説明

路面標示材塗料の除去回収方法および装置

【課題】路面標示材塗料を、舗装路面から、速やかに、簡単に、綺麗に、除去回収できる方法と装置を提供する。
【解決手段】舗装路面1のアスファルト混合物層2上の路面標示材塗料Pに熱風吹付けユニット20により300℃以上の熱風を吹付けて溶融状態とし、大部分の路面標示材塗料Pを吸引回収ユニット30によって吸引し、回収タンク内に回収する。次いで、舗装路面1のアスファルト混合物層2に残留する少量の路面標示材塗料部分P1に熱風吹付けユニット40により熱風を吹付けて溶融状態とし、アスファルト混合物層2に残留する路面標示材塗料部分P1を、圧縮空気噴付けユニット50の圧縮空気によってアスファルト混合物層2上に浮上させて、浮上した路面標示材塗料部分P1を吸引回収ユニット60によって吸引、回収する。舗装路面上の路面標示材塗料Pを略完全に除去回収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路や舗装駐車場等の舗装路面上に引かれた白線ライン等の路面標示材塗料を、除去して回収する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等が通行する舗装道路においては、道路表面に亀裂が発生したり、道路の白線ラインが消えかかっていると、交通に支障をきたすので、定期的にあるいは個別に修繕工事を行っている。通常は、痛んだアスファルト層を切削機(カッター)等を使っておおよそ5cm程度削り取り、削り取った層の上にアスファルト乳剤を散布し、新しいアスファルト混合物をアスファルトフィニッシャー等を通して平坦に敷いていき、その後ロードローラー等で十分に締め固めを行い、最後に白線(区画線)を引くようにしている。この白線用の塗料としては、通常、溶剤を用いて常温または加熱して施工する塗料(それぞれコールドペイント、ホットペイントと称する)の他、180〜200℃の高温度で加熱溶融させて施工する溶融型の塗料がある。
【0003】
図10は、舗装道路1のアスファルト混合物層2上に施工された白線ラインWRを示している。また、図11は、排水性舗装路面3のアスファルト混合物層4上に施工された白線ラインWRを示しており、特に排水性舗装路面3の場合、隙間Sが大きく、隙間Sに白線ラインWRの塗料Pが大きく入り込んでいることが分かる(塗料部分P3)。
【0004】
上記従来の工事では、白線部分をアスファルト層と一緒に削り取るので、産業廃棄物として処分せざるを得ず、削り取った後の白線材料を再利用することが非常に難しかった。そこで、従来より、路面から白線部分のみを剥離回収できるようにした道路標示剥離装置に関する提案がなされている(特許文献1参照)。この道路標示剥離装置は、バキューム箱内で噴射ノズルから衝突子を路面に向け噴射し、衝突子および路面から剥離した白線等道路標示の粉塵を吸引して回収し、衝突子と粉塵を分離器により分離し、分離した粉塵はコンプレッサの作動により集塵装置に収集し、回収するものである。
【特許文献1】登録実用新案公報第3063457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1の道路標示剥離装置は、衝突子を道路標示に衝突させて道路標示を剥離する構造であるから、道路標示を完全に剥離し回収するのが難しく、完全に剥離するには衝突子の衝突回数を多くしなければならないが、その場合、路面材までも剥離して回収してしまうおそれがあり、回収した道路標示材を再利用するのが難しいという問題がある。また、回収した衝突子と粉塵を分離する分離器が必要で、その分離器の分離構造も複雑であり、装置の製作コスト、補修維持コストが高くなるという欠点もある。
【0006】
また、剥離回収に時間がかかるため、交通を長時間ストップして白線除去、再施工することになり、施工を早く終了させて、交通再開のため道路を早期開放するという要請に反するという問題がある。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、舗装路面から白線等の路面標示材塗料を、速やかに、簡単に、綺麗に除去回収できる方法および装置を提供することである。また、他の目的は、路面標示材塗料を再利用しやすい形で除去回収できる方法および装置を提供することである.
