説明

身体換気用装置

【課題】身体側の支持面から空気を噴出させて換気を行うようにした従来の各種装置では、多数の空気噴出孔や通気性の良いシート状素材により空気の噴出を行う構成としているので、空気供給部に近い程、多くの量が噴出されてしまい、離れた場所からの噴出量が少なくなるという傾向がある。
【解決手段】本発明では、通気性を有しないシート状素材2により空気を貯留可能とする扁平状空気袋1の身体側の面に、低通気度のシート状素材3により構成した通気部4を設け、上記扁平状空気袋の適所に空気供給部5を設けた構成とすることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスや布団等の寝具や椅子等の身体支持装置の上に敷いたり、又は身体支持装置自体又はその一部として構成して使用される身体換気用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マットレスや布団等の寝具又は椅子等の身体支持装置上に臥床又は着座すると、身体から発散する熱と湿気により身体が蒸れて不快感が生じる。このような身体の蒸れを改善するために、身体支持装置の身体側の面から空気を噴出させて換気を行うことにより熱と湿気を排出するようにした各種の身体支持手段が従来から提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、エアー吹き出し用の多数の開口部を設けた上面カバーと、立体織物によって形成されたエアー通路部材とからなる通風用上敷をマットレスの上面に着脱可能に取り付けると共に、通風用上敷により構成される空間内に、エアーポンプに至るエアー流通路をマットレスの上面を介して開口し、通風用上敷により構成される空間内にエアーポンプから圧送された空気を、上面カバーに設けた多数の開口部から噴出するようにしたマットレスが記載されている。また、この特許文献1には、通気性の良好な上面カバーを設けた通風布袋内に、立体織物や発泡ウレタン材等の内装材を収容して、人が臥床した場合にもエアーの内部流通を可能とするように構成され、エアーポンプから圧送された空気を上面カバーから吹き出すようにした送風パッドが記載されている。この送風パッドでは、開閉可能な境界閉塞手段によって区画される複数の区画が形成されており、境界閉塞手段を閉とすることにより、所望の区画にだけ空気を供給して通風をさせることができるように構成されている。
【0004】
また特許文献2には、裏板の上方にスプリング部材を介して弾力性をもって通気性を有する敷布部が保持され、敷布部と裏板間の空間部内に送風する空調器とを備えたベッドが記載されている。このベッドでは、空調器により上記空間部内に供給された空調空気は、通気性を有する敷布部から上方に噴出する。
【0005】
さらに特許文献3には、可撓性と通気性を有する材料からなる表面通気層と、可撓性と気密性を有する材料からなり、複数の通気孔が所定の間隔で形成された内部不通気層と、可撓性と気密性を有する材料からなる裏面不通気層とを重畳させ、内部不通気層と裏面不通気層との間に形成された内部通気層に空気供給源から空気を供給して、通気孔を経て表面通気層から空気を噴出させるように構成したエアーマットが記載されている。そしてこの特許文献3には、通気孔の形成間隔を空気の流入口から遠ざかるに連れて小さくして通気孔の数を多くすることにより、流入口から供給された空気を、遠ざかった位置にも行き渡らせることが記載されている。
【0006】
更に特許文献4には、エアーマット本体の表面側に多数形成された空気噴出孔を開閉自在に形成することにより、空気噴出孔から外部に噴出させる空気量を調整可能としたエアーマットが記載されている。
【0007】
また特許文献5には、羽毛布団においてダウン綿の吹き出しを防ぐために、通気度が3cm3/(cm2・秒)以下の低通気度の高密度織物を使用した布団側地が記載されている。
【特許文献1】特開平10−165259号公報
【特許文献2】実願昭56−147045号(実開昭57−81664号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開2005−270568号公報
【特許文献4】特開平7−88021号公報
【特許文献5】特開2007−126777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したとおり、身体側の面から、身体の方向に空気を噴出させて換気を行うようにした従来の身体支持装置においては、身体側の面に多数の空気噴出孔を設けたり、又は身体側の面を通気性の良いシート状素材により形成することにより、空気の噴出を行う構成としている。
