説明

超音波診断装置及び検査スケジュール管理方法

【課題】検査開始時の煩雑な入力操作をなくし手順を簡略化した超音波診断装置を提供する。
【解決手段】検査対象の患者データを記憶する患者データ記憶部4と、検査対象の患者データの一覧と、検査の順番と、検査経過とを記憶する患者データ一覧記憶部91と、患者データ一覧記憶部に記憶された検査経過に応じ検査対象の患者データを前記患者データ記憶部に記憶させる検査対象管理部92とを有する患者データ管理部9とを備え、超音波検査の終了時に、検査対象管理部が患者データ一覧記憶部から次の検査対象の患者データを取得し、前記患者データ記憶部に記憶させる。また、検査の開始もしくは終了に伴い形態が変化する機構部の形態の変化を検知する検知部10を備え、前記機構部の形態の変化に応じ、超音波検査を開始もしくは終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に超音波を送信し、そのエコー信号に基づいて医用画像を形成する超音波診断装置に関し、特に、複数の患者に対し、あらかじめ決められた順番で逐次検査を実施可能な超音波診断装置に関するものである。また、可搬型の超音波診断装置のように、超音波検査の開始又は終了する場合に所定の形態に変形する機構部を有する超音波診断装置に関するものである。また、超音波診断装置による検査における、検査対象患者及び検査のスケジュール管理の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の超音波診断装置においては、アプリケーションプログラムに基づいて実行される様々な機能が搭載されており、装置の電源を投入してから全てのプログラムを起動させるまでに比較的長い時間が掛かり、装置の起動や再起動の時間が長くなる等、装置の起動時間が問題視されていた。
【0003】
また、検査を開始するにあたり、患者識別用の情報を事前に登録する必要があるなど、検査開始までの手順が複雑であり、迅速性が要求される緊急検査において、検査を速やかに開始できないという問題も指摘されていた。
【0004】
超音波画像診断は、急患等に対する緊急検査に用いられることも多く、また、可搬型の超音波診断装置も普及していることから、上記のように、起動に長時間を要することや、検査開始までの手順が複雑であることは、多くの医療現場で問題視されていた。
【0005】
これら問題を解決する方法として、超音波診断装置の起動時に必要なアプリケーションのみを起動することで起動時間を短縮し、さらに、起動時に仮の患者識別情報を生成し正規の患者データとみなして動作することで、超音波検査を開始時に事前に患者データを入力せずに超音波検査を開始できるようにする技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−218211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、超音波検査開始までの手順が、装置起動後に「患者登録ボタンを押し、患者情報を入力し、検査開始ボタンを押す」と煩雑であり、特許文献1に記載の発明により、仮の患者データで開始することで、入力の手間を省いた場合においても、装置起動後に「患者登録ボタンを押し、エマージェンシーモード(仮の患者データを入力するモード)を立ち上げ、検査開始ボタンを押す」という手順を踏む必要がある。
【0008】
特に可搬性を重視したコンパクトサイズのモバイル超音波診断装置では、ソフトウェアキーボードを採用していることが多く入力操作に手間がかかり、手順の煩雑さが顕著に表面化し、速やかな検査開始の阻害につながる場合が多い。そのため、急患発生時等の緊急を要する場合においては、より簡略かつ少ない操作で検査を開始できる仕組みが重要となる。
【0009】
また、従来の超音波診断装置において、診断ごとに、患者データの入力、もしくは、仮の患者データの登録を行っているが、過去に診断実績のある患者の場合は、既にサーバ等に患者データを管理している場合が多く、診断時の患者データの入力手順が冗長化していると考えられる。
【0010】
また、可搬型のモバイル超音波診断装置は、医師が回診時に患者のベットサイドで診断を行うことも考えられ、その際に急患が発生した場合、医師に急患発生を伝える手段は、院内放送、携帯電話(PHS)、直接連絡に向かう等の手段が用いられている。これに対し、事象の発生から検査の開始までの手順をより簡素化するために、より確実かつ速やかに医師に情報を伝達する手段が求められている。
【0011】
この発明は上記の問題を解決するものであり、超音波検査を開始する際の煩雑な入力処理をなくし、検査開始までの手順をより簡略化し速やかに検査を開始することが可能な超音波診断装置の提供を目的とする。さらに、急患が発生した場合においても、超音波診断装置の検査スケジュールに急患患者を追加した場合に発生する急患患者のデータ入力やスケジュール調整の操作等の煩雑な処理をなくし、急患患者の到着時間や搬入先等の医師への伝達を、人の手を介することなく装置に直接通知することで、急患発生時にも適切に対処して検査を開始することを可能とする超音波診断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、超音波を送受信する送受信部と受信した超音波を基に画像データを生成する画像生成部とを含む超音波検査部と、検査中もしくは次の検査対象の患者データを記憶する患者データ記憶部と、前記画像生成部が生成した画像データを前記患者データと関連付ける検査データ生成手段と、前記超音波検査部を制御する制御部とを備えた超音波診断装置であって、予定された検査対象の患者データの一覧と、検査の順番と、検査経過とを記憶する患者データ一覧記憶部と、前記患者データ一覧記憶部に記憶された検査経過に応じ検査対象の患者データを前記患者データ一覧記憶部から取得し、前記患者データ記憶部に記憶させる検査対象管理部とを有する患者データ管理部とを備え、超音波検査の終了を示す検査終了通知を受けたときに、前記患者データ一覧記憶部が検査経過を更新するとともに、前記検査対象管理部が前記患者データ一覧記憶部から次の順番に該当する検査対象の患者データを取得し、前記患者データ記憶部に更新し記憶させることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記制御部が、超音波検査の開始を示す検査開始通知を受けたときに、前記患者データ記憶部に次の順番に該当する検査対象の患者データが記憶されていることを確認し、前記超音波検査部を起動するとともに、前記患者データ管理部は、前記検査経過を更新することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置であって、検査対象者の個々の位置に搬送可能な構造であって、検査の開始又は終了に伴って形態の変化する機構部と、前記機構部の形態の変化を検知し、前記検査終了通知又は前記検査開始通知を出力する検知部とを備えたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の超音波診断装置であって、前記検査対象管理部が、前記患者データ記憶部に患者データを更新させる時に、次の検査対象の患者データが、前記検査対象の患者データの一覧に存在しない場合に、仮の患者識別情報を生成し、仮の患者データとして前記患者データ記憶部に記憶させることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4に記載の超音波診断装置であって、前記患者データ一覧記憶部に記憶された、予定された検査対象の患者データの一覧を表示部に表示させる表示制御部を備えたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5に記載の超音波診断装置であって、サーバから新しい患者データの一覧と、新しい検査の順番とを含む入力データとを受信し、前記患者データ管理部に入力するとともに、前記患者データ管理部から検査が完了した患者の患者データを、ネットワークを介して外部に出力する入出力インタフェースを更に備え、前記患者データ管理部が、先に記憶された患者データ一覧及び検査の順番に替えて、前記サーバから入力された前記入力データに含まれる新しい患者データの一覧及び新しい検査の順番を前記患者データ一覧記憶部に記憶するとともに、前記入力データを受け、前記検査対象管理部が、前記患者データ一覧記憶部に記憶された検査経過を基に、次の検査対象の患者データを特定し、前記患者データ記憶部に記憶させることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の超音波診断装置であって、前記入力データが、少なくとも急患が発生したことを通知する通知情報を含み、前記患者データ管理部が、サーバから受信した前記新しい患者データの一覧と前記新しい検査の順番を記憶するときに、前記表示制御部を介し表示部に表示させることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の超音波診断装置であって、前記患者データ管理部から前記通知情報を取得し、外部の報知手段に出力し報知させる報知指示手段を更に備えたことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