説明

身体運動を指導及び監督するフィードバック装置

本発明は、人12の身体運動、特に家庭リハビリテーション運動、特に家庭リハビリテーション運動を指導及び監督するフィードバック装置10に関し、前記装置は、CPU及びメモリを持つコンピュータ装置と、反射表面を持つ従来の表示装置を有するミラー表示装置11と、前記装置の前に配置された人に対する位置感知手段13、14とを有する。更に、本発明は、身体運動、特に家庭リハビリテーション運動を指導及び監督するフィードバック方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体運動、特に家庭リハビリテーション運動を指導及び監督するフィードバック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
卒中は、先進工業国における永久障害の最も顕著な原因である。運動障害は、卒中後の最も一般的な欠損である。リハビリテーション運動は、トレーニングが強度であり、患者が治療を指導され、十分なフィードバックを受けるならば、運動制御を回復するのに効率的であると証明されている。
【0003】
近年、監督されない家庭使用に対するトレーニング装置が売り出された。これらの装置は、治療専門家無しで作動し、これは、一度患者が前記装置に手ほどきされると、前記患者は、より効率的にリハビリテーション運動を実行することができることを意味し、これは、前記患者の回復を再び増大及び加速する。
【0004】
監督されない家庭用卒中リハビリテーションに対する技術的解決法は、運動中の前記患者の姿勢を取得するセンサの使用を要する。これらのセンサは、それぞれXSENS社により提供される一般向けのMT9センサのような慣性センサ、又は例えばNatural Point社により製造されるOpti Trackシステムのようなカメラベースのシステムのいずれかであることができる。
【0005】
両方の装置において、前記患者の動作は、記録され、テンプレート姿勢及び/又は動作と比較され、次いで差が適切な形で前記患者に報告される。Performance Health社により製造されるCore:Txシステムは、前記患者が実行しなければならないテンプレート姿勢及び/又は動作を表示するレンダリングされた人間のような図形を使用する。前記患者は、患肢に慣性センサを着用する。前記患者の自身の動作は、画面上に表示されない。緑又は赤の光が、テンプレート及び患者の動作の一致又は不一致を示す。これらの装置は、例えば、US6834436に記載されている。
【0006】
卒中被害者は、しばしば障害に気付かず、前記患者の動作が前記動作テンプレートを反映しないことに心からの驚きを示すので、提供されたテンプレートと患者の動作との間の差を表示することは、家庭リハビリテーションシステムの有効性に対して重要である。
【0007】
例えばUS6231527に記載されるような家庭リハビリテーションに対する既存のアプローチは、ユーザが精通するのが難しいと感じるフィードバックシステムを使用する。既存のシステムは、前記患者の動作を表示するレンダリングされた図形(rendered figure)を使用する。前記ユーザがこのようなレンダリングされた図形と前記ユーザ自身を同一視するのは難しい。しかしながら、上述のように、前記テンプレートと一致していないと自身の動作を知覚することは、この患者グループに対する回復への道における重要なステップである。
【0008】
更に、既存のシステムは、フィードバックを表示するのにコンピュータ画面を使用する。しかしながら、卒中被害者は、主に、コンピュータに精通していない高齢者である。したがって、特に高齢者に対する、使いやすさ、使用の直観的理解のしやすさ、及び使用の効率性に関して利点を提供するフィードバック装置を使用することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の確認された欠点を避ける、身体運動、特に家庭リハビリテーション運動を指導及び監督するフィードバック装置を提供することである。本発明の他の目的は、特に高齢者に使用しやすいこのようなフィードバック装置を提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、患者に自身の動作を観察する可能性を与える、及び/又は前記患者が、前記患者の動作を表示するコンピュータ生成アニメーションと前記患者自身を同一視しやすくするこのようなフィードバック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、独立請求項による装置及び/又は方法により達成される。従属請求項は、好適な実施例を示す。これに関連して、以下に与えられる全ての範囲がこれらの範囲を規定する値を含むと理解されるべきであることは、言及するに値する。
