超音波診断装置
【課題】客観的で容易な診断を行なうことができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像EGにおける物理量の平均値を算出する物理量平均部と、前記弾性画像EGの各画素における物理量と前記平均値とを比較する演算を行なって各画素毎に比較値を算出する比較値算出部と、前記比較値に基づいて、前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値Inを算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像EGにおける物理量の平均値を算出する物理量平均部と、前記弾性画像EGの各画素における物理量と前記平均値とを比較する演算を行なって各画素毎に比較値を算出する比較値算出部と、前記比較値に基づいて、前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値Inを算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像を表示する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、生体組織に対し、例えば超音波プローブによる圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ってエコーを取得する。そして、得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3932482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記弾性画像を用いた診断においては、注目部位がどの色相で表示されているかといったことや、複数の色相の混ざり具合などによって診断を行なっている。従って、診断者の主観的な判断によって診断を行なうことになるため、診断者によって診断結果が異なる場合がありうる。このようなことから、客観的で容易な診断を行なうことができる超音波診断装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値を算出する物理量平均部と、前記弾性画像の各画素における物理量と前記平均値とを比較する演算を行なって各画素毎に比較値を算出する比較値算出部と、前記比較値に基づいて、前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0006】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記比較値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第4の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第5の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像の各画素における物理量に基づいて階調化処理を行なって階調値を各画素毎に算出する階調値算出部と、前記階調値に基づいて、所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第6の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記階調値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記スコア値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第7の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第8の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第9の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、前記弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、前記第一物理量平均値と前記第二物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第10の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、前記第二物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0015】
第11の観点の発明は、第10の観点の発明において、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部を備えており、前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準にして設定される前記所定の範囲の物理量の平均値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0016】
第12の観点の発明は、第9〜11の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
第13の観点の発明は、第1〜12のいずれか一の観点の発明において、複数設定された前記所定の領域についての前記指標値を比較する演算を行なう指標値比較演算部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0018】
第14の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、前記第一物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0019】
第15の観点の発明は、第14の観点の発明において、前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準として設定される前記所定の範囲の物理量の平均値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0020】
第16の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、前記弾性画像の物理量の分布において、前記第三物理量平均値の算出対象の範囲とは異なる範囲の物理量の平均値である第四物理量平均値を算出する第四物理量平均部と、前記第三物理量平均値と前記第四物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0021】
第17の観点の発明は、第14〜16のいずれか一の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0022】
第18の観点の発明は、第1〜17のいずれか一の観点の発明において、前記指標値を表示する指標値表示制御部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0023】
上記観点の発明によれば、前記弾性画像における物理量の平均値が算出され、さらにこの平均値と前記弾性画像の各画素における物理量とを比較する演算によって比較値が算出される。そして、この比較値に基づいて前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0024】
また、上記他の観点の発明によれば、前記弾性画像における物理量に基づいて階調化処理を行なって階調値が算出され、この階調値に基づいて前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0025】
また、上記他の観点の発明によれば、前記第一物理量平均値と前記第二物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0026】
また、上記他の観点の発明によれば、前記第二物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0027】
また、上記他の観点の発明によれば、前記第一物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0028】
さらに、上記他の観点の発明によれば、前記第三物理量平均値と前記第四物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】Bモード画像及び弾性画像からなる超音波画像が表示された表示部を示す図である。
【図4】超音波画像における弾性画像に所定の領域が設定された表示部を示す図である。
【図5】比の値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図6】第一実施形態の第三変形例における表示部を示す図である。
【図7】第一実施形態の第三変形例における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】第二実施形態における階調値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図9】第三実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】第三実施形態における比の値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図11】第四実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図12】弾性画像表示領域における歪みの分布を示す図である。
【図13】第四実施形態の第一変形例における比の値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図14】弾性画像表示領域における歪みの分布を示す図である。
【図15】第五実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図16】第六実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図17】弾性画像表示領域における歪みの分布を示す図である。
【図18】前記Bモード画像及び前記弾性画像からなる画像G1と、Bモード画像のみの画像とが並べて表示された表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ処理部4、物理量データ処理部5、表示制御部6、表示部7、操作部8、制御部9及びHDD(Hard Disk Drive)10を備える。
【0031】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信しそのエコーを受信する。この超音波プローブ2を生体組織の表面に当接させた状態で圧迫と弛緩を繰り返したり、この超音波プローブ2から生体組織へ音響放射圧を加えたりして、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なって取得されたエコーデータに基づいて、後述のように弾性画像が作成される。
【0032】
前記送受信部3は、前記制御部9からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2を所定の走査条件で駆動させて音線毎の超音波の走査を行なう。また、送受信部3は、前記超音波プローブ2で受信したエコーについて、整相加算処理等の信号処理を行なう。前記送受信部3で信号処理されたエコーデータは、前記Bモードデータ処理部4及び前記物理量データ処理部5に出力される。
【0033】
前記Bモードデータ処理部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。Bモードデータは、前記Bモードデータ処理部4から前記表示制御部6へ出力される。
【0034】
前記物理量データ処理部5は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに基づいて、生体組織における各部の弾性に関する物理量のデータ(物理量データ)を作成する。前記物理量データ処理部5は、例えば特開2008−126079号公報に記載されているように、一の走査面における同一音線上の時間的に異なるエコーデータに相関ウィンドウを設定し、この相関ウィンドウ間で相関演算を行なって前記弾性に関する物理量を算出し前記物理量データを作成する。前記物理量データ処理部5は、前記弾性に関する物理量として、本例では歪みStを算出する。前記物理量データ処理部5は、本発明における物理量算出部の実施の形態の一例である。
【0035】
前記表示制御部6には、前記Bモードデータ処理部4からのBモードデータ及び前記物理量データ処理部5からの物理量データが入力されるようになっている。前記表示制御部6は、図2に示すようにメモリ611、Bモード画像データ作成部612、物理量平均部613、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0036】
前記メモリ611には、前記Bモードデータ及び前記物理量データが記憶される。これらBモードデータ及び物理量データは、音線毎のデータとして前記メモリ611に記憶される。
【0037】
前記メモリ611は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリで構成されている。ちなみに、前記Bモードデータ及び前記物理量データは、前記HDD10に記憶されるようになっていてもよい。
【0038】
前記Bモード画像データ作成部612は、前記Bモードデータについてスキャンコンバータによる走査変換を行ない、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。前記Bモード画像データは例えば256階調の輝度情報を有する。
【0039】
