説明

足場装置

【課題】 折り畳みを可能にして移送可能にすると共に製品コストの低廉化を可能にする。
【解決手段】 四方に配置される縦支柱1のうちの左右側面を形成する各一対の縦支柱1が上下方向に配置される複数本の横繋ぎ材2で一体的に連結され、この左右側面を形成する縦支柱1が正面を形成する左右の縦支柱1とされながら折り畳み体3で連結され、左右側面における横繋ぎ材2に架け渡される足場板4を有し、各縦支柱の下端部にキャスタ5を有してなり、折り畳み体3が基端を縦支柱1に枢着させる左方体30および右方体31を有し、この左方体30および右方体31の先端部がヒンジ結合部32とされて、この足場装置における左右側面を重ねるようにする折り畳みを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、足場装置に関し、特に、折り畳んでの移動を可能にする足場装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、作業台としての利用に向く足場装置としては、従来から種々の提案があるが、その中で、特許文献1には、折り畳み可能にして移動可能にする足場装置の提案が開示されている。
【0003】
すなわち、この特許文献1に開示の足場装置は、上段の手摺枠部と、中段の足場板支持部と、下段のキャスタ部とを互いに着脱可能に有してなり、特に、中段の足場板支持部が長手方向の中央部にヒンジを設けて平面M字形状に折り畳めるとしている。
【0004】
それゆえ、この足場装置によれば、中段の足場板支持部から上段の手摺枠部を取り外した状態にしてこの足場板支持部を折り畳むことで、いわゆるコンパクト化し得ることになり、このコンパクト化された状態下にキャスタの利用で所望位置への移送が可能になる。
【特許文献1】特公平7‐73829号公報(特許請求の範囲、段落0021、同0022、図1、図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の提案にあっては、折り畳み可能にしてキャスタ利用による移動を可能にする点で、基本的に問題がある訳ではないが、製品の汎用性を期待する上で些か不利があると指摘される可能性がある。
【0006】
すなわち、上記した特許文献1に開示の足場装置にあって、中段の足場板支持部は、長手方向の中央部に設けられたヒンジ部分で平面M字形状に折り畳めるとしているが、このとき、ヒンジは、回動孔に回動自在に取り付けたU字形ピンを固定溝に着脱自在に取り付けてなるとしている。
【0007】
そして、回動孔は、半円形で2段互い違いに組み合わせ形成された板状体に開穿され、この板状体に足場板支持部を形成する折り曲げ横杆が連結されるとしている。
【0008】
その一方で、上記したヒンジにあっては、半円形で2段互い違いに組み合わせ形成された板状体に開穿された回動孔にスプリングや止め部を有する上記のU字形ピンを挿通し、また、板状体には、U字形ピンの言わば先端側を挿通させるための固定溝をも形成することから、このヒンジを部品として看るとき、複雑な構成となり、部品コストの低減化による製品コストの低廉化を期待できなくし、したがって、製品コストの低廉化による汎用性の向上を期待できなくする不具合がある。
【0009】
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、折り畳み可能にして移送可能にするのはもちろんのこと、製品コストの低廉化を可能にし得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる足場装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、この発明による足場装置の構成を、基本的には、平面形状が矩形になる空間を内側に形成するように配置される四本の縦支柱を有すると共に、左側面および右側面をそれぞれ形成する各一対の縦支柱が上下方向に適宜の間隔を有して配置される複数本の横繋ぎ材で一体的に連結され、この左側面および右側面を形成する縦支柱が正面を形成する左右の縦支柱とされながらこの正面に配置される折り畳み体で連結され、この折り畳み体がそれぞれの基端に連設されたパイプ体からなるソケットを縦支柱に介装させる左方体および右方体を有すると共に、この左方体および右方体の先端部がヒンジ結合部とされ、このヒンジ結合部が縦方向に延在される芯体と、この芯体を内側に挿通させるパイプ体からなるソケットとからなり、芯体の上下端部に左方体あるいは右方体のいずれか一方の先端が連結されるのに対して芯体の上下端部の間に配設のソケットに上記の左方体あるいは右方体のいずれか他方の先端が連結されてなり、左側面および右側面における横繋ぎ材に架け渡される足場板を有してなると共に、各縦支柱の下端部にキャスタを有してなるとする。
