説明

超音波診断装置、医用画像処理装置および医用画像処理プログラム

【課題】スポンティニュアスエコーによる影響を低減した超音波画像を発生する機能を有する超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブと、駆動信号を超音波振動子各々に供給しエコー信号に基づいて受信信号を発生する送受信部と、受信信号から高調波信号と基本波信号とを抽出する信号抽出部と、高調波信号の振幅に対応する値と基本波信号の振幅に対応する値とに基づいて、特徴量を、被走査領域に亘って計算する計算部と、特徴量と所定の閾値とに基づいて被走査領域における所定領域を決定する領域決定部と、所定領域における高調波信号の振幅に対応する値を変更する変更部と、変更された高調波信号の振幅に対応する値を有する所定領域を含む被走査領域における高調波信号に基づいて、補正高調波画像を発生する画像発生部と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エコー信号の非線形特性に基づいて超音波画像を発生する機能を有する超音波診断装置、医用画像処理装置および医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の生体組織からのエコー信号に含まれる2次高調波成分(Tissue Harmonic)を画像化する技術(Tissue Harmonic Imaging:以下THIと呼ぶ)がある。2次高調波成分は、音圧の2乗に比例する。そのため、THIは、サイドローブなどのアーティファクトが低減された超音波画像を発生させることができる。
【0003】
超音波の減衰が少ない部位をスキャンした場合に、血流のような微弱な反射エコー(以下、スポンティニュアスエコーと呼ぶ)もTHIによる超音波画像に表示されることがある。このスポンティニュアスエコーの表示は、操作者による超音波画像の観察を困難にする問題がある。例えばスポンティニュアスエコーが血液からの反射エコーであって強度が大きい場合、上記部位が被検体の生体組織と判定され、本来の血流部分にカラー像が表示されなくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−18161号公報
【特許文献2】特開2010−17406号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】阿比留巌、鎌倉友男共著「超音波パルスの非線形伝搬」信学技法、US89−23、p53、1989.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的は、スポンティニュアスエコーによる影響を低減した超音波画像を発生する機能を有する超音波診断装置、医用画像処理装置および医用画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る超音波診断装置は、駆動信号に応答して超音波を発生しかつ受信した超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、前記駆動信号を前記超音波振動子各々に供給し、前記エコー信号に基づいて受信信号を発生する送受信部と、前記受信信号から、高調波信号と基本波信号とを抽出する信号抽出部と、前記高調波信号の振幅に対応する値と前記基本波信号の振幅に対応する値とに基づいて、特徴量を、被走査領域に亘って計算する計算部と、前記特徴量と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域を決定する領域決定部と、前記所定領域における前記高調波信号の振幅に対応する値を変更する変更部と、前記変更された高調波信号の振幅に対応する値を有する所定領域を含む前記被走査領域における高調波信号に基づいて、補正高調波画像を発生する画像発生部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係り、差分値フレームデータと所定の閾値とに基づいて、補正高調波画像を発生させる処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態に係り、高調波フレームデータに基づいて発生された高調波画像(2次高調波像)の一例である
【図4】図4は、第1の実施形態に係り、基本波フレームデータに基づいて発生された基本波画像(基本波像)の一例である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係り、差分値フレームデータに基づいて発生された差分値像の一例である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係り、高調波補正フレームデータに基づいて発生された補正高調波画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係り、構造物エコーおよびスポンティニュアスエコーに対する差分値の正負の対応表の一例を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係り、差分値フレームデータと所定の閾値とに基づいて、補正高調波画像を発生させる処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ11、装置本体12、表示部13、装置本体12に接続され操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体12に取り込むための入力部14を有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、インターフェース部31を介して接続されてもよい。
