路肩保護ブロック、路肩構造及び現場打ちコンクリート型枠
【課題】小型軽量で安価かつ作業性に優れ、ガードレールの支柱を立設する部分にも同一形状のブロックを用いることができ、必要に応じて法面保護板や防草シートの取り付けも可能な路肩保護ブロック及び路肩構造を提供する。
【解決手段】プレキャストコンクリートのブロックをできるだけ小さく軽量にして人力施工も可能な構造とした路肩保護ブロック1aと、その内側に打設した現場打ちコンクリート9又はその外側に設けた防草シート16などとのハイブリッド構造により、それぞれの現場の状況に応じた態様で路肩を保護する。路肩保護ブロック1aは、隣接するものと長手端面相互を連接して、敷設される。現場打ちコンクリート9は、敷設した路肩保護ブロック1aの内側面に接合して打設する。
【解決手段】プレキャストコンクリートのブロックをできるだけ小さく軽量にして人力施工も可能な構造とした路肩保護ブロック1aと、その内側に打設した現場打ちコンクリート9又はその外側に設けた防草シート16などとのハイブリッド構造により、それぞれの現場の状況に応じた態様で路肩を保護する。路肩保護ブロック1aは、隣接するものと長手端面相互を連接して、敷設される。現場打ちコンクリート9は、敷設した路肩保護ブロック1aの内側面に接合して打設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の路肩の保護及び成形のために用いる路肩保護ブロック、当該ブロックを用いた道路の路肩構造及び当該構造を施工する際に用いる型枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な道路は、アスファルト舗装されているが、盛土上に設けた道路のように、道路の側方が下り勾配の斜面や崖になっている道路では、路肩部分をプレキャストコンクリートの路肩保護ブロックや現場打ちコンクリートで保護している。従来の路肩保護ブロックは、ある程度の幅寸法、例えば500mm程度の幅寸法を備えた平板状のブロックであるが、路肩に設けるガードレールの支柱を立設するための根巻ブロックと呼ばれる台ブロックを一体化したブロックや、根巻ブロックと干渉しないように切欠を設けたブロックも必要である。
【0003】
また、盛土上の道路に設けられる路肩保護ブロックとして、道路の側方の法面を保護する法面保護ブロックを一体に設けた路肩保護ブロックや、施工現場で法面保護ブロックを連接一体化できるようにした路肩保護ブロックも提供されている。
【0004】
更に、法面に雑草が生い茂るのを防止するために法面に覆着する防草シートの上縁を係止する治具を設けた路肩保護ブロックも提案されている。
【0005】
一方、路肩を現場打ちコンクリートで保護するときは、路肩の外側端縁となる部分に型枠となる高さの低いパネルを配置して、コンクリートの打設を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、路肩保護ブロックとして従来種々のものが提案されているが、いずれも500mm程度の幅寸法を備えた平板状を基本形状とするブロックであるために、大型で重く、製造及び施工がコスト高になるという問題があった。また、ガードレールの支柱を立設する部分に形状の異なるブロックが必要であるとか、路肩の状態によっては、幅寸法や厚さ寸法の異なるブロックが必要となるために、成形型枠の種類も多くなり、コストを更に上昇させ、型枠の保管や異なる形状毎の成形個数の管理が煩雑になるなどの問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような従来の路肩保護ブロックの問題点を解決するためになされたもので、小型軽量で、型枠も小型でよいために安価であり、作業性に優れると共に、ガードレールの支柱を立設する部分にも同一形状のブロックを用いることができ、かつ必要に応じて法面を保護する保護板や防草シートの取り付けも可能な路肩保護ブロック及び当該ブロックを用いた路肩構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の問題点を解決するために、プレキャストコンクリートのブロック1(1a、1b、1c)をできるだけ小さく軽量にし、人力施工も可能な構造とした。上記のような路肩保護ブロック1だけでは路肩の保護が不十分であるが、この路肩保護ブロック1a、1bとその内側に打設した現場打ちコンクリート9とのハイブリッド構造とすることにより、それぞれの施工現場に応じた必要かつ充分な強度で路肩を保護することができる。また、あまり強度を必要としない施工現場においては、路肩保護ブロック1cとその外側で路肩を覆うコンクリート版、繊維補強コンクリート版、合成樹脂板、鋼板などの法面保護用の板材や防草用のシート材16とのハイブリッド構造により、簡易で安価な路肩保護構造を得ることができる。
【0009】
この発明の道路の路肩構造は、路側の外側に下り勾配の斜面ないし崖面を有する舗装道路の路肩を保護する路肩構造である。道路の路肩に沿って敷設された道路の延在方向に細長い路肩保護ブロック1a、1bと、当該ブロックの内側面3と道路の舗装層の側縁とに接合して両者の間に設けた現場打ちコンクリート9とを備えている。路肩保護ブロック1a、1bは、内側面3を道路の中心側に向けて、隣接するものと長手端面11相互を連接して、敷設される。
【0010】
路肩にガードレールの支柱を立設する箇所には、敷設した路肩保護ブロック1a、1bの内側となる位置に、当該支柱を立設するための台ブロック29を配置し、その後で打設される現場打ちコンクリート9で、当該台ブロック29と路肩保護ブロック1a、1bとを一体化する。台ブロック29としては、根巻ブロックと呼ばれる従来構造のものをそのまま用いることができる。
【0011】
上記の路肩構造に用いるこの発明の路肩保護ブロック1a、1bは、細長いプレキャストコンクリートのブロックであって、平坦な底面2と、凹凸のある内側面3と、この内側面の反対側に位置する外側面4と、平坦な又は畝状に突出した内側上面5、5bと、外側面4側が低くなる方向に傾斜した外側上面6と、内側上面5、5bと外側上面6との境界に形成した外側上面6側を低くした段差7とを備えた、中実断面のコンクリートブロックである。
【0012】
上記の路肩保護ブロック1a、1bの外側上面6には、道路側方の下り勾配の斜面ないし崖面を保護するコンクリート版などの法面保護用の板材や防草用のシート材16などを止着するための埋込ナット10を設けることもできる。この埋込ナット10は、隣接するブロック間においても等間隔になるように、設ける。
【0013】
ブロックの外側上面6に埋込ナット10を設けた路肩保護ブロック1a、1b、1cを用いた路肩構造においては、当該埋込ナット10に上縁部を係止して、道路の側方の地表面を覆う保護板や防草シート16を取付けることができる。取付けた防草シート16の下縁部は、地表面に設けたコンクリート枕木18や、地表面に打込まれるアンカーピン17、19で止着する。
【0014】