【発明の効果】
【0011】
それゆえ、この発明による足場装置にあっては、足場板の撤去を要するが、四本の縦支柱を有して矩形の平面形状になる内側空間を有する足場装置が折り畳み体の折り畳みによって左右側面を重ねた状態にコンパクト化されると共に、キャスタを利用しての移送が可能になる。
【0012】
このとき、折り畳み体の折り畳みを可能にするヒンジ結合部が縦方向に延在される芯体と、この芯体を内側に挿通させるパイプ体からなるソケットとからなり、芯体の上下端部に折り畳み体を形成する左方体あるいは右方体のいずれか一方の先端が連結されるのに対して、芯体の上下端部の間に配設のソケットに上記の左方体あるいは右方体のいずれか他方の先端が連結されてなるとするから、部品構成を看るとき、前記した特許文献1に開示のヒンジに比較して、簡単な構成になり、したがって、部品コストの低減化による製品コストの低廉化を期待できることになる。
【0013】
のみならず、前記した特許文献1に開示のヒンジにあっては、足場板支持部を平面M字形状に折り畳むとき、二本の折り曲げ横杆の間にヒンジを形成する板状体が挟み込まれる状態になり、その分、このヒンジ部分に嵩張りが表出されることになるが、この発明のヒンジ結合部では、縦方向に延在される芯体にパイプ体からなるソケットが介装される構造とされるから、このヒンジ結合部に嵩張りが表出されなくなる。
【0014】
その結果、この発明による足場装置にあっては、部品コストの低減化による製品コストの低廉化が可能になり、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による足場装置は、図1、図2および図3に示すように、平面形状が矩形になる空間を内側に形成するように配置される四本の縦支柱1を有する(図2参照)と共に、図3に示す右側面で代表されるように、左側面および右側面をそれぞれ形成する各一対の縦支柱1が上下方向に適宜の間隔を有して配置される複数本の横繋ぎ材2で一体的に連結されてなるとしている。
【0016】
そして、この足場装置にあっては、左側面および右側面を形成する縦支柱1が正面および背面を形成する左右の縦支柱1とされながらこの正面に配置される折り畳み体3で連結されてなるとしている(図1参照)。
【0017】
そしてまた、この足場装置にあっては、左側面および右側面における横繋ぎ材2に架け渡される足場板4を有してなると共に、各縦支柱1の下端部にキャスタ5を有してなるとしている(図1および図3参照)。
【0018】
それゆえ、この足場装置にあっては、使用時の態勢を看ると、正面および左右側面がいわゆる仕切られ、背面が開放された言わば蓋のない函状の平面形状を呈することになり、足場板4上の作業者は、開放されている背面を介して、たとえば、建築物の壁面などに対する諸作業を実践し得ることになる。
【0019】
そして、この足場装置にあっては、不使用時の移動の際などには、足場板4の撤去を要するが、図4に示すように、折り畳み体3の折り畳み動作で平面W字状にするようにして左右側面を重ねることで、折り畳みが可能になり、すなわち、いわゆるコンパクト化が可能になり、このコンパクト化された状態での移送を可能にすると共に、このコンパクト化された状態下でのキャスタ6を利用する移動を可能にすることになる。
【0020】
以上のような前提の下に、まず、縦支柱1は、原則として、いわゆる単管からなるのを基本とし、後述する折り畳み体3や手摺体6の連結や、さらには、アウトリガ構成体7の連設を可能にし得るとしている。
【0021】
つぎに、一対の縦支柱1と横繋ぎ材2とで形成される、左右側面、すなわち、言うなれば、側面の構成についてであるが、図示するところでは、横繋ぎ材2が上下方向に配置される複数本とされて、いわゆる梯子状に形成されてなるとしている(図3参照)。
【0022】
このように、横繋ぎ材2が複数本とされて左右側面が梯子状に形成されることで、左右側面におけるいわゆる機械的強度を保障し得ることになると共に、後述する足場板4の架設位置を、すなわち、架設高さを自由に選択できて、この足場装置の利用場面を多くすることになる。
【0023】