【0009】
ところが、空気噴出孔や通気性の良いシート状素材は、それらを通しての空気の流通が内外の僅かな圧力差により容易に行われるため、空気ポンプから送風袋、送風パッド又は身体支持装置の空気供給部に供給された空気は、空気供給部に近い程、多くの量が噴出されてしまい、離れた場所からの噴出量が少なくなるという傾向がある。
【0010】
このため特許文献1のベッドのように空気供給部が使用する人の足側に設置されている場合には、供給された空気は、足側から多く噴出されてしまって、多発汗部位である大腿部や胴体部に対応する場所からは噴出されにくいという不都合が生じる。
【0011】
このような不都合を防ぐために、空気供給部を多発汗部位の近傍に設けるとすると、空気供給用の金具やチューブ等が身体に当たり易くなり、寝心地が悪化してしまう。
【0012】
一方、特許文献3に示されるように、通気孔の数を空気供給部からの距離に応じて異ならせたとしても空気の噴出量の平均化は比較的困難であり、また特許文献4に示されるように、空気噴出孔を開閉自在に形成するものでは、複雑化して価格が高くなると共に、寝心地も悪化してしまう。
【0013】
また以上に説明した従来の身体支持装置は、基本的には身体側の面の全面から空気を噴出するように構成しており、身体側の面の、選択された所望の一部からのみ空気を噴出させたり、身体側の面の所望の複数個所から空気を噴出させたりするというようなことは想定していない。
【0014】
これに対して、特許文献1の送風パッドでは、開閉可能な境界閉塞手段によって複数の区画が形成され、境界閉塞手段を閉とする操作により、所望の区画にだけ空気を供給して通風をさせることができるように構成されているが、結局は、下流側の区画からの空気の噴出をさせるか、空気の噴出を停止するかの操作を行えるに過ぎず、複数構成した区画のいずれにおいても空気の噴出をさせるためには、各区画毎に空気供給部を構成しなければならない。
【0015】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、即ち、良好な換気のために身体側の面からの空気の噴出を合理的に行うことができる身体換気用装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明では、通気性を有しないシート状素材により空気を貯留可能とする扁平状空気袋の身体側の面に、低通気度のシート状素材により構成した通気部を設け、上記扁平状空気袋の適所に空気供給部を設けた身体換気用装置を提案する。また、本発明では、この構成において、空気供給部を一個所にのみ設けることを提案する。
【0017】
また本発明では、上記の構成において、低通気度のシート状素材を、高密度の布により構成することを提案する。
【0018】
また本発明では、上記の構成において、通気部が、身体側の面の全面に設けられていることを提案する。
【0019】
また本発明では、上記の構成において、通気部が、身体側の面の一部に設けられていることを提案する。
【0020】
また本発明では、上記の構成において、通気部が、離隔した複数個所に設けられていることを提案する。
【0021】
また本発明では、上記の構成において、異なる通気度の通気部が設けられていることを提案する。
【0022】
また本発明では、以上の構成において、扁平状空気袋内に、空気流路部材を収納したことを提案する。
【0023】
さらに本発明では、以上の構成において、空気流路部材が立体編物であることを提案する。
【0024】
更に本発明では、以上の構成において、扁平状空気袋が、マットレスや椅子等の身体支持装置上に載置されて使用されるものであることを提案する。
【0025】
更に本発明では、以上の構成において、扁平状空気袋が、マットレスや椅子等の身体支持装置として構成されることを提案する。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、通気部を、低通気度のシート状素材により構成しているので、この通気部から空気を噴出させるためには、通気孔や通気性の良いシート状素材による通気部と比較して、より大きな内外の圧力差が必要である。このため、空気供給部を経て空気ポンプから供給された空気は、所定の内外圧力差となるまで、実質的に通気部から噴出せずに扁平状空気袋内に拡がって貯留され、こうして扁平状空気袋内に空気が溜まり、内外の圧力差が所定圧力となった際に通気部から噴出する。
【0027】
