説明

超音波診断装置

【課題】超音波の送受信を行うための回路を備えた超音波プローブと、超音波の送受信を行うための設定データを超音波プローブに送る超音波診断装置本体部との間において、超音波プローブと超音波診断装置本体部とを接続するためのケーブルの本数がより少なくて済む超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブ4は、送信遅延回路42及びパルサ43を含む送信系回路と、LNA46及びサブアレイビームフォーマ47を含む受信系回路とを備えている。超音波診断装置本体部1は、パワーライントランシーバI/F15を介して設定データをDC電源に重畳させて、電源ラインLを通して設定データを超音波プローブ4に送る。超音波プローブ4は、電源ラインLを通ってきた設定データを、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。設定データは、送信系回路及び受信系回路に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波を送受信するための回路を備えた超音波プローブに、超音波の送受信に関する設定データを送る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内を3次元的に表す3次元画像を取得するために、3次元的に超音波をスキャンすることが可能なマトリクスアレイプローブが開発されている(例えば特許文献1)。マトリクスアレイプローブとしては、1.5Dアレイプローブや2Dアレイプローブが挙げられる。1.5アレイプローブは、複数の超音波振動子が1列に配置された1Dアレイプローブにおける複数の超音波振動子が、複数の列に配置された超音波プローブである。また、2Dアレイプローブは、縦横(48×48)の配置や(64×64)の配置などのように、複数の超音波振動子が2次元的に配置された超音波プローブである。2Dアレイプローブにおいては、各超音波振動子に送受信回路を接続して、超音波を送受信することができる。
【0003】
各超音波振動子に接続される送信回路及び受信回路は、超音波振動子に対して1対1の関係で接続されたり、各超音波振動子に対して間引いて接続されたりしている。また、送信回路及び受信回路は、高集積化技術により、超音波プローブのプローブ把持部内に設置される場合もある。また、超音波プローブによる超音波の送受信を制御するプローブ制御部が、超音波プローブと超音波診断装置本体部とを接続するプローブコネクタ部に設置される場合がある。
【0004】
ここで、従来技術に係る超音波診断装置について図4を参照して説明する。図4は、従来技術に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
【0005】
従来技術に係る超音波診断装置は、超音波診断装置本体部100と、プローブコネクタ部110と、ケーブル120と、超音波プローブ130と、表示部17と、操作部18と、電源ユニット19とを備えている。超音波プローブ130は、ケーブル120によって、プローブコネクタ部110を介して超音波診断装置本体部100に接続されている。
【0006】
超音波診断装置本体部100は、システム制御部11と、ビームフォーマ12と、デジタルレシーバ(DR)13と、デジタルスキャンコンバータ(DSC)14とを備えている。プローブコネクタ部110は、プローブ制御部21と、タイムゲインコントローラ(TGC)22とを備えている。超音波プローブ130は、送受信制御部41と、送信遅延回路(TXBF)42と、複数のパルサ43と、送受信スイッチ(T/R SW)44と、振動子群45と、複数の低雑音増幅器(LNA)46と、サブアレイビームフォーマ47とを備えている。
【0007】
振動子群45には、上述したように、縦横(48×48)の配置や(64×64)の配置などのように、複数の超音波振動子が配置されている。これら複数の超音波振動子に対しては、同数のパルサ43と同数のLNA46とが、送受信スイッチ44を介してそれぞれ接続されている。
【0008】
送信系の回路は、送信チャンネル分の複数のパルサ43と、各送信チャンネルの送信タイミングを制御して遅延時間を加えて送信するための送信遅延回路(TXBF)42とで構成されている。
【0009】
受信系の回路は、複数のLNA46と、図示しないゲイン制御部と、サブアレイビームフォーマ47とによって構成されている。LNA46は、各超音波振動子からの受信信号を増幅する。サブアレイビームフォーマ47は、受信信号の遅延時間や位相を制御して、複数チャンネルごとに束ねてチャンネル数を削減する。サブアレイビームフォーマ47は、縦横(4×4)に配置された複数の超音波振動子などのように隣接する複数の超音波振動子をグループ化し、このグループ内で遅延時間を揃えて加算し、超音波プローブ130から超音波診断装置本体部100に接続する受信チャンネル数を削減するための技術である。例えば、縦横(64×32)の配置や(42×42)の配置で、すべての超音波振動子が2048素子以下の超音波プローブであれば、16素子ごとに束ねることで128chとして超音波診断装置本体部100に接続することができる。また、サブアレイのグループにおける素子数は、超音波プローブの性能に応じて変更される。
【0010】
送信遅延回路(TXBF)42で設定された遅延時間の遅延を持った駆動パルスが複数のパルサ43のそれぞれで生成され、振動子群45の各超音波振動子にそれぞれ供給される。これにより、振動子群45の各超音波振動子から、上記の遅延を持った超音波がそれぞれ送信される。なお、遅延時間は、振動子群45の各超音波振動子がそれぞれ送信する超音波が所定部位に集束するように計算される。振動子群45の各超音波振動子ではそれぞれ、入射した超音波が電気的な受信信号に変換される。このように得られた複数の受信信号は、複数のLNA46でそれぞれ増幅される。増幅された複数の受信信号はそれぞれ、受信信号が受信された超音波振動子に応じて複数のサブアレイのいずれかにグループ化される。そして、各受信信号はサブアレイビームフォーマ47において、グループ内で遅延制御をされたうえで1chに束ねられる。
【0011】