強度をあまり必要としない道路においては、路肩保護ブロックと道路のアスファルト舗装15との間に設ける現場打ちコンクリート9を省略して、路肩保護ブロック1の外側上面6に設けた埋込ナット10に上縁部を係止して、路肩を含む道路の側方の地表面を覆う保護板や防草シート16を設けることにより、簡易で安価に施工できる路肩保護構造を得ることができる。路肩保護ブロック1cは、道路の舗装層の側縁となる位置に沿って長手端部を連接して敷設され、その後、当該ブロックの内側面3で側縁を規定して、アスファルト舗装15を設ける。上縁を路肩保護ブロック1に止着した保護板や防草シート16は、当該路肩保護ブロックの反道路側の水平な路肩面及び路肩に続く下り勾配の斜面ないし崖面に展開される。
【0015】
この場合に用いる路肩保護ブロック1cは、平坦な底面2と、道路のアスファルト舗装15の側縁に接合される内側面3cと、内側面3cの反対側に位置する外側面4と、平坦な内側上面5及び外側上面6cと、内側上面5と外側上面6cとの境界に形成した外側上面側を低くした段差7とを備えたブロックとするのが良く、当該ブロックの外側上面6cに保護板や防草シート16の上縁を止着するボルトのための埋込ナット10が埋設されている。好ましくは、ブロックの長手両端にブロック固定用のアンカーピン43を挿通するフック44を備えたものとする。
【0016】
この発明の路肩保護ブロック1は、1個の長さが800〜1500mmとし、重量が15〜40kgの範囲となる大きさのものとする。アスファルト舗装15との間に現場打ちコンクリート9を設けるブロック1a、1bには、ブロックの内側面3に、現場打ちコンクリート9との一体化を確実にするためのボルトやスタッドを取付けるための鉄筋連結用埋込ナット12を埋設しておくのが好ましい。
【0017】
路肩の状況によっては、路肩保護ブロック1を間隔を開けて配置したり、一部に路肩保護ブロック1を使用できない状況が生ずることがある。このような場合、間隔が開いた路肩保護ブロック1相互の間に打設される現場打ちコンクリートを路肩保護ブロック1と同一形状に成型する型枠30を用いることで、施工を容易にすることができる。すなわち、現場打ちコンクリート用の型枠として、当該現場で使用される路肩保護ブロック1の外側面4、外側上面6及び段差7を成型する成型面31と、これを路盤に定置するための基板32及びアンカーピン挿通孔38を備えた型枠30を間隔を開けて配置した路肩保護ブロック1の間に設置して、現場打ちコンクリート40を打設する。
【発明の効果】
【0018】
この発明の路肩構造を採用することにより、プレキャストコンクリートの路肩保護ブロック1を小型軽量にすることができ、型枠も小型で済み、1人で運搬及び敷設可能な重量にできるので、製造及び施工コストを大幅に削減できる。そして、現場打ちコンクリート9ないしアスファルト舗装15の施工の際に、路肩保護ブロック1が型枠の代りとなり、外観に優れた施工を容易に行うことができると共に、型枠の撤去も不要になるので、作業の省力化を図ることができる。
【0019】
また、この発明の路肩構造により、施工現場での路肩部の仕上り寸法が、現場打ちコンクリートや保護板ないし保護シートにより自由になる。すなわち、現場打ちコンクリートや保護板ないし保護シートの幅や厚さや材質を現場の状況に合わせて自由に設定することができ、路肩部の仕上り寸法をそれぞれの施工現場に応じた最適な寸法にできる。
【0020】
路肩保護ブロックと舗装層との間に現場打ちコンクリートを施工する路肩構造によれば、路肩保護ブロックを幅狭い寸法のものにしてその内側を現場打ちコンクリートにすることによって、ガードレールの支柱や根巻ブロックを配慮した特殊な形状のブロックを用意する必要が無くなり、現場でも複数種類のブロックを使い分ける煩雑さが解消される。
【0021】
道路の側方の法面を覆う防草シートの取付は任意に選択できる。路肩保護ブロックに予め取付用治具が埋め込んであるので、必要なときに、防草シートを簡単に取付けることができ、シートが劣化したときにも簡単に交換することができる。取付けた防草シートは、下縁部にコンクリート枕木を施してアンカーピンで固定することにより、強風でのシート捲れ上りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施例の路肩保護ブロックの正面図
【図2】図1の路肩保護ブロックを外側から見た側面図
【図3】図1の路肩保護ブロックの平面図
【図4】防草シートを取り付けた第1実施例の路肩構造の断面図
【図5】ガードレールの支柱を立設する部分の第1実施例の路肩構造の断面図
【図6】図5の路肩構造の部分平面図
【図7】現場打ちコンクリート型枠の正面図
【図8】図7の型枠の平面図
【図9】図7の型枠で成型される部分の路肩構造の断面図
【図10】第2実施例の路肩保護ブロックの正面図
【図11】防草シートを取り付けた第2実施例の路肩構造の断面図
【図12】第3実施例の路肩保護ブロックの正面図
【図13】図12の路肩保護ブロックの平面図
【図14】防草シートを取り付けた第3実施例の路肩構造の断面図
【図15】第3実施例の路肩保護ブロックの連接部の拡大縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明の路肩保護ブロック及び当該ブロックを用いた路肩構造について説明する。図1ないし図9は、この発明の第1実施例を示す図、図10及び図11は、第2実施例を示す図、図12ないし図15は、第3実施例を示す図である。
【0024】
第1実施例の路肩保護ブロック1aは、平坦な底面2と、凹凸を有する内側面3と、その反対側に位置する外側面4と、平坦な内側上面5と、外側面4側が低くなる方向に傾斜した外側上面6と、内側上面5と外側上面6との境界に形成された外側上面側が低くなる方向の段差7とを備えた細長いプレキャストコンクリート製品である。図の例では、内側面に長手方向の溝8を成形することにより、内側面3を凹凸面としている。
【0025】
好ましいブロック1aの大きさは、幅Wが100〜150mm、長さLが800〜1500mmで、高さHは路肩に設ける一般的な現場打ちコンクリート9の厚さ(100mm程度)寸法である。この程度の寸法の場合、ブロック1aの重量は、30kg以下となり、作業者が1人で持ち運んだり敷設することができる重量になる。
【0026】
傾斜した外側上面6には、複数の埋込ナット10が、隣接する同形のブロックと長手端面11相互を付き合せて連接したときに、隣接する埋込ナット相互の間隔が等間隔となるように埋設されている。長さ寸法Lを1000mmとした図の例では、長さ中央とその両側に333mmの間隔aを隔てた位置とに、合計3個の埋込ナット10が埋設されている。
【0027】
また、内側面の溝8の底面に、鉄筋連結用埋込ナット12が埋設されている。この鉄筋連結用埋込ナット12は、ブロック1aの長手両端部、及び必要に応じて、図4に示す現場打ちコンクリート9に設ける鉄筋23の配置位置に合わせて設ける。
【0028】