【0012】
本発明によると、人の身体運動、特に家庭リハビリテーション運動を指導及び監督するフィードバック装置が提供される。前記装置は、
a)CPU及びメモリを持つコンピュータ装置と、
b)反射表面を持つ従来の表示装置を有するミラー表示装置(mirror display device)と、
c)前記装置の前に配置された人に対する位置感知手段と、
を有する。
【0013】
前記人は、例えば、家庭リハビリテーション運動を受ける患者である。しかしながら、以下、用語"患者"及び"人"は、同義に使用され、すなわち"患者"に関連した全ての考慮すべき事項が"人"に適用可能であり、逆も同様である。
【0014】
ここで使用される用語"従来の表示装置"は、コンピュータ生成アニメーションを表示することができる装置に関する。このようなディスプレイは、当業者に周知であり、CRT(陰極線管)、及びLCD(液晶ディスプレイ)等から選択されることができる。
【0015】
ここで使用される用語"ミラー表示装置"は、鏡機能及び表示機能の組み合わせを示す。例えば、このような装置は、平面モニタと半透明鏡の組み合わせを有しうる。他の実施例において、前記装置は、半透明コーティングでコーティングされた前画面を持つ平面モニタからなることができる。
【0016】
本発明の好適な実施例において、前記装置が、前記反射表面の透過及び/又は反射を制御する手段を有することが規定される。このような装置は、好適な実施例において、LCDのような平面モニタからなることができ、前記平面モニタのパネルは、透過性、反射性又は半反射性のいずれかであるように前記パネルの表面の全体又は一部を調節する偏光フィルムでコーティングされる。このようにして、前記ミラー表示装置は、コンピュータ生成アニメーションを表示することができるか、又は前記表示装置の前に配置された対象の鏡像を(受動的に)表示することができるか、又は同時に両方を表示することができるかのいずれかである。このような製品は、近年、本出願人により開発され、知的所有権で保護されており、商標"Mirror TV"の下で販売されている。
【0017】
ここで使用される用語"コンピュータ生成アニメーション"は、静止画及び動画の両方を示す。前記装置において、前記鏡の前に立っている人の身体姿勢は、初めに前記位置感知手段により検出され、次いで前記人の鏡像上に重ねられた画像が生成され、表示される。
【0018】
この場合、前記人が知覚することができ、実行しなければならない所定の身体姿勢又は動作(以下、"テンプレート姿勢及び/又は動作"と称される)が表示される。
【0019】
前記姿勢又は動作を実行すると、前記人は、前記コンピュータ生成アニメーション及び前記人自身の鏡像を比較することにより前記テンプレート姿勢又は動作と前記人自身の姿勢又は動作との間のずれを直ちに知覚し、したがって、前記人が姿勢又は動作を補正することを可能にするフィードバックを受ける。
【0020】
更に、位置感知は、前記テンプレート姿勢及び/又は動作と前記人により実行された動作との間のずれを検出するのに使用されることができる。これらのずれは、前記人が前記テンプレート姿勢及び/又は動作を正確に実行しているか否かを前記人に知らせるために、前記ディスプレイ上に教育的なやり方で表示することにより、又は警告音の作成により、リアルタイムで前記人に報告されることができる。これに加えて、前記人は、前記コンピュータ生成アニメーション及び前記人自身の鏡像を比較することにより前記テンプレート姿勢及び/又は動作と前記人自身の動作との間のずれを把握することができる。前記人は、したがって、上記のフィードバック情報に基づいて前記人の動作を補正することができる。前記情報は、前記人が前記運動に集中しながら前記情報を獲得することができるように直観的に知覚されるように提供される。
【0021】
これらの手段により、使用しやすいリアルタイムフィードバック装置が達成され、前記装置は、トレーニングが強度であり、前記人が治療を始動され、十分なフィードバックを受けるという条件で、卒中後の運動障害に苦しむ人が運動制御を回復するのに効率的であると証明された治療リハビリテーション運動を実行するのを助ける。このシステムは、特に家庭使用に適している。これは、人が、治療専門家による監督無しで治療リハビリテーション運動を実行することができることを意味し、運動頻度及び/又は強度が実質的に増大されることができ、結果としてより良好かつより速いリハビリテーションを生じることを意味する。