超音波プローブ130から出力された受信信号は、ケーブル120を介してプローブコネクタ部110に入力される。この受信信号は、TGC22、ビームフォーマ12、DR13、及びDSC14により、TGCゲイン制御、ビームフォーミング、信号処理、及びスキャンコンバートがそれぞれなされて、断層像や3次元画像として表示部17にて表示される。
【0012】
超音波プローブ130に設置されている回路を動作させるためには、送信信号の波形データ、遅延時間を示す遅延データ、及び、LNA46に対するゲイン制御用のデータなどの設定データを、超音波診断装置本体部100から超音波プローブ130に送る必要がある。具体的には、上記の設定データを、ケーブル120に含まれる制御バス(図4に示すData Bus)を介して超音波診断装置本体部100から超音波プローブ130に送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−148424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
超音波プローブ130に設置されている回路の規模及び性能によって、超音波プローブ130に送信する設定データのデータ量が多くなる。そのため、従来においては、制御バスは、数十本に及ぶ専用のデジタル制御ラインで構成されて、プローブコネクタ部110から超音波プローブ130までケーブルによって接続されている。このケーブルは検査の邪魔にならないように、細くて、しなやかな素材により製造されることが求められており、電子回路を内蔵しない従来の1Dアレイプローブに使用されるケーブルよりも、細い導体で構成される必要がある。また、超音波プローブ130に送られる設定データは高速のロジック信号であるため、信号の品質や放射ノイズを避けるために、ケーブルにはツイストペア線やシールド線が用いられる。そのため、ケーブル自体のコストや、ケーブルを組み立てるためのコストが膨大になるという問題がある。また、細線ケーブルを使用するため、導体のインピーダンスが高くなり、受信信号の損失が大きくなるという問題もある。
【0015】
また、超音波診断装置本体部100と超音波プローブ130とを接続するためのプローブコネクタ部110においても、上述と同様の問題がある。プローブコネクタ部110には、超音波の送受信におけるチャンネル数に応じた数のコネクタが利用されるが、電子回路を内蔵した超音波プローブ130を制御するための制御信号(設定データ)を超音波プローブ130に送るためには、プローブコネクタ部110を大規模にする必要がある。そのため、プローブコネクタ部110を、1Dアレイプローブと共通にして使用できない問題がある。また、プローブコネクタ部110は多極のコネクタであるため、接触不良のピンが発生するおそれがあり、それが原因で、データ転送のエラーが発生するおそれがある。
【0016】
従来においては、接触不良によるデータ転送エラーを防ぐために、超音波プローブを超音波診断装置本体部に接続するときに接続テストのシーケンスを実行したり、複数のピンを並列に接続したりするなどの対策が実行されている。しかしながら、接続テストには時間を要するため、複数の超音波プローブを取り換えて使用する場合に、その取り換え時間が長くなるという問題がある。
【0017】
この発明は上記の問題を解決するものであり、超音波の送受信を行うための回路を備えた超音波プローブと、超音波の送受信を行うための設定データを超音波プローブに送る超音波診断装置本体部との間において、超音波プローブと超音波診断装置本体部とを接続するためのケーブルの本数がより少なくて済む超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、複数の超音波振動子、及び前記複数の超音波振動子に超音波を送受信させる回路部を有する超音波プローブと、前記超音波プローブによる超音波の送受信を制御して、前記超音波プローブによって受信された受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置本体部と、前記超音波プローブ及び前記超音波診断装置本体部に接続されて、電源を前記超音波プローブの前記回路部及び前記超音波診断装置本体部に供給する電源線と、を有する超音波診断装置であって、前記超音波診断装置本体部は、前記超音波プローブによる超音波の送受信を制御するための設定データを、前記電源線を介して前記超音波プローブに送る第1のデータトランシーバを備え、前記超音波プローブは、前記電源線を介して前記第1のデータトランシーバから送られた前記設定データを受信する第2のデータトランシーバを備えており、前記回路部は、前記第2のデータトランシーバによって受信された前記設定データに従って、前記複数の超音波振動子に超音波を送受信させることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、電源を供給するための電源線によって、設定データを超音波診断装置本体部から超音波プローブに送ることで、超音波プローブと超音波診断装置本体部との間で設定データを送るためのケーブルを別途設けなくても、その設定データの送信が可能となる。このようにケーブルを別途設ける必要がないため、超音波プローブと超音波診断装置本体部との間のケーブルの本数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施形態に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
【図2】この実施形態に係る超音波診断装置に設置されているパワーライントランシーバを示すブロック図である。
【図3】設定データを送るタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】従来技術に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施形態に係る超音波診断装置について図1を参照して説明する。図1は、この発明に実施形態に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
【0022】