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る、路面標示材塗料の除去回収方法は、舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する方法であって、
舗装路面上の前記路面標示材塗料に熱風を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の大部分の路面標示材塗料を吸引手段によって吸引除去し、回収タンク内に回収する第1の工程と、
舗装路面内に残留する路面標示材塗料に熱風を吹付けて溶融状態とし、舗装路面内の溶融状態の路面標示材塗料を、圧縮空気によって舗装路面上に浮上させて、浮上した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第2の工程と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
舗装路面上に施工される路面標示材塗料は、80℃以上の軟化点を有する塗料から構成されるものである。
【0010】
請求項1に係る除去回収方法によると、第1の工程で、80℃以上の軟化点を有する塗料から構成される、舗装路面上の大部分の路面標示材塗料を熱風で溶融して、吸引回収する。そして、舗装路面のアスファルト混合物層に接触する下層部分の路面標示材塗料部分は、上層部分と異なり、アスファルト混合物層に入り込んだりして、熱風で溶融されない場合が想定されるので、第2の工程で、舗装路面に残留する路面標示材塗料部分を確実に溶融し、これを圧縮空気で吹き飛ばし、舗装路面上に浮上させ、浮上した路面標示材塗料部分を、吸引回収するようにする。これにより、舗装路面上の路面標示材塗料を、速やかに、綺麗に、ほぼ完全に除去回収できる。ここで、舗装路面に残留する路面標示材塗料部分には、アスファルト混合物層上に残留する路面標示材塗料、アスファルト混合物層内に入り込んだ路面標示材塗料が含まれる。
【0011】
熱風吹付けユニットによる路面標示材塗料の加熱温度は、80〜270℃の範囲、好ましくは120〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃とすることが望ましい。80℃以上であれば、路面標示材塗料が軟化し溶融を開始するし、270℃以下であれば、路面標示材塗料の熱劣化(変色、可とう性の低下等)を抑制する。また、120℃以上であれば、塗料の溶融が促進されるし、230℃以下であれば、塗料の熱劣化を確実に防止する。さらに、180〜220℃の範囲であれば、溶融状態の塗料をよりスムーズに吸引しやすい。
【0012】
路面標示材塗料には、軟化点80℃以上の合成樹脂、添加剤、着色顔料、体積顔料および充填材、ガラスビーズが含まれる。ただし、ガラスビーズは任意で含まれる。溶剤は用いられない。一般的な配合割合は、合成樹脂15〜20重量%、添加剤2〜5重量%、着色顔料1〜10重量%、体積顔料および充填材42〜61重量%、ガラスビーズ20〜23重量%である。
【0013】
軟化点80℃以上の合成樹脂には、石油樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂)、ロジンおよびその誘導体(マレイン化ロジンエステル等)、テルペン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などが用いられ、単独または2種類以上を併用する。添加剤には、フタル酸エステル類、植物油(天然油)、鉱物油、植物油変性アルキド樹脂、エポキシ化油、液状の合成ゴム類などが用いられ、単独または2種類以上を併用する。その他、必要に応じて沈降防止剤、流動調整剤、汚れ防止剤等を添加する。着色顔料には、白色顔料(チタン白(二酸化チタン)、亜鉛華、リトポン等)、黄色顔料(耐熱黄鉛、有機系黄色顔料、酸化鉄、チタンイエロー等)が用いられる。体質顔料および充填材には、炭酸カルシウム、タルク、硅石粉等が用いられる。ガラスビーズは比重が2.4〜2.6で粒度がミクロン単位のものが用いられる。
【0014】
上記塗料は、通常、180〜220℃の高温度に加熱溶融された状態で舗装路面上に塗布されるものである。路面標示材のみを溶融してその塗料を回収した後、回収した塗料を、再び加熱溶融して、路面標示材用塗料として、新設用、補修用に再利用できる。
【0015】
舗装路面上の路面標示材塗料を加熱する前に、路面標示材の表面をエアブロー等により清浄し、表面の塵、葉、土等を予め除去することが望ましい。路面標示材の表面に塵、葉、土等が付着したまま加熱すると、塵等が加熱溶融された塗料と一緒に吸収、回収され、回収した塗料の再利用の阻害になるからである。
【0016】
本発明の請求項2に係る除去回収方法は、第2の工程で除去できなかった舗装路面内部の路面標示材塗料を、掻出し手段によって舗装路面上に掻き出して、掻き出した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第3の工程をさらに備える、ことを特徴とする。
【0017】
第2の工程で、舗装路面のアスファルト混合物層内に入り込んだ路面標示材塗料部分のすべてを除去できなかった場合、掻出し手段によって当該路面標示材塗料部分を舗装路面上に掻き出して、掻き出した路面標示材塗料を吸引回収することで、舗装路面に施工した路面標示材塗料を略完全に除去回収できる。
【0018】
本発明の請求項3に係る除去回収方法は、溶融状態の路面標示材に対する吸引手段の吸引力が、10〜25kPaの範囲であることを特徴とする。かかる範囲の吸引力があれば、溶融状態の路面標示材を吸引するに十分で、かつ、吸引機のエネルギ損失も抑制できる。
【0019】
本発明の請求項4に係る除去回収方法は、舗装路面が排水性舗装路面であることを特徴とする。舗装路面が排水性舗装路面である場合には、雨水の排水経路を確保するために表層の骨材間に空隙が多く、そのため、路面標示材の施工の際に、溶融状態の路面標示材塗料の一部が空隙に入り込んだ状態で固化する場合が多い。
このような場合であっても、路面標示材塗料を溶融して、吸引し、あるいは、溶融した路面標示材塗料部分を圧縮空気で吹き飛ばして、舗装路面上に浮上させ、排水性舗装路面の表層中の空隙に入り込んだ塗料部分を、ことごとく吸引回収できる。
【0020】
本発明の請求項5に係る、路面標示材の除去回収装置は、舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する装置であって、
舗装路面上を走行可能で、熱風を発生させる熱風発生手段と、熱風を舗装路面上の路面標示材塗料に向けて吹付ける熱風吹付け手段とを設置してなる第1熱風吹付けユニットと、
第1熱風吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第1熱風吹付けユニットにより溶融状態とされた、舗装路面上の大部分の路面標示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第1吸引回収ユニットと、
