身体に密着する衣類
【課題】衣類の所定の部位にリキッド接着剤が熱溶着され伸張力を抑制して優れた補整効果によりボディラインを美しく見せることができると共に、通気性や着心地がよく、着用した時に塗布されたリキッド接着剤の模様が現出し外観優美な上半身または下半身の身体に密着する衣類を提供する。
【解決手段】伸縮性生地によって形成された身体に密着する衣類である。伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性のパーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合する。
【解決手段】伸縮性生地によって形成された身体に密着する衣類である。伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性のパーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、身体に密着して着用される衣類に関するものであり、さらに詳しくは、所定部位を締め付けることにより体型が補整されて美しいシルエットを現出する身体に密着する衣類に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、ショーツ、ガードル、スパッツ、ボディスーツ、タイツ、レオタード、ブラジャーなどのインナーには、例えば、腹部、脚部、胸部などに付いた贅肉を押さえ込んで補整してプロポーションを良くし美しいシルエットのボディラインを作り出すことが行われている。
【０００３】
その例をガードルの腹部の場合で説明すると、ジャガード編みあるいはラッセル編みなどにより腹部、臀部、脚部が一体的に連続編成されたガードル本体は、腹部の編み組織を緊締力の強い編み組織に切り替えて編成してあり、腹部を締め付けて美しいウエストラインを現出するようにしてある（例えば、特許文献１，２参照）。
【０００４】
また、別の方法として、伸縮性の経編み生地で編成されたガードル本体の前身頃腹部中央部の内面側または外面側に、伸縮性の低い菱形形状の当て布を縫着し二重部を形成して伸張力を抑制することにより腹部の贅肉を押さえつけてウエストラインをスマートに見せている（例えば、特許文献３，４参照）。
【０００５】
さらに、別の方法として、伸縮性の経編み生地で形成されたガードル本体における前身頃の腹部中央部の内面側または外面側に、合成樹脂フィルムを一体的に接合して腹部の伸張力を抑制して腹部に付いた贅肉を締め付けてウエストラインを細く見せている（例えば、特許文献５，６，７参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０００−８２０３号公報
【特許文献２】特開２００２−２２０７０８号公報
【特許文献３】特開平８−１２７９０３号公報
【特許文献４】特許第２５８７７９２号公報
【特許文献５】特開２００２−２０１５０５号公報
【特許文献６】登録実用新案第３０５２８４５号公報
【特許文献７】実開平６−３３９０９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上記特許文献１，２の腹部を緊締力の強い編み組織に切り替えるものは、生地開発に大幅なコストが発生すると共に、色の切り替えが容易でなく、また、緊締部の編み組織の安定性が悪いため、同じ繊維で編成しても寸法のバラツキが大きかった。さらに、切り替えた強い編み組織の部分は全て同一伸張力であるから、締め付け強度を段階的に変える必要のある場合には使用できないといった問題点があった。
【０００８】
上記特許文献３，４の伸縮性の低い当て布を縫着して腹部を二重にする場合は、当て布の位置合わせなどの縫着作業に多くの手間と時間がかかり生産効率が悪かった。また、縫着した当て布の端や縫い糸が肌に触れると違和感が生じて着心地が悪くなる。さらに、当て布のある部分と当て布のない部分との厚みの差が顕著であるため、薄い生地のアウターを着用すると、その段差が外面に現れて外観不体裁になるといった問題点があった。
【０００９】
上記特許文献５，６，７の合成樹脂フィルムを接着する場合は、伸縮性生地の目を塞ぐことになって通気性がなくなり、蒸れが生じると共に、生地本来の持つ吸水性などを失うばかりでなく、ゴワゴワした感じになり着用感が好ましくなかった。また、合成樹脂フィルムの部分は、伸張力が均一であって細かな伸張調整ができず、締め付け強度を段階的に変える必要のある場合には適さないといった問題点があった。
【００１０】