前記物理量平均部613は、後述の弾性画像EG(図3参照)における歪みの平均値StAVを算出する。具体的には、前記物理量平均部613は、前記弾性画像EGを表示する領域である弾性画像表示領域Re内の各画素について算出された歪みStの平均値StAVを算出する。前記物理量平均部613は、本発明における物理量平均部の実施の形態の一例である。
【0040】
前記比較値算出部614は、各画素の歪みStと前記歪みの平均値StAVとを比較する演算を行なう。具体的には、前記比較値算出部614は、前記歪みの平均値StAVに対する各画素の歪みStの比の値Rat=St/StAVを算出する。この比の値Ratは、画素毎に算出される。前記比較値算出部614は、本発明における比較値算出部の実施の形態の一例であり、また前記比の値Ratは、本発明における比較値の実施の形態の一例である。
【0041】
前記階調値算出部615は、前記比の値RatをN階調(例えばN=256)に階調化する処理を行なって画素毎の階調値Grのデータからなる階調化データを作成する。前記階調化算出部615は、比の値Rat=1である場合、すなわち歪みStが前記平均値StAVと等しい場合に、階調値Gr=N/2となるような階調化処理を行なう。する。例えば、N=256である場合、比の値Rat=1は階調値128となる。前記階調値算出部615は、本発明における階調値算出部の実施の形態の一例である。
【0042】
ちなみに、前記階調値Grが小さいほど生体組織が硬いことを表わし、前記階調値Grが大きいほど生体組織が軟らかいことを表わすものとする。
【0043】
前記弾性画像データ作成部616は、前記階調化データについてスキャンコンバータによる走査変換を行ない、歪みに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する。前記カラー弾性画像データは例えば256階調の色相情報を有する。
【0044】
前記合成画像表示制御部617は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部7に表示する超音波画像Gの画像データを作成する。この画像データは、図3に示すように、白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された超音波画像Gとして前記表示部7に表示される。前記弾性画像EGは、前記Bモード画像BGに設定された弾性画像表示領域Re内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0045】
前記指標値算出部618は、後述のように弾性画像EGにおける所定の領域Rs(図4参照)についての弾性に関する指標値Inを算出する。具体的な算出手法は後述する。また、前記指標値表示制御部619は、前記指標値Inを前記表示部7に表示する。前記指標値算出部618は本発明における指標値算出部の実施の形態の一例であり、前記指標値Inは本発明における指標値の実施の形態の一例である。また、前記指標値表示制御部619は本発明における指標値表示制御部の実施の形態の一例である。
【0046】
前記表示部7は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部8は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0047】
前記制御部9は、CPU(Central Processing Unit)を有して構成され、前記HDD10に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0048】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。先ず、前記送受信部3が、前記超音波プローブ2から被検体の生体組織へ超音波を送信させ、そのエコー信号を取得する。この時、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なう。生体組織を変形させる手法としては、例えば前記超音波プローブ2により、被検体への圧迫とその弛緩を繰り返す手法や、前記超音波プローブ2により被検体へ音響放射圧を加える手法などが挙げられる。
【0049】
エコー信号が取得されると、前記Bモードデータ処理部4が前記Bモードデータを作成し、また前記物理量データ処理部5が前記物理量データを作成する。さらに、前記Bモード画像データ作成部612が前記Bモード画像データを作成し、前記弾性画像データ作成部616が前記カラー弾性画像データを作成する。そして、前記合成画像表示制御部617が、前記Bモード画像データに基づくBモード画像BG及び前記カラー弾性画像データに基づく弾性画像EGが合成された超音波画像Gを前記表示部7に表示する。
【0050】
ここで、前記カラー弾性画像データの作成について詳細に説明する。前記カラー弾性画像データの作成にあたっては、前記物理量平均部613が、画素毎の歪みのデータからなる前記物理量データに基づいて、前記弾性画像表示領域Re内における歪みの平均値StAVを算出する。次に、前記比較値算出部614は、前記比の値Rat=St/StAVを画素毎に算出する。そして、前記階調化算出部615が前記比の値Ratに基づいて前記階調化データを作成し、この階調化データに基づいて、前記弾性画像データ作成部616がカラー弾性画像データを作成する。
【0051】
図4に示すように、前記超音波画像Gが表示された状態で、前記弾性画像表示領域Re内における弾性画像EGに所定の領域Rsが設定されると、この所定の領域Rsについての弾性に関する指標値Inが前記表示部7に表示される。前記所定の領域Rsは、例えば腫瘍と思われる領域を含むように設定される。操作者は、前記操作部8のポインティングデバイスなどを用いて前記所定の領域Rsを設定する。
【0052】
前記指標値Inの算出及び表示について詳細に説明する。前記指標値算出部618は、先ず各画素の前記比の値Ratを所定の関数F1を用いてスコア値SCpに変換し、各画素についてのスコア値SCpを算出する。この各画素についてのスコア値SCpは、前記メモリ611や前記HDD10に記憶されてもよい。
【0053】
前記関数F1は、比の値Ratが所定の数値の範囲のスコア値SCpに変換される関数である。本例では、比の値Ratが図5に示すような関数F1を用いて0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。本例では、前記スコア値SCpが小さいほど生体組織が軟らかいことを表わし、前記スコア値が大きいほど生体組織が硬いことを表わす。ただし、スコア値SCpの数値の範囲は一例であり、0.1〜5までに限られるものではない(以下の実施形態においても同様)。
【0054】
より詳細に説明すると、前記関数F1は、前記比の値Ratが1である場合、すなわち歪みStが前記歪みの平均値StAVと等しい場合に、前記スコア値SCpは1になるような関数になっている。また、前記関数F1は、比の値Ratが1未満である範囲については、1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換され、比の値Ratが1以上である範囲については、0.1以上1以下のスコア値SCpに変換されるような関数になっている。従って、比の値Ratが1未満である範囲の方が、比の値Ratが1以上である範囲よりも、スコア値SCpが細かく割り振られるような関数になっている。
【0055】
ここで、比の値Ratが1未満である範囲は、平均値StAVよりも歪みStの値が小さい範囲であり、平均よりも硬い範囲である。また、腫瘍は、正常な組織よりも硬く、しかも良性の腫瘍と悪性の腫瘍とでは硬さに違いがある。従って、上述のように、前記関数F1を、比の値Ratが1未満である範囲の方が、比の値Ratが1以上である範囲よりも、スコア値が細かく割り振られるような関数にすることにより、腫瘍についてより細かい観察を行なうことができるようになっている。
【0056】
前記指標値算出部617は、画素毎のスコア値SCpに基づいて、前記所定の領域Rsについてのスコア値の平均値SCAVを算出する。この平均値SCAVが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、前記平均値SCAVを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0057】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記平均値SCAVが表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0058】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例では、前記指標値算出部618は、前記所定の領域Rsの各画素について算出された前記比の値Ratの平均値RatAVを前記指標値Inとして算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記平均値RatAVを前記表示部7に表示する。
【0059】
次に、第一実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例では、前記指標値算出部618は、先ず前記所定の領域Rsにおける前記比の値の平均値RatAVを算出する。次に、前記指標値算出部618は、前記関数F1を用いて前記平均値RatAVを変換し前記スコア値SCpを算出する。このスコア値SCpが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記スコア値SCpを前記表示部7に表示する。
【0060】
次に、第一実施形態の第三変形例について説明する。この第三変形例において、前記比較値算出部614は、各画素の歪みStと前記歪みの平均値StAVとを比較する演算として、比の値Ratの算出に代えて、以下の(式1)の演算を行なう。
|St−StAV|/StAV ・・・(式1)
そして、上記(式1)で得られた値を前記比の値Ratの代わりに用いて、階調化データの作成や前記指標値Inの算出を行なう。
【0061】
次に、第一実施形態の第四変形例について説明する。この第四変形例では、図6に示すように、前記弾性画像EGに二つの領域Rs1及びRs2が設定される。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2について、指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0062】
ここで、前記表示制御部6は、図7に示すように指標値比較演算部620を有している。この指標値比較演算部620は、前記指標値In1,In2を比較する演算を行なうものであり、本例では前記指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。前記指標値比較演算部620は、本発明における指標値比較演算部の実施の形態の一例である。前記指標値表示制御部619は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0063】
本例によれば、例えば前記領域Rs1,Rs2が、腫瘍の部分と脂肪の部分に設定されると、前記比の値RatIを参照することにより、脂肪を基準とする腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0064】
次に、第一実施形態の第五変形例について説明する。この第五変形例では、画素毎に算出された前記比の値Ratや前記(式1)の算出値を前記メモリ611や前記HDD10に記憶しておいてもよい。この場合、前記メモリ611や、前記HDD10に記憶された前記比の値Rat又は前記(式1)の算出値を読み出し、リアルタイムの超音波画像Gを表示している時に表示された指標値Inとは異なる手法により算出された指標値Inを再度表示するようにすることができる。
【0065】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。本例は、第一実施形態と基本的構成が同じであり、第一実施形態で用いたブロック図を援用して説明する。以下、第一実施形態と異なる事項について説明する。
【0066】
本例では、前記指標値算出部618は、各画素の前記階調値Grを関数F2を用いてスコア値SCpに変換し、各画素についてのスコア値SCpを算出する。本例では、前記階調値Grが図8に示すような関数F2を用いて、第一実施形態と同様に0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。ちなみに、図8において符号Nは最大の階調値を表わし、例えばN=256である。
【0067】
なお、本例においても、第一実施形態と同様に、前記スコア値SCpが小さいほど生体組織が軟らかいことを表わし、前記スコア値が大きいほど生体組織が硬いことを表わす。
【0068】
本例においては、前記関数F2は、最大階調値Nの二分の一の階調値(N/2)がスコア値SCp=1になるような関数になっている。また、前記関数F2は、階調値0以上N/2未満の範囲については、1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換され、階調値GrがN/2以上N以下である範囲については、0.1以上1以下のスコア値SCpに変換されるような関数になっている。
【0069】
ここで、前記階調値GrがN/2未満である範囲は、前記比の値Ratが1未満である範囲であり、平均値StAVよりも歪みStの値が小さい範囲である。従って、本例においても、階調値GrがN/2未満であり、生体組織が平均よりも硬い範囲の方が、階調値GrがN/2以上である範囲よりもスコア値が細かく割り振られている。
【0070】