【0022】
本発明の好適な実施例において、前記装置が、前記位置感知手段により提供されたデータに基づいて前記人のアニメーションを生成し、前記ミラー表示装置に前記アニメーションを表示して、前記表示されたアニメーション及び前記人の反射された像が一方の上に他方を重ねられるように表示する手段を有することが規定される。
【0023】
再び、ここで使用される用語"アニメーション"は、静止画及び動画の両方を示す。前記人は、したがって、前記テンプレート姿勢又は動作を前記人自身の進退姿勢又は動作と直接的に比較することを可能にされる。このフィーチャは、前記人による直観的情報理解を向上させ、したがって、前記人が実行しなければならない運動に対するより良好な集中に寄与し、結果的にリハビリテーションプロセスを支援する。
【0024】
本発明の他の好適な実施例において、前記人に対する前記位置感知手段が、装着式センサ若しくはマーカ、及び/又はカメラシステムのいずれかを有することが規定される。
【0025】
これらのセンサ又はマーカは、例えば映画アニメーション及びトレーニング科学等で使用され、例えばXsens社の動作技術により供給される(一般に動作トラッカ(movement tracker)として知られる)MEMS(微小電気機械システム)センサのような慣性センサであることができる。これらの実施例は、集合的に"能動的センサ又はマーカ"と称されることができる。
【0026】
同様に、色を有する光学マーカが使用されることができる。好適な実施例において、前記マーカは、蛍光性又は赤外線照明下で検出可能である手段を有する。これらの実施例は、集合的に"受動的センサ又はマーカ"と称されることができる。
【0027】
カメラベースのシステムは、例えば、前記ミラー表示装置のフレームに取り付けられたカメラからなることができ、前記カメラは、後の解析及び画像生成プロセスの基礎となる前記人の身体動作の記録を作成する。
【0028】
好適な実施例において、前記人に対する前記位置感知手段は、装着式センサ又はマーカ及びカメラシステムの両方を有する。この場合、前記マーカは、肢等の位置を正確に決定するために前記カメラにより検出される検出可能装置(すなわちIR−LED等)を有する。このような装置は、例えばNatural Point社により供給される。
【0029】
他の好適な実施例において、前記カメラシステムは、ステレオカメラシステムである。この場合、前記カメラシステムは、立体画像を解析することにより前記人の肢の位置を計算することができるので、専用の装着式センサ又はマーカは必要ではない。しかしながら、このようなシステムでさえ、前記人の身体の検出は、後者が装着式センサ又はマーカを備えている場合により容易である。
【0030】
更に、人の身体運動、特に家庭リハビリテーション運動を指導及び監督するフィードバック方法が提供される。前記方法は、
a)CPU及びメモリ、反射表面を持つ従来の表示装置を有するミラー表示装置、並びに人に対する位置感知手段を有するフィードバック装置の前に前記人を配置するステップと、
b)前記人の身体姿勢及び/又は身体動作を検出するステップと、
c)テンプレート姿勢及び/又は動作を表すコンピュータ生成アニメーションを生成し、前記ミラー表示装置に表示するステップと、
を有する。
【0031】
この実施例において、前記CPUメモリは、前記人が実行しなくてはならない所定のテンプレート姿勢及び動作を含む。
【0032】
この方法の好適な実施例において、前記方法は、前記テンプレート姿勢及び/又は動作と前記人の身体姿勢及び/又は身体動作との間のずれを検出するステップを更に有する。
【0033】
これは、前記人の身体姿勢及び/又は身体動作が、前記運動の間中モニタされることを意味する。検出されるずれは、この場合、前記ずれによってフィードバック情報を生成するために前記人に報告されることができる。前記フィードバック情報は、例えば、前記ミラー表示装置上の点線からなることができ、前記点線は、前記テンプレート姿勢からの前記人の姿勢がずれている肢を表す(図1)。フィードバック情報は、可聴信号の形式で提示されることもできる。当業者は、他のフィードバック情報チャネル及び/又は装置を容易に選択することができ、これらは、同様に本発明の範囲に入る。
【0034】
本発明による方法の好適な実施例において、本発明によるフィードバック装置は、前記方法を実行するのに使用される。
【0035】
本発明による方法の他の好適な実施例において、前記方法が、
a)前記ミラー表示装置の前に配置される場合に前記人及び前記人の肢の3次元位置を検出するアルゴリズム、