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、衣類の所定の部位にリキッド接着剤が熱溶着され伸張力を抑制して優れた補整効果によりボディラインを美しく見せることができると共に、通気性や着心地がよく、着用した時に現出するリキッド接着剤の模様によるデザイン性にも優れた身体に密着する衣類を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記の課題を解決しその目的を達成する手段として、本発明は、伸縮性生地によって形成された身体に密着する衣類であって、伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性のパーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合することを特徴とする身体に密着する衣類を開発し、採用した。
【００１２】
本発明では、上記のように構成した身体に密着する衣類において、前記パーツ生地は、所定の部位の形状に裁断されていることを特徴とする身体に密着する衣類、および前記パーツ生地は、リキッド接着剤により伸張力が異なる部分が複数個所設けられていることを特徴とする身体に密着する衣類、および前記伸張力の異なる部分は、伸張力が大きい弱パワーと、伸張力が中間の中パワーと、伸張力が小さい強パワーとから構成されていることを特徴とする身体に密着する衣類、および前記パーツ生地は、通気性を確保してリキッド接着剤が塗布されていることを特徴とする身体に密着する衣類、および衣類がショーツ、ガードル、スパッツ、タイツなどのボトム類、ブラジャー、タンクトップ、スポーツシャツなどのトップス類、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのトップスとボトムが一体となったもの、ゲーター、脚用サポーター、膝用サポーター、足首用サポーター、肘用サポーターから選ばれた衣類である身体に密着する衣類を開発し、採用した。
【００１３】
ここで、本発明でいうリキッド接着剤とは、有機系接着剤で合成系接着剤のポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系に水を１０〜７０％の割合で混合された樹脂溶液またはエマルジョンであり、パーツ生地または身生地に塗布後、乾燥して硬化した伸張力を抑制するものをいう。
【発明の効果】
【００１４】
本発明は、衣類の伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性パーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合するから、所定部位に付いた贅肉を押さえて整容でき美しいシルエットを作ることができる。また、パーツ生地は、所定の部位の形状に裁断されており、接合が容易に確実に行うことができると共に、パーツ素材の組み換えや色の切り替えも容易になり、それぞれの部位に合った伸張力の抑制や色に調整できる。さらに、パーツ生地は伸張力の切り替えが自由に行えることから、段階的に締め付けることが可能になる。また、リキッド接着剤の塗布面積、塗布量、塗布厚さにより通気性のコントロールと剥離強度のコントロールができる。そして、着用した場合には、パーツ生地や身生地に塗布されたリキッド接着剤の柄が表面に浮き出てくるのでデザイン性に富み外観優美になる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明における第１実施形態のガードルの簡略正面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線拡大縦断面図である。
【図３】本発明における第２実施形態のスパッツの簡略正面図である。
【図４】本発明における第３実施形態のブラジャーの簡略背面図である。
【図５】本発明における第４実施形態のスポー用シャツの簡略背面図である。
【図６】本発明における第５実施形態のゲーターの簡略側面図である。
【図７】本発明における着圧パワーを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下に、本発明の実施の形態１を図１、図２に示すガードルの例で説明する。１は伸縮性のナイロンやポリウレタン繊維などを用いて経編みされたガードル本体であり、前身頃の正面中央部に形成された腹部２の内面または外面に、リキッド接着剤３が塗布された伸縮性の腹部パーツ生地４を熱溶着して腹部２を二重部にしてある。
【００１７】
前記腹部パーツ生地４は、略逆三角形に形成されており下腹部まで覆うものであり、略逆三角形の外周縁の細幅を伸張力の大きい弱パワー５とし、その弱パワー５の内周縁の一定幅を伸張力が中の中パワー６とすると共に、その内部中心部を伸張力の小さい強パワー７にしてある。
【００１８】
腹部パーツ生地４に塗布されているリキッド接着剤３は、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系に水が１０〜７０％の割合で混合されているのが好ましく、中でも弾性を有するポリウレタン樹脂が最適であり、プリントによって付着されている。
【００１９】
リキッド接着剤３の形状は、方形、三角形、円形、楕円形、ハート形、動植物などの種々の形状あるいは直線、曲線や点でもよく、大きさ、数量、塗布量、塗布面積、塗布厚さなどによって伸張力が自由に調整でき、着圧パワーを変えることができるようになっている。
