説明

超音波治療器

【課題】患者自身で一方の手に超音波治療器の導子プローブを保持し、他方の手が塞がっている状態であっても、治療を中断することなく超音波伝達媒体を患部に塗布でき、超音波伝達媒体を安定的に吐出し、吐出量を調節可能とした超音波治療器を提供することである。
【解決手段】本発明は、超音波振動子と、超音波伝達媒体吐出口と、超音波伝達媒体容器を有し、該超音波伝達媒体容器内の圧力を監視し、制御する機構を具備し、前記超音波伝達媒体容器から前記超音波伝達媒体吐出口へ超音波伝達媒体を供給する供給路を開閉可能とし、開閉量を調節する吐出量調節機構を設け、超音波伝達媒体の吐出量を制御し、前記超音波伝達媒体容器を脱着可能とし、前記超音波伝達媒体容器内の超音波伝達媒体の残量が少量となったことを利用者に報知する超音波治療器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱治療やマッサージ治療に用いる超音波治療器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超音波治療器による温熱治療やマッサージ治療時に超音波伝達媒体を患部及び/又は超音波振動子に塗布する方法として、超音波伝達媒体を充填した容器を患部及び/又は超音波振動子の近傍に近づけ、該容器の吐出口から超音波伝達媒体を吐出し、塗布する方法が知られている。
【特許文献1】特許第3549922号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の方法では患者自身で一方の手に超音波治療器の導子プローブを保持して治療を行っている際に、超音波伝達媒体を追加塗布する場合、他方の手が空いている必要がある。他方の手が塞がっている場合は、治療を一旦停止し、導子プローブと超音波伝達媒体を充填した容器を持ち替えて、超音波伝達媒体を患部及び/又は超音波振動子に追加塗布し、再び超音波伝達媒体を充填した容器と導子プローブを持ち替えて、治療を再開するため、手数がかかるという問題点がある。
【0004】
本発明の目的は患者自身で一方の手に超音波治療器の導子プローブを保持し、他方の手が塞がっている状態であっても、治療を中断することなく超音波伝達媒体を患部に塗布可能とし、超音波伝達媒体を安定的に吐出し、吐出量を調節可能とする機能を有した超音波治療器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、超音波振動子と、超音波伝達媒体吐出口と、超音波伝達媒体容器を有し、該超音波伝達媒体容器内の圧力を監視し、制御する機構を具備し、超音波伝達媒体の吐出量を制御する。
【0006】
本発明は、前記超音波伝達媒体容器から前記超音波伝達媒体吐出口へ超音波伝達媒体を供給する供給路を開閉可能とし、開閉量を調節する吐出量調節機構を設け、超音波伝達媒体の吐出量を制御する。
【0007】
本発明は、前記超音波伝達媒体容器を脱着可能とする。
【0008】
本発明は、前記超音波伝達媒体容器内の超音波伝達媒体の残量が少量となったことを利用者に報知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超音波治療器は、超音波伝達媒体吐出口を導子プローブに設ける。又は該導子プローブと組み合わせ、超音波伝達媒体の吐出量を制御することにより超音波伝達媒体を安定的に吐出し、吐出量を調節可能とし、患者自身が一方の手に超音波治療器の前記導子プローブを保持し、他方の手が塞がっている状態であっても、患部に塗布することができ、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
患者自身で一方の手に超音波治療器の導子プローブを保持し、他方の手が塞がっている状態であっても、治療を中断することなく超音波伝達媒体を患部に塗布可能とし、超音波伝達媒体を安定的に吐出し、吐出量を調節可能とする機能を有した超音波治療器を提供するという目的を、超音波振動子と、超音波伝達媒体吐出口と、超音波伝達媒体容器を有し、該超音波伝達媒体容器内の圧力を監視し、制御する機構を具備し、超音波伝達媒体の吐出量を制御することにより実現した。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1のブロック図である。実施例1は、本体(1)と導子プローブ(2)からなる。
【0012】
