説明

距離指示システムおよび方法

距離指示システムには、電磁波(CWV)を送出するトランシーバ(100)と、該トランシーバとの間に距離(DST)を有し前記電磁波を受信するトランスポンダ(400)とが含まれる。前記トランスポンダは、前記トランシーバと該トランスポンダの間の距離に応じて、前記電磁波に変調を誘導するよう構成する。さらに、方法(700)を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この新規な概念は、広く距離測定技術、より詳細には、結合した構造部材間の距離を、電磁搬送波変調を用いて指示するシステムおよび方法に関する。
【0002】
本システムおよび方法は、多種多様な用途および環境において広範に使用することができる。好適な用途の1例として、本システムおよび方法を、例えば車両の空気バネなどの結合した流体サスペンション部材の上で、これらと併せて使用することができる。本システムおよび方法は、このような結合した流体サスペンション部材への使用を特に参照しながら後に詳細に説明する。しかしながら、本システムおよび方法はより広範な適用の可能性を有し、この特定の好適な適用例に限定することを意図するものではないことを特に理解するべきである。
【背景技術】
【0003】
ある構造部材と別の構造部材の間の相対位置をモニターするため、様々な公知の一般的な装置および構成がこれまでに用いられ、また現在使用されている。例えば、1個または複数の連結部材を含む機械的連結センサが、車両のサスペンション部品と該車両の対応するフレームまたはボディーなど、隣接する構造部材間をつなぐものとしてしばしば使用される。典型的には、連結部材は、連結(リンク)の動きに反応して変化する可変抵抗またはその他の適切な部品を通じて作動する。次に、可変抵抗を越える、即ち経たときの電位の対応する変化、即ち、同抵抗を流れる電流の対応する変化を基に、電子制御装置(ECU)またはその他の好適な装置により、ある構造部材と別の構造部材の間の相対位置を決定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
都合の悪いことに、このような構成には、通例連続使用に関係して、多くの問題および/または不都合がある。機械的連結、特に車両のサスペンションシステムと結合して用いられるものを使用する際の問題の1つは、連結が、例えば道路上の破片によって引き起こされうる物理的衝撃に頻繁に曝されることである。これにより、連結に重大な損傷または破壊が引き起こされ、装置がたとえ作動するとしても、正常な作動が不可能になる可能性がある。
【0005】
機械連結センサのもう1つの問題は、その電気部品が、道路上を移動する車両であれば通常経験する厳しい環境条件(例えば、極端な気温、水、ほこり、塩分)に曝されるのが一般的であるという点である。こうした曝露の結果として、センサの電気部品が腐食し、正しく機能しなくなる可能性がある。これらの問題の1つもしくは両者またはその他の問題により、機械連結センサの1個または複数が作動しなくなる可能性が常に存在する。そこで、この種のセンサは、一般に、定期的な検査および交換を必要とする。
【0006】
機械連結センサのさらに別の不都合は、これらが、それ以外のサスペンション部品と別個のものとして搭載されるという点である。結果として、一般に、組立工程において、これらの部品を組み込むための余分の時間および労力が費やされる。加えて、機械連結の装着および作動のためのクリアランス空間を形成するのに余分の労力が一般に必要となる。このように、この種のセンサは、装着および作動のために多大な労力および空間が必要となるという不都合がある。
【0007】
機械連結センサの代替として、流体媒質中を伝わる、典型的には超音波周波数の音波または圧力波を利用した非接触センサが、ある構造部材と別の構造部材の間の相対位置を決定するために使用されている。このような適用の1例は、空気バネなどの流体サスペンション部材の高さを決定するために使用される超音波センサを含む。このような使用において、超音波センサは空気バネの一方の端部材上に支持され、超音波を空気バネ(エアスプリング)のバネ室を通して反対側の端部材へ向けて送出する。この超音波は反対側端部材の適当な形状により反射され、両者間の距離が従来の方法により決定される。
【0008】
このような構成が機械連結に対して持つ優位点の1つは、超音波センサは、少なくとも部分的に、衝撃および曝露から保護されていることである。しかし、超音波センサの使用には多くの不都合も存在する。不都合の1つは、この種のセンサは比較的高価であり、生産コストの望ましくない増加をもたらす傾向があるという点である。また、同様に、衝撃や曝露により損傷したセンサの交換コストも増加する。
【0009】
別の不都合は、超音波センサは、距離を決定するために、超音波を反射してセンサに返すのに適したターゲット(的)を必要とする点である。そのようなターゲットがなければ、超音波は正しく反射されず、したがって距離の正しい決定は不可能になる。このように、超音波センサの正しい作動のためには、ターゲット領域を用意しなければならない。しかし、このことは、製品の設計上の制約によりターゲット領域を設ける余地が限定されることから、特に問題となりうる。また、現行の製品は適当なターゲット領域を持たないため、現行製品に超音波製品を装備する際にも問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
電磁波を送信するためのトランシーバと、該送信器とある距離を置いて設置したトランスポンダを含む本件新構想に記載の距離指示システムを提供する。トランスポンダは、電磁波に距離に応じて変調を加える。
【0011】
結合された車両において使用される結合された空気バネのための本件新構想に記載の距離指示システムを提供する。結合した空気バネは、エラストマー壁で共に固定され結合した空気バネに加わる負荷に対応して互いに相対移動するようにした第1および第2の支持部材を含む。距離指示システムは、電磁搬送波を送出するためのトランシーバを含む。システムは、また、該トランシーバとある距離を置いて設置し、電磁波に対し距離に応じて変調を与えるトランスポンダを含む。前記トランシーバおよび前記トランスポンダの1つは、第1および第2の支持部材の1つの上に支持される。
【0012】
上端部材と、該上端部材と離隔した下端部材とを含む本件新構想に係るエアサスペンションアセンブリを提供する。上端部材と下端部材との間でフレキシブルなバネ部材が支持される。トランシーバが、上端部材および下端部材の1つに支持され、電磁搬送波を送信する。トランスポンダが、上端部材および下端部材のもう一方に支持され、トランシーバとトランスポンダとの間の距離に応じて搬送波に変調を加えるように構成する。
【0013】