【００２０】
上記リキッド接着剤３を塗布する方法は、スプレー噴射では均一に塗布するのが難しいことから、スクリーン捺染あるいはローラー捺染が適している。すなわち、スクリーン捺染板やロータリー捺染板に所定の形状を設けることで、任意形状のパターンの接着剤がプリントされる。
【００２１】
このように構成されたガードル本体１は、前身頃正面中央部の腹部２の内面側または外面側に、伸縮性の腹部パーツ生地４を当てがい熱接着すれば、腹部パーツ生地４に塗布されたリキッド接着剤３が溶融して接合され、腹部２が二重部になり伸張力が抑制されることから、腹部２に付いた贅肉を押さえてウエストラインを美しく補整することができるものである。それと共に腹部パーツ生地４に付着するリキッド接着剤３の塗布量や塗布面積、塗布厚さを変えることにより、腹部パーツ生地４内での伸張率が異なり、着圧パワーを変えることができ、段階的な締め付けが可能になり、肌との馴染みが良くなって、ガードル本体１との段差が付き難くなってフェードアウト化する。
【００２２】
つぎに、実施の形態２を図３のロングスパッツの例で説明する。図３では一方の脚部にパーツ生地１５を接合したものを示しているが、他方の脚部は省略してあり、実際には両脚部にパーツ生地１５が接合したものとする。１１は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて経編みされたウエスト部１２から裾口部１３までの長さのロングスパッツ本体であり、ウエスト部１２の下部から裾口部１３までの長さの内面側に、リキッド接着剤１４が塗布された帯状の脚部・膝部・脛部パーツ生地１５を熱接着して大腿部１６と膝部１７と下腿部１８を二重部にして伸張力を抑制し着圧パワーを変えたものである。
【００２３】
前記脚部・膝部・脛部パーツ生地１５は、ウエスト部１２の下部から膝部１７までを細帯体１９、膝部１７から裾口部１３までを同じ細帯体１９として伸張力の大きい弱パワー２０とし、膝部１８の中心部の外側を伸張力が中間の中パワー２１とすると共に、その内部中心部を伸張力の小さい強パワー２２としてある。この着圧パワーを異ならせるのは、前記ガードル本体１の時のパーツ生地５と同様であるので説明は省略する。
【００２４】
このように構成されたロングスパッツ本体１１は、大腿部１６から膝部１７を経て下腿部１８まで脚部・膝部・脛部パーツ生地１５が接合され二重になっているから、大腿直筋、膝関節部、前脛骨筋に当接してサポートし、運動時にかかる働きを助長して筋肉の疲労を防止し、運動作用をスムーズにさせる。そして、大腿部１６と下腿部１８が弱パワー２０に、膝部１７の外周部を弱パワー２０とし、その内周部を中パワー２１に、さらにその内周部を強パワー２２として膝関節部を段階的に締め付けることができ膝関節を安定に保ち、膝の不安定さから生じる膝痛などの予防にも有用である。
【００２５】
つぎに、本発明の実施の形態３を図４に示すブラジャーの例で説明する。３１はブラジャー本体で、カップ３２のリフト布３３の内面側に、リキッド接着剤３４が塗布されたリフトパーツ生地３５を熱接着して二重部にして伸張力を抑制したものである。リフトパーツ生地３５は、その内周縁から伸張力の大きい弱パワー３６、中パワー３７、強パワー３８の順に配されている。
【００２６】
また、ブラジャー本体３１のバック布３９においても、バック布３９の全体の内面側に、リキッド接着剤４０が塗布されたバック布パーツ生地４１を熱接着して二重部にして伸張力を抑制したものである。そのバック布パーツ生地４１は、上辺部から伸張力が大きい弱パワー４２、中間部を伸張力が中間の中パワー４３、下辺部と土台布との隣接部を伸張力が小さい強パワー４４とするものである。この着圧パワーを異ならせるのは、前記実施の形態１，２と同様であり説明は省略する。
【００２７】
このように構成されたブラジャー本体３１を着用すると、リフト布３３の部分にリフトパーツ生地３５が接合され二重になっており、内側辺から伸張力の大きい弱パワー３６、伸張力が中間の中パワー３７、伸張力が小さい強パワー３８になっているから、バストが脇側へ流れるのを阻止して前中心部に寄せることができ、バストアップが図れてバストラインを美しく見せることができると共に、バック布３９においても下辺部の着圧パワーを一番強く順次弱くしてあるから、肌に喰い込むようなことがなく、かつ、バック布３９のずれ動きがなくなって着け心地がよくなる。
【００２８】
つぎに、本発明の実施の形態４を図５に示すスポーツ用シャツの例で説明する。５１は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて編成されたスポーツ用シャツ本体で、背中５２の肩甲骨に当接する内面側に、リキッド接着剤５３を塗布された弧状の肩甲骨パーツ生地５４を熱接着して二重部にして伸張力を抑制し着圧パワーを変えたものである。
【００２９】
