これら3軸の座標の値は、探傷位置毎にそれぞれ異なる値であってよいし、3軸の値うち、1つ又は2つの軸の値が同じ値であってもよい。
【0046】
圧電素子121aの遅延時間、圧電素子121bの遅延時間、圧電素子121cの遅延時間、圧電素子121dの遅延時間、及び圧電素子121eの遅延時間は、これら圧電素子121a〜eのうち、一の探傷位置において反射された超音波を最初に受信する圧電素子121の遅延時間を零とする相対的な遅延時間を示す値であってよい。なお、各圧電素子121の遅延時間は、それぞれ異なる値であってよいし、同じ値があってもよい。
【0047】
出力値合成部117は、遅延時間情報格納部111が格納しているこれら情報に基づいて、出力値記憶部116が保存している各圧電素子121の出力値を合成する。例えば、(X軸座標、Y軸座標、Z軸座標)が「(0、0、0.33)」の探傷位置の場合、この探傷位置において超音波が反射するときの各圧電素子121a〜eにおける相対的な遅延時間は、それぞれ「2(μs)」、「1(μs)」、「0(μs)」、「1(μs)」、「2(μs)」となる。したがって、出力値合成部117は、出力値記憶部116が保存している各圧電素子121の出力値を合成するにあたり、圧電素子121aの出力値を「2(μs)」、圧電素子121bの出力値を「1(μs)」、圧電素子121cの出力値を「0(μs)」、圧電素子121dの出力値を「1(μs)」、圧電素子121eの出力値を「2(μs)」、それぞれ補正して合成する。そして、探傷結果出力部118は、この合成した結果を(X軸座標、Y軸座標、Z軸座標)が「(0、0、0.33)」の探傷位置における探傷結果として出力する。また、この例の場合、出力値合成部117、及び探傷結果出力部118は、同様の処理を、(X軸座標、Y軸座標、Z軸座標)が「(0、0、0.33)」の探傷位置、(X軸座標、Y軸座標、Z軸座標)が「(0、0、0.33)」の探傷位置について繰り返す。
【0048】
以上説明したように、超音波探傷システム100においては、溶接箇所230の内部における所望の複数の探傷位置の設定を受け付ける。そして、超音波探傷システム100においては、その各探傷位置のいずれかの位置、又は各探傷位置の近傍の位置に集束するよう超音波を送信する。そして、超音波探傷システム100においては、複数の圧電素子121の出力値を、出力信号の有無に拘らずサンプリングする。そして、超音波探傷システム100においては、サンプリングした複数の圧電素子121の出力値を合成するにあたり、設定された各探傷位置のそれぞれについて、その位置から超音波が反射したときに各圧電素子121がその反射波を受信する相対的な遅延時間によって各出力値を補正してから合成する。このようにして、超音波探傷システム100においては、超音波の送受信を一度しか行わないにも拘らず、仮に設定した複数の探傷位置についての探傷結果を得ることができる。すなわち、超音波探傷システム100においては、超音波の複数回の送受信ではなく、演算によって複数の探傷位置における探傷結果を得ることができるので、超音波の送受信を複数回行う方法と比較して、非常に高速な超音波探傷処理を行うことが可能となる。
【0049】
図5は、信号処理装置110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。信号処理装置110は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ901により相互に接続されるCPU902、RAM(Random Access Memory)903、グラフィック・コントローラ904、及び表示装置905を有する。入出力部は、入出力コントローラ906によりホスト・コントローラ901に接続される通信インターフェイス907、ハードディスクドライブ908、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ909を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ906に接続されるROM(Read Only Memory)910、フレキシブルディスク・ドライブ911、及び入出力チップ912を有する。
【0050】
ホスト・コントローラ901は、RAM903と、高い転送レートでRAM903をアクセスするCPU902、及びグラフィック・コントローラ904とを接続する。CPU902は、ROM910、及びRAM903に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ904は、CPU902等がRAM903内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置905上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ904は、CPU902等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0051】
入出力コントローラ906は、ホスト・コントローラ901と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ908、通信インターフェイス907、CD−ROMドライブ909を接続する。ハードディスクドライブ908は、CPU902が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス907は、ネットワーク通信装置991に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ909は、CD−ROM992からプログラムまたはデータを読み取り、RAM903を介してハードディスクドライブ908、及び通信インターフェイス907に提供する。
【0052】
入出力コントローラ906には、ROM910と、フレキシブルディスク・ドライブ911、及び入出力チップ912の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM910は、信号処理装置110が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは信号処理装置110のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ911は、フレキシブルディスク993からプログラムまたはデータを読み取り、RAM903を介してハードディスクドライブ908、及び通信インターフェイス907に提供する。入出力チップ912は、フレキシブルディスク・ドライブ911、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0053】
CPU902が実行するプログラムは、フレキシブルディスク993、CD−ROM992、またはIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ908にインストールされ、RAM903に読み出されてCPU902により実行される。CPU902により実行されるプログラムは、信号処理装置110を、図1から図4に関連して説明した遅延時間情報格納部111、探傷位置設定受付部112、遅延時間算出部113、超音波素子制御部114、出力値採取部115、出力値記憶部116、出力値合成部117、及び探傷結果出力部118として機能させる。
【0054】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク993、CD−ROM992の他に、DVD(Digital Versatile Disk)またはPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして提供してもよい。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
100 超音波探傷システム
110 信号処理装置
111 遅延時間情報格納部
112 探傷位置設定受付部
113 遅延時間算出部
114 超音波素子制御部
115 出力値採取部
116 出力値記憶部
117 出力値合成部
