説明

超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラム

【課題】 各MPR断面の位置を最適化することで、各セグメントと各MPR断面の位置関係を容易に理解することができる超音波診断装置等を提供すること。
【解決手段】 所定期間に亘って取得された三次元領域に関するエコー信号を用いて、複数のボリュームデータを生成し、第1の時相に対応するボリュームデータに対して、少なくとも一つのMPR断面の位置を設定する設定処理を実行すると共に、残りのボリュームデータに対して対応するMPR断面の位置を設定し、設定された少なくとも一つのMPR断面を用いて、各ボリュームデータに含まれる心臓の少なくとも一部を複数のセグメントに分割し、三次元トラッキング処理を実行し、複数のセグメントの位置に基づいて、所定の時相において設定されたMPR断面の位置を適正化すると共に、当該適正化に連動して、残りの時相において設定された前記各MPR断面の位置を適正化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元超音波画像の解析を行う超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
近年では、超音波を三次元的に走査しリアルタイムに三次元画像データを収集し、三次元画像や任意の断面画像を作成し表示することができる超音波診断装置が実現されている。また、三次元トラッキングと呼ばれる技術が開発されている。これは、まず、心臓についての複数のMPR断面(典型的には、「心内腔中心軸を通る2つ以上の断面」)に対して左室の内外膜に初期輪郭(初期時相における)を入力し、当該入力された初期輪郭から初期時相における三次元輪郭を構成し、その三次元輪郭をパターンマッチングなどの技術処理を用いて心筋の局所部位の追跡を経時的に行い、追跡結果から心筋の移動ベクトルやストレイン(歪み)等の壁運動情報を算出し、心筋の壁運動を定量的に評価するものである(例えば、特許文献1参照)。さらに、この三次元トラッキングによって得られる結果を表示する手法として、ASEセグメントなど所定のセグメント毎に心機能を評価することが要望され、実現されている。三次元トラッキング結果を表示する診断画像は、認識性の観点からMPR像とそれに重畳するパラメトリックイメージが用いられており、所定のMPR断面上で解析結果を観察することができる。
【0004】
しかしながら、従来の手法により、MPR断面上に三次元的に配置された各セグメントを表示する場合、MPR断面の位置によってセグメント境界が複雑になり、各セグメントと各MPR断面の位置関係の理解が難しくなるという問題がある。例えば、初期MPR断面(典型的には、A面、A面に直交するB面、A面及びB面に直交する3つのC面)を自動MPR設定や手動によって4chViewとその直交断面に設定した後、その断面上で初期輪郭設定を設定すると、殆どの場合三次元トラッキング処理のために設定されるApex点は初期MPR断面上にはなく、また3C面はセグメントの分割レベルにマッチしていない。
【0005】
これは、次のような理由であると考えられる。すなわち、初期MPR断面を設定する場合4chViewと左室中心軸回りに4chViewと直交する断面に対応する画像を用いている。しかし、一般に左室形状は半楕円体のような形状はいしているが、長軸方向に少し曲がっている場合が殆どである。このため、三次元トラッキング処理等において左室中心軸を直線と定義することは、現実の左室中心軸とは厳密には一致しないことになる。すなわち、4chViewと言っても一義に定義出来る訳ではなく、概略の位置に過ぎない。
【0006】
この様な概略の4chViewとそれに直交する断面の上で三次元トラッキングのための左室内膜面及び外膜面の初期輪郭を定義する場合、従来では、心基部位置や心尖部位置の情報を入力しACT法等で内膜面の輪郭抽出を抽出する、或いは上記初期断面上で内膜面をトレースした後に全三次元的な内膜面の抽出をする等して心内膜面を求める。これにより、心外膜面は心内膜形状に所定の心筋厚みを想定する等して求めることが出来る。また、求められた心内膜面と初期の4chView位置を基に、左室心筋を所定のセグメントに分割する。左室中心軸は心基部の内膜輪郭(弁輪部輪郭)の中心(面積重心等々)と定義することが可能で、心尖位置は前記心基部の中心から最も遠い心内膜位置と定義することが可能である。セグメント分割は、心尖位置と心基部の中心とを結ぶ線を中心軸と定義した場合、初期MPR断面の心基部位置を基準に前記左室中心軸回りに所定の角度に分割することで可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−175041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の様にして形成される三次元の心内膜面に於ける心尖位置は、初期のMPR断面位置に必ずしもあるとは限らず、むしろ別の位置にあることが殆どである。これは、初期輪郭とセグメント分割を設定、定義するために使用する初期の4chViewMPR断面は、抽出した内膜面に於ける心尖位置を含まない場合があるためである。
【0009】