前記指標値算出部617は、第一実施形態と同様に、画素毎のスコア値SCpに基づいて、前記所定の領域Rsについてのスコア値の平均値SCAVを算出する。この平均値SCAVが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、前記平均値SCAVを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0071】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記平均値SCAVが表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0072】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例では、前記指標値算出部618は、前記所定の領域Rsにおける各画素の前記階調値Grの平均値GrAVを前記指標値Inとして算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記平均値GrAVを前記表示部7に表示する。
【0073】
次に、第二実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例では、前記指標値算出部618は、先ず前記所定の領域Rsにおける前記階調値Grの平均値GrAVを算出する。次に、前記指標値算出部618は、前記関数F2を用いて前記平均値GrAVを変換し前記スコア値SCpを算出する。このスコア値SCpが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記スコア値SCpを前記表示部7に表示する。
【0074】
次に、第二実施形態の第三変形例について説明する。この第二実施形態の第三変形例も、第一実施形態の第四変形例と同様に、前記弾性画像EGに二つの領域Rs1及びRs2が設定される(図6参照)。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2について、前記階調値Grに基づく指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0075】
また、この第二実施形態の第三変形例における前記表示制御部6も、第一実施形態の第四変形例における表示制御部6と同様に、指標値比較演算部620を有しており(図7参照)、この指標値比較演算部620が、前記階調値Grに基づいて算出される指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。そして、前記指標値表示制御部620は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0076】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。以下、第一、第二実施形態と異なる構成について説明する。
【0077】
本例では、表示制御部6は、図9に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第二物理量平均部622、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0078】
前記第一物理量平均部621は、第一、第二実施形態における前記物理量平均部613と同様に、画素毎の歪みのデータからなる前記物理量データに基づいて、前記弾性画像表示領域Re(図3、図4参照)内における歪みの平均値である第一平均値StAV1を算出する。本例では、前記比較値算出部614は前記比較値StAVに代えて前記第一平均値StAV1を用いて比の値Ratの算出を行なう。
【0079】
また、前記第二物理量平均部622は、前記弾性画像EGに設定された所定の領域Rs(図4参照)についての歪みの平均値である第二平均値StAV2を算出する。前記第一物理量平均部621は本発明における第一物理量平均部の実施の形態の一例であり、前記第二物理量平均部622は本発明における第二物理量平均部の実施の形態の一例である。また、前記第一平均値StAV1は本発明における第一物理量平均値の実施の形態の一例であり、前記第二平均値StAV2は第二物理量平均値の実施の形態の一例である。
【0080】
本例では、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第二平均値StAV2とを比較する演算を行ない、前記所定の領域Rsについての指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第一平均値StAV1に対する前記第二平均値StAV2の比の値SRat1=StAV2/StAV1を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat1を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記所定の領域Rsが腫瘍の部分に設定された場合、前記第二平均値StAV2は腫瘍についての歪みの平均値となるので、前記指標値Inにより、腫瘍について数値化された値を知ることができる。
【0081】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat1が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0082】
次に、第三実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。本例では、前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat1を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、前記比の値SRat1が図10に示すような関数F3を用いて、第一、第二実施形態と同様に0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。前記関数F3は、第一実施形態と同様に、前記比の値SRat1が1である場合、すなわち前記第二平均値StAV2が前記第一平均値StAV1と等しい場合に、スコア値SCpは1になるような関数になっている。また、前記関数F3は、前記比の値SRat1が1未満である範囲については、1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換され、比の値SRat1が1以上である範囲については、0.1以上1以下のスコア値SCpに変換されるような関数になっている。
【0083】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0084】
次に、第三実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第二平均値StAV2とを比較する演算として、前記比の値SRat1の算出に代えて、以下の(式2)の演算を行なう。
|StAV2−StAV1|/StAV1 ・・・(式2)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式2)で得られた値を前記比の値SRat1の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式2)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0085】
次に、第三実施形態の第三変形例について説明する。この第三実施形態の第三変形例も、第一実施形態の第四変形例、第二実施形態の第三変形例と同様に、前記弾性画像に二つの領域Rs1及びRs2が設定される(図6参照)。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2についての指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0086】
また、この第三実施形態の第三変形例における前記表示制御部6も、第一実施形態の第四変形例、第二実施形態の第三変形例における表示制御部6と同様に、指標値比較演算部620を有しており(図7参照)、この指標値比較演算部620が、前記指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。そして、前記指標値表示制御部620は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0087】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。以下、第一〜第三実施形態と異なる構成について説明する。
【0088】
本例では、図11に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第二物理量平均部622、第三物理量平均部623、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0089】
前記第三物理量平均部623は、前記弾性画像表示領域Reにおける各画素について算出された歪みの分布における所定の範囲について、歪みの平均値である第三平均値StAV3を算出する。前記所定の範囲は、前記第一平均値StAV1を基準にして歪み値が高い側或いは低い側(生体組織が平均よりも軟らかい側或いは硬い側)のいずれかに設定される。図12に基づいて具体的に説明する。図12において、分布Dは、弾性画像表示領域Reにおける各画素について算出された歪みの分布を示す。前記第三物理量平均部622は、前記分布Dにおいて、第一平均値StAV1よりも歪み値が大きい所定の歪み値の範囲Xについて、歪みの平均値である第三平均値StAV3を算出する。前記第三物理量平均部622は本発明における第三物理量平均部の実施の形態の一例であり、前記第三平均値StAV3は本発明における第三物理量平均値の実施の形態の一例である。
【0090】
前記所定の歪み値の範囲Xは、生体組織が、前記弾性画像表示領域Reにおける平均よりも軟らかいことを表わす範囲である。前記所定の歪み値の範囲Xは、例えば乳腺領域の弾性画像において、前記弾性画像表示領域Reを、脂肪を含む適切な範囲に設定することにより、主に脂肪組織が支配的になるような軟らかさになるように設定することができる。この場合、前記第三平均値StAV3は、概ね脂肪についての歪みの平均値となる。
【0091】
本例では、前記指標値算出部618は、前記第二平均値StAV2と前記第三平均値StAV3とを比較する演算を行ない、前記所定の領域Rsについての弾性に関する指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第三平均値StAV3に対する前記第二平均値StAV2の比の値SRat2=StAV2/StAV3を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat2を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記所定の領域Rsを腫瘍の部分に設定し、なおかつ前記第三平均値StAV3が脂肪についての歪みの平均値である場合、前記指標値Inにより、脂肪を基準とする腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0092】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat2が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0093】
次に、第四実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。本例では、前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat2を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、例えば前記比の値SRat2が図13に示すような関数F4を用いて、第一〜第三実施形態と同様に、0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。
【0094】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0095】
次に、第四実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第二平均値StAV2と前記第三平均値StAV3とを比較する演算として、前記比の値SRat2の算出に代えて、以下の(式3)の演算を行なう。
(StAV3−StAV2)/StAV3 ・・・(式3)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式3)で得られた値を前記比の値SRat2の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式3)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0096】
次に、第四実施形態の第三変形例について説明する。前記所定の領域Rsを脂肪の部分に設定した場合、前記第三物理量平均部622は、図14における分布Dにおいて、前記第一平均値StAV1よりも歪み値が小さい所定の歪み値の範囲Yについて、歪みの平均値である第三平均値StAV3′を算出する。前記所定の歪み値の範囲Yは、生体組織が前記弾性画像表示領域Reにおける平均よりも硬いことを表わす範囲であり、前記弾性画像表示領域Reを、弾性画像において腫瘍を含む適切な範囲に設定することにより、腫瘍の硬さになるように設定することができる。
【0097】
ちなみに、この第三変形例においては、前記所定の領域Rsは例えば脂肪の部分など前記第三平均値StAV3′の比較対象となる部分に設定される。
【0098】
前記指標値算出部618は、第二平均値に対する第三平均値の比の値SRat2′=StAV3′/StAV2を比較値として算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat2′を指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0099】
前記指標値算出部618は、前記比の値SRat2′の代わりに、下記(式3′)の演算を行ってもよい。
