説明

超音波計測による骨塩量評価法

【課題】装置を小型、軽量、安価にし、使用者に簡易な測定が行え、経済的負担をかけない装置を提供する。
【解決手段】超音波を利用した測定で、手の指の骨密度を評価する装置とし、プローブ間隔を短くしたことで、小型、軽量化され、さらに部品数を減らすことで安価な装置となる。測定は、一対のプローブの間に手の指(第二指中節骨中央部の例)を挟み込むようにして設置し、超音波を送波し透過時間を測定し、この透過時間と固定されたプローブ間の距離から骨内部の透過伝播速度及び骨の剛性から骨密度及び骨強度を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波計測によって、骨密度及び骨強度を評価することができる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国では人口の高齢化がかなりの速度で進んでいる。この傾向は今後も進むと推察され、平成25年度には65歳以上人口割合が25.2%と国民の4人に1人、平成47年には3人に1人の割合の高齢者という超高齢化社会が到来すると予測されている。このため、加齢と共に発症率が増加する骨粗しょう症患者の急増は、医療分野において第2の生活習慣病として大きな問題となっている。骨粗しょう症は、骨のカルシウムなどの成分が少なくなり骨量の減少を生じ、強度低下に起因するひび割れや破損が起こりやすくなる病気で、女性で60歳以上の約30%、男性で10%の人が該当すると言われている。
【0003】
近年、骨塩量計測方法には、2重エネルギーX線吸収法(DXA)の他に超音波を利用して踵や腕を計測する方法が提案されている。2重エネルギーX線吸収法(DXA)では、放射線のリスクがあり、また、超音波を利用した評価法では、装置が大型で高価等の理由で検診を受ける機会が限られている。
【0004】
特に近年、人体に無害である超音波を用いて骨粗しょう症を評価する方法が提案されている。例えば、特に最近では、超音波を患者(被検者)に送波して透過した受波信号から骨内部の音速や減衰率を求め、これらを骨の症状の評価指標としたものが提案されている。(例えば、特開平6−339478号、特開平6−47044号、特開平8−280677号、特開平9−142887号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
骨粗しょう症は、国内では一千万人とされ、転倒骨折は65歳以上の要介護の原因としても、脳血管疾患、高齢による衰弱に次ぐ第3位となっておいる。上記高齢化の進展で医療費および介護費用は年々増加すると推測される。しかしながら、骨粗しょう症に対する効果的な治療方法はまだないが、早い時期に診察して発見することで、骨量および骨強度の減少を評価し、骨折の発生を予防することが重要となる。したがって、予防医学の見地から、X線被爆のリスクが無く、しかも病院等での高価な超音波測定器による健康診断に限られること無く、日常的に家庭等手軽に計測できる骨塩量(BMD)や骨密度(BAR)評価が望まれている。そこで、本発明は、骨粗しょう症の進行状態を超音波によって計測し、骨密度及び骨強度の評価ができる安価で小型の装置を提供することを目的としたものである。
【0006】
従来の超音波測定装置は、大型で持ち運びをするには重すぎる。
【0007】
従来主流であった超音波を使用した踵の骨密度を測定する装置では、測定部位である踵にゼリー等の接触媒質を塗布するために裸足になる必要があり、特に女性でストッキングを履いている場合に容易に測定することが出来ない場合が多い。
【0008】
従来の指骨を測定部位とした超音波測定装置では、指骨の骨格形状が複雑であるため、プローブ間隔が可動式のものでは、測定精度が不安定になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、人体に無害である超音波を用いて、患者(被検者)の骨内部の情報(骨塩量)を計測できるようにしたものである。具体的には、超音波により骨内部(手の指)の透過伝播速度を計測して、骨密度及び骨強度を超音波計測で評価できるようにしたものである。
【0010】
手の指骨を測定部位とすることで、他の測定部位よりプローブ間隔を短くすることができるため小型化でき、さらに、装置の部品数が減ることで安価に製造できる。
【0011】
手の指骨を測定部位とする装置にすることで、測定部が手の平程の大きさに小型・軽量化が可能となる。
【0012】
従来の超音波骨密度測定装置は踵骨を測定部位とすることが主体であったために、裸足になる、ストッキングを脱ぐといったことが必要であったが、手の指骨を測定部位とする装置にすることにより、手間や時間がかからなくなる。
