説明

路面清掃車

【課題】 道路清掃しながら清掃中の道路の状態を記録するようにした路面清掃車を提供する。
【解決手段】 車両1に、車両1の緯度、経度の位置データを検出可能な位置検出装置10と、清掃する道路の清掃前の道路状況を撮影可能な清掃前用カメラ11と、清掃する道路の清掃後の道路状況を撮影可能な清掃後用カメラ12と、前記両カメラ11,12から出力される撮影データとその時点で位置検出装置10により検出される車両1の位置データとを組み合わせた作業データを記録する作業データ記録装置13を備えたことで、道路清掃しながら前記作業データを記録することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の清掃や補修作業に向かう作業車両に関し、特に道路を走行しながら路面上を清掃するようにしてある路面清掃車に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や一般幹線道路を管理する道路管理者から道路の清掃や補修作業を請負業者に委託して行わせることが多い。その場合、指示した場所の道路の清掃や補修作業の作業完了を証明するために、請負業者から作業前後に撮影した写真が提出される。しかし、添付される写真から本当に指示した場所で指示した通りの作業を行なったのか否かを判別することが難しい問題があった。
そこで、特許文献1に記載のように、道路の補修作業に向う作業車両に、車両の位置情報及び時刻情報を検出するGPS受信装置と、補修前と補修後の道路状況を撮影するカメラと、GPS受信装置からの位置情報と時刻情報、カメラによる撮影記録情報が夫々入力される演算処理装置と、演算処理装置に接続され演算処理装置に入力された上記各情報を記憶媒体に記憶させる記憶装置とを備え、補修作業の前後の撮影記憶情報に位置情報と時刻情報を結合させて記憶させたもの(記憶媒体)を道路管理者に提出することで、指示された場所の道路の補修作業の作業完了を明確に証明するようにしたシステムが知られている。また、特許文献2には、カメラによって撮影した道路の状況を動画像情報として出力することが開示されている。特許文献3には、道路を走行しながら路面上を清掃するようにしてある路面清掃車が開示されている。
【特許文献1】特開平9−147163号公報
【特許文献2】特開平11−258980号公報
【特許文献3】特開2005−36475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
道路を走行しながら路面上を清掃するようにしてある路面清掃車に特許文献1に記載のシステムを採用した場合、清掃後の道路状況を撮影するためには清掃前の撮影位置に車両を移動させなければならない。よって、道路清掃する場所毎に路面清掃車による撮影用移動時間が道路清掃時間に含まれることで作業効率の低下につながる問題があった。また、清掃後、作業者自身が清掃前の位置に戻りカメラで道路状況を撮影しても良いが、危険が伴うと共に清掃前と撮影角度が異なる問題があった。更に特許文献2のカメラを用いて清掃作業を動画像情報とした場合、清掃後の道路状況を撮影するために、前方の道路を撮影しているカメラを後方の道路を撮影するように反転させなければならない煩わしさがある。そこで本発明の課題は、上記問題点を解決するもので、道路清掃しながらその清掃中の道路の状態を記録するようにした路面清掃車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の路面清掃車は、塵埃を収容可能なホッパーと、路面上の塵埃をホッパー内に回収可能な清掃装置とを備え、道路を走行しながら路面上を清掃するようにしてある路面清掃車において、車両の緯度、経度の位置データを検出可能な位置検出装置と、清掃する道路の清掃前の道路状況を撮影可能な清掃前用カメラと、清掃する道路の清掃後の道路状況を撮影可能な清掃後用カメラと、前記両カメラから出力される撮影データとその時点で位置検出装置により検出される車両の位置データとを組み合わせた作業データを記録する作業データ記録装置を備え、道路清掃しながらその清掃中の道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両の位置データとを組み合わせた作業データを記録するようにしたことを特徴とする。
前記清掃前用カメラは車両前方の道路状況を撮影可能な複数の前方監視カメラと道路清掃する清掃領域の全景を撮影可能な全景用カメラとから成り、清掃後用カメラは車両後方の道路状況を撮影可能な複数の後方監視カメラから成ることを特徴とする。
