説明

路面摩擦試験機

【目的】 タイヤと路面との摩擦係数を高精度かつ簡便に試験できる路面摩擦機の小型、軽量化を図る。
【構成】 ベローズ(31)にエアー供給手段を介してエアーを供給することによりゴムサンプル(25)を押圧するように押圧手段を構成し、この押圧手段の押圧力が作用する方向に押圧力を検知するロードセル(28)を介してモータ(29)を設け、これら部材の配列方向にゴムサンプル(25)を配設し、前記ロードセル(28)及び前記エアー供給手段に接続させロードセル(28)により検知された押圧力をフィードバックさせエアー供給を制御することのできるように押圧力制御部を設けて、装置全体の小型、軽量化を図る。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、自動車等のタイヤと路面との摩擦係数等を試験する路面摩擦試験機に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車は、発進からコーナリング、停止に至るまで、タイヤが路面と接しており、そのために生じる力は自動車に対して外部作動力となる。このタイヤと路面との摩擦力の大きさ、方向により、自動車の上記運動が影響を受ける。
そこで、タイヤと路面との摩擦係数を試験することは、タイヤを適正に構成する上で不可欠であり、これまでにも種々の路面摩擦試験機が提案されている。
【0003】
例えば、従来の試験機には、タイヤを路面に摩擦させた状態でタイヤ上に荷重がかかるように重量体を配設し、重量体の自重によりタイヤを路面に押しつけながらタイヤを回転させて摩擦係数を測定する路面摩擦測定装置がある。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例は重量体の自重によりタイヤに荷重をかけるようになっているので、荷重の制御をするということはできなかった。したがって、所定の圧力をタイヤにかけるということが困難で、摩擦係数の測定値にバラツキが生じてしまい、測定結果の信頼性に欠けるという不具合があった。
また、重量体は大型化せざるを得ず、装置全体の大型化、重量化を招いてしまう他、移動に不便であるという不具合があった。
【0005】
本考案は、上記の不具合を解決すべく提案されるもので、小型、軽量でありながら、タイヤと路面との摩擦係数を高精度にかつ簡便に試験できる路面摩擦試験機を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、上記の目的を達成するために路面に試料片を押圧する押圧手段と、試料片を路面上で回転させる試料回転手段と、試料片の回転状況をトルク検出により検知する回転検知手段と、検出されたトルクから摩擦力を演算する演算手段と、演算された摩擦力を表示する表示手段とを有する路面摩擦試験機において、ベローズにエアー供給手段を介してエアーを供給することにより試料片を押圧するように押圧手段を構成し、この押圧手段の押圧力が作用する方向に押圧力を検知する押圧力検知手段を介して試料回転手段を設け、これら各部材の配列方向に試料片を配設し、前記押圧力検知手段及び前記エアー供給手段に接続させ押圧力検知手段により検知された押圧力をフィードバックさせエアー供給を制御することのできるように押圧力制御部を設けた路面摩擦試験機としたものである。
【0007】
【作用】
このように所要の各部材が直列に配設されているので、試料片に対して常に所定の圧力をかけながら、試料を路面上で回転させることができ、適正な摩擦力を検出することができる路面摩擦試験機の小型、軽量化を図ることができる。
【0008】
【実施例】
以下、図面に従い本考案の一実施例を説明していく。図1は、本考案に係わる路面摩擦試験機を用いて試験している状態を示した概要図である。路面摩擦試験機は正面扉1を有するカバー体2の内部に収納されている。カバー体2の上部には把手3が設けられており、運搬時の便に供せられるれるようになっており、カバー体2の下部にはゴム付脚4が設けられており、所望の箇所に設置する際に安定的にかつ不要な衝撃を吸収できるようになっている。
【0009】
カバー体2内部に収納されている路面摩擦試験機は、空圧チューブ5を介して空圧源ユニット6と連結されている。空圧源ユニット6には、エア供給のソレノイドスイッチ7、コンプレッサの電源スイッチ8が設けられているとともに、空圧コントロール用の精密バルブ9が設けられている。
この空圧源ユニット6は、電源コネクタ10を有する電源ケーブル11を介して、発電機12に連結されている。
【0010】
発電機12は、電源ケーブル13を介して計測制御トランク14に連結されている。計測制御トランク14には、データロガー15、摩擦力デジタル表示メータ16、押付力表示メータ17を有する制御パネル18が設けられており、さらにロガー入力ターミナル19が設けられている。
また、計測制御トランク14は、前記の図示されていない路面摩擦試験機と摩擦トルクケーブル20、押付力ケーブル21、センサケーブル22、モータケーブル23を介して連結されている。さらに、計測制御トランク14には荷重制御部が設けられており、この荷重制御部はフィードバックケーブル24を介して空圧源ユニット6と接続されている。
【0011】
図2は、路面摩擦試験機の主要部の概要を示したものである。図2に示すように、試料片であるゴムサンプル25は、ソケット26により下面が路面に対向するように保持されている。ソケット26は、回転軸27の下部に一体動するように連結され、回転軸27の回転とともに路面と平行方向に回転するようになっている。なお、ゴムサンプル25は円盤状または円筒状が好ましい。
【0012】
また、回転軸27の近傍にはトルクメータ28が設けられておりゴムサンプル25の回転により発生するトルクを検出するようになっている。