第1吸引回収ユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、熱風を発生させる熱風発生手段と、舗装路面に残留する路面標示材塗料に向けて熱風を吹き付ける吹付け手段とを設置してなる第2熱風吹付けユニットと、
第2熱風吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第2熱風吹付けユニットにより溶融状態とされた、舗装路面に残留する路面標示材塗料に対し、圧縮空気を噴き付ける圧縮空気噴付け手段を設置してなる圧縮空気噴付けユニットと、
圧縮空気噴付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、圧縮空気噴付けユニットの圧縮空気により舗装路面上に浮上した路面表示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第2吸引回収ユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項5に係る装置によると、舗装路面上を移動しながら、各ユニットによる、路面標示材塗料の一連の除去回収作業を連続的に効率よく行える。また、従来のような分離手段が要らず、装置の構成を簡素化できる。
【0022】
本発明の請求項6に係る除去回収装置は、第2吸引回収ユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第2吸引回収ユニットで除去できなかった、舗装路面内部の路面標示材塗料を舗装路面上に掻き出す掻出し手段を備える掻出しユニットと、
掻出しユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、掻出しユニットにより舗装路面上に掻き出された路面標示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第3吸引回収ユニットと、
を備えることを特徴とする
【0023】
本発明の請求項7に係る除去回収装置は、前記熱風発生手段が、路面標示材の近傍に熱風吹出し口を備える筒状のケーシングと、ケーシング内に配置されバーナーにより燃料を燃焼させる燃焼筒とを備える、ことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項8に係る除去回収装置は、前記熱風吹付け手段が、ケーシングの吸気口に取付けられた吸気ファンからなることを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項9に係る除去回収装置は、前記吸引手段が、路面標示材の近傍に吸引口を位置させる吸引ホースと、この吸引ホースの出口に接続される回収タンクと、前記吸引ホース内に吸引力を発生させるモータとを備える、ことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項10に係る除去回収装置は、前記掻き出し手段が、回転ブラシであることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項11に係る除去回収方法は、舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する方法であって、
舗装路面上の前記路面標示材塗料に蒸気を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の大部分の路面標示材塗料を吸引手段によって吸引除去し、回収タンク内に回収する第1の工程と、
舗装路面に残留する路面標示材塗料に蒸気を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の路面標示材塗料を、圧縮空気によって舗装路面上に浮上させ、舗装路面上に浮上した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第2の工程と、
を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項11に係る除去回収方法によると、第1の工程で、80℃以上の軟化点を有する塗料から構成される、舗装路面上の大部分の路面標示材塗料を蒸気で溶融して、吸引回収する。そして、舗装路面のアスファルト混合物層に接触する下層部分の路面標示材塗料部分は、上層部分と異なり、アスファルト混合物層に入り込んだりして、蒸気で溶融されない場合が想定されるので、第2の工程で、舗装路面に残留する路面標示材塗料部分を確実に溶融し、これを圧縮空気で吹き飛ばし、舗装路面上に浮上させ、浮上した路面標示材塗料部分を、吸引回収するようにする。これにより、舗装路面上の路面標示材塗料を、速やかに、綺麗に、ほぼ完全に除去回収できる。ここで、舗装路面に残留する路面標示材塗料部分には、アスファルト混合物層上に残留する路面標示材塗料、アスファルト混合物層内に入り込んだ路面標示材塗料が含まれる。
【0029】
蒸気吹付けユニットによる路面標示材塗料の加熱温度は、80〜270℃の範囲、好ましくは120〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃とすることが望ましい。80℃以上であれば、路面標示材塗料が軟化し溶融を開始するし、270℃以下であれば、路面標示材塗料の熱劣化(変色、可とう性の低下等)を抑制する。また、120℃以上であれば、塗料の溶融が促進されるし、230℃以下であれば、塗料の熱劣化を確実に防止する。さらに、180〜220℃の範囲であれば、溶融状態の塗料をよりスムーズに吸引しやすい。
【0030】
本発明の請求項12に係る除去回数方法は、第2の工程で除去できなかった舗装路面内部の路面標示材塗料を、掻出し手段によって舗装路面上に掻き出して、掻き出した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第3の工程をさらに備える、ことを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項13に係る除去回収方法は、吸引手段の、溶融状態の路面標示材塗料に対する吸引力を10〜25kPaとする、ことを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項14に係る除去回収方法は、舗装路面が排水性舗装路面である、ことを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項15に係る除去回収装置は、舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する装置であって、
舗装路面上を走行可能で、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、蒸気を舗装路面上の路面標示材塗料に向けて吹付ける蒸気吹付け手段とを設置してなる第1蒸気吹付けユニットと、
第1蒸気吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第1蒸気吹付けユニットにより溶融状態とされた、大部分の路面標示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第1吸引回収ユニットと、