、ネットワーク上のサーバで、検査装置の検査対象となる患者の一覧及び検査の順番と検査対象となる各患者の検査の実施状況を管理する検査スケジュール管理方法であって、あらかじめ、検査装置の検査対象となる患者データに、検査の実施状況を示す検査経過を付加したうえで、検査を実施する順番に並べ患者データ一覧を作成し、データ記憶手段に記憶し、データ記憶手段に記憶された患者データ一覧を前記検査装置に配信する段階と、前記検査装置が検査を開始もしくは終了した場合に、前記検査装置から送信される検査経過を受信する段階と、受信した前記検査経過を基に、前記データ記憶部に記憶された患者データ一覧内の前記各患者データに付加された検査経過を更新する段階とを備えていることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、ネットワーク上のサーバで、ネットワーク上のサーバで、検査装置の検査対象となる患者の一覧に、新たに検査対象となる患者を追加し検査の順番を更新する検査スケジュール管理方法であって、あらかじめ、検査装置の検査対象となる患者データに、検査の実施状況を示す検査経過を付加したうえで、検査を実施する順番に並べ患者データ一覧を作成し、データ記憶手段に記憶し、データ記憶手段に記憶された患者データ一覧を前記検査装置に配信する段階と、前記検査装置の検査スケジュールに、新たに検査対象となる患者を追加する場合に、前記検査装置に検査経過の送信を依頼する段階と、前記依頼に伴い前記検査装置から送信される検査経過を受信する段階と、受信した前記検査経過をもとに、前記データ記憶部に記憶された患者データ一覧内の前記各患者データに付加された検査経過を更新する段階と、前記検査経過を管理する情報が更新された患者データ一覧に、検査対象となる患者データを新しく追加したうえで、検査の順番を変更することで、患者データ一覧を更新する段階と、更新した患者データ一覧を前記検査装置に配信する段階とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、患者データを管理するサーバ上で診断の順番を設定した患者データの一覧を超音波診断装置内に事前に取り込み、超音波検査を開始する前に、あらかじめ、次の検査対象の患者データを読込んでおくことで、患者データの入力操作や、エマージェンシーモードの立上げ操作を行う必要がなくなり、検査開始までの手順が簡略化されるため速やかに検査を開始することが可能となる。
【0014】
また、検査を開始もしくは終了する場合に形態が変化する機構部を持たせ、該機構部が検査を開始もしくは終了する場合の形態に変化したことを検知し、操作者が超音波検査を開始もしくは終了する際に行う操作を、該機構部の形態変化に連動して超音波診断装置自体に実行させる。例えば、ノート型パソコンのような形態のポータブル超音波診断装置の場合は、操作者がラップトップを開けた場合には超音波検査の開始する際に行う操作を、操作者がラップトップを閉めた場合には超音波検査を終了する際に行う操作を超音波診断装置に実行させる。これにより、操作者は煩雑な操作を行うことなく速やかに超音波検査を開始もしくは終了することが可能となる。
【0015】
さらに、急患が発生した場合には、急患患者の到着時間や搬送先等の情報を、超音波診断装置の画面上に表示し確実に通知するとともに、サーバ上で急患患者も含め検査対象の患者データ一覧を更新し、超音波診断装置に配信することで、超音波診断装置を操作する医師が、急患発生に伴う患者データの修正や検査順番の変更を実施する必要がなくなり、急患等の緊急を要する場合にも、急患患者の超音波検査を適切に対処して開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態に係る超音波診断装置の機能ブロック図である。
【図2】この発明の実施形態に係る超音波診断装置と患者情報を管理するサーバとの動作を示すフローチャートである。
【図3】駆動部の駆動により超音波診断装置の起動又は停止させる動作を示すフローチャートである。
【図4】超音波画像診断装置の検査を開始する場合の形態の例を示す模式図である。(a)は開閉するタイプの例である。(b)はスライドするタイプの例である。
【図5】超音波画像診断装置の検査を終了する場合の形態の例を示す模式図である。(a)は開閉するタイプの例である。(b)はスライドするタイプの例である。
【図6】検査経過を管理するための患者データ一覧を示すデータ構造の例である。
【図7】第1の動作態様に係る超音波診断装置の処理を示すシーケンス図であり、(a)は検査を終了する場合の処理シーケンスを示したものであり、(b)は検査を開始する場合の処理シーケンスを示したものである。
【図8】超音波検査を終了する場合における、患者データ管理サーバと超音波診断装置との間の検査経過の同期処理を示すシーケンス図に、各状態でのサーバ及び超音波診断装置上の患者データの推移を表した図である。
【図9】超音波検査を開始する場合における、患者データ管理サーバと超音波診断装置との間の検査経過の同期処理を示すシーケンス図に、各状態での患者データ管理サーバ及び超音波診断装置上の患者データの推移を表した図である。
【図10】検査経過を通知する場合に送信する情報のデータ構造の例である。
【図11】患者データの表示や入力及び編集を行う画面の例である。
【図12】急患発生時の患者データ一覧の更新に関する動作を示すフローチャートである。
【図13】急患発生を通知する通知情報受信時の画面表示例である。
【図14】急患発生時における、サーバ操作者の操作と患者データ管理サーバと超音波診断装置との間の処理の関係を示すシーケンス図に、各状態でのサーバ及び超音波診断装置上の患者データの推移を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(構成)
この発明の実施形態に係る超音波診断装置について図1を参照して説明する。図1はこの発明の第1実施形態に係る超音波診断装置を示す機能ブロック図である。
【0018】
超音波検査部2は、プローブ21と、送受信部22と、信号処理部23と、画像生成部24により構成されており、電気信号を供給して超音波を発生させて被検体に送り、被検体から戻ってきたエコー信号を処理し、信号処理後のデータを、空間座標に基づいた座標系のデータに変換することで画像を生成する。
【0019】
プローブ21は、複数の超音波振動子が所定方向(走査方向)に1列に配置された1次元アレイプローブ、又は、複数の超音波振動子が2次元的に配置された2次元アレイプローブが用いられる。また、超音波振動子が所定方向(走査方向)に配列され、超音波振動子を走査方向に直行する方向(振動方向)に機械的に揺動可能な1次元アレイプローブを用いても良い。
【0020】
送受信部22は、送信部と受信部とを備え、プローブ21に電気信号を供給して超音波を発生させて被検体に送り、プローブ21が被検体から戻ってきたエコー信号を受信する。
【0021】
送受信部22の送信部は、図示しないクロック発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路を備えている。送信遅延回路は、超音波の送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する回路である。パルサ回路は、チャンネルの数分のパルサを内蔵し、遅延が掛けられた送信タイミングで駆動パルスを発生し、プローブ21の各超音波振動子に供給するようになっている。
【0022】
送受信部22の受信部は、プリアンプ回路、A/D変換回路、及び受信遅延・加算回路を備えている。プリアンプ回路は、プローブ21の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換回路は、増幅されたエコー信号をA/D変換する。受信遅延・加算回路は、A/D変換後のエコー信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算する。その加算により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。なお、この送受信部22によって加算処理された信号を「RFデータ(生データ)」と称する場合がある。送受信部22は、RFデータを信号処理部23に出力する。
【0023】
信号処理部23は、Bモード処理部やCFM(Color Flow Mapping)処理部などを備えて構成されている。Bモード処理部は、エコーの振幅情報の映像化を行う。具体的には、Bモード処理部は送受信部22から出力された受信信号に対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。また、CFM処理部は、動いている血流情報の映像化を行う。血流情報には、速度、分散、パワー等の情報があり、血流情報は2値化情報として得られる。
【0024】
画像生成部24は、走査線信号列で表される信号処理後のデータを、空間座標に基づいた座標系のデータに変換する(デジタルスキャンコンバージョン)。例えば、画像生成部24は、Bモード処理部から出力された信号処理後のデータに対してスキャンコンバージョン処理を施すことで、被検体の組織形状を表すBモード画像データを生成する。そして、画像生成部24は、Bモード画像データなどの超音波画像データを画像データ記憶部3に出力する。
