説明

車両のラゲージルーム構造

【課題】リヤシートとバックドアとの間に画成される車両のラゲージルーム構造であって、確実な荷物類の収容が期待できるとともに、荷物類の寸法差に対しても有効に対応できる車両のラゲージルーム構造を提供する。
【解決手段】リヤシート10とバックドア20との間に画成される車両のラゲージルーム30構造であって、フロント側傾斜壁ユニットAとリヤ側傾斜壁ユニットBとを車両の側面視においてV字状をなすようにラゲージルーム30内に配置し、双方の傾斜壁ユニットA,BのV字面で荷物類Pを前後方向に移動することなく挟み付けて保持する。また、ラゲージルーム30の側壁に設けたサポート60に支持されるトノボード50において、フロント部51とリヤ部52とがV字状をなすようにロックできる構成を採用すれば、V字面で荷物類Pを前後方向に移動することなく確実に収容できるとともに、トノボード50の操作性も良好となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のリヤシートとバックドアとの間に設けられる荷室(以下ラゲージルームという)構造に係り、特に、ラゲージルーム内に収容される荷物類が走行中の急発進、急停車、急ハンドル等により暴れることがなく、しかも、荷物類の寸法差があっても、確実に保持、収容することができる車両のラゲージルーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、ハッチバック型車両1のバックドア2を開放した状態を後方側から見た斜視図であり、ハッチバック型車両1においては、バックドア2とリヤシート3との間に荷物類Pを収容するスペースとして、ラゲージルーム4が設定されている。そして、ラゲージルーム4のフロア面には、ラゲージフロアボード5が敷設されており、このラゲージフロアボード5の上面に荷物類Pを搭載している。
【0003】
更に、ラゲージルーム4内のスペースを有効に利用するために、図11に示すように、ラゲージフロアボード5を縦壁状に取り付け、ラゲージルーム4をラゲージルームフロント部4aとラゲージルームリヤ部4bとに前後方向に二分割する場合もある。また、ラゲージルーム4内にトノボード6を図12に示すように設置して、トノボード6でラゲージルーム4のスペースを上下に区画して利用することも提案されている。上記ラゲージルーム4の従来構造について、ラゲージルーム4を前後に区画する形態としては、特許文献1に示されており、ラゲージルーム4を上下に区画する形態としては、特許文献2に詳細に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−306361号公報
【0005】
【特許文献2】特開2009−196483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ハッチバック型車両1における従来のラゲージルーム4の構造においては、フラット状態に敷設したラゲージフロアボード5の上面に荷物類Pを搭載した場合には、走行中に荷物類Pが前後方向に移動し易く、荷物類Pの十分な保護を図ることができないという欠点が指摘されている。また、図11に示すように、前後方向にラゲージルーム4のスペースを区画した場合においても、走行中の急発進や急停車、急ハンドル等により図中矢印で示すように、荷物類Pが暴れて確実な保護を達成することができない。更に、図12に示すラゲージルーム4を上下方向に区画するようにトノボード6を設ける構成においても、荷物類Pの前後方向の移動を防止して、荷物類Pの確実な保持を図るというものではなかった。そして、上述した荷物類Pの移動に加えて、荷物類Pの寸法にバラツキが生じた場合においても、このバラツキを解消できず、使い勝手の面でも問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リヤシートの後方に設けられる車両のラゲージルーム構造において、コンパクトな荷物類から大型の荷物類まで、寸法が相違する荷物類でも、確実に収容できるとともに、走行中の急発進、急停車、急ハンドル等によっても、荷物類が前後方向に移動することがなく、荷物類を安定して保持、収容することができる車両のラゲージルーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、リヤシートと、バックドアとの間に画成される車両のラゲージルーム構造において、前記ラゲージルーム内には、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットとが車両の側面視においてV字状をなすように配置され、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットとのそれぞれの対向面で荷物類を前後側から挟み込み、荷物類の前後方向の移動を規制しながら荷物類を保持、収容することを特徴とする。
【0009】
ここで、フロント側傾斜壁ユニットと、リヤ側傾斜壁ユニットとは、車両の側面視においてV字状をなすようにラゲージルーム内に配置されている。そして、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットの具体的な構成としては、種々のものが考えられる。例えば、フロント側傾斜壁ユニットは、リヤシートのシートバックから構成し、リヤ側傾斜壁ユニットは、ラゲージフロアトリムから構成する。この時、荷物類を安定して保持するためには、車両の側面視においてV字状をなすように配置されるとともに、リヤシートのシートバック背面と、ラゲージフロアトリムの表面との間が90°以下に設定されることが必要である。
