説明

超音波診断装置

【課題】 従来は、S/N比を改善するために、多くの送受信回路を搭載するために、コストが高くなり、基板面積が大きくなり、消費電力が多くなり、発熱が増加するという問題がある。
【解決手段】 複数の超音波振動子から成るプローブ7に切替回路8が接続され、切替回路8に発振回路9の出力端子が接続され、切替回路8の出力端子に受信回路10が接続され、受信回路10の出力端子見かけ上の開口を広くするように構成する制御部11に接続され、制御部11の出力端子は切替回路8、発振回路9、受信回路10に接続され、制御部11の出力端子は合成部12に接続され、合成部12の出力端子は画像生成部13に接続され、制御部11から切替回路8に開口切替信号が印可され、制御部11から発信回路9に発振タイミング信号が印可され、さらに、制御部11から受信回路10に受信タイミング信号が印可されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信回路を増やすことなく、焦点精度(フォーカス性能)を向上し、有効深度(ぺネトレーション性能)を改善する超音波診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来超音波診断装置は、図7に示すように、超音波プローブ1は複数の超音波振動子が装着され、この超音波プローブ1は切替回路2を介して発信器3及び受信器4に接続され、受信器4の出力は波形成形部5に入力され、ビーム形成部の出力は画像形成部6に入力するように構成されている。
【0003】
このよう構成された従来の超音波診断装置では、送受信8回路の例で説明すると、図8(a)に示すように、切替回路2で発信器3からの発信出力が第1の超音波振動子1aから第8の超音波振動子8aに一度に入力されて超音波が一度に照射され、その反射波信号は切替回路2を介して順次受信回路4で受信され、受信された反射波信号は波形成形部5に入力され、波形成形部5の遅延回路で順次遅延され、1ライン信号が形成されて表示装置6で表示され、次に、図8(b)に示すように、切替回路2で発信器3からの発信出力が第2の超音波振動子2aから第9の超音波振動子9aに一度に入力されて超音波が一度に照射され、その反射波信号は切替回路2を介して順次受信器4で受信され、受信された反射波信号は波形成形部5に入力され、波形成形部5の遅延回路で順次遅延され、次の1ライン信号が形成されて表示装置6で表示され、図8(c)、図8(d)・・・で示されるように、超音波プローブ1の複数個の超音波振動子1a、2a、・・・、naまで順次1つづつずらして送受信することにより、受信された反射波信号は一画面を形成することができる。
【0004】
しかしながら、このように構成された従来の超音波診断装置では、駆動している超音波振動子の数が少ないために、指向性が悪いが、一般に超音波診断装置では、指向性を高めるために、ビームフォーミングの技術により、超音波振動子で受信した対象物からの反射波信号を遅延回路で位相制御をして合成するように構成しており、又、反射波信号の合成時のS/N比は駆動される超音波振動子の数が多い程改善されるが、多くの送受信回路を搭載することにより、コストが高くなり、基板面積が大きくなり、消費電力が多くなり、発熱が増加するという問題があつた。
【特許文献1】特開2005−218641
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の超音波診断装置では、S/N比を改善するために、多くの送受信回路を搭載するために、コストが高くなり、基板面積が大きくなり、消費電力が多くなり、発熱が増加するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の超音波振動子からなるプローブと、該プローブの各超音波振動子を順次切り替える切替回路と、該切替回路に接続される発振器及び受信器と、前記発振器に発振タイミング信号を印可し、前記受信器に受信タイミング信号を印可し、前記切替回路に開口切替信号を印可する制御部と、前記受信器からの受信信号を順次合成する合成回路と、該合成回路で合成した受信信号を画像信号に生成する画像生成部と、画像生成部で生成した画像信号を表示する表示部とからなり、前記プローブの複数の超音波振動子の中の予め決められた個数の超音波振動子とその個数の1/2を切替回路で一度に駆動して超音波を送受信し、見かけ上の開口を広くするように構成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、プローブの複数の超音波振動子の中の予め決められた個数の超音波振動子とその個数の1/2を切替回路で順次駆動して超音波を送受信し、見かけ上の開口を広くするように構成することにより、従来の送受信回路と同じ構成の送受信回路を使用して、焦点深度を改善し、有効深度を向上させることができる という利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、プローブの複数の超音波振動子の中の予め決められた個数の超音波振動子とその個数の1/2を切替回路で一度に駆動して超音波を送受信することにより、受信された反射波信号を合成して画像信号に変換することにより、見かけ上の開口を広くするように構成することができる。
【実施例】
【0009】
図1は本発明の実施例の超音波診断装置のブロック図で、複数の超音波振動子から成るプローブ7に切替回路8が接続され、この切替回路8に発振回路9の出力端子が接続され、又、切替回路8の出力端子に受信回路10が接続され、受信回路10の出力端子は見かけ上の開口を広くするように構成する制御部11に接続されるとともに、制御部11の出力端子は切替回路8、発振回路9、受信回路10に接続され、制御部11の出力端子は合成部12に接続され、合成部12の出力端子は画像生成部13に接続され、制御部11から切替回路8に開口切替信号が印可され、制御部11から発信回路9に発振タイミング信号が印可され、さらに、制御部11から受信回路10に受信タイミング信号が印可され、合成部12では、制御部11から印可された反射波信号からビーム合成信号を生成されて画像生成部13に印可され、画像生成部13で印可されたビーム合成信号から画像信号を生成して表示部14で表示するように構成している。
