説明

距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法

【課題】距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法を提供する。
【解決手段】本発明による距離継電を制御する距離継電処理システムは、落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成する落雷管理装置と、送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成し、故障発生情報及び落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成する距離継電装置と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離継電装置に関し、詳細には、落雷データを用いた距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業経済の急激な成長により、電力需要はますます増大しており、夏季ピーク時の電力消耗は電力供給設備の総供給量と略同一となっている。このため、国家レベルの国民の協力が要請されている。さらに、最近、都市への急激な人口集中や、各種小規模の産業体、大型ビル、アパート団地などの大型化に伴う電気エネルギーの消費が急激に増加して、都心への大容量の送電が行われている。このため、地中送電線路及び架空と地中の混合された混合送電線路の建設が急速に増大している。
【0003】
このような送電線路において、地絡、落雷などによる事故が発生した場合には、故障区間を遮断する継電装置が用いられている。
【0004】
継電装置は、電力系統が大規模化、複雑化されるに従い、送電線路を保護するための、マイクロプロセッサを利用したデジタル継電装置が実用化されることになり、従来のアナログ保護継電装置ではなし得なかった多様で複雑な技術を実現できるようになった。
【0005】
様々な送電線路保護装置の中で、最も広く用いられている距離継電装置は、予め定められた電気量または物理量により動作し、接点を開閉することにより電気回路を制御する。具体的に、距離継電装置は、送電線路に短絡や接地故障などが発生した場合あるいは絶縁破壊や電線の他の部分に悪影響を及ぼす異常運転が発生した場合に、その問題となった部分を迅速に遮断する。
【0006】
しかし、従来の距離継電装置は、送電線路に落雷により故障が発生した場合にその故障位置を迅速に把握及び復旧することが必要であるが、位置ずれにより故障位置を正確に判断することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、こうした従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、落雷データを用いて、故障した送電線路の位置を判断する距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、故障した送電線路の位置を正確で迅速に判断できる距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法を提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の目的は、故障した送電線路の位置に対する位置ずれを最小化できる距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、距離継電を制御する距離継電処理システムが提供される。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、距離継電を制御する距離継電処理システムは、落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成する落雷管理装置と、送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成し、上記故障発生情報及び上記落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成する距離継電装置と、を含む。
【0012】
また、上記距離継電装置は、上記故障発生情報と上記落雷統合情報とを比較して誤差値を生成し、上記故障発生情報から上記誤差値を除去して上記故障分析情報を生成する。
【0013】
また、上記距離継電装置は、複数の継電器のうち、上記送電線路の故障位置を判断した少なくとも一つの上記継電器から提供される距離値を分析して上記故障発生情報を生成する。
【0014】
また、上記落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0015】
また、上記故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0016】
上記落雷管理装置は、複数の落雷感知器のうち、落雷を感知した少なくとも一つの上記落雷感知器から提供される上記落雷感知情報を分析して上記落雷統合情報を生成する。
【0017】
また、上記落雷管理装置は、上記落雷統合情報を伝送時間ごとに上記距離継電装置に伝送する。ここで、上記伝送時間とは上記落雷統合情報を上記距離継電装置へ伝送する時間であって上記落雷管理装置にて設定される。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、落雷管理装置に接続される距離継電装置が提供される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、落雷管理装置に接続される距離継電装置であって、送電線路の故障位置を判断する継電器と、上記継電器で判断した結果を用いて故障発生情報を生成する生成部と、上記落雷管理装置から受信した落雷統合情報及び上記故障発生情報を用いて故障分析情報を生成する分析部と、を含むことを特徴とする距離継電装置が提供される。
【0020】
また、上記分析部は、上記故障発生情報と上記落雷統合情報とを比較して誤差値を生成し、上記故障発生情報から上記誤差値を除去して上記故障分析情報を生成する。