【0010】
また、ラゲージルームのフロア面に配置されるラゲージフロアトリムでフロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットの双方を構成するようにしても良い。この場合、ラゲージフロアボードは、フロント側ボードとリヤ側ボードとを分割した二分割構造でも良いが、フロント側ボード(フロント部)とリヤ側ボード(リヤ部)とをヒンジ部を介して一体化した一体型構造のものでも良い。そして、フロント側ボード、リヤ側ボード両者の対向面は90°以下に設定され、かつ車両の側面視においてV字状をなすように配置することが必要である。
【0011】
以上の構成から明らかなように、本発明によれば、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットとは車両の側面視においてV字状をなすように配置され、双方の対向面間で荷物類が挟み込まれ、荷物類は前後方向に移動が規制された状態で保持、収容される。よって、走行中の振動や急発進、急停車、急ハンドル等によっても、荷物類が前後方向に移動することがなく、確実な収容が可能となる。また、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットとはV字状をなすように配置されるため、荷物類の寸法が大きくなれば収容箇所が上方に移動するだけであり、常に荷物類は前後側から挟み込まれるように保持されるため、寸法にバラツキがある荷物類についても確実な収容が可能となる。
【0012】
更に、本発明の好ましい実施の形態においては、前記フロント側傾斜壁ユニット及びリヤ側傾斜壁ユニットは、それぞれトノボードにおけるフロント部とリヤ部とから構成され、上記フロント部とリヤ部は、ヒンジ部を基にV字状に折り畳み可能に構成されており、フロント部の前後側の左右にそれぞれ第1支持ピン、第2支持ピンが外方に向けて突設され、リヤ部には、中央よりやや後方位置の左右に外方に突出する第3支持ピンが突設されており、ラゲージルームの側壁に設けたサポートには、上記第1支持ピン、第2支持ピン、第3支持ピンをそれぞれ受けるための受け溝が設けられているとともに、第2支持ピンをサポートの貫通状の受け溝から外してフロント部とリヤ部とを回動操作して、第3支持ピンを受け溝に係着することで、車両の側面視においてV字状をなすように配置し、このV字面を構成するフロント部とリヤ部との間で荷物類を挟み込んで前後方向の移動を規制しながら荷物類を保持、収容することを特徴とする。
【0013】
そして、この実施の形態によれば、トノボードを片手操作で簡単に回動させることができ、任意のポジションでフロント部とリヤ部とをV字状に折曲させてロックすることができ、V字面で荷物類を安定して保持、収容することができる。従って、操作性が良好で使い勝手に優れるという有利さがある。
【発明の効果】
【0014】
以上説明した通り、本発明に係る車両のラゲージルーム構造によれば、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットとをラゲージルーム内で車両の側面視においてV字状をなすように配置するというものであるから、各ユニットの対向面で荷物類を前後側から挟み込み、荷物類の前後方向の移動を規制しながら収容できるため、走行中の振動や急発進、急停車、急ハンドル等によっても、荷物類が移動することがなく、荷物類を確実に保持、収容することができるとともに、V字面で挟み込んで荷物類を保持、収容するため、寸法に左右されることなく、どのような荷物類でも安定して収容できることから、使い勝手に優れるという効果を有する。
【0015】
更に、フロント側傾斜壁ユニットとリヤ側傾斜壁ユニットの使用時には、V字状をなすように、ラゲージルームのフロア面に配置するか、あるいはトノボードのフロント部とリヤ部とがV字状をなすように、トノボードを回動操作してラゲージルームの側壁に設けたサポートに支持させるため、簡単な操作で荷物類の確実な保護が達成できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第1実施例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第1実施例の基本構造を示す説明図である。
【図3】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第1実施例の変形例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第1実施例の更に変形例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第2実施例におけるトノボードの操作前の状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第2実施例におけるトノボードの持ち上げ操作時の状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第2実施例におけるトノボードの後退操作時の状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第2実施例におけるトノボードの第1のロック時の状態を示す説明図である。