肩甲骨パーツ生地５４は、背中５２の中心部から左右対称に、肩部から脇下の下部にいたる弧状に形成されており、その弧状の上端部と下端部を伸張力の大きい弱パワー５５，５５とし、その弱パワー５５、５５に続いて伸張力が中間の中パワー５６，５６とし、中間部を伸張力の小さい強パワー５７として肩甲骨に当接するものである。この着圧パワーを異ならせるのは、前記実施の形態１〜３と同様であり説明は省略する。
【００３０】
このように構成されたスポーツ用シャツ本体５１を着用すれば、肩甲骨パーツ生地５４が肩甲骨に当接しサポートしたり、制動したりしてテーピング機能やサポーター機能を有するばかりでなく、胸を張り背筋を伸ばして良い姿勢を保持することができる。
【００３１】
さらに、本発明の実施の形態５を図６のゲーターの例で説明する。６１は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などで編成された膝から足首までの下腿部を覆うゲーター本体であり、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋の下腿部６２の内面側に、リキッド接着剤６３が塗布された下腿パーツ生地６４を熱接着して二重部にして伸張力を抑制し着圧パワーを変えたものである。
【００３２】
下腿パーツ生地６４は、下方部を伸張力の大きい弱パワー６５とし、その弱パワー６５に続いて伸張力が中間の中パワー６６とし、続いて伸張力の小さい強パワー６７とし、続いて伸張力が中間の中パワー６６とし、その上部を伸張力の小さい強パワー６７としたものである。この着圧パワーを異ならせるのは、前記実施の形態１〜４と同様であり説明は省略する。
【００３３】
このように構成されたゲーター本体６１を着用すれば、下腿パーツ生地６４が腓腹筋、ヒラメ筋に当接して筋肉を安定させて運動時においても、筋疲労を軽減できる効果があり、下腿部の肉離れを予防することができる。また、下腿部６２が全体的に締め付けられるから、脚部がスマートになると共に、上方部から強パワー６７、中パワー６６、強パワー６７、中パワー６６を配してあるから、ずれ落ちることがなくなり、かつ段階的に締め付けるので着用感がよくなる。
【００３４】
以上、本発明の主要な実施の形態では、パーツ生地にリキッド接着剤を塗布した例で説明したが、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではなく、身生地にリキッド接着剤を塗布してパーツ生地を接合する場合もあり、要するに、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更が可能であることは勿論のことである。
【産業上の利用可能性】
【００３５】
本発明は、ショーツ、ガードル、スパッツ、タイツなどのボトム類、ブラジャー、タンクトップ、ランニングシャツ、アンダーシャツなどのトップス類、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのトップスとボトムが一体となったもの、ゲーター、脚用サポーター、膝用サポーター、足首用サポーター、肘用サポーターなど脚や手に付けるのに利用することができる。
【符号の説明】
【００３６】
１，１１，３１，５１，６１ 衣類
３，１４，３４，４０，５３，６３ リキッド接着剤
４，１５，３５，４１，５４，６４ パーツ生地
【技術分野】
【０００１】
本発明は、身体に密着して着用される衣類に関するものであり、さらに詳しくは、所定部位を締め付けることにより体型が補整されて美しいシルエットを現出する身体に密着する衣類に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、ショーツ、ガードル、スパッツ、ボディスーツ、タイツ、レオタード、ブラジャーなどのインナーには、例えば、腹部、脚部、胸部などに付いた贅肉を押さえ込んで補整してプロポーションを良くし美しいシルエットのボディラインを作り出すことが行われている。
【０００３】
その例をガードルの腹部の場合で説明すると、ジャガード編みあるいはラッセル編みなどにより腹部、臀部、脚部が一体的に連続編成されたガードル本体は、腹部の編み組織を緊締力の強い編み組織に切り替えて編成してあり、腹部を締め付けて美しいウエストラインを現出するようにしてある（例えば、特許文献１，２参照）。
【０００４】
また、別の方法として、伸縮性の経編み生地で編成されたガードル本体の前身頃腹部中央部の内面側または外面側に、伸縮性の低い菱形形状の当て布を縫着し二重部を形成して伸張力を抑制することにより腹部の贅肉を押さえつけてウエストラインをスマートに見せている（例えば、特許文献３，４参照）。
【０００５】
さらに、別の方法として、伸縮性の経編み生地で形成されたガードル本体における前身頃の腹部中央部の内面側または外面側に、合成樹脂フィルムを一体的に接合して腹部の伸張力を抑制して腹部に付いた贅肉を締め付けてウエストラインを細く見せている（例えば、特許文献５，６，７参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０００−８２０３号公報