b)前記ミラー表示装置の表面上の前記人及び/又は前記人の肢の鏡像の座標を計算するアルゴリズム、
c)部分b)において述べられたアルゴリズムにより計算された前記鏡像と同じ前記ミラー表示装置の表面上の点に現れる前記肢の図形のコンピュータ生成画像を作成するアルゴリズム、
d)前記テンプレート姿勢及び/又は動作によって前記コンピュータ生成画像を動画化するアルゴリズム、及び/又は
e)前記テンプレート姿勢及び/又は動作からの前記人の姿勢及び/又は動作のずれによってフィードバック情報を生成するアルゴリズム、
からなるグループから選択されたアルゴリズムの実行を有することが規定される。
【0036】
ここで用語"姿勢"は、前記人の肢、頭、背骨及び身体の他の部分の位置及び向きを示す。
【0037】
更に、身体運動及び動作を実行、指導及び/又は監督する方法が提供され、前記方法は、上述のフィードバック方法による手順ステップを有する。このような方法が、前記フィードバック装置及び前記フィードバック方法に関連して上に記載された利点を提供することは理解されるべきである。
【0038】
更に、運動を実行、指導及び監督するための本発明によるシステムの使用が提供される。このような運動は、例えば体育、外傷後及び/又は手術後リハビリテーション、レトリックトレーニング、及び芸術パフォーマンス等、すなわち身体運動及び動作に関連したリアルタイムフィードバックが有益である及び/又は必要とされる全ての分野に属することができる。
【0039】
以下の記載において、本発明によるフィードバック装置及びフィードバック方法の詳細な実施例は、図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるフィードバック装置を概略的に示す。
【図2】図1の装置において鏡像を表示画像と重ね合わせるプロセスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、表面上にコンピュータグラフィックを示す可能性を提供する壁掛け式鏡からなるミラーディスプレイ11を有する、本発明によるミラーディスプレイフィードバックシステム10を示す。更に、前記システムは、ステレオカメラであってもよく、前記鏡の前に立っている患者12の動作を記録するカメラ13を有する。前記患者は、位置センサ14を持っている。図示されていない処理ユニットは、ミラーディスプレイ11上にレンダリングされたテンプレートアニメーションとして表示されるテンプレート姿勢及び/又は動作アニメーション15を提供するアニメーションを作成する。
【0042】
前記システムが使用中である場合、患者13は、従来の鏡と同様にミラーディスプレイ11の中の自身を見る。加えて、テンプレート姿勢及び/又は動作アニメーション15は、ミラーディスプレイ11において重ねられ、大きさ及び向きにおいて前記患者の鏡像と比較可能である。治療運動を実行する間に、患者13は、前記鏡の中の自身を見て、前記重ねられたレンダリングされた図形が、前記テンプレート姿勢及び/又は動作を実行する。
【0043】
したがって、前記患者は、前記患者の動作と前記テンプレート姿勢及び/又は動作との間の相違を直接的に見ることができる。前記患者は、レンダリングされた表現ではなく前記鏡の中の自身を見るので、運動実行における前記患者の欠陥の直観的な認識が大幅に容易である。
【0044】
図1において、前記患者の左手16の姿勢と対応するテンプレート姿勢との間に相違が存在する。前記患者は、前記コンピュータ生成アニメーション及び前記患者自身の鏡像を比較することによりこの相違を直ちに知覚することができる。更に、前記ミラー表示装置と接続された前記CPUは、前記相違を検出し、図の点線17からなるフィードバック情報を作成する。
【0045】
図2において、本発明によるミラーディスプレイフィードバックシステム2において鏡像を表示画像と重ね合わせるプロセスが示される。目(21、片方の目のみが明確性の理由で象徴的に図示される)の場所が、例えば画像処理モジュール(図示されない)に結合されたステレオカメラ(図示されない)を用いて、決定される。目(21)のX、Y画素座標は、鏡面(22)に対する直交射影により計算される。空間内の位置を決定する他のオプションは、超音波三角測量又は受動的若しくは能動的センサの使用を含む。
【0046】