【0025】
また、ボリュームスキャンが行なわれている場合、画像生成部24は、信号処理部23からボリュームデータを受け、そのボリュームデータにボリュームレンダリングを行うことで3次元画像データを生成するようにしても良い。さらに、画像生成部24は、ボリュームデータにMPR処理(Multi Plannar Reconstruction)を施すことにより、MPR画像データ(任意断面の画像データ)を生成するようにしても良い。そして、画像生成部24は、3次元画像データやMPR画像データなどの超音波画像データを画像データ記憶部3に出力する。
【0026】
画像生成部24によって生成されたBモード画像データや3次元画像データなどの超音波画像データは、画像データ記憶部3に記憶される。
【0027】
検査データ生成手段5は、後述する患者データ記憶部4に記憶された患者データ内と、画像データ記憶部3に記憶された超音波画像データとを関連付ける。このとき、前記患者データ内に前記超音波画像データを記憶してもよく、また、ハイパーリンク等の仕組みを利用し前記患者データ内部に前記超音波画像データの格納先を埋め込んでもよい。検査データ生成手段5で関連付けられた患者データ及び超音波画像データは、後述する表示制御部6を介して表示部71に表示される。
【0028】
制御部8は、ユーザインタフェース7の操作部72からの操作者からの操作を受け、前記超音波検査部2の起動及び停止を制御する。例えば、操作者が操作部72を用いて超音波検査の終了を指示すると、制御部8は超音波検査部2を停止し休止状態にするとともに、後述する患者データ管理部9に超音波検査の終了を通知する。操作者が操作部72を用いて超音波検査の開始を指示した場合は、患者データ管理部9に検査を開始可能な状態、例えば既に次の検査対象の患者データが患者データ記憶部4に記憶されているかを確認し、患者データ管理部9から検査を開始可能となったことを通知されたときに、患者データ管理部9に超音波検査の開始を通知するとともに、超音波検査部2を起動する。
【0029】
また、制御部8は後述する検知部10からの、超音波検査の開始もしくは終了の指示に対しても、操作部72から操作者の操作を受けた場合と同様に動作する。つまり、検知部10から、超音波検査の終了の指示を受けると、制御部8は超音波検査部2の起動状態を確認し、超音波検査部2が起動している場合は、超音波検査部2を停止し休止状態にするとともに、後述する患者データ管理部9に超音波検査の終了を通知する。また、検知部10から、超音波検査の開始の指示を受けると、制御部8は超音波検査部2の起動状態を確認し、超音波検査部2が停止している場合は、患者データ管理部9に超音波検査の開始を通知するとともに、超音波検査部2を起動する。
【0030】
検知部10は、検査を開始する場合もしくは検査を終了する場合に形態が変化する機構部(図示しない)の形態変化を検知するセンサ、もしくは、機構部の形態変化に伴い動作するスイッチを備え、該機構部が検査を開始もしくは終了する場合の形態に変化したことを検知する。検知部10は、該機構部が検査を開始する場合の形態に変化したことを検知した場合は制御部8に超音波検査の開始を通知し、検査を終了する場合の形態に変化したことを検知した場合は制御部8に超音波検査の終了を指示する。
【0031】
ここで、機構部の形態変化について図4及び図5を参照しながら例をあげて説明する。図4は機構部を検査開始の形態に変化させた場合の例であり、図5は機構部を検査終了の形態に変化させた場合の例である。
【0032】
ノート型のパソコンのようにラップトップを開け閉めするタイプの超音波検査装置の場合を例に説明すると、検知部10は、図4の(a)のようにラップトップ部分を開く動作を検知した場合に超音波検査の開始を、図5の(a)のようにラップトップ部分を閉じる動作を検知した場合に超音波検査の終了を制御部8に通知する。また、図4の(b)や図5の(b)のように液晶部分をスライドさせて開閉するタイプの超音波診断装置にも応用可能である。
【0033】
上記で説明した機構部の形態変化を検知し超音波検査を開始もしくは終了する機能(以降、「検知機能」と呼ぶ場合がある)は、操作部72から操作者が操作し設定を変更することで、該検知機能の使用もしくは未使用を選択的に切り替えることが可能である。上記は検知機能を使用する設定とした場合の動作を説明したものであり、検知機能を未使用に設定した場合は、機構部が超音波検査の開始もしくは終了する場合の形態に変化しても、制御部8への超音波検査の開始もしくは終了の指示を抑止する。
【0034】
患者データ管理サーバ15は、患者データを管理し、検査の開始前に超音波診断装置1に検査対象の患者データの一覧(以降、「患者データ一覧」と呼ぶ場合がある)及び検査の順番を示す情報(以降、「検査の順番」と呼ぶ場合がある)を配信する。
【0035】
ここで、図6を参照しながら、患者データ一覧及び検査の順番を示すデータの例について説明する。図6では患者データを検査の順番に並べることで検査の順番の情報を持たせたうえで患者データ一覧としている。患者データ一覧を構成する患者データには、患者識別子、氏名、性別等の患者の情報が含まれるが、本発明では少なくとも各患者を識別する患者識別子を含む必要がある。
【0036】
また、各患者データが、検査の実施状況、つまり、検査未実施であるか、検査中であるか、既に検査が完了しているかを示す情報を検査経過として保持するとともに、検査中もしくは次の検査対象の患者が患者データ一覧のどの位置(順番)に設定されているかを判別する位置情報(以降、「検査対象カーソル」と呼ぶ場合がある)を、例えばカーソルやインデックス等の手段を用いて管理する。
【0037】
図6に示す例では各状態のパラメータとして、検査未実施の状態を「検査未」、検査中の状態を「検査中」、既に検査が完了している状態を「検査済」として示している。なお、各状態のパラメータは、各状態を区別できれば良く、図6の例で示した「検査未」、「検査中」、「検査済」に限るものではないため、例えば各状態を記号や通番、アルファベット等で表現してもよい。
【0038】
また急患発生時には、急患患者の到着時間や搬送先等の急患に関する情報等の操作者へ通知する情報(以降、「通知情報」と呼ぶ場合がある)を超音波診断装置1に配信するとともに、患者データ管理サーバ15の操作部(図示しない)を介し、サーバ操作者から検査対象として追加された急患患者の情報と追加された急患患者を含めた新しい検査の順番を示す情報を取得し、該急患患者の患者データを作成し追加することで患者データ一覧を更新し、更新後の新しい患者データ一覧及び検査の順番を超音波診断装置1に配信する。例えば、患者データを検査の順番に並べることで患者データ一覧としている場合、急患患者の患者データを追加した後、該急患患者の患者データも含めたうえで新しい検査の順番に患者データを並べ替えることで、患者データ一覧を及び検査の順番を更新する。
【0039】
入出力インタフェース11は、患者データ一覧、検査の順番、及び、通知情報を、ネットワークを介して外部から受信し、後述する患者データ管理部9に送信するとともに、患者データ管理部9から検査が完了した患者データ一覧を取得し、ネットワークを介して外部のサーバに送信する。
【0040】
患者データ管理部9は、患者データ一覧と、検査の順番と、検査経過とを記憶する患者データ一覧記憶部91と、患者データ管理部9からの指示に従い、患者データ一覧記憶部91から次の検査対象の患者データを取得し、患者データ記憶部4に記憶させる検査対象管理部92により構成され、検査対象の患者データの一覧を管理する。
【0041】
患者データ管理部9は、入出力インタフェース11から操作者への通知情報を受信した場合、後述する表示制御部6を介し表示部71に前記通知情報を表示するとともに、外部の報知手段(図示しない)に放置させるように後述する報知指示手段12に指示する。また、入出力インタフェース11から患者データ一覧及び検査の順番を取得した場合、患者データ一覧記憶部91に記憶させる。
【0042】
また、患者データ管理部9は、検査の開始や終了に伴い、患者データ一覧記憶部91より検査対象の患者データの検査経過が更新されると、前記検査経過の更新を、入出力インタフェース11を介しネットワークを経由して患者データ管理サーバ15に通知する。このとき、患者データ管理サーバ15へ送信する情報として、少なくとも検査経過を更新する患者データを識別する情報と、更新後の検査経過の状態とが含まれればよく、図10に示すように、例えば、患者識別子と検査経過の対応をテーブルのような形式で表現可能なデータにまとめて送信すればよいし、図6に示すような、患者データ一覧及び検査経過のデータすべてを送信してもよい。
【0043】
また、患者データ管理部9は、制御部8から超音波検査の終了が通知されると、患者データ一覧記憶部91に後述する検査データ生成手段5から検査が完了した患者データを取得し記憶させるとともに、検査対象管理部92に次の検査対象の患者データを患者データ記憶部4に記憶させるように指示する。
【0044】