前記本体(1)は超音波振動子(3)に電力を供給する駆動回路(6)と超音波伝達媒体容器(7)と圧力センサ(8)と圧力制御回路(10)とコンプレッサー(9)と静電容量形近接センサ(12)と報知回路(13)からなる。
【0013】
前記超音波伝達媒体容器(7)は超音波伝達媒体を充填しており、図示は省略するが壁面にワンタッチで接続可能な止水式カプラのソケットを設け、前記本体(1)にワンタッチで接続可能な止水式カプラのプラグを設け、前記ソケットと該プラグを接続することにより前記超音波伝達媒体容器(7)内の超音波伝達媒体が流出可能となる。
【0014】
前記圧力センサ(8)は前記超音波伝達媒体容器(7)の圧力を測定する。測定値は前記圧力制御回路(10)に入力される。
【0015】
前記圧力制御回路(10)は前記超音波伝達媒体容器(7)内の圧力を調節するため、前記コンプレッサー(9)を制御する。
【0016】
前記静電容量形近接センサ(12)は前記超音波伝達媒体容器(7)内の超音波伝達媒体の残量が少量となったことを検出する。検出信号は前記報知回路(13)に入力される。
【0017】
前記報知回路(13)は利用者にランプ及び/又は報知音により報知する。
【0018】
前記導子プローブ(2)は前記超音波振動子(3)と超音波伝達媒体吐出口(4)と圧力設定器(11)からなる。
【0019】
前記圧力設定器(11)は前記超音波伝達媒体容器(7)内の圧力値を設定する。前記圧力設定器(11)から出力された信号は前記本体(1)の前記圧力制御回路(10)に入力される。前記圧力制御回路(10)は、設定圧力値と、前記圧力センサ(8)により測定された圧力値とを比較し、前記コンプレッサー(9)の作動を制御することにより前記超音波伝達媒体容器(7)内の圧力を設定圧力値となるように維持制御する。
【0020】
前記駆動回路(6)と前記超音波振動子(3)間は電線(図示省略)により前記圧力制御回路(10)と前記圧力設定器(11)間は電線(図示省略)により前記超音波伝達媒体容器(7)と前記超音波伝達媒体吐出口(4)間はチューブ(14)により接続を行う。
【0021】
実施例1を使用する際は、前記超音波伝達媒体容器(7)に超音波伝達媒体を充填する。前記超音波伝達媒体容器(7)を前記本体(1)に接続する。前記導子プローブ(2)を患部に当て、前記圧力設定器(11)を操作し、圧力値を設定する。前記コンプレッサー(9)を作動させて、前記超音波伝達媒体吐出口(4)より超音波伝達媒体を吐出し、患部に塗布する。前記超音波振動子(3)より超音波を出力し、治療を開始する。治療中に患部の超音波伝達媒体が欠乏した場合は再度、前記コンプレッサー(9)を作動させ、追加塗布する。前記超音波伝達媒体容器(7)内の超音波伝達媒体の残量が少量となった場合は、治療を一時停止し、超音波伝達媒体を前記超音波伝達媒体容器(7)に補充する。又は超音波伝達媒体が充填されている別の前記超音波伝達媒体容器(7)と取り替えてもよい。
【実施例2】
【0022】
次に、図2、3を用いて本発明に係る実施例2を説明する。図2は実施例2のブロック図である。図3は吐出量調節機構(5)を示す部分断面図である。実施例1と異なる点は、導子プローブ(2)に前記吐出量調節機構(5)を設け、該導子プローブ(2)から本体(1)へ圧力設定器(11)を移動した点である。
【0023】
吐出調節レバー(15)は、回転軸(17)を介して、前記導子プローブ(2)に対して、揺動自在に設けられる。前記導子プローブ(2)の先端寄りに孔(18)を設け、前記吐出調節レバー(15)の一端側に凸状部(15a)を設け、該凸状部(15a)を前記孔(18)より突出する。前記吐出調節レバー(15)の他端側とバネ(16)の一端側を接合し、該バネ(16)の他端側を前記導子プローブ(2)の内壁面と接合する。前記バネ(16)は縮めて取り付けることにより復元力が働いている。チューブ(14)に前記吐出調節レバー(15)を介して前記バネ(16)の復元力を加えることにより該チューブ(14)内部の空洞が閉鎖される。利用者が前記凸状部(15a)を押える方向に力を加えることにより閉鎖された前記チューブ(14)内部の空洞が開放され、超音波伝達媒体の流動が可能となる。
【0024】
実施例2を使用する際は、前記超音波伝達媒体容器(7)に超音波伝達媒体を充填する。前記超音波伝達媒体容器(7)を前記本体(1)に接続する。前記圧力設定器(11)を操作し、前記超音波伝達媒体容器(7)内の圧力を調節する。前記導子プローブ(2)を患部に当て、前記吐出量調節機構(5)の前記吐出量調整レバー(15)を操作し、前記超音波伝達媒体吐出口(4)より超音波伝達媒体を吐出し、患部に塗布する。超音波振動子(3)より超音波を出力し、治療を開始する。治療中に患部の超音波伝達媒体が欠乏した場合は前記吐出量調節機構(5)の前記吐出量調整レバー(15)を操作し、追加塗布する。前記吐出量調節機構(5)を操作することによって、より細かな吐出量の調整が可能となる。