また、初期のC面位置は上記概略の4chViewと直交断面を見て、やはり概略のApical、Mid、Base位置になるようにC面を設定する。しかし、このように設定されたC面も、上記セグメント分割した後のセグメント位置に正しく整合している保証はない。
【0010】
さらに、心臓は、拡張末期、収縮末期の間でショートニングする。このため、常にApical、Mid、Base位置になるようにC面位置を予め(セグメント分割する前に)最適化することは困難である。
【0011】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、三次元トラッキング等によって得られる解析結果をMPR像上に重畳表示したセグメントと同時に表示、観察する場合において、各MPR断面の位置を最適化することで、各セグメントと各MPR断面の位置関係を容易に理解することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0013】
請求項1に記載の発明は、被検体の心臓の少なくとも一部を含む三次元領域について所定期間に亘って超音波走査を実行することで、前記三次元領域に関するエコー信号を前記所定期間に亘って取得する信号取得ユニットと、前記三次元領域に関するエコー信号を用いて、前記所定期間に亘る複数のボリュームデータを生成するボリュームデータ生成ユニットと、前記複数のボリュームデータのうちの第1の時相に対応するボリュームデータに対して、少なくとも一つのMPR断面の位置を設定する設定処理を実行すると共に、当該設定処理に連動して、残りのボリュームデータに対して、前記設定された少なくとも一つのMPR断面に対応するMPR断面の位置を設定する設定ユニットと、前記設定された少なくとも一つのMPR断面を用いて、前記各ボリュームデータに含まれる前記心臓の少なくとも一部を複数のセグメントに分割するセグメンテーションを実行するセグメンテーション処理ユニットと、前記複数のボリュームデータを用いて、三次元トラッキング処理を実行するトラッキング処理ユニットと、前記複数のセグメントの位置に基づいて、前記複数のボリュームデータのうちの所定の時相において設定された前記MPR断面の位置を適正化すると共に、当該適正化に連動して、残りのボリュームデータのそれぞれに対して設定された前記各MPR断面の位置を適正化する適正化ユニットと、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上本発明によれば、三次元トラッキング等によって得られる解析結果をMPR像上に重畳表示したセグメントと同時に表示、観察する場合において、各MPR断面の位置を最適化することで、各セグメントと各MPR断面の位置関係を容易に理解することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、本MPR断面の最適化機能に従う処理(MPR断面の最適化処理)の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3(a)、(b)は、A断面及びB断面の位置が心尖位置からずれている例を示した図である。
【図4】図4(a)、図4(b)は、拡張末期において設定されたC1断面、C2断面、C3断面の各断面の位置が、収縮末期において対応する各セグメントから外れてしまうことを説明するための図である。
【図5】図5は、MPR断面位置の最適化処理の流れを示した図である。
【図6】図6は、最適化処理後のA断面、B断面、B’断面の各断面の位置の例を示した図である。
【図7】図7(a)、図7(b)は、拡張末期、収縮末期の各時相における最適化処理後のC1断面、C2断面、C3断面の各断面の位置の例を示した図である。
【図8】図8は、4chView、2chView、3chView、Apical、Mid、Baseの全てのMPR画像を表示する例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0017】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、内部記憶ユニット29、インターフェースユニット30を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0018】
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0019】
なお、本超音波装置が具備する超音波プローブ12は、被検体の三次元領域を超音波走査可能なものである。そのため、超音波プローブ12は、振動子をその配列方向の直交方向に沿って機械的に揺動させ、三次元領域を超音波走査する構成、又は二次元的に配列された二次元振動素子を用いて電気的制御により三次元領域を超音波走査する構成等を有する。前者の構成を採用する場合、被検体の三次元的走査は揺動回路(揺動機構)によって行われるため、検査者はプローブ本体を被検体に接触させるだけで、自動的に複数の二次元断層像を取得することができる。制御された揺動速度から断面間の正確な距離も検知できる。また、後者の構成を採用する場合には、原理的には、従来の二次元断層像を取得するのと同じ時間で、三次元領域を超音波走査することができる。
