説明

超音波検査装置

【課題】検査対象物に対する超音波の送受信を繰り返して行い、受信が繰り返して行われた超音波信号を平均化する場合に、より少ない平均化回数で、受信される超音波信号に重畳する残響の影響を低減する。
【解決手段】繰り返し間隔設定部41は、超音波送信装置10による超音波の送信を繰り返す毎に、繰り返し時間間隔Tを一定のトリガシフト量αずつ増加または減少させる。超音波の角周波数をω、平均化処理部43による平均化回数をNとし、m,nを1以上の整数とすると、トリガシフト量αは、検査対象超音波よりもm回前の超音波による残響成分の、平均化処理部43による平均化前後での比の絶対値を表す残響重畳指標Emが最小となるように、α×ω/(2×π)=n/(m×N)を満たす値に決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の送受信により検査対象物の検査を行う超音波検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波の送受信により検査対象物の検査を行う場合に、超音波の送受信を繰り返して行い、受信が繰り返して行われた超音波信号を平均化することで、受信した超音波信号のノイズの低減が可能となる。ただし、検査対象物の検査に要する時間を短縮するために、超音波の送信の繰り返し時間間隔を短縮すると、検査対象物では、前に送信された超音波による残響がまだ残っている状態で次の超音波が送信されるため、受信される超音波信号には、前に送信された超音波による残響成分が重畳する結果となる。
【0003】
下記特許文献1〜3の超音波流量測定装置では、超音波の送受信を繰り返して行う場合に、受信される超音波信号に重畳する残響の影響を低減するために、超音波の送信の繰り返し時間間隔を変動させている。特許文献1では、送信パルスのタイミングを決定する送信指令パルスを遅延回路を介して送信回路に供給し、且つ遅延回路の遅延量を時間的に変動させている。特許文献2では、超音波の送信信号を遅延回路を介して超音波送信回路に供給し、さらに、遅延回路の遅延時間を変動させて送信間隔を変動させるときの測定結果と送信間隔を変動させないときの測定結果から補正係数を求め、送信間隔を変動させないときの測定結果を補正することで流量を測定している。特許文献3では、超音波信号を遅延手段によって遅延させてから繰り返し送信し、さらに、送信する超音波信号の駆動周期をn分割した時間を基準として遅延手段の遅延時間を順次変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−104224号公報
【特許文献2】特開2010−249560号公報
【特許文献3】特開2000−321105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜3のように、超音波の送信の繰り返し時間間隔を変動させる場合に、受信が繰り返して行われた超音波信号の平均化回数が十分大きい条件では、繰り返し時間間隔の変動量をランダムに設定しても、受信される超音波信号に重畳する残響の影響を低減することが可能である。しかし、検査対象物の検査に要する時間を短縮するためには、超音波信号の平均化回数が少ない条件で、残響の影響を低減できることが望ましい。
【0006】
本発明は、検査対象物に対する超音波の送受信を繰り返して行い、受信が繰り返して行われた超音波信号を平均化する場合に、より少ない平均化回数で、受信される超音波信号に重畳する残響の影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る超音波検査装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る超音波検査装置は、検査対象物への超音波の送信を繰り返して行う超音波送信部と、超音波送信部から送信され且つ検査対象物を伝搬した検査対象超音波の受信を繰り返して行う超音波受信部と、超音波送信部による超音波の送信の繰り返し間隔を設定する繰り返し間隔設定部であって、超音波送信部による超音波の送信を繰り返す毎に、該繰り返し間隔を一定のシフト量ずつ増加または減少させる繰り返し間隔設定部と、超音波受信部で受信が繰り返して行われた検査対象超音波を、超音波送信部による超音波の送信開始タイミングを同期させて平均化する平均化処理部と、を備え、前記シフト量は、検査対象超音波に重畳する残響成分の、平均化処理部による平均化前後での比の絶対値を表す指標が最小または所定値以下となる条件を満たす値であることを要旨とする。
【0009】
本発明の一態様では、超音波の角周波数をω、平均化処理部による平均化回数をN、前記シフト量をαとし、mを1以上の整数とすると、検査対象超音波よりもm回前の超音波による残響成分の、平均化処理部による平均化前後での比の絶対値を表す指標Emは、
【数1】