【特許文献２】特開２００２−２２０７０８号公報
【特許文献３】特開平８−１２７９０３号公報
【特許文献４】特許第２５８７７９２号公報
【特許文献５】特開２００２−２０１５０５号公報
【特許文献６】登録実用新案第３０５２８４５号公報
【特許文献７】実開平６−３３９０９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上記特許文献１，２の腹部を緊締力の強い編み組織に切り替えるものは、生地開発に大幅なコストが発生すると共に、色の切り替えが容易でなく、また、緊締部の編み組織の安定性が悪いため、同じ繊維で編成しても寸法のバラツキが大きかった。さらに、切り替えた強い編み組織の部分は全て同一伸張力であるから、締め付け強度を段階的に変える必要のある場合には使用できないといった問題点があった。
【０００８】
上記特許文献３，４の伸縮性の低い当て布を縫着して腹部を二重にする場合は、当て布の位置合わせなどの縫着作業に多くの手間と時間がかかり生産効率が悪かった。また、縫着した当て布の端や縫い糸が肌に触れると違和感が生じて着心地が悪くなる。さらに、当て布のある部分と当て布のない部分との厚みの差が顕著であるため、薄い生地のアウターを着用すると、その段差が外面に現れて外観不体裁になるといった問題点があった。
【０００９】
上記特許文献５，６，７の合成樹脂フィルムを接着する場合は、伸縮性生地の目を塞ぐことになって通気性がなくなり、蒸れが生じると共に、生地本来の持つ吸水性などを失うばかりでなく、ゴワゴワした感じになり着用感が好ましくなかった。また、合成樹脂フィルムの部分は、伸張力が均一であって細かな伸張調整ができず、締め付け強度を段階的に変える必要のある場合には適さないといった問題点があった。
【００１０】
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、衣類の所定の部位にリキッド接着剤が熱溶着され伸張力を抑制して優れた補整効果によりボディラインを美しく見せることができると共に、通気性や着心地がよく、着用した時に現出するリキッド接着剤の模様によるデザイン性にも優れた身体に密着する衣類を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記の課題を解決しその目的を達成する手段として、本発明は、伸縮性生地によって形成された身体に密着する衣類であって、伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性のパーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合することを特徴とする身体に密着する衣類を開発し、採用した。
【００１２】
本発明では、上記のように構成した身体に密着する衣類において、前記パーツ生地は、所定の部位の形状に裁断されていることを特徴とする身体に密着する衣類、および前記パーツ生地は、リキッド接着剤により伸張力が異なる部分が複数個所設けられていることを特徴とする身体に密着する衣類、および前記伸張力の異なる部分は、伸張力が大きい弱パワーと、伸張力が中間の中パワーと、伸張力が小さい強パワーとから構成されていることを特徴とする身体に密着する衣類、および前記パーツ生地は、通気性を確保してリキッド接着剤が塗布されていることを特徴とする身体に密着する衣類、および衣類がショーツ、ガードル、スパッツ、タイツなどのボトム類、ブラジャー、タンクトップ、スポーツシャツなどのトップス類、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのトップスとボトムが一体となったもの、ゲーター、脚用サポーター、膝用サポーター、足首用サポーター、肘用サポーターから選ばれた衣類である身体に密着する衣類を開発し、採用した。
【００１３】
ここで、本発明でいうリキッド接着剤とは、有機系接着剤で合成系接着剤のポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系に水を１０〜７０％の割合で混合された樹脂溶液またはエマルジョンであり、パーツ生地または身生地に塗布後、乾燥して硬化した伸張力を抑制するものをいう。
【発明の効果】
【００１４】