【0020】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。また、操作者が入力装置13を介してMPR断面の移動を指示すると、当該指示に応答してMPR断面が移動する。また、入力装置13は、後述するMPR断面の最適化において、C1、C2、C3の各断面を移動させるためのユーザインターフェースを有する。
【0021】
モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(通常のBモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)、広域超音波画像、狭域超音波画像、任意断面超音波画像等を所定の形態で表示する。
【0022】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0023】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0024】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0025】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0026】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0027】
画像生成ユニット25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。また、画像生成ユニット25は、制御プロセッサ28による制御に従って、後述するMPR断面の最適化機能に従う処理(MPR断面の最適化処理)を実行する。
【0028】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25又は画像メモリ26から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0029】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、内部記憶ユニット29から後述するMPR断面の最適化機能を実現するための専用プログラム、所定のスキャンシーケンスを実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0030】
内部記憶ユニット29は、異なる画角設定により複数のボリュームデータを収集するための所定のスキャンシーケンス、後述するMPR断面の最適化機能を実現するための専用プログラム、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶ユニット29のデータは、インターフェースユニット30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0031】
インターフェースユニット30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェースユニット30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
(MPR断面の最適化機能)
次に、本超音波診断装置が有するMPR断面の最適化機能について説明する。本機能は、例えば心臓三次元トラッキング処理を行う場合において、一心拍以上の期間に亘る複数時相のボリュームデータのうちの基準時相(例えば初期時相)において設定されたMPR断面を、セグメンテーション処理によって得られた心壁の各セグメントの位置に対して任意のタイミングで調整可能することで、MPR断面の最適化を行うものである。
【0033】
図2は、本MPR断面の最適化機能に従う処理(MPR断面の最適化処理)の流れを示したフローチャートである。同図に従って、本MPR断面の最適化処理において実行される各ステップの内容について説明する。
【0034】
[患者情報の入力、送受信条件等の選択:ステップS1]
操作ユニット33を介して患者情報の入力、送受信条件(画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の心臓を含む三次元領域を所定期間に亘って超音波走査するためのスキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶装置29に記憶される。
【0035】
[所定期間に亘るボリュームデータの収集:ステップS2]
次に、制御プロセッサ28は、被検者の心臓を含む三次元領域を被走査領域として、リアルタイム三次元超音波走査(四次元走査)を実行する(ステップS2)。具体的には、例えば被検体に関する心臓の所望の観察部位を、ある時刻tiを基準(初期時相)として、二次元アレイプローブ或いは揺動プローブを用いて、心臓を含む三次元領域を超音波走査する。この四次元超音波走査によって、心臓を含む三次元領域についての時系列(少なくとも1心拍分)なエコー信号が収集される。
【0036】
なお、本ステップS2の四次元走査は、ECG等の生体信号に同期して実行されるのが一般的である。また、上記本ステップS2の説明では、リアルタイム三次元超音波走査を逐次繰り返し実行する場合を例とした。これに対し、心臓を複数のサブボリュームに分割し、ECG等の生体信号に同期させながら各サブボリュームを超音波走査して各サブボリュームについての種々の心時相に対応するデータを取得し、これを事後的に合成ことで、各時相毎のフルボリュームデータを取得するようにしてもよい。