で表されることが好適である。
【0010】
本発明の一態様では、nを1以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=n/(m×N)
を満たす値であることが好適である。
【0011】
本発明の一態様では、平均化回数Nが偶数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=(0.5+j)/m
を満たす値であることが好適である。
【0012】
本発明の一態様では、平均化回数Nが奇数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=(N−1)/(2×m×N)+j/m
またはα×ω/(2×π)=(N+1)/(2×m×N)+j/m
を満たす値であることが好適である。
【0013】
本発明の一態様では、超音波の角周波数をω、平均化処理部による平均化回数をNとし、nを1以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=n/N
を満たす値であることが好適である。
【0014】
本発明の一態様では、平均化回数Nが偶数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=0.5+j
を満たす値であることが好適である。
【0015】
本発明の一態様では、平均化回数Nが奇数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=(N−1)/(2×N)+j
またはα×ω/(2×π)=(N+1)/(2×N)+j
を満たす値であることが好適である。
【0016】
本発明の一態様では、超音波送信部による超音波の送信、及び超音波受信部による検査対象超音波の受信を繰り返して行う前に、超音波送信部が残響解析用超音波を検査対象物へ送信し、超音波受信部が超音波送信部から送信され且つ検査対象物を伝搬した残響解析用超音波を受信し、繰り返し間隔設定部は、超音波受信部で受信された残響解析用超音波に基づいてmの値を決定することが好適である。
【0017】
本発明の一態様では、超音波の角周波数ωを決定する周波数決定部を備え、繰り返し間隔設定部は、周波数決定部で決定された超音波の角周波数ωに基づいて前記シフト量αを決定することが好適である。
【0018】
本発明の一態様では、周波数決定部は、超音波受信部で受信された残響解析用超音波に基づいて超音波の角周波数ωを決定することが好適である。
【0019】
本発明の一態様では、超音波送信部は、検査対象物にレーザ光を照射して超音波を励振することで、検査対象物への超音波の送信を行うことが好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検査対象超音波に重畳する残響成分の、平均化前後での比の絶対値を表す指標が最小または所定値以下となる条件を満たすシフト量ずつ、超音波の送信の繰り返し間隔を増加または減少させることで、より少ない平均化回数で、受信される超音波信号に重畳する残響の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る超音波検査装置の概略構成を示す図である。
【図3】検査対象超音波信号に残響成分が重畳する様子を示す図である。
【図4A】残響指数m及び加算平均回数Nを変化させた場合におけるトリガシフト量αと残響重畳指標Emとの関係の一例を示す図である。
【図4B】残響指数m及び加算平均回数Nを変化させた場合におけるトリガシフト量αと残響重畳指標Emとの関係の一例を示す図である。
【図4C】残響指数m及び加算平均回数Nを変化させた場合におけるトリガシフト量αと残響重畳指標Emとの関係の一例を示す図である。
【図5A】信号収録部による収録波形の全時間表示の一例を示す図である。
【図5B】信号収録部による収録波形の拡大波形の一例を示す図である。
【図6】波形を合成することで得られた残響模擬合成波形の一例を示す図である。
【図7A】トリガシフト量αによる残響低減を行った波形の一例を示す図である。
【図7B】トリガシフト量αによる残響低減を行った波形と元波形との差分波形の一例を示す図である。
【図8】トリガシフト量αと残響重畳指標Eとの関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0023】
図1,2は本発明の実施形態に係る超音波検査装置の概略構成を示す図であり、図1は装置全体の概略構成を示し、図2は制御装置40の機能ブロック図を示す。本実施形態に係る超音波検査装置は、超音波送信装置10と、超音波受信センサ20と、制御装置40と、表示装置36と、を備える。
【0024】
超音波送信装置10は、検査対象物30にレーザ光を照射して超音波を励振するためのレーザ駆動装置12と、レーザ駆動装置12からのレーザ光の進路を変更し予め定めた入射角度で検査対象物30の表面にレーザ光を走査させるためのガルバノスキャナ14と、を含んで構成される。レーザ駆動装置12は、パルスレーザ光を出力する装置であり、例えばYAGレーザ等を用いることができる。ガルバノスキャナ14は、複数の可動反射鏡で構成される光学的装置であり、複数の可動反射鏡の反射方向を変更することで、レーザ駆動装置12から出力されるパルスレーザ光を検査対象物30の表面に予め定めた照射順序の軌跡に従って走査させる機能を有する。パルスレーザ光が検査対象物30の表面に照射されることで、検査対象物30において熱励起またはアブレーションによる超音波振動が発生する。これによって、検査対象物30への超音波の送信を行うことができる。ただし、圧電素子等を用いて検査対象物30への超音波の送信を行うことも可能である。発生した超音波振動は、走査点(レーザ光照射点)から検査対象物30の周辺へ向かって伝搬する。その際に、ガルバノスキャナ14は、レーザ駆動装置12によって超音波振動が与えられる位置(走査点)を検査対象物30に対し2次元的に移動走査する走査装置として機能し、検査対象物30の各走査点毎に超音波が送信される。