第1の構造部材に支持されているトランシーバを提供する(即ち設ける)ステップと、第2の構造部材に支持されているトランスポンダを提供するステップとを含む、第1および第2の構造部材間の距離を決定するための本件新構想に係る方法を提供する。その他のステップには、電磁波を送信するステップと、トランシーバとトランスポンダとの間の距離に応じて電磁波に変調を加えるステップとが含まれる。さらなるステップには、電磁波の変調の大きさを検出するステップと、トランシーバとトランスポンダとの間の距離を決定するステップとが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を詳細に参照して、図1はトランシーバ100を概略的に示す。トランシーバ100は、トランシーバとある距離DSTを置いて設置したトランスポンダTSPと共に使用されている。ここで、図面は本件新システム、装置および/または方法の望ましい実施の形態を説明するためだけのものであって、これを限定する目的ではない。トランスポンダTSPはトランシーバ100などのトランシーバと協働する好適なトランスポンダの代表例にすぎないこと、および、好適なトランスポンダの例示的な実施形態の構造および動作は後でより詳しく説明することが理解されるであろう。トランシーバ100は、例えば電磁搬送波CWVなどの電磁信号をトランスポンダTSPに向けて送信することができる。
【0015】
トランシーバ100は、アンテナ104と電気的に接続した搬送波生成器102を含む。搬送波生成器102は電気搬送波をアンテナ104に出力するよう構成し、アンテナ104は、搬送波生成器102による搬送波信号に対応して、例えば電磁搬送波CWVなどの電磁搬送波を送信するよう構成する。また、変調検出器106をアンテナ104と電気的に接続し、そのアンテナに沿った、またはアンテナを越える電気的特性の変調を検出するよう構成する。前記変調検出器は、そのアンテナに沿った、またはアンテナを越える(横切る)変調の大きさに対応して、例えば電位や電流などの電気信号を出力する。図1において、変調検出器106はアナログ信号を出力する。矢印110によって全般的に示したように、このアナログ信号は、例えば電子制御装置(図示なし)など他の電気装置、回路またはシステムとの通信に先立って、オプションの増幅器108により増幅することができる。
【0016】
図1には、さらに電源回路112を示している。この電源回路は、トランシーバ100の完全統合回路の一部として形成することもできるし、トランシーバ100上に支持した別回路としてもよいし、トランシーバ100とは完全に別の部品の上の別回路とすることもできる。図1に示した1つの望ましい実施の形態において、電源回路112は、トランシーバの完全統合回路の一部として形成している。しかし、構成に関わらず、電源回路112は好適に調整し制御した電力を電源(図示なし)からトランシーバ100の部品へ供給するようにする。これらの部品には、限定するものではないが、図1において電源回路112を直接電気的に接続している搬送波生成器102を含むことができる。電源(図示なし)は、例えばバッテリー(車両その他)、発電機または交流器、電子制御装置または電源制御モジュールなどあらゆる適当なACまたはDC電源とすることができる。
【0017】
一般に、トランシーバ100のアンテナ104は、例えば上述した搬送波CWVなどの電磁波を送信その他の方法で出力する。トランスポンダTSPのアンテナANTは搬送波を受信する。当業者であれば理解できるように、搬送波は距離により変化する1個または複数の性質または特性を有している。トランスポンダは、誘導またはその他の方法により、搬送波に対しトランシーバとトランスポンダとの間の距離に応じて変調を与える。そのような操作の1例において、当業者であれば、アンテナ104およびANTが、搬送波CWVの影響下において、緩やかに結合した変圧器の巻き線として作用することを理解できるであろう。このように、1つのアンテナの電気的性質または特性の瞬間的な変化により、もう一方のアンテナに沿って、或いは、そのアンテナを越えて対応する変化または変調が誘導され、またはその他の方法により生じることになる。この変調は、トランシーバとトランスポンダとの間の距離DSTを決定し、または、後に詳しく述べるように両者の間で交互にデータ通信するために利用することができる。
【0018】
トランシーバ200の代替の実施形態を図2に示す。ここでは、アンテナ204と電気通信している搬送波生成器202が含まれる。搬送波生成器202は電気搬送波をアンテナ204に出力するよう構成し、アンテナ204は、搬送波生成器からの搬送波信号を受信し、例えば搬送波CWVなど、搬送波生成器202により出力した搬送波信号に対応する電磁搬送波を送信するよう構成する。
【0019】
また、変調検出器206は、アンテナ204と電気通信しているアンテナに沿って、或いは、そのアンテナを越える電気的特性の変調を検出するようにする。変調検出器206は、アンテナ204に沿って、或いはアンテナ204を越える変調の大きさと対応関係にあるアナログ信号を出力する。しかし、トランシーバ200は、トランシーバ100におけるようにアナログ出力の増幅を行わず、変調検出器と電気通信しているアナログ/デジタル(A/D)変換器208を含む。A/D変換器は変調検出器206からのアナログ信号を受信し、これをデジタルデータストリームに変換する。その後、変換器208からのデータストリームは、一般的な方法により、例えばマイクロコントローラ210などの装置、またはその他の部品またはシステムに伝達することができる。マイクロコントローラ210を含むそのような装置またはその他のシステムは、トランシーバ200と統合してもよく、その他別のシステムの一部としてもよいことが理解されるであろう。例えば、そのような処理装置は、例えばCANバス、SAE J1850データバス、またはその他の車両情報システムといった車両のデータバスと通信し、またはその一部とすることができる。
【0020】
電源回路212を図2に示す。しかし、電源回路212は、回路200に好適に調整し制御された電力を提供するため、上述したような多様な実施方法および/または構成のうちのどの形態で提供してもよいことが理解されるであろう。
【0021】
搬送波生成器102および202は、接続したアンテナにより電磁搬送波として送信するのに適した電気搬送波信号を出力するようにする。1つの好適な実施の形態において、生成器102および202により出力する電気搬送波信号は、実質的に一定の振幅および周波数を有するサイン波である。もっとも、適当な電気搬送波信号であれば、どのようなものでも使用できることを特に理解すべきである。生成器により出力した電気信号は、任意の好適な電位、例えば約50ボルトから約100ボルトとすることができ、任意の適当な周波数、例えば100kHzから30MHzとすることができることが理解されるであろう。1つの例示的な実施の形態において、該電気信号は約125kHzの周波数および約100ボルトの大きさを持つ。もっとも、上述したように、これらの値は適用例ごとに変化しうる。
【0022】