こうして身体側の面に設けた通気部からは、空気供給部からの距離に左右されずに平均的に空気を噴出することができるため、換気が必要な個所に適切に空気を供給して蒸れの発生を抑制することができる。
【0028】
このことから、通気部は、扁平状空気袋の身体側の面の全面に設ける他、一部に設けることができ、また離隔した複数個所に設けたり、異なる通気度の通気部、従って空気の噴出量の異なる通気部を容易に構成することができる。
【0029】
そして本発明は以上のように非常に合理的に身体側の面の任意の位置において空気の噴出を行えるものでありながら、主な構成要素はシート状素材であるから、低コストに製作することができる。特に、空気供給部を一個所にのみ設けることにより、更に低コスト化を図ることができる。
【0030】
また扁平状空気袋内に、立体編物等で形成された通気性を有する空気流路部材を収納することができる。
【0031】
本発明の扁平状空気袋は、マットレスや椅子等の身体支持装置上に載置されて使用するように構成する他、扁平状空気袋自体を、マットレスや椅子等の身体支持装置又はその一部として構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に本発明の身体換気用装置の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず図1〜図6は本発明に係る身体換気用装置の第1の実施の形態を示すものである。
図において符号1は通気性を有しないシート状素材2により空気を貯留可能に構成した扁平状空気袋であり、この扁平状空気袋1の身体側の面に、低通気度のシート状素材3により構成した通気部4を設けている。そしてこの扁平状空気袋1には帯状部材により構成した通路状の空気供給部5を設けており、この空気供給部5の端部には空気ポンプ6に至る空気供給パイプ7に接続するための接続部材8を設けている。この実施の形態においては、空気供給部5は、一個所にのみ設けており、このため低コストであるが、ある程度のコスト上昇を許容すれば、空気供給部5を複数個所に設けることができる。尚、図においては便宜的に、通気性を有しないシート状素材2を密なダブルハッチングで示し、低通気度のシート状素材3を粗なダブルハッチングで示している。
【0033】
この実施の形態の身体換気用装置は、身体支持装置としてのマットレスや布団等の寝具9上に載置して使用する構成であり、扁平状空気袋1の長手方向の両端側には寝具9に固定して支持するための帯状体10を突設しており、帯状体10の端部にはホック等の固定用部材12を設けている。
【0034】
ここで低通気度のシート状素材4は、例えば織物、編物、不織布を材料として高密度でシート状に形成したものとし、通気度(フラジール法)は、例えば5cm3/(cm2・秒)〜0.3cm3/(cm2・秒)の範囲とするが、それ以上の範囲の通気度を適用することもできる。一方、通気性を有しないシート状素材2は、上記シート状素材4の密度を更に高密度として通気度を非常に小さくしたシート状素材、例えば特許文献6、特許文献7等に記載されているエアーバック用のシート状素材を用いる他、通気性を有しないフィルム等を積層したり、通気性を有しない材質でコーティングする等により構成する適宜のシート状素材を用いることができる。またシート状素材2,4は、1枚のシート状素材により所定の通気度を得る他、複数枚のシート状素材を重ねることにより所定の通気度を得ることができる。
【特許文献6】特開2002−327350号公報
【特許文献7】特開2002−363836号公報
【0035】
この実施の形態の身体換気用装置は、図5又は図6に示すようにマットレスや布団等の寝具9の上に載置し、帯状体10の端部に設けた固定用部材12を以て固定する。そして空気供給部5の接続部材8に空気ポンプ6に至る空気供給パイプ7を接続して使用する。
【0036】
図に示すように、この実施の形態では、扁平状空気袋1は、身体側の全面をシート状素材3により形成して、全面を通気部4として構成している。そして、通気部4は、図6に示すように、幅が人11のウエスト幅、長さが肩峰高から膝蓋骨中央高までの範囲に対応して構成している。この通気部4を構成するシート状素材3の通気度は、上述したように、例えば5cm3/(cm2・秒)〜0.3cm3/(cm2・秒)の範囲のものを適宜選択して使用することができる。
【0037】
以上の構成において、空気ポンプ6から供給された空気は空気供給部5を流れて扁平状空気袋1内に供給される。本発明では、通気部4を、低通気度のシート状素材3により構成しているので、この通気部4から空気を噴出させるためには、上述した従来の通気孔や通気性の良いシート状素材による通気部と比較して、より大きな内外の圧力差が必要である。