(StAV2−StAV3′)/StAV2 ・・・(式3′)
また、前記指標値算出部618は、前記SRat2′及び前記(式3′)の算出値に基づいて前記スコア値SCpを算出してもよい。
【0100】
次に、第四実施形態の第四変形例について説明する。この第四実施形態の第四変形例も、第一実施形態の第四変形例、第二、第三実施形態の第三変形例と同様に、前記弾性画像に二つの領域Rs1及びRs2が設定される(図6参照)。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2についての指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0101】
また、この第四実施形態の第四変形例における前記表示制御部6も、第一実施形態の第四変形例、第二、第三実施形態の第三変形例における表示制御部6と同様に、指標値比較演算部620を有しており(図7参照)、この指標値比較演算部620が、前記指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。そして、前記指標値表示制御部620は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0102】
(第五実施形態)
次に、第五実施形態について説明する。以下、第一〜第四実施形態と異なる構成について説明する。
【0103】
本例では、図15に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第三物理量平均部623、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0104】
本例では、前記第三物理量平均部623は、図14に示す分布Dにおける前記所定の歪み値の範囲Yについての歪みの平均値である第三平均値StAV3′を算出する。
【0105】
また、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第三平均値StAV3′とを比較する演算を行ない、弾性に関する指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第一平均値StAV1に対する前記第三平均値StAV3′の比の値SRat3=StAV3′/StAV1を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat3を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記第三平均値StAV3′が腫瘍についての歪みの平均値である場合、前記指標値Inにより、腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0106】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat3が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0107】
次に、第五実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。本例では、前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat3を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、特に図示しないが、前記関数として、例えば前記比の値SRat3が1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換されるような関数を用いる。
【0108】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0109】
次に、第五実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第三平均値StAV3′とを比較する演算として、前記比の値SRat3の算出に代えて、以下の(式4)の演算を行なう。
(StAV1−StAV3′)/StAV3′ ・・・(式4)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式4)で得られた値を前記比の値SRat3の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式4)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0110】
次に、第五実施形態の第三変形例について説明する。前記第一平均値StAV1の比較対象は前記第三平均値StAV3′に限られるものではなく、任意に設定された所定の歪みの範囲の平均値であればよい。
【0111】
(第六実施形態)
次に、第六実施形態について説明する。以下、第一〜第五実施形態と異なる構成について説明する。
【0112】
本例では、図16に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第三物理量平均部623、第四物理量平均部624、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0113】
本例では、前記第三物理量平均部622は、図17に示す分布Dにおける前記所定の歪み値の範囲Xについての歪みの平均値である第三平均値StAV3を算出する。ちなみに、前記所定の歪み値の範囲Xは、図12と同一の範囲である。
【0114】
また、前記第四物理量平均部623は、図17に示す分布Dにおける前記所定の歪み値の範囲Zについての歪みの平均値である第四平均値StAV4を算出する。ちなみに、前記所定の歪み値の範囲Zは、図14に示す前記所定の歪みの範囲Yと同じであり、前記第四平均値StAV4は前記第三平均値StAV3′と同一の範囲である。前記第四物理量平均部623は本発明における第四物理量平均部の実施の形態の一例であり、また前記第四平均値StAV4は本発明における第四物理量平均値の実施の形態の一例である。
【0115】
前記指標値算出部618は、前記第三平均値StAV3と前記第四平均値StAV4とを比較する演算を行ない、弾性に関する指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第三平均値StAV3に対する前記第四平均値StAV4の比の値SRat4=StAV4/StAV3を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat4を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記第三平均値StAV3が脂肪についての歪みの平均値であり、前記第四平均値StAV4が腫瘍についての歪みの平均値である場合、前記指標値Inにより、脂肪を基準とする腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0116】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat4が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0117】
次に、第六実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat4を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、特に図示しないが、例えば前記比の値SRat4が、第一〜第四実施形態と同様に、0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される関数を用いる。
【0118】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0119】
次に、第六実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第三平均値StAV3と前記第四平均値StAV4とを比較する演算として、前記比の値SRat4の算出に代えて、以下の(式5)の演算を行なう。
(StAV3−StAV4)/StAV3 ・・・(式5)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式5)で得られた値を前記比の値SRat4の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式5)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0120】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、図18に示すように、前記Bモード画像BG及び前記弾性画像EGからなる画像G1と、Bモード画像のみの画像G2とを前記表示部7に並べて表示してもよい。この場合、前記画像G1,G2は生体組織の同一部分についての画像とする。そして、前記画像G2に前記所定の領域Rsを設定して、この所定の領域Rsについての前記指標値Inの表示を行うようにする。
【0121】
また、前記比の値Rat,SRat1,SRat2,SRat2′,SRat3,SRat4の算出において、分母と分子とを逆にしてもよい。
【0122】
さらに、上記各実施形態において、生体組織の弾性に関する物理量として、歪みの代わりに生体組織の変形による変位や弾性率などを算出してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 超音波診断装置
5 物理量データ処理部(物理量算出部)
613 物理量平均部
614 比較値算出部
615 階調値算出部
618 指標値算出部
619 指標値表示制御部
620 指標値比較演算部
621 第一物理量平均部
622 第二物理量平均部
623 第三物理量平均部
624 第四物理量平均部
EG 弾性画像
In 指標値
Rs 所定の領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像を表示する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、生体組織に対し、例えば超音波プローブによる圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ってエコーを取得する。そして、得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3932482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記弾性画像を用いた診断においては、注目部位がどの色相で表示されているかといったことや、複数の色相の混ざり具合などによって診断を行なっている。従って、診断者の主観的な判断によって診断を行なうことになるため、診断者によって診断結果が異なる場合がありうる。このようなことから、客観的で容易な診断を行なうことができる超音波診断装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値を算出する物理量平均部と、前記弾性画像の各画素における物理量と前記平均値とを比較する演算を行なって各画素毎に比較値を算出する比較値算出部と、前記比較値に基づいて、前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0006】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記比較値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第4の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第5の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像の各画素における物理量に基づいて階調化処理を行なって階調値を各画素毎に算出する階調値算出部と、前記階調値に基づいて、所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第6の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記階調値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記スコア値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第7の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第8の観点の発明は、第5の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第9の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、前記弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、前記第一物理量平均値と前記第二物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第10の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、前記第二物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0015】
第11の観点の発明は、第10の観点の発明において、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部を備えており、前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準にして設定される前記所定の範囲の物理量の平均値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0016】