【図9】本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第2実施例におけるトノボードの第2のロック時の状態を示す説明図である。
【図10】従来のハッチバック型車両を後方側から見た斜視図である。
【図11】従来のハッチバック型車両におけるラゲージルームを前後二分割した形態を示す説明図である。
【図12】従来のハッチバック型車両におけるラゲージルームを上下二分割した形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る車両のラゲージルーム構造の好適な実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例1】
【0018】
図1乃至図4は本発明の第1実施例を示すもので、図1は第1実施例におけるラゲージルームの構造を示す説明図、図2は本発明に係る車両のラゲージルーム構造の基本構造を示す説明図、図3,図4は第1実施例における車両のラゲージルーム構造の変形例を示す各説明図である。
【0019】
図1において、リヤシート10とバックドア20との間にラゲージルーム30が画成されている。更に詳しくは、上記リヤシート10は、シートクッション11と背もたれであるシートバック12とから構成されており、シートバック12は所定角度後方に傾斜した位置に設定されている。また、ラゲージルーム30内にはラゲージフロアボード40が傾斜状に設定されている。すなわち、ラゲージフロアボード40のフロント端40aはラゲージルーム30のフロア面30aに支持されるとともに、ラゲージフロアボード40のリヤ端40bは、ラゲージルーム30のフロア面30aから所定寸法高い位置に設けられた突起31に支持されているため、ラゲージフロアボード40は後方にいくに連れ上り傾斜となる傾斜状に設定されている。
【0020】
そして、図1に示すように、ラゲージルーム30内においてラゲージフロアボード40を後方にいくに連れ上り傾斜となる傾斜状に設定することで、シートバック12の背面12aとラゲージフロアボード40の表面との間で荷物類Pを挟み込んで、荷物類Pを確実に保持、収容することができる。
【0021】
尚、ラゲージフロアボード40の構成としては、軽量でかつ棚機能を持つように、適度な剛性を備えていれば良く、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ABS樹脂等、汎用の熱可塑性樹脂をブロー成形することで、中空プレート状に成形された樹脂芯材の表面にクロス、不織布、合成樹脂シート等の表皮を一体化した構成のものを使用できる。また、中空プレート状の樹脂芯材に替えて、ビーズ発泡成形体等を使用することもできる。
【0022】
次いで、図2は、本発明に係る車両のラゲージルーム構造の基本構造を示すもので、ラゲージルーム30内には、フロント側傾斜壁ユニットAとリヤ側傾斜壁ユニットBとが頂点Cで接合するように配置されており、ユニットA,Bは、車両の側面視においてV字状をなすように構成されている。更に、フロント側傾斜壁ユニットAとリヤ側傾斜壁ユニットBとの間の角度が90°以下に設定されることが好ましい。この場合、ラゲージルーム30内に搭載する荷物類、例えば小型の荷物類P1と大型の荷物類P2いずれの場合でも、図2から明らかなように、有効に対応できる。例えば、小型の荷物類P1の場合は、図2の頂点C近くで保持し、大型の荷物類P2の場合は、頂点Cから離れた位置で保持することができる。
【0023】
従って、各荷物類P1,P2は、フロント側傾斜壁ユニットAとリヤ側傾斜壁ユニットBとの間で挟み付けられて、前後方向に移動することなく安定して保持されることになる。図2に示す基本構造からすれば、図1の実施例は、フロント側傾斜壁ユニットAとしてリヤシート10のシートバック12から構成するとともに、リヤ側傾斜壁ユニットBとしては、ラゲージフロアボード40が適用されている。
【0024】
次いで、図3,図4は、本発明に係る車両のラゲージルーム構造の変形例を示すもので、図2に示す基本構造のフロント側傾斜壁ユニットAとリヤ側傾斜壁ユニットBとをそれぞれラゲージフロアボード40で構成している。すなわち、図3に示すように、ラゲージフロアボード40は、フロント部(フロント側ボード)41とリヤ部(リヤ側ボード)42とがヒンジ部43を介して相互に折り畳み可能に一体化された構成である。この場合、フロント側傾斜壁ユニットAとしてはラゲージフロアボード40のフロント部41が相当し、リヤ側傾斜壁ユニットBとしてはラゲージフロアボード40のリヤ部42が相当して、この場合においても、フロント部41とリヤ部42とは90°以下の角度で、かつ車両の側面視においてV字状をなすように配置される。尚、フロント部41を所定角度の傾斜状態で保持するには、ラゲージルーム30のラゲージサイド等にラゲージフロアボード40のフロント部41を保持する保持手段を設けておけば良い。尚、ラゲージフロアボード40のリヤ部42は突起31に支持されている。