折り畳み体3は、図示するところでは、図1に示すように、いわゆるパイプ構造に形成された一方とされる左方体30および他方とされる右方体31を有してなるとし、図5にも示すように、この左方体30および右方体31におけるそれぞれの基端に連設されたパイプ体からなるソケット30a,30bおよび31a,31bを縦支柱1に介装させる、すなわち、枢着させるとしている。
【0024】
そして、この折り畳み体3にあって、左方体30および右方体31におけるそれぞれの先端部がヒンジ結合部32とされるとしており、このヒンジ結合部32は、図示するところでは、図1および図5に示すように、縦方向に延在される芯体32aと、この芯体32aを内側に挿通させるパイプ体からなるソケット32bとを有してなるとしている。
【0025】
このとき、ソケット32bは、図示するところでは、上記したソケット30a,30bおよび31a,31bに比較して、長尺に形成されてなるとしているが、これに代えて、図示しないが、ほぼ同じ長さに形成される二本とされるとしても良いことはもちろんである。
【0026】
ただ、図示するように、芯体32aに介装されるソケット32bが芯体32aと同様にいわゆる一本とされる場合には、左方体30の先端および他方体31の先端におけるいわゆる一体性をそれぞれ保障する上で有利となる。
【0027】
そしてまた、この折り畳み体3にあって、一方とされる左方体30の先端が上記のヒンジ結合部32を形成する芯体32aの上下端部に連結され、他方とされる右方体31の先端が上記のヒンジ結合部32を形成するソケット32cに連結されるとしている。
【0028】
このとき、上記したソケット30a,31aは、すなわち、一方とされる左方体30の上方側の基端に連設のソケット30aおよび他方とされる右方体31の上方側の基端に連設のソケット31aは、それぞれの縦支柱1に対していわゆる同じ高さ位置で連結されてなる、すなわち、枢着されてなるとしている。
【0029】
それに対して、一方とされる左方体30の上方側の先端が芯体32aにおける上側に連結される位置は、上記のソケット30a,31aの配設位置と同じとされるが、他方とされる右方体31における先端のソケット32bに対する連結位置は、上記の芯体32aにおける上側位置より下方、すなわち、ソケット30a,31aの配設位置より下方とされている。
【0030】
そして、一方とされる左方体30の下方側の基端に連設のソケット30bおよび他方とされる右方体31の下方側の基端に連設のソケット31bは、それぞれの縦支柱1に対していわゆる同じ高さ位置で枢着されてなるとしているが、一方とされる左方体30の下方側の先端が連結される芯体32aにおける下側位置は、上記のソケット30b,31bの配設位置より上方とされ、他方とされる右方体31における先端のソケット32bに対する連結位置は、それよりもさらに上方とされるとしている。
【0031】
それゆえ、上記したこの発明における折り畳み体3にあっては、これを折り畳むとき、すなわち、前記した図4に示すように、ヒンジ結合部32を言わば中心にして左方体30と右方体31とを重ねるようにするとき、前記した特許文献1に開示の提案に比較して、左方体30および右方体31がヒンジ結合部32を挟み込むような態勢にならず、したがって、いたずらな嵩張りを発現させないことが可能になる。
【0032】
のみならず、この発明による折り畳み体3にあっては、ヒンジ結合部32が縦方向に延在される芯体32aと、この芯体32aを内側に挿通させるパイプ体からなるソケット32bとからなり、芯体32aの上下端部に折り畳み体3を形成する左方体30の先端が連結されるのに対して、この上下端部の間にあるソケット32bに右方体31の先端が連結されてなるとするから、構成を看るとき、前記した特許文献1に開示のヒンジに比較して、簡単な構成になり、したがって、部品コストの低減化による製品コストの低廉化を期待できることになる。
【0033】
つぎに、この発明の足場装置にあっては、足場板4が架設される、しかも、着脱可能に架設されるとしているが、これは、この足場装置が足場としてはもちろんのこと、作業台としても利用されることを鑑みた当然の結果である。
【0034】
すなわち、凡そこの種の足場装置が足場板4を有するのは言わば当然であって、そのとき、あらかじめ設定された一箇所のみ、すなわち、たとえば、特許文献1に開示されているように、足場板が縦支柱1の上端位置となる一定の高さ位置にのみ架設されるとすると、その足場装置の利用範囲を狭めることになる。
【0035】
