説明

身体の健康を維持増進させるための溶液

【課題】塗布した部位に溶液内の浮遊物が付着することを抑制し、身体の健康を維持増進させる溶液を提供することを課題とする。
【解決手段】苦汁、または、苦汁とトレハロースとを混合してなる物質を、主成分として配合した身体の健康を維持増進させるための溶液であって、溶液中に浮遊する浮遊物を沈殿させるために明礬を配合してなるものとする。また、苦汁とトレハロースとを混合してなる物質を主成分として配合した、身体の健康を増進させるための溶液であって、溶液中に浮遊する浮遊物を沈殿させるために明礬を配合してなるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苦汁を主成分として配合した、身体の健康を維持増進させるための溶液の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、苦汁を主成分として配合した溶液であって、経皮吸収的に摂取されることを特徴とする苦汁を配合した薬剤の技術が公知となっている。例えば特許文献1に示す如くである。
このような主成分として苦汁を配合した溶液は、身体の所定の部位に塗布することにより、当該部位からミネラル分が経皮吸収的に摂取されて身体の健康を維持増進させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−300043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような主成分として苦汁を配合した溶液においては、多数の微粒子からなる浮遊物が当該溶液中で浮遊してしまうという課題があった。なお、前記浮遊物とは、苦汁に含まれる一部の成分が薬剤に溶解せずにこれが薬剤内で浮遊したものである。
【0005】
そして、このように浮遊物が浮遊した溶液では、これを身体の所定の部位に塗布すると、当該塗布した部位に浮遊物が付着することとなる。そして、このように薬剤を塗布した部位に浮遊物が付着していると、当該浮遊物がゴミとなって身体および身体周辺が汚れ、細菌が繁殖等し得るため当該部位を清潔に保ち難く、また、当該部位にかぶれ等の皮膚疾患が生じ得ることとなる。
【0006】
本発明は以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、塗布した部位に溶液内の浮遊物が付着することを抑制し、身体の健康を維持増進させる溶液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、苦汁を主成分として配合した、身体の健康を維持増進させるための溶液であって、溶液中に浮遊する浮遊物を沈殿させるために明礬を配合してなるものである。
【0009】
請求項2においては、トレハロースを配合してなるものである。
【0010】
請求項3においては、苦汁とトレハロースとを混合してなる物質を主成分として配合した、身体の健康を増進させるための溶液であって、溶液中に浮遊する浮遊物を沈殿させるために明礬を配合してなるものである。
【0011】
請求項4においては、前記溶液は、発毛育毛促進用薬剤として用いられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
本発明に係る身体の健康を維持増進させるための溶液によれば、塗布した部位に溶液内の浮遊物が付着することを抑制し、身体の健康を効果的に維持増進させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る溶液は、身体の健康を維持増進させるための溶液であり、苦汁を主成分としてこれを原料水に配合した液体に、さらに明礬を配合してなるものである。なお、原料水とは、ミネラルウォータ、水道水、その他の液状の薬剤等を含むものとする。
【0015】
本発明に係る溶液は、化粧品、生活用品、医薬品・医薬部外品等の類品(以下、化粧品等の類品と称する)の用途目的と同様の用途目的に用いることができる。前記化粧品等の類品とは、詳細には、石鹸、液体ボディーシャンプー、シャンプー、消臭剤、化粧水、洗顔料、クリーム、ジェル、エッセンス、マスク、パック、入浴剤、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧品、歯磨き粉、洗口剤、鼻洗剤等を示す。つまり、化粧品等の類品とは、いわゆる医薬品や、医薬部外品を含めた、自然人の身体の健康を維持増進に関して広く一般的に用いられる公序良俗に反しない品類を示す。
