説明

超音波診断装置及び画像データ生成装置

【課題】良好な空間分解能とS/Nを有した重畳MPR画像データの生成。
【解決手段】MPR断面設定部6は、当該被検体の診断対象部位を含む3次元領域にて収集したボリュームデータに基準MPR断面及びこの基準MPR断面に平行な複数のサブMPR断面を所定間隔で設定し、MPR画像データ生成部7は、これらのMPR断面に対応したボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成する。次いで、位置ズレ検出部8は、得られたMPR画像データに対し相互相関処理等の演算処理を行なって各々のMPR画像データに示された構造物(臓器)の画像データ間における位置ズレを検出し、MPR画像データ合成部10は、検出された位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及び画像データ生成装置に係り、特に、被検体に対する3次元走査によって収集されたボリュームデータに基づいて所望領域のMPR画像データを生成する超音波診断装置及び画像データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに設けられた振動素子から発生する超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を前記振動素子により受信して生体情報を収集するものであり、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作で超音波画像データのリアルタイム表示が可能となるため、各種臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
特に、近年では、複数の振動素子が一次元配列された超音波プローブを機械的に移動させる方法や複数の振動素子が二次元配列された超音波プローブを用いる方法により被検体の3次元データ(ボリュームデータ)を収集する方法が開発され、このボリュームデータをレンダリング処理して得られる3次元画像データや前記ボリュームデータにおける所望スライス断面の画素を抽出することによって得られる2次元的なMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データ等の観察により更に高度な診断や治療が可能となっている。
【0004】
ところで、上述のMPR画像データを生成する際、ボリュームデータの好適な位置に複数のスライス断面(MPR断面)を所定間隔で設定し、各々のMPR断面において生成したMPR画像データを加算合成することによってS/Nに優れたMPR画像データ(以下、重畳MPR画像データと呼ぶ。)を生成する方法が行なわれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように近接した複数のMPR断面にて生成したMPR画像データを加算合成することにより各々のMPR画像データに含まれているノイズ成分は相対的に減少するため、良好なS/Nを有した重畳MPR画像データを収集することができる。しかしながら、心臓や膀胱等の中腔臓器あるいは消化管等の管腔臓器に対して上述の方法を適用する際、複数のMPR断面が臓器の長軸方向(中心軸方向)に対し垂直になるように設定されていない場合にはこれらのMPR断面にて生成されたMPR画像データに示される臓器(以下、構造物と呼ぶ。)に位置ズレが発生し、従って、これらのMPR画像データをそのまま加算合成して生成された重畳MPR画像データにおける構造物の空間分解能は著しく劣化するという問題点を有していた。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体から収集されるボリュームデータに基づいて生成した隣接する複数のMPR断面におけるMPR画像データを加算合成してS/Nに優れた重畳MPR画像データを生成する際、良好な空間分解能を有する重畳MPR画像データを生成することが可能な超音波診断装置及び画像データ生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置は、被検体に対する3次元走査によって収集したボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する超音波診断装置において、基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定するMPR断面設定手段と、前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、前記位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを合成し重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
又、請求項2に係る本発明の超音波診断装置は、被検体に対する3次元走査によって収集したボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する超音波診断装置において、前記ボリュームデータに対して設定された基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、前記位置ズレに基づいて臓器の軸方向を示す軸方向ベクトルを設定する軸方向ベクトル設定手段と、前記軸方向ベクトルに対し垂直になるように前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面の位置や方向を更新して新たな基準MPR断面及びサブMPR断面を設定するMPR断面設定手段と、新たに設定された前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対して前記MPR画像データ生成手段が生成した複数のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成する重畳MPR画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
一方、請求項9に係る本発明の画像データ生成装置は、医用画像診断装置によって収集されたボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する画像データ生成装置において、基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定するMPR断面設定手段と、前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、前記位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを合成し重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
又、請求項10に係る本発明の画像データ生成装置は、医用画像診断装置によって収集されたボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する画像データ生成装置において、前記ボリュームデータに対して設定された基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、前記位置ズレに基づいて臓器の軸方向を示す軸方向ベクトルを設定する軸方向ベクトル設定手段と、前記軸方向ベクトルに対し垂直になるように前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面の位置や方向を更新して新たな基準MPR断面及びサブMPR断面を設定するMPR断面設定手段と、新たに設定された前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対して前記MPR画像データ生成手段が生成した複数のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成する重畳MPR画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検体から収集されるボリュームデータに基づいて生成した隣接する複数のMPR断面におけるMPR画像データを加算合成してS/Nに優れた重畳MPR画像データを生成する際、良好な空間分解能を有する重畳MPR画像データを生成することができる。このため、疾患部位の詳細な観察が可能となり診断精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例の超音波診断装置が備える送受信部及び受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施例の3次元走査における超音波送受信方向を説明するための図。
