説明

足温浴器付き足殺菌装置

【課題】 水を使用しない足温浴器を得ると同時に、安全で取り扱いの簡単な足殺菌装置と足マッサージ装置を得る。
【解決手段】 本体1内に両足を載せるためのベースプレート2を設け、このベースプレート2上部に足先から甲の部分を覆うカバー9を設け、ベースプレート2下部には空気室4を設け、ベースプレート2の一部または全面に紫外線照射口3を設け、空気室4内には紫外線照射口3を通して足に紫外線を照射できるように紫外線ランプ5を設け、さらに、本体1内に足全体に遠赤外線が照射できるように遠赤外線ヒータ6と、足に送風するための送風器8を設ける。
また、左右それぞれの足が挿入されたことを検知する足センサ7を設け、左足と右足の間を仕切板12によって左右に仕切り、片足ごとに対応する紫外線ランプ5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用の足温浴器付き足殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の足殺菌装置として、特許文献1に示す紫外線治療器がある。このものは、足を入れるアッパーケースを両足をそろえて載せるスリッパの形状とし、各爪先部と両足の中央に紫外線ランプを配置して患部に紫外線を照射し、さらにファンにより発生させた風を各紫外線照射口より噴出して患部を乾燥させる作用を与えるものであり、足は両足と各片側の足だけでも使用できるように、各足が挿入されたか確認できるようにセンサを設けているものである。
【0003】
また、特許文献2に示すように、患部を浸漬するための治療薬の水溶液を透明容器に入れ、この容器の下部に紫外線ランプと赤外線ランプをそれぞれ配設し、赤外線により液温と足の皮膚表面温度を上昇させ、薬品による殺菌効果を高め、紫外線により、直接皮膚表面患部を照射して殺菌を促進するものがある。
【0004】
また、特許文献3に示すように、断熱容器の上面に足部出入り口を設け、内部底部に赤外線ヒータを配置し、同ヒータ上部に足載具を配置し、内部の温度を70℃前後に設定することで、足部への空気及び赤外線による加温治療を実施するものがある。
【0005】
さらに、特許文献4に示すように、水を貯め足を入れる浴槽と、水を貯水する複数のタンクと、水を循環させるポンプと、水の入ったタンクを切り替える弁を持ち、各タンク内の水の温度を制御して温水と冷水を作り、浴槽内に温水を入れて足を温め、次に温水を抜いてから冷水を入れて足を冷やす動作を繰り返すことで、足の血行を良くするようにしたものもある。
【0006】
【特許文献1】実登第3090273号公報
【0007】
【特許文献2】実開昭57−70335号公報
【特許文献3】実開昭63−85256号公報
【特許文献4】特開2002−191520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1に示す紫外線治療器は、紫外線が周囲へ漏れないように、アッパーケースの上に載せた両足の爪先から甲の部分を覆えるようにカバーが取り付けられ、両足中央に設置されている紫外線ランプは上部には紫外線が出ないで足の裏に照射する構造になっている。しかし、構造的に足を覆っていないために、紫外線の漏れを完全に遮断する構造になっていない。そのため、使用者が立った状態や椅子に座った状態では問題が無いが、しゃがんで使用したり他の人が覗き見たりした場合、紫外線が眼に入る可能性があり、紫外線防御用のメガネなどの併用が必要になる。
【0009】
また、特許文献2も同様に紫外線の周囲へ及ぼす問題がある。そして治療薬の水溶液と、紫外線ランプと赤外線ランプを併用して治療することは、大変大きな効果を期待できるものであるが、治療薬である水溶液の維持管理の煩わしさがあり、使用後の機器の手入れも大変である。
【0010】
また、特許文献3は赤外線ヒータのみの使用であるため、紫外線ランプの持つ強い殺菌効果を期待できない。
【0011】