また、患者データ管理部9は、制御部8から超音波検査が開始可能か否かの確認を受けると、患者データ記憶部4に次の検査対象の患者データが記憶されているかを確認し、次の検査対象の患者データが記憶されている場合に、検査が開始可能であることを制御部8に通知する。患者データ記憶部4に患者データが記憶されていない場合は、患者データを患者データ記憶部4に記憶させたとき、例えば、操作者により操作部72から患者の情報が入力され、入力された患者の情報から患者データを作成し患者データ記憶部4に記憶させたときに、制御部8に検査が開始可能であることを通知する。
【0045】
患者データ一覧記憶部91は、患者データ管理部9から取得した患者データ一覧、検査の順番、及び、検査経過を記憶し、検査の開始や終了に伴い、検査対象の患者データの検査経過を更新するとともに、検査経過の更新を患者データ管理部9に通知する。
【0046】
患者データ一覧記憶部91は、検査の終了時に、検査を実施していた患者データ、つまり、検査経過が「検査中」を示している患者データの検査経過を「検査済」に更新し、検査の順番を参照し検査経過を「検査済」に更新した患者データの次に設定されている検査経過が「検査未」の患者データに検査対象カーソルを設定し(次の検査対象として特定する)、該検査経過の更新を患者データ管理部9に通知する。このとき、患者データ一覧記憶部91は、検査対象カーソルが設定された患者データ、つまり、次の検査対象の患者データを検査対象管理部92に通知する。
【0047】
検査の開始時には、検査対象カーソルが設定されている患者データ、つまり、次の検査対象の患者データの検査経過を「検査中」に更新し、該検査経過の更新を患者データ管理部9に通知する。
【0048】
患者データ一覧記憶部91は、患者データ管理部9から新しく更新された患者データ一覧、及び、検査の順番を取得すると、既に記憶している患者データ一覧を取得した新しい患者データ一覧に更新する。
【0049】
検査対象管理部92は、患者データ管理部9からの指示に従い、患者データ一覧記憶部91から次の検査対象の患者データを受信し患者データ記憶部4に記憶させる。
【0050】
この患者でデータを事前に読込む機能(以降、「事前読込み機能」と呼ぶ場合がある)は、操作部72から操作者が操作し設定を変更することで、該事前読込み機能の使用もしくは未使用を選択的に切り替えることが可能である。上記は事前読込み機能を使用する設定とした場合の動作を説明したものであり、事前読込み機能を未使用に設定した場合は、従来技術の動作と同様に検査の開始時に、表示制御部6を介し表示部71に患者データの入力画面を表示し、操作者に患者データの入力を促す。
【0051】
図11は患者データの表示画面の例である。該事前読込み機能を使用する設定としている場合、操作者が超音波検査の開始に伴う操作を行ったときに、患者データ管理部9は表示制御部6を介し、図11の患者データ表示部に次の検査対象の患者データを表示する。該事前読込み機能を使用しない設定としている場合は、図11の患者データ表示部の各フィールドを空の状態で表示し操作者に患者情報の入力を促し、操作者が各フィールドに入力した患者の情報から患者データを生成する。
【0052】
また、患者情報事前読込み機能を未使用に設定している状態から使用する設定に変更した場合は、患者データ記憶部4に次の検査対象の患者データが記憶されていない場合がある。この場合は、患者情報事前読込み機能を使用する設定に変更した時に、患者情報事前読込み機能をあわせて動作させることで、患者データ記憶部4に次の検査対象の患者データを記憶させる。
【0053】
検査対象管理部92は、例えば、患者データ一覧記憶部91に記憶された検査経過が、すべての検査が完了していることを示している場合や、患者データ一覧が空の場合等のように、次の検査対象の患者データが存在しない場合、後述する仮識別情報生成手段93から仮の患者識別情報を取得し、それを基に仮の患者データを生成し、次の検査対象の患者データとして患者データ記憶部4に記憶させる。
【0054】
ここで、仮の患者識別情報は、患者データ内の患者識別情報のフィールドに入力可能なフォーマットで生成する必要があり、また、既に登録されている患者データに使用されている患者識別情報と重複しないように生成する必要がある。既に使用されている患者識別情報と重複しないための例としては、患者識別情報内に仮の患者情報であることを示す文字列を含めたり、正式な患者識別情報と仮の患者識別情報とで使用する文字の範囲を変える等(数値とアルファベットで区別する等)の方法で対応できる。
【0055】
この仮の患者データを生成し記憶させる機能(以降、「仮患者情報生成機能」と呼ぶ場合がある)は、操作部72から操作者が操作し設定を変更することで、該仮患者情報生成機能の使用もしくは未使用を選択的に切り替えることが可能である。上記は仮患者情報生成機能を使用する設定とした場合の動作を説明したものであり、仮患者情報生成機能を未使用に設定した場合は、検査対象管理部92は仮の患者データの生成は行わない。そのため、次の検査対象の患者データが存在しない状態で操作者が超音波検査の開始に伴う操作を行ったときは、患者データ管理部9が表示制御部6を介し表示部71に患者データの入力画面を表示し、操作者に患者データの入力を促す。
【0056】
つまり、該仮患者情報生成機能を使用しない設定としている場合は、患者データ管理部9は表示制御部6を介し、図11の患者データ表示部の各フィールドを空の状態で表示し操作者に患者情報の入力を促し、操作者が各フィールドに入力した患者の情報から患者データを生成する。
【0057】
仮識別情報生成手段93は、検査対象管理部92からの依頼に応じて、仮の患者識別情報を生成し検査対象管理部92に送信する。
【0058】
報知指示手段12は、患者データ管理部9から操作者への通知情報を取得するとともに、患者データ管理部9からの指示に応じて、外部の報知手段(図示しない)に報知させる。具体的に説明すると、例えば、患者データ管理部9が通知情報や新しい患者データ一覧を受信した場合に、バイブレータやランプ等の報知手段に、バイブレータなら振動させる、ランプなら点滅もしくは点灯させる等により、情報を受信したことを操作者へ報知させる。
【0059】
表示制御部6は、検査データ生成手段5を介し取得した、画像データ記憶部3に記憶された画像データと、患者データ記憶部4に記憶された患者データとを、所定のフォーマットに従い、表示部71に表示させる。
【0060】
また、表示制御部6は、患者データ管理部9から前記通知情報を受信すると、該通知情報の内容、例えば、急患発生時における急患患者の到着予定時刻や到着までの残り時間、又は、急患患者の搬入先等を、所定のフォーマットで表示部71に表示させる。通知情報の表示例を図7に示す。
【0061】
また、表示制御部6は、操作部72からの操作者の操作を受け、患者データ一覧記憶部91に記憶された検査対象の患者データの一覧や検査経過を、所定のフォーマットで表示部71に表示させる。患者データの一覧や検査経過の表示例は図11に示すとおりである。
【0062】
(動作)
次に、この発明の実施形態に係る超音波診断装置1の動作について説明する。
【0063】
(第1の動作態様)
この発明の実施形態に係る超音波診断装置1の第1の動作態様について図2及び図3を参照して説明する。図2は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置の動作態様を示すフローチャートである。図3は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置において、駆動部(図示しない)の駆動を検知し、超音波診断装置を起動又は停止させる動作を示すフローチャートである。
【0064】
(患者データ管理サーバ:患者データ一覧の登録及び配信)
(ステップS101)
まず、患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者からの入力操作に従い、検査対象の患者データの一覧及び検査の順番を作成し記憶部(図示しない)に記憶する。このとき、患者データを検査の順番に従い並べることで、検査の順番を含むかたちで患者データ一覧としても良いが、ここでは個別の情報として分けて説明するものとする。
【0065】
なお、検査対象の患者データ一覧は、患者データ管理サーバ15に記憶されている患者データ群の中から選択し作成することが可能である。また、過去に受信記録が無い等、患者データ管理サーバ15に患者データが存在しない場合は、患者データの入力画面を表示し患者情報の入力を促しても良く、また、仮の患者識別子を使用し仮の患者データを作成しておき、後から患者情報を入力できるようにしても良い。
【0066】
(ステップS102)
患者データ管理サーバ15は、患者データ一覧及び検査の順番の作成が完了すると、サーバ操作者から入力された超音波診断装置1の操作者への通知情報を超音波診断装置1に配信する。通知情報が無い場合は、通知情報の配信の処理は行わず次の処理に遷移する。
【0067】
(ステップS103)
通知情報の配信後、患者データ管理サーバ15は作成した患者データ一覧及び検査の順番を超音波診断装置1に配信する。
【0068】
(超音波診断装置:患者データ一覧の登録及び超音波検査の開始)
(ステップS111)
超音波診断装置1が起動されると、まずは患者データ管理部9が、患者データ管理サーバ15からの通知情報及び患者データ一覧の配信待ちの状態となる。
【0069】
(ステップS112)