【0011】
超音波プローブ11は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、後述する送受信部から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。圧電振動子は、被検体の生体組織で反射された超音波(以下、反射波と呼ぶ)の受信に応答して、エコー信号を発生する。
【0012】
装置本体12は、送受信部21、Bモード処理部23、記憶部31、計算部33、領域決定部35、変更部37、画像発生部39、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)41、インターフェース部43を有する。なお、装置本体12は、ドプラ信号を発生するドプラ処理部(図示していない)を有していてもよい。
【0013】
送受信部21は、図示していないトリガ発生回路、送信遅延回路、パルサ回路、プリアンプ回路、アナログディジタル(Analog to Digital:以下A/Dと呼ぶ)変換器、受信遅延回路、加算器等有する。パルサ回路は、所定のレート周波数で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。パルス発生器は、例えば5kHzのレート周波数でレートパルスを繰り返し発生する。このレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。送信遅延回路は、チャンネル毎に超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を、各レートパルスに与える。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11の振動子ごとに電圧パルスを印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。
【0014】
プリアンプ回路は、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体からのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号をディジタル信号に変換する。受信遅延回路は、ディジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のエコー信号を加算する。この加算により、送受信部21は、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号を発生する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性により、いわゆる「超音波走査線」が決まる)。なお、送受信部21は、1回の超音波送信で複数の走査線上に生じたエコー信号を同時に受信する並列受信機能を有していてもよい。
【0015】
Bモード処理部23は、信号抽出部231、包絡線検波器233、対数変換器235などを有する。信号抽出部231は、受信信号から基本波信号と高調波信号とを抽出する。基本波信号とは、送信超音波の中心周波数(以下、基本周波数と呼ぶ)と等しい周波数を有する受信信号である。高調波信号とは、基本周波数の任意の整数倍と等しい周波数を有する受信信号である。以下、説明を簡単にするために、抽出される高調波信号は、基本周波数の2倍の周波数を有する受信信号(以下、2次高調波信号と呼ぶ)とする。
【0016】
具体的には、信号抽出部231は、例えば帯域制限フィルタにより基本波信号と3次以上の高調波信号をカットし、受信信号から2次高調波信号を抽出する。信号抽出部231は、例えば帯域制限フィルタにより高調波信号をカットし、受信信号から基本波信号を抽出する。信号抽出部231は、抽出した基本波信号と2次高調波信号とをそれぞれ包絡線検波器233に出力する。
【0017】
包絡線検波器233は、信号抽出部231から出力された基本波信号および2次高調波信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器233は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器235に出力する。なお、包絡線検波器233は、包絡線検波された信号を、後述する記憶部31に出力してもよい。
【0018】
対数変換器235は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。対数変換された信号は、後述する記憶部31と、画像発生部39とに出力される。
【0019】