本発明は、衣類の伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性パーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合するから、所定部位に付いた贅肉を押さえて整容でき美しいシルエットを作ることができる。また、パーツ生地は、所定の部位の形状に裁断されており、接合が容易に確実に行うことができると共に、パーツ素材の組み換えや色の切り替えも容易になり、それぞれの部位に合った伸張力の抑制や色に調整できる。さらに、パーツ生地は伸張力の切り替えが自由に行えることから、段階的に締め付けることが可能になる。また、リキッド接着剤の塗布面積、塗布量、塗布厚さにより通気性のコントロールと剥離強度のコントロールができる。そして、着用した場合には、パーツ生地や身生地に塗布されたリキッド接着剤の柄が表面に浮き出てくるのでデザイン性に富み外観優美になる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明における第１実施形態のガードルの簡略正面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線拡大縦断面図である。
【図３】本発明における第２実施形態のスパッツの簡略正面図である。
【図４】本発明における第３実施形態のブラジャーの簡略背面図である。
【図５】本発明における第４実施形態のスポー用シャツの簡略背面図である。
【図６】本発明における第５実施形態のゲーターの簡略側面図である。
【図７】本発明における着圧パワーを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下に、本発明の実施の形態１を図１、図２に示すガードルの例で説明する。１は伸縮性のナイロンやポリウレタン繊維などを用いて経編みされたガードル本体であり、前身頃の正面中央部に形成された腹部２の内面または外面に、リキッド接着剤３が塗布された伸縮性の腹部パーツ生地４を熱溶着して腹部２を二重部にしてある。
【００１７】
前記腹部パーツ生地４は、略逆三角形に形成されており下腹部まで覆うものであり、略逆三角形の外周縁の細幅を伸張力の大きい弱パワー５とし、その弱パワー５の内周縁の一定幅を伸張力が中の中パワー６とすると共に、その内部中心部を伸張力の小さい強パワー７にしてある。
【００１８】
腹部パーツ生地４に塗布されているリキッド接着剤３は、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系に水が１０〜７０％の割合で混合されているのが好ましく、中でも弾性を有するポリウレタン樹脂が最適であり、プリントによって付着されている。
【００１９】
リキッド接着剤３の形状は、方形、三角形、円形、楕円形、ハート形、動植物などの種々の形状あるいは直線、曲線や点でもよく、大きさ、数量、塗布量、塗布面積、塗布厚さなどによって伸張力が自由に調整でき、着圧パワーを変えることができるようになっている。
【００２０】
上記リキッド接着剤３を塗布する方法は、スプレー噴射では均一に塗布するのが難しいことから、スクリーン捺染あるいはローラー捺染が適している。すなわち、スクリーン捺染板やロータリー捺染板に所定の形状を設けることで、任意形状のパターンの接着剤がプリントされる。
【００２１】
このように構成されたガードル本体１は、前身頃正面中央部の腹部２の内面側または外面側に、伸縮性の腹部パーツ生地４を当てがい熱接着すれば、腹部パーツ生地４に塗布されたリキッド接着剤３が溶融して接合され、腹部２が二重部になり伸張力が抑制されることから、腹部２に付いた贅肉を押さえてウエストラインを美しく補整することができるものである。それと共に腹部パーツ生地４に付着するリキッド接着剤３の塗布量や塗布面積、塗布厚さを変えることにより、腹部パーツ生地４内での伸張率が異なり、着圧パワーを変えることができ、段階的な締め付けが可能になり、肌との馴染みが良くなって、ガードル本体１との段差が付き難くなってフェードアウト化する。
【００２２】
つぎに、実施の形態２を図３のロングスパッツの例で説明する。図３では一方の脚部にパーツ生地１５を接合したものを示しているが、他方の脚部は省略してあり、実際には両脚部にパーツ生地１５が接合したものとする。１１は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて経編みされたウエスト部１２から裾口部１３までの長さのロングスパッツ本体であり、ウエスト部１２の下部から裾口部１３までの長さの内面側に、リキッド接着剤１４が塗布された帯状の脚部・膝部・脛部パーツ生地１５を熱接着して大腿部１６と膝部１７と下腿部１８を二重部にして伸張力を抑制し着圧パワーを変えたものである。
【００２３】
前記脚部・膝部・脛部パーツ生地１５は、ウエスト部１２の下部から膝部１７までを細帯体１９、膝部１７から裾口部１３までを同じ細帯体１９として伸張力の大きい弱パワー２０とし、膝部１８の中心部の外側を伸張力が中間の中パワー２１とすると共に、その内部中心部を伸張力の小さい強パワー２２としてある。この着圧パワーを異ならせるのは、前記ガードル本体１の時のパーツ生地５と同様であるので説明は省略する。
【００２４】
