説明

超音波装置

【課題】マイクロバブルを用いて特定の部位に遺伝子や薬物が浸透することを促進させることができる超音波装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の超音波装置は、受付部と、プローブ制御部とを有する。受付部は、超音波プローブが送信する超音波の走査線毎に、該超音波の送信条件に関する設定内容を受け付ける。プローブ制御部は、前記受付部により受け付けられた走査線毎の送信条件により、造影剤が投与された被検体に超音波を送信するように前記超音波プローブを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置は、心臓、肝臓、腎臓、乳腺など、様々な生体組織の検査や診断に利用されている。近年では、静脈投与型の超音波造影剤(以下、「造影剤」と表記する)が製品化され、造影エコー法が行われるようになってきている。造影エコー法では、造影剤として微小気泡(以下、「マイクロバブル」と表記する)などを静脈から注入して血流信号を増強することで、血流動態を明瞭に観察することが可能となる。
【0003】
また、最近では、超音波を治療へ応用する研究も行われている。このような研究においては、超音波を被検体に照射することで、キャビテーションの機械的作用により細胞に孔が一時的に形成され、かかる細胞に遺伝子や薬物が浸透しやすくなることが確認されている。さらに、マイクロバブルを注入した場合には、超音波の音圧が低い場合であっても、マイクロバブルのキャビテーションの機械的作用により細胞に孔が一時的に形成され、細胞に遺伝子や薬物が浸透しやすくなることが確認されている。なお、超音波の照射により細胞に遺伝子や薬物が浸透しやすくなる現象は、「ソノポレーション」と呼ばれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−178590号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】立花克郎著,生体医工学「マイクロバブルの治療応用」,2005年,P.211−215
【非特許文献2】工藤信樹 山本克之著,生体医工学「微小気泡存在下におけるパルス超音波を用いたソノポレーション」,2005年,P.231−237
【非特許文献3】E.Unger, et al,"Microbubbles in molecular imaging and theraphy",MEDICAMUNDI 47/1,April 2003
【非特許文献4】A.Mark, et al,"Influence of Lipid Shell Physicochemical Properties on Ultrasound-Induced Microbubble Destruction",IEEE Trans UFFC,November 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、マイクロバブルを用いて特定の部位に遺伝子や薬物が浸透することを促進させることができる超音波装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の超音波装置は、受付部と、プローブ制御部とを有する。受付部は、超音波プローブが送信する超音波の走査線毎に、該超音波の送信条件に関する設定内容を受け付ける。プローブ制御部は、前記受付部により受け付けられた走査線毎の送信条件により、造影剤が投与された被検体に超音波を送信するように前記超音波プローブを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る超音波装置による超音波送信処理の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る超音波装置による超音波送信処理の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る超音波装置による超音波送信処理の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態における制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る超音波装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、超音波が3次元に送信される場合における超音波装置の処理を説明するための図である。
【図9】図9は、ボリューム画像及び断層像が並列表示された画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態における制御部の構成例を示すブロック図である。
【図11】図11は、第2の実施形態における制御部による処理の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、第3の実施形態における制御部の構成例を示すブロック図である。
【図13】図13は、第4の実施形態における記憶部及び制御部の構成例を示すブロック図である。
【図14】図14は、送信条件記憶部の一例を示す図である。
【図15】図15は、第4の実施形態における制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、第5の実施形態における記憶部及び制御部の構成例を示すブロック図である。
【図17】図17は、決定条件記憶部の一例を示す図である。
【図18】図18は、第5の実施形態における制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係る超音波装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波装置の構成例を示すブロック図である。図1に示した超音波装置1は、被検体を診断する超音波診断装置として用いることもでき、被検体を治療する超音波治療装置として用いることもできる。かかる超音波装置1は、図1に例示するように、超音波プローブ10と、入力装置20と、モニタ30と、装置本体100とを有する。
【0010】
超音波プローブ10は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信ユニット110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ10は、被検体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ10は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。なお、超音波プローブ10は、装置本体100と着脱自在に接続される。
【0011】
超音波プローブ10から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ10が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0012】
入力装置20は、装置本体100と接続され、トラックボール21、各種スイッチ22、各種ボタン23、マウス24、キーボード25などを有する。かかる入力装置20は、操作者からの各種指示、関心領域(ROI:Region of Interest)の設定指示、超音波画像における画質条件の設定指示等を装置本体100に取り込む。
【0013】
モニタ30は、超音波装置1の操作者が入力装置20を用いて各種設定を行うためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。具体的には、モニタ30は、後述する画像生成部140から入力されるビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や血流情報を画像として表示する。
【0014】
装置本体100は、超音波プローブ10が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する。かかる装置本体100は、図1に例示するように、送受信ユニット110と、Bモード処理ユニット120と、ドプラ処理ユニット130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、ソフトウェア格納部160と、インタフェース部170と、記憶部180と、制御部190とを有する。なお、装置本体100に内蔵される送受信ユニット110、Bモード処理ユニット120、ドプラ処理ユニット130、画像生成部140等は、集積回路などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェア的にモジュール化されたソフトウェアプログラムにより実現されてもよい。