例えばトランシーバ100などのトランシーバとして動作する、好適な電子回路300の1つの実施形態の図を、図3に示す。ここには、搬送波生成器回路302、アンテナ回路304、変調検出器回路306および増幅器回路308が含まれる。回路302は、一般に図1および図2に示した生成器102および104に対応すること、および回路304,306および308は同様にアンテナ104および204、変調検出器106および206、増幅器108にそれぞれ対応することが理解されるであろう。加えて、A/D変換器208およびマイクロコントローラ210は当業者に既知の典型的な構成であること、当業者であれば、概略図がなくとも、A/D変換器208を変調検出器206と電気的に接続することが可能であることが理解されるであろう。さらに、電源112および212に対応する電源回路が回路300にはないことが理解されるであろう。しかしながら、主電源に付帯的な調整および制御回路が含まれている場合であっても、入力される電力の望ましい調整・制御を確実にするため、回路300に補充的に電源回路を含むこともできることを理解されたい。さらにまた、回路300を例えばシリコンウエハーなどの単一基板上の統合回路として形成し、または代替的に、別個の部品から任意の好適な実装法によりおよび/または任意の好適な回路製造技術を用いて形成することができることを、当業者であれば理解するであろう。
【0023】
図3に示すように、回路300には多様な在来の電気部品が含まれ、限定するものではないが、抵抗、キャパシタ、ダイオード、オペアンプおよびインダクタが含まれる。これらの部品は、特に断らない限り、実質的に標準的な構成であり、一般に入手可能なものであることが理解されるであろう。加えて、回路300は、各部で電源(図示なし)または電源回路(図示なし)の正極と1個または複数の共有点で接続している。このように接続した回路300の各部は、回路図においてその全体を端子矢印310により示している。同様に、回路は各部で共通のアースに接続しており、これら各部は全体として端子矢印312で示している。
【0024】
上述したように、回路300には、複数のオペアンプ(op−amp)が含まれる。当業者であれば、図3において、オペアンプが伝統的なピン型の記号で模式的に示されていることをよく理解するであろう。ピンは項目番号によって個別的に識別されていないが、各オペアンプには対向する供給電圧ピン(SVピン)、プラス入力ピン(PIピン)、マイナス入力ピン(NIピン)および出力ピン(OTピン)が含まれる。好適なオペアンプの1例は、テキサス州ダラスのTexas Instruments社から部品番号LM248として入手可能である。
【0025】
搬送波生成回路302には、オペアンプ314、抵抗316〜324およびキャパシタ326が含まれる。オペアンプ314は、端子矢印310aおよび312aで接続されたSVピンを有する。OTピンは、抵抗316および318により端子矢印310bと312bの間に形成した分圧器に接続されている。このOTピンは、抵抗320および322を介して分圧器と接続され、抵抗320と322の間に接続されたオペアンプ314のPIピンによりフィードバックループを形成している。加えて、オペアンプのOTピンは、抵抗324およびキャパシタ326を介して端子矢印312cにおいてアース接続している。
【0026】
電気搬送波信号はオペアンプ314のOTピンにより出力され、リード328に沿ってアンテナ回路304に伝達される。アンテナ回路304には、インダクタ332を介して端子矢印312dにおいてアースに電気的に接続しているキャパシタ330が含まれる。インダクタは図3において標準的な記号で示している。しかしながら、アンテナのチューニングおよび最適化を行うことが望ましいことがあり、そのような場合、インダクタは、例えば四角形など特定の形状または構成とすることができることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態において、インダクタ332は円形もしくはループ形状の電線コイルである。
【0027】
変調検出回路306は、キャパシタ330とインダクタ332の間に接続したリード334を介してアンテナ回路304と電気接続している。リード334は、ダイオード338およびキャパシタ340を介してオペアンプ336のNIピンと電気接続している。オペアンプ336は端子矢印310cおよび312eに接続したSVピンを有する。オペアンプ336のOTピンとNIピンの間には、ダイオード344および抵抗346を介して接続されたリード342により、フィードバックループが形成されている。オペアンプ336のPIピンは、抵抗348およびダイオード350を介して、それぞれ端子矢印310dおよび312fの間に接続されている。ダイオード350は図3ではツェナーダイオードとして示している。加えて、端子矢印312fはリード334を通して、抵抗352を介してオペアンプ336のNIピンと接続している。端子矢印312gは、キャパシタ354および抵抗356のそれぞれを別々に介してリード334と並列に接続している。
【0028】
増幅器回路308は、リード358により変調検出回路306に電気接続されている。増幅器回路308には、第1のオペアンプ360が含まれ、リード358は、そのPIピンと、オペアンプ336のNIピンとキャパシタ340の間でリード334と並行して接続している。オペアンプ360は、端子矢印310eおよび312hに接続したSVピンを有する。オペアンプ360のOTピンとNIピンの間に接続したリード362により、フィードバックループが形成されている。ダイオード364はリード362に沿って接続され、オペアンプ360のNIピンも、抵抗366を介して端子矢印312iへ、またキャパシタ368を介して端子矢印312jへ接続している。第2のオペアンプ370のPIピンは、リード372を介して、ダイオード364とオペアンプ360のNIピンの間のリード362に接続している。出力コネクタ374は、出力リード376によりオペアンプ370のOTピンに接続している。NIピン、およびOTピンと出力コネクタ374の間のリード376の間を接続するリード378によりフィードバックループが形成されている。出力コネクタ374は、一般に通信のためのインターフェース、図1の矢印110として動作することが理解されるであろう。そのようなものとして、コネクタ374は任意の好適なタイプ、種類および/または構成とすることができる。
【0029】
トランスポンダ400を図4に示す。ここには、アンテナ402、電力回路404および分路(シャント回路)406が含まれる。一般に、トランスポンダ400はトランシーバ100と200のいずれか1つと一定の距離を置いて配置し、それと協働して作動する。より詳細には、アンテナ402はトランシーバのアンテナから送信される電磁搬送波CWVを受信するようにする。電磁搬送波は、アンテナに沿って、或いはアンテナを越える電気出力を誘導する。この電気出力は電力回路404に伝達され、該電力回路404は電気出力を収集して周期的に分路406へ電圧を印加する。電圧を印加されると、分路はアンテナ402を短絡する。これにより、アンテナ402の電磁的特性が変化して、例えばアンテナのインダクタンスが実質的に減少する。アンテナ402の電磁的特性の変化は、例えばトランシーバ100または200など対応するトランシーバのアンテナに沿って、または、アンテナを越えて対応する変化を誘導する。この対応するトランシーバのアンテナに沿って、或いは、アンテナを越える変化を、例えば変調検出器106または206など、結合したトランシーバの変調検出器により検出するのである。