それに対して、この発明では、足場板4は、左側面および右側面における横繋ぎ材2に架け渡されるとしているから、また、この横繋ぎ材2は、前述したように、左側面および右側面において上下方向に適宜の間隔を有する複数本配置とされているから、言わば同じレベルにある横繋ぎ材2間に足場板4を架設することが可能になり、その結果、この足場装置の利用範囲を広くすることになる。
【0036】
ところで、この発明の足場装置にあっては、足場板4が左右側面を形成する横繋ぎ材2に対して着脱可能に連結されるとしており、また、着脱可能に連結するについては、基本的には自由な構成が選択されて良いとしている。
【0037】
そして、この発明にあって、足場板4を横繋ぎ材2の上に載置するとき、すなわち、架けるときには、足場板4の端部に形成の凹部4a(図6および図7参照)に横繋ぎ材2が嵌装されるようになり、足場板4の軸線方向への移動が阻止されるとしている。
【0038】
それゆえ、横繋ぎ材2の上に載置された足場板4にあっては、これが跳ね上がる、すなわち、横繋ぎ材2から浮き上がることを阻止するいわゆるストッパ機構を有すれば良く、その構成については自由に選択できるとしている。
【0039】
そして、ストッパ機構としては、たとえば、図6に示すところでは、コイルバネ41の附勢力で前進状態に維持されて足場板4の底面との間に横繋ぎ材2を鋏み込むスライドピン42を有してなるとし、また、図7に示すところでは、足場板の内側側面に連結されたホルダ43に保持されたスライドプレート44が前進状態に維持されるとき、横繋ぎ材2を足場板4との間に挟み込むとしている。
【0040】
さらに、この発明の足場装置にあっては、左右側面および正面を形成する各縦支柱1の下端部にキャスタ5を有してなるとしており、前記したように、このキャスタ5を利用しての不使用時の移送を可能にするとしている。
【0041】
ところで、この発明の足場装置にあって、キャスタ5を有することについてだが、要は、この足場装置の不使用時における移送を可能にするものであれば足り、したがって、この観点からすれば、キャスタ5を縦支柱1の下端に着脱可能に有するとしても良いことはもちろんである。
【0042】
また、キャスタ5を縦支柱1の下端に着脱可能ではなく言わば固定的に設けるとしても、たとえば、図示しないが、跳ね上げ式に形成されていて、この足場装置を所定位置に定着させるときには、キャスタ5を跳ね上げて関与させないようにする構成としても良い。
【0043】
一方、この発明の足場装置にあっては、上記したところ以外に、縦支柱1が手摺体6の連結やアウトリガ構成体7の連設を可能にするとしているのは、前述した通りであるが、以下には、この手摺体6およびアウトリガ構成体7について少し説明する。
【0044】
まず、手摺体6は、図示するところにあって、正面および背面を形成するそれぞれの左右となる縦支柱1の上端部に架け渡されるようにそれぞれ着脱可能に連結されるととしている。
【0045】
そして、この手摺体6は、図8に示すように、左右のいずれか一方の端部に、すなわち、図8に示すところでは、右方の端部に基端部を枢着させながら先端部を水平方向に旋回可能にして、図示しないが、対向する手摺体6への連結を可能にする横向きU字状に形成された埒体61を有してなると共に、この埒体61が図8(A)中に曲線矢印で示すように折り畳まれるとき、同じく図8(B)に示すように手摺体6の平面内に収装されるとしている。
【0046】
ちなみに、この埒体61は、手摺としても機能するのはもちろんであるが、作業者の足場板4上からの墜落を阻止するための柵としても機能するから、また、手摺体6が正面側および背面側に設けられることで、また、この手摺体6に対向手摺体6における埒体61が連結されることで、いわゆる囲まれた安全な作業空間を形成することになる。
【0047】
以上からすれば、この手摺体6における埒体61は、上記した横向きU字状に形成されることに変えて、図示しないが、ほぼ矩形の正面形状を呈するループ状に形成されてなるとしても良く、この場合には、埒体61における自己支持性を向上させることが可能になる。
【0048】
つぎに、アウトリガ構成体7は、図1、図2および図3に示すように、左右側面を形成する各一対の縦支柱1の下端部に固定的に設けられるとするもので、この足場装置における設置時の、すなわち、使用時の安定性を保障するために設けられるとしている。
【0049】
そのため、このアウトリガ構成体7にあっては、図示するところでは、上記一対となる各縦支柱1の下端部に一体的に連結されながら、図3に示すように、図中で左側となる正面側および図中で右側となる背面側に延びて下端部にキャスタ5を保持する拡幅脚71と、この拡幅脚71に保持されるアウトリガ72とを有してなるとしている。