【0021】
また、上記生成部は、複数の継電器のうち、送電線路の故障位置を判断した少なくとも一つの上記継電器から提供される距離値を分析して上記故障発生情報を生成する。
【0022】
また、上記距離継電装置は、上記故障分析情報を表示する表示部をさらに含む。
【0023】
また、上記落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報のうちの少なくとも一つを含み、上記故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0024】
本発明のまた他の一実施形態によれば、距離継電処理システムが距離継電を制御する方法が提供される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、距離継電処理システムが距離継電を制御する方法であって、送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成するステップと、落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成するステップと、上記故障発生情報及び上記落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成するステップと、を含むことを特徴とする距離継電処理方法が提供される。
【0026】
また、上記故障発生情報及び上記落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成するステップは、上記故障発生情報及び上記落雷統合情報を比較して誤差値を生成するステップと、上記故障発生情報から上記誤差値を除去して上記故障分析情報を生成するステップとを含む。
【0027】
また、上記送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成するステップは、複数の継電器のうち、上記送電線路の故障位置を判断した少なくとも一つの継電器から距離値を提供されるステップと、上記距離値を分析して上記故障発生情報を生成するステップとを含む。
【0028】
また、上記落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成するステップは、複数の落雷感知器のうち、落雷を感知した少なくとも一つの上記落雷感知器から提供される上記落雷感知情報を分析して上記落雷統合情報を生成するステップであってもよい。
【0029】
また、上記落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0030】
また、上記故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報のうちの少なくとも一つを含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明による距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法によれば、落雷データを用いて故障した送電線路の位置を判断することができる。
【0032】
本発明による距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法によれば、故障した送電線路の位置を迅速で正確に判断することができる。
【0033】
本発明による距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法によれば、故障した送電線路の位置ずれを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による距離継電処理システムを簡略に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による距離継電処理システムの落雷管理装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による距離継電処理システムの距離継電装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による距離継電処理方法を簡略に示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による距離継電処理方法を詳細に示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による距離継電処理システムの落雷感知器及び継電器を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるため、本願では特定実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0036】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるに過ぎず、構成要素がそれらの用語により限定されるものではない。それらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。
【0037】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施形態を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組合せたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組合せたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0038】
以下、本発明による距離継電装置、距離継電処理システム及び距離継電処理方法の実施形態を添付図面を参照して詳しく説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一であるか対応する構成要素には同一の図面番号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態による距離継電処理システムを簡略に示すブロック図である。