【0030】
ある例示的な実施の形態において、トランスポンダ400のアンテナ402には、誘導素子(図示なし)が含まれる。電磁搬送波は、この誘導素子を越えてまたはこの誘導素子に沿って、電力回路404に伝送される電気出力を誘導する。電圧および/または電流を含むこの電気出力は電力回路404内に蓄積され、該電力回路404は、その回路内に一定の既定量の電気エネルギーが蓄積されると、電気エネルギーパルスを分路406へ送出する。この電気エネルギーパルスにより、分路406は、アンテナ402の誘導素子を越える電気的短絡を形成する。誘導素子を越える短絡により、そのインダクタンスはほぼ0まで減少する。当業者であれば、これにより、2つの素子が緩やかに結合した変圧器として機能するということから、結合されたトランシーバ内のアンテナの誘導素子に沿ってまたは誘導素子を越えて、対応する変化が生じることを理解できるであろう。この対応する変化を、変調検出器によりモニターする。このような誘導場変調を図4のサイン波IFMによって全体的に示す。
【0031】
トランスポンダ400として作動する好適な電子回路500の1つの実施形態の図を、図5に示す。ここには、アンテナ回路502、電力回路504および分路506が含まれる。一般に、アンテナ回路502は図4のアンテナ402に対応する。同様に、電力回路504は回路404に、分路506は回路406に対応する。上述したように、当業者であれば、回路500には多様な在来の電気部品、限定するものではないが、抵抗、キャパシタ、ダイオード、オペアンプおよびインダクタを含むことを理解できるであろう。これらの部品は、特に断らない限り、実質的に標準的な構成であり、一般に入手可能なものであることが理解されるであろう。加えて、回路500は、例えばシリコンウエハーなど単一基板上の統合回路として形成することができ、または、代替的に、別部品から任意の好適な実装方法によりおよび/または任意の好適な回路製造技術を用いて形成することができる。さらに、回路500は各部で共通のアースに接続しており、これら各部は端子矢印508により全体を示している。
【0032】
アンテナ回路502には、リード514とリード516の間に並列に接続したキャパシタ510およびインダクタ512を含む。リード516は、インダクタ512に隣接する端子矢印508aに接続している。図5において、インダクタは標準的な記号で示している。しかしながら、アンテナを例えばアンテナ回路304のインダクタ332と協働させるために、アンテナのチューニングまたは最適化が望ましい場合があることを理解されたい。そのような場合、インダクタを例えば四角形、円形またはループ形の電線コイルなど特定の形状または構成とすることができる。
【0033】
電力回路504は、リード514および516を介してアンテナ回路502に接続している。ダイオード518および抵抗520は、リード514に沿って直列に接続している。トランジスタ522およびキャパシタ524は、リード514とリード516の間に並列に接続する。トランジスタ522のコレクタ端子522cはリード514に並行して接続し、トランジスタのエミッタ端子522eはリード516に並行して接続している。リード526は、ダイオード528を介して、トランジスタ522のベース端子522bをリード514に接続する。1つの例示的な実施形態において、ダイオード518はショットキダイオードであり、トランジスタ522は標準的なn−p−nトランジスタであるが、いずれも当業者にはよく知られたものである。
【0034】
分路506は、リード530により電力回路504に接続している。リード530は、リード514に並行して、ほぼコレクタターミナル522cまで延びている。リード530は、抵抗532と534とにより形成された分圧器の上部の経路として機能する。抵抗532および534は、リード530と端子矢印508bとの間に接続されている。分路には、さらにオペアンプ536が含まれる。オペアンプの1つのSVピンはリード538を介してリード530に接続し、もう一方のSVピンは端子矢印508cに接続している。リード540は抵抗532と534の間からオペアンプ536のPIピンに、その間に接続した抵抗534を介して接続している。オペアンプ536のOTピンとPIピンの間には、リード544によりフィードバックループが形成され、抵抗546を介して接続をなしている。オペアンプ536のOTピンもまた、抵抗550およびキャパシタ552を介して接続したリード548により、端子矢印508dに接続している。オペアンプのNIピンは、リード548へ、抵抗550とキャパシタ552の間からリード554により接続している。図5において、リレー556は、オペアンプ536のOTピンとリード514および516との間、キャパシタ510の隣、インダクタ512の反対側に接続している。リレー556の代替として、例えば電界効果トランジスタ(FET)など、任意の好適なスイッチ式装置を用いることができることが理解されるであろう。
【0035】
トランスポンダのアンテナ502が、トランシーバRFの場に導入され、アンテナ502を超えて導入されるべき電圧を生じさせる。この電圧は、ダイオード518を経て電源回路504に通じる。電源回路504は、分路506が正常に作動するように、リード530に印加される電圧を制御する。抵抗532および534は、リード530からの電圧を分割し、リード554からのNIピンにおける電位に匹敵するようにする。抵抗550およびキャパシタ552は、リード554に沿ったNIピンにおける電位の増加率を制御する。リード554に沿った電位が、抵抗546と542の間から取られたPIピンにおける電位を超えて増加した場合、オペアンプ536のOTピンにおける出力がオンになる。すると、これにより、リレー556(または例えばFETなど他の好適な装置)がアースに短絡し、アンテナ502を短絡させる。このアンテナの短絡がトランシーバの電位を引き下げ、距離を得るのに用いる測定可能な変化を生み出す。
【0036】
図6は、標準的なサイン波形および電位Vで表される初期振幅を有する電磁搬送波CWVの変調の1つの典型的な形状を示す。この搬送波は間隔DTの間変調を受け、その間大きさDVで示すように振幅が減少する。電位Vの好適な範囲の1例は、約50〜約150ボルトである。大きさDVで示した対応する振幅変調の範囲の1例は、約10から約1000ミリボルトである。振幅変調は、例えば約0.1から約5ミリ秒など、任意の持続時間ないし間隔DTで生じうる。上に示したように、搬送波CWVは、例えば約100キロヘルツから約14メガヘルツまで、任意の好適な周波数とすることができる。このような変調は、当業者が通常後方散乱変調と呼ぶものであり、トランスポンダとトランシーバの間の通信に有用なものである。