【図4】同実施例の超音波診断装置が備えるボリュームデータ生成部の具体的な構成を示すブロック図。
【図5】同実施例の基準MPR断面及びサブMPR断面とこれらのMPR断面において生成されるMPR画像データを模式的に示す図。
【図6】同実施例における位置ズレ検出の具体的な方法を示す図。
【図7】同実施例におけるMPR画像データの位置補正を説明するための図。
【図8】同実施例における重畳MPR画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図10】同実施例におけるMPR断面の更新と更新後のMPR断面にて生成されるMPR画像データを説明するための図。
【図11】同実施例における重畳MPR画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の第3の実施例における画像データ生成装置の全体構成を示すブロック図。
【図13】本発明の第4の実施例における画像データ生成装置の全体構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の第1の実施例における超音波診断装置は、当該被検体の診断対象部位を含む3次元領域から収集したボリュームデータに基準MPR断面及びこの基準MPR断面に平行な複数のMPR断面を所定間隔で設定し、これらのMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成する。次いで、これらのMPR画像データに対し相互相関演算あるいは差分和演算を行なって各々のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出し、得られた位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。
【0015】
尚、以下の実施例では、複数の振動素子が2次元配列された超音波プローブを用いて当該被検体の診断対象部位に対し3次元走査を行なう場合について述べるが、複数の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動させることによって前記診断対象部位に対する3次元走査を行なってもよい。又、被検体から得られる受信信号を処理して超音波データとしてのBモードデータを生成し、このBモードデータに基づいてボリュームデータを生成する場合について述べるが、これに限定されるものではなく、例えば、カラードプラデータ等の他の超音波データに基づいてボリュームデータを生成しても構わない。
【0016】
(装置の構成と機能)
本発明の実施例における超音波診断装置の構成と機能につき図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2及び図4は、この超音波診断装置が備える送受信部/受信信号処理部及びボリュームデータ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す超音波診断装置100は、被検体の診断対象部位を含む3次元領域に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し、この送信によって得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子が2次元配列された超音波プローブ3と、前記被検体の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を前記振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータを生成する受信信号処理部4と、上述の超音波による3次元走査によって得られたBモードデータを超音波送受信方向に対応させて配列することによりボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部5を備えている。
【0018】
又、超音波診断装置100は、前記3次元領域に対して予め設定された基準MPR断面とこの基準MPR断面を基準とした複数のサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定するMPR断面設定部6と、基準MPR断面及びサブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成部7と、これらMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出部8と、MPR画像データ生成部7が生成したMPR画像データの位置座標を位置ズレ検出部8が検出した構造物の位置ズレに基づいて補正し、補正後のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成部10を備え、更に、得られた重畳MPR画像データを表示する表示部11と、被検体情報の入力、ボリュームデータ生成条件の設定、サブMPR断面の数や間隔の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部12と、上述の3次元領域における超音波の送受信方向を制御する走査制御部13と、超音波診断装置100が有する上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部14を備えている。
【0019】
超音波プローブ3は、2次元配列されたM個の図示しない振動素子をその先端部に有し、前記先端部を被検体の体表面に接触させて超音波の送受信を行なう。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。そして、これら振動素子の各々は、図示しないMチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部2に接続されている。尚、本実施例では、M個の振動素子が2次元配列されたセクタ走査用の超音波プローブ3を用いた超音波診断装置100について述べるが、リニア走査やコンベックス走査等に対応した超音波プローブを用いても構わない。
【0020】
次に、図2に示す送受信部2は、超音波プローブ3の振動素子に対して駆動信号を供給する送信部21と、振動素子から得られた受信信号に対して整相加算(位相を一致させて加算)を行なう受信部22を備えている。
【0021】
送信部21は、レートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213を備え、レートパルス発生器211は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成して送信遅延回路212に供給する。送信遅延回路212は、送信に使用されるMt個の振動素子と同数の独立な遅延回路から構成され、送信超音波を撮影領域内の所定の深さに集束するための集束用遅延時間と所定方向(θp、φq)に送信するための偏向用遅延時間を上記レートパルスに与えて駆動回路213へ供給する。駆動回路213は、送信遅延回路212と同数の独立な駆動回路を有しており、超音波プローブ3にて2次元配列されたM個の振動素子の中から送信用として選択されたMt個の振動素子を駆動し、被検体の体内に送信超音波を放射する。
【0022】
一方、受信部22は、超音波プローブ3に内蔵されたM個の振動素子の中から受信用として選択されたMr個の振動素子に対応するMrチャンネルのA/D変換器221及び受信遅延回路222と加算器223を備えており、受信用の振動素子から供給されたMrチャンネルの受信信号は、A/D変換器221にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路222に送られる。
【0023】
受信遅延回路222は、撮影領域内の所定深さにて反射した受信超音波を集束するための集束用遅延時間と、所定方向(θp、φq)に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器221から出力されるMrチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器223は、受信遅延回路222からの受信信号を加算する。即ち、受信遅延回路222と加算器223により、所定方向から得られた受信信号は整相加算される。又、受信部22の受信遅延回路222及び加算器223は、その遅延時間の制御によって複数方向に対する受信指向性を同時に形成する所謂並列同時受信を可能とし、並列同時受信の適用により3次元走査に要する時間は大幅に短縮される。尚、上述の送受信部2が備える送信部21及び受信部22の一部は超音波プローブ3の内部に設けられていても構わない。