このように構成されたロングスパッツ本体１１は、大腿部１６から膝部１７を経て下腿部１８まで脚部・膝部・脛部パーツ生地１５が接合され二重になっているから、大腿直筋、膝関節部、前脛骨筋に当接してサポートし、運動時にかかる働きを助長して筋肉の疲労を防止し、運動作用をスムーズにさせる。そして、大腿部１６と下腿部１８が弱パワー２０に、膝部１７の外周部を弱パワー２０とし、その内周部を中パワー２１に、さらにその内周部を強パワー２２として膝関節部を段階的に締め付けることができ膝関節を安定に保ち、膝の不安定さから生じる膝痛などの予防にも有用である。
【００２５】
つぎに、本発明の実施の形態３を図４に示すブラジャーの例で説明する。３１はブラジャー本体で、カップ３２のリフト布３３の内面側に、リキッド接着剤３４が塗布されたリフトパーツ生地３５を熱接着して二重部にして伸張力を抑制したものである。リフトパーツ生地３５は、その内周縁から伸張力の大きい弱パワー３６、中パワー３７、強パワー３８の順に配されている。
【００２６】
また、ブラジャー本体３１のバック布３９においても、バック布３９の全体の内面側に、リキッド接着剤４０が塗布されたバック布パーツ生地４１を熱接着して二重部にして伸張力を抑制したものである。そのバック布パーツ生地４１は、上辺部から伸張力が大きい弱パワー４２、中間部を伸張力が中間の中パワー４３、下辺部と土台布との隣接部を伸張力が小さい強パワー４４とするものである。この着圧パワーを異ならせるのは、前記実施の形態１，２と同様であり説明は省略する。
【００２７】
このように構成されたブラジャー本体３１を着用すると、リフト布３３の部分にリフトパーツ生地３５が接合され二重になっており、内側辺から伸張力の大きい弱パワー３６、伸張力が中間の中パワー３７、伸張力が小さい強パワー３８になっているから、バストが脇側へ流れるのを阻止して前中心部に寄せることができ、バストアップが図れてバストラインを美しく見せることができると共に、バック布３９においても下辺部の着圧パワーを一番強く順次弱くしてあるから、肌に喰い込むようなことがなく、かつ、バック布３９のずれ動きがなくなって着け心地がよくなる。
【００２８】
つぎに、本発明の実施の形態４を図５に示すスポーツ用シャツの例で説明する。５１は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などを用いて編成されたスポーツ用シャツ本体で、背中５２の肩甲骨に当接する内面側に、リキッド接着剤５３を塗布された弧状の肩甲骨パーツ生地５４を熱接着して二重部にして伸張力を抑制し着圧パワーを変えたものである。
【００２９】
肩甲骨パーツ生地５４は、背中５２の中心部から左右対称に、肩部から脇下の下部にいたる弧状に形成されており、その弧状の上端部と下端部を伸張力の大きい弱パワー５５，５５とし、その弱パワー５５、５５に続いて伸張力が中間の中パワー５６，５６とし、中間部を伸張力の小さい強パワー５７として肩甲骨に当接するものである。この着圧パワーを異ならせるのは、前記実施の形態１〜３と同様であり説明は省略する。
【００３０】
このように構成されたスポーツ用シャツ本体５１を着用すれば、肩甲骨パーツ生地５４が肩甲骨に当接しサポートしたり、制動したりしてテーピング機能やサポーター機能を有するばかりでなく、胸を張り背筋を伸ばして良い姿勢を保持することができる。
【００３１】
さらに、本発明の実施の形態５を図６のゲーターの例で説明する。６１は伸縮性ナイロンやポリウレタン繊維などで編成された膝から足首までの下腿部を覆うゲーター本体であり、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋の下腿部６２の内面側に、リキッド接着剤６３が塗布された下腿パーツ生地６４を熱接着して二重部にして伸張力を抑制し着圧パワーを変えたものである。
【００３２】
下腿パーツ生地６４は、下方部を伸張力の大きい弱パワー６５とし、その弱パワー６５に続いて伸張力が中間の中パワー６６とし、続いて伸張力の小さい強パワー６７とし、続いて伸張力が中間の中パワー６６とし、その上部を伸張力の小さい強パワー６７としたものである。この着圧パワーを異ならせるのは、前記実施の形態１〜４と同様であり説明は省略する。
【００３３】
このように構成されたゲーター本体６１を着用すれば、下腿パーツ生地６４が腓腹筋、ヒラメ筋に当接して筋肉を安定させて運動時においても、筋疲労を軽減できる効果があり、下腿部の肉離れを予防することができる。また、下腿部６２が全体的に締め付けられるから、脚部がスマートになると共に、上方部から強パワー６７、中パワー６６、強パワー６７、中パワー６６を配してあるから、ずれ落ちることがなくなり、かつ段階的に締め付けるので着用感がよくなる。
【００３４】
以上、本発明の主要な実施の形態では、パーツ生地にリキッド接着剤を塗布した例で説明したが、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではなく、身生地にリキッド接着剤を塗布してパーツ生地を接合する場合もあり、要するに、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更が可能であることは勿論のことである。