記憶部31は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、本超音波診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、基本波信号に関する対数変換されたデータ(以下、基本波データと呼ぶ)、2次高調波信号に関する対数変換されたデータ(以下、高調波データと呼ぶ)、後述する画像発生部39で発生された超音波画像、後述する計算部33で用いられる計算プログラム、後述する領域決定部35で用いられる所定の閾値、後述する変更部37で用いられる所定の値、計算部33と領域決定部35と変更部37とを制御するための画像処理プログラムなどを記憶する。記憶部31は、基本波データをフレームごとに記憶する。以下、1フレームにおける基本波データの集合を基本波フレームデータ呼ぶ。記憶部31は、高調波データをフレームごとに記憶する。以下、1フレームにおける高調波データの集合を高調波フレームデータ呼ぶ。なお、記憶部31は、基本波信号に関して包絡線検波された信号と2次高調波信号に関して包絡線検波された信号とを、フレームごとに記憶してもよい。
【0020】
計算部33は、高調波データの振幅に対応する値と基本波データの振幅に対応する値とに基づいて、特徴量を被走査領域(フレーム)に亘って計算する。特徴量とは振幅に関する量である。例えば、振幅に関する特徴量とは、高調波データの振幅に対応する値と基本波データの振幅に対応する値との差分値(Diff(x、y))である。上記文章におけるxは、例えば、超音波スキャンの走査線信号列における深さ方向の座標を示し、yは、走査方向の座標を示す。なお、座標xと座標yとは、後述する画像発生部39で発生される超音波画像上における座標であってもよい。この時、高調波データの振幅に対応する値は、画像発生部39により高調波データに基づいて発生された高調波画像における座標と関連付けられている。また、基本波データの振幅に対応する値は、画像発生部39により基本波データに基づいて発生された基本波画像における座標と関連付けられている。
【0021】
振幅に対応する値とは、例えば振幅値である。なお、振幅値の代わりに画素値、輝度値であってもよい。加えて、説明を具体的にするために、被走査領域は、被検体の心臓とする。なお、計算部33は、後述する画像発生部39で発生された基本波画像における画素値と高調波画像における画素値とに基づいて定まる特徴量を、画像全域にわたって計算してもよい。
【0022】
具体的には、計算部33は、記憶部31に記憶された基本波フレームデータを読み出す。計算部33は、記憶部31に記憶された高調波フレームデータを読み出す。計算部33は、高調波フレームデータにおける振幅値(以下、高調振幅値(Harm(x、y))と呼ぶ)から基本波フレームデータにおける振幅値(以下、基本振幅値(Fund(x、y))と呼ぶ)を差分する。すなわち差分値Diff(x、y)は、Diff(x、y)=Harm(x、y)−Fund(x、y)で計算される。なお、計算部33は、基本振幅値から高調振幅値を差分してもよい。また、計算部33は、差分値の絶対値を計算してもよい。上記差分により、計算部33は、深さ方向の座標(x)と走査方向の座標(y)とで規定される被走査領域上の各位置における差分値の集合(以下、差分値フレームデータと呼ぶ)を、フレームごとに発生する。なお、複数フレームに亘って受信信号が収集される場合、上記計算は、複数フレーム各々について計算される。
【0023】
領域決定部35は、被走査領域上の各位置における差分値と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域を決定する。具体的には、領域決定部35は、記憶部31に記憶された所定の閾値を読み出す。領域決定部35は、差分値フレームデータにおける差分値各々と所定の閾値とを比較する。領域決定部35は、所定の閾値以上である差分値に関する被走査領域上の位置(x、y)を特定する。所定の閾値は、操作者により後述する入力部14介して、適宜変更可能である。領域決定部35は、特定された位置から構成される領域を決定する。すなわち所定領域とは、特定された位置から構成される領域のことである。
【0024】
高調振幅値から基本振幅値を差分した場合に関する所定領域について説明する。一般的に、心筋などの構造物からの反射エコー(以下、構造物エコーと呼ぶ)の振幅値を基準とすると、心腔内の血流からの反射エコー(以下、スポンティニュアスエコーと呼ぶ)の振幅値は相対的に低い。この構造物エコーとスポンティニュアスエコーの振幅差は、基本振幅値の場合には比較的大きいが、高調振幅値の場合には相対的に小さくなる場合がある。従って、高調振幅値から基本振幅値を差分すると、構造物エコーの高調波振幅値から基本波振幅値を差分した値と、スポンティニュアスエコーの高調波振幅値から基本波振幅値を差分した値には差が生じるため、差分値が所定の閾値以上となる被走査領域上の位置から構成される所定領域は、スポンティニュアスエコーが存在する領域に対応する。なお、差分の順序が逆の場合、スポンティニュアスエコーが存在する領域は、差分値が所定の閾値以下となる領域に対応する。
【0025】