【0024】
図3は、超音波プローブ3の中心軸をz軸とした直交座標(x−y−z)における超音波送受信方向(θp、φq)を示したものであり、振動素子はx軸方向及びy軸方向に2次元配列され、θp及びφqは、x−z平面及びy−z平面に投影された超音波送受信方向のz軸に対する角度を示している。そして、走査制御部13から供給される走査制御信号に従って送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222における遅延時間が制御され、被検体内の3次元領域に対する超音波走査が行なわれる。
【0025】
図2へ戻って、受信信号処理部4は、超音波データとしてのBモードデータを生成する機能を有し包絡線検波器41と対数変換器42を備えている。包絡線検波器41は、受信部22の加算器223から供給される整相加算後の受信信号を包絡線検波し、対数変換器42は、包絡線検波された受信信号の振幅を対数変換してBモードデータを生成する。尚、包絡線検波器41と対数変換器42は順序を入れ替えて構成してもよい。
【0026】
次に、図1に示したボリュームデータ生成部5の具体的な構成につき図4のブロック図を用いて説明する。
【0027】
ボリュームデータ生成部5は、図4に示すように、超音波データ記憶部51、補間処理部52及びボリュームデータ記憶部53を備え、超音波データ記憶部51には、当該被検体に対する3次元走査によって得られた受信信号に基づき受信信号処理部4が生成したBモードデータが超音波送受信方向(θp、φq)を付帯情報として順次保存される。
【0028】
一方、補間処理部52は、超音波データ記憶部51から読み出したBモードデータを超音波送受信方向(θp、φq)に対応させて配列することにより3次元Bモードデータを形成し、更に、この3次元Bモードデータを補間処理してボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータはボリュームデータ記憶部53に保存される。
【0029】
図1へ戻って、MPR断面設定部6は、当該被検体の3次元領域に対して予め設定された基準MPR断面とこの基準MPR断面を基準とする1つあるいは複数のサブMPR断面をボリュームデータに対して設定し、MPR画像データ生成部7は、上述の基準MPR断面及びサブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成する。尚、上述の基準MPR断面は、通常、図3に示した超音波プローブ3の中心軸(z軸)に垂直な方向に自動設定されるが、超音波診断装置100の操作者等が検査に先立って任意の方向に設定してもよい。
【0030】
図5は、MPR断面設定部6が上述の基準MPR断面に基づいて設定するサブMPR断面と、これらの基準MPR断面及びサブMPR断面においてMPR画像データ生成部7が生成するMPR画像データを模式的に示したものであり、以下では、説明を簡単にするために基準MPR断面を中心に、この基準MPR断面に平行な4つのサブMPR断面を等間隔で設定する場合について述べるが、サブMPR断面数は4つに限定されるものではなく、又、MPR断面の間隔は不等間隔であっても構わない。
【0031】
即ち、図5に示すように、例えば、当該被検体の心尖部近傍に超音波プローブ3の先端部を配置してボリュームデータが収集された場合、先ず、超音波プローブ3の中心軸(z軸)に対して略垂直な方向に基準MPR断面Soが自動設定される。次いで、MPR断面設定部6は、上述のボリュームデータに対し、基準MPR断面Soとこの基準MPR断面Soに平行なサブMPR断面Ss1乃至Ss4を所定間隔Δdで設定する。そして、MPR画像データ生成部7は、上述の基準MPR断面So及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4に対応したボリュームデータの画素を抽出してMPR画像データDo及びMPR画像データDs1乃至Ds4を生成する。
【0032】
再び図1へ戻って、位置ズレ検出部8は、図示しない演算回路を備え、MPR画像データ生成部7において生成された基準MPR断面SoのMPR画像データDoとサブMPR断面Ss1乃至Ss4のMPR画像データDs1乃至Ds4を受信する。そして、MPR画像データDoに所定サイズの2次元演算領域(テンプレート)を設定し、このテンプレートから抽出されるMPR画像データDoの画素値とMPR画像データDs1の画素値との演算処理によりMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs1における位置ズレ(Δx1、Δy1)を検出する。
【0033】
更に、同様の手順によりMPR画像データDoとMPR画像データDs2乃至Ds4との演算処理を行なってMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs2乃至DS4における位置ズレ(Δx2、Δy2)、(Δx3、Δy3)及び(Δx4、Δy4)を検出する。
【0034】
次に、MPR画像データDoとMPR画像データDs1との相互相関演算による位置ズレ検出の具体例につき図6を用いて更に詳しく説明する。図6において、位置ズレ検出部8は、基準MPR断面Soにて生成されたMPR画像データDoの任意の位置に関心点Cgを設定し、この関心点Cgを中心とした所定サイズのテンプレートを設定する。次いで、このテンプレートにおける画像情報をMPR画像データDs1に対して相対的に移動させながら対応する画素間での相互相関演算を行ない、相互相関値が最大となる関心点Cgの移動方向及び移動距離を検出することによりMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs1における位置ズレ(Δx1、Δy1)を検出する。
【0035】
即ち、MPR画像データDoの関心点Cgを中心として設定された画素数No(No=PxQy)を有するテンプレートTgの画素値をf1(px、qy)、MPR画像データDs1の画素値をf2(px、qy)とすれば、相互相関値γ12(k、s)を次式(1)によって算出することによりMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs1における位置ズレ(Δx1、Δy1)を検出することができる。
【数1】

【0036】
但し、上記Px及びQyは、テンプレートTgのpx方向(x方向)及びqy方向(y方向)における画素数であり、MPR画像データDoに設定した関心点Cgは、通常、テンプレートTgの略中央部に位置する。そして、上式(1)に基づく相互相関演算の結果、k=k1(図6(b)参照)及びs=s1(図示せず)において相互相関値γ12(k、s)が最大値をもつ場合、MPR画像データDoに示された構造物に対しMPR画像データDs1に示された構造物はx方向に対してk1画素分に対応するΔx1、y方向に対してs1画素分に相当するΔy1だけ位置ズレしていると判定する。
【0037】
以上、相互相関演算により画像データ間における構造物の位置ズレを検出する方法について述べたが、位置ズレ検出方法は相互相関演算に限定されるものではなく、例えば、画像データ間の差分和に基づいて行なうことも可能である。この場合も図6に示した相互相関演算の場合と同様にして、基準MPR断面Soにて生成されたMPR画像データDoの任意の位置に関心点Cgを設定し、この関心点Cgを中心とした所定サイズのテンプレートを設定する。次いで、このテンプレートにおける画像情報をMPR画像データDs1に対し相対的に移動させながら対応する画素に対し下式(2)に基づく差分和演算を行ない、差分和値(差分値の絶対値の総和)β12(k、s)が最小となる関心点Cgの移動方向及び移動距離を検出することによりMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs1における位置ズレ(Δx1、Δy1)を検出する。
【数2】

【0038】
そして、上式(2)に基づく差分和演算の結果、k=k1及びs=s1において差分和値γ12(k、s)が最大値をもつ場合、MPR画像データDoに示された構造物に対しMPR画像データDs1に示された構造物はx方向に対してk1画素分に対応するΔx1、y方向に対してs1画素分に相当するΔy1だけ位置ズレしていると判定する。