この実施形態に係る超音波診断装置は、超音波診断装置本体部1と、プローブコネクタ部2と、ケーブル3と、超音波プローブ4と、表示部17と、操作部18とを備えている。超音波プローブ4は、ケーブル3によって、プローブコネクタ部2を介して超音波診断装置本体部1に接続されている。また、この実施形態に係る超音波診断装置は電源ラインLを有しており、その電源ラインLに、超音波診断装置の各部に電源を供給するための電源ユニット19が接続されている。
【0023】
超音波診断装置本体部1は、システム制御部11と、ビームフォーマ12と、デジタルレシーバ(DR)13と、デジタルスキャンコンバータ(DSC)14と、パワーライントランシーバI/F15と、フィルタ16とを備えている。プローブコネクタ部2は、プローブ制御部21と、複数のタイムゲインコントローラ(TGC)22と、パワーライントランシーバI/F23と、フィルタ24とを備えている。超音波プローブ4は、送受信制御部41と、送信遅延回路(TXBF)42と、複数のパルサ43と、送受信スイッチ(T/R SW)44と、振動子群45と、複数の低雑音増幅器(LNA)46と、サブアレイビームフォーマ47と、パワーライントランシーバI/F48と、フィルタ49とを備えている。超音波プローブ4には、1例としてマトリクスアレイプローブが用いられている。
【0024】
(超音波プローブ4)
振動子群45には、nチャンネルのそれぞれに対応した複数の超音波振動子が1次元的又は2次元的に配置されている。これら複数の超音波振動子に対しては、同数のパルサ43と同数のLNA46とが、送受信スイッチ44を介してそれぞれ接続されている。これら複数の超音波振動子に、nチャンネルの駆動信号がそれぞれ印加される。各超音波振動子は、印加された駆動信号に応じた超音波を送信する。また、各超音波振動子は、入射した超音波を電気的な受信信号に変換する。
【0025】
送信遅延回路(TXBF)42は、振動子群45から送信されるmチャンネルの超音波信号を、送受信制御部41から指示される所定部位に集束させるような遅延時間を上記mチャンネルのそれぞれについて設定する。複数のパルサ43は、nチャンネルのそれぞれに対応している。複数のパルサ43のそれぞれは、対応するチャンネルに関して送信遅延回路42によって設定された遅延時間の遅延を持ち、送受信制御部41によって設定された電圧値を持った駆動パルスを生成する。なお、送信遅延回路(TXBF)42が、この発明の「送信遅延回路」の1例に相当し、パルサ43が、この発明の「送信回路」の1例に相当する。
【0026】
送受信スイッチ44は、振動子群45に複数のパルサ43及び複数のLNA46を選択的に接続する。送受信スイッチ44が、振動子群45に複数のパルサ43を接続しているとき、パルサ43で生成されたnチャンネルの駆動信号が、送受信スイッチ44を介してそれぞれ振動子群45に供給される。これにより、振動子群45の各超音波振動子から、上記の遅延を持った超音波がそれぞれ送信される。
【0027】
送受信スイッチ44が振動子群45に複数のLNA46を接続しているとき、振動子群45の各超音波振動子で得られたnチャンネルの受信信号は、複数のLNA46にそれぞれ入力される。複数のLNA46は、各チャンネルの受信信号それぞれを、送受信制御部41によって設定されたゲインで増幅する。サブアレイビームフォーマ47は、受信信号の遅延時間や位相を制御して、複数チャンネルごとに束ねてチャンネル数を削減する。サブアレイビームフォーマ47は、隣接する複数の超音波振動子をグループ化し、このグループ内で遅延時間を揃えて加算する。この遅延時間は、送受信制御部41によって設定される。LNA46にて増幅された受信信号はそれぞれ、複数のサブアレイのいずれかにグループ化される。そして、各受信信号はサブアレイビームフォーマ47において、グループ内で遅延制御をされたうえで1chに束ねられる。サブアレイビームフォーマ47は、例えば、縦横(4×4)に配置された複数の超音波振動子をグループ化し、このグループ内で遅延時間を揃えて加算することで、超音波プローブ4から超音波診断装置本体部1に接続する受信チャンネル数を削減することができる。例えば2048素子のマトリクスアレイプローブであれば、16素子ごとに束ねることで、128chとして超音波診断装置本体部1に接続することができる。なお、LNA46が、この発明の「増幅器」の1例に相当し、サブアレイビームフォーマ47が、この発明の「サブアレイビームフォーマ」の1例に相当する。
【0028】
送受信制御部41は、送受信タイミングごとの遅延データ(遅延時間を示すデータ)を、送信遅延回路42とサブアレイビームフォーマ47とに設定する。また、送受信制御部41は、所望の送信音圧をパルサ43に設定する。また、送受信制御部41は、所望のゲインをLNA46に設定する。
【0029】
超音波プローブ4から出力された受信信号は、ケーブル3を介してプローブコネクタ部2に入力される。
【0030】
この実施形態においては、超音波プローブ4に設置された回路に設定される設定データが、パワーライントランシーバI/F15、48を介して電源ラインLを通って、超音波診断装置本体部1から超音波プローブ4に送られる。または、その設定データが、パワーライントランシーバI/F23、48を介して電源ラインLを通って、プローブコネクタ部2から超音波プローブ4に送られても良い。例えば、PLC(Power Line Communication)を利用することで、電源ラインL(電力線)を通信回線として利用して、超音波診断装置本体部1又はプローブコネクタ部2から超音波プローブ4に設定データを送信する。この設定データには、例えば、送信遅延回路(TXBF)42にて送信信号に与える遅延量(遅延時間)を示す遅延データ、及び、サブアレイビームフォーマ47にて受信信号に与える遅延量(遅延時間)を示す遅延データが含まれる。また、設定データには、送信信号の波形データや、LNA46に対するゲイン制御用のデータが含まれていても良い。
【0031】
(プローブコネクタ部2)