【0025】
超音波受信装置として設けられた超音波受信センサ20は、例えば圧電素子等により構成可能であり、超音波送信装置10から検査対象物30の各走査点に送信され且つ検査対象物30中を伝搬した超音波を受信する。超音波送信装置10に圧電素子を用いる場合は、超音波送信装置10と超音波受信センサ20を共用化することも可能である。超音波受信センサ20で受信された超音波信号は、増幅器22で増幅され、さらにADボード24でアナログ信号からディジタル信号に変換されてから制御装置40に入力される。制御装置40は、検査対象物30の検査を行うために、超音波受信センサ20で受信された、各走査点に対応する超音波信号のデータ処理を行う。制御装置40によるデータ処理の結果は、表示装置36に2次元面の画像として表示される。
【0026】
本実施形態において、検査対象物30の検査を行う場合は、超音波送信装置10が、検査対象物30への超音波の送信(レーザ光の照射)を各走査点毎に複数回ずつ繰り返して行い、超音波受信センサ20が、超音波(検査対象超音波とする)の受信を各走査点毎に複数回ずつ繰り返して行う。制御装置40では、繰り返し間隔設定部41が、超音波送信装置10による超音波の送信を繰り返す際の繰り返し時間間隔Tを設定し、繰り返し時間間隔T毎にトリガ信号をADボード24を介してレーザ駆動装置12へ出力する。レーザ駆動装置12は、制御装置40(繰り返し間隔設定部41)からのトリガ信号の入力を受ける毎に、レーザ光の出力を開始することで、検査対象物30への超音波の送信を開始する。これによって、超音波送信装置10による超音波の送信の繰り返し時間間隔Tが制御される。信号収録部42は、超音波受信センサ20で受信が繰り返して行われた、各走査点に対応する検査対象超音波信号を収録する。信号収録部42による検査対象超音波信号の1回あたりの収録時間は、繰り返し間隔設定部41で設定された超音波の送信の繰り返し時間間隔Tに等しい。平均化処理部43は、超音波受信センサ20で受信が繰り返して行われ且つ信号収録部42に収録された検査対象超音波信号を、超音波送信装置10による超音波の送信開始タイミングを同期させて平均化する。平均化の際には、繰り返し間隔設定部41からのトリガ信号を利用して、超音波送信装置10による超音波の送信開始タイミングの同期が行われ、各走査点毎に検査対象超音波信号の加算平均が行われる。
【0027】
振幅検出部44は、平均化処理部43で平均化された、各走査点に対応する検査対象超音波信号の振幅を検出する。画像処理部45は、振幅検出部44で検出された検査対象超音波信号の振幅を、各走査点と対応付けて2次元面に画像化し、その2次元画像を表示装置36に表示させる。検査判定部46は、振幅検出部44で検出された、各走査点に対応する検査対象超音波信号の振幅に基づいて、検査対象物30の検査を行う。例えば検査対象物30に損傷や欠陥が有る場合は、損傷や欠陥が無い場合と比較して、超音波受信センサ20で受信される超音波信号のレベルが変化する。したがって、超音波受信センサ20で受信された、各走査点に対応する検査対象超音波信号の振幅を調べることで、検査対象物30の損傷や欠陥を評価することが可能となる。なお、図1では、検査対象物30の形状が平板状である例を示しているが、様々な形状の物体を検査対象物30とすることが可能である。また、検査対象物30の損傷や欠陥以外の検査を行うことも可能である。
【0028】
検査対象超音波信号の振幅に基づいて検査対象物30の検査を行う場合に、検査対象超音波信号を平均化処理部43で平均化することで、ノイズが低減される。また、検査対象物30の検査に要する時間を短縮するためには、超音波の送信の繰り返し時間間隔Tを短縮することが望ましい。ただし、超音波の送信の繰り返し時間間隔Tを短縮すると、検査対象物30では、前に励振された超音波による残響がまだ残っている状態で次の超音波が励振されるため、超音波受信センサ20で受信される検査対象超音波信号には、前に励振された超音波による残響成分が重畳する結果となる。そこで、本実施形態では、検査対象超音波信号に重畳する残響成分を低減するために、繰り返し間隔設定部41は、超音波送信装置10による超音波の送信を繰り返す毎に、繰り返し時間間隔Tを一定のシフト量αずつ増加または減少させる。
【0029】
検査対象超音波信号に残響成分が重畳する様子を図3に示す。図3において、fl(lは整数)は、十分な時間間隔で取得された残響成分の重畳していない波形を表し、その波形flを収録時間間隔T毎に区切った部分波形をfl,m(mは整数)のように示す。各波形flの左端の太線は、トリガ位置であり、超音波の送信を開始したタイミング(波形flの収録を開始したタイミング)を示している。部分波形fl,mの収録時間間隔Tが十分長い時間間隔であり、直前に受信された波形が十分小さくなっている場合には、現在の波形中に残響成分が重畳することはない。しかし、部分波形fl,mの収録時間間隔Tが短い場合は、以前に励振した超音波による残響成分が重畳した波形として受信される。例えば図3中の検査対象超音波波形f3,0には、1回前に励振した超音波による残響成分f2,1や、もう1回前(2回前)に励振した超音波による残響成分f1,2等が重畳して受信される。すなわち残響成分を含むl番目の受信波形Flは、以下の(1)式のように合成して表すことができる。ここで、mは、検査対象超音波波形fl,0(m=0)よりもm回前に励振した超音波による残響成分(部分波形)fl,mであることを表す指標であり、以下、残響指数とする。また、Nrevは、残響成分を含むl番目の受信波形Flに影響を及ぼす波形の数であり、以下、残響影響回数とする。
【0030】
【数2】