【0039】
MPR画像データDoとMPR画像データDs1との相互相関演算あるいは差分和演算によりMPR画像データDs1における構造物の位置ズレ(Δx1、Δy1)を検出したならば、同様の手順によりMPR画像データDoとMPR画像データDs2乃至DS4との相互相関演算あるいは差分和演算を行なってMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs2乃至DS4における位置ズレ(Δx2、Δy2)、(Δx3、Δy3)及び(Δx4、Δy4)を夫々検出する。
【0040】
次に、図1に示したMPR画像データ合成部10は、MPR画像データ生成部7から供給された基準MPR断面SoのMPR画像データDo及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4のMPR画像データDs1乃至Ds4と位置ズレ検出部8から供給されたMPR画像データDs1乃至Ds4における構造物の位置ズレ(Δx1、Δy1)、(Δx2、Δy2)、(Δx3、Δy3)及び(Δx4、Δy4)を受信する。そして、上述の位置ズレに基づいてMPR画像データDs1乃至Ds4を位置補正し、補正後のMPR画像データDs1乃至Ds4と上述のMPR画像データDoとを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。
【0041】
具体的には、位置ズレ(Δx1、Δy1)に基づいてMPR画像データDS1をx方向に−Δx1、y方向に−Δy1だけ位置補正(シフト)し、同様にして、MPR画像データDS2乃至DS4をpx方向に−Δx2、−Δx3、−Δx4、qy方向に−Δy2、−Δy3、−yx4だけ位置補正する。
【0042】
図7は、MPR画像データ合成部10によって生成される重畳MPR画像データについて示したものであり、ここでは説明を簡単にするために、基準MPR断面Soにて生成されたMPR画像データDoとサブMPR断面Ss1において生成されたMPR画像データDs1との重畳について述べる。
【0043】
即ち、図7(a)及び図7(b)は、既に図5において示したように基準MPR断面において収集されたMPR画像データDoと、このMPR画像データDoの構造物Aoに対しx方向にΔx1、y方向にΔy1だけ位置ズレした構造物As1を有するMPR画像データDs1を示している。一方、図7(c)は、MPR画像データ合成部10において生成される重畳MPR画像データDxを示しており、MPR画像データ合成部10は、位置ズレ検出部8が検出したMPR画像データDs1における構造物As1の位置ズレΔx1及びΔy1に基づいてMPR画像データDs1の位置座標を補正し、補正後のMPR画像データDs1をMPR画像データDoと加算合成することにより良好な空間分解能とS/Nを有する重畳MPR画像データDxを生成することができる。
【0044】
次に、表示部11は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを備え、MPR画像データ合成部10が生成した重畳MPR画像データのリアルタイム表示を行なう。又、MPR画像データ生成部7が生成した基準MPR断面やサブMPR断面におけるMPR画像データを必要に応じて表示することも可能である。
【0045】
即ち、表示部11の表示データ生成部は、MPR画像データ合成部10が生成した重畳MPR画像データやMPR画像データ生成部7が生成したMPR画像データに被検体情報等の付帯情報を付加して表示データを生成する。そして、前記データ変換部は、前記表示データ生成部によって生成された表示データに対し表示フォーマット変換とD/A変換を行なって前記モニタにリアルタイム表示する。
【0046】
入力部12は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスを備え、被検体情報の入力、ボリュームデータ生成条件の設定、サブMPR断面の数や間隔の設定、位置ズレ検出方法の選択、MPR画像データ生成条件及び重畳MPR画像データ生成条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0047】
走査制御部13は、当該被検体の診断対象部位を含む3次元領域に対し超音波走査を行なうための遅延時間制御を送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222に対して行なう。
【0048】
一方、システム制御部14は、図示しないCPUと記憶回路を備え、前記記憶回路には、入力部12において入力/設定/選択された上述の各種情報が保存される。そして、前記CPUは、上述の入力情報、設定情報及び選択情報に基づいて超音波診断装置100の各ユニットを統括的に制御することにより当該被検体のボリュームデータを収集し、更に、得られたボリュームデータに基づいて重畳MPR画像データの生成とその表示を行なう。
【0049】
(重畳MPR画像データの生成手順)
次に、本実施例における重畳MPR画像データの生成手順につき図8のフローチャートを用いて説明する。尚、ここでも説明を簡単にするために、基準MPR断面Soを中心に4つのサブMPR断面Ss1乃至Ss4を設定する場合について述べるが、これに限定されない。
【0050】
ボリュームデータの収集に先立ち、超音波診断装置100の操作者は、入力部12において被検体情報を入力した後、ボリュームデータ生成条件の設定、サブMPR断面の数や間隔の設定、位置ズレ検出方法の選択、MPR画像データ生成条件及び重畳MPR画像データ生成条件の設定等を行なう。そして、これらの入力情報、設定情報及び選択情報は、システム制御部14が備える記憶回路に保存される(図8のステップS1)。
【0051】
上述の初期設定が終了したならば、ボリュームデータの収集開始コマンドを入力部12にて入力し(図8のステップS2)、このコマンド信号がシステム制御部14へ供給されることにより当該被検体の診断対象部位を中心とした3次元領域におけるボリュームデータの収集が開始される。
【0052】
ボリュームデータの収集に際し、システム制御部14を介して上述のボリュームデータ生成条件を受信した走査制御部13は、送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222に対しボリュームデータ生成条件に対応した走査制御信号を供給する。
【0053】
一方、送信部21のレートパルス発生器211は、レートパルスを生成して送信遅延回路212に供給し、送信遅延回路212は、走査制御部13から供給された走査制御信号に基づいて前記3次元領域における所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と最初の超音波送受信方向(θ1、φ1)に超音波を送信するための偏向用遅延時間を前記レートパルスに与えてMtチャンネルの駆動回路213に供給する。次いで、駆動回路213は、送信遅延回路212から供給されたレートパルスに基づいて駆動信号を生成し、この駆動信号を超音波プローブ3に設けられたMt個の送信用振動素子に供給して被検体内に送信超音波を放射する。
【0054】
放射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体の臓器境界面や組織にて反射し、超音波プローブ3に設けられたMr個の受信用振動素子によって受信されてMrチャンネルの電気的な受信信号に変換される。次いで、この受信信号は、受信部22のA/D変換器221においてデジタル信号に変換され、更に、Mrチャンネルの受信遅延回路222において所定の深さからの受信超音波を収束するための集束用遅延時間と超音波送受信方向(θ1、φ1)からの受信超音波に対し強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間が走査制御部13から供給された上述の走査制御信号に基づいて与えられた後加算器223にて整相加算される。そして、整相加算後の受信信号が供給された受信信号処理部4の包絡線検波器41及び対数変換器42は、この受信信号に対して包絡線検波と対数変換を行なってBモードデータを生成し、得られたBモードデータは、超音波送受信方向(θ1、φ1)を付帯情報としてボリュームデータ生成部5の超音波データ記憶部51に保存される。
【0055】