【0015】
送受信ユニット110は、図示しない遅延回路、パルサ回路、トリガ発生回路等を有し、超音波プローブ10に駆動信号を供給する。パルス発生回路は、所定の繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。なお、繰り返し周波数は、レート周波数等とも呼ばれる。また、遅延回路は、超音波プローブ10から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、遅延回路により遅延時間が与えられた各レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ10に駆動信号(駆動パルス)を印加する。なお、送信方向あるいは送信方向を決定する遅延時間は記憶部180に記憶されており、遅延回路は、記憶部180を参照して遅延時間を与える。
【0016】
また、送受信ユニット110は、図示しないアンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、加算器等を有し、超音波プローブ10が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換し、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。なお、送信と同様、受信方向あるいは受信方向を決定する遅延時間は記憶部180に記憶されている。
【0017】
なお、送受信ユニット110は、制御部190からの指示に従って、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。このように、送受信ユニット110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。
【0018】
Bモード処理ユニット120は、送受信ユニット110から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0019】
ここで、Bモード処理ユニット120は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理ユニット120は、一つの反射波データに対して、二つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。Bモード処理ユニット120の機能を用いることにより、マイクロバブルが注入された被検体Pの反射波データから、マイクロバブルを反射源とする送信周波数の分周波あるいは高調波の帯域信号から生成された反射波データと、被検体P内の組織を反射源とする送信周波数に対応した基本波の帯域信号から生成された反射波データとを分離することができる。すなわち、Bモード処理ユニット120は、組織画像を生成するためのBモードデータとともに、造影画像を生成するためのBモードデータを生成することができる。その結果、後述する画像生成部140は、被検体P内を流動する造影剤を高感度に映像化した造影画像、及び組織を映像化した組織画像を生成することができる。
【0020】
なお、上記の送受信ユニット110は、超音波の走査線毎に、異なる波形を送信することも可能である。例えば、2次高調波成分がより強調された造影像を生成するための映像化手法であるパルスインバージョン法を実行する際、送受信ユニット110は、1回目の送信波形に対して位相を180度ずらした波形(振幅が反転された波形)を2回目に送信し、反射波データをそれぞれ生成する。そして、Bモード処理ユニット120は、送受信ユニット110から受信した2つの反射波データを加算することにより、基本波成分が抑制され、セカンドハーモニック成分が2倍となった信号を取得することができる。
【0021】
ドプラ処理ユニット130は、送受信ユニット110から受け取った反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について算出する。
【0022】
画像生成部140は、Bモード処理ユニット120が生成したBモードデータから、信号強度が輝度の明るさで表現されるBモード画像を生成し、ドプラ処理ユニット130が生成した血流情報から、血流の速度、分散、血流量等を示すパワー成分等を色によって識別可能に表示するカラードプラ画像を生成する。なお、画像生成部140に入力される前のデータは「生データ」と呼ばれることがある。
【0023】
具体的には、画像生成部140は、図示しない信号処理部と、スキャンコンバータと、画像処理部とを有する。信号処理部は、Bモードデータ及びドプラデータに対してフィルタリング処理を実行することにより、超音波スキャン走査線信号列からノイズ成分を除去し、フィルタリング処理後のデータを画像メモリ150に格納する。スキャンコンバータは、信号処理部によってフィルタリング処理が実行されたデータの超音波スキャン走査線信号列をテレビなどの一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する。画像処理部は、スキャンコンバータから出力される走査線信号列に対して、輝度やコントラストの調整処理や、空間フィルタ等の画像処理、もしくは種々の設定パラメータの文字情報やメモリ等を合成する合成処理を実行し、ビデオ信号としてモニタ30に出力する。これにより、画像生成部140によって生成された被検体組織形状を表す断層像等の超音波画像は、モニタ30に表示される。
【0024】
画像メモリ150は、画像生成部140が生成した超音波画像や、超音波画像を画像処理することで生成した画像を記憶するメモリである。例えば診断の後に、操作者が検査中に記録された画像を画像メモリ150から呼び出すことが可能となっており、静止画像的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。また、画像メモリ150は、送受信ユニット110を通過した後の画像輝度信号、その他の生データ、ネットワークを介して取得した画像等を必要に応じて記憶する。
【0025】
ソフトウェア格納部160は、後述する制御部190によって各種装置制御プログラムが展開される記憶領域である。
【0026】
インタフェース部170は、入力装置20、新たな外部記憶装置(図示を省略)、ネットワークに関するインタフェースである。超音波装置1によって得られた超音波画像などのデータは、インタフェース部170によって、ネットワークを介して他の装置へ転送することができる。
【0027】
記憶部180は、スキャンシーケンス、画像処理及び表示処理等を実行するための各種装置制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコルや各種設定情報等の各種データ群を記憶する。なお、各種装置制御プログラムは、制御部190と同様の処理を実行する手順が記述されたプログラムを含む場合もある。また、記憶部180は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する超音波画像の保管などにも使用される。なお、記憶部180が記憶する各種データは、インタフェース部170を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
【0028】
制御部190は、情報処理装置(計算機)としての機能を実現する制御プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)であり、超音波装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部190は、入力装置20を介して操作者から入力された各種指示や設定指示、記憶部180から読み込んだ各種装置制御プログラムをソフトウェア格納部160に展開し、各種設定情報に基づいて、送受信ユニット110、Bモード処理ユニット120、ドプラ処理ユニット130及び画像生成部140の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ30にて表示するように制御したりする。
【0029】
以上、第1の実施形態に係る超音波装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波装置1は、超音波プローブ10によって送信される超音波の走査線毎に、超音波の送信条件を操作者に設定させる。そして、超音波装置1は、走査線毎に超音波の送信条件が設定された場合に、かかる走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。すなわち、超音波装置1は、被検体Pに対して空間的に異なる送信条件により超音波を照射することができる。
