説明

超音波診断装置

【課題】 受信遅延回路でのエコー信号飽和を防止し安価且つ小規模で最適なダイナミックレンジを確保することができる超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】 各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)の分布幅Trに応じて、超音波振動子毎のエコー信号を遅延回路221a〜221h(又はバッファアンプ220a〜220h)へ振り分ける。この振り分けは、例えば、Tr<T0となる場合には、INT[RANK(Td(i))/8]で決まる整数値に応じて8つの受信遅延回路に配分する。一方、Tr≧T0となる場合には、MOD[RANK(8×Td(i))/T0,8]で決まる整数値に応じて8つの受信遅延回路に配分する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば血流速度情報を取得するためのドプラ法を実施可能な超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は生体内情報の超音波画像を取得し表示する診断装置であり、X線診断装置やX線コンピュータ断層撮影装置などの他の画像診断装置に比べ、安価で被爆が無く、非侵襲性に実時間で観測するための有用な装置として利用されている。係る特性から、超音波診断装置の適用範囲は広く、心臓などの循環器から肝臓、腎臓などの腹部、抹消血管、産婦人科、脳血管などの診断に利用されている。
【0003】
この様な超音波診断装置を用いた撮影法の一つとして、超音波連続波ドプラ法がある。これは、連続超音波により移動体が生成するドプラ偏移周波数から反射体の移動速度を推定するものである。近年では、超音波振動子が一方向に沿って配列された一次元アレイプローブに加えて、超音波振動子が二方向に沿ってマトリックス状に配列された二次元アレイプローブを用いた超音波連続波ドプラ法も実現されつつある。
【0004】
なお、本願に関連する公知文献としては、例えば次のようなものがある。
【特許文献1】特開平07−124161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の超音波診断装置においては、次の様な問題がある。
【0006】
すなわち、従来の超音波診断装置では、例えば図4に示すように、受信ビームパタンに応じて各超音波振動子のエコー信号を遅延加算回路(及びその前段のバッファアンプ)に振り分けている。従って、例えば焦点が被検体深部にある場合等、受信ビームパタンから決定される受信遅延時間の分布が狭い範囲に集中する場合には、ある特定の限られた数の遅延加算回路及びこれに対応するバッファアンプがエコー信号を処理することになる。その結果、バッファアンプがエコー信号によって飽和してしまい、正常な受信感度を維持できずに飽和歪による大幅な感度劣化を引き起こす可能性がある。一方、エコー信号の飽和を防止するために受信遅延回路の規模を増大させるとすれば、装置の大型化やコスト上昇を招くことになり、現実的ではない。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、受信遅延回路でのエコー信号飽和を防止し安価且つ小規模で最適なダイナミックレンジを確保することができる超音波診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0009】
本発明の視点は、それぞれに供給される駆動信号に基づいて超音波を被検体に向けて送信し且つ前記被検体から超音波を受信しエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、前記超音波振動子毎の前記エコー信号に所定の遅延時間を与える複数の遅延手段と、遅延時間が与えられた前記超音波振動子毎の前記エコー信号を加算する加算手段と、前記超音波振動子毎の前記エコー信号に与えるべき遅延時間の分布幅に応じて、前記超音波振動子毎の前記エコー信号を前記複数の遅延手段のいずれかに振り分ける振り分け処理を実行する制御手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0010】
以上本発明によれば、受信遅延回路でのエコー信号飽和を防止し安価且つ小規模で最適なダイナミックレンジを確保することができる超音波診断装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成図を示している。
【0013】
同図に示すように、本超音波診断装置10は、装置本体11、超音波プローブ12、装置本体11に接続されオペレータからの各種指示・命令・情報を装置本体11に取り込むための外部入力装置13、モニター14とから構成される。入力装置13には、送信条件の入力、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチ・ボタン、マウス、キーボードが設けられる。また、装置本体11には、超音波送信ユニット20、振り分けユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成部25、表示制御部27、制御プロセッサ(CPU)28、インタフェース部29、記憶部32が設けられる。
【0014】
超音波プローブ12は、圧電セラミック等の音響/電気可逆的変換素子としての複数の超音波振動子を有する。複数の超音波振動子は並列され、プローブ12の先端に装備される。各超音波振動子は、供給される駆動信号に従ってそれぞれ所定のタイミングで超音波を発生する。各超音波振動子からの超音波はビームを形成し、被検体内の音響インピーダンスの不連続面で反射される。各超音波振動子は、この反射波を受信しエコー信号を発生し、チャンネル毎に超音波受信ユニット22に取り込まれる。
【0015】
なお、超音波プローブ12は、複数の超音波振動子が一方向に沿って配列された一次元アレイプローブ、複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列された二次元アレイプローブのいずれであってもよい。
【0016】
超音波送信ユニット20は、超音波プローブ12に超音波送信のための駆動信号を供給する装置である。例えば、連続波ドプラ法を行う場合には、超音波送信ユニット20は、超音波送信のための駆動信号を、連続的に超音波プローブ12に供給する