次いで、走査制御部13は、送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222における遅延時間を制御してθ方向にΔθ、φ方向にΔφずつ順次更新された超音波送受信方向(θp、φq)(θp=θ1+(p−1)Δθ(p=1〜P)、φq=φ1+(q−1)Δφ(q=1〜Q)、但し、超音波送受信方向(θ1、φ1)を除く)の各々に対し同様の手順で超音波を送受信して3次元走査を行なう。そして、各々の送受信方向にて得られたBモードデータも上述の超音波送受信方向を付帯情報としてボリュームデータ生成部5の超音波データ記憶部51に保存される。
【0056】
所定3次元領域におけるBモードデータの生成と保存が終了したならば、ボリュームデータ生成部5の補間処理部52は、超音波データ記憶部51から読み出した複数のBモードデータを超音波送受信方向(θp、φq)(θp=θ1+(p−1)Δθ(p=1〜P)、φq=φ1+(q−1)Δφ(q=1〜Q))に対応させて配列することにより3次元Bモードデータを形成し、更に、この3次元Bモードデータを構成する画素を補間処理してボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータは、ボリュームデータ生成部5に設けられたボリュームデータ記憶部53に保存される(図8のステップS3)。
【0057】
一方、MPR断面設定部6は、当該被検体の3次元領域に対して予め設定された基準MPR断面Soとこの基準MPR断面Soを中心に、複数のサブMPR断面Ss1乃至Ss4を上述のボリュームデータに対して設定し(図8のステップS4)、MPR画像データ生成部7は、基準MPR断面So及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4の各々に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出してMPR画像データDo及びMPR画像データDs1乃至Ds4を生成する(図8のステップS5)。
【0058】
次いで、位置ズレ検出部8は、MPR画像データ生成部7から供給された基準MPR断面SoのMPR画像データDo及びサブMPR断面Ss1乃至SS4のMPR画像データDs1乃至Ds4を受信する。そして、MPR画像データDoに対して所定サイズのテンプレートを設定し、このテンプレートから抽出されるMPR画像データDoの画素値とMPR画像データDs1乃至Ds4の画素値との相互相関演算あるいは差分和演算により基準MPR断面SoのMPR画像データDoに示された構造物のMPR画像データDs1乃至Ds4における位置ズレ(Δx1、Δy1)、(Δx2、Δy2)、(Δx3、Δy3)及び(Δx4、Δy4)を検出する(図8のステップS6)。
【0059】
次に、MPR画像データ合成部10は、MPR画像データ生成部7から供給された基準MPR断面SoのMPR画像データDo及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4のMPR画像データDs1乃至Ds4と位置ズレ検出部8から供給されたMPR画像データDs1乃至Ds4における構造物の位置ズレ(Δx1、Δy1)、(Δx2、Δy2)、(Δx3、Δy3)及び(Δx4、Δy4)を受信する。そして、これらの位置ズレに基づいてMPR画像データDs1乃至Ds4を位置補正し(図8のステップS7)、更に、位置補正したMPR画像データDs1乃至Ds4とMPR画像データDoとを加算合成して重畳MPR画像データを生成する(図8のステップS8)。
【0060】
そして、表示部11の表示データ生成部は、MPR画像データ合成部10が生成した重畳MPR画像データに被検体情報等の付帯情報を付加して表示データを生成し、表示部11のデータ変換部は、前記表示データ生成部が生成した表示データに対し表示フォーマット変換とD/A変換を行なって自己のモニタに表示する(図8のステップS9)。
【0061】
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、被検体から収集されるボリュームデータに基づいて生成した隣接する複数のMPR断面におけるMPR画像データを加算合成してS/Nに優れた重畳MPR画像データを生成する際、良好な空間分解能を有する重畳MPR画像データを生成することができる。このため、疾患部位の詳細な観察が可能となり診断精度を向上させることができる。
【0062】
特に、本実施例では、MPR画像データ間の相互相関演算あるいは差分和演算によってMPR画像データにおける構造物の位置ズレを検出し、この検出結果に基づいて位置補正したMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成しているため、後述する第2の実施例と比較して簡単な手順で空間分解能に優れた重畳MPR画像データを生成することができる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。この第2の実施例における超音波診断装置は、上述の第1の実施例と同様にして、当該被検体の診断対象部位を含む3次元領域から収集したボリュームデータに基準MPR断面及びこの基準MPR断面に平行な複数のMPR断面を所定間隔で設定し、これらのMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成する。次いで、これらのMPR画像データに対し相互相関演算あるいは差分和演算を行なって各々のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出し、この位置ズレに基づいて臓器の長軸方向を示す軸方向ベクトルを前記ボリュームデータに対して設定する。そして、軸方向ベクトルに対して垂直になるように前記基準MPR断面及びサブMPR断面の位置や方向を更新し、更新後の基準MPR断面及びサブMPR断面において新たに生成したMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。
【0064】
(装置の構成と機能)
次に、本発明の第2の実施例における超音波診断装置の構成と機能につき図9を用いて説明する。図9は、本実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、この図9において、図1に示した超音波診断装置100のユニットと同一の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
【0065】
即ち、図9に示す本実施例の超音波診断装置200は、被検体の診断対象部位を含む3次元領域に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し、この送信によって得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子が2次元配列された超音波プローブ3と、前記被検体の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を前記振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータを生成する受信信号処理部4と、上述の超音波による3次元走査によって得られたBモードデータを超音波送受信方向に対応させて配列することによりボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部5を備えている。
【0066】
又、超音波診断装置200は、前記3次元領域に対して予め設定された基準MPR断面とこの基準MPR断面を基準とした複数のサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定し、更に、後述の軸方向ベクトル設定部9から供給される軸方向ベクトルに基づいて上述の基準MPR断面及びサブMPR断面の位置や方向を更新するMPR断面設定部6aと、基準MPR断面及びサブMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出してMPR断面更新前のMPR画像データ及びMPR断面更新後のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成部7aと、MPR断面更新前のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出部8aと、位置ズレ検出部8aが検出した位置ズレに基づいて構造物の長軸方向を示す軸方向ベクトルをボリュームデータに対して設定する軸方向ベクトル設定部9と、MPR画像データ生成部7aが生成したMPR断面更新後のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成部10aを備え、更に、得られた重畳MPR画像データを表示する表示部11と、被検体情報の入力、ボリュームデータ生成条件の設定、サブMPR断面の数や間隔の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部12と、上述の3次元領域における超音波の送受信方向を制御する走査制御部13と、超音波診断装置200が有する上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部14aを備えている。