【0037】
ステップS2において取得された各エコー信号は、逐次超音波受信ユニット22を経由してBモード処理ユニット23に送られる。Bモード処理ユニット23は、対数増幅処理、包絡線検波処理等を実行し、信号強度が輝度で表現される画像データを生成する。
【0038】
[時系列ボリュームデータの生成:ステップS3]
画像生成ユニット25は、生成された心臓を含む三次元領域についての時系列な画像データに対して、実際の空間座標系(すなわち、複数の走査断面画像データが定義される座標系)からボリュームデータ空間座標系への座標変換を実行し補間処理を行うことで、時系列な複数のボリュームデータを再構成する(ステップS3)。
【0039】
[MPR画像の生成・表示:ステップS4]
制御プロセッサ28は、所定の断面自動検出方法を用いて、心臓検査における基準断面に対応する様にA断面、B断面、C1、C2、C3断面を自動設定する。断面自動検出方法としては、例えば心臓検査における基準断面の画像パターン認識とパターンマッチングによる手法や“IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, vol.2, pp1559- 1565”等に記載されている手法を用いることができる。画像生成ユニット25は、ボリュームデータを用いて、ステップS4において検出されたA断面、B断面、C1、C2、C3断面のそれぞれに対応するMPR画像を生成する。生成されたMPR画像は、モニター14において例えば図3に示すような形態で表示される(ステップS4)。ユーザは、表示された各MPR画像を観察しながら、A断面、B断面、C1、C2、C3断面のそれぞれが基準断面に一致するか否かを判定することができる。
【0040】
なお、心臓検査における基準断面とは、所望の規格や基準に従う断面であり、例えば心内腔中心軸を通る長軸断面(長軸四腔断面(4chView)、長軸二腔断面(2chView)、長軸三腔断面(3chView)等)、当該長軸断面と直交する短軸断面(SAXA、SAXM、SAXB)、及びこれらの断面と所定の位置関係によって定義される断面である。また、A断面、B断面、C1断面、C2断面、C3断面の位置は、各時相に対応するボリュームデータにおいて設定するものとする。
【0041】
[MPR断面の調整:ステップS5]
次に、制御プロセッサ28は、入力装置13から入力された指示に応答して、MPR断面が基準断面と一致するように、MPR断面の位置を調整する(ステップS5)。すなわち、ユーザは、所定時相(例えば拡張末期時相)に対応するボリュームデータを用いて生成されたボリュームレンダリング画像、MPR画像を観察しながら、例えばA断面、B断面、C1、C2、C3断面がそれぞれ基準断面としての4chView、2chView、SAXA、SAXM、SAXBとなるように、入力装置13を介して各MPR断面の変更位置を入力する。制御プロセッサ28は、入力装置13から入力された変更位置に各MPR断面を移動させる。さらに、画像生成ユニット25は、移動後の複数のMPR断面に対応する複数のMPR画像を生成する。生成された各MPR画像は、モニター14において所定の形態にて表示される。
【0042】
[MPR基準断面での初期輪郭の設定:ステップS6]
次に、制御プロセッサ28は、入力装置13から入力された指示に応答して、基準断面(今の場合、4chView及び2chView)に内膜面の初期輪郭を設定する。この初期設定においては、例えばACT法等を用いれば1断面について3点の入力で可能である。しかしながら、これに限定する趣旨ではなく、局所毎に詳細に入力するようにしても良い。
【0043】
[三次元内膜面の検出:ステップS7]
次に、制御プロセッサ28は、ステップS6において設定された初期輪郭を基準として、三次元内膜面を抽出する。抽出アルゴリズムは特に限定するものではなく、どの様な方法でもよい。
【0044】
[追跡点の決定、セグメンテーション:ステップS8]
次に、制御プロセッサ28は、検出した三次元内膜面に対して、セグメント分割と追跡点の配置を行う(ステップS8)。
【0045】
すなわち、制御プロセッサ28は、先ず心基部の内膜輪郭(弁輪部輪郭)の面積重心を計算し、これを左室中心軸として定義する。なお、この様な左室中心軸の定義はあくまでも一例である。その他の例としては、例えば心基部の4chViewと2chViewとの交点を左室中心軸と定義してもよい。次に、制御プロセッサ28は、心基部の中心から最も遠い心内膜位置を計算し、心尖位置として定義する。次に、制御プロセッサ28は、心基部の中心と心尖位置とを結ぶ線を計算し、中心軸として定義する。さらに、制御プロセッサ28は、4chViewの心基部位置をASE16セグメントのSeptalとLateralの中心位置とし、当該中心位置を基準に左室中心軸回りに等角度に各セグメントを分割することで、三次元内膜面の全セグメントを定義する。また、制御プロセッサ28は、心尖位置を中心に心基部に向かって等間隔に点を配置することで、三次元内膜面に対して三次元的な追跡点を配置することができる。
【0046】
なお、セグメンテーションは17セグメント等別の割り振りでも対応することは容易である。この時点でセグメントの定義位置とMPRのA断面、B断面に表示された4chView、chViewとの位置関係が定義できる。