【0040】
図1を参照すると、距離継電処理システム100は、落雷が発生して送電線路に故障が発生するとこれを感知して故障区間を遮断する。このために、距離継電処理システム100は落雷管理装置200及び距離継電装置300を含む。
【0041】
落雷管理装置200は、距離継電装置300に接続しており、落雷が発生すると落雷の発生した位置を感知する。そして、落雷管理装置200は、感知した情報を用いて落雷統合情報を生成する。落雷管理装置200は生成した落雷統合情報を距離継電装置300に伝送する。このとき、落雷管理装置200は、無線通信方式及び有線通信方式のうちの少なくとも一つの方式で落雷統合情報を距離継電装置300に伝送することができる。落雷管理装置200については、図2を参照して詳細に説明する。
【0042】
距離継電装置300は、落雷管理装置200に接続しており、送電線路に故障が発生すると故障位置を判断する。距離継電装置300は、判断した故障位置を用いて故障発生情報を生成する。距離継電装置300は、落雷管理装置200から受信した落雷統合情報及び故障発生情報を用いて故障分析情報を生成する。距離継電装置300は、図3を参照して詳細に説明する。
【0043】
図2は、本発明の一実施形態による距離継電処理システムの落雷管理装置を示すブロック図である。
【0044】
図2を参照すると、落雷管理装置200は、第1乃至第4落雷感知器213,215,217,219と、処理部220と、落雷感知記憶部230と、伝送部240と、を含む。
【0045】
第1乃至第4落雷感知器213,215,217,219のそれぞれは多数位置に配置されて落雷が発生すると落雷を感知する。以下、第1乃至第4落雷感知器213,215,217,219を落雷感知器210と通称する。落雷感知器210は、感知領域に落雷が発生すると落雷を感知して落雷感知情報を生成する。そして、落雷感知器210は、生成した落雷感知情報を処理部220に提供する。このとき、落雷感知器210は、無線通信方式を用いて落雷感知情報を処理部220に提供してもよい。
【0046】
図2には4つの落雷感知器210を示したが、これに限定されず、落雷感知器210の数に関係なく落雷を感知できれば本発明を実現することができる。
【0047】
処理部220は、落雷を感知した少なくとも一つの落雷感知器210のそれぞれから落雷感知情報の提供を受ける。処理部220は、提供された落雷感知情報を分析し、演算して落雷統合情報を生成する。このとき、落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報を含む。処理部220は、落雷統合情報を距離継電装置300に伝送するよう伝送部240を制御する。
【0048】
ここで、処理部220は、距離継電装置300に伝送する情報の伝送時間を設定することができる。処理部220は、伝送部240を制御して伝送時間ごとに落雷統合情報を距離継電装置300に伝送することができる。
【0049】
一方、落雷が発生しなかった場合、処理部220は、落雷が発生しなかったという落雷未発生情報を生成して伝送時間ごとに伝送部を介して距離継電装置300に伝送することができる。
【0050】
落雷感知記憶部230は、落雷管理装置200で生成されたデータを記憶する。具体的に、落雷感知記憶部230は、落雷感知器210で生成された落雷感知情報を記憶でき、処理部220で生成された落雷統合情報を記憶できる。また、落雷感知記憶部230は、処理部220及び伝送部240から要請されるデータを提供することができる。
【0051】
伝送部240は、距離継電装置300の受信部330に接続される。伝送部240は処理部220で生成された落雷統合情報を受信部330に伝送する。このとき、伝送部240は、無線で受信部330に接続されて無線通信方式で落雷統合情報を伝送してもよく、有線で受信部330に接続されて有線通信方式で落雷統合情報を伝送してもよい。
【0052】
一方、伝送部240は、距離継電装置300の受信部330に落雷未発生情報を伝送することもできる。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態による距離継電処理システムの距離継電装置を示すブロック図である。
【0054】
図3を参照すると、距離継電装置300は、第1乃至第4継電器313,315,317,319と、生成部320と、受信部330と、分析部340と、表示部350と、距離継電記憶部360と、を含む。
【0055】
第1乃至第4継電器313,315,317,319は、それぞれに接続されている送電線路に故障が発生した場合、これを判断する。以下、第1乃至第4継電器313,315,317,319を継電器310と通称する。継電器310は、落雷によって送電線路に故障が発生した場合、故障した位置を判断して距離値を生成する。そして、継電器310は、距離値を生成部320に提供する。継電器310は無線通信方式で距離値を生成部320に提供してもよい。
【0056】
図3には4つの継電器310を示したが、これに限定されず、継電器310の数に関係なく送電線路の故障を判断きれば本発明を実現することができる。
【0057】
生成部320は、送電線路の故障を感知した複数の継電器310のそれぞれから距離値の提供を受ける。生成部320は距離値を分析し、演算して故障発生情報を生成する。ここで、故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報を含む。
【0058】
受信部330は、落雷管理装置200の伝送部240に接続しており、落雷統合情報を受信する。このとき、受信部330は、落雷管理装置200の伝送部240に有線で接続されて有線通信方式で落雷統合情報を受信してもよく、伝送部240に無線で接続されて無線通信方式で落雷統合情報を受信してもよい。一方、受信部330は、伝送部240から落雷未発生情報も受信することができる。
【0059】