第12の観点の発明は、第9〜11の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
第13の観点の発明は、第1〜12のいずれか一の観点の発明において、複数設定された前記所定の領域についての前記指標値を比較する演算を行なう指標値比較演算部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0018】
第14の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、前記第一物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0019】
第15の観点の発明は、第14の観点の発明において、前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準として設定される前記所定の範囲の物理量の平均値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0020】
第16の観点の発明は、生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、前記物理量に基づいて作成された弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、前記弾性画像の物理量の分布において、前記第三物理量平均値の算出対象の範囲とは異なる範囲の物理量の平均値である第四物理量平均値を算出する第四物理量平均部と、前記第三物理量平均値と前記第四物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0021】
第17の観点の発明は、第14〜16のいずれか一の観点の発明において、前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0022】
第18の観点の発明は、第1〜17のいずれか一の観点の発明において、前記指標値を表示する指標値表示制御部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0023】
上記観点の発明によれば、前記弾性画像における物理量の平均値が算出され、さらにこの平均値と前記弾性画像の各画素における物理量とを比較する演算によって比較値が算出される。そして、この比較値に基づいて前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0024】
また、上記他の観点の発明によれば、前記弾性画像における物理量に基づいて階調化処理を行なって階調値が算出され、この階調値に基づいて前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0025】
また、上記他の観点の発明によれば、前記第一物理量平均値と前記第二物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0026】
また、上記他の観点の発明によれば、前記第二物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0027】
また、上記他の観点の発明によれば、前記第一物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0028】
さらに、上記他の観点の発明によれば、前記第三物理量平均値と前記第四物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値が算出される。従って、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化することができるので、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】Bモード画像及び弾性画像からなる超音波画像が表示された表示部を示す図である。
【図4】超音波画像における弾性画像に所定の領域が設定された表示部を示す図である。
【図5】比の値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図6】第一実施形態の第三変形例における表示部を示す図である。
【図7】第一実施形態の第三変形例における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】第二実施形態における階調値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図9】第三実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】第三実施形態における比の値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図11】第四実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図12】弾性画像表示領域における歪みの分布を示す図である。
【図13】第四実施形態の第一変形例における比の値に基づくスコア値の算出の説明図である。
【図14】弾性画像表示領域における歪みの分布を示す図である。
【図15】第五実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図16】第六実施形態の超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図17】弾性画像表示領域における歪みの分布を示す図である。
【図18】前記Bモード画像及び前記弾性画像からなる画像G1と、Bモード画像のみの画像とが並べて表示された表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ処理部4、物理量データ処理部5、表示制御部6、表示部7、操作部8、制御部9及びHDD(Hard Disk Drive)10を備える。
【0031】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信しそのエコーを受信する。この超音波プローブ2を生体組織の表面に当接させた状態で圧迫と弛緩を繰り返したり、この超音波プローブ2から生体組織へ音響放射圧を加えたりして、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なって取得されたエコーデータに基づいて、後述のように弾性画像が作成される。
【0032】
前記送受信部3は、前記制御部9からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2を所定の走査条件で駆動させて音線毎の超音波の走査を行なう。また、送受信部3は、前記超音波プローブ2で受信したエコーについて、整相加算処理等の信号処理を行なう。前記送受信部3で信号処理されたエコーデータは、前記Bモードデータ処理部4及び前記物理量データ処理部5に出力される。
【0033】
前記Bモードデータ処理部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。Bモードデータは、前記Bモードデータ処理部4から前記表示制御部6へ出力される。
【0034】
前記物理量データ処理部5は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに基づいて、生体組織における各部の弾性に関する物理量のデータ(物理量データ)を作成する。前記物理量データ処理部5は、例えば特開2008−126079号公報に記載されているように、一の走査面における同一音線上の時間的に異なるエコーデータに相関ウィンドウを設定し、この相関ウィンドウ間で相関演算を行なって前記弾性に関する物理量を算出し前記物理量データを作成する。前記物理量データ処理部5は、前記弾性に関する物理量として、本例では歪みStを算出する。前記物理量データ処理部5は、本発明における物理量算出部の実施の形態の一例である。
【0035】
前記表示制御部6には、前記Bモードデータ処理部4からのBモードデータ及び前記物理量データ処理部5からの物理量データが入力されるようになっている。前記表示制御部6は、図2に示すようにメモリ611、Bモード画像データ作成部612、物理量平均部613、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0036】
前記メモリ611には、前記Bモードデータ及び前記物理量データが記憶される。これらBモードデータ及び物理量データは、音線毎のデータとして前記メモリ611に記憶される。
【0037】
前記メモリ611は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリで構成されている。ちなみに、前記Bモードデータ及び前記物理量データは、前記HDD10に記憶されるようになっていてもよい。
【0038】
前記Bモード画像データ作成部612は、前記Bモードデータについてスキャンコンバータによる走査変換を行ない、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。前記Bモード画像データは例えば256階調の輝度情報を有する。
【0039】
前記物理量平均部613は、後述の弾性画像EG(図3参照)における歪みの平均値StAVを算出する。具体的には、前記物理量平均部613は、前記弾性画像EGを表示する領域である弾性画像表示領域Re内の各画素について算出された歪みStの平均値StAVを算出する。前記物理量平均部613は、本発明における物理量平均部の実施の形態の一例である。
【0040】
前記比較値算出部614は、各画素の歪みStと前記歪みの平均値StAVとを比較する演算を行なう。具体的には、前記比較値算出部614は、前記歪みの平均値StAVに対する各画素の歪みStの比の値Rat=St/StAVを算出する。この比の値Ratは、画素毎に算出される。前記比較値算出部614は、本発明における比較値算出部の実施の形態の一例であり、また前記比の値Ratは、本発明における比較値の実施の形態の一例である。
【0041】
前記階調値算出部615は、前記比の値RatをN階調(例えばN=256)に階調化する処理を行なって画素毎の階調値Grのデータからなる階調化データを作成する。前記階調化算出部615は、比の値Rat=1である場合、すなわち歪みStが前記平均値StAVと等しい場合に、階調値Gr=N/2となるような階調化処理を行なう。する。例えば、N=256である場合、比の値Rat=1は階調値128となる。前記階調値算出部615は、本発明における階調値算出部の実施の形態の一例である。
【0042】
ちなみに、前記階調値Grが小さいほど生体組織が硬いことを表わし、前記階調値Grが大きいほど生体組織が軟らかいことを表わすものとする。
【0043】
前記弾性画像データ作成部616は、前記階調化データについてスキャンコンバータによる走査変換を行ない、歪みに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する。前記カラー弾性画像データは例えば256階調の色相情報を有する。
【0044】
前記合成画像表示制御部617は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部7に表示する超音波画像Gの画像データを作成する。この画像データは、図3に示すように、白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された超音波画像Gとして前記表示部7に表示される。前記弾性画像EGは、前記Bモード画像BGに設定された弾性画像表示領域Re内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0045】
前記指標値算出部618は、後述のように弾性画像EGにおける所定の領域Rs(図4参照)についての弾性に関する指標値Inを算出する。具体的な算出手法は後述する。また、前記指標値表示制御部619は、前記指標値Inを前記表示部7に表示する。前記指標値算出部618は本発明における指標値算出部の実施の形態の一例であり、前記指標値Inは本発明における指標値の実施の形態の一例である。また、前記指標値表示制御部619は本発明における指標値表示制御部の実施の形態の一例である。
【0046】
前記表示部7は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部8は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0047】
前記制御部9は、CPU(Central Processing Unit)を有して構成され、前記HDD10に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0048】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。先ず、前記送受信部3が、前記超音波プローブ2から被検体の生体組織へ超音波を送信させ、そのエコー信号を取得する。この時、生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なう。生体組織を変形させる手法としては、例えば前記超音波プローブ2により、被検体への圧迫とその弛緩を繰り返す手法や、前記超音波プローブ2により被検体へ音響放射圧を加える手法などが挙げられる。
【0049】
エコー信号が取得されると、前記Bモードデータ処理部4が前記Bモードデータを作成し、また前記物理量データ処理部5が前記物理量データを作成する。さらに、前記Bモード画像データ作成部612が前記Bモード画像データを作成し、前記弾性画像データ作成部616が前記カラー弾性画像データを作成する。そして、前記合成画像表示制御部617が、前記Bモード画像データに基づくBモード画像BG及び前記カラー弾性画像データに基づく弾性画像EGが合成された超音波画像Gを前記表示部7に表示する。