【0067】
MPR断面設定部6aは、当該被検体の3次元領域に対して予め設定された基準MPR断面を基準とする複数のサブMPR断面をボリュームデータ生成部5によって生成されるボリュームデータに対して設定し、更に、軸方向ベクトル設定部9から供給される軸方向ベクトルに対して垂直な位置に上述の基準MPR断面及びサブMPR断面を更新する。
【0068】
MPR画像データ生成部7aは、更新前の基準MPR断面及びサブMPR断面に対応するボリュームデータの画素を抽出してMPR画像データを生成し、更に、更新された基準MPR断面及びサブMPR断面に対応するボリュームデータの画素を抽出してMPR画像データを生成する。
【0069】
一方、位置ズレ検出部8aは、更新前の基準MPR断面及びサブMPR断面のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出し、軸方向ベクトル設定部9は、位置ズレ検出部8aが検出した構造物の位置ズレに基づいて臓器の長軸方向を示す軸方向ベクトルを設定する。そして、MPR画像データ合成部10aは、MPR画像データ生成部7aが更新後の基準MPR断面及びサブMPR断面に対して生成したMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。
【0070】
次に、超音波診断装置200が備えた上述の各ユニットによるMPR断面の更新と更新後のMPR断面にて生成されるMPR画像データにつき図10を用いて説明する。尚、この場合も、超音波プローブ3の中心軸(z軸)に垂直な基準MPR断面Soを中心として4つのサブMPR断面Ss1乃至Ss4を設定し、基準MPR断面SoのMPR画像データDoに示された構造物とサブMPR断面Ss1のMPR画像データDs1に示された構造物との位置ズレに基づいて臓器(心臓)の長軸方向を示す軸方向ベクトルを設定する場合について述べるが、これに限定されるものではなく、基準MPR断面So及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4の中から任意に選択した2つ以上のMPR断面におけるMPR画像データを用いて軸方向ベクトルを設定しても構わない。
【0071】
図10(a)は、既に図7において示したように予め設定された基準MPR断面Soと、この基準MPR断面Soに基づいてMPR断面設定部6aが設定したサブMPR断面Ss1乃至Ss4を示しており、図10(b)は、基準MPR断面Soにおいて生成されたMPR画像データDoの構造物AoとサブMPR断面Ss1において生成されたMPR画像データDs1の構造物As1を重畳させて示している。
【0072】
一方、図10(c)は、位置ズレ検出部8aによって検出されたMPR画像データDoの構造物AoとMPR画像データDs1の構造物As1との位置ズレ(Δx1、Δy1)及び基準MPR断面SoとサブMPR断面Ss1との間隔Δdxに基づいて軸方向ベクトル設定部9が設定する軸方向ベクトルVoと、MPR断面設定部6aが軸方向ベクトルVoに対して垂直になるように基準MPR断面So及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4の位置及び方向を更新して新たに設定した基準MPR断面Sco及びサブMPR断面Sc1乃至Sc4を示している。尚、軸方向ベクトルVoと超音波プローブ3の中心軸(z軸)とのなす角度αは、次式(3)によって算出することができる。
【数3】

【0073】
そして、図10(d)は、更新後の基準MPR断面Scにおいて生成されたMPR画像データDcの構造物AcoとサブMPR断面Sc1において生成されたMPR画像データDc1の構造物Ac1を重畳させて示しており、この図10(d)におけるMPR画像データDcの構造物AcoとMPR画像データDc1の構造物Ac1との位置ズレは、図10(b)に示したMPR画像データDoの構造物AoとMPR画像データDs1の構造物As1との位置ズレと比較して顕著に低減される。
【0074】
即ち、図10に示したように、臓器の長軸方向を示す軸方向ベクトルVoに垂直な複数のMPR断面にて生成されたMPR画像データを合成することにより空間分解能に優れた重畳MPR画像データを得ることができる。
【0075】
(重畳MPR画像データの生成手順)
次に、本実施例における重畳MPR画像データの生成手順につき図11のフローチャートを用いて説明する。但し、図11において、図8に示した重畳MPR画像データの生成手順と同一の手順を示すステップは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
【0076】
即ち、図8のステップS1乃至S5と同様の手順によって当該被検体に対するボリュームデータの収集、基準MPR断面Soを基準としたサブMPR断面Ss1乃至Ss4の設定、更には、基準MPR断面SoにおけるMPR画像データDo及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4におけるMPR画像データDs1乃至Ds4の収集を行なう(図11のステップS1乃至S5)。
【0077】
次いで、位置ズレ検出部8aは、例えば、MPR画像データ生成部7aから供給される基準MPR断面SoのMPR画像データDoにおける構造物とサブMPR断面Ss1のMPR画像データDs1における構造物との位置ズレ(Δx1、Δy1)を検出し(図11のステップS16)、軸方向ベクトル設定部9は、位置ズレ検出部8aが検出した画像データ間における構造物の位置ズレ(Δx1、Δy1)及び基準MPR断面SoとサブMPR断面Ss1との間隔Δdxに基づいて臓器の長軸方向を示す軸方向ベクトルVoをボリュームデータ生成部5が生成したボリュームデータに対して設定する(図11のステップS17)。
【0078】
一方、MPR断面設定部6aは、軸方向ベクトル設定部9によって設定された軸方向ベクトルVoに基づいて基準MPR断面So及びサブMPR断面Ss1乃至Ss4の位置及び方向を更新し、軸方向ベクトルVoに垂直な基準MPR断面Sco及びサブMPR断面Sc1乃至Sc4を前記ボリュームデータに対して新たに設定する(図11のステップS18)。
【0079】
そして、MPR画像データ生成部7aは、更新後の基準MPR断面Sco及びサブMPR断面Sc1乃至Sc4の各々に対応するボリュームデータの画素を抽出してMPR画像データDco及びMPR画像データDc1乃至Dc4を生成する(図11のステップS19)。
【0080】
次いで、MPR画像データ合成部10aは、上述のMPR画像データDco及びMPR画像データDc1乃至Dc4を加算合成して重畳MPR画像データを生成し(図11のステップS20)、表示部11は、MPR画像データ合成部10aから供給された重畳MPR画像データに対し所定の変換処理を行なって自己のモニタに表示する(図11のステップS21)。
【0081】
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、上述の第1の実施例と同様にして、被検体から収集されるボリュームデータに基づいて生成した隣接する複数のMPR断面におけるMPR画像データを加算合成してS/Nに優れた重畳MPR画像データを生成する際、良好な空間分解能を有する重畳MPR画像データを生成することができる。このため、疾患部位の詳細な観察が可能となり診断精度を向上させることができる。
【0082】
特に、本実施例では、MPR画像データ間の相互相関演算あるいは差分和演算によって検出した前記MPR画像データにおける構造物の位置ズレに基づいて臓器の長軸方向を示す軸方向ベクトルを上述のボリュームデータに対して設定し、新たに設定した前記軸方向ベクトルに垂直な基準MPR断面及びサブMPR断面において重畳MPR画像データの生成に用いるMPR画像データを生成している。このため、本実施例によれば、上述の第1の実施例と比較して優れた空間分解能を有するMPR画像データを収集することができ、従って、これらのMPR画像データを加算合成して得られる重畳MPR画像データも優れた空間分解能を有している。
【実施例3】
【0083】