【0050】
そして、キャスタ5自体については、前記したところと同様に形成されていて、すなわち、不使用時の足場装置の移送を可能にするように形成されてなるとしており、拡幅脚71は、縦支柱1の下端部に固定的に連設されてなるとし、左右側面の下端におけるいわゆる接地幅を大きくして、この左右側面の自立性を向上させるとしている。
【0051】
一方、アウトリガ72は、図9(B)に示すように、正面形状をほぼL字状にするように形成されていて、上記の拡幅脚71にブラケット73を介して回動可能に保持されるとし、このとき、ブラケット73に介装される部位には図9(C)に示すように凹部72aを有し、この凹部72aにブラケット73に螺装された蝶ボルト73aの先端が導入されて固定されるとき、このアウトリガ72のいわゆる固定が実現されるとしている。
【0052】
そして、このアウトリガ72にあっては、蝶ボルト73aが弛められて上記の凹部72aから抜き出されるようになるとき、ブラケット73に保持された状態のまま水平方向に回動可能とされることになり、たとえば、図4中に矢印で示すように、左右側面に沿うようにするいわゆる折り畳みが可能とされることになる。
【0053】
それゆえ 以上のように形成されたこの発明の足場装置にあっては、その使用時には、作業者が足場板4上に立ち入って、諸作業を実践し得るとことになり、このとき、縦支柱1の上端部に手摺体6が連設されることで作業者の安全が積極的に保障され、縦支柱1の下端部にアウトリガ構成体7が連設されることで所定位置に設置されたこの足場装置の安定性が積極的に保障されることになる。
【0054】
そして、この足場装置にあっては、折り畳み体3を有していて、この折畳み体3を折り畳むことによって足場装置のコンパクト化が可能になるとしているが、その一方で、使用時に折り畳み体3が不用意に折り畳まれることがないようにするために、また、足場板4上に立ち入る作業者の安全を保障する上で、たとえば、図10および図11に示すように、背面を形成する左右の縦支柱1がこの配面に着脱可能に配置されるブレース14で連結されてなるとしている。
【0055】
ちなみに、このブレース14については、この足場装置にあって、横繋ぎ材2に足場板4を架設するとする場合には、この足場装置が折り畳まれることを危惧しなくて済むことになるので、このブレース14の配置が省略されるとしても良いことはもちろんである。
【0056】
そしてまた、この発明の足場装置にあっては、不使用時の移動の際などには、足場板4を撤去した後に、折り畳み体3の折り畳みでいわゆるコンパクト化した状態でのキャスタ5利用による移動が可能とされることになる。
【0057】
ちなみに、この発明の足場装置にあっては、この足場装置が設置されているいわゆる床面の状況やこの足場装置が設置されている空間の状況などによっては、この足場装置を折り畳むことなく、すなわち、足場板4を撤去しないいわゆる組みあがった状態のまま、キャスタ5を利用して移動させるとしても良いことはもちろんである。
【0058】
ところで、この発明の足場装置にあっては、上記した形態に実施される一方で、図10および図11に示す形態にも実施できるので、以下には、これについて説明する。
【0059】
すなわち、図10および図11に示す実施形態では、図12に示す延長枠8を利用するとするもので、この延長枠8は、前記した縦支柱1の上端部に下端部が分離可能に連結されて、図12(A)に示すように、平面形状が矩形になる空間を内側に形成する四本の縦材11を有してなる。
【0060】
そして、この縦材11は、基本的には、前記した縦支柱1と同様に構成されてなるとするもので、それゆえ、この延長枠8にあっては、図12(C)に示すように、前記した横繋ぎ材2と同様に構成された横繋ぎ材12を有し、また、図12(B)に示すように、前記した折り畳み体3と同様に構成された折り畳み体13を有してなるとしている。
【0061】
すなわち、この延長枠8にあっては、左側面および右側面をそれぞれ形成する各一対の縦材11が上下方向に適宜の間隔を有して配置される複数本の横繋ぎ材12で一体的に連結され、この左側面および右側面を形成する縦材11が正面を形成する左右の縦材11とされながらこの正面に配置される折り畳み体13で連結され、要する場合には、背面を形成する左右の縦材11がブレース14(図10および図11参照)で連結されてなるとしている。