さらに、特許文献4は足を暖めたり冷やしたり、その繰り返しを冷水と温水を使用するため、水の運搬や使用後の水の排水、そして使用後の機器の手入れなど煩わしさがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決する為になされたもので、請求項1では、本体内に両足を載せるためのベースプレートを設け、このベースプレート上部に足先から甲の部分を覆うカバーを設け、ベースプレート下部には密閉された空気室を設け、ベースプレートの一部または全面に紫外線照射口を設け、空気室内には紫外線照射口を通して足に紫外線を照射できるように紫外線ランプを設け、さらに、本体内に足全体に遠赤外線が照射できるように遠赤外線ヒータと、足に送風するための送風器を具備したものである。
【0013】
また、請求項2では、遠赤外線ヒータで足を温め、その後、遠赤外線ヒータへの通電を停止し、次に送風器で温めた足を冷却するサイクルを繰り返すことで、熱ショックマッサージを足に与えるようにしたものである。
【0014】
さらに、請求項3では、左右それぞれの足が挿入されたことを検知する足センサを設け、左足と右足の間を仕切板によって左右に仕切り、片足ごとに対応する紫外線ランプを設けたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によれば、水を使用しない足温浴器のため、水を浴槽に入れたり、使用後に水を排水する必要がないので取り扱いが大変楽である。
【0016】
また、遠赤外線ヒータの遠赤外線の働きにより足の皮膚を通して人体が加温され、血液の流れにより全身に熱が伝えられて血行が良くなり、疲労回復と健康維持に役立つ働きができる。
【0017】
また、足殺菌装置として紫外線ランプから照射される紫外線の働きにより足の皮膚に付着している種々の雑菌などが殺菌され、清潔な足を保つことがでる。
【0018】
また、送風器の働きにより足の蒸れを解消し、上記殺菌する働きを高める効果も期待でき、遠赤外線ヒータの働きで湿度の高いときや、足蒸れのひどい時でも、足患部の乾燥を促進することが出来る。
【0019】
さらに、足を入れる本体から紫外線が漏れないので保護用のメガネの必要もなく取り扱いが楽で安心である。
【0020】
また、請求項2によれば、前記と同様に水を使用しないで足に温度差を与えることができるので取り扱いが大変楽である。
【0021】
さらに、請求項3によれば、両足はもちろんのこと各片足でも使用でき、入れた足側の紫外線ランプだけを点灯させるので、足を入れていない方から紫外線が外部に漏れることが無いので安全を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施例を、図1から図2に従って説明する。
【0023】
図において1は本体、2は足を載せるためのベースプレートで、本体1内に設けられている。4はベースプレート2を支持する空気室で、ベースプレート2の外側下部と本体1の底面との間の空間部に設けられている。3はメッシュ構造の紫外線照射口で、ベースプレート2の両足の載せる部分の一部または全部に空気室4と開口するように設けられている。
【0024】
5は紫外線ランプであり、紫外線照射口3の下側の空気室4側に設けてある。この紫外線ランプ5は、石英管の高電圧放電管を採用し、左右足先近辺と踵部分に各一個ないし複数個、左右独立して点灯できるように設けてあり、ベースプレート2の紫外線照射口3を通して左右足裏全面に紫外線が照射出来るようになっている。但し、実施例では紫外線ランプに石英管を使用しているが紫外線LEDを使用することも可能である。
【0025】
6は遠赤外線ヒータで、面ヒータを採用し、紫外線ランプ5と同様に足の裏面全体と、さらに直接足の甲全体に照射できるように後述するカバー9の下面側と本体1の底面上の二ヶ所に設置してある。尚この遠赤外線ヒータ6は面ヒータだけでなく管ヒータなどを採用してもよく、また、構造的には左右独立でも一体でもどちらでもよい。
【0026】
8は送風器で、前記空気室4内に設けてあり、その入口は本体1の外部に開口し、出口は空気室4内に開口している。そしてこの送風器8からの空気は、ベースプレート2の紫外線照射口3から出て足に当り、足の蒸れなどを解消する働きや温めた足を冷却する働きをする。足蒸れを解消するためには、遠赤外線ヒータ6で温めながら送風することで、その効果を高めることができるが、その速攻性をさらに早めるためには、ヒータの温度が速く温まるニクロム線ヒータ等を送風器8の出口に設置して、送風器8からの送風を温風にすることも可能である。