【実施例3】
【0025】
次に図4を用いて本発明に係る実施例3を説明する。図4は吐出量調節機構(5)を示す部分断面図である。実施例2とは、チューブ(14)内部の空洞の開閉機構が異なる。
【0026】
吐出量調節ハンドル(19)は軸(19a)に螺刻したおねじを有する。導子プローブ(2)の先端寄りにねじ孔(20)を設ける。該ねじ孔(20)は壁面に螺刻しためねじを有する。前記吐出量調節ハンドル(19)と前記ねじ孔(20)は螺合して取り付け、前記軸(19a)の端面(19b)によりチューブ(14)を押え付けることにより、該チューブ(14)内部の空洞が閉鎖される。利用者が前記吐出量調節ハンドル(19)を緩める方向に回転させることにより閉鎖された前記チューブ(14)内部の空洞が開放され、超音波伝達媒体の流動が可能となる。
【0027】
実施例3を使用する際は、前記超音波伝達媒体容器(7)に超音波伝達媒体を充填する。前記超音波伝達媒体容器(7)を前記本体(1)に接続する。前記圧力設定器(11)を操作し、前記超音波伝達媒体容器(7)内の圧力を調節する。前記導子プローブ(2)を患部に当て、前記吐出量調節機構(5)の前記吐出量調整ハンドル(19)を操作し、前記超音波伝達媒体吐出口(4)より超音波伝達媒体を吐出し、患部に塗布する。超音波振動子(3)より超音波を出力し、治療を開始する。治療中に患部の超音波伝達媒体が欠乏した場合は前記吐出量調節機構(5)の前記吐出量調整ハンドル(19)を操作し、追加塗布する。前記吐出量調節機構(5)を操作することによって、より細かな吐出量の調整が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、超音波振動子と、超音波伝達媒体吐出口と、超音波伝達媒体容器を有し、該超音波伝達媒体容器内の圧力を監視し、制御する機構を具備し、前記超音波伝達媒体容器から前記超音波伝達媒体吐出口へ超音波伝達媒体を供給する供給路を開閉可能とし、開閉量を調節する吐出量調節機構を設け、超音波伝達媒体の吐出量を制御し、前記超音波伝達媒体容器を脱着可能とし、前記超音波伝達媒体容器内の超音波伝達媒体の残量が少量となったことを利用者に報知する超音波治療器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のブロック図である。
【図2】本発明の実施例2のブロック図である。
【図3】本発明の実施例2の部分断面図である。
【図4】本発明の実施例3の部分断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 本体
2 導子プローブ
3 超音波振動子
4 超音波伝達媒体吐出口
5 吐出量調節機構
7 超音波伝達媒体容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、超音波伝達媒体吐出口と、超音波伝達媒体容器を有し、該超音波伝達媒体容器内の圧力を監視し、制御する機構を具備し、超音波伝達媒体の吐出量を制御することを特徴とする超音波治療器。
【請求項2】
前記超音波伝達媒体容器から前記超音波伝達媒体吐出口へ超音波伝達媒体を供給する供給路を開閉可能とし、開閉量を調節する吐出量調節機構を設け、超音波伝達媒体の吐出量を制御することを特徴とする請求項1記載の超音波治療器。
【請求項3】
前記超音波伝達媒体容器を脱着可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超音波治療器。
【請求項4】
前記超音波伝達媒体容器内の超音波伝達媒体の残量が少量となったことを利用者に報知することを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の超音波治療器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−100852(P2009−100852A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273599(P2007−273599)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】