変更部37は、領域決定部35により決定された所定領域における高調波フレームデータの振幅に対応する値を、所定の値に変更する。振幅に対応する値とは、例えば振幅値、画素値、輝度値などである。以下、振幅に対応する値として、高調振幅値を用いて説明する。画素値、輝度値を用いた計算については、後の変形例で詳述する。所定の値とは、例えばゼロである。なお、変更部37は、所定領域における高調振幅値を、差分値の大きさに応じた値に変更することも可能である。具体的には、変更部37は、高調波フレームデータのうち所定領域に含まれる高調振幅値を、ゼロに変更する。以下、所定領域内の高調振幅値をゼロに変更した高調波フレームデータを高調波補正フレームデータと呼ぶ。
【0026】
なお、変更部37は、所定領域における基本波信号の振幅に対応する値を、所定の値に変更してもよい。以下、所定領域内の高調振幅値をゼロに変更した基本波フレームデータを基本波補正フレームデータと呼ぶ。また、変更部37は、後述する画像発生部39で発生された超音波画像に対して、所定領域の階調、明度、輝度値、または画素値などを所定の値に変更してもよい。
【0027】
画像発生部39は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を発生する。画像発生部39は、高調波補正フレームデータに基づいて、補正高調波画像を発生する。なお、画像発生部39は、高調波データに基づいて、高調波画像を発生してもよい。また、画像発生部39は、高調波補正フレームデータに基づいて、補正高調波画像を発生してもよい。加えて、画像発生部39は、基本波データに基づいて基本波画像を発生してもよい。画像発生部39は、補正高調波画像に高調波画像を重畳させた重畳高調波画像を発生させてもよい。また、画像発生部39は、補正基本波画像に基本波画像を重畳させた重畳基本波画像を発生させてもよい。画像発生部39は、例えば、所定領域外の画素値に赤(Red)と緑(Green)とを割り当てた補正高調波画像に、画素値に青(Blue)を割り当てた高調波画像を重畳させた重畳高調波画像を、発生させてもよい。この時、重畳高調波画像の所定領域外は白で表示され、所定領域は青で表示される。
【0028】
なお、画像発生部39は、図示していないドプラ処理部から出力されたカラードプラ信号に基づいて、カラードプラ画像を発生してもよい。また、画像発生部39は、高調波画像または補正高調波画像の所定領域にカラードプラ画像を重畳したドプラ重畳画像を発生することも可能である。
【0029】
CPU41は、操作者により入力部14から入力されたモード選択、受信遅延パターンリストの選択、送信開始・終了に基づいて、記憶部31に記憶された送受信条件と装置制御プログラムを読み出し、これらに従って装置本体12を制御する。なお、CPU41は、記憶部31から読み出した画像処理プログラムに従って、計算部33と領域決定部35と変更部37とを制御してもよい。
【0030】
インターフェース部43は、入力部14、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。装置本体12によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、インターフェース部43とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。
【0031】
表示部13は、画像発生部39からの出力に基づいて、補正高調波画像、高調波画像、補正基本波画像、基本波画像、重畳高調波画像、重畳基本波画像などの超音波画像を表示する。
【0032】
入力部14は、インターフェース部43に接続され操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体12に取り込む。入力部14は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をCPU41に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部14は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU41に出力する。また、操作者が入力部14の終了ボタンまたはFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、装置本体12は一時停止状態となる。なお、入力部14は、操作者の指示に従って、装置本体12に所定の閾値を入力してもよい。また、入力部14は、所定領域の階調を操作者の指示に従って調整するためのダイアルを有していてもよい。
【0033】
(所定領域決定機能)
所定領域決定機能とは、受信信号から抽出された高調波信号と基本波信号とに基づいて、被走査領域におけるスポンティニュアスエコーに関する領域を決定する機能である。以下、所定領域決定機能に関する処理(以下、所定領域決定処理と呼ぶ)を説明する。
【0034】
図2は、所定領域決定処理の流れを示すフローチャートである。
被検体に対する超音波送受信に先立って、入力部14を介した操作者の指示により、患者情報の入力、送受信条件、種々の超音波データ収集条件の設定および更新などが実行される。これらの設定および更新は、記憶部31に記憶される。これらの入力/選択/設定が終了したならば、操作者は超音波プローブ11を被検体体表面の所定の位置に当接する。次いで送受信部21により、超音波を発生させるための駆動信号が超音波振動子に供給される。この駆動信号により、被検体に超音波が送信される。
【0035】