【0010】
このように構成した本実施例の超音波診断装置では、図2に示すように、開口パターンが2の場合、スタートすると、開口パターン1を選択することによって(ステップ1)、制御部11からの駆動信号で発信回路9が起動され、図3の超音波振動子1a〜naの中の超音波振動子5a〜13aが選択され、切替回路8から超音波振動子5a〜13aに発振出力が送られると、超音波振動子5a〜13aから一度に超音波が出力され、その反射波が超音波振動子5a〜13aで受信されて受信回路10に送信され(ステップ2)、制御部11を介して合成部12に入力され、合成部12で図3のビームA1に対応する信号が形成されて合成部12の受信メモリに記憶され(ステップ3)、次に開口パターン2が選択されると(ステップ4)、制御部11から発振回路9に駆動信号が出力され、超音波振動子1a〜naの中の超音波振動子1a〜4aと14a〜18aが選択され(ステップ5)、切替回路8から超音波振動子1a〜4aと14a〜18aに発振出力が送られると、超音波振動子1a〜4aと14a〜18aから一度に超音波が出力され、その反射波が超音波振動子1a〜4aと14a〜18aで受信されてその反射波信号が受信回路10に送信され(ステップ6)、図3のビームA2に対応する信号が形成されて合成部12の受信メモリに記憶され(ステップ7)、ステップ3の受信メモリで記憶されたビームA1に対応する信号とビームA1に対応する信号とステップ7の受信メモリで記憶されたビームA2に対応する信号が受信メモリから読み出されて加算され、画像生成部13に出力されて画像信号が形成され、次に、超音波振動子を1つずらして、図4示すように、開口パターン1が選択されると、超音波振動子6a〜14aが選択されてビームA3に対応する信号が形成され、開口パターン2が選択されると、超音波振動子2a〜5aと15a〜19aが選択されてビームA4に対応する信号が形成されるというように、順次超音波振動子1a〜naが全て選択されることによって1画面が形成され、表示部14で表示される。
【0011】
本発明は、このようにビームA1とA2、A3とA4・・・に対応する信号をそれぞれ順次合成して画像信号を形成することにより、フォーカス性能及びペネトレーション性能を向上させることができる。
【0012】
なお、図5に示すように、開口パターン1で超音波振動子1a〜8aを選択して、ビームA1を形成し、開口パターン2で超音波振動子9a〜16aを選択してビームA2を形成し、次に、図6に示すように、超音波振動子を1つずらして、開口パターン1で超音波振動子2a〜9aを選択し、開口パターン2で超音波振動子10a〜17aを選択してビームA2を形成するようにしてもよいし、超音波振動子の数を適宜選択して開口パターンを形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
なお、図7(a)に示すように、1つおきに8個の超音波振動子1a、3a、5a、7a、9a、11a、13a、15aを選択して、ビームA1を形成し、次に図7(b)に示すように、超音波振動子を1つずらして、2a、4a、6a、8a、10a、12a、14a、16aを選択して、ビームA2を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例の超音波診断装置のブロック図である。
【図2】図1の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1の値要音波振動子の開口パターン1を示した図である。
【図4】図1の超音波振動子の開口パターン2を示した図である。
【図5】超音波振動子の開口パターン1の他の例を示した図である。
【図6】超音波振動子の開口パターン2の他の例を示した図である。
【図7】超音波振動子の開口パターン2の他の例を示した図である。
【図8】従来の超音波診断装置のブロック図である。
【図9】図8の開口パターンを示した図である。
【符号の説明】
【0015】
7 超音波プローブ
8 切替回路
9 発振回路
10 受信回路
11 制御部
12 合成部
13 画像生成部
14 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波振動子からなるプローブと、該プローブの各超音波振動子を順次切り替える切替回路と、該切替回路に接続される発振器及び受信器と、前記発振器に発振タイミング信号を印可し、前記受信器に受信タイミング信号を印可し、前記切替回路に開口切替信号を印可する制御部と、前記受信器からの受信信号を順次合成する合成回路と、該合成回路で合成した受信信号を画像信号に生成する画像生成部と、画像生成部で生成した画像信号を表示する表示部とからなり、前記プローブの複数の超音波振動子の中の予め決められた個数の超音波振動子とその個数の1/2を切替回路で一度に駆動して超音波を送受信し、見かけ上の開口を広くするように構成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記プローブの前記超音波振動子を前記予め決められた個数ごとに交互に駆動することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記プローブの前記超音波振動子を前記予め決められた個数ごとに1つおきに駆動し、かつ前記個数毎に1つづつずらして駆動することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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