次に、本発明の第3の実施例における画像データ生成装置ついて説明する。この第3の実施例における画像データ生成装置は、超音波診断装置やX線CT装置等の医用画像診断装置によって予め収集された当該被検体のボリュームデータに対して基準MPR断面及びこの基準MPR断面に平行な複数のMPR断面を所定間隔で設定し、これらのMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成する。次いで、上述の第1の実施例と同様にして、得られたMPR画像データに対し相互相関処理あるいは差分和処理を行なって各々のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出し、この位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。
【0084】
(装置の構成)
本実施例における画像データ生成装置の構成につき図12を用いて説明する。尚、図12は、前記画像データ生成装置の全体構成を示すブロック図であり、図1に示した第1の実施例における超音波診断装置100のユニットと同一の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
【0085】
即ち、図12に示す画像データ生成装置300は、別途設置された医用画像診断装置からネットワークあるいは記憶媒体を介して供給される当該被検体のボリュームデータを保管するボリュームデータ保管部15と、予め設定された基準MPR断面とこの基準MPR断面を基準とした複数のサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定するMPR断面設定部6と、基準MPR断面及びサブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成部7と、これらMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出部8を備えている。
【0086】
更に、画像データ生成装置300は、上述のMPR画像データ生成部7が生成したMPR画像データの位置座標を位置ズレ検出部8が検出した構造物の位置ズレに基づいて補正し、補正後のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成部10と、得られた重畳MPR画像データを表示する表示部11と、被検体情報の入力、サブMPR断面の数や間隔の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部12bと、画像データ生成装置300が有する上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部14bを備えている。
【0087】
尚、本実施例における重畳MPR画像データの生成手順は、図8のフローチャートに示したステップS4乃至S9と同様であるため説明は省略する。
【実施例4】
【0088】
次に、本発明の第4の実施例における画像データ生成装置について説明する。この第4の実施例における画像データ生成装置は、超音波診断装置やX線CT装置等の医用画像診断装置によって予め収集された当該被検体のボリュームデータに対して基準MPR断面及びこの基準MPR断面に平行な複数のMPR断面を所定間隔で設定し、これらのMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成する。次いで、上述の第2の実施例と同様にして、得られた複数のMPR画像データに対し相互相関処理あるいは差分和処理を行なって各々のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出し、この位置ズレに基づいて臓器の長軸方向を示す軸方向ベクトルを前記ボリュームデータに対して設定する。そして、この軸方向ベクトルに対して垂直になるように前記基準MPR断面及びサブMPR断面の位置や方向を更新し、更新後の基準MPR断面及びサブMPR断面において新たに生成した複数のMPR画像データを加算合成して重畳MPR画像データを生成する。
【0089】
(装置の構成)
本実施例における画像データ生成装置の構成につき図13を用いて説明する。尚、図13は、前記画像データ生成装置の全体構成を示すブロック図であり、図9に示した第2の実施例における超音波診断装置200のユニットと同一の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
【0090】
即ち、図13に示す画像データ生成装置400は、別途設置された医用画像診断装置からネットワークあるいは記憶媒体を介して供給される当該被検体のボリュームデータを保管するボリュームデータ保管部15と、予め設定された基準MPR断面とこの基準MPR断面を基準とした複数のサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定し、更に、後述の軸方向ベクトル設定部9から供給される軸方向ベクトルに基づいて上述の基準MPR断面及びサブMPR断面の位置や方向を更新するMPR断面設定部6aと、基準MPR断面及びサブMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出してMPR断面更新前のMPR画像データ及びMPR断面更新後のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成部7aと、MPR断面更新前のMPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出部8aを備えている。
【0091】
更に、画像データ生成装置400は、位置ズレ検出部8aが検出した位置ズレに基づいて構造物の長軸方向を示す軸方向ベクトルをボリュームデータに対して設定する軸方向ベクトル設定部9と、MPR画像データ生成部7aが生成したMPR断面更新後のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成部10aと、得られた重畳MPR画像データを表示する表示部11と、被検体情報の入力、サブMPR断面の数や間隔の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部12cと、画像データ生成装置400が有する上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部14cを備えている。
【0092】
尚、本実施例における重畳MPR画像データの生成手順は、図11のフローチャートに示したステップS4及びステップS15乃至S21と同様であるため説明は省略する。
【0093】
以上述べた本発明の第3の実施例及び第4の実施例によれば、上述の第1の実施例及び第2の実施例と同様にして、被検体から収集されるボリュームデータに基づいて生成した隣接する複数のMPR断面におけるMPR画像データを加算合成してS/Nに優れた重畳MPR画像データを生成する際、良好な空間分解能を有する重畳MPR画像データを生成することができる。このため、疾患部位の詳細な観察が可能となり診断精度を向上させることができる。
【0094】
又、別途設置された医用画像診断装置からネットワーク等を介して供給されるボリュームデータを用いて重畳MPR画像データの生成と表示を行なうことができるため、操作者は、時間や場所の制約をあまり受けることなく当該被検体に対する診断を効率よく行なうことができる。
【0095】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、相互相関演算あるいは差分和演算によってMPR画像データ間における構造物の位置ズレを検出する場合について述べたが、他の方法によって構造物の位置ズレを検出してもよい。
【0096】
又、基準MPR断面は、超音波プローブ3の中心軸(z軸)に対して垂直な方向に自動設定される場合について述べたが、装置の操作者が入力部等において任意に設定してもよい。
【0097】
尚、上述の実施例では、説明を簡単にするために基準MPR断面を中心に4つのサブMPR断面を所定間隔Δdで設定する場合について述べたが、サブMPR断面の数は4つに限定されるものではなく、又、MPR断面の間隔は不等間隔であっても構わない。
【0098】
一方、上述の第1の実施例及び第2の実施例では、複数の振動素子が2次元配列された超音波プローブ3を用いて当該被検体の診断対象部位に対し3次元走査を行なう場合について述べたが、複数の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動させることによって前記診断対象部位に対する3次元走査を行なってもよい。