プローブコネクタ部2に設置された複数のTGC22は、それぞれnチャンネルのサブアレイに対応している。複数のTGC22は、タイムゲインコントロールを行うようにサブアレイビームフォーマ47からの出力を増幅して、超音波診断装置本体部1に出力する。プローブ制御部21は、超音波診断装置本体部1のシステム制御部11から出力されシーケンスを示す情報に基づいて、超音波プローブ4によるスキャン動作を制御する。また、プローブ制御部21は、適用すべきシーケンスに応じた画像を生成するために、TGC22の動作を制御する。
【0032】
上述した設定データを、プローブコネクタ部2から超音波プローブ4に出力する場合には、プローブ制御部21は設定データをデコードし、パラーライントランシーバI/F23を介して超音波プローブ4に送る。また、プローブ制御部21は、システム制御部11から出力された同期信号を、ケーブル3によって超音波プローブ4の送受信制御部41に出力する。
【0033】
(超音波診断装置本体部1)
システム制御部11は、適用すべきシーケンスを示す情報をプローブ制御部21に出力することにより、上記シーケンスに応じたスキャン動作を行うように超音波プローブ4を制御する。また、システム制御部11は、適用すべきシーケンスに応じた画像を表示部17に表示させるために、ビームフォーマ12、DR13、及びDSC14のそれぞれの動作を制御する。システム制御部11は、超音波の送受信やビームフォーミングなど、超音波診断装置の全体をリアルタイムに同期して制御するために、同期信号によって超音波診断装置の各部のハードウェアを制御する。例えば、システム制御部11は同期信号をプローブ制御部21に出力し、プローブ制御部21は、ケーブル3によって同期信号を超音波プローブ4の送受信制御部41に出力する。送受信制御部41は、その同期信号に従って超音波の送受信を制御する。
【0034】
ビームフォーマ12は、TGC22から出力されたサブアレイの信号を遅延加算することでエコー信号を生成する。DR13は、ビームフォーマ12で得られたエコー信号に対して、フィルタリングやエッジ処理などの信号処理を施す。DSC14は、DR13で得られたデータに対してスキャンコンバージョン処理を施すことで、断層像データや3次元画像データなどの画像データを生成する。表示部17は、DSC14にて生成された画像データに基づく断層像や3次元画像を表示する。
【0035】
(電源ユニット19)
電源ユニット19は、電源ラインLによって、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4にそれぞれ接続されている。そして、電源ユニット19は、電源ラインLによって、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4にそれぞれDC電源を供給する。なお、電源ユニット19が、この発明の「電源部」の1例に相当し、電源ラインLが、この発明の「電源線」の1例に相当する。
【0036】
超音波診断装置本体部1においては、例えば、システム制御部11、ビームフォーマ12、DR13、及びDSC14がそれぞれ電子回路で構成され、それら電子回路が、電源ラインLを経由して電源ユニット19からDC電源の供給を受ける。
【0037】
また、プローブコネクタ部2においては、例えば、プローブ制御部21及びTGC22がそれぞれ電子回路で構成され、それら電子回路が、電源ラインLを経由して電源ユニット19からDC電源の供給を受ける。
【0038】
また、超音波プローブ4においては、例えば、送受信制御部41、送信遅延回路(TXBF)42、パルサ43、LNA46、及びサブアレイビームフォーマ47がそれぞれ電子回路で構成され、それら電子回路が、電源ラインLを経由して電源ユニット19からDC電源の供給を受ける。なお、送信遅延回路42及びパルサ43が送信系の回路の1例であり、LNA46及びサブアレイビームフォーマ47が受信系の回路の1例である。
【0039】
(パワーライントランシーバI/F)
超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4には、それぞれパワーライントランシーバI/F15、23、48が設置されている。パワーライントランシーバI/F15、23、48は、それぞれ電源ラインLに接続されている。なお、パワーライントランシーバI/F15が、この発明の「第1のデータトランシーバ」の1例に相当し、パワーライントランシーバI/F48が、この発明の「第2のデータトランシーバ」の1例に相当する。
【0040】
この実施形態においては、システム制御部11は、遅延データを含む設定データ(デジタル信号)をパワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させて、超音波プローブ4に送る。設定データは、所定同期の繰り返し信号、つまり、所定の転送周波数を有する信号である。超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られた設定データを、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。
【0041】
また、システム制御部11は、設定データをパワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させて、プローブコネクタ部2に送っても良い。この場合、プローブコネクタ部2のプローブ制御部21は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られた設定データを、パワーライントランシーバI/F23を介して受信する。
【0042】
また、プローブ制御部21は、設定データをパワーライントランシーバI/F23を介してDC電源に重畳させて、超音波プローブ4に送っても良い。この場合、超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってプローブ制御部21から送られた設定データを、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。
【0043】