【0030】
なお、ここでいう「超音波の送信条件」とは、超音波プローブ10によって送信される超音波の各種条件を示し、例えば、超音波の音圧、周波数、繰り返し周波数、1個の超音波ビームを生成する際に用いる信号の数である送信レート数、波形等である。
【0031】
このような超音波装置1は、例えば、マイクロバブルが注入された被検体Pに対して超音波を照射する場合に、走査線毎に超音波の送信条件を変動させることができるので、操作者が所望する特定の部位において、マイクロバブルを崩壊又は断片化させることや、マイクロバブルを超音波と共振させてキャビテーションを発生させることができる。これにより、超音波装置1は、特定の部位に存在する毛細血管のように細い血管に対してもマイクロバブルを注入することができる。また、超音波装置1は、例えば、薬物が付与されたマイクロバブルが被検体Pに注入されている場合には、血管や腫瘍等の特定の治療部位に薬剤を浸透させることを促進できる。以下に、図2〜図7を用いて、第1の実施形態に係る超音波装置1についてより詳細に説明する。なお、以下の説明において、マイクロバブルに薬物が付与されているものとして説明する。
【0032】
図2は、第1の実施形態における制御部190の構成例を示すブロック図である。図2に例示するように、制御部190は、受付部191と、プローブ制御部192とを有する。
【0033】
受付部191は、超音波プローブ10が送信する超音波の走査線毎に、かかる超音波の送信条件に関する設定内容を受け付ける。例えば、受付部191は、操作者によって入力装置20を介して、超音波の送信条件を設定する操作が行われた場合に、入力装置20から走査線毎の超音波の送信条件の設定内容を受け付ける。そして、受付部191は、超音波の送信条件を受け付けた場合に、受け付けた送信条件を記憶部180や図示しない内部メモリ等に格納する。
【0034】
なお、操作者は、例えば、キーボード25を用いて、超音波の送信条件を走査線毎に入力することができる。また、超音波装置1がモニタ30に送信条件の候補を表示する場合には、操作者は、例えば、モニタ30に表示されている送信条件の候補の中から、トラックボール21やマウス24等を用いて超音波の送信条件を選択することができる。
【0035】
プローブ制御部192は、受付部191により受け付けられた走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。例えば、受付部191によって走査線毎の送信条件が記憶部180に格納される場合には、プローブ制御部192は、記憶部180に記憶されている走査線毎の送信条件を用いて、超音波プローブ10による超音波の送信処理を走査線毎に制御する。
【0036】
次に、図3〜図5を用いて、第1の実施形態に係る超音波装置1による超音波送信処理の一例について説明する。図3〜図5は、第1の実施形態に係る超音波装置1による超音波送信処理の一例を示す図である。なお、図3〜図5では、関心領域R10に送信される超音波の一例を示す。
【0037】
なお、図3〜図5に示した例において、血流方向D1の血管B11の近傍に治療部位T11が存在し、かかる血管B11には、薬物が付与されているマイクロバブルが注入されているものとする。また、第1の実施形態に係る超音波装置1は、超音波画像を生成する場合には、超音波の音圧が「P5」であり、超音波の周波数が「F10」であり、超音波の繰り返し周波数が「RF5」であることが望ましいものとする。
【0038】
まず、図3に示した例について説明する。図3に示した例では、治療部位T11に薬物を浸透させることを目的とする。具体的には、図3に示した例において、走査線L11〜L15における超音波は、超音波画像を生成する際に用いられる音圧「P5」よりも高い音圧「P10」が設定されている。このように、関心領域R10全体に高い音圧「P10」の超音波が照射されることにより、血管B11内のマイクロバブルは崩壊しやすくなる。すなわち、図3に示した例において、超音波装置1は、治療部位T11の近傍でマイクロバブルを崩壊させることができ、その結果、治療部位T11への薬物の浸透を促進することができる。
【0039】
また、図3に例示するように、走査線L11〜L15における超音波は、超音波画像を生成する際に用いられる周波数「F10」よりも低い周波数「F5」が設定されている。この点について説明すると、キャビテーションによる超音波生体作用の指標であるメカニカルインデックス(MI:Mechanical Index)が負の音圧を周波数の平方根で割った値で表されることからも分かるように、マイクロバブルは、超音波の周波数が低いほどが崩壊しやすい。図3に示した例では、治療部位T11に薬物を浸透させることを目的としているので、超音波の周波数が低く設定されることで、マイクロバブルは崩壊しやすくなる。この結果、超音波装置1は、治療部位T11への薬物の浸透を促進することができる。
【0040】
また、図3に例示するように、走査線L11〜L15における超音波の繰り返し周波数は、超音波画像を生成する際に用いられる繰り返し周波数「RF5」よりも高い「RF10」が設定されている。繰り返し周波数を高くすることで、超音波プローブ10から送信される超音波パルスの単位時間あたりの数が増大するので、血管B11内のマイクロバブルを効率的に崩壊又は断片化させることができ、その結果、治療部位T11への薬物の浸透を促進することができる。なお、繰り返し周波数に高い値を設定した場合には、被検体Pからの反射波信号を受信する時間が短くなるが、図3に示した例では、治療部位T11に薬物を浸透させることを目的としており、超音波画像を生成することを目的としていないので問題ない。したがって、図3に示す例の場合には、繰り返し周波数「RF10」は、例えば30[kHz]以上であってもよい。
【0041】
このように、図3に示した例では、治療部位T11の近傍に照射される超音波について、音圧が高く、周波数が低く、繰り返し周波数が高く設定される。これにより、超音波装置1は、治療部位T11の近傍でマイクロバブルを崩壊又は断片化させることができ、療部位T11への薬物の浸透を促進することができる。
【0042】
続いて、図4に示した例について説明する。図4に示した例では、治療部位T11へのマイクロバブルの注入を促進し、毛細血管のように細い血管の血流動態が明瞭に表れた超音波画像を生成することを目的とする。具体的には、図4に示した例において、走査線L11における超音波は、超音波画像を生成する際に用いられる音圧「P5」よりも高い音圧「P10」が設定され、走査線L12〜L15における超音波は、音圧「P5」が設定されている。このように、治療部位T11に血液が到達する直前の部位に照射される走査線L11の音圧が「P10」に設定されることで、治療部位T11の直前でマイクロバブルを断片化させることができる。これにより、マイクロバブルの径が小さくなるので、治療部位T11内の毛細血管等にもマイクロバブルを注入することができる。
【0043】
また、図4に例示するように、走査線L11〜L15における超音波は、走査線L11、L12、L13、L14、L15の順に、高い周波数が設定されている。言い換えれば、血流の下流に向かって徐々に高くなるように周波数が設定されている。この点について説明すると、図4に示した例では、走査線L11における超音波の音圧が「P10」に設定されるので、走査線L11の位置でマイクロバブルが断片化し、マイクロバブルの径が小さくなる。そして、血流の下流においても超音波が照射されるので、下流に向かうほどマイクロバブルの径が小さくなると考えられる。マイクロバブルの径が小さいほど、マイクロバブルが超音波に共振する共振周波数は大きくなるので、図4に示した例のように、走査線L11から走査線L15に向かって徐々に高くなる周波数が設定されることで、マイクロバブルを超音波と共振させることができる。
【0044】
また、図4に例示するように、走査線L11〜L15における超音波の繰り返し周波数は、超音波画像を生成する際に用いられる繰り返し周波数「RF5」が設定されている。これは、図4に示した例では、超音波画像を生成することを目的としているからである。
【0045】
このように、図4に示した例では、走査線L11の音圧が高く設定され、血流の方向に向かって超音波の周波数が徐々に高く設定され、繰り返し周波数が低く設定される。これにより、超音波装置1は、治療部位T11の直前でマイクロバブルを断片化させることができるので、治療部位T11内の毛細血管等にもマイクロバブルを注入することができ、細い血管の血流動態が明瞭に表れた超音波画像を生成することが可能になる。