図4ないし図6は、図1ないし図3に示した路肩保護ブロック1aを用いた路肩構造を示す図で、9は現場打ちコンクリート、15はアスファルト舗装層、16は防草シート、17はU字形アンカーピン、18はコンクリート枕木、19はコンクリート枕木18を固定しているアンカーピンである。
【0029】
次に図4の路肩構造の施工手順を説明する。盛土20の上に必要な道路基礎を形成した後、路肩の端縁となる部分に図1〜3で説明した路肩保護ブロック1aを、その長手端面11相互を連接して配置する。路肩保護ブロック1aには、その鉄筋連結用埋込ナット12に予め全ねじ(全長にねじを切った棒状のねじ。スタット。)22をねじ込んでおくのが良い。次に所定幅、例えば500mm幅で現場打ちコンクリート9を打設する。この打設に際し、路肩保護ブロックの内側面3が現場打ちコンクリート9のための型枠として機能する。その後、道路の中央となる部分のアスファルト舗装15を行う。
【0030】
鉄筋連結用埋込ナット12にねじ込んだ全ねじ22は、現場打ちコンクリート9に埋設された状態となり、現場打ちコンクリート9と路肩保護ブロック1aとの接合を確実にするのに役立っている。必要があれば、現場打ちコンクリート9内に設ける用心鉄筋23を鉄筋連結用埋込ナット12にねじ込んだ全ねじ22に溶接する。
【0031】
図の路肩構造では、道路の側方の下り勾配の法面に防草シート16が覆着されている。防草シート16は、その上縁部分を路肩保護ブロックの外側上面6に接着剤で貼着し、かつ埋込ナット10にねじ込んだボルト13で止着して、取付けられている。
【0032】
法面には、防草シート16の下縁となる部分に図の紙面直角方向に細長いコンクリート枕木18を配置してある。このコンクリート枕木18には、アンカーピン19を挿通するための貫通孔が設けられている。上縁を路肩保護ブロック1aに止着した防草シート16の下縁は、コンクリート枕木18に接着剤で貼着し、アンカーピン19でコンクリート枕木18と共に法面に固定される。図の例では更に、U字形アンカーピン17を用いて防草シート16の適宜箇所を法面26に止着して、防草シート16のまくれ上がりやばたつきを防止している。
【0033】
路肩にガードレール27の支柱28を立設する部分には、図5、6に示すように、現場打ちコンクリート9を打設する前に、路肩保護ブロック1aの内側となる位置に、根巻ブロック29を埋設し、その後、現場打ちコンクリート9を打設する。その後の施工手順は、図4で説明した手順と同様である。根巻ブロック29は、現場打ちコンクリート9を介して路肩保護ブロック1aと一体化される。
【0034】
道路の路肩を保護する区間の長さが路肩保護ブロック1aの長さの整数倍とならないときや、道路が大きな曲率でカーブしている場合には、道路の長さや隣接する路肩保護ブロックとの配置角度の差に合せて、ブロックを切断するという面倒な作業が必要になる。この面倒な作業は、図7ないし9に示す現場打ちコンクリート用の型枠30を使用することによって解消することができる。
【0035】
この現場打ちコンクリート型枠30は、路肩保護ブロック1aの外側面4、外側上面6及び段差7に対応する面をそれぞれ成形する外側面成形部34、外側上面成形部36及び段差成形部37からなる面板31と、この面板の下縁から道路外側に延びる基板32とを備えている。面板31及び基板32は、1枚の鋼板を折曲げ成形することによって形成されており、その折曲げ形状を保持するための補強板33が溶接により取り付けられている。図の例で4枚設けた補強板33の両端のものには、この型枠の長手端相互を連結するボルトを挿通するためのボルト孔35が設けられ、基板32にはアンカーピン挿通孔38が設けられている。
【0036】
また、外側上面成形部36には、成形時に埋込ナット10を固定するボルト42を挿通するためのボルト挿通孔39が設けられている。図の例では、型枠30の長さを路肩保護ブロック1aの長さと等しい長さとし、4枚の補強板33を等間隔で配置し、かつ2枚の補強板33の間の中央に埋込ナット固定用のボルト挿通孔39を設けているが、施工の状況によっては、より短い長さの、例えば図で示したものの1/3の長さのものとするのが良い。
【0037】
上記構造の型枠30は、通常は道路の側縁に沿って配置した路肩保護ブロック1a相互の間の隙間を現場打ちコンクリート40で埋めるために用いられる。すなわち、路肩を保護する部分の道路長さが路肩保護ブロック1aの長さの整数倍とならない場合や、隣接するブロック相互の間に角度差をつけて路肩保護ブロック1aを配置した場合に、隣接する路肩保護ブロックを間隔をあけて配置し、隣接する両ブロックの端部の段差7、外側上面6及び外側面4に面板31が密着するようにして型枠30を設置し、アンカーピン挿通孔38に挿通したアンカーピン41で型枠30を路盤に固定する。そして、路肩保護ブロック1aの内側に現場打ちコンクリート9を打設する際に、ブロック相互の間の隙間にも当該コンクリートを打設して、ブロック間の隙間を当該ブロックの外側面と同一形状に成形した現場打ちコンクリート40で埋めるのである。
【0038】
以上のように、図7ないし9に示した型枠30は、路肩保護ブロック1aを間隔をあけて設置したときに、その間隔をあけた部分に打設する現場打ちコンクリートを成形するために使用されるが、何らかの条件で路肩保護ブロック1aを使用できない場合に、複数の型枠30の長手端部相互を連結して、この発明の路肩構造と同じ外観を備えた現場打ちコンクリート製の路肩構造を施工するのにも用いることができる。
【0039】
実施例1、2の路肩保護ブロックは、現場打ちコンクリートと一体化して使用することにより、小型軽量なプレキャストコンクリートで、強固な路肩構造を得ることができる。また、実施例1、2の路肩保護ブロックを用いた路肩構造においては、ガードレールの支柱を立設する根巻ブロックやその他の構造物を路肩に設けるときも、異なる形状のブロックを用意する必要がない。また、路肩のコンクリート部分の幅を広くしたい場合や狭くても良い場合に、幅寸法の異なるブロックを用意する必要もない。
【0040】
そして、実施例1、2の路肩保護ブロックを用いることにより、路肩の端縁を簡単に、かつ体裁良く形成することができ、路肩の端縁に配置した路肩保護ブロック1aが現場打ちコンクリートの型枠の役目を果たすので、現場打ちコンクリート9を打設した後の型枠の除去及び埋め戻し作業も不要である。
【0041】
更に実施例1、2の路肩保護ブロックを用いることにより、道路の側方の法面への防草シートの覆着を容易に行うことができる。
【0042】
図10及び図11は、第2実施例の路肩保護ブロック1b及びこれを用いた路肩構造を示した図である。この第2実施例の路肩保護ブロック1bは、ブロックの内側上面5bが畝状になっている点のみが第1実施例の路肩保護ブロック1aと異なり、他の点及び当該ブロック1bを用いた路肩構造は、第1実施例のものと同じであるので、第1実施例についての図1及び図4に対応する図のみを示し、図1及び図4に示した部材ないし部分に同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図10、11に示した路肩保護ブロック1bの大きさは、幅Wが100mm、長さLが1000mm、基本部分の高さHが100mm、畝の高さGが60mmで、重量は38kg程度である。
