説明

超音波霧化装置

【課題】 超音波振動子が発生した泡で覆われると、空焚きの状態となり、超音波振動子3が破損するという問題がある。
【解決手段】 1は霧化槽、2は霧化する液体、3は超音波振動子で、これらの構成は上記従来例と同じであるので説明は省略するが、本実施例では、超音波振動子3に液体2を霧化するために超音波振動子3に厚み方向の振動を発生する周波数の発振出力を印加する厚み振動発振回路6を接続し、又、超音波振動子3に径方向振動を発生する径方向振動発振回路7を接続し、さらに、これらの厚み振動発振回路6と径方向振動発振回路7とを交互に駆動する切り替え制御部9を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子を径方向に振動して、液体と接触する面に発生する泡を除去するようにした超音波霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図2に示すように、霧化槽1に霧化する液体2を入れ、霧化槽1の底部に弾力性部材4によって装着した超音波振動子3に縦振動発生する周波数を持つ発振回路5を接続して、この発振回路5から発振出力を超音波振動子3に印加すると、この超音波振動子3が縦振動することにより、液体2が霧化して霧化粒子が空中に飛散されるるように構成されている。
【0003】
しかしながら、このよう構成された超音波霧化装置では、超音波振動子3を駆動している時に、超音波振動子3の周囲で泡6が発生し、この泡6が多量に発生すると、超音波振動子3の液体2との接触面3aに付着するため、超音波振動子3で発生する超音波振動効率が悪くなり、最悪の場合は、超音波振動子3の接触面3aを覆うようになると、超音波振動子3が空焚きの状態となり、超音波振動子3が破損するという問題があり、この空焚き状態は超音波振動子3の縦振動では泡5は全く取れないので、超音波霧化装置を停止して、液体2を出し、超音波振動子3の液体2との接触面3aを綿棒等で定期的に除去するようにしている。
【特許文献1】特開2003−214664
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、超音波振動子が発生した泡で覆われると、空焚きの状態となり、超音波振動子3が破損するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、霧化槽は霧化する液体を入れ、超音波振動子は霧化槽の底部に装着され、厚み振動発振回路は超音波振動子に接続されて厚み方向の振動を発生し、径方向振動発振回路は超音波振動子に接続されて径方向の振動を発生し、切り替え制御部は厚み振動発振回路及び径方向振動発振回路とを交互に駆動するように構成され、厚み方向振動発振回路が常時駆動されて液体を霧化し、径方向振動発振回は予め決められた期間毎に駆動され、超音波振動子の液体と接触する面に付着する泡を径方向振動で除去するようにするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の超音波霧化装置では、常時は厚み方向振動発振回路を駆動して液体を霧化し、径方向振動発振回は予め決められた期間毎に駆動され、超音波振動子の液体と接触する面に付着する泡を径方向振動で除去するようにしているので、空焚きを防ぐことができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、径方向振動発振回は予め決められた期間毎に駆動することにより、超音波振動子の液体と接触する面に付着する泡を径方向振動で除去することができた。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の実施例の超音波霧化装置の正面断面図で、1は霧化槽、2は霧化する液体、3は超音波振動子、4は弾力性部材で、これらの構成は上記従来例と同じであるので説明は省略するが、本実施例では、超音波振動子3に液体2を霧化するために超音波振動子3に厚み方向の振動を発生する周波数の発振出力を印加する厚み振動発振回路7を接続し、又、超音波振動子3に径方向振動を発生する径方向振動発振回路8を接続し、さらに、これらの厚み振動発振回路7と径方向振動発振回路8とを交互に駆動する切り替え制御部9を接続する。
【0009】
このように構成した本実施例の超音波霧化装置では、霧化槽1に霧化する液体2を入れ、切り替え制御部9が厚み方向振動回路7に駆動信号を入力して、常時は超音波振動子3に厚み振動発振回路7から厚み方向振動を発生する周波数の発振出力を入力すると、霧化槽1の液体2が霧化され、常時この霧化状態で無化粒子が発生されているが、切り替え制御回路9に予め決められた時間が設定され、この切り替え時間後に切り替え制御回路9から径方向振動発振回路7に駆動信号が入力されると、径方向振動発振回路8が駆動され、径方向振動発振回路9から超音波振動子3に径方向振動が発生するような周波数を持つ発振出力が印加されるので、超音波振動子3に径方向振動が発生し、この径方向振動によって、超音波振動子3の液体2との接触面3aに付着している泡6を揺すって浮遊させるようにする。
【0010】
このように構成した本発明では、超音波振動子3に径方向振動を発生することにより、超音波振動子3の液体2との接触面3aに付着している泡6は径方向振動によって揺すられるので、泡6は超音波振動子3の液体2との接触面3aから浮遊し、確実に泡6を除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
なお、本発明の超音波霧化装置では、径方向発振回路7からの発振出力によって超音波振動子3を径方向に振動して泡をとるようにしたが、超音波振動子を使用して、泡が発生するような他の装置にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例の超音波霧化装置の正面断面図である。
【図2】従来の超音波霧化装置の正面断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 霧化槽
2 液体
3 超音波振動子
4 弾力性部材
7 厚み方向振動発振回路
8 径方向振動発振回路
9 切り替え制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化する液体を入れた霧化槽と、該霧化槽の底部に装着した超音波振動子と、該超音波振動子に接続された厚み方向の振動を発生する厚み振動発振回路及び径方向の振動を発生する径方向振動発振回路と、該厚み振動発振回路及び径方向振動発振回路とを交互に駆動する切り替え制御部とからなり、常時前記厚み方向振動発振回路を駆動して前記液体を霧化し、予め決められた期間毎に前記径方向振動発振回路を駆動して、前記超音波振動子の前記液体と接触する面に付着する泡を径方向振動で除去するようにすることを特徴とする超音波霧化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−126190(P2008−126190A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316688(P2006−316688)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】