【0047】
[三次元トラッキング処理・各種解析:ステップS9]
次に、制御プロセッサ28は、設定された追跡点を用いて、三次元画像のスペックルパターンを時系列かつ三次元的に追跡することで移動ベクトルを算出し、移動ベクトルを用いて初期時相における追跡点を動かし、内膜(或いは外膜も同時に)の三次元的な運動を検出する。また、制御プロセッサ28は、各フレームの輪郭データ等を用いて、変位やストレインなどの各種定量的なパラメータについて解析する。
【0048】
なお、各追跡点は心筋の内膜面(外膜面)の三次元的な動きを追跡することになるので、各セグメントもそれに準じて変形することになる。一般に拡張末期で最大、収縮末期で最小になる変形を心周期毎に繰り返すことになる。よって、先に定義されたMPRの断面は更にこの変形によって表示するセグメントに対する位置を変えていくことになる。
【0049】
[MPR断面位置の最適化:ステップ10]
本ステップS10の最適化を行う前の段階においては、例えば図3(a)、(b)に示すように、A断面及びB断面の位置は、心尖位置を通っていない場合がある。また、B断面は初期設定では初期輪郭設定のためにA断面と直交する位置に調整することとしていたが、その場合セグメント境界位置付近となってしまっている。
【0050】
さらに、一般に心臓は心周期の間にショートニングと言われる長軸方向への伸縮が発生する。このため、セグメント分割した3つのレベル(Apical、Mid、Base)も変化することになり、例えば図4(a)に示すように初期時相(拡張末期)において設定されたC1断面、C2断面、C3断面の各断面の位置は、図4(b)に示すように収縮末期において対応する各セグメントから外れてしまうことがある。
【0051】
そこで、制御プロセッサ28は、入力装置13から入力された指示に応答して、或いは所定のタイミングで自動的に、MPR断面位置の最適化処理を実行する(ステップS10)。
【0052】
図5は、MPR断面位置の最適化処理の流れを示した図である。まず、制御プロセッサ28は、心基部点(2点)と心尖点(1点)の合計3点を通る平面に、A断面を移動させる(ステップS10a)。この移動は、入力装置13から指示が入力されたタイミングで行ってもよいし、ステップS8において計算された心基部点と心尖点とを用いて、所定のタイミングで自動的に行うようにしてもよい。
【0053】
次に、制御プロセッサ28は、2chViewの位置即ち前壁と下壁のセグメントの中心位置にB断面を設定する(ステップS10b)。具体的には、制御プロセッサ28は、A断面に対して左室中心軸回りに270°回転した位置にB断面を設定する。また、必要に応じて、B’断面を3chView位置に設定することも可能である。係る場合には、制御プロセッサ28は、A断面に対して左室中心軸回りに60°回転した位置にB断面を設定する。このような設定により、例えば図6に示すように、A断面、B断面(或いはB’断面)の位置を、それぞれ対応するセグメントを通過しつつ心尖点で交わるように最適化することができる。
【0054】
なお、心尖位置がブレを少なくするという目的のためには、A断面及びB断面の最適化は、各時相の心尖位置を抽出し、分散が最も小さくなる位置(移動中心)に設定することがより望ましい。
【0055】
また、一般に、心周期の間に心尖位置も移動することが想定される。従って、本ステップでのA断面及びB断面の最適化をいずれの心時相において実行するかによって、得られる結果は微妙に異なるものとなる。本実施形態では、心尖位置を定義する心時相は限定するものではないが、拡張末期、収縮末期、或いは拡張期50%時点等においてA断面及びB断面の最適化を行うものとする。しかしながら、当該時相に拘泥されず、解析結果を表示しようとする時相や、操作者が選択する任意時相においてMPR断面の最適化を行うことも可能である。これらの場合のユーザインタフェースとしては、例えばECG波形上において、入力装置13を介して所望の時相を選択する形態、或いは、入力装置13を介して、例えば「拡張末期、収縮末期、拡張期」等の所望の期間を選択し、選択した当該期間の「50%時点」といった具合に数値を入力する形態等が考えられる。
【0056】
次に、制御プロセッサ28は、例えば収縮末期での各レベルのセグメント中心位置にC1断面、C2断面、C3断面を最適化する(ステップS10c)。具体的には、制御プロセッサ28は、収縮末期時相に於ける各レベル(Apical、Mid、Base)において、各セグメントの中心位置を算出し、算出された中心位置を含むようにC1断面、C2断面、C3断面のそれぞれを移動させる。さらに、制御プロセッサ28は、残りの時相に対応するボリュームデータに対しても、最適化されたA断面、B断面、C1断面、C2断面、C3断面の位置を設定する。
【0057】
なお、各レベルにおいて、各セグメントの中心位置を含む面は、詳細に計算すると平面ではなく曲面になる。これを平面として定義する場合には、各セグメントの中心位置のうち3点を選択し、選択された三点を含む平面を計算すればよい。
【0058】