【0027】
7は足センサで、ベースプレート2の右足部と左足部の裏になる位置に2ヶ所設置してある。この足センサ7は、通常のON/OFFスイッチで、足が足センサ7に載ったときONもしくはOFFして足の有り無しを判断したり、または、光センサなど足がセンサの上に載ることで光が遮られたりすることで、足がベースプレート2に載っているか、載っていないかを判断できるようになっている。そして、足がベースプレート2に載っていないと判断した時は、足の載っていない方の紫外線ランプ5を点灯させないようにするものである。
【0028】
9はカバーで、本体1の上面に設けられ、本体1内に足を入れた後、足を覆い被せるように出来ている。そして、その下面側には前述したように足の甲部分に遠赤外線を照射するための遠赤外線ヒータ6が設置してある。10は足カバーで、スポンジや発泡ウレタンなど軟らかいもので形成されており、カバー9と本体1の足首に当る部分に設置して、足首の太さの大小で足首と本体1もしくはカバー9との間に隙間を作らないように工夫されている。また、このカバー9には、その開閉状態を検出するためのセンサ(図示せず)を設け、カバー9が開いているときは安全上紫外線ランプ5が点灯しない構造として、さらに、使用者にカバー9が開いている事を報知する手段、例えば音や表示などで知らせることも大切である。
【0029】
11はサーミスタで、遠赤外線ヒータ6の表面温度を一定に保つためにその近傍に設置している。ただし、遠赤外線ヒータ6に足が直接当ると火傷などの危険があるので、足が遠赤外線ヒータ6に触れないようにガード(図示せず)を設置するなどの配慮は必要である。
【0030】
12は仕切板で、左右両足の間に設置して、右足と左足とを完全に仕切っている。そのため、片足だけで使用している時でも、使用側の紫外線ランプ5が点灯している状態で、入れていない足側から紫外線ランプ5の紫外線が外部に漏れないようになっている。また、実施例では、両足を入れられる部屋を作り、後から仕切板12を設置して左右片足用に分けているが、独立した片足用の部屋を作り2個並べて両足用としても良い。
【0031】
13は制御回路で、足センサ7やサーミスタ11からの信号や動作時間の管理を行い、紫外線ランプ5や遠赤外線ヒータ6の通電や送風器8の動作を制御するためのものである。
【0032】
上記構成の本発明の足温浴器付き足殺菌装置を使用して足の水虫の治療をする場合について説明する。
【0033】
片足を治療する場合は、足カバー10を開けて本体1内の左右どちらか側に足を入れベースプレート2上に足を載せる。両足を治療する場合は両足を本体1内に入れる。ここで、片側の足を治療する場合は、片足を本体1内に入れて、カバー9を閉じてスタートスイッチ入力する。スタート後は、入れた側の足センサ7が足のあるのを感知して、送風器8が駆動し、同時に足を入れた側の紫外線ランプ5が点灯し、遠赤外線ヒータ6にも通電される。両方の足を入れると両方の足センサ7が足のあるのを感知して、全部の紫外線ランプ5が点灯する。このようにして通電が開始され治療が所定時間行われると、送風器8の駆動が停止され、これと同時に紫外線ランプ5や遠赤外線ヒータ6への通電が終了し、ブザー(図示せず)が鳴って治療が終了したことを知らせる。治療を更に続行したい場合は足を入れたままの状態で再度スタートスイッチ(図示せず)をONにする。
【0034】
また、足温浴器として使用する場合は、遠赤外線ヒータ6に通電し、サーミスタ11の検出温度をもとに遠赤外線ヒータ6の温度を一定にして足温浴を実施する。足浴開始後、所定時間が経過した後はブザー等で知らせて足温浴を終了する。足温浴時は遠赤外線ヒータ6の通電だけで十分であるが、使用開始や終了間際、又はその途中等で紫外線ランプ5を短時間点灯させることで足の殺菌と本体1内の殺菌ができ、長期に渡って衛生的に使用でき、複数人で使用しても、気持ちよく使用することができる。
【0035】