第1吸引回収ユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、舗装路面に残留する路面標示材塗料に向けて蒸気を吹き付ける蒸気吹付け手段とを設置してなる第2蒸気吹付けユニットと、
第2蒸気吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第2蒸気吹付けユニットにより溶融状態とされた、舗装路面に残留する路面標示材塗料に対し圧縮空気を吹き付ける圧縮空気吹付け手段を設置してなる圧縮空気噴付けユニットと、
圧縮空気噴付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、圧縮空気噴付けユニットの圧縮空気により舗装路面上に浮上した溶融状態の路面表示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第2吸引回収ユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0034】
請求項15に係る装置によると、舗装路面上を移動しながら、各ユニットによる、路面標示材塗料の一連の除去回収作業を連続的に効率よく行える。また、従来のような分離手段が要らず、装置の構成を簡素化できる。
【0035】
本発明の請求項16に係る除去回収装置は、前記蒸気発生手段が、蒸気ボイラーからなることを特徴とする。
【0036】
本発明の請求項17に係る除去回収装置は、前記蒸気吹出し手段が、路面標示材の近傍に蒸気吹出し口をかつ蒸気ボイラー側に蒸気導入口を備える筒状のケーシングからなる、ことを特徴とする。
【0037】
本発明の請求項18に係る除去回収装置は、前記吸引機が、路面標示材の近傍に吸引口を位置させる吸引ホースと、この吸引ホースの出口に接続される回収タンクと、前記吸引ホース内に吸引力を発生させるモータとを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、本発明に係る、路面標示材塗料の除去回収方法によれば、第1の工程で舗装路面上の大部分の路面標示材塗料を溶融して除去回収し、第2の工程で舗装路面に残留する路面標示材塗料部分を溶融して除去回収するようにしたから、舗装路面に施工した路面標示材塗料のみを、舗装路面のアスファルト混合物層と一緒に削り取ることなく、綺麗に、かつ、短時間で、舗装路面から略完全に除去し、吸引回収できる効果を奏する。これにより、舗装路面への路面標示材塗料の再施工も含めた施工時間の短縮が図れる。その結果、舗装路面を交通等に早期開放できる効果を奏する。また、回収タンクに回収した路面標示材塗料は、新設用又は補修用の路面標示材用の塗料としてそのまま再使用できる効果を奏する。
【0039】
また、本発明に係る、路面標示材塗料の除去回収装置によると、舗装路面上を移動しながら、効率よく路面標示材塗料の一連の除去、回収作業が行なえ、路面標示材塗料の除去回収コストの低減を図れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし図3は本発明の第1実施形態を示すもので、これらの図において、符号10は、路面標示材塗料の除去回収装置を示している。
【0041】
まず、舗装路面1について説明すると、図10に示すように、舗装路面1の表層にはアスファルト混合物層2が設けられ、同アスファルト混合物層2の表面に白線ライン(路面標示材)WRが引かれている。この白線ラインWRを構成する白線ラインの塗料(路面標示材塗料)は、軟化点80℃以上の合成樹脂、添加剤、着色顔料、体積顔料および充填材、ガラスビーズが含まれており、それぞれの配合割合は、合成樹脂15〜20重量%、添加剤2〜5重量%、着色顔料1〜10重量%、体積顔料および充填材42〜61重量%、ガラスビーズ20〜23重量%である。なお、アスファルト混合物層2は、アスファルトに砕石や砂等の骨材を混合したアスファルト混合物から構成される層である。
【0042】
路面標示材塗料の除去回収装置10は、図1および図2に示すように、第1熱風吹付けユニット20と、第1吸引回収ユニット30と、第2熱風吹付けユニット40と、圧縮空気吹付けユニット50と、第2吸引回収ユニット60とから構成されている。
【0043】
第1熱風吹付けユニット20は、舗装路面1のアスファルト混合物層2上の白線ラインWRの塗料(以下、「白線ライン塗料」という)Pに熱風を吹付けて、白線ライン塗料Pを加熱し、大部分(約80〜90%程度)の白線ライン塗料Pを溶融状態とするもので、舗装路面1上の白線ラインWRを跨ぐ形で、白線ラインWRに沿って舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体22を有する。このユニット本体22には、白線ラインの近傍直上に熱風吹出し口23aを開口する円筒形のケーシング23と、このケーシング23内にケーシング23と同軸的に配置される燃焼筒24と、この燃焼筒24の上端に付属するバーナー25と、このバーナー25に燃料配管26を介して燃料(灯油、ガス、重油、水素など)を送る燃料タンク27とをそれぞれ設置し、前記ケーシング23の上端の吸気口23bには外気をケーシング23内に導入する吸気ファン28が設置されている。
【0044】
第1熱風吹付けユニット20は、燃料タンク27から燃料配管26を介して燃焼筒24内に送られる燃料をバーナー25で燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。吸気ファン28の回転により、吸気口23bからケーシング23内に取入れた外気から高温の燃焼ガスとの熱交換によって約300〜1000℃の熱風を生成し、約300〜1000℃の温度の熱風をケーシング23下端の熱風吹出し口23aからその直下の白線ライン塗料に対し、吹付ける。300℃未満であると、白線ライン塗料Pが溶けにくく、1000℃を超えると、白線ライン塗料Pが焦げて、再使用に支障を生じるおそれがある。この熱風の吹付けによってアスファルト混合物層2上の、大部分(約80〜90%程度)の白線ライン塗料Pを溶融させる。なお、300〜1000℃の熱風は電気ヒーターによって生成することも可能である。
【0045】
第1吸引回収ユニット30は、第1熱風吹付けユニット20により溶融状態とされた、アスファルト混合物層2上の、大部分の白線ライン塗料Pを吸引ホース32により吸引し、回収タンク33内に回収するものである。当該第1吸引回収ユニット30は、第1熱風吹付けユニット20のユニット本体22の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体31を有する。このユニット本体31には、白線ラインWRの近傍、すなわち約5〜10cmの直上高さに吸引口32aを開口する前記吸引ホース32と、この吸引ホース32の出口に接続される前記回収タンク33とをそれぞれ設置し、当該回収タンク33には吸引ホース32内に吸引力を発生させるモータが内蔵されている。前記吸引口32aには白線ラインWRの全幅よりも幅広の吸引アタッチメント34が着脱可能に接続されており、幅広の吸引アタッチメント34によりアスファルト混合物層2上の白線ライン塗料Pを全幅にわたり吸引できる。吸引圧は静圧で10kPa以上あれば十分である。