【0046】
続いて、図5に示した例について説明する。図5に示した例ではは、治療部位T11にマイクロバブルのキャビテーションを利用して、遺伝子や薬物を注入することを目的とする。具体的には、図5に示した例において、図4に示した例と同様に、超音波の音圧及び周波数が設定されている。また、図5に例示するように、走査線L11〜L15における超音波の繰り返し周波数は、超音波画像を生成する際に用いられる繰り返し周波数「RF5」よりも高い「RF10」が設定されている。
【0047】
このように、図5に示した例では、治療部位T11に血液が到達する前の血管に照射される走査線L11の音圧が高く設定され、血流の方向に向かって超音波の周波数が徐々に高く設定され、繰り返し周波数が高く設定される。これにより、超音波装置1は、治療部位T11の直前でマイクロバブルを断片化させることができるとともに、キャビテーションの発生を維持することができるので、治療部位T11内への遺伝子や薬物の浸透を促進することができる。さらに、繰り返し周波数が高く設定されるので、走査線L11においてマイクロバブルを効率良く断片化させたり、キャビテーションを維持させたりすることができる。例えば、超音波装置1は、図4に例示した送信条件で治療部位T11内の血流動態を映像化した後に、図3や図5に例示した送信条件で超音波を照射することで、治療部位T11を治療することが可能になる。
【0048】
次に、図6を用いて、第1の実施形態における制御部190による処理の手順について説明する。図6は、第1の実施形態における制御部190による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図6に示すように、超音波装置1の受付部191は、超音波の送信条件を走査線毎に設定する操作の結果を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、受付部191は、走査線毎の送信条件を受け付けない場合には(ステップS101否定)、待機状態となる。
【0050】
一方、受付部191は、超音波の走査線毎における送信条件を受け付けた場合には(ステップS101肯定)、受け付けた走査線毎の送信条件を保持する(ステップS102)。続いて、プローブ制御部192は、受付部191によって受け付けられた走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように、超音波プローブ10を制御する(ステップS103)。
【0051】
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る超音波装置1の利用例について説明する。図7は、第1の実施形態に係る超音波装置1による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図7に示した例では、超音波装置1は、まず、操作者によって入力装置20を操作されることにより、超音波画像を表示することに適した超音波の送信条件を受け付ける(ステップS201)。そして、超音波装置1は、被検体Pの超音波画像を生成し、生成した超音波画像をモニタ30に表示する(ステップS202)。
【0053】
続いて、超音波装置1は、操作者によって入力装置20を操作されることにより、関心領域の設定要求を受け付ける(ステップS203)。そして、超音波装置1は、関心領域の設定要求に従って、関心領域を設定する(ステップS204)。
【0054】
続いて、超音波装置1は、治療処理を行う(ステップS205)。かかる治療処理とは、図6に示した処理である。すなわち、超音波装置1は、走査線毎の送信条件を操作者に設定させ、設定された走査線毎の送信条件に従って超音波を被検体Pに送信する。例えば、超音波装置1は、図3に例示した超音波の送信条件により超音波を被検体Pに送信することで、被検体Pを治療する。
【0055】
続いて、超音波装置1は、超音波画像を表示することに適した超音波の送信条件を受け付ける(ステップS206)。例えば、超音波装置1は、図4や図5に例示した超音波の送信条件を受け付けて、かかる送信条件により被検体Pに超音波を送信することで、被検体Pの超音波画像を生成する。そして、超音波装置1は、生成した超音波画像をモニタ30に表示する(ステップS207)。これにより、超音波装置1は、細い血管の血流動態が明瞭に表れた超音波画像を表示することができる。そして、超音波装置1の操作者は、超音波画像を観察することで、被検体Pに薬剤が効率良く投与されているか否かを観察することができる。
【0056】
そして、超音波装置1は、終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS208)。ここで、超音波装置1は、終了操作を受け付けない場合には(ステップS208否定)、ステップS205に戻る。一方、超音波装置1は、終了操作を受け付けた場合には(ステップS208肯定)、処理を終了する。
【0057】
上述したように、第1の実施形態によれば、超音波装置1は、走査線毎に超音波の送信条件を受け付ける受付部191と、受付部191により受け付けられた走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように超音波プローブ10を制御するプローブ制御部192とを有するので、マイクロバブルを用いて特定の部位に遺伝子や薬物が浸透することを促進させることができる。
【0058】
例えば、マイクロバブルに薬物が付与されている場合には、超音波装置1は、特定の治療部位に薬物が浸透することを促進させることができる。また、例えば、超音波装置1は、毛細血管のような部位にもマイクロバブルが浸透することを促進させることができ、その結果、細い血管の血流動態が明瞭に表れた超音波画像を生成することができる。このように、第1の実施形態に係る超音波装置1を用いた場合には、操作者は、超音波の送信条件を走査線毎に設定することができるので、例えば、治療部位の形状等に応じて、かかる治療部位に適した超音波の送信条件を柔軟に設定することができる。また、第1の実施形態に係る超音波装置1は、走査線毎に超音波の送信条件を設定することができるので、例えば、治療部位のみに高い音圧の超音波を照射することができ、治療部位以外の部位には低い音圧の超音波を照射することができる。
【0059】
なお、上記では、図3〜図5に例示したように、超音波プローブ10によって超音波が2次元に送信される例について説明した。しかし、第1の実施形態に係る超音波装置1は、超音波プローブ10によって超音波が3次元に送信される場合についても適用することができる。図8を用いて具体的に説明する。図8は、超音波が3次元に送信される場合における超音波装置1の処理を説明するための図である。
【0060】
なお、以下に説明する超音波装置1は、超音波プローブ10として、例えば、複数の圧電振動子が一列に配置された超音波プローブを機械的に揺動するメカニカルスキャンプローブや、複数の圧電振動子がマトリックス(格子)状に配置された超音波プローブ等を有するものとする。このような超音波プローブ10を有する超音波装置1は、3次元の超音波画像であるボリューム(Volume)画像を時系列に沿って生成し、生成したボリューム画像を表示する。
【0061】
図8に示した例において、超音波プローブ10は、超音波を送信する送信面M11に圧電振動子が配置される。図8に示した例では、超音波装置1は、超音波プローブ10が有する圧電振動子のうち、2次元の領域11aに配置された圧電振動子に特殊な送信条件の超音波を送信させることにより、3次元的に屈曲する血管B12に対して、遺伝子や薬物の浸透を促進させることができる。なお、図8の右上には、面M12の断層像を示し、図8の右下には、面M13の断層像を示す。
【0062】
ここで、超音波装置1では、超音波プローブ10によって3次元に送信される超音波の走査線毎に、超音波の送信条件を設定させることができる。そして、超音波装置1は、走査線毎に超音波の送信条件が設定された場合に、かかる走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。例えば、超音波装置1は、図8に示した血管B12のうち、部位T12と、部位T12以外の部位に対して、異なる送信条件の超音波を照射することができる。このように、超音波装置1は、3次元に任意形状で分布する治療対象に対して、特定の部位のみに、治療等に要する超音波を照射することができる。
【0063】