【0038】
このため、空気供給部5を経て空気ポンプ6から供給された空気は、所定の内外圧力差となるまで、実質的に通気部4から噴出せずに扁平状空気袋1内に拡がって貯留される。こうして扁平状空気袋1内に溜まった空気は、内外の圧力差が所定圧力となった際に通気部4から噴出する。
【0039】
このように低通気度のシート状素材2を通気部4とし、それを通過させて空気を噴出するため、多量の空気が局部に集中して噴出するようなことがなく、従って人11に不快感を起こさせることなく、身体からの熱と湿気を除去して蒸れの発生を防止することができる。
【0040】
尚、以上に説明した第1の実施の形態において、通気部4の幅は、使用者の要望に応じて設定することができ、例えば肩幅まで広げることもできる。また空気供給部5は扁平状空気袋1から寝具9の幅方向に突設しているが、寝具9の長手方向に突設することもできる。
【0041】
次に図7は本発明に係る身体換気用装置の第2の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、扁平状空気袋1の身体側の面は、全面をシート状素材3により構成するのではなく、シート状素材2の部分を隔てた両側にシート状素材3を用いて、2つの離隔した通気部4a,4bを構成している。そして通気部4a,4bは、幅が人11のウエスト幅に対応し、長さ方向では、通気部4aが肩峰高から後ウエスト高までの範囲、即ち背部に対応し、また通気部4bは、臀溝高から膝蓋骨中央高までの範囲、即ち大腿部に対応して構成している。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、図中の符号を第1の実施の形態と同様に付して、重複する説明は省略する。
【0042】
この第2の実施の形態では、上述したように背部と大腿部に離隔して空気を噴出して、後ウエスト高から臀溝高の範囲には空気を噴出させないため、腹部や腰部の通気による強制的除湿を望まない使用者に対して適している。
【0043】
尚、扁平状空気袋1の身体側の面の通気部4a,4bの間は、通気性を有しないシート状素材2を用いる代わりに、通気部4a,4bを構成するシート状素材3の通気度よりも通気度の小さいシート状素材3を用いることができ、この部分からは通気部4a,4bよりも僅かな空気を噴出させることにより、上述した使用者に対しても不快感を与えないようにすることができる。また通気部4a,4bを構成するシート状素材3の通気度を異ならせることもできる。
【0044】
次に図8は本発明に係る身体換気用装置の第3の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、扁平状空気袋1は、寝具9の幅方向に対応する長さを、寝具9の幅よりも長く形成して、それらの端縁を寝具9の側部から垂下させて固定可能としており、また上述した第1の実施の形態の扁平状空気袋1の平面寸法に対応する部分を低通気度のシート状素材3により構成すると共に、他の部分は通気性を有しないシート状素材2により構成している。また空気供給部5は扁平状空気袋1の側部から垂下した側面端側に直接、空気ポンプ6に至る空気供給パイプ7に接続するための接続部材8を設けて構成している。
【0045】
この第3の実施の形態においては、空気ポンプから供給された空気は空気供給部5を経て扁平状空気袋1内に供給される。上述と同様に、通気部4を低通気度のシート状素材3により構成しているので、この通気部4から空気を噴出させるためには、上述した従来の通気孔や通気性の良いシート状素材による通気部と比較して、より大きな内外の圧力差が必要である。
【0046】
このため、空気供給部5を経て空気ポンプ6から供給された空気は、所定の内外圧力差となるまで、実質的に通気部4から噴出せずに扁平状空気袋1内に拡がって貯留される。こうして扁平状空気袋1内に溜まった空気は、内外の圧力差が所定圧力となった際に通気部4から噴出する。
【0047】
このように低通気度のシート状素材3を通気部4として空気を噴出するため、多量の空気が局部に集中して噴出するようなことがなく、従って人11に不快感を起こさせることなく、身体からの熱と湿気を除去して蒸れの発生を防止することができる。即ち、この実施の形態では、通気部4は、第1の実施の形態と同様に、幅が人11のウエスト幅、長さが肩峰高から膝蓋骨中央高までの範囲に対応して構成されて、その範囲に空気が噴出し、換気を行うことにより蒸れの発生を防止することができる。
【0048】