【0025】
同様に、図4に示すように、ラゲージフロアボード40にフロント側ボード40Aとリヤ側ボード40Bの二分割体を使用しても良く、この場合においても、フロント側ボード40Aとリヤ側ボード40Bとの間で90°以下のV字面を構成するように両者をラゲージルーム30内に配置すれば、同様の効果が期待できる。
【0026】
このように、本発明の第1実施例においては、斜めに取り付けたラゲージフロアボード40の斜面とリヤシート10におけるシートバック12の背面12aのV字二面を使うことで、小型の荷物類P1から大型の荷物類P2まで荷物類P1,P2を挟み込んで、前後方向への移動を抑えるような状態で収容可能とした。
【0027】
更に、ラゲージルーム30の開口部の高さに合わせて、ラゲージフロアボード40の斜面形状を設定することで、斜面を滑らせてスムーズに荷物類Pの出し入れ、保持が行なえる。また、第1実施例の変形例においても、ラゲージフロアボード40をヒンジ部43を介してV字状に折曲状態で使用するか、あるいはフロント側ボード40Aとリヤ側ボード40BとをV字面となるように配置することで、同様の作用効果が期待できる。
【実施例2】
【0028】
図5乃至図9は本発明の第2実施例を示すもので、図5はトノボードをフラット状態に維持した状態を示す説明図、図6はトノボードの後端側を持ち上げた持ち上げ操作時の状態を示す説明図、図7はトノボードの後退操作時の状態を示す説明図、図8,図9はトノボードをそれぞれ第1ロック位置、第2ロック位置で固定し、V字面で荷物類を保持する状態を示す各説明図である。
【0029】
第2実施例における図5においては、第1実施例の図2に示すフロント側傾斜壁ユニットAとリヤ側傾斜壁ユニットBとをそれぞれ回動式のトノボード50のフロント部51とリヤ部52で構成している。すなわち、トノボード50は、フロント部51とリヤ部52とが車両の長手方向に沿う全長の略半部分でヒンジ部53を介して折り畳み可能に接合しており、フロント部51のフロント側端末並びにヒンジ部53よりやや前方位置のそれぞれ左右両側に第1支持ピン54、第2支持ピン55が外方に向けて突設形成されており、リヤ部52の中央よりやや後方位置の両側面には、第3支持ピン56が外方に向けて突設形成されている。
【0030】
そして、トノボード50における第1支持ピン54、第2支持ピン55、第3支持ピン56は、ラゲージルーム30の側壁に配設されているラゲージサイドに左右対称状に設けたサポート60に軸受けされる。このサポート60には、上述した第1支持ピン54、第2支持ピン55、第3支持ピン56のそれぞれに対応する受け溝61,62,63,64が設けられている。
【0031】
更に、詳しくは、第1支持ピン54を受ける受け溝61内には、第1支持ピン54を常に前方にバネ付勢する付勢スプリング65がインサートされている。また、第2支持ピン55については、トノボード50の操作時に第2支持ピン55が受け溝62から外れるように、この受け溝62は、貫通状でかつその下方には、第2支持ピン55をガイドする円弧状ガイド66が形成されている。更に、第3支持ピン56については、トノボード50のフラット状態、及び第1のロック姿勢を維持する時に、受け溝63に第3支持ピン56が係着されるが、第2のロック姿勢をとる場合には、第3支持ピン56を受け溝63より前方に位置する別の受け溝64に係着させる。
【0032】
次いで、第2実施例におけるトノボード50の操作状態について説明する。尚、参考までに、トノボード50の操作前の状態では、図5に示すように、トノボード50のフロント部51とリヤ部52とがフラット状態となるように、サポート60に支持されているか、あるいはフロント部51に対してリヤ部52をヒンジ部53を基に図5中点線で示す位置に重ね合わせてラゲージルーム30のリヤ部分を開口するようにしても良い。
【0033】
まず、図6に示すように、トノボード50のリヤ部52の後端を上方に持ち上げれば、サポート60の受け溝63からトノボード50の第3支持ピン56が簡単に外れる。その後、図7に示すように、トノボード50のリヤ部52を矢印方向にリヤ側に引き寄せれば、ヒンジ部53を介して一体化しているフロント部51も後方へスライドする。この時、第1支持ピン54は、付勢スプリング65のバネ圧に対して後退するとともに、第2支持ピン55は、受け溝62のコーナー部62aからリヤ側に移動し、受け溝62の開口62bから容易に外れ、円弧状ガイド66に沿って第2支持ピン55がガイドされて図7中点線で示す位置までトノボード50は第1支持ピン54を基に自重により回動する。
【0034】
その後、第3支持ピン56を受け溝63に戻せば、図8に示すように、フロント部51とリヤ部52とでV字形状となるように、第1のロック姿勢をとることができ、フロント部51とリヤ部52とで荷物類Pを挟み付け、荷物類Pの前後方向の移動を規制した状態で収容することができる。そして、この第1のロック姿勢では、比較的大型の荷物類P2の収容に適している。
【0035】
また、図7に示す点線位置からリヤ部52の第3支持ピン56を受け溝64に差し込めば、図9に示すように、フロント部51とリヤ部52とでV字面をなすようにトノボード50をロックすることができる。この第2のロック姿勢では、小型の荷持類P1を収容するのに適している。
【0036】