【0031】
超音波送信開始タイミング(波形収録開始タイミング)を同期させて残響成分を含む受信波形Flを加算平均する場合に、繰り返し時間間隔(収録時間間隔)Tが一定である条件では、検査対象超音波波形f0,0,f1,0,f2,0,f3,0,〜だけでなく、残響成分f0,1,f1,1,f2,1,f3,1,〜やf0,2,f1,2,f2,2,f3,2,〜等も同期した信号となる。これに対して繰り返し時間間隔Tを決めるトリガ信号を毎回異なる時間間隔ΔTl(トリガシフト量とする)だけシフトした条件では、検査対象超音波波形f0,0,f1,0,f2,0,f3,0,〜のみ同期が取れており、それ以外の残響成分は非同期信号となる。残響成分を含む受信波形Flの平均化回数N回の加算平均FAVEは以下の(2)式で表され、さらに以下の(3)式に書き換えることができる。
【0032】
【数3】

【0033】
ここで、検査対象超音波波形の加算平均g0は同期して平均化され、その他の残響成分gm(m≧1)は非同期であり加算により低減される。加算平均回数Nが十分大きい場合には、繰り返し時間間隔Tのトリガシフト量ΔTlをランダムに設定することで、残響成分の低減が可能である。しかし、検査対象物30の検査に要する時間を短縮するためには、加算平均回数Nは少ない方が望ましい。
【0034】
図3に示すように、繰り返し時間間隔TをTrep+ΔT0,Trep+ΔT1,Trep+ΔT2,〜(Trepは繰り返し時間間隔の基準値)と変化させて波形収録を行った場合を考える。f0の波形のトリガ位置を基準(t=0)として時間軸において、部分波形f0,1の開始時刻はTrep+ΔT0、部分波形f0,2の開始時刻は2Trep+ΔT0+ΔT1となり、部分波形f0,mの開始時刻は、
【数4】

と表すことができる。同様に、部分波形fl,mの開始時刻tabsl,mは、以下の(4)式で表すことができる。
【0035】
【数5】

【0036】
次に、各波形fl(または部分波形fl,0)の開始時刻を基準とした時間軸において、部分波形fl,mの開始時刻trefl,mは、以下の(5)式で表される。
【0037】
【数6】

【0038】
ここで、l番目の合成受信波形Fl中のm番目の部分波形fl-m,mと0番目の合成受信波形F0中のm番目の部分波形f-m,mとを比較する。繰り返し時間間隔Tが一定である条件では、これらの波形は全く同じであり、各波形flとf-mのトリガ位置基準における収録開始時刻trefl-m,m及びtref-m,mも同じである。しかし、繰り返し時間間隔Tをシフトした条件では、これらの間には、以下の(6)式で表される差が存在している。
【0039】
【数7】

【0040】
ここで、繰り返し時間間隔Tのトリガシフト量ΔTk(kは整数)の増分をランダムな値ではなく、ある一定量αであるとし、
【数8】

とおくと、(6)式の収録開始時刻の差は以下の(8)式で与えられる。
【0041】
【数9】

【0042】
つまり、部分波形fl-m,mは、f-m,mを用いて、以下の(9)式で表すことができる。
【0043】
【数10】

【0044】
ここで、残響成分f-m,mが以下の(10)式で表される調和波である場合を考える。ωはω=2πfで表される超音波の角周波数であり、iは虚数単位である。
【0045】
【数11】

【0046】
(9)式より部分波形fl-m,mは以下の(11)式で表され、(3)式に代入すると、残響成分の加算平均gmは以下の(12)式で表される。
【0047】
【数12】

【0048】
ここで、以下の(13)式の数学公式を用いると、以下の(14)式が得られる。
【0049】
【数13】

【0050】
加算平均後の残響成分gmと加算平均前の残響成分f-m,mとの比の絶対値は以下の(15)式で表される。(15)式で表されるEmを、検査対象超音波よりもm回前(mは1以上の整数)の超音波による残響成分の、平均化処理部43による平均化前後での比の絶対値を表す指標(残響重畳指標とする)として用いることができる。m≧1においては、残響指数m、加算平均回数N、超音波の角周波数ω、及びトリガシフト量αに依存して、残響重畳指標Emは1以下で変化する。
【0051】
【数14】