【0050】
ここで、前記カラー弾性画像データの作成について詳細に説明する。前記カラー弾性画像データの作成にあたっては、前記物理量平均部613が、画素毎の歪みのデータからなる前記物理量データに基づいて、前記弾性画像表示領域Re内における歪みの平均値StAVを算出する。次に、前記比較値算出部614は、前記比の値Rat=St/StAVを画素毎に算出する。そして、前記階調化算出部615が前記比の値Ratに基づいて前記階調化データを作成し、この階調化データに基づいて、前記弾性画像データ作成部616がカラー弾性画像データを作成する。
【0051】
図4に示すように、前記超音波画像Gが表示された状態で、前記弾性画像表示領域Re内における弾性画像EGに所定の領域Rsが設定されると、この所定の領域Rsについての弾性に関する指標値Inが前記表示部7に表示される。前記所定の領域Rsは、例えば腫瘍と思われる領域を含むように設定される。操作者は、前記操作部8のポインティングデバイスなどを用いて前記所定の領域Rsを設定する。
【0052】
前記指標値Inの算出及び表示について詳細に説明する。前記指標値算出部618は、先ず各画素の前記比の値Ratを所定の関数F1を用いてスコア値SCpに変換し、各画素についてのスコア値SCpを算出する。この各画素についてのスコア値SCpは、前記メモリ611や前記HDD10に記憶されてもよい。
【0053】
前記関数F1は、比の値Ratが所定の数値の範囲のスコア値SCpに変換される関数である。本例では、比の値Ratが図5に示すような関数F1を用いて0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。本例では、前記スコア値SCpが小さいほど生体組織が軟らかいことを表わし、前記スコア値が大きいほど生体組織が硬いことを表わす。ただし、スコア値SCpの数値の範囲は一例であり、0.1〜5までに限られるものではない(以下の実施形態においても同様)。
【0054】
より詳細に説明すると、前記関数F1は、前記比の値Ratが1である場合、すなわち歪みStが前記歪みの平均値StAVと等しい場合に、前記スコア値SCpは1になるような関数になっている。また、前記関数F1は、比の値Ratが1未満である範囲については、1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換され、比の値Ratが1以上である範囲については、0.1以上1以下のスコア値SCpに変換されるような関数になっている。従って、比の値Ratが1未満である範囲の方が、比の値Ratが1以上である範囲よりも、スコア値SCpが細かく割り振られるような関数になっている。
【0055】
ここで、比の値Ratが1未満である範囲は、平均値StAVよりも歪みStの値が小さい範囲であり、平均よりも硬い範囲である。また、腫瘍は、正常な組織よりも硬く、しかも良性の腫瘍と悪性の腫瘍とでは硬さに違いがある。従って、上述のように、前記関数F1を、比の値Ratが1未満である範囲の方が、比の値Ratが1以上である範囲よりも、スコア値が細かく割り振られるような関数にすることにより、腫瘍についてより細かい観察を行なうことができるようになっている。
【0056】
前記指標値算出部617は、画素毎のスコア値SCpに基づいて、前記所定の領域Rsについてのスコア値の平均値SCAVを算出する。この平均値SCAVが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、前記平均値SCAVを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0057】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記平均値SCAVが表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0058】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例では、前記指標値算出部618は、前記所定の領域Rsの各画素について算出された前記比の値Ratの平均値RatAVを前記指標値Inとして算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記平均値RatAVを前記表示部7に表示する。
【0059】
次に、第一実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例では、前記指標値算出部618は、先ず前記所定の領域Rsにおける前記比の値の平均値RatAVを算出する。次に、前記指標値算出部618は、前記関数F1を用いて前記平均値RatAVを変換し前記スコア値SCpを算出する。このスコア値SCpが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記スコア値SCpを前記表示部7に表示する。
【0060】
次に、第一実施形態の第三変形例について説明する。この第三変形例において、前記比較値算出部614は、各画素の歪みStと前記歪みの平均値StAVとを比較する演算として、比の値Ratの算出に代えて、以下の(式1)の演算を行なう。
|St−StAV|/StAV ・・・(式1)
そして、上記(式1)で得られた値を前記比の値Ratの代わりに用いて、階調化データの作成や前記指標値Inの算出を行なう。
【0061】
次に、第一実施形態の第四変形例について説明する。この第四変形例では、図6に示すように、前記弾性画像EGに二つの領域Rs1及びRs2が設定される。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2について、指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0062】
ここで、前記表示制御部6は、図7に示すように指標値比較演算部620を有している。この指標値比較演算部620は、前記指標値In1,In2を比較する演算を行なうものであり、本例では前記指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。前記指標値比較演算部620は、本発明における指標値比較演算部の実施の形態の一例である。前記指標値表示制御部619は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0063】
本例によれば、例えば前記領域Rs1,Rs2が、腫瘍の部分と脂肪の部分に設定されると、前記比の値RatIを参照することにより、脂肪を基準とする腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0064】
次に、第一実施形態の第五変形例について説明する。この第五変形例では、画素毎に算出された前記比の値Ratや前記(式1)の算出値を前記メモリ611や前記HDD10に記憶しておいてもよい。この場合、前記メモリ611や、前記HDD10に記憶された前記比の値Rat又は前記(式1)の算出値を読み出し、リアルタイムの超音波画像Gを表示している時に表示された指標値Inとは異なる手法により算出された指標値Inを再度表示するようにすることができる。
【0065】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。本例は、第一実施形態と基本的構成が同じであり、第一実施形態で用いたブロック図を援用して説明する。以下、第一実施形態と異なる事項について説明する。
【0066】
本例では、前記指標値算出部618は、各画素の前記階調値Grを関数F2を用いてスコア値SCpに変換し、各画素についてのスコア値SCpを算出する。本例では、前記階調値Grが図8に示すような関数F2を用いて、第一実施形態と同様に0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。ちなみに、図8において符号Nは最大の階調値を表わし、例えばN=256である。
【0067】
なお、本例においても、第一実施形態と同様に、前記スコア値SCpが小さいほど生体組織が軟らかいことを表わし、前記スコア値が大きいほど生体組織が硬いことを表わす。
【0068】
本例においては、前記関数F2は、最大階調値Nの二分の一の階調値(N/2)がスコア値SCp=1になるような関数になっている。また、前記関数F2は、階調値0以上N/2未満の範囲については、1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換され、階調値GrがN/2以上N以下である範囲については、0.1以上1以下のスコア値SCpに変換されるような関数になっている。
【0069】
ここで、前記階調値GrがN/2未満である範囲は、前記比の値Ratが1未満である範囲であり、平均値StAVよりも歪みStの値が小さい範囲である。従って、本例においても、階調値GrがN/2未満であり、生体組織が平均よりも硬い範囲の方が、階調値GrがN/2以上である範囲よりもスコア値が細かく割り振られている。
【0070】
前記指標値算出部617は、第一実施形態と同様に、画素毎のスコア値SCpに基づいて、前記所定の領域Rsについてのスコア値の平均値SCAVを算出する。この平均値SCAVが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、前記平均値SCAVを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0071】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記平均値SCAVが表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0072】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例では、前記指標値算出部618は、前記所定の領域Rsにおける各画素の前記階調値Grの平均値GrAVを前記指標値Inとして算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記平均値GrAVを前記表示部7に表示する。
【0073】
次に、第二実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例では、前記指標値算出部618は、先ず前記所定の領域Rsにおける前記階調値Grの平均値GrAVを算出する。次に、前記指標値算出部618は、前記関数F2を用いて前記平均値GrAVを変換し前記スコア値SCpを算出する。このスコア値SCpが前記指標値Inである。そして、前記指標値表示制御部619は、生体組織の弾性(硬さ或いは軟らかさ)に関する前記指標値Inとして前記スコア値SCpを前記表示部7に表示する。
【0074】
次に、第二実施形態の第三変形例について説明する。この第二実施形態の第三変形例も、第一実施形態の第四変形例と同様に、前記弾性画像EGに二つの領域Rs1及びRs2が設定される(図6参照)。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2について、前記階調値Grに基づく指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0075】
また、この第二実施形態の第三変形例における前記表示制御部6も、第一実施形態の第四変形例における表示制御部6と同様に、指標値比較演算部620を有しており(図7参照)、この指標値比較演算部620が、前記階調値Grに基づいて算出される指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。そして、前記指標値表示制御部620は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0076】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。以下、第一、第二実施形態と異なる構成について説明する。
【0077】
本例では、表示制御部6は、図9に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第二物理量平均部622、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0078】
前記第一物理量平均部621は、第一、第二実施形態における前記物理量平均部613と同様に、画素毎の歪みのデータからなる前記物理量データに基づいて、前記弾性画像表示領域Re(図3、図4参照)内における歪みの平均値である第一平均値StAV1を算出する。本例では、前記比較値算出部614は前記比較値StAVに代えて前記第一平均値StAV1を用いて比の値Ratの算出を行なう。
【0079】
また、前記第二物理量平均部622は、前記弾性画像EGに設定された所定の領域Rs(図4参照)についての歪みの平均値である第二平均値StAV2を算出する。前記第一物理量平均部621は本発明における第一物理量平均部の実施の形態の一例であり、前記第二物理量平均部622は本発明における第二物理量平均部の実施の形態の一例である。また、前記第一平均値StAV1は本発明における第一物理量平均値の実施の形態の一例であり、前記第二平均値StAV2は第二物理量平均値の実施の形態の一例である。
【0080】
本例では、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第二平均値StAV2とを比較する演算を行ない、前記所定の領域Rsについての指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第一平均値StAV1に対する前記第二平均値StAV2の比の値SRat1=StAV2/StAV1を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat1を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記所定の領域Rsが腫瘍の部分に設定された場合、前記第二平均値StAV2は腫瘍についての歪みの平均値となるので、前記指標値Inにより、腫瘍について数値化された値を知ることができる。