次に図9は本発明に係る身体換気用装置の第4の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、通気部は、シート状素材2の部分を隔てた両側にシート状素材3を用いて、2つの離隔した通気部4a,4bを構成している。そして通気部4a,4bは、第2の実施の形態と同様に、幅が人11のウエスト幅に対応し、長さ方向では、通気部4aが肩峰高から後ウエスト高までの範囲、即ち背部に対応し、また通気部4bは、臀溝高から膝蓋骨中央高までの範囲、即ち大腿部に対応して構成している。その他の構成は、第3の実施の形態と同様であるので、図中の符号を第3の実施の形態と同様に付して、重複する説明は省略する。
【0049】
この実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、背部と大腿部に離隔して空気を噴出して、後ウエスト高から臀溝高の範囲には空気を噴出させないため、腹部や腰部の通気による強制的除湿を望まない使用者に対して適している。
【0050】
尚、この実施の形態においても、扁平状空気袋1の身体側の面の通気部4a,4bの間は、通気性を有しないシート状素材2を用いる代わりに、通気部4a,4bを構成するシート状素材3の通気度よりも通気度の小さいシート状素材3を用いることができ、この部分からは通気部4a,4bよりも僅かな空気を噴出させることにより、上述した使用者に対しても不快感を与えないようにすることができる。また通気部4a,4bを構成するシート状素材3の通気度を異ならせることもできる。
【0051】
次に図10は本発明に係る身体換気用装置の第5の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、扁平状空気袋1の内部に、空気流路部材12を収納している。空気流路部材12としては、荷重によって潰れずに通気流路を確保することが可能なものであれば適宜である。例えば空気流路部材12としては立体編物を使用する他、マットレスに使用されるような詰め物を使用することもできる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、対応する構成要素に図4と同様な符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
この実施の形態では、通気部4からの空気の噴出による換気と共に、臥床している人11に対してのクッション性を供することもできる。空気流路部材12はマットレス等の寝具としての使用に差し支えないものを使用することにより、本発明に係る身体換気用装置が身体支持装置を兼用するものとして構成することができる。
【0053】
また本発明の身体換気用装置は、例えば図17(a),(b)の実施の形態に示すように、椅子13やソファー14等に適用することもでき、座部と背もたれ部を低通気度のシート状素材3により構成して通気部4として構成すると共に、他の部分は通気性を有しないシート状素材2により扁平状空気袋を形成し、空気ポンプを適所に格納して運転可能に構成することにより、椅子13やソファー14等に座っている際の、大腿部や背中の蒸れを防止することができる。
【0054】
次に図11〜図16は通気部4の構成の他の実施の形態を示すものである。
上述したように図7、図9では通気部4を構成するシート状素材3と通気性を有しないシート状素材2とを一次元方向に異ならせて配置しているが、図11,図12に示す実施の形態では、通気部4を構成するシート状素材3と通気性を有しないシート状素材2とを二次元方向に異ならせて配置している。また図13〜図15では通気部4を構成するシート状素材3と通気性を有しないシート状素材2とを同心状に配置している。また図16では、上述したように通気部4を構成するシート状素材3と通気性を有しないシート状素材2とを一次元方向に異ならせて配置し、複数の通気部4c,4dを構成するシート状素材3の通気度を異ならせている。このように複数の通気部の通気度を異ならせる手法は、図11〜図15の配置においても適用できることは勿論である。
【0055】
尚、通気部4を構成するシート状素材3の通気度は、通気部4の面積や空気ポンプの流量等を考慮して適宜設計することができ、例えば、通気部4の面積が比較的小さい場合には、通気度は上述した5cm3/(cm2・秒)〜0.3cm3/(cm2・秒)の範囲を越え、10cm3/(cm2・秒)程度の通気度のシート状素材3を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のとおり、本発明では、通気部を、低通気度のシート状素材により構成しているので、身体側の支持面から空気を噴出させて換気を行うようにした身体支持部において、身体側の支持面からの空気の噴出を合理的に行うことができる身体換気用装置を提供することができ、産業上の利用可能性が大である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る身体換気用装置の第1の実施の形態を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明に係る身体換気用装置の第1の実施の形態を示す他の方向から見た模式的斜視図である。