被検体に送信された超音波に対応する反射波の受信(すなわち超音波スキャン)に基づいて、エコー信号が発生される。発生されたエコー信号に基づいて、受信信号が発生される(ステップSa1)。
【0036】
受信信号から高調波信号と基本波信号とが抽出される(ステップSa2)。高調波信号に基づいて、高調波フレームデータが発生される(ステップSa3)。図3は、高調波フレームデータに基づいて発生された高調波画像(2次高調波像)の一例である。基本波信号に基づいて、基本波フレームデータが発生される(ステップSa4)。図4は、基本波フレームデータに基づいて発生された基本波画像(基本波像)の一例である。なお、図3と図4とにおける超音波画像は、心筋が同じ輝度となるようにゲイン補正されている。図3と図4とにおいて、異なる輝度の領域は、主にスポンティニュアスエコーによる像を示している。
【0037】
高調波フレームデータから基本波フレームデータを減算した差分値フレームデータが発生される(ステップSa5)。図5は、差分値フレームデータに基づいて発生された差分値像の一例である。図5における差分値像は、スポンティニュアスエコーによる像を容易に視認できるようにゲイン補正されている。差分値フレームデータと所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域が決定される(ステップSa6)。所定の閾値とは、例えばゼロである。この所定領域は、スポンティニュアスエコーが存在する領域を示している。所定領域における高調波フレームデータの振幅値を所定の値に変更した高調波補正フレームデータが発生される(ステップSa7)。高調波補正フレームデータに基づいて、補正高調波画像が発生される(ステップSa8)。図6は、高調波補正フレームデータに基づいて発生された補正高調波画像の一例を示す図である。図3と図6とを比較すると、スポンティニュアスエコーによる像が低減されていることが明確となる。
【0038】
(変形例)
第1の実施形態との相違は、決定された所定領域に基づいて、高調波画像における所定領域内の画素値の明度を所定の明度に変更することである。明度とは、例えば階調である。なお、画素値の明度の替わりに、輝度値、画素値などであってもよい。以下、第1の実施形態と異なる動作を行う構成要素について説明する。
【0039】
変更部37は、高調波画像における所定領域内の画素値の明度を、所定の値に変更する。所定の値とは、例えばゼロである。なお、変更部37は、基本波画像における所定領域内の画素値の明度を、所定の値に変更してもよい。なお、変更部37は、高調波画像における所定領域内の輝度値を、所定の輝度値に変更してもよい。所定の輝度値とは、例えば輝度の最小値または最大値である。また、変更部37は、基本波画像における所定領域内の輝度値を、所定の輝度値に変更してもよい。なお、変更部37は、表示された高調波画像における所定領域内の画素値を、所定の画素値に変更してもよい。また、変更部37は、所定領域における高調波信号の振幅に対応する値を、所定領域を除いた被走査領域の明度に比べて低い明度で表示される所定の値に変更してもよい。
【0040】
表示部13は、所定領域内の画素値の明度を変更した高調波画像を表示する。表示部13は、所定領域内の画素値の明度を変更した基本波画像を表示する。
【0041】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、高調波信号と基本波信号とを用いることにより、スポンティニュアスエコーが存在する領域を決定することができる。決定された領域における振幅値または明度を変更することにより、スポンティニュアスエコーによる影響を低減した超音波画像を発生させることができる。これにより、本超音波診断装置1によれば、高調波画像などのBモード画像において、例えば心臓の弁の動きの視認性および心臓の内膜などの構造物の視認性が向上する。加えて、高調波画像または補正高調波画像の所定領域にカラードプラ画像を重畳したドプラ重畳画像を発生することも可能である。これにより、本来の血流部分にカラードプラ画像を重畳させることが可能となる。これにより、本来の血流部分にカラードプラ画像を表示させることが可能となる。
【0042】
また、上記実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置で実現する場合には、例えば図1の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。この時、所定領域決定における各処理は、ステップSa1における処理が記憶部31から受信信号を読み出すことに変更されることを除いて、第1の実施形態および変形例と同様である。加えて、各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0043】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、第2の実施形態を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の構成の一例を示す図である。
第2の実施形態と第1の実施形態との構成要素の相違は、フィルタ部25を有することである。以下、第2の実施形態と第1の実施形態との構成要素において、異なる動作を行う構成要素について説明する。
【0044】