【0043】
畝状にした内側上面5bは、ブロック1bの内側の現場打ちコンクリート9の表面(路面)より高く突出し、路面に降った雨水が路側の下り勾配の斜面や崖面に流下するのを阻止する。内側上面5bの道路側に溜まった雨水は、路側に沿って流れて、路側の所々に設けた集水枡に流入して排水される。ブロック1bの内側には、図5、6で示したと同様な構造で根巻きブロックを配置することができ、図7、8に示した型枠30で図9で示した現場打ちコンクリート40を形成した後、公知の畝ブロックを畝状の内側上面5bに連接して配置することにより、隣接するブロック1bの端面相互の隙間を現場施工で埋めることができる。
【0044】
図12ないし図15は、この発明の第3実施例を示した図である。図12、13に示す第3実施例の路肩保護ブロック1cは、平坦な底面2と、道路の舗装面の側縁に接合される内側面3cと、内側面の反対側に位置する外側面4と、平坦な内側上面5及び外側上面6cと、内側上面5と外側上面6cとの境界に形成した外側上面側を低くした段差7とを備えた中実断面の細長いプレキャストコンクリート製品である。図のブロック1cの大きさは、幅Wが120mm、長さLが1000mm、高さHが80mmで、重量は19kg程度である。
【0045】
ブロック1cの平坦な外側上面6cには、複数の埋込ナット10が、隣接する同形のブロックと長手端面11相互を付き合せて連接したときに、隣接する埋込ナット相互の間隔が等間隔となるように埋設されている。長さ寸法Lを1000mmとした図の例では、長さ中央とその両側に333mmの間隔aを隔てた位置とに、合計3個の埋込ナット10が埋設されている。ブロック1cの両端面11には、断面台形の上下方向の凹所14が形成され、この凹所内にU字形に屈曲した鋼棒からなるフック44が、その両端部をコンクリートに埋設して設けられている。
【0046】
次に図14に示す第3実施例の路肩構造の施工手順を説明する。盛土20の上に必要な道路基礎を形成した後、路肩から例えば500mm内側に第3実施例の路肩保護ブロック1cを、その長手端面11相互を連接して配置し、図15に示すように、上端を逆U字に屈曲したアンカーピン43を、隣接する一方のブロックのフック44に挿通しかつ上端の逆U字の先端部を他方のブロックのフック44に挿入した状態で、基礎に打ち込み、路肩保護ブロック1cを固定する。次に道路の中央となる部分のアスファルト舗装15を行う。このとき、路肩保護ブロック1cの内側面3がアスファルト舗装層の側縁を規定する型枠として機能する。
【0047】
そして、防草シート16を、その上縁部分を路肩保護ブロック1cの外側上面6に接着剤で貼着しかつ埋込ナット10にねじ込んだボルト13で止着して、取付ける。上縁を路肩保護ブロック1cに止着した防草シート16は、ブロック1cの外側の平坦部を含む路肩部分を覆い、法面26に配置したコンクリート枕木18に下縁を接着剤で貼着し、アンカーピン19でコンクリート枕木18と共に法面に固定される。更に必要に応じて、U字形アンカーピン17を用いて防草シート16の適宜箇所を路肩面及び法面26に止着する。
【0048】
実施例3の路肩保護ブロックは、実施例1、2のブロックより更に小型軽量で、施工がより容易である。また、当該ブロックを用いることにより、路側部分及びその側方の斜面ないし崖面が保護板ないし防草シートで覆われた簡易で体裁の良い路肩保護構造を得ることができる。そして、路肩保護ブロック1cがアスファルト舗装の側縁を規定する型枠の役目を果たすので、現場打ちコンクリート9を打設した後の型枠の除去及び埋め戻し作業も不要である。
【符号の説明】
【0049】
1(1a、1b、1c) 路肩保護ブロック
2 底面
3、3c 内側面
4 外側面
5、5b 内側上面
6 外側上面
7 段差
9 現場打ちコンクリート
10 埋込ナット
12 鉄筋連結用埋込ナット
16 防草シート
29 台ブロック
30 型枠
31 成型面
32 基板
38 アンカーピン挿通孔
40 現場打ちコンクリート
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の路肩の保護及び成形のために用いる路肩保護ブロック、当該ブロックを用いた道路の路肩構造及び当該構造を施工する際に用いる型枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な道路は、アスファルト舗装されているが、盛土上に設けた道路のように、道路の側方が下り勾配の斜面や崖になっている道路では、路肩部分をプレキャストコンクリートの路肩保護ブロックや現場打ちコンクリートで保護している。従来の路肩保護ブロックは、ある程度の幅寸法、例えば500mm程度の幅寸法を備えた平板状のブロックであるが、路肩に設けるガードレールの支柱を立設するための根巻ブロックと呼ばれる台ブロックを一体化したブロックや、根巻ブロックと干渉しないように切欠を設けたブロックも必要である。
【0003】
また、盛土上の道路に設けられる路肩保護ブロックとして、道路の側方の法面を保護する法面保護ブロックを一体に設けた路肩保護ブロックや、施工現場で法面保護ブロックを連接一体化できるようにした路肩保護ブロックも提供されている。
【0004】
更に、法面に雑草が生い茂るのを防止するために法面に覆着する防草シートの上縁を係止する治具を設けた路肩保護ブロックも提案されている。
【0005】
一方、路肩を現場打ちコンクリートで保護するときは、路肩の外側端縁となる部分に型枠となる高さの低いパネルを配置して、コンクリートの打設を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、路肩保護ブロックとして従来種々のものが提案されているが、いずれも500mm程度の幅寸法を備えた平板状を基本形状とするブロックであるために、大型で重く、製造及び施工がコスト高になるという問題があった。また、ガードレールの支柱を立設する部分に形状の異なるブロックが必要であるとか、路肩の状態によっては、幅寸法や厚さ寸法の異なるブロックが必要となるために、成形型枠の種類も多くなり、コストを更に上昇させ、型枠の保管や異なる形状毎の成形個数の管理が煩雑になるなどの問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような従来の路肩保護ブロックの問題点を解決するためになされたもので、小型軽量で、型枠も小型でよいために安価であり、作業性に優れると共に、ガードレールの支柱を立設する部分にも同一形状のブロックを用いることができ、かつ必要に応じて法面を保護する保護板や防草シートの取り付けも可能な路肩保護ブロック及び当該ブロックを用いた路肩構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の問題点を解決するために、プレキャストコンクリートのブロック1(1a、1b、1c)をできるだけ小さく軽量にし、人力施工も可能な構造とした。上記のような路肩保護ブロック1だけでは路肩の保護が不十分であるが、この路肩保護ブロック1a、1bとその内側に打設した現場打ちコンクリート9とのハイブリッド構造とすることにより、それぞれの施工現場に応じた必要かつ充分な強度で路肩を保護することができる。また、あまり強度を必要としない施工現場においては、路肩保護ブロック1cとその外側で路肩を覆うコンクリート版、繊維補強コンクリート版、合成樹脂板、鋼板などの法面保護用の板材や防草用のシート材16とのハイブリッド構造により、簡易で安価な路肩保護構造を得ることができる。