また、第1の実施形態に係る超音波装置1の制御部190は、被検体Pのボリューム画像と、断層像とを同一の画面上に表示制御してもよい。図9を用いて具体的に説明する。図9は、ボリューム画像及び断層像が並列表示された画面の一例を示す図である。図9に例示した画面G10では、タイトルに<3次元画像>と表示される領域にボリューム画像が表示され、タイトルに<A断面>と表示される領域にボリューム画像のA断面における断層像が表示され、タイトルに<B断面>と表示される領域にボリューム画像のB断面における断層像が表示される。
【0064】
超音波装置1は、ボリューム画像の断面位置を操作者に設定させ、設定された断面位置における断層像を画面G10に表示する。そして、超音波装置1は、画面G10を表示した状態において、3次元に送信される超音波の走査線毎における送信条件の設定を操作者から受け付ける。例えば、図9に示した例において、操作者は、B断面の断層像に表示されている部位T13に、治療用の超音波を照射するものとする。このとき、制御部190によって画面G10が表示制御されることにより、操作者は、ボリューム画像により治療部位全体を確認するとともに、断層像により治療用の超音波を照射する部位を確認しながら、超音波の送信条件を走査線毎に設定することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、超音波の送信条件を走査線毎に設定できる例について説明した。第2の実施形態では、超音波プローブ10の開口及び偏向を設定できる例について説明する。
【0066】
まず、図10を用いて、第2の実施形態における制御部290について説明する。図10は、第2の実施形態における制御部290の構成例を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係る超音波装置2の全体構成は、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、第2の実施形態に係る超音波装置2に接続される超音波プローブ10は、複数の圧電振動子がマトリックス(格子)状に配置されており、3次元空間に超音波を送信するものとする。
【0067】
図10に例示するように、制御部290は、受付部291と、プローブ制御部292とを有する。受付部291は、図2に示した受付部191と同様に、超音波プローブ10が送信する超音波の走査線毎に、かかる超音波の送信条件に関する設定内容を受け付ける。さらに、受付部291は、超音波プローブ10が有する複数の圧電振動子のうち超音波を送信する圧電振動子に関する設定内容を受け付けるとともに、超音波プローブ10から被検体Pに対して送信される超音波の偏向に関する設定内容を受け付ける。
【0068】
例えば、受付部291は、操作者によって入力装置20を介して、開口素子を選択する操作が行われた場合に、入力装置20から開口素子に関する設定内容を受け付ける。また、例えば、受付部291は、操作者によって入力装置20を介して、超音波の偏向を設定する操作が行われた場合に、入力装置20から超音波の偏向に関する設定内容を受け付ける。
【0069】
プローブ制御部292は、図2に示したプローブ制御部192と同様に、受付部291により受け付けられた走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。さらに、第2の実施形態におけるプローブ制御部292は、振動子制御部293と、偏向制御部294とを有する。
【0070】
振動子制御部293は、受付部291によって、超音波を送信する圧電振動子に関する設定内容が受け付けられた場合に、かかる設定内容が示す圧電振動子から超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。
【0071】
偏向制御部294は、受付部291によって、超音波の偏向に関する設定内容が受け付けられた場合に、かかる設定内容が示す偏向により超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。
【0072】
図11を用いて、第2の実施形態における制御部290による処理の一例について説明する。図11は、第2の実施形態における制御部290による処理の一例を説明するための図である。図11に示した例では、超音波プローブ10は、最初に、領域21aに配置された圧電振動子から、治療部位T21に対して超音波を照射しているものとする。このとき、領域21aと治療部位T21との間に骨が存在する場合には、領域21aに配置された圧電振動子から送信される超音波は、骨によって略全反射される。このため、領域21aに配置された圧電振動子から送信される超音波は、治療部位T21にほとんど照射されないこととなる。なお、以下では、超音波の進行を妨げるような骨等の部位を「障害部位」と表記する場合がある。
【0073】
ここで、第2の実施形態に係る超音波装置2は、超音波プローブ10が有する圧電振動子のうち超音波を送信する圧電振動子を操作者に設定させることができる。言い換えれば、超音波装置2は、開口素子を操作者に設定させることができる。例えば、操作者が、超音波を送信する圧電振動子を、領域21aに配置された圧電振動子から、領域21bに配置された圧電振動子に変更する操作を行ったものとする。かかる場合に、プローブ制御部292の振動子制御部293は、領域21bに配置された圧電振動子から超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する。
【0074】
また、第2の実施形態に係る超音波装置2は、超音波プローブ10によって送信される超音波の偏向を操作者に設定させることができる。例えば、領域21bに配置された圧電振動子から超音波が送信されている状態において、操作者が、超音波が治療部位T21に照射されるように超音波の偏向を設定したものとする。かかる場合に、プローブ制御部292の偏向制御部294は、図11の下図に示すように、超音波の走査線L21が走査線L22になるように超音波プローブ10を制御する。
【0075】
上述したように、第2の実施形態によれば、超音波装置2は、開口素子及び超音波の偏向に関する設定内容を受け付ける受付部291と、受付部291によって受け付けられた開口素子から超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する振動子制御部293と、受付部291によって受け付けられた偏向により超音波を送信するように超音波プローブ10を制御する偏向制御部294とを有するので、超音波の送信面と治療部位との間に障害部位が存在する場合であっても、治療部位に超音波を照射することができる。
【0076】
(第3の実施形態)
上記第2の実施形態では、超音波プローブ10の開口及び偏向を操作者に設定させる例について説明した。第3の実施形態では、超音波装置が、障害部位等が存在するか否かを検出し、障害部位等が存在する場合には、超音波の開口素子及び偏向を調整する例について説明する。
【0077】
まず、図12を用いて、第3の実施形態における制御部390について説明する。図12は、第3の実施形態における制御部390の構成例を示すブロック図である。なお、第3の実施形態に係る超音波装置3の全体構成は、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、以下では、既に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0078】
図12に例示するように、制御部390は、受付部291と、プローブ制御部392とを有する。プローブ制御部392は、障害部位検出部395と、振動子制御部393と、偏向制御部394とを有する。
【0079】
障害部位検出部395は、超音波が送信される超音波プローブ10の送信面と関心領域との間に、障害部位が存在するか否かを検出する。例えば、障害部位検出部395は、送信OFF時の受信信号と、送信ON時の受信信号とを比較することで、肋骨等の障害物で超音波が到達していない領域を判定する。なお、障害部位検出部395は、超音波プローブ10によって送信された超音波と、受信された反射波信号とを比較することにより、超音波プローブ10から送信された超音波が略全反射されたか否かを判定してもよい。そして、障害部位検出部395は、超音波が略全反射された場合には、超音波プローブ10の送信面と関心領域との間に障害部位が存在することを検出する。
【0080】