118 探傷結果出力部
120 フェーズドアレイ探傷ユニット
121 圧電素子
130 入力手段
140 出力手段
210 ステンレス鋼
220 ステンレス鋼
230 溶接箇所
901 ホスト・コントローラ
902 CPU
903 RAM
904 グラフィック・コントローラ
905 表示装置
906 入出力コントローラ
907 通信インターフェイス
908 ハードディスクドライブ
909 CD−ROMドライブ
910 ROM
911 フレキシブルディスク・ドライブ
912 入出力チップ
991 ネットワーク通信装置
992 CD−ROM
993 フレキシブルディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部を超音波によって探傷する超音波探傷システムであって、
複数の超音波素子と、当該各超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置とを備え、
前記信号処理装置は、
前記被検体の内部における定められた探傷位置から前記各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が前記各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部と、
前記各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部と、
前記出力値採取部が採取した前記各超音波素子の出力値を、前記遅延時間算出部が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部と、
複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて前記遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて前記出力値合成部が前記各超音波素子の出力値を合成した各結果を、前記各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部と
を有する超音波探傷システム。
【請求項2】
前記信号処理装置は、
前記被検体の内部における複数の探傷位置を定める旨の設定を受け付ける探傷位置設定受付部
を更に有し、
前記遅延時間算出部は、前記探傷位置設定受付部が受け付けた設定によって定められた各探傷位置に基づいて遅延時間を算出する
請求項1に記載の超音波探傷システム。
【請求項3】
前記信号処理装置は、
前記探傷位置設定受付部が受け付けた設定によって示される各探傷位置を示す情報と、当該各探傷位置に基づいて前記遅延時間算出部が算出した前記各超音波素子に対応する相対的な遅延時間を示す情報とを対応付けて格納する遅延時間情報格納部
を更に有し、
前記出力値合成部は、前記出力値採取部が採取した前記各超音波素子の出力値を、前記遅延時間情報格納部が格納している前記各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する
請求項2に記載の超音波探傷システム。
【請求項4】
前記出力値採取部は、前記各超音波素子が超音波を受信したことを示す出力信号の有無に拘らず、当該各超音波素子の出力値を経時的に採取する
請求項1乃至3のいずれかに記載の超音波探傷システム。
【請求項5】
前記信号処理装置は、
前記出力値採取部が採取した前記各超音波素子の出力値を経時的に保存する出力値記憶部
を更に有し、
前記出力値合成部は、前記出力値記憶部が記憶している前記各超音波素子の出力値を合成する
請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波探傷システム。
【請求項6】
前記信号処理装置は、
前記探傷位置設定受付部が受け付けた設定によって示される複数の探傷位置のいずれかの位置、又はその近傍の位置に、送信する超音波が集束するよう前記各超音波素子の動作を制御する超音波素子制御部
を更に有する
請求項2乃至5のいずれかに記載の超音波探傷システム。
【請求項7】
複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置であって、
前記被検体の内部における定められた探傷位置から前記各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が前記各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部と、
前記各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部と、
前記出力値採取部が採取した前記各超音波素子の出力値を、前記遅延時間算出部が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部と、
複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて前記遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて前記出力値合成部が前記各超音波素子の出力値を合成した各結果を、前記各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部と
を備える信号処理装置。
【請求項8】
複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置を制御する制御方法であって、
前記被検体の内部における定められた探傷位置から前記各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が前記各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出段階と、
前記各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取段階と、
前記出力値採取段階において採取された前記各超音波素子の出力値を、前記遅延時間算出段階において算出された当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成段階と、
複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて前記遅延時間算出段階において遅延時間が算出され、当該遅延時間に基づいて前記出力値合成段階において前記各超音波素子の出力値が合成された各結果を、前記各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力段階と
を備える制御方法。
【請求項9】
複数の超音波素子に入力する信号、又は当該各超音波素子から出力される信号を処理する信号処理装置用のプログラムであって、前記信号処理装置を、
前記被検体の内部における定められた探傷位置から前記各超音波素子までの相対的な距離の差に基づいて、当該探傷位置において反射する超音波が前記各超音波素子に到達する相対的な遅延時間を算出する遅延時間算出部、
前記各超音波素子の出力値を経時的に採取する出力値採取部、
前記出力値採取部が採取した前記各超音波素子の出力値を、前記遅延時間算出部が算出した当該各超音波素子に対応する相対的な遅延時間分補正して合成する出力値合成部、
複数の探傷位置が定められた場合に、各探傷位置に基づいて前記遅延時間算出部が遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて前記出力値合成部が前記各超音波素子の出力値を合成した各結果を、前記各探傷位置における探傷結果として出力する探傷結果出力部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112395(P2011−112395A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266665(P2009−266665)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】