フィルタ部25は、記憶部31に記憶された高調波フレームデータを空間フィルタにかけた第1フレームデータを発生する。フィルタ部25は、記憶部31に記憶された基本波フレームデータを空間フィルタにかけた第2フレームデータを発生する。空間フィルタとは、例えばローパスフィルタ(Low Pass Filter:以下LPFと呼ぶ)である。LPFは、基本波フレームデータおよび高調波フレームデータを、空間的に円滑化する。例えば、LPFは心筋のスペックルノイズを抑制する。
【0045】
計算部33は、第1フレームデータに含まれる複数の振幅値(HarmA(x、y))を用いて、平均値(以下第1平均値と呼ぶ)を計算する。第1平均値は、第1フレームデータにおける複数の振幅値についての和(Σx、y(HarmA(x、y)))を、第1フレームデータの標本数で除すことで計算される。計算部33は、第2フレームデータに含まれる複数の振幅値(FundA(x、y))を用いて、平均値(以下第2平均値と呼ぶ)を計算する。第2平均値は、第2フレームデータにおける複数の振幅値についての和(Σx、y(FundA(x、y)))を、第2フレームデータの標本数で除すことで計算される。
【0046】
計算部33は、第1フレームデータに含まれる複数の振幅値(HarmA(x、y))各々を、第1平均値で規格化する。以下第1平均値で規格化された第1フレームデータを第1規格化フレームデータと呼ぶ。計算部33は、第2フレームデータに含まれる複数の振幅値各々を、第2平均値で規格化する。以下第2平均値で規格化された第2フレームデータを第2規格化フレームデータと呼ぶ。
【0047】
この規格化により、第1規格化フレームデータにおける振幅(HarmN(x、y))の平均値は、第2規格化フレームデータにおける振幅(FundN(x、y))の平均値とほぼ同一になる。このとき、例えば心筋のような構造物について第1規格化フレームデータにおける振幅値(HarmN(x、y))は、被走査領域の同じ位置に対して、第2規格化フレームデータにおける振幅値(FundN(x、y))と同じになる。例えば、第1規格化フレームデータに基づいて発生された画像と第2規格化フレームデータに基づいて発生された画像とを比較した場合、構造物は同じ輝度で表示される。すなわち、図3の2次高調波画像における構造物の輝度と図4の基本波画像における構造物の輝度とは、被走査領域の同じ位置に対してほぼ同一となる。
【0048】
計算部33は、第1規格化フレームデータにおける振幅値(HarmN(x、y))と第2規格化フレームデータにおける振幅値(FundN(x、y))とに基づいて定まる特徴量を計算する。特徴量とは、例えば、第1規格化フレームデータにおける振幅値(HarmN(x、y))から第2規格化フレームデータにおける振幅値(FundN(x、y))を差分した第1差分値(Diff(x、y))である。計算部33は、深さ方向の座標(x)と走査方向の座標(y)とで規定される被走査領域上の各位置における第1差分値の集合(以下、第3フレームデータと呼ぶ)を、フレームごとに発生する。計算部33は、規格化された第1、第2フレームデータにおける振幅値の差分を計算しているため、心筋のような構造物に関する振幅値は、ほぼゼロとなる。第3フレームデータにおいてゼロでない振幅値は、スポンティニュアスエコーに起因する振幅値である。
【0049】
領域決定部35は、第3フレームデータにおける第1差分値(Diff(x、y))と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域を決定する。具体的には、領域決定部35は、記憶部31に記憶された所定の閾値を読み出す。領域決定部35は、第3フレームデータにおける第1差分値各々と所定の閾値とを比較する。領域決定部35は、所定の閾値以上である第1差分値に関する被走査領域上の位置(x、y)を特定する。領域決定部35は、特定された位置から構成される領域を決定する。すなわち所定領域とは、特定された位置から構成される領域のことである。
【0050】
第2の実施形態では、所定の閾値をゼロにすることが可能である。規格化のため、構造物エコーに起因する振幅値は、第1規格化フレームデータと第2規格化フレームデータとでほぼ等しくなる。一方、スポンティニュアスエコーに起因する第1規格化フレームデータにおける振幅値は、第2規格化フレームデータにおける振幅値より大きい。従って、第1差分値が正となる被走査領域上の位置から構成される所定領域は、スポンティニュアスエコーが存在する領域に対応する。なお、差分の順序が逆の場合、スポンティニュアスエコーが存在する領域は、第1差分値が負となる領域に対応する。図8は、差分の順序の差異により、構造物エコーおよびスポンティニュアスエコーに対する第1差分値の正負の対応表の一例を示す図である。
【0051】
変更部37は、所定領域に対応する高調波フレームデータの振幅に対応する値を、所定の値に変更する。振幅に対応する値とは、例えば振幅値である。なお、振幅に対応する値は、画素値、輝度値などでもよい。以下、振幅に対応する値として、高調波フレームデータにおける振幅値(以下、高調振幅値(Harm(x、y))と呼ぶ)を用いて説明する。所定の値とは、例えば、所定領域内における高調振幅値から第3フレームデータにおける第1差分値を差分した第2差分値である。なお、第2差分値は、上記計算部33で計算されてもよい。以下、所定領域内の高調振幅値を第2差分値に変更した高調波フレームデータを高調波補正フレームデータと呼ぶ。