また、超音波が送信される超音波プローブ10の送信面と関心領域との間に障害部位が存在すると、障害部位で超音波が略全反射されるので、超音波画像には関心領域の画像が現れない。したがって、障害部位検出部395は、例えば、画像生成部140によって生成された超音波画像の輝度を算出し、関心領域の輝度が所定の閾値よりも低い場合に、障害部位から深さ方向に位置する関心領域の画像が現れていないと判定し、障害部位が存在することを検出してもよい。
【0081】
振動子制御部393は、障害部位検出部395によって障害部位が検出された場合に、超音波プローブ10が有する複数の圧電振動子のうち超音波を送信する圧電振動子を変動させる。なお、振動子制御部393は、超音波を送信する圧電振動子をランダムに変動してもよいし、所定の領域毎に順番に変動させてもよい。
【0082】
偏向制御部394は、障害部位検出部395によって障害部位が検出された場合に、超音波プローブ10によって送信される超音波が関心領域に照射されるように、超音波の偏向を変動させる。例えば、図11に示した例において、振動子制御部393によって、超音波を送信する圧電振動子が、領域21aに配置された圧電振動子から、領域21bに配置された圧電振動子に変更されたものとする。かかる場合に、偏向制御部394は、超音波の走査線L21が走査線L22になるように超音波の偏向を変更する。
【0083】
上述したように、第3の実施形態によれば、超音波装置3は、超音波の送信面と関心領域との間に障害部位が存在するか否かを検出する障害部位検出部395と、障害部位検出部395によって障害部位が検出された場合に、開口素子を変動させる振動子制御部393と、障害部位検出部395によって障害部位が検出された場合に、超音波の偏向を変動させる偏向制御部394とを有するので、超音波の送信面と治療部位との間に障害部位が存在する場合であっても、操作者に操作させることなく、治療部位に超音波を照射することができる。
【0084】
なお、上記第2及び第3の実施形態では、複数の圧電振動子がマトリックス(格子)状に配置された超音波プローブ10を例に挙げて説明したが、超音波装置2及び3は、メカニカルスキャンプローブが接続されてもよい。かかる場合には、超音波装置2及び3は、例えば、メカニカルスキャンプローブの開口素子を変動させる。
【0085】
(第4の実施形態)
上記第1の実施形態では、超音波の送信条件を操作者に設定させる例を示した。第4の実施形態では、超音波装置が、超音波の送信条件のパターンを複数保持し、操作者に送信条件のパターンを選択させる例について説明する。
【0086】
まず、図13を用いて、第4の実施形態における記憶部480及び制御部490について説明する。図13は、第4の実施形態における記憶部480及び制御部490の構成例を示すブロック図である。なお、第4の実施形態に係る超音波装置4の全体構成は、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0087】
図13に例示するように、記憶部480は、送信条件記憶部481を有する。送信条件記憶部481は、所定の走査範囲に含まれる走査線毎の送信条件群を複数の種類について記憶する。図14に、送信条件記憶部481の一例を示す。図14に例示するように、送信条件記憶部481は、パターンに対応付けて、走査線毎に超音波の送信条件を記憶する。ここで、パターンは、走査線毎の送信条件群の種類を示す。また、走査線は、超音波プローブ10から送信される超音波の走査線を示す。また、送信条件は、超音波プローブ10から送信される超音波の条件を示す。図14では、送信条件記憶部481が、送信条件として、超音波の音圧、周波数、繰り返し周波数(PRF)を記憶する例を示している。
【0088】
図14に例示した送信条件記憶部481は、パターン「PT11」として、走査線L11〜L15における超音波の音圧「P10」、周波数「F5」、PRF「RF10」を記憶する。なお、パターン「PT11」に対応する超音波の送信条件は、図3に例示した超音波の送信条件に対応する。また、パターン「PT12」によって示される超音波の送信条件は、図4に例示した超音波の送信条件に対応する。また、パターン「PT13」によって示される超音波の送信条件は、図5に例示した超音波の送信条件に対応する。
【0089】
図13の説明に戻って、制御部490は、受付部491と、プローブ制御部492とを有する。受付部491は、送信条件記憶部481に記憶されている送信条件群のパターンから選択されたパターンを受け付ける。具体的には、制御部490は、操作者によって送信条件の選択を行う旨の操作が行われた場合に、図14に例示したパターン及び送信条件をモニタ30に表示することで、操作者にパターンを選択させる。そして、受付部491は、操作者に選択された送信条件のパターンを入力装置20等から受け付ける。
【0090】
なお、受付部491は、送信条件のパターンを受け付けるとともに、選択された送信条件のパターンに含まれる各走査線を配置する関心領域の位置を受け付けてもよい。例えば、操作者によって、図14に例示したパターンPT11が選択されたものとする。かかる場合に、受付部491は、パターンPT11に含まれる走査線L11〜L15を関心領域のどの位置に配置するかを受け付けてもよい。このとき、受付部491は、走査線L11〜L15の一部について、関心領域に配置する位置を受け付けてもよい。例えば、受付部491は、走査線L11の位置が関心領域の左端であることと、走査線L15の位置が関心領域の右端であることを受け付けてもよい。
【0091】
プローブ制御部492は、受付部491によって送信条件群のパターンが受け付けられた場合に、かかるパターンに対応する送信条件に基づいて、超音波プローブ10を制御する。
【0092】
例えば、操作者によって、図14に例示したパターンPT12が選択されるとともに、走査線L11を関心領域の右端に配置し、走査線L15を関心領域の左端に配置する操作が行われたものとする。かかる場合に、プローブ制御部492は、図4に例示したように、関心領域の右端に音圧「P10」、周波数「F5」、繰り返し周波数「RF5」である超音波を送信するように、超音波プローブ10を制御する。また、プローブ制御部492は、関心領域の右端から2番目以降については、音圧「P5」、繰り返し周波数「RF5」である超音波を送信するように、超音波プローブ10を制御する。このとき、プローブ制御部492は、関心領域の左端に送信される超音波の周波数が「F9」になるように、関心領域の右端から関心領域の左端に向かって超音波の周波数が線形的に高くなるように、超音波プローブ10を制御する。
【0093】
次に、図15を用いて、第4の実施形態における制御部490による処理の手順について説明する。図15は、第4の実施形態における制御部490による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0094】
図15に示すように、超音波装置4の制御部490は、操作者によって送信条件の選択を行う旨の操作が行われたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、制御部490は、送信条件の選択を行う旨の操作が行われない場合には(ステップS301否定)、待機状態となる。
【0095】
一方、制御部490は、送信条件の選択を行う旨の操作が行われた場合には(ステップS301肯定)、送信条件記憶部481に記憶されているパターン及び送信条件をモニタ30に表示制御する(ステップS302)。これにより、制御部490は、操作者に送信条件のパターンを選択させる。
【0096】
そして、制御部490の受付部491は、操作者によって選択されたパターンを受け付けたか否かを判定する(ステップS303)。ここで、受付部491は、送信条件のパターンを受け付けない場合には(ステップS303否定)、待機状態となる。
【0097】
一方、受付部491によって、送信条件のパターンを選択する操作が受け付けられた場合には(ステップS303肯定)、プローブ制御部492は、選択された送信条件のパターンに基づいて、超音波プローブ10を制御する(ステップS304)。
【0098】
上述したように、第4の実施形態によれば、超音波装置4は、走査線毎の送信条件群を複数のパターンについて記憶する送信条件記憶部481と、操作者によって選択されたパターンに対応する走査線毎の送信条件群に基づいて超音波プローブ10を制御するプローブ制御部492とを有するので、操作者が走査線毎の送信条件を設定することなく、走査線毎に所定の送信条件により超音波を送信することができる。
【0099】
例えば、図14に例示した送信条件記憶部481のように、図3〜図5に例示した送信条件をパターンとして記憶する場合には、操作者に、図3〜図5に対応する送信条件のパターンを選択させることができる。これにより、超音波装置4は、操作者に送信条件のパターンが選択されるだけで、図3〜図5に例示した送信条件により超音波を送信することができるので、例えば、特定の部位に遺伝子や薬物が浸透することを促進させることができる。