ここで、パワーライントランシーバI/F15、23、48の具体的な構成を図2に示す。図2は、この実施形態に係る超音波診断装置に設置されているパワーライントランシーバを示すブロック図である。パワーライントランシーバI/F15、23、48はそれぞれ、データバッファ61、TX FIFO62、RX FIFO63、シリアルインターフェース64、コンデンサC1、C2、及びトランスT(コイルL1、L2)を備えている。コンデンサC1、C2、及びトランスTは、DC成分を除去して、設定データを所定の転送周波数を有する信号として出力する。
【0044】
遅延データなどの設定データを送信する場合、データバッファ61に設定データを記憶させる。設定データはTX FIFO62を経由してシリアルインターフェース64に送られ、シリアルデータとして高速クロックで出力される。そして、設定データは、コンデンサC1によってAC結合されたトランスT経由で電源ラインLに出力され、シリアル転送される。例えば、超音波診断装置本体部1に設置されたシステム制御部11から設定データを送信する場合には、設定データは、データバッファ61、TX FIFO62、及びシリアルインターフェース64の順番で経由して送信される。一方、電源ラインLを経由して送られた設定データを受信する場合には、シリアルインターフェース64によって受信した設定データをRX FIFO63で一旦受けて、データバッファ61に記憶させる。例えば、超音波プローブ4に設置された送受信制御部41が設定データを受信する場合には、設定データは、シリアルインターフェース64、RX FIFO63、及びデータバッファ61の順番で経由して受信される。パワーライントランシーバI/F15、23、48は、例えば1Gbpsの転送速度があれば、転送周波数が10μsecで約10kbitのデータを送ることができる。
【0045】
(動作)
次に、この実施形態に係る超音波診断装置による動作について説明する。
【0046】
(動作1:超音波診断装置本体部1から超音波プローブ4に設定データを送信する場合)
まず、超音波診断装置本体部1から超音波プローブ4に、遅延データを含む設定データを送信する場合について説明する。この場合、システム制御部11は、遅延データを含む設定データをパワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通して超音波プローブ4に設定データを送る。超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られた設定データを、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。
【0047】
そして、送受信制御部41は、設定データに含まれる遅延データを、送信遅延回路(TXBF)42とサブアレイビームフォーマ47とに設定する。また、設定データに送信音圧が含まれている場合には、送受信制御部41は、その送信音圧をパルサ43に設定する。また、設定データにゲインが含まれている場合には、送受信制御部41は、ゲインをLNA46に設定する。
【0048】
送信遅延回路42は、送受信制御部41から受けた遅延データが示す遅延時間を、振動子群45の各チャンネルのそれぞれについて設定する。パルサ43は、送信遅延回路42によって設定された遅延時間の遅延を持つ駆動パルスを生成し、送受信スイッチ44を介して振動子群45に供給する。これにより、振動子群45の各超音波振動子から、上記の遅延を持った超音波がそれぞれ送信される。
【0049】
振動子群45の各超音波振動子は、撮影対象から反射された超音波を受信して、その超音波を電気的な受信信号に変換する。受信信号は、送受信スイッチ44を介してLNA46に入力される。LNA46は、各チャンネルの受信信号それぞれを、送受信制御部41によって設定されたゲインで増幅してサブアレイビームフォーマ47に出力する。サブアレイビームフォーマ47は、隣接する複数の超音波振動子をグループ化し、このグループ内で、送受信制御部41から受けた遅延データが示す遅延時間に従って遅延制御する。そして、サブアレイビームフォーマ47は、ケーブル3を介して、受信信号をプローブコネクタ部2のTGC22に出力する。
【0050】
超音波プローブ4から出力された受信信号は、上述したように、TGC22、ビームフォーマ12、DR13、及びDSC14により、TGCゲイン制御、ビームフォーミング、信号処理、及びスキャンコンバートがそれぞれなされて、断層像や3次元画像として表示部17にて表示される。
【0051】
この動作1のように、超音波プローブ4に設定する設定データを、電源ラインLを通して超音波診断装置本体部1から超音波プローブ4に送ることで、超音波プローブ4にマトリクスアレイプローブを用いた場合であっても、ケーブル3に、信号線数を大幅に増やしたケーブルを用いる必要がなくなる。すなわち、この実施形態によると、ケーブル3における信号線の数を削減することが可能となる。その結果、ケーブル3が太くならず、また、コストの高い電線をケーブル3に用いる必要がなくなる。また、この実施形態によると、ケーブル3に用いる信号線の数を減らせるため、細線ケーブルを使った作業性の悪いケーブルアセンブリ作業を行う必要がなくなり、信頼性の高いケーブルアセンブリが可能となる。そのことにより、組み立て作業に要する時間を短縮することが可能となり、その結果、超音波診断装置の製造コストを削減することが可能となる。また、超音波プローブ4を制御するための専用Busが不要になるため、プローブコネクタ部2の極数を増やす必要がなくなる。そのことにより、プローブコネクタ部2を小型化することができ、また、低価格なコネクタをプローブコネクタ部2に用いることが可能となる。また、プローブコネクタ部2の極数を減らすことがきるため、コネクタピンの接触不良の発生を抑えることができ、その結果、データ転送のエラーの発生を抑えることが可能となる。
【0052】
