説明

車両における小物品積載装置

【課題】 車体にバンパ支持部が形成された車両において、小物品の積載能力を向上させることが容易にできるようにする。
【解決手段】 車体2の前、後部分のうちの少なくともいずれか一方の部分に、バンパ25を締結具24により支持可能とするバンパ支持部21を形成する。小物品30用の収納体36を支持可能とするブラケット37を、バンパ支持部21に締結具24により支持させる。車両の長手方向で、車体から離れる方向に向かってバンパ支持部からブラケットを突出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体にバンパを支持可能とさせるバンパ支持部を備えたゴルフカートなどの車両における小物品積載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、上記車両の車体の後部分にバンパ支持部が形成され、このバンパ支持部にバンパが締結具により支持されている。
【0003】
そして、上記車両が他の車両により追突されて、上記バンパに上記他の車両から衝撃力が与えられたときには、上記バンパは、上記衝撃力を緩和し、これにより、車体が保護されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−331878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ゴルフ場には種々の形態をとるものがあるため、あるゴルフ場では、車両において、バンパが不要とされる一方、ゴルフクラブなどの小物品の積載能力を、より向上させたいという要望がある。
【0006】
そこで、上記要望に応じて、上記従来の技術の車両の車体からバンパを取り外し、この車体に上記小物品の積載装置を取り付けることが考えられる。しかし、上記車体に対し積載装置を取り付けようとすると、上記車体を大きく改造する必要が生じるおそれがあり、このため、上記要望に応じることは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車体にバンパ支持部が形成された車両において、小物品の積載能力を向上させることが容易にできるようにすることである。
【0008】
請求項1の発明は、車体2の前、後部分のうちの少なくともいずれか一方の部分に、バンパ25を締結具24により支持可能とするバンパ支持部21を形成した車両において、
小物品30用の収納体36を支持可能とするブラケット37を、上記バンパ支持部21に上記締結具24により支持させたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記車両1の長手方向で、上記車体2から離れる方向に向かって上記バンパ支持部21から上記ブラケット37を突出させたものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記バンパ25を支持可能とする左右一対のバンパ支持部21を設け、これら左右バンパ支持部21に跨るように上記ブラケット37を支持させたものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のうちいずれか1つの発明に加えて、車体2の後部に左右一対の車輪12を支持させ、上記車体2の後方近傍域に、上記収納体36を配置可能とする車両において、
上記車両1の幅方向で、上記ブラケット37のほぼ全体を上記左右車輪12の各内側面の間に配置したものである。
【0012】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本発明による効果は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、車体の前、後部分のうちの少なくともいずれか一方の部分に、バンパを締結具により支持可能とするバンパ支持部を形成した車両において、
小物品用の収納体を支持可能とするブラケットを、上記バンパ支持部に上記締結具により支持させている。
【0015】
このため、上記したようにバンパ支持部と締結具とを利用することにより、上記車体の部分にブラケットを支持させてやれば、車体を改造することなく、上記ブラケットに収納体を支持させることができ、この収納体により小物品の収納ができる。よって、車体にバンパ支持部が形成された車両において、小物品の積載能力を向上させることは容易にできる。
【0016】
ここで、上記バンパ支持部は、車両の衝突時の衝撃力をバンパを介し強固に支持するものである。このため、上記バンパ支持部は十分の強度を備えているものである。よって、上記バンパ支持部にブラケットを介し支持される収納体は車体に対し十分の支持強度を有することとなる。この結果、上記収納体に収納される小物品は強度的に安定した状態で車体に支持される。