振り分けユニット21は、制御プロセッサ28からの制御に従って、各超音波振動子からの受信信号(エコー信号)を超音波受信ユニット22中のいずれかのバッファアンプに振り分ける振り分け処理を行う。
【0017】
図2は、振り分けユニット21及び超音波受信ユニット22の構成を示した図である。同図に示すように、振り分けユニット21には、後段の超音波受信ユニット22中の各バッファアンプ220a〜220hに対応するタップ21a〜21hが設けられている。超音波プローブから超音波振動子毎のエコー信号が入ってくると、タップ21a〜21hのいずれかのタップのみが、制御プロセッサ28からの制御に従ってON状態とされる。このタップ制御により、各超音波振動子のエコー信号は、いずれかのバッファアンプ220a〜220h(又は遅延回路221a〜221h)に振り分けられることになる。
【0018】
なお、制御プロセッサ28による各超音波振動子のエコー信号の振り分け手法(すなわち、タップ21a〜21hの制御アルゴリズム)については、後で詳しく説明する。
【0019】
超音波受信ユニット22は、図2に示すように、バッファアンプ220a〜220h、遅延回路221a〜221h、加算回路222を有している。
【0020】
バッファアンプ220a〜220hは、それぞれ遅延回路221a〜221hに対応して設けられ、入力した超音波振動子毎のエコー信号を増幅する。
【0021】
遅延回路221a〜221hは、エコー信号を整相するために、それぞれ異なる所定の遅延時間(すなわち、0、λ/8、2λ/8、3λ/8、4λ/8、5λ/8、6λ/8、7λ/8のいずれかの遅延時間。λは送信超音波の波長。)を対応するバッファアンプ220a〜220hから入力したエコー信号に与える。
【0022】
加算回路222は、遅延回路221a〜221hにおいて遅延時間が与えられ整相された超音波振動子毎のエコー信号を加算する。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、超音波受信ビームが形成される。また、この受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性は、一般に「走査線」と呼ばれる)。加算後のエコー信号は、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24に送られる。
【0023】
Bモード処理ユニット23は、図示しないが、対数変換器、包絡線検波回路、アナログディジタルコンバータ(A/D)から構成される。対数変換器は、エコー信号を対数変換する。包絡線検波回路は対数変換器からの出力信号の包絡線を検波する。この検波信号はアナログディジタルコンバータを介してディジタル化され、検波データとして出力される。
【0024】
ドプラ処理ユニット24は、周波数解析によりその解析結果や、フィルタを用いて血流成分を抽出し平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0025】
画像生成部25は、Bモード処理ユニット23から入力した走査線信号列で構成される検波データを用いてフレーム相関処理等を実行した後、空間情報に基づいた直交座標系のデータに変換することでBモード画像を生成する。また、画像生成部25は、ドプラ処理ユニット24から入力した血流情報を用いて、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像を作成する。
【0026】
表示制御部27は、画像生成部25から受け取った超音波画像と所定の情報(例えば文字情報、指定されたROI等)とを合成し、モニター14に送り出す。
【0027】
制御プロセッサ28は、ユーザの入力装置13やネットワークを経由して入力されたモード選択、ROI設定、送信開始・終了等の各種指示に基づき、記憶部32に記憶された送受信条件、装置制御プログラム等を読み出し、これらに従って、当該超音波診断装置を静的又は動的に制御する。また、制御プロセッサ28は、後述するエコー信号振り分け機能に従う処理(エコー信号振り分け処理)において、超音波振動子毎のエコー信号の遅延回路221a〜221h(又はバッファアンプ220a〜220h)への振り分けを決定する。この超音波振動子毎のエコー信号の振り分けは、例えば記憶部32に格納される専用計算プログラムに従って実行される。
【0028】
インターフェース部30は、操作パネル、外部記憶装置、ネットワークに関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0029】
記憶部32は、制御プロセッサ27の制御のもと、Bモード処理ユニット23やドプラ処理ユニット24から受け取った信号データ(生データ)、画像生成部25から受け取った画像データ(静止画像、動画像)を記録する。また、記憶部32は、当該装置の制御プログラム、診断プロトコルや送受信条件等の各種データ群、エコー信号振り分け機能を実現するための専用プログラムを記憶する。さらに、記憶部32は、各超音波振動子のエコー信号に与える遅延時間とその振り分け先とを焦点位置毎に対応付けた振り分け先テーブル、超音波振動子毎のエコー信号の振り分けを実行するための所定の計算式(又は計算プログラム)等を記憶する。
【0030】
モニター14は、表示制御部27からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を静止画像又は動画像として表示する。
【0031】
(エコー信号振り分け機能)
次に、本超音波診断装置1が有する、エコー信号振り分け機能について説明する。この機能は、各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)の分布幅Trに応じて、超音波振動子毎のエコー信号の遅延回路221a〜221h(又はバッファアンプ220a〜220h)への振り分けを決定するものである。ここで、iは各超音波振動子に割り振られた番号であり、受信遅延時間Td(i)の分布幅Trは、受信に供される各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)の中の最大値から最小値を引いた値によって定義されるものである。
