説明

車両にキャリアを締結する装置

本発明は、キャリアを車両に取り外し可能に固定する締結装置であって、車両のルーフに配置されたブラケット(3)又はその類似物を有し、このブラケットは、ルーフに本質的にしっかりと固定されており、キャリアフット部(1)又はその類似物を取り外し可能にクランプする少なくとも1つの細長い凹部(5)、穴又はその類似物を有し、キャリアフット部(1)は、軸方向に動くことができるボルト(6)又はその類似物を有し、ボルトのヘッド(7)は、本質的に細長い形状を呈し、凹部(5)に沿って邪魔にならない状態で導入され、そしてこの凹部(5)を横切る捩じりによりボルト(6)の軸方向ロック状態を達成するように構成されている。本発明の本質的に特徴は、細長い凹部(5)又は穴が弓形の長手方向側縁部を有し、それによりボルトヘッド(7)が弓形側縁部に沿う方向へのボルト(6)の運動の際に弓形側縁部に沿って摺動するように構成されているということにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアを車両に取り外し可能に固定する締結装置であって、車両のルーフに配置されたブラケット又はその類似物を有し、ブラケットが、ルーフに本質的にしっかりと固定され、ブラケットが、キャリアフット部又はその類似物を取り外し可能にクランプする少なくとも1つの細長い凹部、穴又はその類似物を有し、キャリアフット部が、軸方向に動くことができるボルト又はその類似物を有し、ボルトのヘッドが、本質的に細長い形状を呈し、凹部に沿って邪魔にならない状態で導入され、そして凹部を横切る捩じりによりボルトの軸方向ロック状態を達成するように構成されている締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフレール用の従来公知の締結装置が、例えば、英国特許第2386591号明細書又は日本国特開2005‐297841号公報に示されている。これら締結装置は、車両及びルーフレールにしっかりと締結されるブラケットを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第2386591号明細書
【特許文献2】日本国特開2005‐297841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知形式の締結装置に関する問題は、キャリアが弛むこと、キャリアに重い荷物を載せた車両に急ブレーキをかけた際に車両のルーフが大きく変形し、その結果、小規模の事故が起こった際に車両の所有者に不必要なコストがかかるということにある。
【0005】
本発明の目的は、キャリアを通常の使用時にしっかりと保持するが、事故の際のキャリアの或る程度の変形を許容する車両のキャリア用締結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、技術分野の項目において上述した形式のキャリアに関する上述の欠点を、細長い凹部又は穴が、弓形の長手方向側縁部を有し、ボルトヘッドが、弓形側縁部に沿う方向へのボルトの運動時に弓形側縁部に沿って摺動するように構成されていることを特徴とする上述した形式の締結装置を提供することによって解決する。
【0007】
本発明のキャリアフット部について添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の締結装置を備えたキャリアフット部の概略図である。
【図2】締結装置及びキャリアフット部をクランプするボルトを第1の取り付け位置で示す概略的な側面図である。
【図3】締結装置及びキャリアフット部をクランプするボルトを第2の取り付け位置で示す概略的な側面図である。
【図4】締結装置の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1には、キャリアフット部1が示されており、このキャリアフット部は、キャリア(図示せず)用の締結装置2を有し、この締結装置は、車両(図示せず)のルーフに配置されたブラケット3又はその類似物を有し、このブラケットは、少なくとも1つの締結手段(図示せず)を用いてねじ止め、リベット止め、溶接又はその類似手段によりルーフにしっかりと締結されている。締結手段は、車両のルーフに設けられたねじ山付きの穴(図示せず)を貫通する少なくとも1本のボルト又はその類似物から成るのが良い。ブラケット3は、適切には、鋼、好ましくは高強度鋼で作られる。ブラケット3は、図示の形態では、U字形ガーダとして形作られており、キャリアフット部1又はその類似物を取り外し可能にクランプするための少なくとも1つの細長い長方形の凹部5、穴又はその類似物を備えている。キャリアフット部1は、軸方向に動くことができるボルト6又はその類似物を有し、このボルトの下端部にはヘッド7が配置されており、このヘッドは、本質的に細長く、矩形を有し、凹部に沿って邪魔にならない状態で導入され、そして凹部5を横切る方向への捩じりによりブラケット3のところでのボルト6の軸方向ロック状態を達成するようになっており、キャリアフット部1は、ボルトの上端部に配置され、キャリアフット部1のところでのねじ止めによりボルト6をしっかりと締結するためのナット8を更に有している。好ましくは、締結装置2は、ハンドル11を備えたカム10の形をしている迅速継手9を有し、カム10は、キャリアフット部1とナット8との間に嵌め込まれている。適当なクランプ力を達成すると共に既存の許容誤差に耐えるため、迅速継手9は、スペーサ12及び上側座金14と下側座金15との間に配置され、カム10とキャリアフット部1との間でボルト6周りに配置されたばね13を有している。キャリアフット部1の組み立ての際、キャリアフット部1をブラケット3の側壁16,17相互間に配置し、このキャリアフット部がブラケット3のベース18に当接するようにする。
【0010】