分析部340は、故障発生情報及び落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成する。具体的に、分析部340は、故障発生情報及び落雷統合情報を比較して誤差値を生成する。分析部340は、故障発生情報から誤差値を除去して故障分析情報を生成する。このように、落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成するので、従来の送電線路における故障位置の判断よりも正確な位置を判断することができる。
【0060】
一方、分析部340は、継電器310から提供された距離値を用いて生成部で生成された故障発生情報を受け、受信部330から落雷未発生情報を受けた場合、落雷によって送電線路に故障が発生したわけではないため、落雷統合情報を用いずに故障発生情報のみを用いて故障分析情報を生成することもできる。
【0061】
表示部350は、落雷により送電線路が故障した場合に、故障位置及び時間を含む故障分析情報を表示する。このとき、使用者は、表示部350を介して故障位置及び時間を確認することができ、これを用いて送電線路に発生した故障に対処することができる。
【0062】
距離継電記憶部360は距離継電のために必要なデータ及び距離継電のために生成されたデータを記憶する。すなわち、距離継電記憶部360は、継電器310で判断された距離値を記憶でき、生成部320で生成された故障発生情報を記憶できる。距離継電記憶部360は、受信部330から受信された落雷統合情報を記憶でき、分析部340で生成された誤差値及び故障分析情報を記憶できる。また、距離継電記憶部360は、生成部320、分析部340及び表示部350の要請による必要とされるデータを提供する。
【0063】
以下では、本発明による距離継電を処理する方法について、図4を参照して簡略に説明する。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態による距離継電処理方法を簡略に示すフローチャートである。
【0065】
図4を参照すると、先ず、ステップS410で、落雷が発生して送電線路に故障が発生する。送電線路に故障が発生すると、距離継電処理システム100は、ステップS430で、送電線路の故障位置を判断する。すなわち、距離継電処理システム100の距離継電装置300は、継電器310を用いて送電線路の故障位置を判断し、故障発生情報を生成する。
【0066】
落雷が発生すると、距離継電処理システム100は、ステップS450で、落雷を感知する。具体的に、距離継電処理システム100の落雷管理装置200は、落雷感知器210を用いて落雷を感知し、落雷統合情報を生成する。そして、落雷管理装置200は、落雷統合情報を距離継電装置300に伝送する。
【0067】
ステップS470で、距離継電処理システム100は、故障発生情報及び落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成する。すなわち、距離継電処理システム100の距離継電装置300は、送電線路の故障位置を判断した故障発生情報と落雷管理装置200から受信した落雷統合情報とを用いて故障分析情報を生成する。
【0068】
以下に、本発明による距離継電を処理する方法について図5を参照して詳細に説明する。
【0069】
図5は、本発明の一実施形態による距離継電処理方法を詳細に示すフローチャートである。
【0070】
図5を参照すると、先ず、ステップS511で、距離継電処理システム100の距離継電装置300は、送電線路の故障位置を判断する。具体的に、距離継電装置300に含まれている第1乃至第4継電器313,315,317,319中、故障が発生した送電線路に接続された少なくとも一つの継電器310は、送電線路の故障位置を判断して距離値を生成する。
【0071】
ステップS513で、距離継電処理システム100の距離継電装置300は、判断した故障位置を用いて故障発生情報を生成する。すなわち、距離継電装置300の生成部320は、継電器310のそれぞれから提供された距離値を分析し、演算して故障発生情報を生成する。このとき、故障発生情報は送電故障時間情報及び送電故障位置情報を含み、送電故障時間情報は、送電線路に故障が発生した時間情報であり、送電故障位置情報は、送電線路に故障が発生した位置情報である。
【0072】
距離継電処理システム100の落雷管理装置200は、ステップS515で落雷を感知し、ステップS517で落雷感知情報を生成する。すなわち、落雷管理装置200に含まれた第1乃至第4落雷感知器210中、落雷を感知した少なくとも一つの落雷感知器210は、落雷感知情報を生成する。落雷感知器210は、生成された落雷感知情報を落雷管理装置200の処理部220に伝送する。
【0073】
ステップS519で、距離継電処理システム100の落雷管理装置200は、落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成する。具体的に、落雷管理装置200の処理部220は、落雷を感知した少なくとも一つの落雷感知器210のそれぞれから提供される落雷感知情報を分析し、演算して落雷統合情報を生成する。例えば、処理部220は、複数の落雷感知器210と距離継電処理システム100との間の距離及び複数の落雷感知情報が受信された時間を用いて落雷が発生した時間を判断し、複数の落雷感知情報に含まれた位置情報を用いて落雷が発生した位置を判断して落雷統合情報を生成することができる。このとき、落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流大きさの情報を含む。
【0074】
ステップS521で、距離継電処理システム100の落雷管理装置200は、落雷統合情報を伝送する。すなわち、落雷管理装置200の伝送部240は、処理部220で生成された落雷統合情報を距離継電装置300の受信部330に伝送する。このとき、距離継電装置300の受信部330は、落雷管理装置200の伝送部240から落雷統合情報を受信する。
【0075】
ステップS523で、距離継電処理システム100の距離継電装置300は、故障発生情報と落雷統合情報とを比較する。距離継電装置300の分析部340は、生成部320で生成された故障発生情報と受信部330から提供される落雷統合情報とを比較して誤差値を生成する。このように、故障発生情報と落雷統合情報とを比較する理由は、送電線路に故障が発生すると、自回線及び他回線の相互作用により、継電器310にて判断した故障発生情報に誤差が生じ得るため、故障した送電線路の正確な位置を判断するためである。