ここで、設定データを超音波プローブ4に送るタイミングについて図3を参照して説明する。図3は、設定データを送るタイミングを示すタイミングチャートである。横軸が時間軸である。システム制御部11は、同期信号によって、超音波プローブ4による超音波の送信(TX)と超音波の受信(RX)とを制御する。すなわち、システム制御部11は、同期信号によって、超音波プローブ4による超音波の送信(TX)のタイミングと、超音波プローブ4による超音波の受信(RX)の期間とを管理する。具体的には、システム制御部11は、適用すべきシーケンスに従って、プローブコネクタ部2とケーブル3とを介して同期信号を超音波プローブ4に出力する。システム制御部11は、同期信号が示すタイミングで超音波プローブ4に超音波を送信させ、同期信号が示す時点から所定時間後までの間を受信期間として、その受信期間で超音波プローブ4に超音波を受信させる。そして、システム制御部11は、受信期間が終了した時点から所定時間後に、超音波の送信のタイミングを示す同期信号を、プローブコネクタ部2とケーブル3とを介して超音波プローブ4に出力する。この実施形態では、システム制御部11は、超音波プローブ4による超音波の受信(RX)が終了した時点から、次の超音波の送信を開始する時点までの間に、設定データを超音波プローブ4に送る。図3に示すように、超音波の受信期間(超音波プローブ4が超音波を受信している期間)が終了した時点から、次の超音波の送信(TX)が開始される時点までの間をブランキング期間とし、システム制御部11は、そのブランキング期間に設定データを超音波プローブ4に送る。
【0053】
このようにブランキング期間に設定データを送ることで、設定データの送信時におけるデジタル信号の放射や、グランドの揺れによるノイズの影響を防ぐことが可能となる。
【0054】
(動作2:プローブコネクタ部2から超音波プローブ4に設定データを送信する場合)
次に、プローブコネクタ部2から超音波プローブ4に、遅延データを含む設定データを送信する場合について説明する。この場合、まず、システム制御部11は、遅延データを含む設定データをパワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通してプローブコネクタ部2に設定データを送る。プローブコネクタ部2のプローブ制御部21は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られた設定データを、パワーライントランシーバI/F23を介して受信する。プローブ制御部21は設定データをデコードし、パラーライントランシーバI/F23を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通して超音波プローブ4に設定データを送る。超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってプローブ制御部21から送られた設定データを、パラーライントランシーバI/F48を介して受信する。そして、上述したように、送受信制御部41は、設定データに含まれる各データを、超音波プローブ4に設定された各部にそれぞれ設定する。例えば、送受信制御部41は、設定データに含まれる遅延データを、送信遅延回路42とサブアレイビームフォーマ47とに設定する。
【0055】
この動作2のように、超音波プローブ4に設定される設定データを、電源ラインLを通してプローブコネクタ部2から超音波プローブ4に送る場合であっても、動作1と同じ効果を奏することが可能となる。すなわち、超音波プローブ4にマトリクスアレイプローブを用いた場合であっても、ケーブル3に用いる信号線の数を減らすことが可能となる。
【0056】
(動作3:遅延データを示すテーブルが超音波プローブ4に設定されている場合)
上記の動作1及び動作2においては、超音波診断装置本体部1又はプローブコネクタ部2から設定データを超音波プローブ4に送信しているが、遅延データ(遅延時間を示すデータ)を示すテーブルを、超音波プローブ4に予め設定しておいても良い。この動作3においては、図示しないメモリを超音波プローブ4に設け、そのメモリに遅延データを予め記憶させておく。例えば、送受信タイミングごとの遅延データを示すテーブルを記憶したメモリを、超音波プローブ4に設置しておく。すなわち、送信遅延回路(TXRF)42及びサブアレイビームフォーマ47にて、送信信号及び受信信号に与える遅延量(遅延時間)を示す遅延データを送受信タイミングごとに記憶したメモリを、超音波プローブ4に設置しておく。
【0057】
システム制御部11は、遅延データのアドレスを指定するポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通して超音波プローブ4にポインタ情報を送る。超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られたポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。
【0058】
そして、送受信制御部41は、遅延データが記憶されているメモリを参照して、ポインタ情報が示す遅延データをメモリから取得し、その遅延データを送信遅延回路42とサブアレイビームフォーマ47とに設定する。
【0059】
この動作3によると、上述した動作1と同じ効果を奏し、さらに、以下に示す効果を奏することが可能である。つまり、遅延データを記憶したメモリを超音波プローブ4に予め設置しておくことで、超音波診断装置本体部1から超音波プローブ4に送信すべき情報は、ポインタ情報のみで済む。そのため、電源ラインLを介して送信すべき情報量を減らすことが可能となる。例えば、32bitデータのパケットで32のデータを送信する場合には、1kbitの情報量で済む。
【0060】
なお、システム制御部11は、遅延データ以外の設定データを、パワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させて、電源ラインLを通して超音波プローブ4に送れば良い。
【0061】
(動作4:遅延データを示すテーブルが超音波プローブ4に設定されている場合)
動作4においても、遅延データを示すテーブルを記憶したメモリを、超音波プローブ4に予め設置しておく。
【0062】