【0052】
画像発生部39は、高調波補正フレームデータに基づいて、補正高調波画像を発生する。なお、画像発生部39は、高調波フレームデータと所定領域に基づいて、所定領域の階調を所定の値に変更した高調波画像を発生することも可能である。なお、画像発生部39は、図示していないドプラ処理部から出力されたカラードプラ信号に基づいて、カラードプラ画像を発生してもよい。また、画像発生部39は、高調波画像または補正高調波画像の所定領域にカラードプラ画像を重畳したドプラ重畳画像を発生することも可能である。
【0053】
(所定領域決定機能)
所定領域決定機能とは、受信信号から抽出された高調波信号と基本波信号とに基づいて、被走査領域におけるスポンティニュアスエコーに関する領域を決定する機能である。以下、所定領域決定機能に関する処理(以下、所定領域決定処理と呼ぶ)を説明する。
【0054】
図9は、所定領域決定処理の流れを示すフローチャートである。
送受信部21により発生された受信信号から、高調波信号と基本波信号とが抽出される。高調波信号に基づいて、高調波フレームデータが発生される。基本波信号に基づいて、基本波フレームデータが発生される。高調波フレームデータと基本波フレームデータとに対してそれぞれフィルタ処理が実行され、第1、第2フレームデータがそれぞれ発生される(ステップSb1)。
【0055】
第1フレームデータにおける複数の振幅値を用いて第1平均値が計算される(ステップSb2)。第2フレームデータにおける複数の振幅値を用いて第2平均値が計算される(ステップSb3)。第1フレームデータを第1平均値で規格化した第1規格化フレームデータと、第2フレームデータを第2平均値で規格化した第2規格化フレームデータとが、発生される(ステップSb4)。第1規格化フレームデータにおける振幅値から第2規格化フレームデータにおける振幅値を差分した第1差分値からなる第3フレームデータが発生される(ステップSb5)。第3フレームデータにおける第1差分値各々と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域が決定される(ステップSb6)。
【0056】
所定領域において、高調波フレームデータにおける振幅値から第3フレームデータの第1差分値を差分した第2差分値が計算される(ステップSb7)。所定領域内の高調波フレームデータにおける振幅値を、第2差分値に変更した補正高調波フレームデータが発生される(ステップSb8)。補正高調波フレームデータに基づいて、補正高調波画像が派生される(ステップSb9)。
【0057】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、高調波信号と基本波信号に対して、スペックルノイズなどのノイズを除去するためにフィルタがかけられる。次いで、フィルタリングが実行された高調波信号と基本波信号とに対して、高調波信号と基本波信号とにおける構造物に関する振幅差を低減させるために、それぞれの振幅の平均値で規格化される。規格化された高調波信号と規格化された基本波信号とを用いることにより、スポンティニュアスエコーによる振幅値の増分を導出することができる。これにより、スポンティニュアスエコーが存在する領域を決定することができる。加えて、決定された領域における高調波信号からスポンティニュアスエコーによる振幅値の増分を減じることにより、スポンティニュアスエコーによる影響を低減した超音波画像を発生させることができる。これにより、本超音波診断装置1によれば、高調波画像などのBモード画像において、例えば心臓の弁の動きの視認性および心臓の内膜などの構造物の視認性が向上する。加えて、高調波画像または補正高調波画像の所定領域にカラードプラ画像を重畳したドプラ重畳画像を発生することも可能である。これにより、本来の血流部分にカラードプラ画像を重畳させることが可能となる。これにより、本来の血流部分にカラードプラ画像を表示させることが可能となる。
【0058】
また、上記実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置で実現する場合には、例えば図7の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。この時、所定領域決定における各処理は、ステップSb1における処理が記憶部31から第1、第2フレームデータを読み出すことに変更されることを除いて、第2の実施形態と同様である。加えて、各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…超音波診断装置、11…超音波プローブ、12…装置本体、13…表示部、14…入力部、21…送受信部、23…Bモード処理部、25…フィルタ部、31…記憶部、33…計算部、35…領域決定部、37…変更部、39…画像発生部、41…制御プロセッサ(CPU)、43…インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号に応答して超音波を発生しかつ受信した超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記駆動信号を前記超音波振動子各々に供給し、前記エコー信号に基づいて受信信号を発生する送受信部と、