また、上記の様に収縮末期において設定するのは、次の理由による。すなわち、収縮末期ではBase位置がセグメントの外に出てしまうことが発生する。より望ましいのは、C1断面、C2断面、C3断面の各位置が心周期内の変化に応じてダイナミックに移動することであるが、実現手段が複雑になる問題がある。そこで、本実施形態では、心周期の間にC1、C2、C3の各断面が同一のセグメントを捕らえ続けることが重要であり、その観点で各断面位置を収縮末期の各レベルの中心位置に設定する。このように設定することで、C1、C2、C3の各断面は、図7(a)、図7(b)に示すように、拡張末期、収縮末期のいずれの時相においても同一のセグメントを捕らえ続けることができる。
【0059】
しかしながら、収縮末期を採用するのは、あくまでも一例である。その他の例としては、例えば拡張末期、拡張期50%に対応する所定時相等において、C1、C2、C3の各断面を対応する各セグメントレベルの中心に再設定することで、心時相全体でのバランスをとる設定にしても良い。しかしながら、当該時相に拘泥されず、解析結果を表示しようとする時相や、操作者が選択する任意時相においてMPR断面の最適化を行うことも可能である。また、C1、C2、C3の各断面毎に異なる時相を選択し、当該選択した各時相上において、C1、C2、C3の各断面の位置を調整するようにしてもよい。
【0060】
上記例では、所望の時相において、自動的に各セグメントの中心位置を含む様にC1、C2、C3の各断面を移動させる場合を例とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば、入力装置13を介したドラッグアンドドロップ等のマニュアル操作により、C1、C2、C3の各断面を、対応する各セグメント内において任意の位置に移動させるようにしてもよい。また、例えば「C1断面の上方移動」、「C1断面の下方移動」、「長軸方向のセグメント長さを100%とした場合、セグメントの最下位置から上方30%の位置にC1断面を設定(すなわち、セグメントに対する比率に基づく設定)」等の所望する条件を、入力装置13を介して入力するようにしてもよい。制御プロセッサ28は、入力された指示に基づいて移動すべき断面の位置を算出し、算出された位置を通過するように、C1、C2、C3の各断面を移動させる。
【0061】
さらに、上記説明では、本ステップのMPR断面の最適化をステップS9での解析処理後に実行した。しかしながら、MPR断面の最適化のタイミングはこれに拘泥されず、例えばステップS8におけるセグメンテーション処理後であっても良いし、セグメンテーション処理後及び解析処理後の2段階で実施することも可能である。
【0062】
[各時相での解析結果の表示:ステップS11]
制御プロセッサ28は、最適化された各MPR断面に対応する各MPR像に、各心時相での解析結果を重畳して表示する(ステップS11)。
【0063】
(変形例)
上記実施形態では、A断面を4chViewの位置とし、B断面を2chView或いは3chViewの位置とし、C1、C2、C3の各断面をApical、Mid、Baseの位置とした場合の例を示した。しかしながら、MPR断面の表示方法によっては、4chView、2chView、3chView、Apical、Mid、Baseの全てのMPR画像を表示したり、或いは4chView、2chView、3chViewと、Apical、Mid、Baseのうちのいずれか或いは2つのC断面に対応するMPR像を表示するようにすることも可能である。なお、図8に、4chView、2chView、3chView、Apical、Mid、Baseの全てのMPR画像を表示する場合を例示した。
【0064】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0065】
本超音波診断装置によれば、心臓の一心周期以上の三次元画像データを用いて三次元トラッキング処理を行い、各種運動情報を解析する場合に、解析前の初期輪郭を設定する各MPR断面を用いてセグメンテーションを行い、セグメンテーションによって得られた各セグメントの位置を基準として各MPR断面の位置を再度調整することができる。従って、例えばA断面、B断面については、抽出した内膜面に於ける心尖位置を含むように、C1、C2、C3断面については、セグメント分割した後のセグメント位置に正しく整合し、且つ拡張末期、収縮末期のいずれの時相においても同一のセグメントを捕らえ続けるように、各断面の位置を、簡単且つ迅速に最適化することができる。
【0066】
また、本超音波診断装置によれば、三次元トラッキング処理後の解析結果を観察するMPR断面において、MPR断面位置を操作者が結果を見ながら1断面毎に調節する必要がない。その結果、従って、三次元トラッキング処理によって得られた各種運動情報の解析結果をMPR像に重畳表示して観察する場合に、位置が最適化されたMPR像上にセグメント毎の解析結果を、迅速且つ簡単に重畳表示することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0068】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0069】
(2)上記実施形態では、左心室のセグメンテーションを行う場合を例示した。しかしながら、当該例に拘泥されず、左心室以外の三次元トラッキング処理にも有効であることは言うまでもない。
【0070】