【0016】
本発明に係る溶液に配合される苦汁は、その製造や入手経路を何ら制限するものではないが、次の点を充足するものであることが望ましい。
【0017】
今日我々が手にすることのできる苦汁は、その製法により完全天日製の苦汁、煎ごう製の苦汁、電気分解製の苦汁、および塩化ナトリウムを主成分とした苦汁等に分類することができる。
具体的には、完全天日製の苦汁は、海水から完全天日により長い時間をかけて濃縮されたものである。含有成分は、最も自然な状態に近く、火力や電気を使用しないので成分の変化が極めて少ないのを特徴とするものである。完全天日製において濃度と成分を調整したものもこれに含まれる。また、煎ごう製の苦汁は、濃縮された海水あるいは原塩の水溶液を煮詰めて作られたものである。中でも、深層海水を煮詰めたものは、無色透明な液体であり、電気分解製の苦汁とは一線を画する。また、電気分解製の苦汁は、海水あるいは原塩を水で溶かし、電気分解により製造されるものである。近年でいう「天然苦汁」の名称で無色透明の商品が市販されている。そして、塩化ナトリウムを主成分とした苦汁は、主に電気分解により製造されている苦汁から抽出されたものである。
【0018】
そして、一概に苦汁といっても、上述したような製法環境により含有するミネラル分やフリーのマグネシウム分(作用効果を生じうるマグネシウム分)が増減し、産地によってはシアン化合物の混入も生じ得る場合がある。
以上のことから、本発明の効果を最大限にするためには、加熱等することなく製塩してミネラル分の損失を最小にしたものであって、且つ、生産ルートに信頼のおける苦汁を使用することが望ましいのである。また、目的に応じて適宜配合する苦汁を選択・変更することも可能である。
また、当該苦汁自体の組成は、上述したような製造方法の違いだけでなく、塩の晶出温度や晶出濃度やその他の条件によって変化するものである。そこで、具体的には本発明に係る薬剤における混合組成比を、苦汁の主成分であるマグネシウムの濃度を基準にしたモル比等で決定することが好ましい。
【0019】
本発明に係る溶液に配合される明礬は、溶液中に浮遊する浮遊物を凝集させて沈殿させるために配合されるものであり、例えば、脱水されて粉末状になったカリウムアルミニウム明礬(所謂、焼き明礬)が用いられる。また、当該明礬は、食用のものを使用することが望ましい。
【0020】
本発明に係る溶液は、その原材料は原料水と苦汁と明礬とを含有してなり、これらは重量比で好ましくは20:2:1(原料水:苦汁:明礬)となるように配合される。
例えば、本発明に係る溶液は、所定の容器内に原料水:1,000mlを入れ、これに苦汁:100g、明礬:50gを添加してこれを攪拌し、その後所定の時間放置することによって生成される。当該所定の時間とは、係る容器内の液体中に浮遊する浮遊物が沈殿し、当該液体中に上澄みができるまでの時間を示す。このようにしてできた液体中の上澄みが、本発明に係る身体の健康を増進させるための溶液となる。
なお、本発明に係る溶液の生成は上述のようにして行われることに特に限定するものはなく、苦汁と明礬とのうちいずれか一方の原材料を原料水に添加してこれを攪拌し、その後さらに未添加の原材料を添加して攪拌し、所定の時間放置することによって生成しても良いものとする。
【0021】
以上のように本発明に係る溶液には苦汁が配合されているため、身体の健康を維持増進させるために必要不可欠なミネラル分が約80種含まれる。このため、本発明に係る溶液は、これを身体の所定の部位に塗布することにより、一般の食生活において不足しがちなミネラル分を経皮吸収的に効率よく摂取することができ、ひいては、歯周病、脱毛症、花粉症、慢性鼻炎、眼精疲労、かすみ目、血行不良、アトピー性皮膚炎、肥満等の諸症状を効果的に改善させ、身体の健康を維持増進させることができる。
【0022】
本発明に係る溶液には明礬が配合されている。このため、本発明に係る溶液は、これを身体の所定の部位に塗布することにより当該部位を消臭、殺菌等し、また、歯周病、脱毛症、花粉症、慢性鼻炎、眼精疲労、かすみ目、血行不良、アトピー性皮膚炎、肥満等を効果的に改善させ、身体の健康を維持増進させることができる。
【0023】