【0052】
残響指数m及び加算平均回数Nを変化させた場合におけるトリガシフト量αと残響重畳指標Emとの関係を図4A,4B,4Cに示す。検査対象超音波よりも1回前の超音波による残響成分の影響を示すm=1の場合においては、図4Aに示すように、トリガシフト量αが超音波信号の周期Tc(=2×π/ω)の倍数となるα/Tc=n(nは整数)毎に周期的な変化を示し、その位置において残響成分が低減されないE1=1となっている。0<α/Tc<1では、α/Tc=n/N(n=1,2,〜,N−1)においてE1=0(最小)となり、概ね加算平均回数Nが大きいほどE1は小さい値を示す。これは十分大きな加算平均回数Nを取ることで、非同期である残響成分が低減されることを示している。検査対象超音波よりも2回前の超音波による残響成分の影響を示すm=2の場合には、図4Bに示すように、グラフの横軸を1/2に縮小した形となっており、検査対象超音波よりも3回前の超音波による残響成分の影響を示すm=3の場合には、図4Cに示すように、グラフの横軸を1/3に縮小した形となっている。
【0053】
本実施形態では、検査対象超音波に重畳する残響成分を低減するために、トリガシフト量αは、残響成分の平均化前後での比の絶対値を表す残響重畳指標Emが最小となる条件を満たす値に決定される。例えば、検査対象超音波よりも1回前の残響成分が影響する場合(残響影響回数Nrev=2)には、図4Aのm=1の場合において残響重畳指標E1が0(最小)となるようなトリガシフト量αを決定する。つまり、sin(N×ω×α/2)=0が成立するように、α×ω/(2×π)=α/Tc=n/N(nは1以上の整数、0<α/Tc<1ではn=1,2,〜,N−1)を満たすトリガシフト量αを決定する。ただし、実際の残響成分には、角周波数ωの成分以外に、その近傍の角周波数の成分も存在する。その場合、角周波数ωの残響成分だけでなく、その近傍の角周波数の残響成分も低減するためには、α/Tc=n/Nから少しずれた位置においても、残響重畳指標E1は小さくなっていることが好ましい。例えば図4AのN=4において、α/Tc=1/4(n=1,N=4)やα/Tc=3/4(n=3,N=4)よりも、α/Tc=0,1からできるだけ離れたα/Tc=1/2(n=2,N=4)となるトリガシフト量αの方が効果的である。そこで、sin(N×ω×α/2)=0が成立し、且つα/Tc=j(jは0以上の整数)からできるだけ離れるように、加算平均回数Nが偶数の場合は、α×ω/(2×π)=α/Tc=0.5+j(0<α/Tc<1ではα/Tc=0.5)を満たすトリガシフト量αを決定し、加算平均回数Nが奇数の場合は、α×ω/(2×π)=α/Tc=(N−1)/(2×N)+jまたはα×ω/(2×π)=α/Tc=(N+1)/(2×N)+j(0<α/Tc<1ではα/Tc=(N−1)/(2×N)またはα/Tc=(N+1)/(2×N))を満たすトリガシフト量αを決定することが好ましい。ただし、残響重畳指標E1が所定値(例えば0.1程度の値)以下となるように、α/Tc=n/Nから少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=0.5+j(加算平均回数Nが偶数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(N−1)/(2×N)+j(加算平均回数Nが奇数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(N+1)/(2×N)+j(加算平均回数Nが奇数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することも可能である。
【0054】
同様に、検査対象超音波よりも2回前の残響成分が影響する場合(残響影響回数Nrev=3)には、図4Bのm=2の場合において残響重畳指標E2が0(最小)となる(sin(2×N×ω×α/2)=0が成立する)ように、α×ω/(2×π)=α/Tc=n/(2×N)(nは1以上の整数、0<α/Tc<1ではn=1,2,〜,2N−1)を満たすトリガシフト量αを決定する。さらに、α/Tc=j/2(jは0以上の整数)からできるだけ離れるように、加算平均回数Nが偶数の場合は、α×ω/(2×π)=α/Tc=0.25+j/2(0<α/Tc<1ではα/Tc=0.25または0.75)を満たすトリガシフト量αを決定し、加算平均回数Nが奇数の場合は、α×ω/(2×π)=α/Tc=(N−1)/(4×N)+j/2またはα×ω/(2×π)=α/Tc=(N+1)/(4×N)+j/2(0<α/Tc<1ではα/Tc=(N−1)/(4×N),(N+1)/(4×N),(N−1)/(4×N)+1/2,または(N+1)/(4×N)+1/2)を満たすトリガシフト量αを決定することが好ましい。