患者データ管理部9は、患者データ管理サーバ15から通知情報を受信すると、受信した通知情報を表示制御部6を介し表示部71に表示するとともに、報知指示手段12を介し報知部(図示しない)に報知させる。
【0070】
(ステップS113)
通知情報の受信完了後、患者データ管理部9は、患者データ一覧及び検査の順番を患者データ管理サーバ15から受信する。
【0071】
(ステップS114)
患者データ管理サーバ15から受信した患者データ一覧及び検査の順番は、患者データ一覧記憶部91に記憶させる。
【0072】
(ステップS115)
患者データ一覧記憶部91が、受信したデータ、つまり、患者データ一覧及び検査の順番を記憶すると、患者データ管理部9は、検査対象管理部92に最初の診断対象の患者データを特定させる。検査対象管理部92は患者データ管理部9からの指示を受け、患者データ一覧記憶部91に記憶された患者データ一覧及び検査の順番を基に、次の検査対象の患者データ(以降、「次の患者データ」と呼ぶ場合がある)を特定し、患者データ記憶部4に記憶させる。
【0073】
(ステップS151)
次の患者データが患者データ記憶部4に記憶されると、超音波診断装置1は超音波検査の開始操作待ち(以降、「検査開始操作待ち」と呼ぶ場合がある)の状態となる。検査開始操作待ちの状態で、制御部8が超音波検査の開始指示を受けると(図2、C)、制御部8は患者データ管理部9に超音波検査の開始を通知するとともに、超音波検査部2を起動する。
【0074】
(超音波診断装置:超音波検査の開始時の動作)
ここで、図3及び図7の(b)を参照しながら、機構部が検査を開始する場合の形態に変化したことを検知して超音波検査部2を起動し超音波検査を開始する場合を例に、超音波検査を開始する場合の動作について説明する。図7の(b)は本動作態様に係る超音波診断装置の検査を開始する場合の処理を示すシーケンス図である。
【0075】
(ステップS311)
操作者が超音波診断装置1を、超音波検査を開始する場合の形態にすることで、機構部が形態変化を検知するセンサが動作し(図7(b)、指示M200)、この機構部の形態変化を検知部10が検知することで、超音波検査を開始する場合の処理が動作する。
【0076】
(ステップS312)
検知部10は、機構部の変形つまり形態変化を検知すると、その変形により機構部が検査を開始する場合の形態に変化したかを確認する。
【0077】
(ステップS313)
機構部が検査を開始する場合の形態に変化した場合(ステップS312、Yes)、制御部8に超音波検査部2が休止中かを確認する。超音波検査部2が既に起動している場合(ステップS314、No)は処理を行わない。超音波検査部2が休止している場合(ステップS314、Yes)、検知部10は制御部8に対し超音波検査の開始を指示する(図7(b)、指示M201)。
【0078】
(ステップS151)
ここで図2及び図7(b)を参照し、以降の動作について説明する。制御部8は超音波検査の開始操作待ちの状態のとき、検知部10から超音波検査の開始指示M201を受ける。制御部8は検知部10から超音波検査の開始指示M201を受けると、まず患者データ管理部9に検査対象の患者データの表示を指示(図7(b)、指示M202)し、操作者からの超音波検査の開始操作待ちとなる。
【0079】
患者データ管理部9は、制御部8からの患者データの表示指示M202を受けて、患者データ一覧記憶部91に記憶された患者データ一覧から検査対象の患者データを特定し、該検査対象の患者データを、表示制御部6を介し表示部71に表示させる(図7(b)、指示M203、指示M204)。
【0080】
操作者は表示部71に表示された患者データが、次の検査対象の患者データであることを確認し、検査対象の患者データとして確定し超音波検査を開始する(図7(b)、指示M205A)。患者データの表示画面の例を図11に示す。検査対象の患者データと異なる場合は、あわせて表示される患者データ一覧表示部から、次の患者データを指定することも可能である。
【0081】
また、操作者による患者データの確定操作をユーザインタフェース7が代行してもよく、さらに、患者データの確定操作をユーザが行うか、ユーザインタフェース7が代行するかは、操作者が操作部72から操作し設定を変更することで、選択的に切り替えられるようにしてもよい。
【0082】
患者データの確定操作をユーザインタフェース7が代行する場合は、操作部72が、前記次の検査対象の患者データを検査対象の患者データとして確定する(図7(b)、指示M205B)。これにより、操作者は患者データの確定操作を行う必要がなくなり、検査を開始する場合の手順がさらに簡略化される。
【0083】
さらに、次の検査対象の患者データが存在しない場合は、例えば、検査が予定されていたすべての患者の検査が終了している場合、仮識別情報生成手段93で生成した仮の患者識別情報を使用し生成した仮の患者データを表示してもよく、また、患者情報を入力する画面をこのタイミングで表示し、操作者に患者情報をの入力を促してもよい。
【0084】
制御部8は、操作部72からの操作者による超音波検査の開始操作(図7(b)、指示M206)を受け、患者データ管理部9に超音波検査部2が起動可能であること、つまり、患者データ記憶部4に検査対象の患者データが記憶されていることを確認し、検査経過の更新を指示する(図7(b)、指示M207)。
【0085】
(ステップS116)
患者データ管理部9は、制御部からの検査経過の更新指示M207を受け、検査対象管理部92に検査対象の患者データの検査経過を検査中に更新させるとともに、入出力インタフェース11を介しネットワークを経由して、患者データ管理サーバ15に検査経過の更新を通知する。
【0086】
(ステップS104)
患者データ管理サーバ15は、患者データ管理部9からの検査経過の更新通知を受けて、患者データ管理サーバ15に記憶されている患者データ一覧から対象の患者データを特定し、該検査対象の患者データの検査経過を検査中に更新する。
【0087】
(超音波検査を開始する場合の検査経過の同期)
ここで、超音波検査を開始する場合の超音波診断装置1と患者データ管理サーバ15との間における、検査経過の同期の動作について図9を用いて詳しく説明する。図9は、D患者の検査を開始する場合を例に、患者データ管理サーバと超音波診断装置との間の検査経過の同期処理を示すシーケンス図に、各状態での患者データ管理サーバ及び超音波診断装置上の検査経過の推移を表した図である。なお、図9内の一覧T500〜T502は患者データ管理サーバ15における患者データ一覧と該患者データ一覧の更新状態を示し、一覧T510〜T512は超音波診断装置1における患者データ一覧と該患者データ一覧の更新状態を示す。
【0088】
D患者の検査開始前における検査経過を含む患者データについて、患者データ管理サーバ15の状態を一覧T500に、超音波診断装置1の状態を一覧T510に示す。一覧T500、一覧T510はともにD患者の検査経過が、検査未実施を表す検査未を示している。
【0089】
(指示M500)
超音波診断装置1の患者データ管理部9は、操作者からの超音波検査の開始指示を受け、まず患者データ一覧記憶部91で管理されている患者データ一覧T510の、D患者の検査経過を検査未から検査中に変更する(図9、一覧T511)。
【0090】
(指示M501)
次に超音波診断装置1の患者データ管理部9は、患者データ管理サーバにD患者の検査開始を通知する。患者データ管理サーバ15は、D患者の検査開始の通知を受けて、患者データ管理サーバ15内で管理している患者データ一覧T500の、D患者の検査経過を検査未から検査中に変更する(図9、一覧T501)。
【0091】
(指示M502)
患者データ管理サーバ15は、検査経過の更新が完了すると、検査経過の更新完了を超音波診断装置1に通知する。超音波診断装置1は、患者データ管理サーバ15からの検査経過の更新完了通知を受けて、つまり、患者データ管理サーバ15と検査経過の同期が取れたことを確認した後に、検査を開始可能な状態とする。
【0092】
なお、ネットワークの異常等の要因により正しく同期が行えない場合は、所定の時間ごとに該同期処理をリトライする、もしくは、次の同期のタイミング、例えば検査の終了時もしくは次の検査の開始時まで該同期処理を遅延させる。これにより、検査経過の同期の完了を待たずに超音波検査の開始に伴う処理を継続し、直ちに検査を開始することが可能となる。
【0093】
(ステップS152)
再度、図2及び図7(b)を参照し、以降の処理を説明する。患者データ管理部9による検査経過の更新が完了すると、制御部8は超音波検査部2を起動し検査を開始可能な状態とする(図7(b)、指示M208)。超音波検査部2の起動完了後、表示制御部6を介し表示部71に起動結果を表示する(図7(b)、指示M209、指示M210)。
【0094】
(超音波診断装置:超音波検査の終了時の動作)
次に、図3及び図7の(a)を参照しながら、機構部が検査を終了する場合の形態に変化したことを検知して超音波検査部2を休止し超音波検査を終了する場合を例に、超音波検査を終了する場合の動作について説明する。図7の(a)は本動作態様に係る超音波診断装置の検査を終了する場合の処理を示すシーケンス図である。
【0095】
(ステップS311)