【0062】
そして、折り畳み体13は、いわゆるパイプ構造に形成された一方とされる左方体130および他方とされる右方体131を有してなるとし、この左方体130および右方体131は、それぞれの基端に連設されたパイプ体からなるソケット130a,130bおよび131a,131bを縦材11に介装させる、すなわち、基端が縦材11に枢着されるとしている。
【0063】
そしてまた、この折り畳み体13にあっては、左方体130および右方体131の先端部がヒンジ結合部132とされ、このヒンジ結合部132が縦方向に延在される芯体132aと、この芯体132aを内側に挿通させるパイプ体からなるソケット132bとからなり、芯体132aの上下端部に左方体あるいは右方体のいずれか一方の先端が連結されるのに対して芯体132aの上下端部の間に配設のソケットに上記の左方体あるいは右方体のいずれか他方の先端が連結されてなり、左側面および右側面における横繋ぎ材への足場板の架け渡しを許容するとしている。
【0064】
それゆえ、この延長枠8にあって、折り畳み体13は、前記した折り畳み体3と同様の作用効果を呈しながら折り畳まれることになる。
【0065】
すなわち、折り畳み体13は、前記した図4に示すところと同様に、ヒンジ結合部132を中心にして左方体130と右方体131とを重ねるように折り畳むとき、左方体130および右方体131がヒンジ結合部132を挟み込むような態勢にならず、したがって、いたずらな嵩張りを発現させないことが可能になる。
【0066】
そして、この折り畳み体13にあっても、ヒンジ結合部132が縦方向に延在される芯体132aと、この芯体132aを内側に挿通させるパイプ体からなるソケット132bとからなり、芯体132aの上下端部に折り畳み体3を形成する左方体130の先端が連結されるのに対して、この上下端部の間にあるソケット132bに右方体131の先端が連結されてなるとするから、前記した折り畳み体3と同様に、部品構成を看るとき、簡単な部品構成になり、したがって、部品コストの低減化による製品コストの低廉化を期待できることになる。
【0067】
そしてまた、この調整枠8にあっても、図10に示すように、横繋ぎ材12を利用しての足場板4の架設が可能になり、また、正面および背面において左右で一対となる縦材11の上端部への手摺体6の連結が可能とされることになる。
【0068】
つぎに、この発明による足場装置がいわゆる左右側で段差のある傾斜地や階段に設置される場合には、図13および図14に示すように、高さ調整枠9が利用されるとしている。
【0069】
すなわち、この高さ調整枠9は、左右側面のいずれか一方を形成する、すなわち、図示するところでは、右側面を形成する左右で一対となる縦支柱1の下端部にそれぞれの上端部が連結されて縦支柱1の下方に延在されるパイプ体91を有しており、図15に示すように、このパイプ体91が上下方向に複数本となる横繋ぎ材92で一体的に連結されてなるとしている。
【0070】
そして、この高さ調整枠9は、パイプ体91の下端側に補助パイプ93の上端側を出没可能に挿通してなるとし、この補助パイプ93の出没位置の選択で下端位置のいわゆる調整を可能にするとしている。
【0071】
なお、この高さ調整枠9にあって、補助パイプ93は、縦方向に適宜の間隔で開穿された複数の横孔93a(図15(A)参照)を有してなり、図示しないが、パイプ91を挿通するピンが選択された横孔93aを挿通することで、パイプ91に対する出没位置が決まるとしている。
【0072】
それゆえ、この高さ調整枠9にあっては、いわゆる左右における高さの差を補正するように、パイプ91から補助パイプ93を引き出すようにすれば良いが、より適正な補正を実現するには、補助パイプ93の下端と、たとえば、地表面との間に補正板を介在させるようにするのが好ましいであろう。
【0073】
一方、この高さ調整枠9は、図15(A)および図15(D)に示すように、パイプ体91の上端部に掛け止め具94を有するとしており、この掛け止め具94は、縦支柱1の外周に連結される横繋ぎ材92の両端部2aの上からの導入を許容する溝94aを有するとしている。
【0074】
また、この高さ調整枠9にあっては、図15(C)に示すように、パイプ体91に連設されたホルダ95を有してなり、このホルダ95が縦支柱1を抱き込むようになるとしている。
【0075】
それゆえ、この高さ調整枠9にあっては、上記の掛け止め具94で縦支柱1を吊り下げる状態になり、この状態下に、上記のホルダ95で縦支柱1に対してパイプ体91が位置ずれすることを阻止するとしている。