ただし、残響重畳指標E2が所定値(例えば0.1程度の値)以下となるように、α/Tc=n/(2×N)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=0.25+j/2(加算平均回数Nが偶数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(N−1)/(4×N)+j/2(加算平均回数Nが奇数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(N+1)/(4×N)+j/2(加算平均回数Nが奇数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することも可能である。
【0055】
このように、検査対象超音波よりもm回前の残響成分を低減する(残響影響回数Nrev=m+1)ためには、残響重畳指標Emが0(最小)となる(sin(m×N×ω×α/2)=0が成立する)ように、α×ω/(2×π)=α/Tc=n/(m×N)(nは1以上の整数、0<α/Tc<1ではn=1,2,〜,m×N−1)を満たすトリガシフト量αを決定する。さらに、角周波数ωの残響成分だけでなく、その近傍の角周波数の残響成分も低減するためには、α/Tc=j/m(jは0以上の整数)からできるだけ離れるように、加算平均回数Nが偶数の場合は、α×ω/(2×π)=α/Tc=(0.5+j)/mを満たすトリガシフト量αを決定し、加算平均回数Nが奇数の場合は、α×ω/(2×π)=α/Tc=(N−1)/(2×m×N)+j/mまたはα×ω/(2×π)=α/Tc=(N+1)/(2×m×N)+j/mを満たすトリガシフト量αを決定することが好ましい。ただし、残響重畳指標Emが所定値(例えば0.1程度の値)以下となるように、α/Tc=n/(m×N)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(0.5+j)/m(加算平均回数Nが偶数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(N−1)/(2×m×N)+j/m(加算平均回数Nが奇数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することや、α/Tc=(N+1)/(2×m×N)+j/m(加算平均回数Nが奇数の場合)から少しずれたトリガシフト量αを決定することも可能である。繰り返し間隔設定部41は、超音波送信装置10による超音波の送信を繰り返す毎に、繰り返し時間間隔Tを一定のシフト量αずつ増加させる。ただし、超音波送信装置10による超音波の送信を繰り返す毎に、繰り返し時間間隔Tを一定のシフト量αずつ減少させることも可能である。
【0056】
なお、残響指数mや超音波の角周波数ωに基づいて繰り返し間隔設定部41でトリガシフト量αを決定するために、残響指数mや超音波の角周波数ωを決定する際には、超音波送信装置10による超音波の送信、及び超音波受信センサ20による検査対象超音波の受信を繰り返して行う前に(検査対象物30の検査を行う前に)、超音波送信装置10が検査対象物30へ超音波(解析用超音波とする)を1回送信し、超音波受信センサ20が超音波送信装置10から送信され且つ検査対象物30を伝搬した解析用超音波を受信し、超音波受信センサ20で受信され且つ信号収録部42に収録された解析用超音波信号に基づいて残響指数mや超音波の角周波数ωを決定することも可能である。その場合は、繰り返し間隔設定部41は、超音波受信センサ20で受信され且つ信号収録部42に収録された解析用超音波信号に重畳する残響成分の振幅に基づいて残響指数mの値を決定する。例えば、解析用超音波信号において、超音波送信装置10による解析用超音波の送信開始タイミングを時刻t=0とし、時刻t=T(収録時間間隔)以降の残響成分の波形を解析して、残響成分の振幅が最大となる期間や、残響成分の振幅が設定値以上となる期間を調べることで、残響指数mの値を決定することが可能である。ただし、超音波送信装置10が検査対象物30へ解析用超音波を送信することなく、残響指数mの値を(例えばm=1やm=2等に)予め決定することも可能である。また、周波数決定部47は、超音波受信センサ20で受信され且つ信号収録部42に収録された解析用超音波信号の周波数スペクトルに基づいて角周波数ωを決定する。例えば、解析用超音波信号の周波数スペクトルが最大となる周波数を角周波数ωとすることが可能である。ただし、超音波送信装置10が検査対象物30へ解析用超音波を送信することなく、超音波受信センサ20で受信され且つ信号収録部42に収録される超音波信号のフィルタ処理を行うバンドパスフィルタの通過帯域や中心周波数、あるいは超音波送信装置10による超音波の送信を行うための駆動信号の周波数(超音波送信装置10に圧電素子を用いる場合)等から、超音波の角周波数ωを周波数決定部47で決定することも可能である。