操作者が超音波診断装置1を、超音波検査を終了する場合の形態にすることで、例えば、機構部が形態変化を検知するセンサが動作し(図7(a)、指示M100)、この機構部の形態変化を検知部10が検知することで、超音波検査を開始する場合の処理が動作する。
【0096】
(ステップS312)
検知部10は機構部の変形つまり形態変化を検知すると、その変形により機構部が検査を終了する場合の形態に変化したかを確認する。
【0097】
(ステップS314)
検知部10は、機構部が変形により検査を終了する場合の形態に変化したことを確認した場合(ステップS312、No)、制御部8に超音波検査部2が起動中かを確認する。超音波検査部2が既に休止している場合(ステップS313、No)は処理を行わない。超音波検査部2が起動している場合(ステップS313、Yes)、検知部10は制御部8に対し超音波検査の終了を指示する(図7(a)、指示M101)。
【0098】
(ステップS153)
ここで図2及び図7(a)を参照し、以降の動作について説明する。制御部8は超音波検査中の状態のとき、検知部10から超音波検査の終了指示M101を受ける。制御部8は検知部10から超音波検査の終了指示M101を受けると、超音波検査部2を停止し休止状態とする(図7(a)、指示M102)とともに、患者データ管理部9に検査経過の更新を指示する(図7(a)、指示M103)。
【0099】
(ステップS117)
患者データ管理部9は、制御部8からの検査経過の更新指示M102を受け、まず検査データ生成手段5から検査結果、つまり、画像データ記憶部3に記憶された画像データと、患者データ記憶部4に記憶された患者データとを関連付けたデータを取得し患者データ一覧記憶部91に記憶する。
【0100】
(ステップS118)
次に患者データ管理部9は、患者データ一覧記憶部91に検査が完了した患者データの検査経過を検査済に更新させるとともに、入出力インタフェース11を介しネットワークを経由して、患者データ管理サーバ15に検査経過の更新を通知する。
【0101】
(ステップS105)
患者データ管理サーバ15は、患者データ管理部9からの検査経過の更新通知を受けて、患者データ管理サーバ15に記憶されている患者データ一覧から対象の患者データを特定し、該検査対象の患者データの検査経過を検査済に更新する。
【0102】
(超音波検査を終了する場合の検査経過の同期)
ここで、超音波検査を終了する場合の超音波診断装置1と患者データ管理サーバ15との間における、検査経過の同期の動作について図8を用いて詳しく説明する。図8は、C患者の検査を終了する場合を例に、患者データ管理サーバと超音波診断装置との間の検査経過の同期処理を示すシーケンス図に、各状態での患者データ管理サーバ及び超音波診断装置上の検査経過の推移を表した図である。なお、図8内の一覧T400〜T402は患者データ管理サーバ15における患者データ一覧と該患者データ一覧の更新状態を示し、一覧T410〜T412は超音波診断装置1における患者データ一覧と該患者データ一覧の更新状態を示す。
【0103】
C患者の検査終了前における検査経過を含む患者データについて、患者データ管理サーバ15の状態を一覧T400に、超音波診断装置1の状態を一覧T410に示す。一覧T400、一覧T410はともにC患者の検査経過が、検査の実施中を表す検査中を示している。
【0104】
(指示M400)
超音波診断装置1の制御部8は、操作者からの超音波検査の終了指示を受け、まず前記で示したとおり、超音波検査部2を停止し(図2、ステップS153)、超音波検査部2の停止を受け、患者データ管理部9は検査結果を患者データ一覧記憶部91に記憶する(図2、ステップS117)。その後、患者データ一覧記憶部91で管理されている患者データ一覧T410上の、D患者の検査経過を検査未から検査中に変更する(図8、一覧T411)。
【0105】
(指示M401)
次に超音波診断装置1の患者データ管理部9は、患者データ管理サーバ15にC患者の検査終了を通知する。患者データ管理サーバ15は、C患者の検査終了の通知を受けて、患者データ管理サーバ15内で管理している患者データ一覧上の、C患者の検査経過を検査中から検査済に変更する(図9、一覧T401)。
【0106】
(指示M402)
患者データ管理サーバ15は、検査経過の更新が完了すると、検査経過の更新完了を超音波診断装置1に通知する。超音波診断装置1の患者データ管理部9は、患者データ管理サーバ15からの検査経過の更新完了通知を受けて、つまり、患者データ管理サーバ15と検査経過の同期が取れたことの確認をもって、検査経過の更新処理を終了する。
【0107】
なお、ネットワークの異常等の要因により正しく同期が行えない場合は、所定の時間ごとに該同期処理をリトライする、もしくは、次の同期のタイミング、例えば次の検査の開始時まで該同期処理を遅延させる。
【0108】
(ステップS119)
再度、図2及び図7(a)を参照し、以降の処理を説明する。検査経過の更新が完了すると、患者データ管理部9は検査対象管理部92に検査未の検査対象の確認を指示する。検査対象管理部92は、検査未の検査対象確認の指示を受け、患者データ一覧記憶部91に記憶された患者データ一覧を確認し、検査経過が検査未の患者データが存在するかを確認する。
【0109】
(ステップS115)
検査経過が検査未の患者データが存在する場合(ステップS119、No)、次の患者データを患者データ一覧記憶部91に記憶された患者データ一覧から特定し、特定した患者データを患者データ記憶部4にあらかじめ記憶させる。これにより、検査を開始する場合に患者データの読込み処理を動かす必要がなくなり、検査開始までの時間が短縮される。
【0110】
(ステップS120)
検査経過が検査未の患者データが存在しない場合、つまり、最終の検査であった場合(ステップS119、Yes)、超音波検査の終了が選択されたかを確認する。
【0111】
(ステップS121)
超音波検査を継続する場合(ステップS120、No)、次の検査対象の患者データを生成し入力する。検査対象管理部92は、仮識別情報生成手段93から仮の患者識別子を取得し、取得した仮の患者識別子をもとに新しく患者データを生成し次の検査対象の患者データとする。
【0112】
この仮の患者データを生成し記憶させる機能(仮患者情報生成機能)は、操作部72から操作者が操作し設定を変更することで、該仮患者情報生成機能の使用もしくは未使用を選択的に切り替えることが可能である。該仮患者情報生成機能を未使用に設定した場合は、検査対象管理部92は仮の患者データの生成を行わない。
【0113】
そのため、次の検査対象の患者データが存在しない状態で操作者が超音波検査の開始に伴う操作を行った場合は、患者データ管理部9が表示制御部6を介し表示部71に、患者データの入力画面、例えば図11に示す画面の患者データ表示部の各フィールドを空にし情報を入力可能な画面を表示し、操作者によって入力された患者情報から新しく患者データを生成する。
【0114】
(ステップS122)
超音波検査を終了する場合(ステップS120、Yes)、患者データ管理部9は検査が完了した患者データの一覧を患者データ管理サーバ15に送信し検査を終了する。
【0115】
(ステップS106)
患者データ管理サーバ15は、受信した検査が完了した患者データの一覧に、患者データ管理サーバ15内で管理している患者データを更新する。
【0116】
以上により、検査対象の患者データの一覧と検査の順番を事前に患者データ管理サーバ15から取得しておき、検査の開始前、つまり、患者データ一覧の受信時や検査の終了時に、次の検査対象の患者データをあらかじめ読み込んでおくことで、検査開始前に患者データの入力等の煩雑な操作をなくし、速やかに超音波診断の開始が可能となる。
【0117】
(第2の動作態様)
次に、この発明の実施形態に係る超音波診断装置1の第2の動作態様について図2及び図12を参照して説明する。図12は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置において、急患等の発生により患者データ一覧及び検査の順番を更新する場合の動作を示すフローチャートである。
【0118】
(患者データ管理サーバ:患者データ一覧の更新及び配信)
(ステップS201)
サーバ操作者は、急患患者を登録するために、まず現在の状態、つまり、患者データ一覧、検査の順番、及び、検査経過の確認の操作を行う。患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者からの現状確認の操作を受けると、まず患者データ管理サーバ15に記憶されている患者データの検査経過を最新に更新するために、超音波診断装置1に検査経過の確認を行う。
【0119】
(ステップS211)
超音波診断装置1の患者データ管理部9は、患者データ管理サーバ15からの検査経過の確認を受け、患者データ一覧記憶部91で管理している患者データ一覧及び検査経過を、患者データ管理サーバ15に通知する。
【0120】
(ステップS202)
患者データ管理サーバ15は、超音波診断装置1からの患者データ一覧及び検査経過の通知を基に、患者データ管理サーバ15に記憶されている患者データの検査経過を更新することで、超音波診断装置1と検査経過の同期をとり、検査経過の同期後、患者データ一覧及び検査の順番をサーバ操作者に表示する。