特に、本発明に係る溶液は明礬が配合されてなるものであるため、原料水等を攪拌してこれを所定の時間放置することで、液体中の浮遊物が凝集して沈殿し、当該液体中に無色透明の浮遊物がない上澄みを得ることができる。即ち、本発明に係る溶液には浮遊物が浮遊していないため、本発明に係る溶液では、身体の所定の部位にこれを塗布する際に、当該部位に浮遊物が付着することを抑制することができる。したがって、本発明に係る溶液によれば、浮遊物がゴミとなって身体および身体周辺が汚れることを抑制し、細菌が繁殖等して清潔性が損なわれることを抑制し、また、当該部位にかぶれ等の皮膚疾患が生じることを抑制して、身体の健康を効果的に維持増進させることができる。
なお、前記液体中で浮遊している浮遊物を沈殿させるために、明礬のような人体に影響の少ない物質を用いることにより、より安心して身体に塗布して、身体の健康を維持増進させることができる。
【0024】
本発明に係る溶液を身体の所定の部位に塗布する例として、以下に述べるような例が挙げられる。
例えば、本発明に係る溶液を口内治療用治療用薬剤として用いることが挙げられる。詳細には、本発明に係る溶液をその毛の部分に付着させた歯ブラシにて歯磨きを行うことで、口腔内からミネラル分等を吸収して、歯周病、歯槽膿漏、口臭、ヤニの除去、口内炎、歯肉の痛みや腫れ、虫歯予防等を行うことができる。
【0025】
本発明に係る溶液を皮膚病治療用薬剤として用いることが挙げられる。詳細には、本発明に係る溶液を皮膚病(例えば水虫)の患部に塗布することで、当該患部の細菌を除去し、また、当該患部から直接ミネラル分等を吸収して、皮膚病の症状を改善することができる。
【0026】
頭毛の脱毛メカニズムは不明な点が多いものの、頭皮の血行不良や、毛根に油脂が詰まって毛根の育成が阻害されることによると考えられている。そこで、本発明に係る溶液を発毛育毛促進用薬剤として用いることが挙げられる。詳細には、本発明に係る溶液を頭皮に塗布することで、毛根に付着した油脂や細菌を除去し、また、毛根から直接ミネラル分等を吸収して、頭皮の発毛育毛を促進させることができる。
【0027】
本発明に係る溶液を鼻孔洗浄用薬剤として用いることが挙げられる。詳細には、本発明に係る溶液を綿棒の先に付着させて鼻孔内に当該溶液を塗布することで、鼻孔内の細菌を除去し、また、鼻孔内から直接ミネラル分等を吸収して、味覚改善、いびき軽減、風邪等の疾病予防を行うことができる。
【0028】
なお、本発明に係る溶液では、塗布される用途目的に合致させるべく、その原材料(原料水や苦汁や明礬等)の重量比を適宜変更することができ、また、苦汁や明礬等の以外のその他の成分(例えば、重曹等)を適宜配合することができるのはいうまでもない。
【0029】
また、本発明に係る溶液は、これを、化粧品等の類品に配合して、当該化粧品等の類品の用途目的に用いても良いものとする。このように本発明に係る溶液を当該化粧品等の類品に配合することにより、ミネラル分等を体内摂取することができるという、化粧品等の類品の用途目的に相乗した作用効果を生じさせることができる。
【0030】
例えば、練り歯磨き等の歯摩剤に、本発明に係る溶液を配合して、これを歯磨きの用途目的に用いることで、練り歯磨き本来の作用である歯垢除去や歯表面の研磨に加えて、口腔内からミネラル分を吸収することができる。つまり、歯周病、歯槽膿漏、口臭、ヤニの除去、口内炎、歯肉の痛みや腫れ、虫歯予防等に対する口腔治療一般に有用となるのである。なお、本発明に係る溶液としては、上述のように苦汁を歯磨き粉に配合したものに限定されず、歯肉マッサージクリーム、口内洗浄剤、チューインガム、うがい薬等に使用されるものでもよい。
【0031】
また、発毛育毛促進用薬剤に、本発明に係る溶液を配合して、これを発毛育毛促進用薬剤の用途目的に用いることで、洗髪やマッサージ効果に加えて、毛根に付着した油脂や細菌を除去し、毛根から直接ミネラル分を吸収することができる。また、発毛育毛促進用の薬剤については、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、シャンプーリンス等に使用されるものを含む。
【0032】
また、水虫用薬剤に、本発明に係る溶液を配合して、これを水虫用薬剤の用途目的に用いることで、所謂水虫菌を除去する効果に加えて、患部等を殺菌することができ、また、患部等から直接ミネラル分を吸収することができ、水虫の症状を改善することができる。
【0033】