具体的には、前方監視カメラは、車両の左側前方の道路状況を撮影可能な左側前方監視カメラと車両の右側前方の道路状況を撮影可能な右側前方監視カメラとから成り、後方監視カメラは、車両の左側後方の道路状況を撮影可能な左側後方監視カメラと車両の右側後方の道路状況を撮影可能な右側後方監視カメラとから成り、道路清掃個所が道路の左側か右側かによって対応する側の前方監視カメラと後方監視カメラから撮影データが出力されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、位置検出装置と、清掃前用カメラと、清掃後用カメラと、前記両カメラから出力される撮影データとその時点で検出される車両の位置データとを組み合わせた作業データを記録する作業データ記録装置を備え、道路清掃しながらその清掃中の道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両の位置データとを組み合わせた作業データを記録するようにしたので、道路清掃する場所毎に路面清掃車の撮影用移動時間が道路清掃時間に含まれないので作業効率が向上することになる。
また、本発明では、清掃前用カメラは車両前方の道路状況を撮影可能な複数の前方監視カメラと道路清掃する清掃領域の全景を撮影可能な全景用カメラとから成り、清掃後用カメラは車両後方の道路状況を撮影可能な複数の後方監視カメラから成るので、清掃前と清掃後の道路状況及び、清掃領域の全景を示す撮影データを道路清掃しながら簡易迅速に得ることができる。
また、本発明では、前方監視カメラは左側前方監視カメラと右側前方監視カメラとから成り、後方監視カメラは左側後方監視カメラと右側後方監視カメラとから成り、道路清掃個所が道路の左側か右側かによって対応する側の前方監視カメラと後方監視カメラから撮影データが出力されるようにしたので、清掃場所の中に道路の左側を清掃する場合と道路の右側を清掃する場合があっても、確実に道路清掃箇所の撮影データを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1に示す路面清掃車1は、塵埃Mを収容可能なホッパー2と、路面3上の塵埃Mをホッパー2内に回収可能な清掃装置4とを備え、道路を走行しながら路面3上を清掃するようになっている。本実施形態では、前記清掃装置4は車体1aの両側に配置された側ブラシ5と吸込口6が路面3と対向するように配置されたピックアップヘッド7とから成る。ピックアップヘッド7の吸込口6に車体1aに搭載されたブロア装置8の駆動により吸引力を作用させ、側ブラシ5により掃き寄せられた塵埃Mをピックアップヘッド7の吸込口6からホッパー2内に回収するようになっている。この車両1には、車両1の緯度、経度の位置データを検出可能な位置検出装置10と、清掃する道路の清掃前の道路状況を撮影可能な清掃前用カメラ11と、清掃する道路の清掃後の道路状況を撮影可能な清掃後用カメラ12と、前記両カメラ11,12から出力される撮影データとその時点で位置検出装置10により検出される車両1の位置データとを組み合わせた作業データを記録する作業データ記録装置13を備え、道路清掃しながらその清掃中の道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両1の位置データとを組み合わせた作業データを記録するようにしてある。また、車両1には作業データ記録装置13に接続された表示装置14が設けられ、前記作業データを表示しながら道路清掃を行うようになっている。前記位置検出装置10は、通信衛星から送信されてくるGPS信号を受信するものであり、信号に基づいて位置データの他に時刻データや速度データを検出することも可能である。
【0007】
前記清掃前用カメラ11は車両1前方の道路状況を撮影可能な複数の前方監視カメラ11Aと道路清掃する清掃領域の全景を撮影可能な全景用カメラ11Bとから成り、清掃後用カメラ12は車両1後方の道路状況を撮影可能な複数の後方監視カメラ12Aから成る。前記前方監視カメラ11Aは、車両1の左側前方の道路状況を撮影可能な左側前方監視カメラ11A1と車両1の右側前方の道路状況を撮影可能な右側前方監視カメラ11A2とから成り、後方監視カメラ12Aは、車両1の左側後方の道路状況を撮影可能な左側後方監視カメラ12A1と車両1の右側後方の道路状況を撮影可能な右側後方監視カメラ12A2とから成る。また、図示しない制御手段により、道路清掃箇所が道路の左側か右側かによって対応する側の前方監視カメラ11Aと後方監視カメラ12Aから撮影データが出力されるようになっている。尚、本実施形態では、清掃前用カメラ11と清掃後用カメラ12から動画像の撮影データが出力されるが、静止画像の撮影データを出力するカメラであってもよい。
【0008】
上記構成の路面清掃車1を用いて道路清掃を行う場合について説明する。高速道路や一般幹線道路を管理する道路管理者から道路の清掃を委託された業者は、指示された場所の道路清掃の作業完了を証明するために、道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両1の位置データとを組み合わせた作業データを提出するようになっている。路面清掃車1が指示された場所の道路に到着すると、車両1に備えた位置検出装置10、清掃前用カメラ11、清掃後用カメラ12、作業データ記録装置13を夫々作動させる。その後、路面清掃車1によって道路を走行しながら路面3上を清掃すると共に、清掃中の道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両1の位置データとを組み合わせた作業データが記録される。その後、作業データは記録媒体15に書き込まれ、その記録媒体15が道路管理者に提出されるようになっている。また、作業データに清掃作業中の時刻データや車両1の速度データを組み合わせてもよい。前記清掃前の道路状況を示す撮影データは一方の前方監視カメラ11Aから出力される撮影データと全景用カメラ11Bから出力される撮影データであり、清掃後の道路状況を示す撮影データは一方の後方監視カメラ12Aから出力される撮影データである。例えば、図2のように道路の左側を清掃する場合には、撮影データは左側前方監視カメラ11A1、全景用カメラ11B、左側後方監視カメラ12A1から出力されたものである。