【0009】
この発明の道路の路肩構造は、路側の外側に下り勾配の斜面ないし崖面を有する舗装道路の路肩を保護する路肩構造である。道路の路肩に沿って敷設された道路の延在方向に細長い路肩保護ブロック1a、1bと、当該ブロックの内側面3と道路の舗装層の側縁とに接合して両者の間に設けた現場打ちコンクリート9とを備えている。路肩保護ブロック1a、1bは、内側面3を道路の中心側に向けて、隣接するものと長手端面11相互を連接して、敷設される。
【0010】
路肩にガードレールの支柱を立設する箇所には、敷設した路肩保護ブロック1a、1bの内側となる位置に、当該支柱を立設するための台ブロック29を配置し、その後で打設される現場打ちコンクリート9で、当該台ブロック29と路肩保護ブロック1a、1bとを一体化する。台ブロック29としては、根巻ブロックと呼ばれる従来構造のものをそのまま用いることができる。
【0011】
上記の路肩構造に用いるこの発明の路肩保護ブロック1a、1bは、細長いプレキャストコンクリートのブロックであって、平坦な底面2と、凹凸のある内側面3と、この内側面の反対側に位置する外側面4と、平坦な又は畝状に突出した内側上面5、5bと、外側面4側が低くなる方向に傾斜した外側上面6と、内側上面5、5bと外側上面6との境界に形成した外側上面6側を低くした段差7とを備えた、中実断面のコンクリートブロックである。
【0012】
上記の路肩保護ブロック1a、1bの外側上面6には、道路側方の下り勾配の斜面ないし崖面を保護するコンクリート版などの法面保護用の板材や防草用のシート材16などを止着するための埋込ナット10を設けることもできる。この埋込ナット10は、隣接するブロック間においても等間隔になるように、設ける。
【0013】
ブロックの外側上面6に埋込ナット10を設けた路肩保護ブロック1a、1b、1cを用いた路肩構造においては、当該埋込ナット10に上縁部を係止して、道路の側方の地表面を覆う保護板や防草シート16を取付けることができる。取付けた防草シート16の下縁部は、地表面に設けたコンクリート枕木18や、地表面に打込まれるアンカーピン17、19で止着する。
【0014】
強度をあまり必要としない道路においては、路肩保護ブロックと道路のアスファルト舗装15との間に設ける現場打ちコンクリート9を省略して、路肩保護ブロック1の外側上面6に設けた埋込ナット10に上縁部を係止して、路肩を含む道路の側方の地表面を覆う保護板や防草シート16を設けることにより、簡易で安価に施工できる路肩保護構造を得ることができる。路肩保護ブロック1cは、道路の舗装層の側縁となる位置に沿って長手端部を連接して敷設され、その後、当該ブロックの内側面3で側縁を規定して、アスファルト舗装15を設ける。上縁を路肩保護ブロック1に止着した保護板や防草シート16は、当該路肩保護ブロックの反道路側の水平な路肩面及び路肩に続く下り勾配の斜面ないし崖面に展開される。
【0015】
この場合に用いる路肩保護ブロック1cは、平坦な底面2と、道路のアスファルト舗装15の側縁に接合される内側面3cと、内側面3cの反対側に位置する外側面4と、平坦な内側上面5及び外側上面6cと、内側上面5と外側上面6cとの境界に形成した外側上面側を低くした段差7とを備えたブロックとするのが良く、当該ブロックの外側上面6cに保護板や防草シート16の上縁を止着するボルトのための埋込ナット10が埋設されている。好ましくは、ブロックの長手両端にブロック固定用のアンカーピン43を挿通するフック44を備えたものとする。
【0016】
この発明の路肩保護ブロック1は、1個の長さが800〜1500mmとし、重量が15〜40kgの範囲となる大きさのものとする。アスファルト舗装15との間に現場打ちコンクリート9を設けるブロック1a、1bには、ブロックの内側面3に、現場打ちコンクリート9との一体化を確実にするためのボルトやスタッドを取付けるための鉄筋連結用埋込ナット12を埋設しておくのが好ましい。
【0017】
路肩の状況によっては、路肩保護ブロック1を間隔を開けて配置したり、一部に路肩保護ブロック1を使用できない状況が生ずることがある。このような場合、間隔が開いた路肩保護ブロック1相互の間に打設される現場打ちコンクリートを路肩保護ブロック1と同一形状に成型する型枠30を用いることで、施工を容易にすることができる。すなわち、現場打ちコンクリート用の型枠として、当該現場で使用される路肩保護ブロック1の外側面4、外側上面6及び段差7を成型する成型面31と、これを路盤に定置するための基板32及びアンカーピン挿通孔38を備えた型枠30を間隔を開けて配置した路肩保護ブロック1の間に設置して、現場打ちコンクリート40を打設する。
【発明の効果】
【0018】
この発明の路肩構造を採用することにより、プレキャストコンクリートの路肩保護ブロック1を小型軽量にすることができ、型枠も小型で済み、1人で運搬及び敷設可能な重量にできるので、製造及び施工コストを大幅に削減できる。そして、現場打ちコンクリート9ないしアスファルト舗装15の施工の際に、路肩保護ブロック1が型枠の代りとなり、外観に優れた施工を容易に行うことができると共に、型枠の撤去も不要になるので、作業の省力化を図ることができる。
【0019】
また、この発明の路肩構造により、施工現場での路肩部の仕上り寸法が、現場打ちコンクリートや保護板ないし保護シートにより自由になる。すなわち、現場打ちコンクリートや保護板ないし保護シートの幅や厚さや材質を現場の状況に合わせて自由に設定することができ、路肩部の仕上り寸法をそれぞれの施工現場に応じた最適な寸法にできる。
【0020】
路肩保護ブロックと舗装層との間に現場打ちコンクリートを施工する路肩構造によれば、路肩保護ブロックを幅狭い寸法のものにしてその内側を現場打ちコンクリートにすることによって、ガードレールの支柱や根巻ブロックを配慮した特殊な形状のブロックを用意する必要が無くなり、現場でも複数種類のブロックを使い分ける煩雑さが解消される。
【0021】
道路の側方の法面を覆う防草シートの取付は任意に選択できる。路肩保護ブロックに予め取付用治具が埋め込んであるので、必要なときに、防草シートを簡単に取付けることができ、シートが劣化したときにも簡単に交換することができる。取付けた防草シートは、下縁部にコンクリート枕木を施してアンカーピンで固定することにより、強風でのシート捲れ上りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施例の路肩保護ブロックの正面図