このように、本発明の第2実施例によれば、トノボード50をフロント部51とリヤ部52との間でV字状となるように折り畳みロックすることで、荷物類Pの前後方向への移動を防止でき、荷物類Pの暴れを確実に防ぐことができる。また、トノボード50の第3支持ピン56の差し込み位置を変えることで、小型の荷物類P1、大型の荷物類P2等の荷物類Pの大きさに合わせて有効に対応することができ、廉価に構成できるとともに、トノボード50は片手で簡単に操作できるため、使い勝手にも優れるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る車両のラゲージルーム構造の第1実施例に使用するラゲージフロアボード40の固定手段は、ラゲージルーム30内のフロア面30aの他に、ラゲージルーム30のラゲージサイドやラゲージリヤ等、適宜箇所に設けることができる。また、本発明の第2実施例に使用する回動式のトノボード50の支持機構としては、ラゲージサイドに合成樹脂成形体からなるサポート60を取り付けても良いが、ラゲージサイドトリムにサポート60を一体化する構造を採用しても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 リヤシート
12 シートバック
12a 背面
20 バックドア
30 ラゲージルーム
30a フロア面
31 突起
40 ラゲージフロアボード
40a フロント端
40b リヤ端
40A フロント側ボード
40B リヤ側ボード
41 フロント部
42 リヤ部
43 ヒンジ部
50 トノボード
51 フロント部
52 リヤ部
53 ヒンジ部
54 第1支持ピン
55 第2支持ピン
56 第3支持ピン
60 サポート
61,62,63,64 受け溝
65 付勢スプリング
66 円弧状ガイド
A フロント側傾斜壁ユニット
B リヤ側傾斜壁ユニット
P 荷物類
P1 小型の荷物類
P2 大型の荷物類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤシート(10)と、バックドア(20)との間に画成される車両のラゲージルーム(30)構造において、
前記ラゲージルーム(30)内には、フロント側傾斜壁ユニット(A)とリヤ側傾斜壁ユニット(B)とが車両の側面視においてV字状をなすように配置され、フロント側傾斜壁ユニット(A)とリヤ側傾斜壁ユニット(B)とのそれぞれの対向面で荷物類(P)を前後側から挟み込み、荷物類(P)の前後方向の移動を規制しながら荷物類(P)を保持、収容することを特徴とする車両のラゲージルーム構造。
【請求項2】
前記フロント側傾斜壁ユニット(A)をリヤシート(10)におけるシートバック(12)で構成するとともに、リヤ側傾斜壁ユニット(B)をラゲージルーム(30)のフロア面に設置されるラゲージフロアボード(40)で構成し、前記シートバック(12)の背面(12a)とラゲージフロアボード(40)の対向面との間が90°以下となるように車両の側面視においてV字状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のラゲージルーム構造。
【請求項3】
前記フロント側傾斜壁ユニット(A)をフロント側ボード(40A,41)で構成し、リヤ側傾斜壁ユニット(B)をリヤ側ボード(40B,42)で構成するとともに、フロント側ボード(40A,41)とリヤ側ボード(40B,42)との間を90°以下のV字状をなすようにラゲージフロア面(30a)に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両のラゲージルーム構造。
【請求項4】
前記フロント側傾斜壁ユニット(A)及びリヤ側傾斜壁ユニット(B)は、それぞれトノボード(50)におけるフロント部(51)とリヤ部(52)とから構成され、上記フロント部(51)とリヤ部(52)は、ヒンジ部(53)を基にV字状に折り畳み可能に構成されており、フロント部(51)の前後側の左右にそれぞれ第1支持ピン(54)、第2支持ピン(55)が外方に向けて突設され、リヤ部(52)には、中央よりやや後方位置の左右に外方に突出する第3支持ピン(56)が突設されており、ラゲージルーム(30)の側壁に設けたサポート(60)には、上記第1支持ピン(54)、第2支持ピン(55)、第3支持ピン(56)をそれぞれ受けるための受け溝(61,62,63,64)が設けられているとともに、第2支持ピン(55)をサポート(60)の貫通状の受け溝(62)から外してフロント部(51)とリヤ部(52)とを回動操作して、第3支持ピン(56)を受け溝(63,64)に係着することで、車両の側面視においてV字状をなすように配置し、このV字面を構成するフロント部(51)とリヤ部(52)との間で荷物類(P)を挟み込んで前後方向の移動を規制しながら荷物類(P)を保持、収容することを特徴とする請求項1に記載の車両のラゲージルーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−45963(P2012−45963A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186850(P2010−186850)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】