【0081】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat1が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0082】
次に、第三実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。本例では、前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat1を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、前記比の値SRat1が図10に示すような関数F3を用いて、第一、第二実施形態と同様に0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。前記関数F3は、第一実施形態と同様に、前記比の値SRat1が1である場合、すなわち前記第二平均値StAV2が前記第一平均値StAV1と等しい場合に、スコア値SCpは1になるような関数になっている。また、前記関数F3は、前記比の値SRat1が1未満である範囲については、1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換され、比の値SRat1が1以上である範囲については、0.1以上1以下のスコア値SCpに変換されるような関数になっている。
【0083】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0084】
次に、第三実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第二平均値StAV2とを比較する演算として、前記比の値SRat1の算出に代えて、以下の(式2)の演算を行なう。
|StAV2−StAV1|/StAV1 ・・・(式2)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式2)で得られた値を前記比の値SRat1の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式2)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0085】
次に、第三実施形態の第三変形例について説明する。この第三実施形態の第三変形例も、第一実施形態の第四変形例、第二実施形態の第三変形例と同様に、前記弾性画像に二つの領域Rs1及びRs2が設定される(図6参照)。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2についての指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0086】
また、この第三実施形態の第三変形例における前記表示制御部6も、第一実施形態の第四変形例、第二実施形態の第三変形例における表示制御部6と同様に、指標値比較演算部620を有しており(図7参照)、この指標値比較演算部620が、前記指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。そして、前記指標値表示制御部620は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0087】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。以下、第一〜第三実施形態と異なる構成について説明する。
【0088】
本例では、図11に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第二物理量平均部622、第三物理量平均部623、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0089】
前記第三物理量平均部623は、前記弾性画像表示領域Reにおける各画素について算出された歪みの分布における所定の範囲について、歪みの平均値である第三平均値StAV3を算出する。前記所定の範囲は、前記第一平均値StAV1を基準にして歪み値が高い側或いは低い側(生体組織が平均よりも軟らかい側或いは硬い側)のいずれかに設定される。図12に基づいて具体的に説明する。図12において、分布Dは、弾性画像表示領域Reにおける各画素について算出された歪みの分布を示す。前記第三物理量平均部622は、前記分布Dにおいて、第一平均値StAV1よりも歪み値が大きい所定の歪み値の範囲Xについて、歪みの平均値である第三平均値StAV3を算出する。前記第三物理量平均部622は本発明における第三物理量平均部の実施の形態の一例であり、前記第三平均値StAV3は本発明における第三物理量平均値の実施の形態の一例である。
【0090】
前記所定の歪み値の範囲Xは、生体組織が、前記弾性画像表示領域Reにおける平均よりも軟らかいことを表わす範囲である。前記所定の歪み値の範囲Xは、例えば乳腺領域の弾性画像において、前記弾性画像表示領域Reを、脂肪を含む適切な範囲に設定することにより、主に脂肪組織が支配的になるような軟らかさになるように設定することができる。この場合、前記第三平均値StAV3は、概ね脂肪についての歪みの平均値となる。
【0091】
本例では、前記指標値算出部618は、前記第二平均値StAV2と前記第三平均値StAV3とを比較する演算を行ない、前記所定の領域Rsについての弾性に関する指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第三平均値StAV3に対する前記第二平均値StAV2の比の値SRat2=StAV2/StAV3を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat2を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記所定の領域Rsを腫瘍の部分に設定し、なおかつ前記第三平均値StAV3が脂肪についての歪みの平均値である場合、前記指標値Inにより、脂肪を基準とする腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0092】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat2が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0093】
次に、第四実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。本例では、前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat2を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、例えば前記比の値SRat2が図13に示すような関数F4を用いて、第一〜第三実施形態と同様に、0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される。
【0094】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0095】
次に、第四実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第二平均値StAV2と前記第三平均値StAV3とを比較する演算として、前記比の値SRat2の算出に代えて、以下の(式3)の演算を行なう。
(StAV3−StAV2)/StAV3 ・・・(式3)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式3)で得られた値を前記比の値SRat2の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式3)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0096】
次に、第四実施形態の第三変形例について説明する。前記所定の領域Rsを脂肪の部分に設定した場合、前記第三物理量平均部622は、図14における分布Dにおいて、前記第一平均値StAV1よりも歪み値が小さい所定の歪み値の範囲Yについて、歪みの平均値である第三平均値StAV3′を算出する。前記所定の歪み値の範囲Yは、生体組織が前記弾性画像表示領域Reにおける平均よりも硬いことを表わす範囲であり、前記弾性画像表示領域Reを、弾性画像において腫瘍を含む適切な範囲に設定することにより、腫瘍の硬さになるように設定することができる。
【0097】
ちなみに、この第三変形例においては、前記所定の領域Rsは例えば脂肪の部分など前記第三平均値StAV3′の比較対象となる部分に設定される。
【0098】
前記指標値算出部618は、第二平均値に対する第三平均値の比の値SRat2′=StAV3′/StAV2を比較値として算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat2′を指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0099】
前記指標値算出部618は、前記比の値SRat2′の代わりに、下記(式3′)の演算を行ってもよい。
(StAV2−StAV3′)/StAV2 ・・・(式3′)
また、前記指標値算出部618は、前記SRat2′及び前記(式3′)の算出値に基づいて前記スコア値SCpを算出してもよい。
【0100】
次に、第四実施形態の第四変形例について説明する。この第四実施形態の第四変形例も、第一実施形態の第四変形例、第二、第三実施形態の第三変形例と同様に、前記弾性画像に二つの領域Rs1及びRs2が設定される(図6参照)。そして、前記指標値算出部618は、それぞれの領域Rs1,Rs2についての指標値In1,In2を上述のいずれかの手法により算出する。
【0101】
また、この第四実施形態の第四変形例における前記表示制御部6も、第一実施形態の第四変形例、第二、第三実施形態の第三変形例における表示制御部6と同様に、指標値比較演算部620を有しており(図7参照)、この指標値比較演算部620が、前記指標値In1,In2の比の値RatIを算出する。そして、前記指標値表示制御部620は、前記比の値RatI、前記指標値In1,In2を前記表示部7に表示する。
【0102】
(第五実施形態)
次に、第五実施形態について説明する。以下、第一〜第四実施形態と異なる構成について説明する。
【0103】
本例では、図15に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第三物理量平均部623、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0104】
本例では、前記第三物理量平均部623は、図14に示す分布Dにおける前記所定の歪み値の範囲Yについての歪みの平均値である第三平均値StAV3′を算出する。
【0105】
また、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第三平均値StAV3′とを比較する演算を行ない、弾性に関する指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第一平均値StAV1に対する前記第三平均値StAV3′の比の値SRat3=StAV3′/StAV1を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat3を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記第三平均値StAV3′が腫瘍についての歪みの平均値である場合、前記指標値Inにより、腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0106】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat3が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0107】
次に、第五実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。本例では、前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat3を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、特に図示しないが、前記関数として、例えば前記比の値SRat3が1よりも大きく5以下のスコア値SCpに変換されるような関数を用いる。
【0108】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0109】
次に、第五実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第一平均値StAV1と前記第三平均値StAV3′とを比較する演算として、前記比の値SRat3の算出に代えて、以下の(式4)の演算を行なう。
(StAV1−StAV3′)/StAV3′ ・・・(式4)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式4)で得られた値を前記比の値SRat3の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式4)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0110】