【図2】図1の路肩保護ブロックを外側から見た側面図
【図3】図1の路肩保護ブロックの平面図
【図4】防草シートを取り付けた第1実施例の路肩構造の断面図
【図5】ガードレールの支柱を立設する部分の第1実施例の路肩構造の断面図
【図6】図5の路肩構造の部分平面図
【図7】現場打ちコンクリート型枠の正面図
【図8】図7の型枠の平面図
【図9】図7の型枠で成型される部分の路肩構造の断面図
【図10】第2実施例の路肩保護ブロックの正面図
【図11】防草シートを取り付けた第2実施例の路肩構造の断面図
【図12】第3実施例の路肩保護ブロックの正面図
【図13】図12の路肩保護ブロックの平面図
【図14】防草シートを取り付けた第3実施例の路肩構造の断面図
【図15】第3実施例の路肩保護ブロックの連接部の拡大縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明の路肩保護ブロック及び当該ブロックを用いた路肩構造について説明する。図1ないし図9は、この発明の第1実施例を示す図、図10及び図11は、第2実施例を示す図、図12ないし図15は、第3実施例を示す図である。
【0024】
第1実施例の路肩保護ブロック1aは、平坦な底面2と、凹凸を有する内側面3と、その反対側に位置する外側面4と、平坦な内側上面5と、外側面4側が低くなる方向に傾斜した外側上面6と、内側上面5と外側上面6との境界に形成された外側上面側が低くなる方向の段差7とを備えた細長いプレキャストコンクリート製品である。図の例では、内側面に長手方向の溝8を成形することにより、内側面3を凹凸面としている。
【0025】
好ましいブロック1aの大きさは、幅Wが100〜150mm、長さLが800〜1500mmで、高さHは路肩に設ける一般的な現場打ちコンクリート9の厚さ(100mm程度)寸法である。この程度の寸法の場合、ブロック1aの重量は、30kg以下となり、作業者が1人で持ち運んだり敷設することができる重量になる。
【0026】
傾斜した外側上面6には、複数の埋込ナット10が、隣接する同形のブロックと長手端面11相互を付き合せて連接したときに、隣接する埋込ナット相互の間隔が等間隔となるように埋設されている。長さ寸法Lを1000mmとした図の例では、長さ中央とその両側に333mmの間隔aを隔てた位置とに、合計3個の埋込ナット10が埋設されている。
【0027】
また、内側面の溝8の底面に、鉄筋連結用埋込ナット12が埋設されている。この鉄筋連結用埋込ナット12は、ブロック1aの長手両端部、及び必要に応じて、図4に示す現場打ちコンクリート9に設ける鉄筋23の配置位置に合わせて設ける。
【0028】
図4ないし図6は、図1ないし図3に示した路肩保護ブロック1aを用いた路肩構造を示す図で、9は現場打ちコンクリート、15はアスファルト舗装層、16は防草シート、17はU字形アンカーピン、18はコンクリート枕木、19はコンクリート枕木18を固定しているアンカーピンである。
【0029】
次に図4の路肩構造の施工手順を説明する。盛土20の上に必要な道路基礎を形成した後、路肩の端縁となる部分に図1〜3で説明した路肩保護ブロック1aを、その長手端面11相互を連接して配置する。路肩保護ブロック1aには、その鉄筋連結用埋込ナット12に予め全ねじ(全長にねじを切った棒状のねじ。スタット。)22をねじ込んでおくのが良い。次に所定幅、例えば500mm幅で現場打ちコンクリート9を打設する。この打設に際し、路肩保護ブロックの内側面3が現場打ちコンクリート9のための型枠として機能する。その後、道路の中央となる部分のアスファルト舗装15を行う。
【0030】
鉄筋連結用埋込ナット12にねじ込んだ全ねじ22は、現場打ちコンクリート9に埋設された状態となり、現場打ちコンクリート9と路肩保護ブロック1aとの接合を確実にするのに役立っている。必要があれば、現場打ちコンクリート9内に設ける用心鉄筋23を鉄筋連結用埋込ナット12にねじ込んだ全ねじ22に溶接する。
【0031】
図の路肩構造では、道路の側方の下り勾配の法面に防草シート16が覆着されている。防草シート16は、その上縁部分を路肩保護ブロックの外側上面6に接着剤で貼着し、かつ埋込ナット10にねじ込んだボルト13で止着して、取付けられている。
【0032】
法面には、防草シート16の下縁となる部分に図の紙面直角方向に細長いコンクリート枕木18を配置してある。このコンクリート枕木18には、アンカーピン19を挿通するための貫通孔が設けられている。上縁を路肩保護ブロック1aに止着した防草シート16の下縁は、コンクリート枕木18に接着剤で貼着し、アンカーピン19でコンクリート枕木18と共に法面に固定される。図の例では更に、U字形アンカーピン17を用いて防草シート16の適宜箇所を法面26に止着して、防草シート16のまくれ上がりやばたつきを防止している。
【0033】
路肩にガードレール27の支柱28を立設する部分には、図5、6に示すように、現場打ちコンクリート9を打設する前に、路肩保護ブロック1aの内側となる位置に、根巻ブロック29を埋設し、その後、現場打ちコンクリート9を打設する。その後の施工手順は、図4で説明した手順と同様である。根巻ブロック29は、現場打ちコンクリート9を介して路肩保護ブロック1aと一体化される。
【0034】
道路の路肩を保護する区間の長さが路肩保護ブロック1aの長さの整数倍とならないときや、道路が大きな曲率でカーブしている場合には、道路の長さや隣接する路肩保護ブロックとの配置角度の差に合せて、ブロックを切断するという面倒な作業が必要になる。この面倒な作業は、図7ないし9に示す現場打ちコンクリート用の型枠30を使用することによって解消することができる。
【0035】
この現場打ちコンクリート型枠30は、路肩保護ブロック1aの外側面4、外側上面6及び段差7に対応する面をそれぞれ成形する外側面成形部34、外側上面成形部36及び段差成形部37からなる面板31と、この面板の下縁から道路外側に延びる基板32とを備えている。面板31及び基板32は、1枚の鋼板を折曲げ成形することによって形成されており、その折曲げ形状を保持するための補強板33が溶接により取り付けられている。図の例で4枚設けた補強板33の両端のものには、この型枠の長手端相互を連結するボルトを挿通するためのボルト孔35が設けられ、基板32にはアンカーピン挿通孔38が設けられている。
【0036】
また、外側上面成形部36には、成形時に埋込ナット10を固定するボルト42を挿通するためのボルト挿通孔39が設けられている。図の例では、型枠30の長さを路肩保護ブロック1aの長さと等しい長さとし、4枚の補強板33を等間隔で配置し、かつ2枚の補強板33の間の中央に埋込ナット固定用のボルト挿通孔39を設けているが、施工の状況によっては、より短い長さの、例えば図で示したものの1/3の長さのものとするのが良い。