【0037】
後方散乱変調のよく知られた例として、無線周波数識別(RFID)システムの分野におけるものがある。しかしながら、本件新構想は従来のRFIDの応用とはかなり違っていることが理解されるであろう。特に、従来のRFIDシステムは、使い捨てタグ内にエンコードされたデータの転送に用いられる。タグは目的物と関連付けされており、データには、一般にその目的物特有の1個または複数の詳細情報が含まれる。一般に、RFIDシステムでは、タグとシステムの他の要素の間の距離を決定することには関心がない。これらRFIDシステムの主たる関心は、タグ内にエンコードされたデータを読み出すことにある。
【0038】
図7は、例示的な実施方法700を示す。ここには、例えばトランシーバ100または200およびトランスポンダ400など、互いに間隔を置いた関係にあるトランシーバとトランスポンダとを提供する(設ける)第1ステップ702が含まれる。別のステップ704には、例えば搬送波CWVなどの電磁搬送波を、トランシーバのアンテナからトランスポンダのアンテナへ向けて送信することが含まれる。別のステップ706には、トランスポンダのアンテナにおいてまたはアンテナに沿って搬送波を受信することが含まれる。当業者であれば、電磁波の受信および影響により、インダクタに沿っておよび/またはインダクタを越えて(横切って)電気エネルギーが発生することをよく理解することができる。ここで、オプションのステップ708には、電磁波を受信した結果、トランスポンダのアンテナに沿っておよび/またはアンテナを越えて発生した電気エネルギーを収集することが含まれる。別のステップ710には、トランスポンダのアンテナを選択的に分路し、それにより、トランシーバのアンテナに、例えば瞬間的な電圧低下といった1個または複数の電気的特性の変調が生じるようにする。さらなるステップ712には、アンテナに沿ったまたはアンテナを越える(横切る)電気的特性の変調を検出することが含まれる。別のステップ714には、少なくとも部分的にステップ712の電気的特性の変調に基づいて、トランシーバとトランスポンダとの間の距離を決定することを含む。
【0039】
本件新構想を利用した応用の1例は、図8に示す流体サスペンション部材800に対するおよびそれに接続したものである。この流体サスペンション部材は、より詳細には、伝統的なピストンおよび回転ローブ構造を有する空気バネとして示している。しかしながら、本件新構想の趣旨から逸脱することなく、任意の好適なタイプ、形式、種類および/または構成の流体サスペンション部材が使用できることを明確に理解するべきである。流体サスペンション部材800には、例えば上板802などの第1端部材、第1端部材とは間隔を置いた関係にある、例えばピストン804などの第2端部材、および、それらの間に支持され実質的に例えば流体室808などの内容積を規定する例えばフレキシブルスリーブ806などのフレキシブル部材を含む。
【0040】
トランシーバ810を流体室808内で上板802に支持し、トランスポンダ812を該トランシーバと間隔を置いてピストン804上に支持する。ピストン804は、外周壁814を含み、それに沿ってフレキシブルスリーブ806が移動する。また、ピストン804は中心内壁816を含む。この内壁は、図8において実質的に凹面または皿状のものとして示しており、内面凹部818を形成している。内壁816は、側壁部820およびトランスポンダ812を固定する下壁部822を有する。トランスポンダ812は、例えば接着剤や機械的留め具など、任意の好適な方法により内壁816上に固定することができる。代替的に、トランスポンダ812’として示したように、トランスポンダ812をモールドまたはその他の方法により内壁816内に形成することもできる。トランシーバ810は一般に任意の好適なトランシーバを代表するものであり、例えば、限定するものではないが、トランシーバ100および200を含む、ここに開示された多様なトランシーバの任意のものとすることができることが理解されるであろう。同様に、トランスポンダ812は、一般に任意の好適なトランスポンダを代表するものであり、例えば、限定するものではないが、トランスポンダ400を含む、ここに開示された多様なトランスポンダとすることができることを理解されるであろう。
【0041】
電磁搬送波CWVが送信され、トランスポンダ812により受信されると、例えばトランスポンダ400のアンテナ回路402などのアンテナに沿っておよび/またはアンテナを越えて電気的エネルギーが発生し、すでに電力回路404について説明したように、少なくとも周期的にトランスポンダに電力を供給する。代替的に、電気的エネルギーはバッテリーまたはその他の好適な電源によって供給することもできる。トランスポンダ812に電力が加わると、例えばトランスポンダ400の分路406などの分路は周期的にトランスポンダ812のアンテナを短絡し、それによって例えばアンテナ104または204などのトランシーバ810のアンテナに変調が生じる。トランスポンダとトランシーバのアンテナの間の相互関係は前に述べたが、説明のみの目的で、図8にサイン波IFMとして一般的に示す。変調の1個または複数の性質または特性は、当業者であればよく理解できるように、トランスポンダとトランシーバの間の距離と直接対応し、あるいはその他の数学的関係を持つ。このようなものとしてトランシーバが変調を検出し、トランシーバとトランスポンダとの間の距離を表す信号を出力する。しかしながら、以上に述べた以外の実施方法であっても、本件新構想から逸脱することなく用いることが可能であるということがよく理解されるであろう。
【0042】
トランシーバ900の別の代替的な実施の形態を図9に概略的に示す。トランシーバ900は、アンテナ904と電気的に接続した搬送波生成器902を含む。上述した搬送波生成器102および202と同様に、搬送波生成器902は、電気搬送波をアンテナに出力し、該アンテナが対応する搬送波CWVを送信するよう構成する。変調検出器906は、一般に搬送波生成器902に向かい合うアンテナ904に電気的に接続されている。変調検出器906は、アンテナに沿ったまたはアンテナを越える(横切る)電気的性質または特性の変調を検出するよう構成されている点で、上述した検出器106および206と同様である。しかしながら、変調検出器906は、アンテナ回路904に沿ったまたはアンテナ回路904を横切る変調に対応するデジタル信号DSGを出力するよう構成しており、検出器106および206におけるように、変調の大きさと対応関係にある電圧や電流レベルなどの特性を有するアナログ信号を出力するのではないという点で、検出器106および206とは異なっている。デジタル信号DSGは、デジタル信号DSGを変換、デコードおよび/または分析し、トランシーバおよびそれに関連するトランスポンダの間の距離を表す対応する信号を出力することができる適当なデジタル装置、例えば、デジタル信号プロセッサまたはマイクロコントローラ908などに伝送される。マイクロコントローラ908の信号出力は、矢印910で表すように、下流のシステムまたは装置に伝送される。