【0100】
(第5の実施形態)
上記第4の実施形態では、超音波の送信条件のパターンを操作者に選択させる例を示した。第5の実施形態では、操作者に送信条件のパターンを選択させるとともに、一部の走査線における超音波の送信条件については操作者に設定させる例について説明する。
【0101】
まず、図16を用いて、第5の実施形態における記憶部580及び制御部590について説明する。図16は、第5の実施形態における記憶部580及び制御部590の構成例を示すブロック図である。なお、第5の実施形態に係る超音波装置5の全体構成は、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0102】
図16に例示するように、記憶部580は、決定条件記憶部581を有する。決定条件記憶部581は、所定の走査範囲に含まれる一部の走査線における送信条件が決定された場合に、かかる一部の走査線以外の他の走査線における送信条件を決定する決定条件を記憶する。
【0103】
図17に、決定条件記憶部581の一例を示す。図17に例示するように、決定条件記憶部581は、パターンに対応付けて、走査線毎に決定条件を記憶する。ここで、決定条件記憶部581の走査線には、例えば、「任意」、「他」、「右端」、「左端」といった項目が記憶される。かかる走査線に記憶される「任意」は、関心領域に送信される任意の走査線を示し、「他」は、同一のパターンに記憶されている走査線以外の走査線を示し、「右端」は、関心領域の右端に送信される任意の走査線を示し、「左端」は、関心領域の左端に送信される任意の走査線を示す。
【0104】
図17に例示した決定条件記憶部581のパターン「PT21」は、音圧、周波数、繰り返し周波数を操作者に設定させ、設定された音圧、周波数、繰り返し周波数を、関心領域に送信する超音波の送信条件とすることを示している。言い換えれば、パターン「PT21」は、関心領域に送信される超音波の音圧、周波数、繰り返し周波数が各走査線において全て同値であり、かかる音圧、周波数、繰り返し周波数を操作者に設定させることを示している。
【0105】
また、図17に例示した決定条件記憶部581のパターン「PT22」は、関心領域の右端及び左端における走査線の音圧を操作者に設定させ、関心領域の右端及び左端以外の走査線の音圧を「P5」とすることを示している。また、パターン「PT22」は、関心領域の右端及び左端における走査線の周波数を操作者に設定させ、関心領域の右端から関心領域の左端に向かって超音波の周波数が線形の関係になることを示している。また、パターン「PT22」は、関心領域の右端における走査線の繰り返し周波数を操作者に設定させ、設定された繰り返し周波数を関心領域内の全ての走査線の繰り返し周波数とすることを示している。
【0106】
図16の説明に戻って、制御部590は、受付部591と、プローブ制御部592とを有する。受付部591は、決定条件記憶部581に記憶されているパターンを選択する操作を受け付けるとともに、所定の送信条件を設定する操作を受け付ける。なお、ここでいう「所定の送信条件」とは、図17に例示した決定条件記憶部581の決定条件に「ユーザ設定」が記憶されている項目に該当する。
【0107】
具体的には、制御部590は、操作者によって送信条件の選択を行う旨の操作が行われた場合に、図17に例示したパターン及び送信条件を表示することで、操作者にパターンを選択させるとともに、所定の送信条件を操作者に設定させる。そして、受付部591は、操作者に選択された送信条件のパターンと、操作者に設定された送信条件とを受け付ける。
【0108】
例えば、操作者によって、図17に例示した決定条件記憶部581のパターンPT21が選択されたものとする。かかる場合に、受付部591は、パターンPT21が選択されたことを受け付けるとともに、操作者に設定された音圧、周波数、繰り返し周波数を受け付ける。また、例えば、操作者によって、図17に例示した決定条件記憶部581のパターンPT22が選択されたものとする。かかる場合に、受付部591は、パターンPT22が選択されたことを受け付けるとともに、関心領域の右端における走査線の音圧、周波数、繰り返し周波数と、関心領域の左端における走査線の音圧、周波数とを受け付ける。
【0109】
プローブ制御部592は、受付部591によって送信条件のパターンと、所定の送信条件が受け付けられた場合に、関心領域に送信する超音波の送信条件を決定し、決定した送信条件に基づいて、超音波プローブ10を制御する。
【0110】
例えば、受付部591によって、図17に例示したパターンPT21が受け付けられるとともに、音圧「P10」、周波数「F10」、繰り返し周波数「RF10」が受け付けられたものとする。かかる場合に、プローブ制御部592は、関心領域に送信する全ての走査線における超音波の音圧を「P10」とし、周波数を「F10」とし、繰り返し周波数を「RF10」とすることを決定し、かかる送信条件により超音波を送信するように、超音波プローブ10を制御する。すなわち、プローブ制御部592は、図3に例示した送信条件により超音波を送信するように、超音波プローブ10を制御する。
【0111】
また、例えば、受付部591によって、図17に例示したパターンPT22を選択する操作が受け付けられるとともに、走査線「右端」の音圧「P10」、周波数「F5」、繰り返し周波数「RF10」、走査線「左端」の音圧「P5」、周波数「F9」を設定する操作が受け付けられたものとする。かかる場合に、プローブ制御部592は、図4に例示した送信条件により超音波を送信するように、超音波プローブ10を制御する。
【0112】
次に、図18を用いて、第5の実施形態における制御部590による処理の手順について説明する。図18は、第5の実施形態における制御部590による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0113】
図18に示すように、超音波装置5の制御部590は、操作者によって送信条件の選択を行う旨の操作が行われたか否かを判定する(ステップS401)。ここで、制御部590は、送信条件の選択を行う旨の操作が行われない場合には(ステップS401否定)、待機状態となる。
【0114】
一方、制御部590は、送信条件の選択を行う旨の操作が行われた場合には(ステップS401肯定)、決定条件記憶部581に記憶されているパターン毎に、送信条件群を
モニタ30に表示制御する(ステップS402)。これにより、制御部590は、操作者に送信条件のパターンを選択させるとともに、所定の送信条件を設定させる。
【0115】
そして、制御部590の受付部591は、送信条件のパターンを選択する操作と、所定の送信条件を設定する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS403)。ここで、受付部591は、送信条件のパターンを選択する操作等を受け付けない場合には(ステップS403否定)、待機状態となる。
【0116】
一方、受付部591によって、送信条件のパターンを選択する操作と、所定の送信条件を設定する操作が受け付けられた場合には(ステップS403肯定)、プローブ制御部592は、操作者に設定された送信条件と、決定条件記憶部581に記憶されている各種情報に基づいて、関心領域に送信する超音波の送信条件を決定する(ステップS404)。そして、プローブ制御部592は、決定した送信条件に基づいて、超音波プローブ10を制御する(ステップS405)。
【0117】
上述したように、第5の実施形態によれば、超音波装置5は、一部の走査線における送信条件に基づいて他の走査線における送信条件を決定する決定条件を記憶する決定条件記憶部581と、操作者によって選択されたパターンと、操作者によって設定された一部の走査線における送信条件とに基づいて送信条件を決定し、決定した送信条件に基づいて超音波プローブ10を制御するプローブ制御部592とを有するので、操作者が簡易な送信条件を設定するだけで、走査線毎に所定の送信条件により超音波を送信することができる。
【0118】