【0121】
(ステップS203)
サーバ操作者は、患者データ管理サーバ15が表示した患者データ一覧及び検査の順番を基に、急患患者の情報を入力し、検査の順番を調整する。患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者による急患患者の情報入力を基に、急患患者の患者データを作成する。
【0122】
(ステップS204)
患者データ管理サーバ15は、急患患者の患者データ作成後、サーバ操作者が調整した検査の順番を基に、患者データ管理サーバ15に記憶されている患者データ一覧及び検査の順番を更新する。
【0123】
(ステップS205)
また、患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者から超音波診断装置1の操作者へ通知する情報(以降、「通知情報」と呼ぶ場合がある)、例えば、急患患者の到着予定時刻や搬入先等を、サーバ操作者からの入力をもとに作成し、サーバ操作者による配信指示を受け、超音波診断装置1に該通知情報を配信する。
【0124】
なお、本実施形態では、急患患者の患者データの登録操作(ステップS201からステップS204)の後に、通知情報の入力及び配信指示の操作(ステップS205)が行われる場合を例に動作を説明しているが、急患患者の患者データの登録を行う前に、通知情報の入力及び配信指示を行うことも可能である。この場合、ステップS205の処理を実施後に、ステップS201からステップS204の処理を実施することとなる。
【0125】
(ステップS206)
患者データ一覧及び検査の順番の更新が完了すると、患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者からの操作に従い、更新した患者データ一覧及び検査の順番を、超音波診断装置1に配信する。
【0126】
(超音波診断装置:患者データ一覧の更新)
(ステップS212)
超音波診断装置1の患者データ管理部9は、ネットワーク及び入出力インタフェース11を介し、患者データ管理サーバ15から通知情報を受信する。
【0127】
(ステップS213)
患者データ管理部9は、患者データ管理サーバ15から通知情報を受信すると、表示制御部6に表示部71への所定のフォーマットでの通知情報の表示を指示するとともに、報知指示手段12を介し、報知手段(図示しない)に報知させる。図13は、表示部71に通知情報として、急患患者の「到着予定時刻」、「到着までの残り時間(現在時刻及び到着予定時刻から算出する)」、「搬入先」を表示した場合の、画面表示例である。
【0128】
(ステップS214)
また、患者データ管理部9は、ネットワーク及び入出力インタフェース11を介し、患者データ管理サーバ15から更新済みの患者データ一覧及び検査の順番を受信すると、患者データ一覧記憶部91に、患者データ一覧及び検査の順番の更新を指示する。
【0129】
(ステップS215)
患者データ一覧記憶部91は、患者データ管理部9から患者データ一覧及び検査の順番の更新指示を受け、患者データ一覧記憶部91内で記憶している患者データ一覧及び検査の順番を、患者データ管理部9から取得した更新済みの患者データ一覧及び検査の順番に更新する。
【0130】
(患者データ一覧更新時の患者データ一覧及び検査経過の同期)
ここで、超音波検査を開始する場合の超音波診断装置1と患者データ管理サーバ15との間における患者データ一覧及び検査の順番の同期の動作に関し、情報の流れ及びデータの状態の推移を、図14を用いて詳しく説明する。図14は、データの状態の推移をわかりやすく説明するために、患者データ管理サーバ15と超音波診断装置1の間で検査経過の同期がとれていない場合を例に、検査経過を同期したうえで、急患患者のデータを登録し、患者データ一覧及び検査の順番を更新する処理のシーケンス図に、各状態での患者データ管理サーバ及び超音波診断装置上の患者データ一覧の推移を表した図である。なお、図8内の一覧T300〜T303は患者データ管理サーバ15における患者データ一覧と該患者データ一覧の更新状態を示し、一覧T310〜T311は超音波診断装置1における患者データ一覧と該患者データ一覧の更新状態を示す。
【0131】
(指示M300)
サーバ操作者は、まず現在の状態を確認するために、患者データ一覧、検査の順番、及び、検査経過の表示を、患者データ管理サーバ15に指示する。
【0132】
この時点での検査経過を含む患者データについて、患者データ管理サーバ15の状態を一覧T300に、超音波診断装置1の状態を一覧T310に示す。図14では、一覧T300ではB患者が、一覧T310ではC患者が検査中を示しており、検査経過の同期がとれていないことを表している。
【0133】
(指示M301)
患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者からの患者データ一覧、検査の順番、及び、検査経過の表示指示を受け、まず、検査経過を最新の状態に更新するために、超音波診断装置1に検査経過の通知依頼を行う。
【0134】
(指示M302)
超音波診断装置1は、患者データ管理サーバ15からの検査経過の通知依頼に従い、患者データ一覧記憶部91に記憶されている一覧T310の検査経過を、患者データ管理サーバ15に通知する。
【0135】
患者データ管理サーバ15は、超音波診断装置1からの検査経過の通知内容、つまり一覧T310の検査経過と同様に、患者データ管理サーバ15で管理している患者データの一覧T300の検査経過を更新する。このとき、超音波診断装置1の検査経過(図14、T310)ではC患者が検査中となっているため、一覧T301に示すとおり、B患者の検査経過を検査済に、C患者の検査経過を検査中に更新し、超音波診断装置1の検査経過と同期をとる。
【0136】
(指示M303)
検査経過の同期が完了すると、患者データ管理サーバ15は、(一覧T301に示すとおりに)更新した患者データ一覧、検査の順番、及び、検査経過を現在の状態として画面(図示しない)に表示し、サーバ操作者に提示する。
【0137】
(指示M304)
サーバ操作者は、患者データ管理サーバ15が表示した情報をもとに、急患患者の情報を入力し、順番を調整したうえで患者データ一覧の更新を指示する。
【0138】
(指示M305)
患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者からの入力情報から急患患者の患者データを作成し追加することで患者データ一覧を更新する。図6のように患者データを検査の順番に並べることで患者データ一覧に検査の順番を示す情報を含めている場合は、この時点で患者データをサーバ操作者が入力した新しい検査の順番に並べ替える。本説明では、一覧T302に示すとおり、E急患患者及びF急患患者の患者データを作成し、C患者の検査の次に登録している。患者データ一覧の更新が完了すると、患者データ管理サーバ15は、更新結果を画面(図示しない)に表示し、サーバ操作者に提示する。
【0139】
(指示M306、指示M307)
患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者から入力された通知情報を、サーバ操作者からの配信指示に従い超音波診断装置1に配信し、超音波診断装置1に該通知情報を報知させる。本動作については、図2におけるステップS212及びステップS213の動作の説明で既に記載しているため、詳細な説明は省略する。
【0140】
(指示M308)
患者データ管理サーバ15は、サーバ操作者からの患者データ一覧の配信指示に従い、更新した患者データ一覧及び検査の順番(図14、一覧T303に相当)を、超音波診断装置1に配信する。
【0141】
(指示M309)
超音波診断装置1の患者データ管理部9は、患者データ一覧記憶部91に対し、患者データ一覧記憶部91に記憶されている患者データ一覧及び検査の順番(図14、一覧T310に相当)を、患者データ管理サーバ15から配信された患者データ一覧及び検査の順番(図14、一覧T311に相当)に更新させる。これにより、患者データ一覧記憶部91の管理する患者データ一覧及び検査順番に、追加した急患患者の患者データ(E急患患者及びF急患患者)が検査の対象として追加される。
【0142】
(ステップS216)
ここで、図2及び図12を参照し、以降の処理を説明する。超音波診断装置1の患者データ管理部9は、患者データ一覧及び検査の順番の更新が完了すると、次に超音波検査部2の起動状態を確認し、超音波検査部2が起動中か停止中かにより、以降の処理の内容を切替える。超音波検査部2が停止中、及び、起動中のそれぞれの動作について以降で説明する。
【0143】
(超音波診断装置:超音波検査部が停止中の動作)
(ステップS217)
超音波検査部2が停止中の場合(図12、ステップS217、No)は、患者データ記憶部4に記憶された次の検査対象の患者データを直ちに更新する。
【0144】
(ステップS115)
患者データ管理部9は、超音波検査部2が停止中に患者データ一覧及び検査の順番が更新されると(図2、A)、更新した該患者データ一覧及び検査の順番を基に、次の検査対象の患者データを特定し直し、患者データ記憶部4に記憶された次の検査対象の患者データを更新する。これにより、次の検査対象の患者が、新しく更新された検査順番に従い設定し直される。