【0017】
請求項2の発明は、上記車両の長手方向で、上記車体から離れる方向に向かって上記バンパ支持部から上記ブラケットを突出させている。
【0018】
このため、上記車両が他の車両により追突されるなどの衝突の場合、上記ブラケットをバンパとして機能させることができる。よって、上記バンパ支持部に対しバンパに代えて上記ブラケットを支持させた場合でも、衝突の際の車体の保護につき、支障が生じることは抑制される。
【0019】
請求項3の発明は、上記バンパを支持可能とする左右一対のバンパ支持部を設け、これら左右バンパ支持部に跨るように上記ブラケットを支持させている。
【0020】
このため、上記ブラケットは、車体の上記一方の部分の補強材として働く。よって、上記したように、バンパ支持部に対しバンパに代えて上記ブラケットを支持させた場合でも、衝突の際の車体の保護につき、支障が生じることは抑制される。
【0021】
また、上記ブラケットは上記左右バンパ支持部に跨る分、車両の幅方向で長くなる。よって、この車両の幅方向で、上記ブラケットに対し収納体の支持位置を選択する場合に、この選択の自由度が向上する。
【0022】
更に、上記ブラケットは上記左右バンパ支持部を介し車体の上記一方の部分に対し両持ち支持される。よって、上記ブラケットに十分の強度が確保される。この結果、上記収納体に収納される小物品は強度的に更に安定した状態で車体に支持される。
【0023】
請求項4の発明は、車体の後部に左右一対の車輪を支持させ、上記車体の後方近傍域に、上記収納体を配置可能とする車両において、
上記車両の幅方向で、上記ブラケットのほぼ全体を上記左右車輪の各内側面の間に配置している。
【0024】
このため、車両の外側方から上記ブラケットに支持された収納体に対し小物品の出し入れ作業をしようとするとき、上記ブラケットが邪魔になるということは防止される。よって、上記出し入れ作業が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の車両における小物品積載装置に関し、車体にバンパ支持部が形成された車両において、小物品の積載能力を向上させることが容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0026】
即ち、車体の前、後部分のうちの少なくともいずれか一方の部分に、バンパを締結具により支持可能とするバンパ支持部が形成されている。小物品用の収納体を支持可能とするブラケットが、上記バンパ支持部に上記締結具により支持される。
【実施例】
【0027】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0028】
図1−3,6において、符号1は、ゴルフカートで例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0029】
上記車両1の車体2は、この車体2の下端部を構成してこの車体2の骨格を構成する車体フレーム3と、この車体フレーム3の前端部における各側部から上方に向かって突設される左右一対のフロントピラー4と、上記車体フレーム3の後端部における各側部から上方かつほぼ鉛直方向に向かって突設される左右一対のリヤピラー5,5と、上記フロントピラー4およびリヤピラー5の各上端部に架設されるルーフパネル6と、上記車体フレーム3の上面に支持されてほぼ水平に延びるフロアパネル7とを備えている。上記各部材3−7で囲まれた空間が車室8とされている。
【0030】
上記車体2の車体フレーム3の前部に左右一対の前車輪11が操向可能に懸架されている。また、上記車体フレーム3の後部に左右一対の後車輪12が懸架されている。上記各車輪11,12は、車両1の幅方向で、それぞれ車体2の側端部に対応するところに配置されている。
【0031】
上記車室8の前端部にハンドル14が配置され、このハンドル14は上記車体2の前部に支持されている。上記ハンドル14に各前車輪11が連動連結されている。車両1の長手方向における上記車室8の中途部にフロントシート15が配置され、このフロントシート15は上記フロアパネル7に支持されている。上記フロントシート15に着座した運転者により上記ハンドル14が操向操作可能とされている。また、上記車室8の後端部にリヤシート16が配置され、このリヤシート16は上記リヤピラー5とフロアパネル7とに跨るように支持されている。
【0032】
上記車体2の前部分に、バンパ支持部18が形成され、このバンパ支持部18に締結具によりフロントバンパ19が着脱可能に支持されている。上記車体2の後部分に、左右一対のバンパ支持部21が形成されている。これら各バンパ支持部21は、上記車体フレーム3の後端部から後方に向かって突設される円形パイプ材22と、このパイプ材22の軸心上で、このパイプ材22の突出端部に固着される円板形状の板材23とを備えている。