まず、システム制御部11は、遅延データのアドレスを指定するポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通してプローブコネクタ部2にポインタ情報を送る。プローブコネクタ部2のプローブ制御部21は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られたポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F23を介して受信する。プローブ制御部21はポインタ情報をデコードし、パワーライントランシーバI/F23を介してDC電源に情報させ、電源ラインLを通して超音波プローブ4にポインタ情報を送る。超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってプローブ制御部21から送られたポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。
【0063】
そして、送受信制御部41は、遅延データが記憶されているメモリを参照して、ポインタ情報が示す遅延データをメモリから取得し、その遅延データを送信遅延回路42とサブアレイビームフォーマ47とに設定する。
【0064】
この動作4によると、上述した動作1と同じ効果を奏し、さらに、動作3と同じ効果を奏する。つまり、ポインタ情報を、電源ラインLを通してプローブコネクタ部2から超音波プローブ4に送信した場合であっても、送信すべき情報量を減らすことが可能となる。
【0065】
(動作5:遅延データを示すテーブルがプローブコネクタ部2に設定されている場合)
遅延データを示すテーブルを記憶したメモリを、プローブコネクタ部2に予め設置しておいても良い。
【0066】
まず、システム制御部11は、遅延データのアドレスを指定するポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F15を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通してプローブコネクタ部2にポインタ情報を送る。プローブコネクタ部2のプローブ制御部21は、電源ラインLを通ってシステム制御部11から送られたポインタ情報を、パワーライントランシーバI/F23を介して受信する。プローブ制御部21は、遅延データが記憶されているメモリを参照して、ポインタ情報が示す遅延データをメモリから取得する。そして、プローブ制御部21は、その遅延データをデコードし、パワーライントランシーバI/F23を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通して超音波プローブ4に遅延データを送る。超音波プローブ4の送受信制御部41は、電源ラインLを通ってプローブ制御部21から送られた遅延データを、パワーライントランシーバI/F48を介して受信する。そして、送受信制御部41は、遅延データを、送信遅延回路42とサブアレイビームフォーマ47とに設定する。
【0067】
(変形例1)
上述した実施形態に係る超音波診断装置の変形例について説明する。上述した実施形態においては、パワーライントランシーバI/F15、23、48をそれぞれ、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4に1つ設けている。この変形例として、複数のパワーライントランシーバI/Fを、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4にそれぞれ設けても良い。
【0068】
例えば、遅延時間をより細かく制御する場合や、送信信号の波形データを送信タイミングごとに送る場合には、DC電源に重畳させる設定データの量が多くなる。このように設定データに含まれるデータが多くなることで、ブランキング期間中に設定データの送信が間に合わない場合には、複数のパワーライントランシーバI/Fを、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4にそれぞれ設けることで、ブランキング期間中に設定データを送信することが可能となる。例えば複数のパワーライントランシーバI/Fを設けることで、超音波の送信に関する設定データと、超音波の受信に関する設定データとを、別々のDC電源に重畳させて送ることが可能となる。例えば、送信遅延回路42に設定される設定データを送るためのパワーライントランシーバI/Fと、サブアレイビームフォーマ47に設定される設定データを送るためのパワーライントランシーバI/Fとを、それぞれ別々に設けても良い。
【0069】
超音波プローブ4に設置された電子回路を動作させるためには、ロジック用電源、アナログ制御用電源、及び送信用電源などの複数のDC電源が供給されている。例えば、電源ユニット19を、ロジック用電源、アナログ制御用電源、及び送信用電源などを含む複数のDC電源によって構成する。この場合、設定データに含まれるデータの量に応じて、それぞれのDC電源を利用することで、より多くの設定データをDC電源に重畳させて送ることができる。
【0070】
また、図1に示すように、フィルタ16、24、49を、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4にそれぞれ設けても良い。フィルタ16、24、49は、それぞれ電源ラインLに接続されている。フィルタ16、24、49は、DC電源に重畳させられる設定データの転送クロックの周波数帯域に含まれる周波数の成分を除去する。DC電源は、それぞれのフィルタを介して、超音波診断装置本体部1、プローブコネクタ部2、及び超音波プローブ4に供給される。
【0071】
(変形例2)
データの送信は、超音波プローブ4から超音波診断装置本体部1又はプローブコネクタ部2に対して行っても良い。例えば、サーミスタを超音波プローブ4に設けて、超音波プローブ4の表面温度を計測する。サーミスタによって得られた温度データをAD変換して、パラーライントランシーバI/F48を介してDC電源に重畳させて、電源ラインLを通して超音波診断装置本体部1に送信しても良い。この場合、システム制御部11は、電源ラインLを通って超音波プローブ4から送られた温度データを、パワーライントランシーバI/F15を介して受信する。また、超音波プローブ4に供給される電圧を計測して、その電圧値を、パワーライントランシーバI/F48を介してDC電源に重畳させて、電源ラインLを通して超音波診断装置本体部1に送信しても良い。また、超音波プローブ4の動作を検査した場合に、その自己検査結果を示すデータを、電源ラインLを通して超音波診断装置本体部1に送信しても良い。