【0145】
(ステップS151)
患者データ記憶部4に記憶された次の患者データが更新されると、超音波診断装置1は再び検査開始操作待ちの状態となる。
【0146】
(超音波診断装置:超音波検査部が起動中の動作)
(ステップS217)
超音波検査部2が起動中の場合(図12、ステップS217、Yes)には、患者データ記憶部4に記憶された次の検査対象の患者データは、患者データ一覧及び検査の順番の更新のタイミングでは更新されず、超音波検査停止時に実行される処理の延長で更新される。
【0147】
(ステップS117)
患者データ管理部9は、超音波検査部2が起動中に患者データ一覧及び検査の順番が更新されると(図2、B)、超音波検査部2の停止を待つ。超音波検査部2が停止すると、患者データ管理部9は、検査データ生成手段5から検査中だった患者の検査結果を取得し患者データ一覧記憶部91に記憶する。
【0148】
(ステップS118)
次に患者データ管理部9は、患者データ一覧記憶部91に検査が完了した患者データの検査経過を検査済に更新させるとともに、入出力インタフェース11を介しネットワークを経由して、患者データ管理サーバ15に検査経過を更新させる。
【0149】
(ステップS119)
検査経過の更新が完了すると、患者データ管理部9は検査対象管理部92に検査経過の確認を指示する。このとき、検査対象管理部92は、検査経過確認の指示を受け、急患に伴い更新された患者データ一覧記憶部91内の患者データ一覧を確認し、次の検査対象が存在するかを確認する。
【0150】
(ステップS115)
患者データ管理部9は、急患に伴い更新された患者データ一覧及び検査の順番を基に、次の検査対象の患者データを特定し直し、患者データ記憶部4に記憶された次の検査対象の患者データを更新する。これにより、次の検査対象の患者が、新しく更新された検査順番に従い設定し直される。
【0151】
以上の動作により、超音波診断装置1の患者データ一覧記憶部91に記憶された、患者データ一覧及び検査の順番が、患者データ管理サーバ15で更新された内容に従い更新され、超音波診断装置1の操作者は急患に伴う患者データの更新作業を行わずに、更新された検査の順番に従い、速やかに検査が開始可能となる。
【符号の説明】
【0152】
1 超音波診断装置 2 超音波検査部 3 画像データ記憶部
4 患者データ記憶部 5 検査データ生成部 6 表示制御部
7 ユーザインタフェース 8 制御部 9 患者データ管理部
10 検知部 11 入出力インタフェース 12 報知指示手段
15 患者データ管理サーバ
21 プローブ 22 送受信部 23 信号処理部 24 画像生成部
71 表示部 72 操作部 91 患者データ一覧記憶部
92 検査対象管理部 93 仮識別情報生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する送受信部と受信した超音波を基に画像データを生成する画像生成部とを含む超音波検査部と、検査中もしくは次の検査対象の患者データを記憶する患者データ記憶部と、前記画像生成部が生成した画像データを前記患者データと関連付ける検査データ生成手段と、前記超音波検査部を制御する制御部とを備えた超音波診断装置であって、
予定された検査対象の患者データの一覧と、検査の順番と、検査経過とを記憶する患者データ一覧記憶部と、前記患者データ一覧記憶部に記憶された検査経過に応じ検査対象の患者データを前記患者データ一覧記憶部から取得し、前記患者データ記憶部に記憶させる検査対象管理部とを有する患者データ管理部とを備え、
超音波検査の終了を示す検査終了通知を受けたときに、前記患者データ一覧記憶部が検査経過を更新するとともに、前記検査対象管理部が前記患者データ一覧記憶部から次の順番に該当する検査対象の患者データを取得し、前記患者データ記憶部に更新し記憶させることを特徴とした超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御部が、超音波検査の開始を示す検査開始通知を受けたときに、前記患者データ記憶部に次の順番に該当する検査対象の患者データが記憶されていることを確認し、前記超音波検査部を起動するとともに、
前記患者データ管理部は、前記検査経過を更新することを特徴とした請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
検査対象者の個々の位置に搬送可能な構造であって、検査の開始又は終了に伴って形態の変化する機構部と、前記機構部の形態の変化を検知し、前記検査終了通知又は前記検査開始通知を出力する検知部とを備えたことを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記検査対象管理部が、前記患者データ記憶部に患者データを更新させる時に、次の検査対象の患者データが、前記検査対象の患者データの一覧に存在しない場合に、仮の患者識別情報を生成し、仮の患者データとして前記患者データ記憶部に記憶させることを特徴とした請求項1乃至請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記患者データ一覧記憶部に記憶された、予定された検査対象の患者データの一覧を表示部に表示させる表示制御部を備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
サーバから新しい患者データの一覧と、新しい検査の順番とを含む入力データとを受信し、前記患者データ管理部に入力するとともに、前記患者データ管理部から検査が完了した患者の患者データを、ネットワークを介して外部に出力する入出力インタフェースを更に備え、
前記患者データ管理部が、先に記憶された患者データ一覧及び検査の順番に替えて、前記サーバから入力された前記入力データに含まれる新しい患者データの一覧及び新しい検査の順番を前記患者データ一覧記憶部に記憶するとともに、前記入力データを受け、前記検査対象管理部が、前記患者データ一覧記憶部に記憶された検査経過を基に、次の検査対象の患者データを特定し、前記患者データ記憶部に記憶させることを特徴とした請求項1乃至請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記入力データが、少なくとも急患が発生したことを通知する通知情報を含み、前記患者データ管理部が、サーバから受信した前記新しい患者データの一覧と前記新しい検査の順番を記憶するときに、前記表示制御部を介し表示部に表示させることを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記患者データ管理部から前記通知情報を取得し、外部の報知手段に出力し報知させる報知指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
ネットワーク上のサーバで、検査装置の検査対象となる患者の一覧及び検査の順番と検査対象となる各患者の検査の実施状況を管理する検査スケジュール管理方法であって、
あらかじめ、検査装置の検査対象となる患者データに、検査の実施状況を示す検査経過を付加したうえで、検査を実施する順番に並べ患者データ一覧を作成し、前記患者データ一覧を記憶するデータ記憶手段に記憶するとともに、前記患者データ一覧を前記検査装置に配信する段階と、
前記検査装置が検査を開始もしくは終了した場合に、前記検査装置から送信される検査経過を受信する段階と、
受信した前記検査経過を基に、前記データ記憶部に記憶された患者データ一覧内の前記各患者データに付加された検査経過を更新する段階とを備えていることを特徴とする検査スケジュール管理方法。
【請求項10】
ネットワーク上のサーバで、検査装置の検査対象となる患者の一覧に、新たに検査対象となる患者を追加し検査の順番を更新する検査スケジュール管理方法であって、
あらかじめ、検査装置の検査対象となる患者データに、検査の実施状況を示す検査経過を付加したうえで、検査を実施する順番に並べ患者データ一覧を作成し、前記患者データ一覧を記憶するデータ記憶手段に記憶するとともに、前記患者データ一覧を前記検査装置に配信する段階と
前記検査装置の検査スケジュールに、新たに検査対象となる患者を追加する場合に、
前記検査装置に検査経過の送信を依頼する段階と、
前記依頼に伴い前記検査装置から送信される検査経過を受信する段階と、
受信した前記検査経過をもとに、前記データ記憶部に記憶された患者データ一覧内の前記各患者データに付加された検査経過を更新する段階と、
前記検査経過を管理する情報が更新された患者データ一覧に、検査対象となる患者データを新しく追加したうえで、検査の順番を変更することで、患者データ一覧を更新する段階と、
更新した患者データ一覧を前記検査装置に配信する段階とを備えていることを特徴とする検査スケジュール管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−274067(P2010−274067A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132552(P2009−132552)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】