【0043】
加えて、電源回路912を搬送波生成器902と電気的に接続した状態で図9に示す。他の実施形態において、電源回路912は、同様にまたは代替的に、トランシーバ900の1個または複数の他の要素に電力を供給することができることを理解できるであろう。例えば図1のトランシーバ100の電源回路112に関連して上述したように、回路912は任意の形態、形状または構成とすることができ、トランシーバ900の他の要素と一体としてもよいし、別個のものとしてもよい。好適なトランシーバの1例は、アリゾナ州チャンドラーのMicrotip Technologies社から指示または部品番号MCRF200として入手可能である。
【0044】
トランシーバ900と関連づけて使用するのに適したトランスポンダの1例を、図10にトランスポンダ1000として示す。一般に、トランスポンダ1000は例えばトランシーバ900などのトランシーバとの組み合わせで作動し、上で詳細に説明したように、それらの間の距離を決定して該距離を表す信号を出力する。しかし、前述の実施形態においては、トランシーバ100または200などのトランシーバは、そのアンテナに沿ったまたはアンテナを横切る変調の大きさを基にして2つの部品間の距離を決定する。トランスポンダ400など結合されたトランスポンダの主たる動作は、この変調を実現し、または生じさせることである。ここで、トランシーバ900およびトランスポンダ1000の動作は、本件新構想に基づき、他の実施の形態に関して上述した基本的な動作原理としては同じものを利用している。しかしながら、トランスポンダ1000は、例えばデジタル処理装置を使うことにより、少なくとも部分的に2つの部品間の距離を決定することができる。これにより、距離、および/または例えば識別コードあるいは番号などその他のデータに対応するデジタルデータが、少なくともトランスポンダからトランシーバへ伝送されることになる。このようなデータ伝送、通信および/または交換は、任意の好適な形態を取ることができ、限定するものではないが、後に説明するように、直接データ伝送およびエンコード化データ伝送を含む。
【0045】
図10〜14からは、後に詳細に述べるが、この構成が、前述した実施形態から、構造や動作において異なっていることが理解されるであろう。トランスポンダ1000は、例えばトランシーバ900のアンテナ904によって送信することができる電磁搬送波CWVを受信するよう構成したアンテナ1002を含む。上で詳細に説明したように、搬送波CWVは、アンテナ1002に沿ったおよび/またはアンテナ1002を横切る電気的エネルギー出力を誘導する。この電気的エネルギー出力は、アンテナと電気的に接続した電力回路1004およびスケーラ1006に伝送される。上述したように、一般に、電力回路は電気的エネルギーの少なくとも一部を収集し、トランスポンダの1個または複数の部品に周期的に電圧を加える。
【0046】
スケーラ1006は、そこを通過するアンテナ1002からの信号の、例えば電圧や電流レベルなどの1個または複数の電気的性質または特性を減少させ、またはその他の方法で縮小することができる。スケーラ1006は、スケーラおよび電力回路と電気的に接続されたデジタル信号プロセッサまたはマイクロコントローラ1008の受信および使用に適するよう、アンテナ1002からの信号を適切に調整する。しかしながら、この電気信号の減少または縮小は、アンテナからの原信号に対する縮小信号の関係が維持されるように行うのが望ましい。このようにして、マイクロコントローラ1008は、例えばトランシーバ900などの結合されたトランシーバとトランスポンダ1000の間の距離を決定するために使用することができる。上述したように、当業者であれば、電磁波の1個または複数の特性が、伝わる距離に応じて、よく知られた関係に従って変化することを理解することができる。
【0047】
上に示したように、電力回路1004はトランスポンダの1個または複数の回路または部品に周期的に電圧を供給する。電力回路によって加圧されるそのような部品の1つには、マイクロコントローラ1008があり、該マイクロコントローラ1008は、スケーラ1006が出力する信号の強度またはその他の電気的性質または特性を規定する。この強度またはその他の特性は、トランシーバとトランスポンダの間の距離と直接またはその他の数学的関係を持つ。このように、マイクロコントローラは、実際の距離値を決定し、これをトランシーバへ逆伝送する動作をすることができる。代替的に、マイクロコントローラは、スケーラが出力する信号の強度またはその他の特性を、特に実際の距離値を決定することなく、単に伝送する動作をすることもできる。この代替例では、スケーラからの信号がトランシーバに逆伝送されると、トランシーバ内のマイクロコントローラが実際の距離値を変換し、または算出することができる。
【0048】
マイクロコントローラ1008が加圧され、スケーラ1006により出力した信号の性質または特性が決定されると、該マイクロコントローラは、分路1010を選択的にアクティブにして、データを結合されたトランシーバに逆伝送する。データには、限定するものではないが、距離値に対応するデータまたはスケーラにより出力する信号が含まれる。分路1010は、アクティブにされた場合、アンテナ1002を短絡し、該アンテナ1002は、例えばトランシーバ900のアンテナ904など対応するアンテナを横切るまたはアンテナに沿った変調を誘導する。トランシーバとトランスポンダのアンテナ間の相互関係は重要な細部についてすでに上述したが、図10にサイン波IFMとして一般的に示す。
【0049】
1つの例示的な実施形態において、分路1010を選択的に作動させるマイクロコントローラ1008の動作により、信号値または実距離値のいずれかをトランスポンダからトランシーバへデータとして逆伝送する。トランスポンダからトランシーバへのデータ伝送は、信号または距離値に直接対応するバイナリデータストリームなど、任意の形態またはタイプのものとすることができる。代替的に、例えば干渉によるロスを最小化するため、デジタル通信をエンコードすることができる。例えば周波数偏移キーイング(FSK)および位相偏移キーイング(PSK)を用いるものなど、多様なエンコード処理が知られており、かつ利用可能である。FSKおよびPSKは、いずれも当業者にはよく知られているものである。FSKを用いて変調した搬送波CWVの1例を図11に示す。これは、大振幅状態HSTと小振幅状態LSTの間で変調された搬送波CWVを含む。変調により、例えば0値に対応する8周期シフトFS1および1値に対応する10周期シフトFS2を有するなど、任意の好適な方法でデータを伝送することができる。このようにして、バイナリデータストリームをトランスポンダとトランシーバの間で伝送することができる。PSKを用いて変調した搬送波CWVの1例を図12に示す。これも、2つの状態HSTとLSTの間で変調した搬送波CWVを含む。図12から明らかなように、HSTの1つの周期、次のLSTの周期、その次のHSTの周期など、周期搬送波のシフトに用いる周波数は一定である。しかしながら、データを伝送するため、2つの周期で同じ状態が生じるように位相シフトを行うことができる。1つの例において、各位相シフトPSTはバイナリデータストリームにおける0を表す。別の例では、各シフトPSTはデータ値の変化(0から1または1から0)を表す。しかしながら、任意の他の好適な変調および/またはデータ伝送技術を代替として用いることができることが理解されるであろう。