【0037】
上記構造の型枠30は、通常は道路の側縁に沿って配置した路肩保護ブロック1a相互の間の隙間を現場打ちコンクリート40で埋めるために用いられる。すなわち、路肩を保護する部分の道路長さが路肩保護ブロック1aの長さの整数倍とならない場合や、隣接するブロック相互の間に角度差をつけて路肩保護ブロック1aを配置した場合に、隣接する路肩保護ブロックを間隔をあけて配置し、隣接する両ブロックの端部の段差7、外側上面6及び外側面4に面板31が密着するようにして型枠30を設置し、アンカーピン挿通孔38に挿通したアンカーピン41で型枠30を路盤に固定する。そして、路肩保護ブロック1aの内側に現場打ちコンクリート9を打設する際に、ブロック相互の間の隙間にも当該コンクリートを打設して、ブロック間の隙間を当該ブロックの外側面と同一形状に成形した現場打ちコンクリート40で埋めるのである。
【0038】
以上のように、図7ないし9に示した型枠30は、路肩保護ブロック1aを間隔をあけて設置したときに、その間隔をあけた部分に打設する現場打ちコンクリートを成形するために使用されるが、何らかの条件で路肩保護ブロック1aを使用できない場合に、複数の型枠30の長手端部相互を連結して、この発明の路肩構造と同じ外観を備えた現場打ちコンクリート製の路肩構造を施工するのにも用いることができる。
【0039】
実施例1、2の路肩保護ブロックは、現場打ちコンクリートと一体化して使用することにより、小型軽量なプレキャストコンクリートで、強固な路肩構造を得ることができる。また、実施例1、2の路肩保護ブロックを用いた路肩構造においては、ガードレールの支柱を立設する根巻ブロックやその他の構造物を路肩に設けるときも、異なる形状のブロックを用意する必要がない。また、路肩のコンクリート部分の幅を広くしたい場合や狭くても良い場合に、幅寸法の異なるブロックを用意する必要もない。
【0040】
そして、実施例1、2の路肩保護ブロックを用いることにより、路肩の端縁を簡単に、かつ体裁良く形成することができ、路肩の端縁に配置した路肩保護ブロック1aが現場打ちコンクリートの型枠の役目を果たすので、現場打ちコンクリート9を打設した後の型枠の除去及び埋め戻し作業も不要である。
【0041】
更に実施例1、2の路肩保護ブロックを用いることにより、道路の側方の法面への防草シートの覆着を容易に行うことができる。
【0042】
図10及び図11は、第2実施例の路肩保護ブロック1b及びこれを用いた路肩構造を示した図である。この第2実施例の路肩保護ブロック1bは、ブロックの内側上面5bが畝状になっている点のみが第1実施例の路肩保護ブロック1aと異なり、他の点及び当該ブロック1bを用いた路肩構造は、第1実施例のものと同じであるので、第1実施例についての図1及び図4に対応する図のみを示し、図1及び図4に示した部材ないし部分に同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図10、11に示した路肩保護ブロック1bの大きさは、幅Wが100mm、長さLが1000mm、基本部分の高さHが100mm、畝の高さGが60mmで、重量は38kg程度である。
【0043】
畝状にした内側上面5bは、ブロック1bの内側の現場打ちコンクリート9の表面(路面)より高く突出し、路面に降った雨水が路側の下り勾配の斜面や崖面に流下するのを阻止する。内側上面5bの道路側に溜まった雨水は、路側に沿って流れて、路側の所々に設けた集水枡に流入して排水される。ブロック1bの内側には、図5、6で示したと同様な構造で根巻きブロックを配置することができ、図7、8に示した型枠30で図9で示した現場打ちコンクリート40を形成した後、公知の畝ブロックを畝状の内側上面5bに連接して配置することにより、隣接するブロック1bの端面相互の隙間を現場施工で埋めることができる。
【0044】
図12ないし図15は、この発明の第3実施例を示した図である。図12、13に示す第3実施例の路肩保護ブロック1cは、平坦な底面2と、道路の舗装面の側縁に接合される内側面3cと、内側面の反対側に位置する外側面4と、平坦な内側上面5及び外側上面6cと、内側上面5と外側上面6cとの境界に形成した外側上面側を低くした段差7とを備えた中実断面の細長いプレキャストコンクリート製品である。図のブロック1cの大きさは、幅Wが120mm、長さLが1000mm、高さHが80mmで、重量は19kg程度である。
【0045】
ブロック1cの平坦な外側上面6cには、複数の埋込ナット10が、隣接する同形のブロックと長手端面11相互を付き合せて連接したときに、隣接する埋込ナット相互の間隔が等間隔となるように埋設されている。長さ寸法Lを1000mmとした図の例では、長さ中央とその両側に333mmの間隔aを隔てた位置とに、合計3個の埋込ナット10が埋設されている。ブロック1cの両端面11には、断面台形の上下方向の凹所14が形成され、この凹所内にU字形に屈曲した鋼棒からなるフック44が、その両端部をコンクリートに埋設して設けられている。
【0046】
次に図14に示す第3実施例の路肩構造の施工手順を説明する。盛土20の上に必要な道路基礎を形成した後、路肩から例えば500mm内側に第3実施例の路肩保護ブロック1cを、その長手端面11相互を連接して配置し、図15に示すように、上端を逆U字に屈曲したアンカーピン43を、隣接する一方のブロックのフック44に挿通しかつ上端の逆U字の先端部を他方のブロックのフック44に挿入した状態で、基礎に打ち込み、路肩保護ブロック1cを固定する。次に道路の中央となる部分のアスファルト舗装15を行う。このとき、路肩保護ブロック1cの内側面3がアスファルト舗装層の側縁を規定する型枠として機能する。
【0047】
そして、防草シート16を、その上縁部分を路肩保護ブロック1cの外側上面6に接着剤で貼着しかつ埋込ナット10にねじ込んだボルト13で止着して、取付ける。上縁を路肩保護ブロック1cに止着した防草シート16は、ブロック1cの外側の平坦部を含む路肩部分を覆い、法面26に配置したコンクリート枕木18に下縁を接着剤で貼着し、アンカーピン19でコンクリート枕木18と共に法面に固定される。更に必要に応じて、U字形アンカーピン17を用いて防草シート16の適宜箇所を路肩面及び法面26に止着する。
【0048】
実施例3の路肩保護ブロックは、実施例1、2のブロックより更に小型軽量で、施工がより容易である。また、当該ブロックを用いることにより、路側部分及びその側方の斜面ないし崖面が保護板ないし防草シートで覆われた簡易で体裁の良い路肩保護構造を得ることができる。そして、路肩保護ブロック1cがアスファルト舗装の側縁を規定する型枠の役目を果たすので、現場打ちコンクリート9を打設した後の型枠の除去及び埋め戻し作業も不要である。
【符号の説明】
【0049】
1(1a、1b、1c) 路肩保護ブロック
2 底面
3、3c 内側面
4 外側面
5、5b 内側上面
6 外側上面
7 段差
9 現場打ちコンクリート
10 埋込ナット
12 鉄筋連結用埋込ナット
16 防草シート