【0032】
なお、本実施形態では、説明を具体的にするため、連続波ドプラ法におけるエコー信号振り分け機能について説明する。しかしながら、本エコー信号振り分け機能は、これに拘泥されず、例えば通常のパルス法での超音波送受信において受信遅延時間の分布が狭い範囲に集中する場合等においても、適用することができる。
【0033】
本実施形態では、連続波ドプラ送受信キャリア周期をT0として、Tr<T0となる場合には、各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)に基づいて遅延回路221a〜221hへの振り分けを決定し、一方、Tr≧T0となる場合には、各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)を遅延回路数8で割った剰余に基づいて遅延回路221a〜221hへの振り分けを決定する。具体的には、以下のアルゴリズムに従う。
【0034】
(1)Tr<T0となる場合
INT[RANK(Td(i))/8]で決まる整数値に応じて8つの受信遅延回路に配分する。ここで、RANK( )は、括弧内の値(今の場合、Td(i))をある基準(例えば、値が大きい順)に従って配列する演算子である。また、INT[RANK(Td(i))/8]は、RANK(Td(i))によって配列されたTd(i)/8群をその配列順に従って8個の小群に分類する演算子である。
【0035】
このアルゴリズムに従えば、例えば超音波振動子を80素子有する超音波プローブを用いたとき、Td(i)の値が上から1番目〜10番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は1番目の小群(すなわち、遅延時間が0の遅延回路)に、Td(i)の値が上から11番目〜20番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は2番目の小群(すなわち、遅延時間がλ/8の遅延回路)に、Td(i)の値が上から21番目〜30番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は3番目の小群(すなわち、遅延時間が2λ/8の遅延回路)に、Td(i)の値が上から31番目〜40番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は4番目の小群(すなわち、遅延時間が3λ/8の遅延回路)に、Td(i)の値が上から41番目〜50番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は5番目の小群(すなわち、遅延時間が4λ/8の遅延回路)に、Td(i)の値が上から51番目〜60番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は6番目の小群(すなわち、遅延時間が5λ/8の遅延回路)、Td(i)の値が上から61番目〜70番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は7番目の小群(すなわち、遅延時間が6λ/8の遅延回路)に、Td(i)の値が上から71番目〜80番目に対応する各超音波振動子のエコー信号は8番目の小群(すなわち、遅延時間が7λ/8の遅延回路)に、それぞれ割り振られることになる。
【0036】
(2)Tr≧T0となる場合
MOD[RANK(8×Td(i))/T0,8]で決まる整数値に応じて8つの受信遅延回路に配分する。ここで、MOD[A、B]は、AをBで割り算した場合の剰余を決定する演算子である。
【0037】
このアルゴリズムに従えば、例えばRANK(8×Td(i))/T0の値を8で割ったときに、その余りが0となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が0の遅延回路に、その余りが1となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間がλ/8の遅延回路に、その余りが2となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が2λ/8の遅延回路に、その余りが3となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が3λ/8の遅延回路に、その余りが4となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が4λ/8の遅延回路に、その余りが5となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が5λ/8の遅延回路に、その余りが6となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が6λ/8の遅延回路に、その余りが7となる各超音波振動子のエコー信号は遅延時間が7λ/8の遅延回路に、それぞれ割り振られることになる。
【0038】
なお、上記アルゴリズムは単なる一例であり、その内容に拘泥されない。すなわち、本エコー信号振り分け機能は、連続波ドプラ送受信キャリア周期をT0として、Tr<T0となる場合には、各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)に基づいて遅延回路221a〜221hへの振り分けを決定し、一方、Tr≧T0となる場合には、各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)を遅延回路数8で割った剰余に基づいて遅延回路221a〜221hへの振り分けを決定するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0039】
(動作)
次に、本超音波診断装置1のエコー信号振り分け処理に従う超音波画像取得動作について説明する。
【0040】
図3は、本超音波診断装置1の超音波画像取得における処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、入力装置13から患者情報、送信条件(連続波ドプラキャリア周波数等)が設定される(ステップS1)。
【0041】