前記X、Y座標から、前記目に対する適切な画素位置が算出されることができる。四肢(23、片方の手のみが明確性の理由で象徴的に図示される)の場所は、例えば画像処理モジュール(図示されない)に結合されたステレオカメラ(図示されない)を用いて、決定される。四肢(23)のX、Y画素座標は、鏡面22に対する直交射影により、続いて0.5の係数によるx及びy方向におけるスケーリングにより計算される。結果として、鏡面22内の場所21'においてオンに切り替えられた画面画素は、前記目の仮想画像21"に対して重ねられる。同様に、鏡面22内の場所23'においてオンに切り替えられた画素は、前記手の仮想画像23" に対して重ねられる。
【0047】
このようにして、前記患者は、前記鏡画面に表示され、リハビリテーション運動を行うために前記患者が実行することを期待される所定の動作及び/又は姿勢を示す所定の身体姿勢と前記患者の身体姿勢の前記鏡像を常に比較することができる。
【0048】

以下、本発明は、決して本発明の範囲を限定すると理解されるべきでない例を用いて説明される。
【0049】
前記ユーザは、前記ユーザのリハビリテーションのための運動を実行するために前記システムに近づく。一実施例において、前記ユーザは、手首、肘等のような選択された身体位置に色マーカを着用する。前記患者は、前記鏡において自身を全体的に見ることができるような前記ミラーディスプレイの前に自身を配置する。この場合、前記鏡のフレームに取り付けられたステレオカメラは、前記患者を全体的に見ることができる。色追跡アルゴリズムは、前記ステレオカメラ対の左右のカメラのカメラ画像において前記マーカを見つける。前記カメラシステムの較正情報を使用して、3次元座標システム内の前記患者により着用された前記マーカの位置を計算することが可能である。この手順は、ステレオカメラシステムに対して標準的であり、例えば画像フィーチャの3次元位置を計算するソフトウェア開発キットを含むPoint Grey社(www.pointgrey.com)により製造された'Bumblebee'ステレオカメラにより実行されることができる。一度前記マーカ点の3次元座標が知られると、前記ミラーディスプレイの表面における前記マーカの鏡像の外観の予測点を算出するのは、標準的な幾何学的計算である。これらの点は、レンダリングされた図形及び鏡像の前記マーカにより示される点の位置が一致するような形で前記ミラーディスプレイ上にレンダリングされた図形のピクチャを生成するのに後で使用される。これは、前記患者が前記運動の開始時に静止している間に、前記患者と同じ大きさ及び身体姿勢を持つレンダリングされた図形が生成されることを意味する。前記ユーザは、前記ユーザの鏡像に完全に重なる前記レンダリングされた図形を見る。前記運動が開始する場合、前記レンダリングされた図形は、記憶されたテンプレート動作によって動画化される。前記患者は、前記テンプレートに従って動こうとする。前記患者は、前記患者の肢及び前記レンダリングされた図形の肢が同期して動かないので、相違を容易に見ることができる。追加のフィードバックは、例えば患者とテンプレート姿勢及び/又は動作との相違が最も深刻である前記ディスプレイの背景部分を色付けすることにより、前記ミラーディスプレイに表示されることができる。
【0050】
本発明は、図面及び先の説明において詳細に図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、実例的又は典型的であり限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施例に限定されない。
【0051】
前記開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求項の発明を実施する当業者により理解及び達成されることができる。請求項において、単語"有する"は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞"1つの"は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された複数のアイテムの機能を満たすことができる。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。請求項内の参照符号は、範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0052】
上の詳述された実施例の要素及びフィーチャの特定の組み合わせは、典型的なだけであり、これらの教示をこの及び参照により組み込まれた他の特許/出願の他の教示と置き換える及び代用することも、明示的に意図される。当業者が認識するように、ここに記載されたものの変形例、修正例及び他の実施例は、請求された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者が思い付くことができる。したがって、先の記載は、ほんの一例であり、限定として意図されない。本発明の範囲は、以下の請求項及びこれらの同等物において規定される。更に、説明及び請求項において使用される参照符号は、請求される本発明の範囲を限定しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体運動を指導及び監督するフィードバック装置において、