【0050】
トランスポンダ1000として使用するのに好適な回路1100の1つの実施の形態の図を図13に示す。この回路は、アンテナ回路1102と、電力回路1104と、スケーラ1106と、マイクロコントローラ1108と、分路1110とを含む。一般に、アンテナ回路1102は、図10におけるアンテナ1002に対応する。同様に、電力回路1104は回路1004に対応し、スケーラ1106はスケーラ1006に対応し、マイクロコントローラ1108はマイクロコントローラ1008に対応し、分路1110は分路1010に対応する。
【0051】
当業者であれば、上述したように、回路1100は、限定するものではないが、抵抗、キャパシタ、ダイオード、インダクタ、トランジスタおよびその他のよく知られた部品を含む多様な従来型の電気部品を含むことが認識されるであろう。これらの部品は、特に断らない限り、実質的に標準的な構成であり、一般に入手可能なものであることが理解されるであろう。加えて、回路1100は、例えばシリコンウエハーなどの単一基板上の統合回路として形成することができ、または、代替的に任意の好適な実装方法で、および/または任意の好適な回路製造技術を用いて別部品から形成することもできる。さらに、回路1100は各部で共通のアースに接続しており、これら各部は端子矢印1112で一般的に示している。
【0052】
アンテナ回路1102は、リード1118と1120の間で並列に接続したインダクタ1114とキャパシタ1116とを含む。端子矢印1112は、図13において標準的な記号で示したインダクタに隣接してリード1120に沿って接続している。しかしながら、例えばトランシーバ900のアンテナ904など別のアンテナと協働させるためには、アンテナの調整または最適化が望ましいことがある。そのような場合、インダクタ1114を、例えば四角形、円形またはループ状に形成した電線コイルなど、特定の形状または構成とすることができる。
【0053】
電力回路1104は、リード1118および1120を介してアンテナ回路1102に接続している。ダイオード1122および抵抗1124は、リード1118に沿って直列接続している。トランジスタ1126およびキャパシタ1128は、リード1118と1120の間で並列に接続している。トランジスタ1126のコレクタ端子1126cは、リード1118に並行して接続し、トランジスタのエミッタ端子1126eはリード1120に並行して接続している。リード1130は、ダイオード1132を介して、トランジスタ1126のベース端子1126bをリード1118に接続している。1つの例示的な実施の形態において、ダイオード1122はショットキダイオードであり、トランジスタ1126は標準的なn−p−nトランジスタであるが、いずれも当業者にはよく知られたものである。
【0054】
マイクロコントローラ1108は、リード1134を介して電力回路1104に接続しており、リード1134は、抵抗1124とキャパシタ1128の間で、コレクタ端子1126cに隣接してリード1118に接続している。加えて、マイクロコントローラ1108は、リード1136により、スケーラ1106を介してリード1120と電気的に接続している。マイクロコントローラ1108は、任意の好適なタイプまたは構成のものとすることができる。好適なマイクロコントローラの1例は、テキサス州オースチンのFreescale Semiconductor,Inc.から指示または部品番号68HC05L25として入手可能である。このマイクロコントローラは、プロセッサ、メモリおよびクロックを含む。加えて、スケーラ1106は、任意の好適な形態または構成とすることができる。
【0055】
分路1110は、アンテナ回路1102のリード1118および1120とリード1140との間に接続したリレー1138を含み、リード1140は、マイクロコントローラ1108と電気的に接続している。リレー1138に替えて、例えば電界効果トランジスタ(FET)など、任意の好適なスイッチ式装置を用いることができることが理解されるであろう。
【0056】
実施方法1200の別の例示的な実施形態を図14に示す。ここには、例えばトランシーバ900およびトランスポンダ1000など、互いに距離を置いた関係にあるトランシーバおよびトランスポンダを提供するステップ1202が含まれる。別のステップ1204は、トランシーバのアンテナから、トランスポンダのアンテナへ向けて、電磁搬送波を送出することを含む。別のステップ1206は、トランスポンダのアンテナにおいてまたはアンテナに沿って、搬送波を受信することを含む。オプションのステップ1208は、トランスポンダのアンテナに沿っておよび/またはアンテナを越えて(横切って)発生する電気エネルギーを収集することを含む。
【0057】
方法1200の別のステップ1210は、トランスポンダのアンテナからの電気信号を、プロセッサまたはマイクロコントローラによる使用に適した大きさに縮小することを含む。さらに別のステップ1212は、縮小した電気信号出力を基礎として、距離および距離に対応する値のうち1つを決定することを含む。さらなるステップ1214は、距離および距離に対応する値のうち1つに対応するデータを生成することを含む。オプションのステップ1216は、生成したデータをエンコードすることを含む。さらに別のステップ1218は、トランスポンダのアンテナを選択的に分路して、トランシーバのアンテナを変調してデータ通信を行うことを含む。別のステップ1220は、トランシーバのアンテナの変調を検出することを含む。さらに別のステップ1222は、検出した変調に対応するデータを出力することを含む。さらなるオプションのステップ1224は、オプションのエンコードステップ1216と協調的な方法で、データをデコードすることを含む。さらなる別のステップ1226は、距離を示すデータまたはその他のデジタル信号を出力することを含む。
【0058】