検出されたトルクから路面とタイヤとの摩擦力を演算し、演算された摩擦力を表示するのは図1に示した計測制御トランク14において行われる。また、計測制御トランク14には、後述するロードセルで検知された荷重がセンサケーブル22を介してフィードバックされ、それに基づき空圧源ユニット6によるエアー供給を制御するようになっている。
【0013】
回転軸27の上部には、モータ29が配設されており、このモータ29の出力軸と回転軸27とは動力を伝達されるように連結されている。
モータ27の上部には、後述する荷重の検知部であるロードセル30が載置されている。このロードセル30の上部には、荷重を伝えるベローズ31が設けられ、ロードセル30、モータ29を介して前記ゴムサンプル25に荷重を伝達するようになっている。
【0014】
ベローズ34には、空気チューブ5を介して空気が供給されるようになっており、空気圧の加減によって必要な荷重をゴムサンプル25に伝達するのである。
空気チューブ5は、前記空圧源ユニット6(図1)に連結されており、計測制御トランク14に設けられている荷重制御部により制御されながら空気の供給が行われるのである。
【0015】
本考案ではこのように、モータ29、ロードセル30、ベローズ31が回転軸27、ゴムサンプル25と直列に配設されているので、摩擦試験を実施している際にゴムサンプル25が偏心してしまう恐れがある。ゴムサンプル25が偏心してしまうと、摩擦試験のデータにバラツキが生じる可能性がある。
そこで、図2に示すように、ロードセル30、モータ29等の外側に固定枠32を介してガイド枠33を設けて、モータ29等が直列方向からずれないように固定している。
【0016】
以上のごとく構成されている本実施例による路面摩擦試験の実施態様を説明する。先ず、図1に示すようにカバー体2に収納されている路面摩擦機と空圧源ユニット6、発電機12、計測制御トランク14を各ケーブルを介して接続する。
次に、カバー体2の正面扉1を開けて、路面摩擦試験機の下部にゴムサンプル25の取り付けを行う。
さらに、発電機(ガソリンエンジン発電機)12を始動させ、接続されている前記の各機器を作動させる。
【0017】
次に、計測制御トランク14に設けてある各種計測機器の0合わせ調整等を行う。さらに、モータ29を回転させると同時に、回転速度を設定する。
次に、空圧源ユニット6の電源スイッチ8を入れ、また空圧源ユニット6のエア供給のソレノイドのスイッチ7を入れる。さらに、空圧コントロール用の精密バルブ9を介して圧力を徐々に上げてゆく。この時、計測制御トランク14に設けてある押付力表示メータ17を見ながら、空圧状態を定値に設定する。
【0018】
以上の動作で、路面摩擦試験が可能な状態となる。この場合、路面摩擦試験をする試料片(ゴムサンプル25)に対する荷重を所定の値にするためには、試料片に対する荷重をトルクメータで検知し、検知された荷重を荷重制御部にフィードバックし、その値が所定圧と異なる時は空圧源ユニット6に所定圧となるように信号を供給する。
この信号を受けた空圧源ユニット6は、空圧を自動的にコントロールし所定圧となるようにエアーを空圧チューブ5を介してベローズ34に供給する。このようにして、路面に対して試料片を所定圧の状態で押圧させることが容易にできるようになる。
【0019】
また、本考案ではモータ29を回転軸27に直結しているので、路面摩擦試験時にモータ29の振動を受けてデータにバラツキを生じる恐れがある。しかし、モータ29と直列に配設されたベローズ31により、荷重をモニターしながら押しつける構成をとっているので、モータ29の振動による影響を少なくすることができる。
なお、路面摩擦試験が終了した場合は、発電機12のスイッチを始め各スイッチを切ることにより装置を停止させる。
【0020】
【考案の効果】
以上のごとく、本考案によれば路面に対して試料片を所定圧で押圧させることができ、しかも自動的に所定圧をコントロールできる路面摩擦試験機の所要部材が直列に配設されているので、装置全体の小型、軽量化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る路面摩擦試験機を用いて、路面摩擦試験をしている状態を示した概要図である。
【図2】路面摩擦試験機の主要部を示した断面図である。
【符号の説明】
25 ゴムサンプル
26 ソケット
27 回転軸
28 トルクメータ
29 モータ
30 ロードセル
31 ベローズ
32 固定枠
33 ガイド枠

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 路面に試料片を押圧する押圧手段と、試料片を路面上で回転させる試料回転手段と、試料片の回転状況をトルク検出により検知する回転検知手段と、検出されたトルクから摩擦力を演算する演算手段と、演算された摩擦力を表示する表示手段とを有する路面摩擦試験機において、ベローズにエアー供給手段を介してエアーを供給することにより試料片を押圧するように押圧手段を構成し、この押圧手段の押圧力が作用する方向に押圧力を検知する押圧力検知手段を介して試料回転手段を設け、これら各部材の配列方向に試料片を配設し、前記押圧力検知手段及び前記エアー供給手段に接続させ押圧力検知手段により検知された押圧力をフィードバックさせエアー供給を制御することのできるように押圧力制御部を設けたことを特徴とする路面摩擦試験機。

【図1】
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【図2】
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