【0046】
第2熱風吹付けユニット40は、第1吸引回収ユニット30で除去できなかったアスファルト混合物層2に残留する少量(約10〜20%程度)の白線ライン塗料部分P1(図3参照)に熱風を吹付けて、加熱により再溶融状態とするものである。当該第2熱風吹付けユニット40は、第1吸引回収ユニット30のユニット本体31の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体41を有する。このユニット本体41には、前記第1熱風吹付けユニット20と同様の、ケーシング23、燃焼筒24、バーナー25、燃料配管26、燃料タンク27、吸気ファン28がそれぞれ設置されている。
【0047】
圧縮空気噴付けユニット50は、第2熱風吹付けユニット40によって再溶融状態とされたアスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P1に対し圧縮空気を噴付けて、溶融状態の白線ライン塗料部分P1をアスファルト混合物層2からアスファルト混合物層2上に吹き飛ばして浮上させるものである。当該圧縮空気噴付けユニット50は、前記第2熱風吹付けユニット40のユニット本体41の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体51を有する。このユニット本体51には、舗装路面1上の白線ライン塗料Pの近傍に圧縮空気の噴出口52aが開口するエアガン52と、このエアガン52に空気ホース53を介して圧縮空気を供給するエアコンプレッサー54が、それぞれ設置されている。
【0048】
第2吸引回収ユニット60は、圧縮空気噴付けユニット50によりアスファルト混合物層2から吹き飛ばされアスファルト混合物層2上に浮上した白線ライン塗料部分P1を吸引ホース32により吸引し、回収タンク33内に回収するものである。当該第2吸引回収ユニット60は、圧縮空気噴付けユニット50のユニット本体52の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体61を有する。このユニット本体61には、第1吸引回収ユニット30と同様、白線ラインWRの近傍直上に吸引口32aを開口する前記吸引ホース32と、モータ内蔵の前記回収タンク33とがそれぞれ設置されている。
【0049】
次に、上記構成の除去回収装置10による白線ライン塗料Pの除去回収方法を説明する。
【0050】
上記各ユニットを連結して白線ラインWRに沿って、基準始点から、低速でゆっくりと前進移動させながら、まず、図3(A)に示すように、舗装路面1のアスファルト混合物層2上の白線ライン塗料Pに対し、第1熱風吹付けユニット20によって熱風を吹付けて舗装路面1上の大部分の白線ライン塗料Pを溶融状態し、続く第1吸引回収ユニット30によってこれを吸引回収する。続いて、図3(B)に示すように、舗装路面1のアスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P1に対し、第2熱風吹付けユニット40によって熱風を吹付けて、アスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P1を溶融状態とし、続く圧縮空気噴付けユニット50によりアスファルト混合物層2からアスファルト混合物層2上に吹き飛ばし、もってアスファルト混合物層2上に浮上した白線ライン塗料部分P1を第2吸引回収ユニット60によって吸引回収する。
【0051】
アスファルト混合物層2上の大部分の白線ライン塗料Pと、アスファルト混合物層2上およびアスファルト混合物層2内部に入り込んだ残りの白線ライン塗料部分P1とのそれぞれを、除去回収装置10の各ユニットに従って順次除去回収でき、これにより、舗装路面1上に施工した白線ライン塗料Pをアスファルト混合物層2からほぼ完全に除去し、回収できる。また、除去回収作業を効率よく行うことができる。
【0052】
回収タンク33内に回収された白線ライン塗料Pは冷却され、固体または粉体の白線塗料として回収タンク33内に蓄積される。回収タンク33内に回収した白線ライン塗料Pは、そのまま新設用、補修用に再使用可能である。従来の白線ラインを削り取る方法と異なり、アスファルト混合物層2からその内部に入り込んだ白線ライン塗料Pまでも綺麗に回収し、回収した白線ライン塗料Pにアスファルト混合物層2の不純物が混合するおそれはほとんどなく、回収した白線ライン塗料Pをそのまま再使用できる。
【0053】
図11は、排水性舗装路面3の表面に施工された白線ライン塗料Pを示しているが、排水性舗装路面3は、アスファルト混合物層4に多数の空隙Sが形成されており、排水性に優れるが、白線ライン塗料Pが図に示すようにアスファルト混合物層4の空隙Sに多く入り込み、従来の削り取る方法では、空隙Sに入り込んだ白線ライン塗料Pを除去するのは非常に困難である。これに対し、本発明の除去回収装置10を用いると、隙間Sに深く入り込んだ白線ライン塗料部分P3までもほぼ完全に除去回収できる。
【0054】
前記第1実施形態においては、各ユニット、すなわち、第1熱風吹付けユニット20から第2吸引回収ユニット60までを連結する構成としたが、各ユニットに含まれるすべての要素を1つの車輪付きの台車上に設置するようにしてもよい。
【0055】
図4ないし図6は本発明の第2実施形態を示すもので、これらの図において、符号70は、路面標示材塗料の除去回収装置を示している。本実施形態において、第1実施形態で説明した装置と同一構成部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0056】
本実施形態における除去回収装置70は、第1実施形態で説明した第1熱風吹付けユニット20、第1吸引回収ユニット30、第2熱風吹付けユニット40、圧縮空気吹付けユニット50、第2吸引回収ユニット60に対し、掻出しユニット80、第3吸引回収ユニット90が連結された構成とされている。
【0057】
掻出しユニット80は、第2吸引回収ユニット60によって除去できなかったアスファルト混合物層2内に残留するわずかな白線ライン塗料部分P2(図6参照)や、排水性舗装路面3における奥に入り込んだ白線ライン塗料部分P3(図11参照)を、アスファルト混合物層2上へ機械的に掻き出すものである。当該掻出しユニット80は、前記第2吸引回収ユニット60のユニット本体61の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体81を有する。このユニット本体81には、支持バー82の下端間に回転可能に水平支持され、アスファルト混合物層2上に接触する金属ワイヤー製の回転ブラシ83と、この回転ブラシ83を回転駆動するモータ84とが設置されている。
【0058】