【0009】
従って、道路清掃しながらその清掃中の道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両1の位置データとを組み合わせた作業データを記録することから、従来のように、道路清掃する場所毎に路面清掃車1の撮影用移動時間が道路清掃時間に含まれないので、無駄な時間が削除され作業効率を向上させることができる。更に、作業者自身が清掃前の位置に戻りカメラで道路状況を撮影するような危険作業が行なわれることがない。また、前記撮影データは、車両1前方の道路状況を撮影可能な複数の前方監視カメラ11Aと道路清掃する清掃領域の全景を撮影可能な全景用カメラ11Bと、車両1後方の道路状況を撮影可能な複数の後方監視カメラ12Aから出力されるので、従来のように、前方の道路状況を撮影しているカメラを後方の道路状況を撮影するように反転させて清掃後の道路状況を撮影する必要がないから、清掃後、別の道路の清掃場所に路面清掃車1を速やかに移動させることができる。また、清掃場所の中に道路の左側を清掃する場合と道路の右側を清掃する場合があっても、確実に道路清掃箇所の撮影データを記録することができる。更に、前記作業データに時刻データや速度データを組み合わせることで、清掃する時刻における路上駐車の車両数や塵埃M量の把握及び、路面清掃車1の最適な作業速度を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の路面清掃車の側面図である。
【図2】図1の平面図であって、道路の左側を清掃する状態を示す図である。
【図3】システムの構成図である。
【符号の説明】
【0011】
1 路面清掃車
2 ホッパー
3 路面
4 清掃装置
10 位置検出装置
11 清掃前用カメラ
11A 前方監視カメラ
11A1 左側前方監視カメラ
11A2 右側前方監視カメラ
11B 全景用カメラ
12 清掃後用カメラ
12A 後方監視カメラ
12A1 左側後方監視カメラ
12A2 右側後方監視カメラ
13 作業データ記録装置
M 塵埃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を収容可能なホッパーと、路面上の塵埃をホッパー内に回収可能な清掃装置とを備え、道路を走行しながら路面上を清掃するようにしてある路面清掃車において、車両の緯度、経度の位置データを検出可能な位置検出装置と、清掃する道路の清掃前の道路状況を撮影可能な清掃前用カメラと、清掃する道路の清掃後の道路状況を撮影可能な清掃後用カメラと、前記両カメラから出力される撮影データとその時点で位置検出装置により検出される車両の位置データとを組み合わせた作業データを記録する作業データ記録装置を備え、道路清掃しながらその清掃中の道路の清掃前と清掃後の道路状況を示す撮影データと清掃中の車両の位置データとを組み合わせた作業データを記録するようにしたことを特徴とする路面清掃車。
【請求項2】
清掃前用カメラは車両前方の道路状況を撮影可能な複数の前方監視カメラと道路清掃する清掃領域の全景を撮影可能な全景用カメラとから成り、清掃後用カメラは車両後方の道路状況を撮影可能な複数の後方監視カメラから成ることを特徴とする請求項1記載の路面清掃車。
【請求項3】
前方監視カメラは、車両の左側前方の道路状況を撮影可能な左側前方監視カメラと車両の右側前方の道路状況を撮影可能な右側前方監視カメラとから成り、後方監視カメラは、車両の左側後方の道路状況を撮影可能な左側後方監視カメラと車両の右側後方の道路状況を撮影可能な右側後方監視カメラとから成り、道路清掃個所が道路の左側か右側かによって対応する側の前方監視カメラと後方監視カメラから撮影データが出力されるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の路面清掃車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−293411(P2007−293411A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117728(P2006−117728)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【出願人】(501119757)国土交通省中部地方整備局長 (12)
【Fターム(参考)】