【0033】
上記各バンパ支持部21にそれぞれ締結具24によりリヤバンパ25が着脱可能に支持されている。上記締結具24は、上記板材23の裏面に溶接により固着されたナット26と、上記バンパ25と板材23とを順次通して上記ナット26に捻回されるボルト27とを備えている。上記左右の各バンパ25はゴム製で弾性を有している。
【0034】
上記車両1は、車体2の後部に支持される小物品30用の積載装置31を備えている。上記小物品30は、例えば、ゴルフクラブ、ゴルフバッグ、傘、ゴルフ場保守用の砂、芝、保守用具などである。また、上記積載装置31は、上記車体2の車体フレーム3の後端部から後上方に向かって突設される支持フレーム32と、この支持フレーム32の突出端部に支持される支持部33と、この支持部33と車体2の後部とに跨って支持される収納体34と、この収納体34の下方に位置して上記支持部33と車体2の後部とに跨って支持される他の収納体35とを備えている。上記各収納体34,35はいずれもゴルフクラブなど上記小物品30の収納用のものである。
【0035】
図1,4−6において、これら図は、上記車両1の積載装置31において、小物品30用の更に他の収納体36を支持可能とするブラケット37を、上記バンパ25に代えて、上記バンパ支持部21に締結具38により支持させたものを示している。
【0036】
上記ブラケット37は板金製である。このブラケット37は、車両1の幅方向に長く延び、上記左右バンパ支持部21に跨るように両持ち支持されている。上記ブラケット37は、その長手方向の各端部を構成して、上記各バンパ支持部21に上記締結具38により着脱可能に締結される左右一対の端部部材41と、上記ブラケット37の長手方向の中途部を構成して、その各端部が上記各端部部材41に締結具42により締結されるブラケット本体43とを備えている。このブラケット本体43には、その長手方向に複数の支持孔44が形成されている。
【0037】
上記締結具38は、前記締結具24のナット26と、上記ブラケット37の端部部材41と板材23とを順次通して上記ナット26に捻回される他のボルト46とを備えている。つまり、上記ブラケット37は、上記バンパ支持部21に対し前記した締結具24の少なくとも一部を利用して支持されている。
【0038】
上記支持部33の後部には、他の環状支持部47が着脱可能に取り付けられている。上記更に他の収納体36は、上記他の環状支持部47にその上方から嵌脱可能に嵌入されている。また、上記収納体36の下端部に突設された突起48がグロメット49を介し複数の上記支持孔44のうち、所望の支持孔44に嵌脱可能に嵌入されている。そして、上記収納体36は、上記他の環状支持部47への嵌入と、上記支持孔44への嵌入とにより、車体2の後部に支持されている。この場合、上記収納体36は、上記車体2の後方近傍域に配置されている。
【0039】
上記車両1の長手方向で、上記車体2から離れる方向(後方)に向かって上記バンパ支持部21から上記ブラケット37が突出させられている。また、車両1の幅方向で、上記ブラケット37は、そのほぼ全体が上記左右後車輪12の各内側面の間に配置されている。
【0040】
上記構成によれば、小物品30用の収納体36を支持可能とするブラケット37を、上記バンパ支持部21に上記締結具24により支持させている。
【0041】
このため、上記したようにバンパ支持部21と締結具24とを利用することにより、上記車体2の部分にブラケット37を支持させてやれば、車体2を改造することなく、上記ブラケット37に収納体36を支持させることができ、この収納体36により小物品30の収納ができる。よって、車体2にバンパ支持部21が形成された車両1において、小物品30の積載能力を向上させることは容易にできる。
【0042】
ここで、上記バンパ支持部21は、直接に車体フレーム3に突設されていて、車両1の衝突時の衝撃力をバンパ25を介し強固に支持するものである。このため、上記バンパ支持部21は十分の強度を備えているものである。よって、上記バンパ支持部21にブラケット37を介し支持される収納体36は車体2に対し十分の支持強度を有することとなる。この結果、上記収納体36に収納される小物品30は強度的に安定した状態で車体2に支持される。
【0043】
また、前記したように、車両1の長手方向で、上記車体2から離れる方向に向かって上記バンパ支持部21から上記ブラケット37を突出させている。
【0044】
このため、上記車両1が他の車両により追突される場合、上記ブラケット37をバンパとして機能させることができる。よって、上記バンパ支持部21に対しバンパ25に代えて上記ブラケット37を支持させた場合でも、追突された際の車体2の保護につき、支障が生じることは抑制される。