第3吸引回収ユニット90は、掻出しユニット80によりアスファルト混合物層2内からアスファルト混合物層2上に掻き出された白線ライン塗料部分P2、P3を吸引ホース32により吸引し、回収タンク33内に回収するものである。当該第3吸引回収ユニット90は、掻出しユニット80のユニット本体82の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体91を有する。このユニット本体91には、第1吸引回収ユニット30と同様、白線ラインの近傍直上に吸引口32aを開口する前記吸引ホース32と、モータ内蔵の前記回収タンク33とがそれぞれ設置されている。
【0059】
上記構成の除去回収装置70によると、第2吸引回収ユニット60によってアスファルト混合物層2に残留する僅かな白線ライン塗料部分P2、P3を、掻出しユニット80により機械的にアスファルト混合物層2上に掻き出して除去し、これによってアスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P2、P3をほぼ完全に回収することが可能である。
【0060】
前記第2実施形態においては、第1熱風吹付けユニット20から第3吸引回収ユニット90までを連結する構成としたが、各ユニットに含まれるすべての要素を1つの車輪付きの台車上に設置するようにしてもよい。
【0061】
図7ないし図8は本発明の第3実施形態を示すもので、前記実施形態と同一要素には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
本実施形態における路面標示材塗料の除去回収装置100は、図7に示すように、第1蒸気吹付けユニット110と、第1吸引回収ユニット30と、第2蒸気吹付けユニット120と、圧縮空気噴付けユニット50と、第2吸引回収ユニット60とから構成されている。
【0063】
第1蒸気吹付けユニット110は、舗装路面1のアスファルト混合物層2上の白線ライン塗料Pに蒸気を吹付けて、白線ライン塗料Pを加熱し、大部分(約80〜90%程度)の白線ライン塗料Pを溶融状態とするもので、舗装路面1上の白線ラインWRを跨ぐ形で、白線ラインWRに沿って舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体111を有する。このユニット本体111には、白線ラインの近傍直上に蒸気吹出し口112aを開口する円筒形のケーシング112と、このケーシング112内に蒸気配管113を介して蒸気を供給する蒸気ボイラー114とがそれぞれ設置されている。蒸気配管113には開閉弁115が設けられている。
【0064】
第1蒸気吹付けユニット110は、蒸気ボイラー114内で発生させた蒸気を、開閉弁115を開いて、蒸気配管113を通してケーシング112内に供給し、ケーシング112の下端の蒸気吹出し口112aから、その直下の白線ライン塗料に対し、約300〜1000℃の温度で吹付ける。この蒸気の吹付けによって大部分(約80〜90%程度)の白線ライン塗料Pを溶融させる。約300℃未満であると、白線ライン塗料Pが溶けにくく、1000℃を超えると白線ライン塗料Pが焦げて、再使用に支障が生じるおそれがある。
【0065】
第1吸引回収ユニット30は、第1蒸気吹付けユニット110により溶融状態とされた、アスファルト混合物層2上の、大部分の白線ライン塗料Pを吸引ホース32により吸引し、回収タンク33内に回収する。当該第1吸引回収ユニット30のユニット本体31は、第1蒸気吹付けユニット110のユニット本体111の後端に連結されている。
【0066】
第2蒸気吹付けユニット120は、第1吸引回収ユニット30で除去できなかったアスファルト混合物層2に残留する少量(約10〜20%程度)の白線ライン塗料部分P1に再度蒸気を吹付けて、加熱により再溶融状態とするものである。当該第2蒸気吹付けユニット120は、第1吸引回収ユニット30のユニット本体31の後端に連結されて、舗装路面1上を走行可能で、下面に車輪21を備えるユニット本体121を有する。このユニット本体121には、前記第1蒸気吹付けユニット110と同様の、ケーシング112、開閉弁115付きの蒸気配管113、蒸気ボイラー114がそれぞれ設置されている。
【0067】
圧縮空気噴付けユニット50は、第2蒸気吹付けユニット120によって再溶融状態とされたアスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P1に対し圧縮空気を噴付けて、溶融状態の白線ライン塗料部分P1をアスファルト混合物層2からアスファルト混合物層2上に吹き飛ばして浮上させるものである。当該圧縮空気噴付けユニット50は、前記第2蒸気吹付けユニット120のユニット本体121の後端に連結されている。
【0068】
第2吸引回収ユニット60は、圧縮空気噴付けユニット50によりアスファルト混合物層2からアスファルト混合物層2上に吹き飛ばされた白線ライン塗料部分P1を吸引ホース32により吸引し、回収タンク33内に回収するもので、当該第2吸引回収ユニット60のユニット本体61は、圧縮空気噴付けユニット50のユニット本体52の後端に連結されている。
【0069】
上記構成の除去回収装置100によると、図8(A)に示すように、舗装路面1のアスファルト混合物層2上の白線ライン塗料Pに対し、開閉弁115を開いて、第1蒸気吹付けユニット110によって蒸気を吹付けてアスファルト混合物層2上の、大部分の白線ライン塗料Pを溶融状態とし、続く第1吸引回収ユニット30によってこれを吸引回収し、続いて、図8(B)に示すように、アスファルト混合物層2に残る少量の白線ライン塗料部分P1に対し、第2蒸気吹付けユニット120によって蒸気を吹付けて、アスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P1を溶融状態とし、続く圧縮空気噴付けユニット50により圧縮空気を噴付けて、アスファルト混合物層2内からアスファルト混合物層2上に吹き飛ばし、アスファルト混合物層2上に浮上した少量の白線ライン塗料部分P1を第2吸引回収ユニット60によって吸引回収する。
【0070】
アスファルト混合物層2上の大部分の白線ライン塗料Pと、アスファルト混合物層2上およびアスファルト混合物層2内部に入り込んだ残りの白線ライン塗料部分P1とのそれぞれを、除去回収装置100の各ユニットに従って順次除去回収し、これにより、白線ライン塗料Pをアスファルト混合物層2からほぼ完全に除去し、回収できる。また、除去回収作業を効率よく行うことができる。
【0071】
前記第3実施形態においては、第1蒸気吹付けユニット110から第2吸引回収ユニット60までを連結する構成としたが、各ユニットに含まれるすべての要素を1つの車輪付きの台車上に設置するようにしてもよい。
【0072】
図9は、本発明の第4実施形態を示すもので、本実施形態の除去回収装置130は、第3実施形態の除去回収装置100に対し、掻出しユニット80および第3吸引回収ユニット90を追加したものである。
【0073】
すなわち、本実施形態の除去回収装置130は、第1蒸気吹付けユニット110、第1吸引回収ユニット30、第2蒸気吹付けユニット120、圧縮空気噴付けユニット50、第2吸引回収ユニット60、掻出しユニット80、第3吸引回収ユニット90が順次連結されている。