【0057】
上記に説明したトリガシフト量αによる残響低減効果を確認するために、10kHz〜300kHzのバンドパスフィルタ処理を行った、信号収録部42による収録波形の全時間表示の一例を図5Aに示し、その拡大波形を図5Bに示す。図5Aの全時間波形よりわかるように、500μsまでは多重反射波等が多く含まれるが、750μs以降では、その多重反射波も十分減衰し、ノイズレベル以上の波形はほとんど見られない。また、図5Bの拡大波形を見ると、20μsまでは超音波が到達しておらず、その後大きな直接到達波が得られていることがわかる。このような波形を連続で信号収録部42に収録し、合成することで得られた残響模擬合成波形を図6に示す。いずれも、800μsまでの残響波形を合成するよう残響影響回数Nrevを設定した。図6に示すように、繰り返し時間間隔(収録時間間隔)Tが小さいほど、残響の影響を大きく受け、(d)T=100μsの場合には元波形(a)から大きく異なる波形となっている。
【0058】
次に、トリガシフト量αによる残響低減を行った波形(トリガシフト波形)を図7Aの(a)に示す。その際には、繰り返し時間間隔T=100μs、平均化回数N=2とした。残響信号の周波数スペクトルを取得すると、最大となる周波数が80kHzであったため、周期Tc=1/80kHz=12.5μsとし、m=1での残響成分を低減するものとした。このとき、残響重畳指標E1が0(最小)となる条件のうち、α/Tc=0.5の条件が成立するように、トリガシフト量α=Tc×0.5=6.25μsに決定した。図7Aの(b)、(c)には、元波形(図5B、図6の(a)と同じ)と、残響合成波形(図6の(c)と同じ)を比較のために示した。図7Aの(a)の波形を1個取得するためには100μs+106.25μs=206.25μs必要であることから、ここでは、ほぼ同じ速さで収録する図6の(c)の残響合成波形を比較の対象としている。図7Aにおいて、残響合成波形(c)は元波形(b)から大きく異なる部分があるが、トリガシフト波形(a)は概ね元波形(b)と似た形状となっている。図7Aのトリガシフト波形(a)と元波形(b)との差分波形(a)−(b)を図7Bの(d)に示し、図7Aの残響合成波形(c)と元波形(b)との差分波形(c)−(b)を図7Bの(e)に示す。図7Bにおいて、差分波形(d)の絶対値の平均値は6.6mV、差分波形(e)の絶対値の平均値は12.6mVとなり、トリガシフト量αによって残響が低減されていることがわかる。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、超音波の角周波数ωと残響指数mと平均化回数Nとを基に残響成分の平均化前後での比の絶対値を表す残響重畳指標Emが最小または所定値以下となるように決定したトリガシフト量αずつ、超音波の送信の繰り返し時間間隔Tを増加させる(あるいは減少させる)ことで、より少ない平均化回数Nで、検査対象超音波信号に重畳する残響成分を低減することができる。その結果、検査対象物30の検査の精度を向上させることができるともに、検査対象物30の検査に要する時間を短縮することができる。その際に、繰り返し時間間隔Tは、試行錯誤的に決定するのではなく、超音波の角周波数ωや残響の大きい期間等の情報を基に、残響低減効果が最大になるように理論的に求められた繰り返し時間間隔Tを利用する。その結果、繰り返し時間間隔Tの決定を行う前処理に費やす時間を短縮することができる。また、受信された解析用超音波信号の角周波数ωに基づきトリガシフト量αを決定することで、駆動周波数が定まっていないレーザ照射による超音波励振方法の場合や、駆動周波数と受信される超音波波形の周波数が異なる場合等にも、効果的に残響成分を低減することが可能になる。
【0060】
また、本実施形態では、複数通りの残響指数mに基づく残響重畳指標Emを考慮して、トリガシフト量αを決定することも可能である。一般的に超音波は、伝搬距離が大きくなるにつれて、減衰が大きくなる性質を持つ。x=0点において、音速cの超音波が+x方向に伝搬している場合を1次元的に考えると、x=xにおける超音波波形U(x,t)は、x=0点での超音波波形U(0,t)を用いて以下の(16)式のようにかける。
【0061】
【数15】