前記受信信号から、高調波信号と基本波信号とを抽出する信号抽出部と、
前記高調波信号の振幅に対応する値と前記基本波信号の振幅に対応する値とに基づいて、特徴量を、被走査領域に亘って計算する計算部と、
前記特徴量と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域を決定する領域決定部と、
前記所定領域における前記高調波信号の振幅に対応する値を変更する変更部と、
前記変更された高調波信号の振幅に対応する値を有する所定領域を含む前記被走査領域における高調波信号に基づいて、補正高調波画像を発生する画像発生部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記所定領域における前記高調波信号の振幅に対応する値を、所定の値に変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記高調波信号の振幅に対応する値と前記基本波信号の振幅に対応する値とは、前記画像発生部により発生される超音波画像に関する座標情報に関連付けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記所定領域における前記高調波信号の振幅に対応する値を、前記所定領域を除いた前記被走査領域の明度に比べて低い明度で表示される所定の値に変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記変更部は、前記所定領域における前記基本波信号の振幅に対応する値を所定の値に変更し、
前記画像発生部は、前記変更された基本波信号と前記所定領域を除いた前記被走査領域における基本波信号とに基づいて、前記被走査領域に対応する補正基本波画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記画像発生部は、
前記基本波信号に基づいて基本波画像を発生し、
前記高調波信号に基づいて高調波画像を発生し、
前記基本波画像と前記高調波画像とのうち少なくとも一方に、前記補正高調波画像と前記補正基本波画像とのうち少なくとも一方を重畳させた重畳画像を発生すること、
を特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記高調波信号と前記基本波信号とに対して空間フィルタ処理を実行するフィルタ部をさらに具備し、
前記計算部は、前記空間フィルタ処理を実行された高調波信号の振幅に対応する値と、前記空間フィルタ処理を実行された基本波信号の振幅に対応する値との差分値を、被走査領域に亘って計算すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記計算部は、
前記被走査領域に亘る前記高調波信号の振幅の平均値に基づいて、前記高調波信号の振幅に対応する値を規格化し、
前記被走査領域に亘る前記基本波信号の振幅の平均値に基づいて、前記基本波信号の振幅に対応する値を規格化し、
前記規格化された高調波信号の振幅値と前記規格された基本波信号の振幅値との差分値を、前記被走査領域に亘って計算すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記所定の閾値を入力する入力部をさらに具備すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
超音波診断装置により発生された受信信号を記憶する記憶部と、
前記受信信号から、高調波信号と基本波信号とを抽出する信号抽出部と、
前記高調波信号の振幅に対応する値と前記基本波信号の振幅に対応する値とに基づいて、特徴量を、被走査領域に亘って計算する計算部と、
前記特徴量と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域を決定する領域決定部と、
前記所定領域における前記高調波信号の振幅に対応する値を変更する変更部と、
前記変更された高調波信号の振幅に対応する値を有する所定領域を含む前記被走査領域における高調波信号に基づいて、補正高調波画像を発生する画像発生部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項11】
コンピュータに、
超音波診断装置により発生された受信信号を記憶させる記憶機能と、
前記受信信号から、高調波信号と基本波信号とを抽出させる信号抽出機能と、
前記高調波信号の振幅に対応する値と前記基本波信号の振幅に対応する値とに基づいて、特徴量を、被走査領域に亘って計算させる計算機能と、
前記特徴量と所定の閾値とに基づいて、被走査領域における所定領域を決定させる領域決定機能と、
前記所定領域における前記高調波信号の振幅に対応する値を変更させる変更機能と、
前記変更された高調波信号の振幅に対応する値を有する所定領域を含む前記被走査領域における高調波信号に基づいて、補正高調波画像を発生させる画像発生機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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