【0076】
そして、この高さ調整枠9にあっては、図16に示す連結具たる止め具96を有してなるとしており、この止め具96は、縦支柱1とパイプt来91を同時に抱き込むフックピン96aと、このフックピン96aに介装されてフックピン96aとの間で縦支柱1およびパイプ91を挟むブラケット96bとを有してなり、このブラケット96bがフックピン96aに螺装される蝶ナット96cの捩じ込みで、縦支柱1およびパイプ91を一体状態に保持するとしている。
【0077】
図17は、この発明による足場装置の一利用例を示すもので、この利用例の場合には、足場板4が比較すれば下方側となる横繋ぎ材2に架設されるとするから、手摺体6(図1および図3参照)を撤去した状態で利用されるとしている。
【0078】
尤も、この利用例にあっても、縦支柱1は、下端部にキャスタ5を有するとしているので、作業を中断する作業者は、足場板4上から降りて、この足場装置を所定位置に移動させ、そこで再度足場板4上に立ち入って作業を続行することが可能になる。
【0079】
図18は、この発明による足場装置の他の利用例を示すもので、この利用例の場合には、ブリッジ10を併用するとしており、このブリッジ10を二基の足場装置に掛渡すようにするとき、広範囲にわたるいわゆる足場を確保することが可能になり、一基の足場装置を使いまわしする、すなわち、移動させる場合に比較して、足場装置の設置作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明による足場装置を示す正面図である。
【図2】図1の状態から手摺体を撤去した状態の足場装置を示す平面図である。
【図3】図1の足場装置を示す右側面図である。
【図4】図2の状態から足場板を撤去して折り畳んだ状態の足場装置を示す平面図である。
【図5】折り畳み体を部分的に示す正面図である。
【図6】図2中のA−A線位置で見る足場板におけるストッパ機構を示す部分縦断面図である。
【図7】足場板におけるストッパ機構を図6と同様に示す図である。
【図8】手摺体を示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図である。
【図9】アウトリガ構成体におけるアウトリガを示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図、(C)は、(B)中のB−B線位置でのみ示す断面図である。
【図10】延長枠を併用した足場装置を図1と同様に示す図である。
【図11】図10の足場装置の右側面を図3と同様に示す図である。
【図12】延長枠を示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図、(C)は、右側面図である。
【図13】調整枠を併用した足場装置を図1と同様に示す図である。
【図14】図13の足場装置の右側面を図3と同様に示す図である。
【図15】(A)は、延長枠の正面図、(B)は、延長枠の右側面図、(C)は、延長枠を縦支柱に抱かせた状態を示すか部分拡大横断面図、(D)は、延長枠の上端部が縦支柱に掛け止めされた状態を示す拡大部分正面図である。
【図16】延長枠を縦支柱に連結させる止め具を示し、(A)は、平面図、(B)は、側面図である。
【図17】手摺体を外した足場装置の利用例を示し、(A)は、平面図、(B)は、正面図、(C)は、右側面図である。
【図18】ブリッジを併用した足場装置の利用例を示し、(A)は、側面図、(B)は、正面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 縦支柱
2,12 横繋ぎ材
3,13 折り畳み体
4 足場板
4a 凹部
5 キャスタ
6 手摺体
7 アウトリガ構成体
8 延長枠
9 高さ調整枠
11 縦材
14 ブレース
30,130 左方体
30a,30b,31a,31b,32b,130a,130b,131a,131b,132b ソケット
31,131 右方体
32,132 ヒンジ結合部
32a,132a 芯体
42 ストッパ機構を構成するスライドピン
44 ストッパ機構を構成するスライドプレート
61 埒体
71 拡幅脚