【0076】
ステップS525で、距離継電処理システム100の距離継電装置300は、故障分析情報を生成する。距離継電装置300の分析部340は、故障発生情報から誤差値を除去して故障分析情報を生成する。このとき、故障分析情報は、落雷によって故障した送電線路の位置及び時間を示す落雷送電故障位置情報及び落雷送電故障時間情報を含む。
【0077】
その後、距離継電処理システム100の表示部350は、送電線路の故障位置及び時間を示す故障分析情報を表示する。
【0078】
本発明による距離継電処理方法について、図6の例示図を参照して説明する。
図6は、本発明の一実施形態による距離継電処理システムの落雷感知器及び継電器を示す例示図である。
【0079】
図6に示すように、落雷が発生して送電線路400における参照番号350に故障が発生したことを例に挙げて説明する。
【0080】
落雷が発生したため、第1及び第2落雷感知器213,215のそれぞれは落雷を感知し、第1及び第2落雷感知情報l1,l2を生成する。第1及び第2落雷感知器213,215は、落雷管理装置200の処理部220に第1及び第2落雷感知情報l1,l2を提供する。処理部220は、第1及び第2落雷感知情報l1,l2を用いて落雷が発生した位置350、時間及び落雷の大きさを判断して落雷統合情報を生成する。このとき、落雷統合情報は、第1及び第2落雷感知器213,215で落雷を感知し、生成した情報であるため、落雷が発生した位置350を正確に確認することができる。
【0081】
送電線路400に故障が発生したため、第1及び第2継電器313,315は、故障が発生した位置370を判断して第1及び第2距離値d1、d2を生成する。しかし、第1継電器313は、自回線及び他回線の相互作用により判断したインピーダンスの大きさを故障位置までのインピーダンスよりも小さく判断して第1距離値d1を生成し、第2継電器315は、自回線及び他回線の相互作用により判断したインピーダンスの大きさを故障位置までのインピーダンスよりも大きく判断して第2距離値d2を生成する。
【0082】
生成部320は、第1及び第2継電器313,315から提供された第1及び第2距離値d1、d2を用いて故障発生情報370を生成する。このように、生成された故障発生情報370には、実質的に故障の発生した位置ではなく、自回線及び他回線の相互作用によりずれた位置情報が含まれることになる。
【0083】
以後、分析部340は、落雷統合情報及び故障発生情報370を比較して誤差値eを生成する。そして、分析部340は、故障発生情報から誤差値eを除去して実質的に故障が発生した位置350を含む故障分析情報を生成する。
【0084】
したがって、本発明による距離継電処理システム100は、落雷管理装置200から提供される落雷統合情報を用いるので、位置ずれが発生した送電線路の位置を正確で迅速に判断することができる。
本発明の実施形態による距離継電処理方法は、多様なコンピューター手段を通じて行われ得るプログラムの命令形態で具体化され、コンピューター読み取り可能な媒体に記録されることができる。コンピューター読み取り可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを、単独でまたは組み合わせて含むことができる。
コンピューター読み取り可能な媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計されて構成されたものであるか、コンピューターソフトウェア分野の当業者に公知ものを使用することができる。コンピューター読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピィーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD−ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto−optical media)及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリーなどのようなプログラム命令を記憶して行うよう特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。また、上記媒体はプログラム命令、データ構造などを指定する信号を伝送する搬送波を含む、光または金属線、導波管などの伝送媒体を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラにより作られるような機械語コードだけではなく、インタープリターなどを使用して、コンピューターにより実行できる高級言語コードを含むことができる。上記のハードウェア装置は、本発明の動作を行うために、一つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成でき、その逆も同様である。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想及び趣旨から外れない範囲で本発明を多様に変更、実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
100 距離継電処理システム
200 落雷管理装置
213,215,217,219 落雷感知器
220 処理部
240 伝送部
300 距離継電装置
313,315,317,319 継電器
320 生成部
330 受信部
340 分析部
350 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離継電を制御する距離継電処理システムであって、
落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成する落雷管理装置と、
送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成し、前記故障発生情報及び前記落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成する距離継電装置と、