さらに、熱ショックマッサージ機として使用する場合は、足温浴器と同様に始め遠赤外線ヒータ6に通電し、所定の温度に到達後、所定時間、所定の温度を保ち、その後に遠赤外線ヒータ6への通電を停止する。次に送風器8を動作して暖まった足を冷却する。この、遠赤外線ヒータ6への通電と送風器8の動作を所定時間繰り返してマッサージは終了となり、最後は前記と同様にブザーなどで報せて終了となる。
【0036】
終了時の動作モードは、好みによって足を温めて終了することが出来たり、冷やしてから終了にすることが出来る。
【0037】
上記発明によれば、水を使用しない足温浴器のため、水を浴槽に入れたり、使用後に水を排水する必要がないので取り扱いが大変楽である。
【0038】
また、遠赤外線ヒータ6の遠赤外線の働きにより足の皮膚を通して人体が加温され、血液の流れにより全身に熱が伝えられて血行が良くなり、疲労回復と健康維持に役立つ働きができる。
【0039】
また、足殺菌装置として紫外線ランプ5から照射される紫外線の働きにより足の皮膚に付着している種々の雑菌などが殺菌され、清潔な足を保つことがでる。
【0040】
また、送風器8の働きにより足の蒸れを解消し、上記殺菌する働きを高める効果も期待でき、遠赤外線ヒータ6の働きで湿度の高いときや、足蒸れのひどい時でも、足患部の乾燥を促進することが出来る。
【0041】
また、足を入れる本体1から紫外線が漏れないので保護用のメガネの必要もなく取り扱いが楽で安心である。
【0042】
また、熱ショックマッサージ機として使用するときも、水を使用しないで足に温度差を与えることができるので取り扱いが大変楽である。
【0043】
さらに、両足はもちろんのこと各片足でも使用でき、入れた足側の紫外線ランプ5だけを点灯させるので、足を入れていない方から紫外線が外部に漏れることが無いので安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例を示す足温浴器付き足殺菌装置の側断面の構成図である。
【図2】本発明の実施例を示す足温浴器付き足殺菌装置の断面の構成図である。
【符号の説明】
【0045】
2 ベースプレート
3 紫外線照射口
4 空気室
5 紫外線ランプ
6 遠赤外線ヒータ
7 足センサ
8 送風器
11 サーミスタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(1)内に両足を載せるためのベースプレート(2)を設け、このベースプレート(2)上部に足先から甲の部分を覆うカバー(9)を設け、ベースプレート(2)下部には空気室(4)を設け、ベースプレート(2)の一部または全面に紫外線照射口(3)を設け、空気室(4)内には紫外線照射口(3)を通して足に紫外線を照射できるように紫外線ランプ(5)を設け、さらに、本体(1)内に足全体に遠赤外線が照射できるように遠赤外線ヒータ(6)と、足に送風するための送風器(8)を設けた事を特徴とする足温浴器付き足殺菌装置。
【請求項2】
遠赤外線ヒータ(6)で足を温め、その後、遠赤外線ヒータ(6)への通電を停止し、次に送風器(8)で温めた足を冷却するサイクルを繰り返すことで、熱ショックマッサージを足に与えることを特徴とする請求項1記載の足温浴器付き足殺菌装置。
【請求項3】
左右それぞれの足が挿入されたことを検知する足センサ(7)を設け、左足と右足の間を仕切板(12)によって左右に仕切り、片足ごとに対応する紫外線ランプ(5)を設けたことを特徴とする請求項1、2記載の足温浴器付き足殺菌装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−68028(P2006−68028A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251242(P2004−251242)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(502131431)日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューション株式会社 (302)
【Fターム(参考)】