なお、上記第1〜第5の実施形態に係る超音波装置は、関心領域内に存在する生体組織の移動を検出し、生体組織の移動に追従させて超音波を送信してもよい。具体的には、超音波装置は、画像生成部140によって生成された時相の異なる複数の超音波画像を用いて、動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルに基づいて生体組織の移動を検出する。そして、超音波装置は、生体組織の移動に追従させて、関心領域に送信する超音波の送信条件を変動させる。例えば、超音波装置は、図4に示した例において、治療部位T11が左側に「α」だけ移動したことを検出した場合には、走査線L11〜L15における超音波の送信条件を「α」だけ左にずらしてもよい。例えば、走査線L12における超音波の音圧を「P10」とし、周波数を「F5」としてもよい。これにより、超音波装置は、体動によって治療部位T11が移動した場合であっても、操作者が設定した送信条件の超音波を操作者が所望する部位に照射することができる。
【0119】
また、上記第1〜第5の実施形態に係る超音波装置は、操作者によって設定された送信条件により超音波を送信する前に、かかる送信条件により関心領域に送信されることが想定される超音波の分布を推定してもよい。そして、超音波装置は、推定した超音波の分布を、画像生成部140によって生成された超音波画像に重畳させてモニタ30に表示制御してもよい。例えば、超音波装置は、図5の上図に示したように、超音波が矢印により表された超音波画像にモニタ30に表示制御してもよい。また、例えば、超音波装置は、図11に示したように、超音波の分布が表された超音波画像にモニタ30に表示制御してもよい。また、上記第1〜第5の実施形態に係る超音波装置は、超音波の走査線毎における送信条件をモニタ30に表示制御してもよい。
【0120】
また、上記第1〜第5の実施形態では、マイクロバブルに薬物が付与される例を説明したが、マイクロバブルには遺伝子が付与されてもよい。すなわち、上記第1〜第5の実施形態に係る超音波装置は、細胞に薬物や遺伝子が浸透することを促進させることができる。なお、マイクロバブルに付与される物質の例としては、遺伝子、たんぱく質、生体内物質、薬剤、ナノ液滴等が挙げられる。
【0121】
また、図2、図10、図12、図13、図16に示した制御部が有する受付部及びプローブ制御部は、集積回路などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェア的にモジュール化されたソフトウェアプログラムにより実現されてもよい。
【0122】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、走査線毎に超音波の送信条件を受け付ける受付部と、走査線毎の送信条件によって超音波を送信するように超音波プローブを制御するプローブ制御部とを有することにより、マイクロバブルを用いて特定の部位に遺伝子や薬物が浸透することを促進させることができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 超音波装置
10 超音波プローブ
20 入力装置
100 装置本体
190 制御部
191 受付部
192 プローブ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブが送信する超音波の走査線毎に、該超音波の送信条件に関する設定内容を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた走査線毎の送信条件により、造影剤が投与された被検体に超音波を送信するように前記超音波プローブを制御するプローブ制御部と
を有することを特徴とする超音波装置。
【請求項2】
前記超音波プローブは、
前記被検体に対して、3次元に超音波を送信し、
前記受付部は、
前記超音波プローブが3次元に送信する超音波の走査線毎に、該超音波の送信条件に関する設定内容を受け付ける
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】
前記超音波プローブは、
超音波を送受信する振動子が2次元に配列され、
前記受付部は、
前記超音波プローブが有する複数の振動子のうち超音波を送信する振動子に関する設定内容を受け付けるとともに、前記超音波プローブから前記被検体に対して送信される超音波の偏向に関する設定内容を受け付け、
前記プローブ制御部は、
前記受付部によって振動子に関する設定内容が受け付けられた場合に、該設定内容が示す振動子から超音波を送信するように前記超音波プローブを制御する振動子制御部と、
前記受付部によって超音波の偏向に関する設定内容が受け付けられた場合に、該設定内容が示す偏向により超音波を送信するように前記超音波プローブを制御する偏向制御部とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波装置。
【請求項4】
前記超音波プローブは、
超音波を送受信する振動子が2次元に配列され、
前記プローブ制御部は、
超音波が送信される前記超音波プローブの送信面と、前記被検体内における関心領域との間に、前記超音波の進行を妨げる障害部位が存在するか否かを検出する障害部位検出部と、
前記障害部位検出部によって障害部位が検出された場合に、前記超音波プローブが有する複数の振動子のうち超音波を送信する振動子を変動させる振動子制御部と、
前記振動子制御部によって超音波を送信するように制御された振動子から送信される超音波が、前記関心領域に照射されるように該超音波の偏向を変動させる偏向制御部とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波装置。
【請求項5】
前記超音波プローブによって前記被検体に送信された超音波の反射波信号を用いて、前記被検体の3次元の超音波画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された3次元の超音波画像と、該3次元の超音波画像における1以上の断層像とを同時に表示制御する表示制御部と
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の超音波装置。
【請求項6】
前記超音波プローブによって前記被検体に送信された超音波の反射波信号を用いて、前記被検体の超音波画像を生成する画像生成部をさらに有し、
前記プローブ制御部は、
前記画像生成部によって生成された複数の超音波画像を用いて前記被検体における関心領域の移動を検出し、該関心領域の移動に追従させて超音波を送信するように前記超音波プローブを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
【請求項7】
前記超音波プローブによって前記被検体に送信された超音波の反射波信号を用いて、前記被検体の超音波画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された超音波画像を表示制御する表示制御部と
をさらに有し、
前記プローブ制御部は、
前記受付部によって走査線毎の送信条件に関する設定内容が受け付けられた場合に、該走査線毎の送信条件により前記被検体に送信されることが想定される超音波の分布を推定し、推定した超音波の分布を前記画像生成部により生成された超音波画像に重畳させて前記表示制御部に表示させる
を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
【請求項8】
所定の走査範囲に含まれる走査線毎の送信条件群を複数の種類について記憶する送信条件記憶部をさらに有し、
前記受付部は、
前記送信条件記憶部に記憶されている送信条件群の種類から選択された種類を受け付け、
前記プローブ制御部は、
前記受付部によって受け付けられた種類に対応する送信条件群に基づいて、前記超音波プローブを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
【請求項9】
所定の走査範囲に含まれる一部の走査線における送信条件が決定された場合に、該一部の走査線以外の他の走査線における送信条件を決定する決定条件を記憶する決定条件記憶部をさらに有し、
前記受付部は、
前記一部の走査線における送信条件に関する設定内容を受け付け、
前記プローブ制御部は、
前記受付部によって受け付けられた前記一部の走査線における送信条件と、前記決定条件記憶部に記憶されている決定条件とを用いて、前記他の走査線における送信条件を決定し、決定した他の走査線における送信条件と該一部の走査線における送信条件とに基づいて、前記超音波プローブを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−135522(P2012−135522A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291087(P2010−291087)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】