(3)上記実施形態では、超音波診断装置を用いた心臓の三次元トラッキング処理において、MPR断面の最適化を適用する場合を例示した。しかしながら、超音波診断装置を用いた心臓の三次元トラッキング処理に拘泥されることなく、例えばX線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置等の他の医用画像診断装置を用いて心臓の三次元トラッキング処理を行う場合においても、本MPR断面の最適化機能は適用可能である。
【0071】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ、29…内部記憶ユニット、30…インターフェースユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の心臓の少なくとも一部を含む三次元領域について所定期間に亘って超音波走査を実行することで、前記三次元領域に関するエコー信号を前記所定期間に亘って取得する信号取得ユニットと、
前記三次元領域に関するエコー信号を用いて、前記所定期間に亘る複数のボリュームデータを生成するボリュームデータ生成ユニットと、
前記複数のボリュームデータのうちの第1の時相に対応するボリュームデータに対して、少なくとも一つのMPR断面の位置を設定する設定処理を実行すると共に、当該設定処理に連動して、残りのボリュームデータに対して、前記設定された少なくとも一つのMPR断面に対応するMPR断面の位置を設定する設定ユニットと、
前記設定された少なくとも一つのMPR断面を用いて、前記各ボリュームデータに含まれる前記心臓の少なくとも一部を複数のセグメントに分割するセグメンテーションを実行するセグメンテーション処理ユニットと、
前記複数のボリュームデータを用いて、三次元トラッキング処理を実行するトラッキング処理ユニットと、
前記複数のセグメントの位置に基づいて、前記複数のボリュームデータのうちの所定の時相において設定された前記MPR断面の位置を適正化すると共に、当該適正化に連動して、残りのボリュームデータのそれぞれに対して設定された前記各MPR断面の位置を適正化する適正化ユニットと、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記適正化ユニットは、前記複数のボリュームデータのうち、収縮末期時相に対応するボリュームデータに対して、前記MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記適正化ユニットは、前記複数のボリュームデータのうち、拡張末期と収縮末期の間にある所定の時相に対応するボリュームデータに対して、前記MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記適正化ユニットは、前記第1の時相に対応するボリュームデータに対して、二以上のMPR断面が設定された場合には、各MPR断面毎に選択された時相において前記設定された各MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記適正化ユニットは、前記第1の時相に対応するボリュームデータに対して、二以上のMPR断面が設定された場合には、同一の時相において前記設定された各MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記適正化ユニットは、前記所定の時相に対応するボリュームデータを用いて特定される心臓の構造的な特徴点の位置に基づいて、前記設定された各MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記所定の時相に対応するボリュームデータにおける前記MPR断面の変更位置をマニュアル操作により入力するための入力ユニットをさらに具備し、
前記適正化ユニットは、入力された変更位置に基づいて、前記設定されたMPR断面の位置を適正化すること、
を特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記所定の時相に対応するボリュームデータにおける前記MPR断面の変更位置を前記複数のセグメントに対する比率に基づいて入力するための入力ユニットをさらに具備し、
前記適正化ユニットは、入力された変更位置に基づいて、前記設定されたMPR断面の位置を適正化すること、
を特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記所定の時相に対応するボリュームデータにおける前記MPR断面の前記複数のセグメントに対する上下移動を入力するための入力ユニットをさらに具備し、
前記適正化ユニットは、前記入力ユニットからの入力に基づいて、前記設定されたMPR断面の位置を適正化すること、
を特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
被検体の心臓の少なくとも一部を含む三次元領域について、所定期間に亘って超音波走査を実行することで取得された、前記所定期間に亘る複数のボリュームデータを記憶する記憶ユニットと、
前記複数のボリュームデータのうちの第1の時相に対応するボリュームデータに対して、少なくとも一つのMPR断面の位置を設定する設定処理を実行すると共に、当該設定処理に連動して、残りのボリュームデータに対して、前記設定された少なくとも一つのMPR断面に対応するMPR断面の位置を設定する設定ユニットと、