【0045】
また、前記したように、左右一対のバンパ25をそれぞれ支持可能とする左右一対のバンパ支持部21を設け、これら左右バンパ支持部21に跨るように上記ブラケット37を支持させている。
【0046】
このため、上記ブラケット37は、車体2の後部の補強材として働く。よって、上記したように、バンパ支持部21に対しバンパ25に代えて上記ブラケット37を支持させた場合でも、追突された際の車体2の保護につき、支障が生じることは抑制される。
【0047】
また、上記ブラケット37は上記左右バンパ支持部21に跨る分、車両1の幅方向で長くなる。よって、この車両1の幅方向で、上記ブラケット37に対し収納体36の支持位置を選択する場合に、この選択の自由度が向上する。
【0048】
更に、上記ブラケット37は上記左右バンパ支持部21を介し車体2の後部に対し両持ち支持される。よって、上記ブラケット37に十分の強度が確保される。この結果、上記収納体36に収納される小物品30は強度的に更に安定した状態で車体2に支持される。
【0049】
また、前記したように、車体2の後部に左右一対の車輪12を支持させ、上記車体2の後方近傍域に、上記収納体36を配置可能とする車両において、
上記車両1の幅方向で、上記ブラケット37のほぼ全体を上記左右車輪12の各内側面の間に配置している。
【0050】
このため、車両1の外側方から上記ブラケット37に支持された収納体36に対し小物品30の出し入れ作業をしようとするとき、上記ブラケット37が邪魔になるということは防止される。よって、上記出し入れ作業が容易にできる。
【0051】
なお、以上は図示の例によるが、車両1は、ゴルフ場での砂などの運搬車両であってもよく、娯楽施設での乗客運搬車両であってもよい。また、上記バンパ支持部21に対しバンパ25とブラケット37とを締結具24により共締めして、一体的に支持させてもよい。また、上記ブラケット37は、その端部部材41とブラケット本体43とを一体的に形成してもよい。また、上記バンパ支持部21にブラケット37を締結させる締結具38は、上記バンパ支持部21にバンパ25を締結させる締結具24を全体的に利用してもよい。
【0052】
また、上記ブラケット37の長手方向の端部は、後車輪12の内側面よりも少し外側に位置していてもよい。また、上記構成を車体2の前部分のバンパ支持部18とフロントバンパ19とに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図2,4の各部拡大断面合成図である。
【図2】リヤバンパを備えた車両の側面図である。
【図3】リヤバンパを備えた車両の背面図である。
【図4】リヤバンパに代えてブラケットを備えた車両の部分側面図である。
【図5】リヤバンパに代えてブラケットを備えた車両の背面図である。
【図6】図4に示したものの展開斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
2 車体
3 車体フレーム
12 車輪
21 バンパ支持部
22 パイプ材
23 板材
24 締結具
25 バンパ
26 ナット
27 ボルト
30 小物品
31 積載装置
36 収納体
37 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前、後部分のうちの少なくともいずれか一方の部分に、バンパを締結具により支持可能とするバンパ支持部を形成した車両において、
小物品用の収納体を支持可能とするブラケットを、上記バンパ支持部に上記締結具により支持させたことを特徴とする車両における小物品積載装置。
【請求項2】
上記車両の長手方向で、上記車体から離れる方向に向かって上記バンパ支持部から上記ブラケットを突出させたことを特徴とする請求項1に記載の車両における小物品積載装置。
【請求項3】
上記バンパを支持可能とする左右一対のバンパ支持部を設け、これら左右バンパ支持部に跨るように上記ブラケットを支持させたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の車両における小物品積載装置。
【請求項4】
車体の後部に左右一対の車輪を支持させ、上記車体の後方近傍域に、上記収納体を配置可能とする車両において、
上記車両の幅方向で、上記ブラケットのほぼ全体を上記左右車輪の各内側面の間に配置したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の車両における小物品積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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