図2及び図3には、ボルト6がヘッド7を備えた状態で示され、ブラケット3が凹部5を備えた状態で示されている。図2には、ボルト6を凹部5に通した第1の組み立て位置が示され、図3には、第2の組み立て位置が示され、図2と比較してボルト6が第2の組み立て位置まで捩じられており、次に、ボルト6は、凹部5内のヘッド7がブラケットの側壁のうちの少なくとも一方16に当接するように締め付けられる。
【0011】
図4には、ブラケット3が明確に示されており、このブラケットは、折り曲げられた鋼板のU字形ガーダを有し、凹部5は、ブラケット3のベース18に設けられている。好ましくは、凹部は、材料の穴あけによって形作られるが、当然のことながら、凹部は又、材料の機械的加工、例えば穴あけ、フライス加工、研削又はその類似手段により形作ることができる。
【0012】
ブラケット3の側壁16,17は、車両のルーフに適合するようベース18に対して斜めであるのが良い。図示の実施形態では、ブラケット3は、ブラケット3をボルト(図示せず)により車両のルーフにクランプするための2つの穴19,20を有し、これらのボルトは又、Oリング又はその類似物の形をした密封体(図示せず)を備えている。キャリアフット部1の下縁部(図示せず)は、これらボルトのための凹部(図示せず)を備えている。
【0013】
本発明の重要な特徴は、凹部5が、弓形の長手方向側縁部21,22を有し、ヘッド7が、弓形側縁部21,22に沿う方向へのボルト6の運動時に弓形側縁部21,22に沿って摺動するように構成されていることにある。この動きを促進するため、凹部の側縁部21,22に曲がり部を形成するのが良い。
【0014】
かかる動きは、通常、キャリアフット部1が変形し、ブラケット3に沿って前方に摺動する車両の衝突の際にのみ生じる。かかる動きの際、ボルト6は同様に前方に向けられてヘッド7が弓形側縁部21,22に沿って摺動し、それによりヘッド7は、公知の固定方式と比較して剪断してボルト6から取れるのが阻止される。
【0015】
本発明の別の重要な特徴は、ベース18がそのまま保たれ、開口部が両方の弓形側縁部21,22だけを貫通して形成されている場合、たとえ弓形側縁部21,22に関する何らかの結果が得られても、ベース18が凹部5の領域で除かれるということにある。ベース18を除くと、車両について考えられる衝突の際にボルト6のヘッド7に関するブラケット3と車両のルーフの固定具との間の力の適当な分布状態が得られる。別の利点を達成するため、ボルト6のヘッド7は、側縁部21,22に当接する弓形表面を有するのが良い。
【0016】
本発明の範囲内において、ボルトは、山形材又はフックの形をしても良い。当然のことながら、ブラケット3の形状は又、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で変更でき、例えば、L字形ガーダとして構成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを車両に取り外し可能に固定する締結装置であって、前記車両のルーフに配置されたブラケット(3)又はその類似物を有し、前記ブラケットが、前記ルーフに本質的にしっかりと固定され、前記ブラケットが、キャリアフット部(1)又はその類似物を取り外し可能にクランプする少なくとも1つの細長い凹部(5)、穴又はその類似物を有し、前記キャリアフット部(1)が、軸方向に動くことができるボルト(6)又はその類似物を有し、前記ボルトのヘッド(7)が、本質的に細長い形状を呈し、前記凹部(5)に沿って邪魔にならない状態で導入され、そして前記凹部(5)を横切る捩じりにより前記ボルト(6)の軸方向ロック状態を達成するように構成されている、締結装置において、前記細長い凹部(5)又は前記穴は、弓形の長手方向側縁部(21,22)を有し、前記ヘッド(7)は、前記弓形側縁部(21,22)に沿う方向への前記ボルト(6)の運動時に前記弓形側縁部(21,22)に沿って摺動するように構成されている、
ことを特徴とする締結装置。
【請求項2】
本質的に細長いU字形ブラケット(3)を有し、前記凹部(5)は、前記ブラケット(3)のベース(18)に設けられている、
請求項1記載の締結装置。
【請求項3】
前記凹部(5)は、材料を穴あけすることにより形作られている、
請求項1又は2記載の締結装置。
【請求項4】
前記凹部(5)は、前記ブラケット(3)の前記ベース(18)を貫通している、
請求項3記載の締結装置。
【請求項5】
前記凹部(5)の前記側縁部(21,22)は、曲げられている、
請求項4記載の締結装置。
【請求項6】
前記ボルト(6)の前記ヘッド(7)は、前記側縁部(21,22)に当接する弓形表面を有する、
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の締結装置。
【請求項7】
前記ボルト(6)の前記ヘッド(7)は、山形材又はフックの形をしている、
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の締結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513140(P2010−513140A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542708(P2009−542708)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/SE2007/001105
【国際公開番号】WO2008/076037
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509171221)テューレ スウェーデン アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】