【0099】
又、被検体から得られた受信信号を処理して超音波データとしてのBモードデータを生成し、このBモードデータに基づいてボリュームデータを生成する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、カラードプラデータのような他の超音波データに基づいてボリュームデータを生成してもよい。
【0100】
更に、3次元的に収集した超音波データ(Bモードデータ)を補間処理してボリュームデータを生成する場合について述べたが、前記超音波データをそのままボリュームデータとして用いても構わない。
【0101】
又、上述の第1の実施例乃至第4の実施例では、重畳MPR画像データのみならずMPR画像データの表示も可能であることを述べたが、第2の実施例及び第4の実施例では、これらのMPR画像データに軸方向ベクトルを重畳表示してもよい。
【符号の説明】
【0102】
2…送受信部
21…送信部
22…受信部
3…超音波プローブ
4…受信信号処理部
5…ボリュームデータ生成部
51…超音波データ記憶部
52…補間処理部
53…ボリュームデータ記憶部
6、6a、…MPR断面設定部
7、7a…MPR画像データ生成部
8、8a…位置ズレ検出部
9…軸方向ベクトル設定部
10、10a…MPR画像データ合成部
11…表示部
12、12b、12c…入力部
13…走査制御部
14、14a、14b、14c…システム制御部
15…ボリュームデータ保管部
100、200…超音波診断装置
300、400…画像データ生成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する3次元走査によって収集したボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する超音波診断装置において、
基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定するMPR断面設定手段と、
前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、
前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
前記位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを合成し重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
被検体に対する3次元走査によって収集したボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する超音波診断装置において、
前記ボリュームデータに対して設定された基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、
前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
前記位置ズレに基づいて臓器の軸方向を示す軸方向ベクトルを設定する軸方向ベクトル設定手段と、
前記軸方向ベクトルに対し垂直になるように前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面の位置や方向を更新して新たな基準MPR断面及びサブMPR断面を設定するMPR断面設定手段と、
新たに設定された前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対して前記MPR画像データ生成手段が生成した複数のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成する重畳MPR画像データ生成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
前記MPR断面設定手段は、前記基準MPR断面に平行な複数からなる前記サブMPR断面を所定間隔で設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した超音波診断装置。
【請求項4】
前記位置ズレ検出手段は、前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを相互相関演算あるいは差分和演算によって検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した超音波診断装置。
【請求項5】
前記位置ズレ検出手段は、前記基準MPR断面のMPR画像データに示された構造物の前記サブMPR画像データのMPR画像データにおける位置ズレを検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した超音波診断装置。
【請求項6】
前記MPR画像データ合成手段は、前記複数のMPR画像データを加算合成して前記重畳MPR画像データを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した超音波診断装置。
【請求項7】
前記軸方向ベクトル設定手段は、前記MPR画像データに示された構造物の前記画像データ間における位置ズレと前記MPR画像データの間隔とに基づいて前記軸方向ベクトルの方向を設定することを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項8】
表示手段を備え、前記表示手段は、前記重畳MPR画像データ生成手段が生成した重畳MPR画像データをリアルタイム表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した超音波診断装置。
【請求項9】
医用画像診断装置によって収集されたボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する画像データ生成装置において、
基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面を前記ボリュームデータに対して設定するMPR断面設定手段と、
前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対応する前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、
前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
前記位置ズレに基づいて位置補正した前記複数のMPR画像データを合成し重畳MPR画像データを生成するMPR画像データ合成手段とを
備えたことを特徴とする画像データ生成装置。
【請求項10】
医用画像診断装置によって収集されたボリュームデータに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する画像データ生成装置において、
前記ボリュームデータに対して設定された基準MPR断面及びこの基準MPR断面を基準とするサブMPR断面に対応した前記ボリュームデータの画素を抽出して複数のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成手段と、
前記MPR画像データに示された構造物の画像データ間における位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
前記位置ズレに基づいて臓器の軸方向を示す軸方向ベクトルを設定する軸方向ベクトル設定手段と、
前記軸方向ベクトルに対し垂直になるように前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面の位置や方向を更新して新たな基準MPR断面及びサブMPR断面を設定するMPR断面設定手段と、
新たに設定された前記基準MPR断面及び前記サブMPR断面に対して前記MPR画像データ生成手段が生成した複数のMPR画像データを合成して重畳MPR画像データを生成する重畳MPR画像データ生成手段とを
備えたことを特徴とする画像データ生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−200821(P2010−200821A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46751(P2009−46751)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】