【0074】
上記構成の除去回収装置130によると、第2吸引回収ユニット60によってアスファルト混合物層2に残留する僅かな白線ライン塗料部分P1、P2を、掻出しユニット80により機械的にアスファルト混合物層2上に掻き出して除去し、これによってアスファルト混合物層2に残留する白線ライン塗料部分P1、P2をほぼ完全に回収することが可能である。
【0075】
前記第4実施形態においては、第1蒸気吹付けユニット110から第3吸引回収ユニット90までを連結する構成としたが、各ユニットに含まれるすべての要素を1つの車輪付きの台車上に設置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る路面標示材の除去回収方法および装置は、舗装路面上の路面標示材塗料を、舗装路面の表層材と一緒に削り取ることなく、溶融して、除去回収し、これを再使用できるようにした方法および装置として、利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る第1実施形態の路面標示材の除去回収装置を用いて、舗装路面の白線ライン塗料を除去回収する様子を示す側面図である。
【図2】図1に示す除去回収装置を用いて、舗装路面の白線ライン塗料を除去回収する様子を示す平面図である。
【図3】(A)は第1の工程で、熱風により白線ライン塗料を溶融して、吸引回収する様子を示す作用図、(B)は第2の工程で、第1の工程で取り除けなかった白線ライン塗料部分を再溶融して、圧縮空気を噴付け、吸引回収する様子を示す作用図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の路面標示材の除去回収装置を用いて、舗装路面の白線ライン塗料を除去回収する様子を示す側面図である。
【図5】図4に示す除去回収装置を用いて、舗装路面の白線ライン塗料を除去回収する様子を示す平面図である。
【図6】第3の工程で、回転ブラシにより第2の工程で取り除けなかった僅かの白線ライン塗料部分を掻き出して、吸引回収する様子を示す作用図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の路面標示材の除去回収装置を用いて、舗装路面の白線ライン塗料を除去回収する様子を示す側面図である。
【図8】(A)は第1の工程で、蒸気により白線ライン塗料を溶融して、吸引回収する様子を示す作用図、(B)は第2の工程で、第1の工程で取り除けなかった白線ライン塗料部分を蒸気により再溶融して、圧縮空気を噴付け、吸引回収する様子を示す作用図である。
【図9】本発明に係る第4実施形態の路面標示材の除去回収装置を用いて、舗装路面の白線ライン塗料を除去回収する様子を示す側面図である。
【図10】舗装路面のアスファルト混合物層上に白線ライン塗料が施工された状態を示す要部断面図である。
【図11】排水性舗装路面のアスファルト混合物層上に白線ライン塗料が施工された状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 舗装路面
2、4 アスファルト混合物層
3 排水性舗装路面
10、70、100、130 路面標示材塗料の除去回収装置
20 第1熱風吹付けユニット
21 車輪
22、31、41、51、61、81、91、111、121 ユニット本体
23、112 ケーシング
24 燃焼筒
25 バーナー
26 燃料配管
27 燃料タンク
28 吸気ファン
30 第1吸引回収ユニット
32 吸引ホース
32a 吸引口
33 回収タンク
34 吸引アタッチメント
40 第2熱風吹付けユニット
50 圧縮空気噴付けユニット
52 エアガン
52a 噴出口
53 空気ホース
54 エアコンプレッサー
60 第2吸引回収ユニット
80 掻出しユニット
82 支持バー
83 回転ブラシ
84 モータ
90 第3吸引回収ユニット
110 第1蒸気吹付けユニット
112a 蒸気吹出し口
113 蒸気配管
114 蒸気ボイラー
115 開閉弁
120 第2蒸気吹付けユニット
P 白線ライン塗料(路面標示材塗料)
P1、P2、P3 白線ライン塗料部分
S 空隙
WR 白線ライン(路面標示材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する方法であって、
舗装路面上の前記路面標示材塗料に熱風を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の大部分の路面標示材塗料を吸引手段によって吸引除去し、回収タンク内に回収する第1の工程と、
舗装路面に残留する路面標示材塗料に熱風を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の路面標示材塗料を、圧縮空気によって舗装路面上に浮上させて、浮上した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第2の工程と、
を備えることを特徴とする路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項2】
第2の工程で除去できなかった舗装路面内部の路面標示材塗料を、掻出し手段によって舗装路面上に掻き出して、掻き出した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第3の工程をさらに備える、ことを特徴とする請求項1記載の路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項3】
吸引手段の、溶融状態の路面標示材塗料に対する吸引力を10〜25kPaとする、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項4】
舗装路面が排水性舗装路面である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項5】
舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する装置であって、
舗装路面上を走行可能で、熱風を発生させる熱風発生手段と、熱風を舗装路面上の路面標示材塗料に向けて吹付ける熱風吹付け手段とを設置してなる第1熱風吹付けユニットと、
第1熱風吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第1熱風吹付けユニットにより溶融状態とされた、舗装路面上の大部分の路面標示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第1吸引回収ユニットと、
第1吸引回収ユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、熱風を発生させる熱風発生手段と、舗装路面に残留する路面標示材塗料に向けて熱風を吹き付ける吹付け手段とを設置してなる第2熱風吹付けユニットと、