次に、制御プロセッサ28は、既述のアルゴリズムに従って、超音波振動子毎のエコー信号をいずれの遅延回路221a〜221hに割り振るかを、各焦点毎に決定する(ステップS2)。なお、この振り分け決定は、各焦点毎に各超音波振動子について計算する他、予め各超音波振動子のエコー信号に与える遅延時間とその振り分け先とを焦点位置毎に対応付けた振り分け先テーブルを用いるようにしてもよい。
【0042】
次に、超音波送受信が実行され超音波プローブ12の各振動子においてエコー信号が生成されると、制御プロセッサ28は、超音波振動子毎のエコー信号を決定された振り分けに従って振り分けユニット21を制御する(ステップS3)。割り振られた各エコー信号は、所定の遅延時間が与えられた後加算され、ドプラ処理ユニット24、画像生成部25等において所定の処理を受け、画像生成部25に供給される。画像生成部25は、供給されたエコー信号に基づいて、超音波画像を生成する。モニター14は、生成された超音波画像を所定の形態で表示する(ステップS4)。
【0043】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0044】
本超音波診断装置によれば、各超音波振動子の受信遅延時間Td(i)の分布幅Trに応じて、超音波振動子毎のエコー信号を遅延回路221a〜221h(又はバッファアンプ220a〜220h)へ振り分ける。従って、受信遅延時間の分布が狭い範囲に集中する場合であっても、エコー信号を飽和させずに最適なダイナミックレンジを確保することができ、正常な受信感度を維持することができる。その結果、常に高画質な超音波画像を提供することができ、医療行為の質の向上に寄与することができる。
【0045】
また、上記超音波振動子毎のエコー信号を遅延回路221a〜221h(又はバッファアンプ220a〜220h)へ振り分けは、超音波受信ユニットのバッファメモリの増設等を必要としない。従って、超音波プローブと装置本体との間のケーブル本数(又はケーブルの太さ)、超音波受信ユニットの規模を変更する必要がない。その結果、超音波診断装置全体の装置規模、コストを大幅に変更することなく、受信遅延時間の分布が狭い範囲に集中する場合のエコー信号飽和を解決することができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0047】
本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0048】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上本発明によれば、受信遅延回路でのエコー信号飽和を防止し安価且つ小規模で最適なダイナミックレンジを確保することができる超音波診断装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示したブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る超音波診断装置の振り分けユニット21及び超音波受信ユニット22の構成を示した図である。
【図3】図3は、本超音波診断装置1の超音波画像取得における処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】図4は、従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0051】
10…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、20…超音波送信ユニット、21…振り分けユニット、21a〜21h…タップ、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成部、27…表示制御部、28…制御プロセッサ(CPU)、30…インターフェース部、32…記憶部、220a〜220h…バッファアンプ、211a〜221h…遅延回路、222…加算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに供給される駆動信号に基づいて超音波を被検体に向けて送信し且つ前記被検体から超音波を受信しエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子毎の前記エコー信号に所定の遅延時間を与える複数の遅延手段と、
遅延時間が与えられた前記超音波振動子毎の前記エコー信号を加算する加算手段と、
前記超音波振動子毎の前記エコー信号に与えるべき遅延時間の分布幅に応じて、前記超音波振動子毎の前記エコー信号を前記複数の遅延手段のいずれかに振り分ける振り分け処理を実行する制御手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記被検体に送信される超音波の周期をT0とし、前記超音波振動子毎の前記エコー信号に与えるべき遅延時間の分布幅をTrとして、
Tr<T0である場合には、前記超音波振動子毎のエコー信号に与えるべき遅延時間に基づいて前記振り分け処理を実行し、
Tr≧T0である場合には、前記超音波振動子毎のエコー信号に与えるべき遅延時間に起因する量を前記遅延回路の数で割った剰余に基づいて前記振り分け処理を実行すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御手段は、i番目の超音波振動子のエコー信号に与えるべき遅延時間をTd(i)として、
Tr<T0である場合には、INT[RANK(Td(i))/8]で決まる整数値に応じて前記振り分け処理を実行し、
Tr≧T0である場合には、MOD[RANK(8×Td(i))/T0,8]で決まる整数値に応じて前記振り分け処理を実行すること、
を特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記遅延回路の個数は8であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−81965(P2010−81965A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251127(P2008−251127)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】