【産業上の利用可能性】
【００３５】
本発明は、ショーツ、ガードル、スパッツ、タイツなどのボトム類、ブラジャー、タンクトップ、ランニングシャツ、アンダーシャツなどのトップス類、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのトップスとボトムが一体となったもの、ゲーター、脚用サポーター、膝用サポーター、足首用サポーター、肘用サポーターなど脚や手に付けるのに利用することができる。
【符号の説明】
【００３６】
１，１１，３１，５１，６１ 衣類
３，１４，３４，４０，５３，６３ リキッド接着剤
４，１５，３５，４１，５４，６４ パーツ生地
【特許請求の範囲】
【請求項１】
伸縮性生地によって形成された身体に密着する衣類であって、伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性のパーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合することを特徴とする身体に密着する衣類。
【請求項２】
前記パーツ生地は、所定の部位の形状に裁断されていることを特徴とする請求項１に記載の身体に密着する衣類。
【請求項３】
前記パーツ生地は、リキッド接着剤により伸張力の異なる部分が複数個所設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の身体に密着する衣類。
【請求項４】
前記伸張力の異なる部分は、伸張力が大きい弱パワーと、伸張力が中間の中パワーと、伸張力が小さい強パワーとから構成されていることを特徴とする請求項３に記載の身体に密着する衣類。
【請求項５】
前記パーツ生地は、通気性を確保してリキッド接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の身体に密着する衣類。
【請求項６】
衣類がショーツ、ガードル、スパッツ、タイツなどのボトム類、ブラジャー、タンクトップ、スポーツシャツなどのトップス類、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのトップスとボトムが一体となったもの、ゲーター、脚用サポーター、膝用サポーター、足首用サポーター、肘用サポーターから選ばれた衣類である請求項１〜５のいずれか１項に記載の身体に密着する衣類。
【請求項１】
伸縮性生地によって形成された身体に密着する衣類であって、伸張力を抑制したい所定の部位に、リキッド接着剤を塗布した伸縮性のパーツ生地を接合するか、あるいは身生地にリキッド接着剤を塗布して伸縮性のパーツ生地を接合することを特徴とする身体に密着する衣類。
【請求項２】
前記パーツ生地は、所定の部位の形状に裁断されていることを特徴とする請求項１に記載の身体に密着する衣類。
【請求項３】
前記パーツ生地は、リキッド接着剤により伸張力の異なる部分が複数個所設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の身体に密着する衣類。
【請求項４】
前記伸張力の異なる部分は、伸張力が大きい弱パワーと、伸張力が中間の中パワーと、伸張力が小さい強パワーとから構成されていることを特徴とする請求項３に記載の身体に密着する衣類。
【請求項５】
前記パーツ生地は、通気性を確保してリキッド接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の身体に密着する衣類。
【請求項６】
衣類がショーツ、ガードル、スパッツ、タイツなどのボトム類、ブラジャー、タンクトップ、スポーツシャツなどのトップス類、ボディスーツ、レオタード、ワンピース水着などのトップスとボトムが一体となったもの、ゲーター、脚用サポーター、膝用サポーター、足首用サポーター、肘用サポーターから選ばれた衣類である請求項１〜５のいずれか１項に記載の身体に密着する衣類。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１３−２０１７（Ｐ２０１３−２０１７Ａ）
【公開日】平成２５年１月７日（２０１３．１．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１３５３２０（Ｐ２０１１−１３５３２０）
【出願日】平成２３年６月１７日（２０１１．６．１７）
【出願人】（０００１３８５５４）株式会社ユタックス (18)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年１月７日（２０１３．１．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年６月１７日（２０１１．６．１７）
【出願人】（０００１３８５５４）株式会社ユタックス (18)
【Ｆターム（参考）】
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