を含むことを特徴とする距離継電処理システム。
【請求項2】
前記距離継電装置は、
前記故障発生情報と前記落雷統合情報とを比較して誤差値を生成し、前記故障発生情報から前記誤差値を除去して前記故障分析情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の距離継電処理システム。
【請求項3】
前記距離継電装置は、
複数の継電器のうち、前記送電線路の故障位置を判断した少なくとも一つの前記継電器から提供される距離値を分析して前記故障発生情報を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の距離継電処理システム。
【請求項4】
前記落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の距離継電処理システム。
【請求項5】
前記故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の距離継電処理システム。
【請求項6】
前記落雷管理装置は、
複数の落雷感知器のうち、落雷を感知した少なくとも一つの前記落雷感知器から提供される前記落雷感知情報を分析して前記落雷統合情報を生成することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の距離継電処理システム。
【請求項7】
前記落雷管理装置は、
前記落雷統合情報を伝送時間ごとに前記距離継電装置に伝送し、
前記伝送時間は、前記落雷統合情報を前記距離継電装置に伝送する時間であって前記落雷管理装置にて設定されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の距離継電処理システム。
【請求項8】
落雷管理装置に接続する距離継電装置であって、
送電線路の故障位置を判断する継電器と、
前記継電器で判断した結果を用いて故障発生情報を生成する生成部と、
前記落雷管理装置から受信された落雷統合情報と前記故障発生情報とを用いて故障分析情報を生成する分析部と、
を含むことを特徴とする距離継電装置。
【請求項9】
前記分析部は、
前記故障発生情報と前記落雷統合情報を比較して誤差値を生成し、前記故障発生情報から前記誤差値を除去して前記故障分析情報を生成することを特徴とする請求項8に記載の距離継電装置。
【請求項10】
前記生成部は、
複数の継電器のうち、送電線路の故障位置を判断した少なくとも一つの前記継電器から提供される距離値を分析して前記故障発生情報を生成することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の距離継電装置。
【請求項11】
前記故障分析情報を表示する表示部をさらに含むことを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の距離継電装置。
【請求項12】
前記落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報のうちの少なくとも一つを含み、
前記故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の距離継電装置。
【請求項13】
距離継電処理システムが距離継電を制御する方法であって、
送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成するステップと、
落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成するステップと、
前記故障発生情報及び前記落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成するステップと、
を含むことを特徴とする距離継電処理方法。
【請求項14】
前記故障発生情報及び前記落雷統合情報を用いて故障分析情報を生成するステップは、
前記故障発生情報及び前記落雷統合情報を比較して誤差値を生成するステップと、
前記故障発生情報から前記誤差値を除去して前記故障分析情報を生成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項13に記載の距離継電処理方法。
【請求項15】
前記送電線路の故障位置を判断して故障発生情報を生成するステップは、
複数の継電器のうち、前記送電線路の故障位置を判断した少なくとも一つの継電器から距離値の提供を受けるステップと、
前記距離値を分析して前記故障発生情報を生成するステップと、を含むことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の距離継電処理方法。
【請求項16】
前記落雷感知器から提供される落雷感知情報を用いて落雷統合情報を生成するステップは、
複数の落雷感知器中、落雷を感知した少なくとも一つの前記落雷感知器のそれぞれから提供される前記落雷感知情報を分析して前記落雷統合情報を生成するステップであることを特徴とする請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の距離継電処理方法。
【請求項17】
前記落雷統合情報は、落雷発生時間情報、落雷発生位置情報及び落雷電流の大きさ情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項13から請求項16までのいずれか1項に記載の距離継電処理方法。
【請求項18】
前記故障発生情報は、送電故障時間情報及び送電故障位置情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項13から請求項17までのいずれか1項に記載の距離継電処理方法。
【請求項19】
請求項13から請求項18までのいずれか1項に記載の距離継電処理システムで実行可能な命令語が具体化されて距離継電処理システムにより読み取りできるプログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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