72 アウトリガ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が矩形になる空間を内側に形成するように配置される四本の縦支柱を有すると共に、左側面および右側面をそれぞれ形成する各一対の縦支柱が上下方向に適宜の間隔を有して配置される複数本の横繋ぎ材で一体的に連結され、この左側面および右側面を形成する縦支柱が正面を形成する左右の縦支柱とされながらこの正面に配置される折り畳み体で連結され、この折り畳み体がそれぞれの基端に連設されたパイプ体からなるソケットを縦支柱に介装させる左方体および右方体を有すると共に、この左方体および右方体の先端部がヒンジ結合部とされ、このヒンジ結合部が縦方向に延在される芯体と、この芯体を内側に挿通させるパイプ体からなるソケットとからなり、芯体の上下端部に左方体あるいは右方体のいずれか一方の先端が連結されるのに対して芯体の上下端部の間に配設のソケットに上記の左方体あるいは右方体のいずれか他方の先端が連結されてなり、左側面および右側面における横繋ぎ材に架け渡される足場板を有してなると共に、各縦支柱の下端部にキャスタを有してなることを特徴とする足場装置。
【請求項2】
縦支柱の上端部に下端部が分離可能に連結されて平面形状が矩形になる空間を内側に形成する四本の縦材を有すると共に、左側面および右側面をそれぞれ形成する各一対の縦材が上下方向に適宜の間隔を有して配置される複数本の横繋ぎ材で一体的に連結され、この左側面および右側面を形成する縦材が正面を形成する左右の縦材とされながらこの正面に配置される折り畳み体で連結され、この折り畳み体がそれぞれの基端に連設されたパイプ体からなるソケットを縦材に介装させる左方体および右方体を有すると共に、この左方体および右方体の先端部がヒンジ結合部とされ、このヒンジ結合部が縦方向に延在される芯体と、この芯体を内側に挿通させるパイプ体からなるソケットとからなり、芯体の上下端部に左方体あるいは右方体のいずれか一方の先端が連結されるのに対して芯体の上下端部の間に配設のソケットに上記の左方体あるいは右方体のいずれか他方の先端が連結されてなり、左側面および右側面における横繋ぎ材への足場板の架け渡しを許容する延長枠を有してなる請求項1に記載の足場装置。
【請求項3】
背面を形成する左右の縦支柱および縦材がこの背面に配置されるブレースで連結されてなる請求項1または請求項2に記載の足場装置。
【請求項4】
正面および背面を形成するそれぞれの左右となる縦支柱の上端部に、あるいは、正面および背面を形成するそれぞれの左右となる縦材の上端部に架け渡されるようにそれぞれの手摺体が着脱可能に連結されると共に、各手摺体が左右のいずれか一方の端部に基端部を枢着させながら先端部を水平方向に旋回可能にして対向する手摺体への連結を可能にする横向きU字状あるいはループ状に形成された埒体を有してなると共に、この埒体が折り畳み時に手摺体の平面内に収装されてなる請求項1、請求項2または請求項3に記載の足場装置。
【請求項5】
横繋ぎ材に架け渡される足場板が下底面に形成の凹部に横繋ぎ材を嵌入させて足場板の長さ方向への位置ずれを阻止されると共に、下底面に配設のストッパ機構によって横繋ぎ材から離座する浮き上がりを阻止されてなる請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の足場装置。
【請求項6】
左側面および右側面を形成する各一対の縦支柱の下端部にアウトリガ構成体を有し、このアウトリガ構成体が上記一対となる各縦支柱の下端部に一体的に連結されながら正面側および背面側に延びて下端部にキャスタを保持する拡幅脚と、この拡幅脚にブラケットを介して回動可能に保持されながらブラケットに螺装された蝶ボルトの先端の凹部への導入で回動が阻止されるアウトリガを有してなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の足場装置。
【請求項7】
左側面あるいは右側面を形成する一対となる縦支柱の下端部に上端部が連結されると共に下端部が上記一対となる縦支柱の下端部の下方に延在されながら伸縮可能とされる高さ調整枠を有してなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の足場装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−267050(P2008−267050A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113699(P2007−113699)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(592097808)
【Fターム(参考)】