【0062】
ここで、aは減衰率と呼ばれる物質固有の物理量である。音速cで伝搬していることから、上式はb=a/cを用いて、
【数16】

と書き換えることができ、減衰率aを音速cで除した値b(減衰率とする)により、測定波形が減衰する。このことから、例えば図3のような波形のうち、m=0の波形は減衰ゼロ、m=1の波形はexp(−b×Trep)、m=2の波形はexp(−2×b×Trep)と書くことができ、m=mの波形はexp(−m×b×Trep)の割合で残響成分の影響が小さくなっていくと考えることができる。ここで、厳密には、m=1の波形の収録時間間隔にはTrep+ΔT0といった微小増分量が加算されているが、Trepに比べて十分小さいことから無視できるものとした。
【0063】
このことを利用すると、複数通りの残響指数mに基づく残響重畳指標Emを考慮した残響重畳指標Eは、
【数17】

と書くことができる。exp(−m×b×Trep)=1/100となるm値を求めると、
【数18】

これ以上のm値では、残響成分重畳の影響が1%以下であり無視できる。この最大のmmaxに1だけ加算したものが、残響影響回数Nrevである。(18)式は、mが1以上の残響重畳指標Emを足し合わせ、
【数19】

となり、この残響重畳指標Eが最小となるようにトリガシフト量αを決定することができる。例えば減衰率bの値は文献値等により、0.021[μs-1](鉄鋼材料)等と与えられている。例えばTrep=100μs、N=2、f=80kHz(ω=2×π×f)として、横軸をトリガシフト量α、縦軸を(20)式で求められる残響重畳指標Eとしたグラフを書くと、図8に示すようになる。図8より、残響重畳指標Eが最小となるトリガシフト量αを求めると、α=6.25μsとなる。これは、前述の図7Aの(a)に示したm=1の場合におけるトリガシフト量αと同じ値となっている。すなわち、減衰率b=0.021[μs-1]程度の材料の場合では、直前(m=1)の残響の影響が大きく、m=2,3のように前にさかのぼったときの残響の影響は減衰により小さくなっているといえる。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
10 超音波送信装置、12 レーザ駆動装置、14 ガルバノスキャナ、20 超音波受信センサ、22 増幅器、24 ADボード、30 検査対象物、36 表示装置、40 制御装置、41 繰り返し間隔設定部、42 信号収録部、43 平均化処理部、、44 振幅検出部、45 画像処理部、46 検査判定部、47 周波数決定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物への超音波の送信を繰り返して行う超音波送信部と、
超音波送信部から送信され且つ検査対象物を伝搬した検査対象超音波の受信を繰り返して行う超音波受信部と、
超音波送信部による超音波の送信の繰り返し間隔を設定する繰り返し間隔設定部であって、超音波送信部による超音波の送信を繰り返す毎に、該繰り返し間隔を一定のシフト量ずつ増加または減少させる繰り返し間隔設定部と、
超音波受信部で受信が繰り返して行われた検査対象超音波を、超音波送信部による超音波の送信開始タイミングを同期させて平均化する平均化処理部と、
を備え、
前記シフト量は、検査対象超音波に重畳する残響成分の、平均化処理部による平均化前後での比の絶対値を表す指標が最小または所定値以下となる条件を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波検査装置であって、
超音波の角周波数をω、平均化処理部による平均化回数をN、前記シフト量をαとし、mを1以上の整数とすると、
検査対象超音波よりもm回前の超音波による残響成分の、平均化処理部による平均化前後での比の絶対値を表す指標Emは、
【数1】

で表される、超音波検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波検査装置であって、
nを1以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=n/(m×N)
を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の超音波検査装置であって、
平均化回数Nが偶数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=(0.5+j)/m
を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の超音波検査装置であって、
平均化回数Nが奇数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=(N−1)/(2×m×N)+j/m
またはα×ω/(2×π)=(N+1)/(2×m×N)+j/m
を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の超音波検査装置であって、
超音波の角周波数をω、平均化処理部による平均化回数をNとし、nを1以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=n/N
を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波検査装置であって、
平均化回数Nが偶数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=0.5+j
を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項8】
請求項6に記載の超音波検査装置であって、
平均化回数Nが奇数である場合は、jを0以上の整数とすると、前記シフト量αは、
α×ω/(2×π)=(N−1)/(2×N)+j
またはα×ω/(2×π)=(N+1)/(2×N)+j
を満たす値である、超音波検査装置。
【請求項9】
請求項2〜5のいずれか1に記載の超音波検査装置であって、
超音波送信部による超音波の送信、及び超音波受信部による検査対象超音波の受信を繰り返して行う前に、
超音波送信部が残響解析用超音波を検査対象物へ送信し、超音波受信部が超音波送信部から送信され且つ検査対象物を伝搬した残響解析用超音波を受信し、
繰り返し間隔設定部は、超音波受信部で受信された残響解析用超音波に基づいてmの値を決定する、超音波検査装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1に記載の超音波検査装置であって、
超音波の角周波数ωを決定する周波数決定部を備え、
繰り返し間隔設定部は、周波数決定部で決定された超音波の角周波数ωに基づいて前記シフト量αを決定する、超音波検査装置。
【請求項11】
請求項9に係る請求項10に記載の超音波検査装置であって、
周波数決定部は、超音波受信部で受信された残響解析用超音波に基づいて超音波の角周波数ωを決定する、超音波検査装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1に記載の超音波検査装置であって、
超音波送信部は、検査対象物にレーザ光を照射して超音波を励振することで、検査対象物への超音波の送信を行う、超音波検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−29396(P2013−29396A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165030(P2011−165030)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】