前記設定された少なくとも一つのMPR断面を用いて、前記各ボリュームデータに含まれる前記心臓の少なくとも一部を複数のセグメントに分割するセグメンテーションを実行するセグメンテーション処理ユニットと、
前記複数のボリュームデータを用いて、三次元トラッキング処理を実行するトラッキング処理ユニットと、
前記複数のセグメントの位置に基づいて、前記複数のボリュームデータのうちの所定の時相において設定された前記MPR断面の位置を適正化すると共に、当該適正化に連動して、残りのボリュームデータのそれぞれに対して設定された前記各MPR断面の位置を適正化する適正化ユニットと、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項11】
前記適正化ユニットは、前記複数のボリュームデータのうち、収縮末期時相に対応するボリュームデータに対して、前記MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項10記載の超音波画像処理装置。
【請求項12】
前記適正化ユニットは、前記複数のボリュームデータのうち、拡張末期と収縮末期の間にある所定の時相に対応するボリュームデータに対して、前記MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項10記載の超音波画像処理装置。
【請求項13】
前記適正化ユニットは、前記第1の時相に対応するボリュームデータに対して、二以上のMPR断面が設定された場合には、各MPR断面毎に選択された時相において前記設定された各MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項10乃至12のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項14】
前記適正化ユニットは、前記第1の時相に対応するボリュームデータに対して、二以上のMPR断面が設定された場合には、同一の時相において前記設定された各MPR断面の位置を適正化することを特徴とする請求項10乃至12のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項15】
前記適正化ユニットは、前記所定の時相に対応するボリュームデータを用いて特定される心臓の構造的な特徴点の位置に基づいて、前記設定された各MPR断面の位置を適正化する請求項10乃至14のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項16】
前記所定の時相に対応するボリュームデータにおける前記MPR断面の変更位置をマニュアル操作により入力するための入力ユニットをさらに具備し、
前記適正化ユニットは、入力された変更位置に基づいて、前記設定されたMPR断面の位置を適正化する請求項10乃至15のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項17】
前記所定の時相に対応するボリュームデータにおける前記MPR断面の変更位置を前記複数のセグメントに対する比率に基づいて入力するための入力ユニットをさらに具備し、
前記適正化ユニットは、入力された変更位置に基づいて、前記設定されたMPR断面の位置を適正化する請求項10乃至16のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項18】
前記所定の時相に対応するボリュームデータにおける前記MPR断面の前記複数のセグメントに対する上下移動を入力するための入力ユニットをさらに具備し、
前記適正化ユニットは、前記入力ユニットからの入力に基づいて、前記設定されたMPR断面の位置を適正化する請求項10乃至17のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項19】
コンピュータに、
被検体の心臓の少なくとも一部を含む三次元領域について、所定期間に亘って超音波走査を実行することで取得された、前記所定期間に亘る複数のボリュームデータのうち、第1の時相に対応するボリュームデータに対して、少なくとも一つのMPR断面の位置を設定する設定処理を実行させると共に、当該設定処理に連動して、残りのボリュームデータに対して、前記設定された少なくとも一つのMPR断面に対応するMPR断面の位置を設定させる設定機能と、
前記設定された少なくとも一つのMPR断面を用いて、前記各ボリュームデータに含まれる前記心臓の少なくとも一部を複数のセグメントに分割するセグメンテーションを実行させるセグメンテーション処理機能と、
前記複数のボリュームデータを用いて、三次元トラッキング処理を実行させるトラッキング処理機能と、
前記複数のセグメントの位置に基づいて、前記複数のボリュームデータのうちの所定の時相において設定された前記MPR断面の位置を適正化すると共に、当該適正化に連動して、残りのボリュームデータのそれぞれに対して設定された前記各MPR断面の位置を適正化させる適正化機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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