【0072】
超音波プローブ4がデータの送信系として機能する場合には、システム制御部11は、データの送信又は受信を示すプロトコルに従って、データを送信する系を決定する。例えば、超音波プローブ4がデータの送信系として機能する場合、システム制御部11は、超音波プローブ4に設置されたパワーライントランシーバI/F48がデータ送信系であることを示す情報を超音波プローブ4に送る。超音波プローブ4の送受信制御部41は、データ送信系であることを示す情報を受けると、上述した温度データなどのデータをパワーライントランシーバI/F48を介してDC電源に重畳させ、電源ラインLを通して超音波診断装置本体部1に送信する。超音波診断装置本体部1のシステム制御部11は、電源ラインLを通って送受信制御部41から送られた温度データを、パワーライントランシーバI/F15を介して受信する。
【0073】
なお、設定データを、超音波診断装置本体部1又はプローブコネクタ部2から超音波プローブ4に送る場合には、高速転送のために、超音波診断装置本体部1又はプローブコネクタ部2がデータ送信専用として機能し、超音波プローブ4がデータ受信専用として機能して、バースト転送を実行しても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 超音波診断装置本体部
2 プローブコネクタ部
3 ケーブル
4 超音波プローブ
11 システム制御部
15、23、48 パワーライントランシーバI/F
16、24、49 フィルタ
19 電源ユニット
21 プローブ制御部
41 送受信制御部
42 送信遅延回路(TXBF)
47 サブアレイビームフォーマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波振動子、及び前記複数の超音波振動子に超音波を送受信させる回路部を有する超音波プローブと、
前記超音波プローブによる超音波の送受信を制御して、前記超音波プローブによって受信された受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置本体部と、
前記超音波プローブ及び前記超音波診断装置本体部に接続されて、電源を前記超音波プローブの前記回路部及び前記超音波診断装置本体部に供給する電源線と、
を有する超音波診断装置であって、
前記超音波診断装置本体部は、前記超音波プローブによる超音波の送受信を制御するための設定データを、前記電源線を介して前記超音波プローブに送る第1のデータトランシーバを備え、
前記超音波プローブは、前記電源線を介して前記第1のデータトランシーバから送られた前記設定データを受信する第2のデータトランシーバを備えており、
前記回路部は、前記第2のデータトランシーバによって受信された前記設定データに従って、前記複数の超音波振動子に超音波を送受信させることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記超音波プローブの前記回路部は、
前記複数の超音波振動子から送信される超音波を、前記設定データに従って所望の位置に集束させるための遅延処理を行う送信遅延回路と、
前記遅延処理に従った駆動信号を前記複数の超音波振動子に供給することで、前記複数の超音波振動子から超音波を送信させる送信回路と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記超音波プローブの前記回路部は、
前記複数の超音波振動子から出力された受信信号を増幅する増幅器と、
前記設定データに従って、前記増幅された受信信号に遅延処理を施すサブアレイビームフォーマと、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第1のデータトランシーバは、前記超音波プローブによる超音波の送信を制御するための設定データを送るためのデータトランシーバと、前記超音波プローブによる超音波の受信を制御するための設定データを送るためのデータトランシーバとを有し、
前記第2のデータトランシーバは、前記超音波プローブによる超音波の送信を制御するための設定データを受信するためのデータトランシーバと、前記超音波プローブによる超音波の受信を制御するための設定データを受信するためのデータトランシーバとを有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記超音波診断装置本体部は、前記超音波プローブによる超音波の送信のタイミング及び超音波の受信のタイミングを制御し、前記超音波プローブによる超音波の受信が終わった時点から、次の超音波の送信が開始するまでの間に、前記第1のデータトランシーバに前記設定データを送らせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記超音波プローブ及び前記超音波診断装置本体部において前記電源線に接続されて、前記設定データの転送周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を除去するフィルタを更に有し、
前記フィルタを通過した電源により、前記超音波プローブ及び前記超音波診断装置本体部が動作することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記超音波プローブは、複数の超音波振動子が2次元的に配置されたマトリクスアレイプローブであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記超音波プローブと前記超音波診断装置本体部とを接続するケーブルを更に有し、
前記超音波診断装置本体部は、前記超音波プローブによる超音波の送信のタイミングを制御するための同期信号を、前記ケーブルを介して前記超音波プローブに送り、前記設定データを、前記第1のデータトランシーバによって前記電源線を介して前記超音波プローブに送ることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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