【0013】
プローブ間隔を固定することで、測定毎のプローブ間隔の違いによる透過時間の誤差がなくなる。
【発明の効果】
【0014】
超音波によって骨内部を計測し、骨密度及び骨強度の評価をすることで、X線被爆を避け、しかも装置を安価で小型化したことで超音波による手軽な診断方法としての骨密度及び骨強度評価法の確立が期待できる。具体的には、骨粗しょう症の進行状態を日常的に家庭等で早い時期に診断して発見することで、骨密度及び骨強度の減少を評価し、骨折の発生を予防することが可能となる。
【0015】
安価に製造できる装置にすることで個人消費者にとっても購入しやすくなる。さらに、日常的な測定が可能となり、個人で骨粗しょう症の予防ができるようになる。
【0016】
小型・軽量化されたことにより、携帯性に優れた装置となる。
【0017】
指骨を測定部位とした装置にすることで、手間や時間がかからなくなったため、検診等で使用した場合に短時間で大人数を測定することが可能となる。
【0018】
プローブの間隔を固定の装置にしたことで、測定精度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の超音波測定装置の測定手段について図1のアルゴリズム及びソフトの仕組みを説明する。超音波測定装置はコンソールBOX(又はパソコン)と測定部で構成される。コンソールBOX(又はパソコン)は、性別、年齢、計測開始、計測中止、印刷の入力をするシートキーボード入力部、操作説明及び結果を表示するLCD表示部、サーマルプリンタによる印刷部、キーボードからのデータを送信、表示、印刷を受信するデータ送受信部から構成される。測定部は性別、年齢等の患者データ、指骨幅測定と透過の切り替え、測定データの処理から成る測定、基板、プローブ、ケーブル、LCD、キーボードの機能チェック、透過時間と固定されたプローブ間の距離から骨内部の透過伝播速度が得られ、透過伝播速度から指の骨密度を評価する測定用ソフトウェアシステム、超音波基板コントロール、A/D変換を行う基板コントロール部、画面・印刷データの送信、キーボードデータを受信するデータ送受信部から構成される。
【0020】
本発明の超音波測定装置について図2を用いて説明する。装置はコンソールBOX1と測定部2で構成され、測定部2にはプローブ3、4の間隔が15mmから17mmで固定されて設置してあり、このプローブの間に、図3に示す測定部位5である手の指(手の第二指中節骨中央部の例)およびプローブにゼリー等の接触媒質を塗って(水中での測定の場合には塗らなくてよい)指を挟みこむようにして設置し、プローブ間に超音波を送波する。測定は80dBで行い、送信プローブ3から超音波が送波され受信プローブ4で得られる第1波までの透過時間を図4に示す。
【実施例1】
【0021】
例えば、図5に示すような測定部に、両側に間隔が固定して設置された一対のプローブ3、4の間にゼリー等の接触媒質を充填し、手の指を測定部位がプローブの間にくるように設置する。実施例1と同様に、プローブ間に超音波を送波して、透過時間と固定されたプローブ間の距離から骨内部の透過伝播速度及び骨の剛性を計測し、骨密度及び骨強度を評価する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のシステムの基本構造を示す説明図である。
【図2】本発明の装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の装置での測定部位を示す説明図である。
【図4】本発明の透過時間の説明図である。
【図5】本発明の実施方法を示す説明図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0023】
1 コンソールBOX
2 測定部
3 送信プローブ
4 受信プローブ
5 測定部位(手の第二指中節骨中央部の例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムされたコンピュータによって骨塩量を評価するする方法であって、超音波により指(両手)の骨内部の透過伝播速度及び骨の剛性を計測して骨密度及び骨強度を求める手段

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−244920(P2011−244920A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119210(P2010−119210)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(397009118)株式会社センサ (12)
【Fターム(参考)】