なお、化粧品等の類品に本発明に係る溶液が配合されたものは、これを塗布される用途目的に合致させるべく、苦汁や明礬等以外のその他の成分を適宜配合することができるのはいうまでもない。
【0034】
また、本発明に係る溶液としては、上述した実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本発明に係る溶液は、前述のように主成分とする苦汁と明礬とを原料水に配合した液体に、さらにトレハロースを配合してもよいものとする。
このようにトレハロースを配合した溶液では、原料水と苦汁とトレハロースと明礬との重量比が好ましくは20:1:1:1となるように配合され、これらを攪拌して所定の時間放置することによって生成される。例えば、所定の容器内に原料水:1,000mlを入れ、これに苦汁:50g、トレハロース:50g、明礬:50gを添加してこれを攪拌し、その後容器内の液体中に上澄みができるまで所定の時間放置することによって生成される。
【0035】
このように、苦汁を主成分としてこれを原料水に配合した液体に明礬を配合した溶液に、さらにトレハロースを配合することにより、苦汁に含まれるミネラル分の原料水への溶解を促進させて、溶液内のミネラル分の濃度を増加させることが期待できる。したがって、かかる溶液は、これを身体の所定の部位に塗布することにより、一般の食生活において不足しがちなミネラル分を経皮吸収的により効率よく摂取することができ、ひいては、歯周病、脱毛症、花粉症、慢性鼻炎、眼精疲労、かすみ目、血行不良、アトピー性皮膚炎、肥満等の諸症状をより効果的に改善することができる。
【0036】
また、本発明に係る溶液は、予め苦汁とトレハロースとを混合してなる物質を主成分として用い、これを原料水に配合した液体に、さらに明礬を配合しても良いものとする。なお、本発明に係る苦汁とトレハロースとを混合してなる物質は、好ましくはミネラルトレハ(登録商標)が用いられるが、当該苦汁とトレハロースとを混合してなる物質はミネラルトレハ(登録商標)に限定するものではない。
【0037】
このように苦汁とトレハロースとを混合してなる物質が配合された溶液は、原料水と苦汁とトレハロースとを混合してなる物質と明礬との重量比が好ましくは20:2:1となるように配合され、これらを攪拌して所定の時間放置することによって生成される。例えば、所定の容器内に原料水:1,000mlを入れ、これに苦汁とトレハロースとを混合してなる物質:100g、明礬:50gを添加してこれを攪拌し、その後容器内の液体中に上澄みができるまで所定の時間放置することによって生成される。
【0038】
このように、本発明に係る溶液に苦汁とトレハロースとを混合してなる物質が配合されることにより、溶液中のミネラル分の濃度を増加させることができる。したがって、本発明に係る溶液は、これを身体の所定の部位に塗布することにより、一般の食生活において不足しがちなミネラル分を経皮吸収的に効率よく摂取することができ、ひいては、歯周病、脱毛症、花粉症、慢性鼻炎、眼精疲労、かすみ目、血行不良、アトピー性皮膚炎、肥満等の諸症状をより効果的に改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦汁を主成分として配合した、身体の健康を維持増進させるための溶液であって、
溶液中に浮遊する浮遊物を沈殿させるために明礬を配合してなることを特徴とする、身体の健康を維持増進させるための溶液。
【請求項2】
トレハロースを配合してなることを特徴とする、請求項1に記載の身体の健康を維持増進させるための溶液。
【請求項3】
苦汁とトレハロースとを混合してなる物質を主成分として配合した、身体の健康を増進させるための溶液であって、
溶液中に浮遊する浮遊物を沈殿させるために明礬を配合してなることを特徴とする、身体の健康を維持増進させるための溶液。
【請求項4】
発毛育毛促進用薬剤として用いられることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の身体の健康を維持増進させるための溶液。

【公開番号】特開2010−235540(P2010−235540A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87058(P2009−87058)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591113932)
【Fターム(参考)】