以上、本発明を前述した実施の諸形態を参照して説明し、また開示した実施の諸形態における構成部品間の構造および構造上の相互関係にかなりの重点を置いてきたが、本発明は、他の実施形態で実施することもでき、図示および説明した実施形態には、本発明の原理から逸脱することなく多くの変更を加えることが可能であることが理解されるであろう。前述した詳細な説明を読み、これを理解した諸氏が修正および改変を着想できることは明らかである。したがって、上で説明した事項は、本発明を説明するためのものにすぎず、限定を加えるものではないと解釈するべきであるということを、明確に理解すべきである。このように、本発明は、添付の請求項およびその同等物の範囲に収まる限度で、そのような修正および改変をすべて含むものとして解釈されるよう意図されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本件新構想に係るトランシーバの実施の形態の1つを概略的に示す。
【図2】図1に示したトランシーバの代替の実施の形態を概略的に示す。
【図3】図1のトランシーバとして作動する電子回路の実施の形態の1つの図である。
【図4】本件新構想に係るトランスポンダの実施の形態の1つを概略的に示す。
【図5】図4のトランスポンダとして作動する電子回路の実施の形態の1つの図である。
【図6】変調波部分を有する電磁搬送波を示す。
【図7】本件新構想に係る距離指示方法の1つのステップを示すフローチャートである。
【図8】本件新構想に係る高さ指示システムを有し、かつこれを支持する流体サスペンション部材の側面図であり、部分的な断面図を含む。
【図9】本件新構想に係るトランシーバの代替の実施の形態を概略的に示す。
【図10】本件新構想に係るトランスポンダの代替の実施の形態を概略的に示す。
【図11】図10のトランスポンダとして作動する電子回路の実施の形態の1つを概略的に示す。
【図12】周波数偏移キーイングを用いて変調した電磁搬送波を示す。
【図13】位相偏移キーイングを用いて変調した電磁搬送波を示す。
【符号の説明】
【0060】
100、200、900 トランシーバ
102、202、902 搬送波生成器
104、204、904 アンテナ
106、206、906 変調検出器
108 増幅器
112、212、912 電源回路
208 A/D変換器
210 マイクロコントローラ
400、1000 トランスポンダ
402、1002 アンテナ
404、1004 電力回路
406、1010 分路
908 マイクロコントローラ
1006 スケーラ
1008 マイクロコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と結合して用いる空気バネのための距離指示システムにおいて、
該結合した空気バネが、
エラストマー壁により共に固定され該結合した空気バネに加わる負荷に対応して互いに相対的に移動するようにした第1および第2の支持部材を含み、
前記距離指示システムが、
電磁波を送出するトランシーバと、
該トランシーバと距離を隔て、該距離に応じて前記電磁波に変調を与えるトランスポンダと、を含み、
前記トランシーバおよび前記トランスポンダの1つが、前記第1および第2支持部材の1つに支持されている、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の距離指示システムにおいて、
前記変調は、前記距離と比例関係にある、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項3】
請求項1に記載の距離指示システムにおいて、
前記変調を、前記トランスポンダから前記トランシーバへのデータ通信に利用し、
前記データは、前記距離と対応関係にある、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の距離指示システムにおいて、
前記トランシーバおよび前記トランスポンダが、
アンテナを含み、
該アンテナを通じて磁気的に誘導結合されている、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項5】
請求項4に記載の距離指示システムにおいて、
前記トランスポンダは、
前記トランシーバから前記誘導結合を通じて電気エネルギーを収集し、前記トランスポンダに電力を供給するよう構成した電力回路を含む、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の距離指示システムにおいて、
さらに、上端部材と、
該上端部材と間隔を置いた下端部材と、
該上端および下端部材の間に支持したフレキシブルなバネ部材とを含み、
前記トランシーバが、前記上端部材および前記下端部材の1つに支持され、
前記トランスポンダが、前記上端部材および前記下端部材の残りの1つに支持されている、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項7】
請求項6に記載の距離指示システムにおいて、
前記上端部材が、結合した車両の第1部分に支持され、
前記下端部材が、結合した車両の第2部分に支持されている、
ことを特徴とする距離指示システム。
【請求項8】
エアサスペンションアセンブリのフレキシブルなバネにより相互に連結した第1および第2の構造部材の間の距離を決定する方法において、
該方法は、
a)前記第1構造部材に指示したトランシーバを提供するステップと、
b)該トランシーバと間隔を置いて支持されているトランスポンダを提供するステップと、
c)電磁波を送出するステップと、
d)該電磁波に前記トランシーバと前記トランスポンダの間の距離に応じて変調を与えるステップと、
e)前記電磁波の前記変調の大きさを検出するステップと、
f)前記トランシーバと前記トランスポンダの間の前記距離を決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
ステップd)は、前記電磁波の前記変調を、前記トランスポンダと前記トランシーバとの間の磁気的誘導結合を用いて行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、
ステップf)をステップd)およびe)の前に行い、
前記方法は、
前記距離に対応したデータを生成し、および該データを前記トランシーバに伝達するステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。

【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−527327(P2008−527327A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549425(P2007−549425)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045315
【国際公開番号】WO2006/073717
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(507224484)ビーエフエス デバーシファイド プロダクツ エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】