第2熱風吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第2熱風吹付けユニットにより溶融状態とされた、舗装路面に残留する路面標示材塗料に対し、圧縮空気を噴き付ける圧縮空気噴付け手段を設置してなる圧縮空気噴付けユニットと、
圧縮空気噴付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、圧縮空気噴付けユニットの圧縮空気により舗装路面上に浮上した路面表示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第2吸引回収ユニットと、
を備えることを特徴とする路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項6】
第2吸引回収ユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第2吸引回収ユニットで除去できなかった、舗装路面内部の路面標示材塗料を舗装路面上に掻き出す掻出し手段を備える掻出しユニットと、
掻出しユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、掻出しユニットにより舗装路面上に掻き出された路面標示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第3吸引回収ユニットと、
を備えることを特徴とする請求項5記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項7】
前記熱風発生手段が、路面標示材の近傍に熱風吹出し口を備える筒状のケーシングと、ケーシング内に配置されバーナーにより燃料を燃焼させる燃焼筒とを備える、ことを特徴とする請求項5または請求項6記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項8】
前記熱風吹付け手段が、ケーシングの吸気口に取付けられた吸気ファンからなることを特徴とする請求項5ないし請求項7記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項9】
前記吸引手段が、路面標示材の近傍に吸引口を位置させる吸引ホースと、この吸引ホースの出口に接続される回収タンクと、前記吸引ホース内に吸引力を発生させるモータとを備える、ことを特徴とする請求項5ないし請求項8記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項10】
前記掻き出し手段が、回転ブラシであることを特徴とする請求項6記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項11】
舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する方法であって、
舗装路面上の前記路面標示材塗料に蒸気を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の大部分の路面標示材塗料を吸引手段によって吸引除去し、回収タンク内に回収する第1の工程と、
舗装路面に残留する路面標示材塗料に蒸気を吹付けて溶融状態とし、溶融状態の路面標示材塗料を、圧縮空気によって舗装路面上に浮上させ、舗装路面上に浮上した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第2の工程と、
を備えることを特徴とする路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項12】
第2の工程で除去できなかった舗装路面内部の路面標示材塗料を、掻出し手段によって舗装路面上に掻き出して、掻き出した路面標示材塗料を吸引手段によって吸引し、回収タンク内に回収する第3の工程をさらに備える、ことを特徴とする請求項11記載の路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項13】
吸引手段の、溶融状態の路面標示材塗料に対する吸引力を10〜25kPaとする、ことを特徴とする請求項11または請求項12記載の路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項14】
舗装路面が排水性舗装路面である、ことを特徴とする請求項11ないし請求項13記載の路面標示材塗料の除去回収方法。
【請求項15】
舗装路面上に路面標示材用塗料を塗布して路面標示材を施工した後に舗装路面から路面標示材塗料を除去回収する装置であって、
舗装路面上を走行可能で、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、蒸気を舗装路面上の路面標示材塗料に向けて吹付ける蒸気吹付け手段とを設置してなる第1蒸気吹付けユニットと、
第1蒸気吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第1蒸気吹付けユニットにより溶融状態とされた、大部分の路面標示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第1吸引回収ユニットと、
第1吸引回収ユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、舗装路面に残留する路面標示材塗料に向けて蒸気を吹き付ける蒸気吹付け手段とを設置してなる第2蒸気吹付けユニットと、
第2蒸気吹付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、第2蒸気吹付けユニットにより溶融状態とされた、舗装路面に残留する路面標示材塗料に対し圧縮空気を吹き付ける圧縮空気吹付け手段を設置してなる圧縮空気噴付けユニットと、
圧縮空気噴付けユニットの後端に連結されて、舗装路面上を走行可能で、圧縮空気噴付けユニットの圧縮空気により舗装路面上に浮上した路面表示材塗料を吸引する吸引手段と、吸引した路面標示材塗料を回収する回収タンクとを設置してなる第2吸引回収ユニットと、
を備えることを特徴とする路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項16】
前記蒸気発生手段が、蒸気ボイラーからなることを特徴とする請求項15記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項17】
前記蒸気吹出し手段が、路面標示材の近傍に蒸気吹出し口をかつ蒸気ボイラー側に蒸気導入口を備える筒状のケーシングからなる、ことを特徴とする請求項15または請求項16記載の路面標示材塗料の除去回収装置。
【請求項18】
前記吸引手段が、路面標示材の近傍に吸引口を位置させる吸引ホースと、この吸引ホースの出口に接続される回収タンクと、前記吸引ホース内に吸引力を発生させるモータとを備える、ことを特徴とする請求項15ないし請求項17記載の路面標示材塗料の除去回収装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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