a)CPU及びメモリを持つコンピュータ装置と、
b)反射表面を持つ従来の表示装置を有するミラー表示装置と、
c)前記装置の前に配置された人に対する位置感知手段と、
を有するフィードバック装置。
【請求項2】
前記装置が、前記反射表面の透過性及び/又は反射性を制御する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のフィードバック装置。
【請求項3】
前記反射表面の透過性及び/又は反射性を制御する手段が、透過性、反射性又は半反射性のいずれかであるように表面の全体又は一部を調整する、前記ミラー表示装置上に配置された偏光フィルムを有することを特徴とする、請求項2に記載のフィードバック装置。
【請求項4】
前記装置が、
d)前記位置感知手段により提供されるデータに基づいて前記人のアニメーションを生成する手段と、
e)前記ミラー表示装置に前記アニメーションを表示し、前記表示されるアニメーション及び前記人の反射された像が一方の上に他方を重ねられるように表示する手段と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のフィードバック装置。
【請求項5】
前記人に対する前記位置感知手段が、
a)装着式センサ又はマーカ、及び/又は
b)カメラシステム、
のいずれかを有することを特徴とする、請求項1に記載のフィードバック装置。
【請求項6】
前記カメラシステムがステレオカメラを有することを特徴とする、請求項5に記載のフィードバック装置。
【請求項7】
身体運動を指導及び監督するフィードバック方法において、
a)CPU及びメモリ、反射表面を持つ従来の表示装置を有するミラー表示装置、並びに人に対する位置感知手段を有するフィードバック装置の前に前記人を配置するステップと、
b)前記人の身体姿勢及び/又は身体動作を検出するステップと、
c)テンプレート姿勢及び/又は動作を表すコンピュータ生成アニメーションを生成し、前記ミラー表示装置に表示するステップと、
を有するフィードバック方法。
【請求項8】
前記方法が、
a)前記テンプレート姿勢及び/又は動作と前記人の身体姿勢及び/又は身体動作との間のずれを検出するステップ、
を更に有することを特徴とする、請求項7に記載のフィードバック方法。
【請求項9】
前記方法が、
b)前記ずれによってフィードバック情報を生成するステップ、
を更に有することを特徴とする、請求項8に記載のフィードバック方法。
【請求項10】
前記方法が、
a)前記ミラー表示装置の前に配置される場合に前記人及び前記人の肢の3次元位置を検出するアルゴリズム、
b)前記ミラー表示装置の表面における前記人及び/又は前記人の肢の鏡像の座標を計算するアルゴリズム、
c)前記肢が前記b)のアルゴリズムにより計算された前記鏡像と同じ前記ミラー表示装置の表面上の点に現れる図形のコンピュータ生成画像を作成するアルゴリズム、
d)前記テンプレート姿勢及び/又は動作によって前記コンピュータ生成画像を動画化するアルゴリズム、及び/又は
e)前記テンプレート姿勢及び/又は動作からの前記人の姿勢及び/又は動作のずれによってフィードバック情報を生成するアルゴリズム、
からなるグループから選択されたアルゴリズムの実行を有することを特徴とする、請求項7に記載のフィードバック方法。
【請求項11】
請求項7ないし9のいずれか一項に記載の手順ステップを有する、身体運動及び動作を実行、指導及び/又は監督する方法。
【請求項12】
身体運動及び動作を実行、指導及び監督するための請求項1ないし6のいずれか一項に記載のフィードバック装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−517731(P2010−517731A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549873(P2009−549873)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050434
【国際公開番号】WO2008/099301
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】