次に、第五実施形態の第三変形例について説明する。前記第一平均値StAV1の比較対象は前記第三平均値StAV3′に限られるものではなく、任意に設定された所定の歪みの範囲の平均値であればよい。
【0111】
(第六実施形態)
次に、第六実施形態について説明する。以下、第一〜第五実施形態と異なる構成について説明する。
【0112】
本例では、図16に示すように、メモリ611、Bモード画像データ作成部612、第一物理量平均部621、比較値算出部614、階調値算出部615、弾性画像データ作成部616、合成画像表示制御部617、第三物理量平均部623、第四物理量平均部624、指標値算出部618、指標値表示制御部619を有している。
【0113】
本例では、前記第三物理量平均部622は、図17に示す分布Dにおける前記所定の歪み値の範囲Xについての歪みの平均値である第三平均値StAV3を算出する。ちなみに、前記所定の歪み値の範囲Xは、図12と同一の範囲である。
【0114】
また、前記第四物理量平均部623は、図17に示す分布Dにおける前記所定の歪み値の範囲Zについての歪みの平均値である第四平均値StAV4を算出する。ちなみに、前記所定の歪み値の範囲Zは、図14に示す前記所定の歪みの範囲Yと同じであり、前記第四平均値StAV4は前記第三平均値StAV3′と同一の範囲である。前記第四物理量平均部623は本発明における第四物理量平均部の実施の形態の一例であり、また前記第四平均値StAV4は本発明における第四物理量平均値の実施の形態の一例である。
【0115】
前記指標値算出部618は、前記第三平均値StAV3と前記第四平均値StAV4とを比較する演算を行ない、弾性に関する指標値Inとして比較値を算出する。具体的には、前記指標値算出部618は、前記比較値として、前記第三平均値StAV3に対する前記第四平均値StAV4の比の値SRat4=StAV4/StAV3を算出する。そして、前記指標値表示制御部619は、前記比の値SRat4を指標値Inとして前記表示部7に表示する。前記第三平均値StAV3が脂肪についての歪みの平均値であり、前記第四平均値StAV4が腫瘍についての歪みの平均値である場合、前記指標値Inにより、脂肪を基準とする腫瘍の硬さについて数値化された値を知ることができる。
【0116】
本例の超音波診断装置1によれば、弾性に関する指標値Inとして、前記比の値SRat4が表示されるので、生体組織の硬さ又は軟らかさを数値化して示すことができる。従って、客観的で容易な診断を行なうことができる。
【0117】
次に、第六実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。前記指標値算出部618は、前記指標値Inとして、前記比の値SRat4を所定の関数を用いて変換してスコア値SCpを算出する。本例では、特に図示しないが、例えば前記比の値SRat4が、第一〜第四実施形態と同様に、0.1〜5までの範囲のスコア値SCpに変換される関数を用いる。
【0118】
前記指標値表示制御部619は、前記スコア値SCpを前記指標値Inとして前記表示部7に表示する。
【0119】
次に、第六実施形態の第二変形例について説明する。この第二変形例において、前記指標値算出部618は、前記第三平均値StAV3と前記第四平均値StAV4とを比較する演算として、前記比の値SRat4の算出に代えて、以下の(式5)の演算を行なう。
(StAV3−StAV4)/StAV3 ・・・(式5)
そして、前記指標値表示制御部619は、上記(式5)で得られた値を前記比の値SRat4の代わりに前記指標値Inとして表示する。なお、前記(式5)で得られた値に基づいて前記スコア値SCpの算出を行なってもよい。
【0120】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、図18に示すように、前記Bモード画像BG及び前記弾性画像EGからなる画像G1と、Bモード画像のみの画像G2とを前記表示部7に並べて表示してもよい。この場合、前記画像G1,G2は生体組織の同一部分についての画像とする。そして、前記画像G2に前記所定の領域Rsを設定して、この所定の領域Rsについての前記指標値Inの表示を行うようにする。
【0121】
また、前記比の値Rat,SRat1,SRat2,SRat2′,SRat3,SRat4の算出において、分母と分子とを逆にしてもよい。
【0122】
さらに、上記各実施形態において、生体組織の弾性に関する物理量として、歪みの代わりに生体組織の変形による変位や弾性率などを算出してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 超音波診断装置
5 物理量データ処理部(物理量算出部)
613 物理量平均部
614 比較値算出部
615 階調値算出部
618 指標値算出部
619 指標値表示制御部
620 指標値比較演算部
621 第一物理量平均部
622 第二物理量平均部
623 第三物理量平均部
624 第四物理量平均部
EG 弾性画像
In 指標値
Rs 所定の領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値を算出する物理量平均部と、
前記弾性画像の各画素における物理量と前記平均値とを比較する演算を行なって各画素毎に比較値を算出する比較値算出部と、
前記比較値に基づいて、前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記指標値算出部は、前記比較値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像の各画素における物理量に基づいて階調化処理を行なって階調値を各画素毎に算出する階調値算出部と、
前記階調値に基づいて、所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
前記指標値算出部は、前記階調値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記スコア値として算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、
前記弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、
前記第一物理量平均値と前記第二物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、
前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、
前記第二物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部を備えており、
前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準にして設定される前記所定の範囲の物理量の平均値である
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする請求項9〜11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
複数設定された前記所定の領域についての前記指標値を比較する演算を行なう指標値比較演算部を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、
前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、
前記第一物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項15】
前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準として設定される前記所定の範囲の物理量の平均値であることを特徴とする請求項14に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、
前記弾性画像の物理量の分布において、前記第三物理量平均値の算出対象の範囲とは異なる範囲の物理量の平均値である第四物理量平均値を算出する第四物理量平均部と、
前記第三物理量平均値と前記第四物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項17】
前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記指標値を表示する指標値表示制御部を備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項1】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値を算出する物理量平均部と、
前記弾性画像の各画素における物理量と前記平均値とを比較する演算を行なって各画素毎に比較値を算出する比較値算出部と、
前記比較値に基づいて、前記弾性画像における所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記指標値算出部は、前記比較値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記比較値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像の各画素における物理量に基づいて階調化処理を行なって階調値を各画素毎に算出する階調値算出部と、
前記階調値に基づいて、所定の領域についての弾性に関する指標値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
前記指標値算出部は、前記階調値を所定の関数を用いて変換することによって各画素毎のスコア値を算出し、前記所定の領域についての前記スコア値の平均値を前記スコア値として算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を前記指標値として算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記指標値算出部は、前記所定の領域における前記階調値の平均値を算出し、さらに該平均値を所定の関数を用いて変換して前記指標値としてのスコア値を算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、
前記弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、
前記第一物理量平均値と前記第二物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像に設定された所定の領域についての物理量の平均値である第二物理量平均値を算出する第二物理量平均部と、
前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、
前記第二物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、前記所定の領域についての弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部を備えており、
前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準にして設定される前記所定の範囲の物理量の平均値である
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする請求項9〜11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
複数設定された前記所定の領域についての前記指標値を比較する演算を行なう指標値比較演算部を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された生体組織の弾性画像における物理量の平均値である第一物理量平均値を算出する第一物理量平均部と、
前記弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、
前記第一物理量平均値と前記第三物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項15】
前記第三物理量平均値は、前記第一物理量平均値を基準として設定される前記所定の範囲の物理量の平均値であることを特徴とする請求項14に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
生体組織に対する超音波の送受信により得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
前記物理量に基づいて作成された弾性画像の物理量の分布における所定の範囲について、物理量の平均値である第三物理量平均値を算出する第三物理量平均部と、
前記弾性画像の物理量の分布において、前記第三物理量平均値の算出対象の範囲とは異なる範囲の物理量の平均値である第四物理量平均値を算出する第四物理量平均部と、
前記第三物理量平均値と前記第四物理量平均値とを比較する演算を行なうことにより、弾性に関する指標値としての比較値を算出する指標値算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項17】
前記指標値算出部は、前記指標値として、前記比較値を所定の関数を用いて変換してスコア値を算出することを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記指標値を表示する指標値表示制御部を備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−255082(P2011−255082A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133849(P2010−133849)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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