29 台ブロック
30 型枠
31 成型面
32 基板
38 アンカーピン挿通孔
40 現場打ちコンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側の外側に下り勾配の斜面ないし崖面を有する舗装道路の当該路側を保護する路肩構造において、
前記路肩に沿って長手端部を連接して敷設された道路の延在方向に細長い路肩保護ブロックと、当該ブロックの内側面と前記道路の舗装層の側縁との間に設けた現場打ちコンクリートとを備えた、道路の路肩構造。
【請求項2】
前記路肩保護ブロックの道路の内側となる部分にガードレールの支柱を立設する台ブロックが配置され、当該台ブロックと前記路肩保護ブロックとが、前記現場打ちコンクリートを介して一体化されている、請求項1記載の道路の路肩構造。
【請求項3】
上面に埋込ナットを備えている前記路肩保護ブロックと、当該埋込ナットに上縁部を止着して前記斜面ないし崖面に展開された法面保護用ないし防草用の保護板ないし保護シートとを備えている、請求項1又は2記載の道路の路肩構造。
【請求項4】
路側の外側に下り勾配の斜面ないし崖面を有する舗装道路の当該路側を保護する路肩構造において、
前記道路の舗装層の側縁に沿って長手端部を連接して敷設された道路の延在方向に細長くかつ上面に埋込ナットを備えた路肩保護ブロックと、前記埋込ナットに上縁部を止着して当該路肩保護ブロックの反道路側の水平な路肩面及び前記斜面ないし崖面に展開された法面保護用ないし防草用の保護板ないし保護シートとを備えている、道路の路肩構造。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載の道路の路肩構造を構築するための路肩保護ブロックであって、平坦な底面と、現場打ちコンクリートの側縁に接合される凹凸のある内側面と、内側面の反対側に位置する外側面と、平坦な又は畝状の内側上面と、外側面側が低くなる方向に傾斜した外側上面と、内側上面と外側上面との境界に形成した外側上面側を低くした段差とを備えた中実断面の、断面直角方向に細長いコンクリートブロックであって、前記内側面に鉄筋連結用埋込ナットが埋設されている、路肩保護ブロック。
【請求項6】
請求項4記載の道路の路肩構造を構築するための路肩保護ブロックであって、平坦な底面と、道路の舗装面の側縁に接合される内側面と、内側面の反対側に位置する外側面と、平坦な内側上面及び外側上面と、内側上面と外側上面との境界に形成した外側上面側を低くした段差とを備えた中実断面の、断面直角方向に細長いコンクリートブロックであって、前記外側上面に前記保護板ないし保護シートの上縁を止着するボルトのための埋込ナットが埋設されており、長手両端にブロック固定用のアンカーピンを挿通するフックを備えている、路肩保護ブロック。
【請求項7】
請求項5記載の路肩保護ブロックの外側面、外側上面及び段差を成形する成形面板と、この成形面板の下縁を反成形面側に屈曲して形成した基板と、この基板に設けたアンカーピン挿通孔とを備え、請求項1、2又は3記載の路肩構造における路肩保護ブロックの長手端部に連続する現場打ちコンクリートの路肩を成形する、現場打ちコンクリート型枠。
【請求項1】
路側の外側に下り勾配の斜面ないし崖面を有する舗装道路の当該路側を保護する路肩構造において、
前記路肩に沿って長手端部を連接して敷設された道路の延在方向に細長い路肩保護ブロックと、当該ブロックの内側面と前記道路の舗装層の側縁との間に設けた現場打ちコンクリートとを備えた、道路の路肩構造。
【請求項2】
前記路肩保護ブロックの道路の内側となる部分にガードレールの支柱を立設する台ブロックが配置され、当該台ブロックと前記路肩保護ブロックとが、前記現場打ちコンクリートを介して一体化されている、請求項1記載の道路の路肩構造。
【請求項3】
上面に埋込ナットを備えている前記路肩保護ブロックと、当該埋込ナットに上縁部を止着して前記斜面ないし崖面に展開された法面保護用ないし防草用の保護板ないし保護シートとを備えている、請求項1又は2記載の道路の路肩構造。
【請求項4】
路側の外側に下り勾配の斜面ないし崖面を有する舗装道路の当該路側を保護する路肩構造において、
前記道路の舗装層の側縁に沿って長手端部を連接して敷設された道路の延在方向に細長くかつ上面に埋込ナットを備えた路肩保護ブロックと、前記埋込ナットに上縁部を止着して当該路肩保護ブロックの反道路側の水平な路肩面及び前記斜面ないし崖面に展開された法面保護用ないし防草用の保護板ないし保護シートとを備えている、道路の路肩構造。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載の道路の路肩構造を構築するための路肩保護ブロックであって、平坦な底面と、現場打ちコンクリートの側縁に接合される凹凸のある内側面と、内側面の反対側に位置する外側面と、平坦な又は畝状の内側上面と、外側面側が低くなる方向に傾斜した外側上面と、内側上面と外側上面との境界に形成した外側上面側を低くした段差とを備えた中実断面の、断面直角方向に細長いコンクリートブロックであって、前記内側面に鉄筋連結用埋込ナットが埋設されている、路肩保護ブロック。
【請求項6】
請求項4記載の道路の路肩構造を構築するための路肩保護ブロックであって、平坦な底面と、道路の舗装面の側縁に接合される内側面と、内側面の反対側に位置する外側面と、平坦な内側上面及び外側上面と、内側上面と外側上面との境界に形成した外側上面側を低くした段差とを備えた中実断面の、断面直角方向に細長いコンクリートブロックであって、前記外側上面に前記保護板ないし保護シートの上縁を止着するボルトのための埋込ナットが埋設されており、長手両端にブロック固定用のアンカーピンを挿通するフックを備えている、路肩保護ブロック。
【請求項7】
請求項5記載の路肩保護ブロックの外側面、外側上面及び段差を成形する成形面板と、この成形面板の下縁を反成形面側に屈曲して形成した基板と、この基板に設けたアンカーピン挿通孔とを備え、請求項1、2又は3記載の路肩構造における路肩保護ブロックの長手端部に連続する現場打ちコンクリートの路肩を成形する、現場打ちコンクリート型枠。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−136930(P2012−136930A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250643(P2011−250643)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(393028128)山形新興株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(393028128)山形新興株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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