【図3】図1のA−A線模式的断面図である。
【図4】図3に示される個所に空気を供給した状態を示す図1のA−A線模式的断面図である。
【図5】第1の実施の形態の使用状態を示す模式的斜視図である。
【図6】第1の実施の形態の使用状態を示す模式的平面図である。
【図7】第2の実施の形態の使用状態を示す模式的斜視図である。
【図8】第3の実施の形態の使用状態を示す模式的斜視図である。
【図9】第4の実施の形態の使用状態を示す模式的斜視図である。
【図10】第5の実施の形態の使用状態を示す模式的断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態を示す模式的要部平面図である。
【図12】本発明の更に他の実施の形態を示す模式的要部平面図である。
【図13】本発明の更に他の実施の形態を示す模式的要部平面図である。
【図14】本発明の更に他の実施の形態を示す模式的要部平面図である。
【図15】本発明の更に他の実施の形態を示す模式的要部平面図である。
【図16】本発明の更に他の実施の形態を示す模式的要部平面図である。
【図17】本発明の更に他の実施の形態を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 扁平状空気袋
2 シート状素材(通気性無し)
3 シート状素材(低通気度)
4,4a,4b 通気部
5 空気供給部
6 空気ポンプ
7 空気供給パイプ
8 接続部材
9 寝具
10 帯状体
11 人
12 空気流路部材
13 椅子
14 ソファー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有しないシート状素材により空気を貯留可能とする扁平状空気袋の身体側の面に、低通気度のシート状素材により構成した通気部を設け、上記扁平状空気袋の適所に空気供給部を設けたことを特徴とする身体換気用装置。
【請求項2】
空気供給部は一個所にのみ設けたことを特徴とする請求項1に記載の身体換気用装置。
【請求項3】
低通気度のシート状素材が、高密度の布であることを特徴とする請求項1に記載の身体換気用装置。
【請求項4】
通気部が、身体側の面の全面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の身体換気用装置。
【請求項5】
通気部が、身体側の面の一部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の身体換気用装置。
【請求項6】
通気部が離隔した複数個所に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の身体換気用装置。
【請求項7】
異なる通気度の通気部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の身体換気用装置。
【請求項8】
扁平状空気袋内に空気流路部材を収納したことを特徴とする請求項1〜7までのいずれか1項に記載の身体換気用装置。
【請求項9】
空気流路部材が立体編物であることを特徴とする請求項8に記載の身体換気用装置。
【請求項10】
扁平状空気袋が、マットレスや椅子等の身体支持装置上に載置されて使用されるものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の身体換気用装置。
【請求項11】
扁平状空気袋が、マットレスや椅子等の身体支持装置として構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の身体換気用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−297268(P2009−297268A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155097(P2008−155097)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】